テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート...

22
セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして 日 時: 2018 7 1 日(日) AP 市ヶ谷 LEARNING SPACE (東京都市ヶ谷) 主 催: ブリティッシュ・カウンシル 後 援: 文部科学省 本質的な英語コミュニケーション能力の育成をめざし、学習指導要領の改訂及び大学入学者選抜における 英語 4 技能試験の導入など、グローバル化に対応した英語教育改革が進展しています。生徒の英語力向 上のためには、評価の役割を十分に理解し、到達目標及び指導を効果的に連動させることが不可欠です。 テストが学習や指導に対して良い「波及効果」をもたらすための取り組みを考え、学習目標・指導と評価を適 切に連動させることができる力(アセスメント・リテラシー)を高めるため、専門家の講演と学校教員による事 例報告を通して、特に「スピーキング」の指導とテストに焦点を当てたセミナーを開催しました。 プログラム ・基調講演 「学習者を育てるためにテストを使う-波及効果の研究が示唆する指導と評価の一体化」 渡部良典 上智大学 言語科学研究科 教授 ・ワークショップ How Language Assessment Works: Assessing Speakingゴードン・アラン ブリティッシュ・カウンシル トレイナー ・事例報告 「スピーキングの授業評価:高校における実践から」 松尾美幸 岩手県立不来方高等学校 指導教諭 ・パネルディスカッション 「スピーキングの指導と評価-今後に向けて」 松尾美幸 指導教諭、ゴードン・アラン、ロビン・スキプシー(ブリティッシュ・カウンシル アカデミックマネージャー) www.britishcouncil.or.jp

Upload: others

Post on 25-Jun-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

セミナーレポート

テストが到達目標と指導に与える影響

スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

日 時: 2018年 7月 1日(日) AP市ヶ谷 LEARNING SPACE(東京都市ヶ谷)

主 催: ブリティッシュ・カウンシル

後 援: 文部科学省

本質的な英語コミュニケーション能力の育成をめざし、学習指導要領の改訂及び大学入学者選抜における

英語 4 技能試験の導入など、グローバル化に対応した英語教育改革が進展しています。生徒の英語力向

上のためには、評価の役割を十分に理解し、到達目標及び指導を効果的に連動させることが不可欠です。

テストが学習や指導に対して良い「波及効果」をもたらすための取り組みを考え、学習目標・指導と評価を適

切に連動させることができる力(アセスメント・リテラシー)を高めるため、専門家の講演と学校教員による事

例報告を通して、特に「スピーキング」の指導とテストに焦点を当てたセミナーを開催しました。

プログラム

・基調講演

「学習者を育てるためにテストを使う-波及効果の研究が示唆する指導と評価の一体化」

渡部良典 上智大学 言語科学研究科 教授

・ワークショップ

「How Language Assessment Works: Assessing Speaking」

ゴードン・アラン ブリティッシュ・カウンシル トレイナー

・事例報告

「スピーキングの授業評価:高校における実践から」

松尾美幸 岩手県立不来方高等学校 指導教諭

・パネルディスカッション

「スピーキングの指導と評価-今後に向けて」

松尾美幸 指導教諭、ゴードン・アラン、ロビン・スキプシー(ブリティッシュ・カウンシル アカデミックマネージャー)

www.britishcouncil.or.jp

Page 2: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 2

基調講演

学習者を育てるためにテストを使う-波及効果の研究が示唆する指導と評価の一体化

“An introduction to learning-oriented language assessment"

渡部 良典 上智大学言語科学研究科 教授

■Learning oriented language assessment

今日の講演の副題を、 Introduction to

learning-oriented language assessment

(言語習得を促すための言語テスト)としまし

た。ここには、テストを受けている最中にも学

習者は学んでいるということを知らないといけ

ないという意味を込めました。私たち教員はこ

のことを忘れがちです。最近のテスト関係の

専門誌には “assessment for learning ” ,

“formative assessment”などの言葉が使わ

れています。“Formative(形成的評価)”とい

うのは“assessing ability during the process of being formed”という意味を示し継続評価することです。

最終的な成果を評価するために形成的評価の結果を生かす方法を”summative use of formative

assessment(形成的評価の統括的評価的用法)”ということがあります。最終成績を出すにしても最後に

一回テストをやるのではなく、継続して記録をとりながら、途中経過も考慮する方法のひとつです。たとえ

ばポートフォリオ・アプローチがありますが、これは生徒が今まで書いていたもの、話してきた録音の記録

を積み重ねておき、最後に学習者に最終的に一つ選ばせて提出させる方法です。ダイナミック・アセスメン

ト(dynamic assessment)、これは正にテストを受ける活動自体が学習者にとっては学習の契機になって

いるのだということを前提とした評価方法です。

学習を促すテストのありかたの大切さに気付く刺激になったことのひとつにこんなエピソードがあります。

大学の教員になって間もなくのことでした。ある英語の授業で紙版の TOEFL iTPの多肢選択式文法問題

―誤りの訂正問題―を教材に使っていた時のことです。授業を受けていた学生からこんなコメントがあっ

たのです。「僕には答えがわからないので、この形式の問題は困ります」と。理由を尋ねたところ、「間違い

がどこにあるのかわからないので、間違った英語も全部正しい英語として習得してしまうんです」とのこと。

なるほどテストを受験している最中も学生にとっては学習の機会なのだという気づきでした。目が開かれ

る思いでした。

■テストの波及効果の研究

学習を促すテスト(learning-oriented assessment)の考え方に至った指導実践をお話しましたが、ここ

からは研究との関連でお話ししたいと思います。テストの波及効果(washback effects)の研究成果につ

いてです。テストがあれば、良い効果と悪い効果があります。評価があって、指導や学習があります。従っ

て、評価の方法が変われば、あるいはその内容が変われば、指導や学習は変わるだろうと想定されます。

Page 3: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 3

このような見方を Cathie Burrowsは波及効果の行動主義的な見方、つまり、刺激があれば反応があると

いう単元的な見方であると言っています。人間の行動はそれほど単純ではなく、これはテストの波及効果

についても同様です。このテーマについて実証研究が始まってから 20 年ほどたちました。その嚆矢(こう

し)となったのは Alderson & Wall(1993) で、テストのその効果について仮説を立てています。一つ目は

「テストは指導に影響する」(”Tests will influence teaching”)という仮説。二つ目は「テストは学習に影響

する」(”Tests will influence learning”)という仮説。これら一般的な仮説からさらに、テストが影響を与える

対象を、指導内容、指導方法、指導の速度、学習内容、学習方法等々詳細にし、全部で 15の仮説を立て

ました。入試の改革が現在進められていますが、このような仮説を検証する準備もないままに、入試を変

えれば教育は変わるという期待がありますが、これはあまりにも楽観的に過ぎます。テストが悪いから、教

育が悪いのだと。しかし、テストの質が良いのと、それを上手に使うのは全く別次元の問題であるというの

がこの研究の大きな発見の一つです。

私は「テストは教師が何を、どのように教えるかに影響を及ぼす」という仮説を検証しました。 A先生 と

B先生、二人の先生が、たとえば試験対策と、普通のコミュニカティブな授業を教えます。私が一週間授業

観察し、許可を得て録音しデータを分析しました。検証したかったのは、テストの影響があれば、試験対策

の授業は A先生も B先生も同じような教え方で同じ内容を教え、試験対策授業と通常の英語の授業が異

なる、という仮説です。予備校の先生にもお願いしました。試験内容が大きく違う二つの C 大学の入試と

D大学の入試それぞれを E先生と F先生が教えていらっしゃるコースを観察記録させていただきました。

C大学向け対策コースでも、D大学向け対策コースでもそれぞれのコースでは E先生も F先生も同じよう

に指導されるだろう、C大学向け対策コースと D大学向け対策コースの指導はお二人の先生とも大きく違

うだろう、これが仮説です。質問回数、日本語の使用量、英語の使用量、先生の話す時間の長さ、生徒が

話す時間の長さ、やりとりのパターン、先生が前にいる時間など、全部細かく記録して確認しました。

分析の結果は仮説とは大きく異なっていました。受験対策を目的とした授業でも通常の文部科学省の

教科書を使った授業でも、教員間の違いの方が授業の目的よりも大きいというのが際立った特徴でした。

予備校でも同様です。試験対策コースについてもそうです。センター入試のリスニング問題を教えるクラス

を観察したとき、ある先生はテープを流し、解いて答え合わせをするということに主に時間を使っていらっ

しゃいました。別の先生は生徒向けに練習問

題に作り直して、生徒たちとやりとりしながら

授業をしていました。ある帰国生の多いコー

スでは、入試問題の文法問題を使っていらっ

しゃるところがありました。帰国子女の文法意

識を高めるのに役に立つということでした。目

標としているテストの違いよりも教員間の違い

の方が大きいということです。その後偶然に、

私が研究を発表したのと同じ年にアメリカで、

「落ちこぼれゼロ政策(No child left behind)」

の結果を目にして、全く同じ結果が報告されていました。この政策は州ごとにテストの評価基準を作って、

水準に届かないと予算を減らすという、試験で教育を変えようとする試みの一環とみなすこともできます。

先生同士の違いが学校同士よりも大きい、つまりテストでトップダウン式に教え方を変えさせようとしました

が、うまくいかなかったという報告でした。すなわち、試験方法や試験制度を変えても期待通りに教育は変

わらないということを示しており、図らずも私の調査結果と同様の結果と解釈することができます。

その後、外国語教育の分野でも多くの調査が行われ、専門誌に報告されていますが、結果はやはり同

Page 4: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 4

じ方向を示しています。初期の研究ではテストは指導内容に影響を与えるが指導方法には影響しないと

いう大変面白い報告もあります。たとえば、入試にリスニング・テストを導入すると確かに準備教育ではリ

スニングを指導する機会は増えるが、その指導方法は各指導者次第であるということになります。つまり、

授業中に少し時間を割いて音声を流し生徒に問題を解かせ答え合わせをするという方法もあるでしょう。

あるいは自分の生徒に合ったレベルに問題を作り替え、リスニングの実践力を鍛える指導をすることもあ

り得ます。あるいは単にリスニングは重要だと伝え後は生徒個人に任せるという「指導方法」もあるでしょ

う。なぜ指導方法にテストが影響しないのでしょう。おそらく、指導方法というのは各教員のビリーフが深く

かかわっているからではないかと思います。ビリーフはテストが変わったくらいでは変わらないのではない

でしょうか。教員のほとんどは成功体験の持ち主ですから、その成功体験を捨てるのはなかなかできにく

いのでしょう。その通りに教えたい、ビリーフ、しかも成果体験が関わっていますと、なかなか変えにくいで

すね。スピーキング・テストが入ったからと言って、スピーキングが突然あちこちで起こるわけではないでし

ょう。やはり先生の自覚、教え方、指導力などさまざまな要素が関係して、さまざまな条件のもとで波及効

果は起こり得るということは十分予測できることだと思われます。

学習者へのテストの波及効果の研究は指

導への波及効果の研究に比べると数は少な

いのですが、結果はやはり同じ方向を示して

います。例えば、テストがあれば生徒は勉強

する、というのはとてもナイーブな期待ではあ

りますが、多くの先生方はそう期待することが

多いのではないかと思います。しかし、聞き取

り調査をやったところ、すでにやる気のある生

徒はテストでますますやる気が出るものの、

やる気のない生徒はますますやる気をなくす

傾向があるようなのです。さらに、やる気のある生徒にとってもテストが十分にやりがいのあるテストであ

ることが条件となります。まだ仮説ではありますが、自分の能力よりもややレベルが上で、内容が本当に

言語を使うことを求めるようなテストであることも条件となるようです。以前、ランカスター大学でギリシャか

ら来た学生が波及効果の研究をしていました。ギリシャで創造力をテストするために、入学試験にクリエイ

ティブ・ライティングを導入したそうです。ところがその結果どうなったかと言うと、受験生がみなパターン化

された例を暗記するようになり、創造力を測定したいという意図とは全く別の結果となったのだそうです。

十分にありそうなことですね。

授業観察の研究の際、先生方にインタビューをしてお話を伺いました。試験になると説明も多くなるとい

うことを自覚しているという先生もいました。私たち教員は説明すれば理解されるはずだと考えます。本当

は実際に生徒がタスクをやってみて納得して学習が進むものだと思いますが、試験になると特に生徒に

理解をしてもらうことがともて重要だと考えるのは当然です。そこで、説明をすればすべての生徒は理解す

るというビリーフから、説明が多くなるということだろういうことです。確かに、テストに対する否定的なビリ

ーフは良い波及効果を阻害する要因の一つとなり得ます。これも面談での発見ですが、テストのための指

導に罪悪感を持つ先生が多くいらっしゃいました。このようなビリーフを変えて、英語の試験の準備指導は

使える英語力を鍛えるための一環だという積極的な態度で臨まない限り、どんなに試験の質が高くなって

もやはり好ましい波及効果は起こり得ないでしょう。そして、そのためには試験の原理をよく知って、単に

得点を上げるためだけではなく、受験準備を通して英語力を高めるための指導方法を真摯に考案する必

要があるでしょう。結局のところ、通常の授業や学習方法と試験対策のための授業や学習方法が同じで

あればあるほど、テストの良い効果が得られるということになるでしょう。

Page 5: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 5

■アセスメント・リテラシー

教員にはテストの基本原理を知っておく必要があると言いました。このような知識をアセスメント・リテラ

シー(assessment literacy)と言います。たとえば、一言でスピーキング・テストといっても、本来はやりとり

をする、意見を述べる、説明する等様々な下位技能を確認するためにテストが作られています。各テスト

がどのような下位技能を測定しようとしているのかを理解していなければ、スピーキング・テストのために

効果的な準備指導はできないでしょう。ましてテスト準備指導を通して使えるスピーキング力をつけること

には、結びつきようがありません。IELTS、TOEFL、英検どんなテストでも事情は変わりません。何を測定

しようとしているのかを分析して、目標を定めて指導しなければ効果は得られません。しかし、必ずしもす

べてのテストが、使用者にわかりやすい形で各テストの原理を説明して公表しているわけではありません。

そこで、テスト使用者(多くは教員)が対象となるテストを分析して、下位技能などの測定対象となっている

能力を割り出すことが必要となります。その方法の一つがリバース・エンジニアリング(逆行分析)です。

テスト作成には設計図が必要となります。テスト作成のための青写真―つまり設計図をテスト細目(test

specifications)と言います。対象となるテストを分析して、そのテストはいったいどのような青写真を基にし

て作ったのだろうか、その青写真を作り直すことを通してテスト問題の意図を探るという、大変意義がある

作業だと思います。必ずしも大規模テストではなくても、各学校で行っている中間テスト、期末テストを含め

て、このような設計図を作っていなければ、これまでに作ってきたテストを見なおして、改めて青写真を作

り直すことを通して、テストの質を高め、さらに生徒がどのような学習をすればテスト勉強になるのか、そし

て英語力養成につながるのかについて理解が深まることになります。つまりアセスメント・リテラシーを養

成する機会となることでしょう。

■試験と普通の英語能力育成を一致させるための理論

さて、私の体験、そしてこれまで行われてきた研究の成果を紹介しながら、テストと指導、学習の一体化

の方法について理解を深めてきました。そこでわかってきたことは、一方にテスト等の評価方法があって、

一方に指導と学習がある。その間にビリーフ、知識、動機、態度が介在して波及効果が起こるというもの

です。試験のための準備学習、準備指導、受験に限らずどんな試験でも、試験の勉強というのは普通の

能力とスキルをなるべく一致させることが要件となりますが、そのためには一貫した理論が必要となります。

そのような理論のひとつに原因帰属理論(attribution theories of motivation)があります。もう一つの理

論はイノベーションの普及理論(Theories of diffusion of innovations)、これはビジネス・マネジメントの考

えで、品物が売れる条件等を解明することを目的とした理論です。外国語教育でも、ある指導方法は広く

普及するのに、ある方法はすぐにすたれてしまう、それはなぜか、どういう条件で広まっているのかをテー

マとして多くの研究が行われています。その結果に合わせて英語の試験準備教育・学習が、英語運用力

をつけるために使われるようになるためにはどのような条件を満たさなければならないかを考えてみます。

第一に、相対的優位性(relative advantage)です。試験のための準備指導、準備学習、それになんら

かの優位性が認められなければなりません。次に両立可能性(compatibility)。テストのための勉強・指導、

普通の英語能力を高めるための勉強・指導・学習方法、それが全く別だと試験準備は何か特別のものと

なってしまいます。第三に複雑性(complexity)。試験のための指導方法が複雑すぎると広く使われるよう

になりません。スピーキング・テストのための指導がとても複雑であるならそれは広まらないでしょう。第四

に試行可能性(trialability)。指導・学習方法を試してみることができるということです。テストのための指導

Page 6: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 6

法を使ってみることができるということです。そのためには指導法が具体的であり使い手に理解されるよう

でなければなりません。最後に観察可能性(observability)。試してみて、その結果をやってみて、何らか

の結果を目にすることができなければなりません。

先ほども触れたリスニング・テストを例としてみましょう。IELTS、TOEFL、TOEIC 等はもちろんですが、

英検、センター試験、各大学の入学試験等も作成者は実に多くの時間をかけて苦労して作っています。特

に後者はテスト問題が実施後全て公開されますし、さまざまな難易度の問題を練りに練って作られていま

す。みなさんはどのようにこれを使って指導されますか。全く使わない、生徒に自分でやっておけという手

もあります。テープを流して生徒に聞かせて解答させ答えあわせをすることもできますが、同じ問題は二

度と出ませんから、この答え合わせをするのは有意義な時間の使い方とは言えないように思います。一つ

の使い方としてリスニングの英文を読解問題に使うということができます。リスニングの英文は読解問題よ

りも易しく作られていますから、まずは聞かせる、メモを取らせる、生徒同士で内容の確認をさせた上で読

ませるといった多角的な使い方ができるかと思います。

ハーマー(Jeremy Harmer)は良い授業には必ず、Engage―生徒に授業に関わりを持たせる、Study

―対象の言語的特徴に焦点を置いた指導、Activate―言語を実際に使ってみる、これら3つの要素があ

ると言います。あるいは、ネーション(Paul Nation)によると、meaning-focused input(意味の理解)、

meaning-focused output(意味のある言語産出)、 language-focused learning(言語要素の学習)、

fluency-development(流暢さに焦点を置いた練習)、これら 4つの構成要素(four strands)を設定してい

ます。イノベーション理論に従えば、テストのための指導においても、学習者に授業に関わりを持つことを

促し、発音、語い、文法、文章構造等について知識を得て、それを使ってみる機会を受験者に与えるとい

うことが、役立つ英語力を鍛える受験指導のあり方につながることでしょう。

■パフォーマンス・テストの方法と受験指導

次にパフォーマンス・テスト、たとえばスピーキング・テストと指導方法について考えてみましょう。通常

の会話では話し手がいて、そして聞き手がいます。テスト場面ではこれが試験を受ける生徒という話し手

がいて、試験官という聞き手がいるということになります。しかし、指導形態を考慮した場合、これ以外にも

様々な形態をとることができ、また必要にもなります。たとえば、受験生としての生徒が話し手としており、

面接官としての教員が聞き手としているということは変わらないにしても、会話のやり取りを自然にするた

めに、評価者は別に設けるという形態があります。こうすることにより、教員の役割は評価者ではなく、生

徒と会話をする話し手と捉えることができるようになります。

また、授業でペアワークやグループワークを採りいれているならば、やはりスピーキング・テストでも生

徒同士をペアにしたり、グループでの会話場面を設定したりすることが可能となります。「最近接発達領域

(Zone of Proximal Development)(ZPD)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。Vigotskyの用

語です。文部科学省の主導で中高では Can-Do Statement を作り、学習評価に生かすことが求められて

います。できること(can-do)を具体的に明示し学習の目標としたり、テスト得点の意味づけをしたりするこ

とは意味のあることですが、見失われがちなのは何らかのヒントを与えられれば答えられたり、手助け

(scaffolding)があれば発話ができたりという社会的な能力を見逃してしまう可能性があるところです。テ

スト場面では面接官は受験者に手助けをしてはいけないことになっていますが、学校内で行うスピーキン

グ・テストでは積極的に助けるようなことがあってもいいのではないかと思うのです。また生徒同士で同時

に面接試験に関わらせることにより、生徒同士が刺激し合い一人でいる以上の発話ができる可能性も出

Page 7: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 7

てくるでしょう。

スピーキングは実に複雑な言語

活動です。ここに示したのは Levelt

(1993)の発話産出モデルを単純化

したものです。ライティングにも当て

はまると思いますが、言語産出にあ

たってはまず話すべき内容、書くべ

き内容があり、それに応じた語いを

探し出すという認知レベルの作業が

必要となります。次にその単語を使

って正確に表現するのに必要な文

法情報を加えます。例えば、他動詞

であれば主語と目的語が必要ですから、名詞+動詞+名詞という構文を作成するために二つの名詞を頭

の中の辞書に探し出さなければなりません。次に、規則動詞ならば過去形-ed を付加したり、主語が三人

称単数なら-s を付加するなどの形態に関する要素を付加します。その後子音+ed ならば/-id/と発音する

などの音韻を整え、最後に具体的な発話が行われるわけです。このことから、指導上のみならず、テスト

場面でもトピックについては事前に時間を与えて準備させたり、すでに授業で扱ったトピックについて話を

させるという配慮が必要となることがわかります。また、目的についても今回のスピーキング・テストは発

音を中心に評価する、文法を中心にする、場面に適切な発話ができるかどうかを目的とする等々きめ細

かな目標の設定が必要となります。さらに、テストを学習の機会とするためには、評価の焦点は学習者に

事前に伝えておくことも大切です。

以上のような評価方法についても、やはりテスト方法を固定された「こうあるべき」という考えをするので

はなく、臨機応変にとらえ、学習を促すための指導の一環ととらえることから生まれると思うのです。

■学習曲線

学習は曲線を描いて進むということは教育心理学で長く知られていました。第二言語習得でも次のよう

な観察が行われています。たとえば、「食べた」を意味する ate を習得する過程を観察します。すると、最

初に ate を覚えた時には正しく使えるのです。しかし、次の段階では eated、ated などの存在しない形式

の語を使い、そして最終的に ate という正しい形態を使うことができるようになります。最初の ate と最後

の ate は、表面は同じように見えますが、学習者の頭の中の言語体系においては全く別の要素です。最

初の ateは一つの単語として記憶しておりこれを項目基盤の記憶(item-based memory)に基づいている

ということができます。一方最後の ate は自分で習得した規則から生み出した規則の記憶に基づいて

(rule-based memory)生み出された形態です。また途中の形態は、誤りというよりも、学習者の試行錯誤

の結果と見るべきでしょう。習得のプロセスがアルファベットのUの形を描くところから、U 字曲線(U-

shaped learning curve)と言われます。

このことは私たちにいろいろなことを教えてくれます。今回のテーマに関連して言えば、テストというのは

この U 字曲線をとらえるのが得意でないということです。テストの成果は普通得点で表されることも大きな

原因の一つですが、テストというのは、言語学習は一直線に伸びてゆくことを前提としているようなところ

があります。得点が低くなるとこの生徒は怠けているのではないか、伸び悩んでいるのではないかと、親

Page 8: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 8

はともかく、教員までもが疑ってしまい、それが生徒にも伝わる、というようなことが多々あるのではないで

しょうか。しかし、実際には Uの形を描いた真っ当な習得プロセスを取っているだけなのかもしれないので

す。

このような情報を読みとるのは精密なテストを作るということが一つの方策としてあり得ますが、それは

テスト研究者に任せておいて、教員としては各生徒の成果を継続的に記録しながら、地道に観察を続ける

ということが最も重要な課題となるのではないでしょうか。このことを想定してU字曲線を見なおしてみまし

ょう。横軸(x 軸)は時間の流れ、縦軸(y 軸)は正確に言語を使えるという意味での言語能力を表していま

す。この図を見ると言語習得は、あたかも時間がたてば自然に U 字形を描いて進んでゆくことを示してい

るように見えるのです。確かに言語習得の一つの側面をとらえた理論としては理解できるのですが、しか

し実際に外国語習得においてはこのようなことはあり得ません。ふつうは聞いたり読んだりして入力される

習得対象言語であったり、練習量であったり、そういった言語習得を促す要因があって習得が進むはずで

す。そしてこれをもう一本の軸として、言語習得を 3次元でとらえることが、理論と実践を結びつける生きた

知識、つまり実践理論となるのではないかと思うのです。

3 次元の外国語学習モデルを図

に示してみました。総体的な言語能

力を習得するには時間が必要となる

ことは言うまでもありません。その他

の要因、つまり図で「?」で示した軸

には何が入るでしょうか。

学習一般では、たとえば時間をか

けて、達成感を覚えて、努力していく

とだんだん伸びる、と言えるかもしれ

ません。あるいは CLIL(内容言語総

合学習)、内容とコミュニケーション・スキルと言語を教える。CLIL であれば、まず言語 があって、話題の

知識があって、認知能力が伸びていく。そして、健全な言語能力がついてくる、ということが想定されるか

もしれません。色々な場面でこういうことを考えると、テストのありかたも別に見えてくると思います。ただ単

にスピーキング・テストと言っても、まず今回は、ゆっくりでもいいから、何か話せる、それぐらいでいい。次

は同じことについて、流暢にできるようにしてみましょう、そういったバランスをとって進めることが必要にな

ると思います。全体の総合的な英語力をもちろん、最終的なテストのスコアとして残すのが必要かもしれま

せん。しかし、われわれ教員には、生徒のいろいろな側面が見える。今度は語いが足りないなと、そういう

ところをきめ細かく継続的に記録するのが必要です。継続して記録すると、安定した測定値が得られると

いうことになります。

以上、テスト・評価があることで生徒の動機が高まるわけではないし、習得が進むわけでもない。まして

入試制度を変えるだけで教育が改善されることはない、ということをお話してきました。一つの考え方とし

て一つでも参考にしていただけることがあれば大変うれしく思います。テストの受験を念頭に置いた外国

語の習得には、時間を無駄にしないためにも、あるいは実質の能力をつけるためにも、二つを独立させて

別個に捉えるのではなく、一体化させることは努力目標としてあるべきだと思います。

最後に、蛇足となるかもしれませんが、テストの国際ランキングについて一言お話しさせてください。

TOEFLの結果等で日本人の得点、特にスピーキングやライティングはいつも下のほうです。一方、IELTS

Page 9: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 9

では日本人の得点はそれほど悪くないようです。いずれにせよ、学校教育を受けている国民全員がテスト

を受けているわけではありませんので、これらの得点を元に日本の英語教育の質を判断するようなことを

してはいけません。せいぜい、一つの指標として参考にする程度に留めるべきでしょう。試験に支配される

ようなメンタリティーからは脱却する必要があるでしょう。私たちが主体として、テストや評価を積極的に生

かすという態度で外国語教育に臨みたいものです。

ワークショップ

How Language Assessment Works: Assessing Speaking

ゴードン・アラン ブリティッシュ・カウンシル トレイナー

実践的な言語能力を測定するという点で、スピーキングの評価をする際の留意点について扱いました。コ

ミュニケーション力を評価する基本的な考え方、スピーキングの実施形態や評価スケールの活用などをワ

ークショップを通して紹介しました。

Page 10: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 10

事例報告

スピーキングの授業評価:高校における実践から

松尾 美幸 岩手県立不来方高等学校 指導教諭

今日は主に前任校の福岡高校で実際に行

っていたスピーキング・テストを、今年 4 月に

赴任した不来方高校で、4 月に入学して 2 か

月後の 1 年生に同じものを行ってみて、実際

の生徒の様子と反応についてお話できたらと

思います。

始めに学校の特徴をお話します。昨年まで

は福岡高校に勤務し、今年から不来方高校

に転勤になりました。

○福岡高校…創立 118 年。非常に保守的。生徒たちは従順・受容力が高い。英語で発信することには自

信が乏しく、スピーキングのときに口が重い生徒が多い。

○不来方高校…創立 31年。校訓は「自由・創造・飛翔」。各学年に 7クラス。普通科の中に「芸術」「人文」

「理数」「外国語」「体育」の五つの学系がある。学系によってカリキュラム・生徒の進学希

望・学び方・気質は多様である。

■テスト実施(スピーキングの指導と評価の難しさ)

・スピーキングのテストを実施するとなると、教師側からは次のような課題が挙げられます。

1) 40人×7クラスで一人一人のパフォーマンス・テストにすると、かなり時間がかかる。

2) テストの目的と方法、評価基準の整合性、妥当性、実用性等を満たす評価が難しい。

・生徒の視点から見ますと、次のような困難があります。

1) 度胸がある生徒でも、人前で英語を話すこと、特に即興で話すことには抵抗がある生徒が多い。

2) 1対 1のテストや大勢の前での発表は緊張感のあまり話せなくなる生徒もいる。これは英語の能力以

前の問題。本当の意味で英語の力が測れているかどうかが分かりにくい。

・また、スピーキング・テストそのものが持つ難しさもあります。

1) 「発表」は評価しやすいが、「やり取り」は評価が非常に難しい。インタビューテストでは、多く音場合、

生徒は先生の質問に答えているだけで、実は双方向のやり取りになっていない。

2) パフォーマンス・テストがイベント的にならないよう、授業内で指導したこととテストをどう関連づけるか、

いかにフィードバックをしていくのか。スピーキング・テストを、実施すればするほど、そしてスコアを与

えれば与えるほど自信をなくしてしまい、モチベーションにつながらない場合も多い。1 コマで完結して、

シンプルな評価規準で、生徒が比較的緊張せず、事前に個人練習はできるけれども、本番では即興

Page 11: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 11

的な「やり取り」の要素があって、そして生徒の学習意欲を高めるスピーキング・テストを行うにはどうした

らいいのだろうと考えました。

その結果⇒グループでのスピーキング・テストを福岡高校で始めたところ、意外にも生徒たちがとても楽

しそうに話していて、「この形式のテストだったら楽しいので何度やってもいい」という生徒の感想も多く聞

かれました。そこで、このテスト形式を継承して、不来方高校では初めて実施してみました。

<グループでのスピーキング・テスト(不来方高校)>

① あらかじめ(1週間前には)生徒たちに 10から 12ぐらいのトピックを与えておく

② 当日 40人程の生徒を 3~4人のグループに分ける

③ warm upを 2分間ぐらい与える

④ 1つのセッションが 3分間、長くても 4分間ぐらい

まず、40~41人の生徒を 4~3人のグループに分けて、2~3人(最低でも 2人)の教員が同じ時間に

評価をすることになります。そして、あらかじめ生徒たちには 10から 12ぐらいのトピックを与えておきます。

一つのトピックにつき 3 分間、長くても 4 分間ぐらいとし、実施要項は、1 週間前には生徒たちに配布して

おきます。生徒たちにはそれぞれのトピックについて自分だったら何を言いたいかと各自で考えたり、1 分

間のスピーチを練習したりする期間を保証します。

グループ分けは当日のテスト開始前に行います。班員同士で挨拶した後にウォームアップのチャット時

間を 2分間程度与え、セッション 1に入ります。10~12回のセッション毎に 2名の教員がそれぞれ 1つず

つグループを回って生徒を評価します。トピックはセッション毎に与えますが、トピックリストの順番ではなく

ランダムに与えます。それは、教員が回ってくる前に特定の話題のみで練習してしまうのを回避するため

です。ディスカッションテストと称していますが、まず高校入学後 1 回目ですので、お互いに会話を続ける

ことを目標に、チャットの形で行ってみました。今後、後期に向けて徐々にハードルを上げていきます。

生徒に配布した実施要項(トピックリスト・評価基準)、CAN DO リスト(1年生体育学系)、パフォーマン

ス・テスト計画票(1年生)を資料として付けていますのでご覧ください。※巻末に収録

■子どもたちの実際の反応

事前の準備の段階でトピックを知らされているので一所懸命準備をしている生徒もいれば、全く準備し

なかった生徒もいました。当日にグループ編成すると予告をして、準備できる部分と、やり取りが即興で行

Page 12: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 12

われることの両方への心の準備ができるように配慮しました。

・生徒のテストに関する感想(アンケート)は次のような結果でした。

1) 積極的に参加できたか…体育学系は 100%“Yes”でした。

2) 相手に分かりやすく話す…これも体育学系が一番“Yes”が多かったです。

3) 会話表現、要するに反応するときの Conversational strategyに関わるフレーズや filler(「あの」「ええ

と」など)が使えたか…これも体育学系がすべて“Yes”が多く、逆に能力が高い生徒ほど自身への評

価が厳しくなる傾向から“No”と答えた生徒が見られたのかも知れません。

4) 緊張に関しては大体半々。

5) 楽しかったか…“Yes”が大多数でした。

6) 楽しかった理由…相手を知ることができた。自分の意見が言えた。みんながうなずいて聞いてくれた

から楽しかった・嬉しかったが多数。会話が続けられた。習っていない単語を絞り出そうとしたときが

楽しかった(体育学系)。

7) 力が出せたか…比較的ポジティブなものが多かったです。ある程度自信がついて、自分自身へのハ

ードルを上げ、到達できる体験を数多く積めば、自信の度合いが上がると思います。

8) 英語学習に対する内省…本当に様々な意見がありました。英語学習に関しては外国語と体育学系が

両極と思い、この 2 学系の生徒の回答を上げました。「しっかり意見を言えるようになりたい」「表現の

幅を広げたい」というのはやはりという感じですが、体育学系の生徒の「質問ができるようになりたい」

「単語ではなくて文で会話したい」「もっと語い力をつけたい」「文法が学びたい」回答は新鮮な驚きで

した。

9) 感想…芸術学系の生徒は「初めて英語を話すことが楽しいと思えた」と答えました。外国語学系の生

徒は「テーマを今度自分たちで考えてみたい」という前向きな提案をしています。

Page 13: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 13

■授業中にどのようなことをしたらいいのか

テストを単なるイベントに終わらせないために、授業中にどのような指導を行ったかと言いますと、まず

ウォームアップで思い切り英語を話させることです。簡単な「やり取り」の活動の中で、質問を作る練習等

も兼ねて段階的にハードルを上げていきます。その中に既習文法のターゲットなどを組み込むことで、自

然に表現が定着していき、使えているという実感を生徒たちが得られると思います。

それから、実際の会話の方略をきちんと導入の知識として与えて、練習の場を保障します。プリントの

中に定番の表現をビンゴ形式で入れ、授業中にできるだけ多くの種類の表現を使うことを促します。

“Absolutely!“や“Ddefinitely!“など、自分の口癖を作ろうと励ましたりもしました。

また、聞いたり読んだりした内容のリテリングから徐々に自由度の高いスピーキングへと活動のタスク

シークエンスを段階的につないでいきます。初めは正確さより流暢さを促します。それから徐々に正確さ

や適切さが高められるように調整していきます。

初期段階では特に、内容を大事にしました。英語は上手に話せないけれども、話したいこと、伝えたい

気持ちがあれば、教室の中には居場所がある。意見を持って伝えることで誰もがグループやクラスに貢献

できる、という意識が持てるような授業を普段から作っていく必要があると感じています。

フィードバックは、テスト後に与えるだけのものではなく、生徒たちが次の努力目標を持てるよう次の成

長につなげる意識を持って与えることが大事です。また、簡単なチャットから、徐々に論理的な課題解決

型のディスカッションへとレベルアップをしていくことによって生徒たちが Can do リストを自分たちでクリア

しているという実感を持てたらいいと思っています。

■取組の成果

一番の成果は教員集団がCan doを共有できることだと思います。こういう形でアセスメントをしていく上

では、物理的に一人では絶対に無理なので、まず Can do形式の到達目標と評価規準・基準をしっかりと

共有すること。それができるようになると、目標・授業・評価の一体化がなされ、授業改善につながるので

す。

Page 14: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 14

そして、生徒たちが次の目標に向けて具体的に学習方法を見直し始めるので、主体的な学びにつなが

ります。表現したいことがあるから必要なツールとして英語を学びたい、となる。それを意識して学び始め

ることで、生徒達たちが自律した学習者になってくれることを期待しています。

■今後の課題

スピーキング活動のトピックに沿った語い、語法等をいかに定着させていくということが大事になってい

くでしょう。これからスピーキングタスクの難易度が上がったとしても、自信を失わずに、学習意欲を維持し

ていくのにはどうしたらいいのか。そして様々な授業内言語活動を行っていく中で、生徒たちにとってはそ

の演習、練習をしっかりとできるという、授業と連動した家庭学習課題の量と質を保証しなければならない

と思います。

次期学習指導要領では 4 技能がしっかりとリンクされた内容になっているため、「やり取り」と「発表」を

分けるのではなく、やり取りした内容をまとめて発表する、発表したことについて意見をやり取りする、とい

う領域の統合を大切にしながら言語活動を組み立てて教えていく必要があると思っています。

「やり取り」の評価は、本当の「やり取り」の中でしか生徒たちは練習できないし学べないということ、そし

て What と Howの両方が必要だということ、そして Can do リストをしっかりと使うということ、これが学び

の質の保証になります。そしてパフォーマンス評価は一人では決してできませんので、教員はチームとし

て働く必要があります。このようなスピーキング・テストの実施は、授業改善に向けてプラスの波及効果が

あり、生徒の側そして教員の側双方にメリットがあると実感しています。

Page 15: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 15

2018年度 第 1学年 前期中間考査 英語実技試験実施要項

1 目 的 通常の英語の授業で培ったコミュニケーションスキルが、どの程度伸びているかを

測るためのパフォーマンステストです。

特に、今回は、スピーキング(表現・やりとり)の力のうち、「やりとり」に重き

を置いて、伸長を測る機会とします。

2 実施日程 平成 30年 6月 6日(水)か 7日(木)のいずれか 校時は追って連絡する。

(欠席者については後日、同様の試験の場を設定し実施する)

3 実施方法

(1) 各クラスの人数に応じて3~4名のグループに分かれる。

(グループ編成は、各授業担当者の指示に従うこと。)

(2) 必要ならば、MCもしくは First Speakerをローテーションで決めても良い。

(3) 以下のいずれかの話題について、3分間グループで自由にディスカッションをする。

e.g.) 1年7組 41名 4名×8グループ + 3名×3グループ 計11グループ

1) Warm-up 練習:自己紹介&フリートーキング 3分

2) 第 1ラウンド テーマ③について全グループが 3分間話し合う

(T1はG1を T2は G6を観察評価)

3) 第2ラウンド テーマ⑥について全グループが 3分間 話し合う

(T1はG2を T2は G7を観察評価)

4) 以下、11ラウンドまで続く。 そのラウンドのトピックは教員が提示する。

*トピック ① What is great about your home town? (あなたの町のよいところ?)

② Where would you like to go on vacation? (休暇で行きたいところは?)

③ What are you interested in most? (今、1番興味のあることは何?)

④ Explain about the food you can’t live without. (無くては生きていけない程、大好きな食べ

物)

⑤ What do you like to eat for lunch? (あなたの好きなランチメニューは?)

⑥ What kind of music do you like the best?(どんな音楽が好き?)

⑦ Talk about your favorite sports or hobbies. (好きなスポーツや趣味は?)

⑧ What is your goal at Kozukata? What do you want to do here? (不来方での目標は何?)

⑨ To get healthy, should people exercise more or sleep more? (健康のためには、運動を増や

すのと睡眠を増やすの、どちらをすべき?)

⑩ Do you think studying English is important? Why? (英語の勉強は大切?どうしてそう思

う?)

⑪ What book are you reading during the Morning Reading Time? (朝読書でどんな本読んでる

の?)

⑫ Who is the person you respect? Why? (あなたの尊敬する人は誰?理由は?) (4) 教科担当者が1つずつグループを回り、次の観点で、個人の観察評価を行う。

Page 16: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 16

4 評価の観点

たくさんあるスピーキングの評価の観点の中から、今回は次の 3点に絞って点数化します。

「正確さ」は今回の評価には加味しませんので、文法的な誤りについては心配せずに話してくだ

さい。

(1) 内容(テーマ・話し合いの流れに沿った発言内容)

テーマに即した内容について、自分自身の考えや意見についてわかりやすく話してい

る。

テーマに即した内容について、流れに沿った発言をして話し合いに参加している。 B

テーマに即して話そうとしているが、内容がやや不明瞭である。 C

(2) コミュニケーションへの意欲(意欲的な発言・英語を使おうとする姿勢)

積極的に発言し、話し合いに参加しようとしている。英語のみでやりとりしようとし

ている。

話し合いに参加し、時々言いよどむが、英語でやりとりしようと努めている。 B

話し合いに参加する意欲があまり見られず、英語での発言が少ない。 C

(3) Turn Taking(バランスの取れた発言と他者の意見を聴く姿勢)

他者の意見に耳を傾けたり、既習の会話表現を積極的に用いて反応したり質問したり

することで、グループ内の会話の継続に努めている。

他者の意見にもよく耳を傾けながら、それについて自分の意見を述べようと努めてい

る。

積極性には欠けるが、時々発言したり、他者の意見を聞いたりしている様子が見られ

る。

5 その他

(1) このパフォーマンステストの結果は点数化し、コミュニケーション英語Ⅰの評点に加味し

ます。

(2) 前もって、各自で話したい内容をまとめてスピーキング練習をしていてもかまいません。

ただし、グループ編成は当日決まりますので、台本を作ってそれを暗記して臨むことはでき

ません。

大切なのは、相手との自然なやりとりです。当日は原稿を見ながらの発言はできません。

(3) 座席順に自分の順番が回ってくるのを待っていなくてもかまいません。

(4) 「聞き返し」 (“Please say that again.” “Do you mean…?” など) や「言い換え」「話題

の転換」など、さまざまな「会話の継続のテクニック」表現を駆使してみましょう。

(5) 「テスト」と称していますが、減点法で評価する目的ではなく、「できるようになったこと

を確認する」ために実施するものです。過度に緊張せずに、友人との対話を楽しむつもりで

取り組んでください。

Page 17: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 17

Page 18: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 18

Page 19: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 19

パネルディスカッション

スピーキングの指導と評価-今後に向けて

松尾 美幸 指導教諭

ゴードン・アラン

ロビン・スキプシー(ブリティッシュ・カウンシル アカデミックマネージャー)

■「評価」に注目したきっかけ

ロビン:始めに、「評価」に興味を持ったきっか

けをお話しいただけますか。

松尾:難しいテーマなので本当はなるべく避

けたい話題ですし、私は専門ではありません

ので不安もあります。 けれども、「評価」は単

に生徒の成績をつけるためだけのものではな

く、生徒が言語の学習者であるだけでなく、言

語の使用者として成長するために、学習の方

向やヒントを与えるという意味で非常に重要

なものだと思います。

ロビン:渡部先生の講演で、生徒が試験をコントロールしていると感じているか、試験にコントロールされ

ていると感じているか、というお話がありましたが、松尾先生の学校では、生徒たちがとても積極的に試験

に参加しているように見えました。

ゴードン:私の場合、全国の先生方に教員研修を行う中で、例えば、スピーキングのアクティビティを紹介

すると、「これをどう評価すればいいのか」と頻繁に質問されます。また、アクティビティについて、「これは

試験に入っていないから生徒達が学ぶ必要はない」と言うのもよく聞きます。そこから、試験には何が含ま

れているのか、「評価」する目的は何なのかを学びたくなったのです。

ロビン:松尾先生、先生の生徒達はスピーキング・テストに意欲的な様子でしたが、これまでのご経験から、

一般的に高校生は英語を話すことに対してどう思っているとお考えですか。

松尾:生徒達に、英語 4技能のうちどれを一番上達させたいかと聞くと、ほとんどが「スピーキング」と答え

ます。英語が話せるとカッコいいですからね。4 技能試験が導入されることになり、これからは生徒たちに

一定レベルのスピーキング力が求められますから、普段の授業においても適切なスピーキング活動や公

正な評価が必要になります。

ロビン:生徒たちが話せるようになりたいと考えているのはいくつかの研究でも示されていますが、実際に

生徒に英語で話すことについてどう思うか聞くと、「好きではない」と答える生徒が多いのはどうしてだと思

われますか。

Page 20: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 20

松尾:生徒たちは日本語でも発言や議論をする経験があまりありませんし、目立つのを嫌がります。福岡

高校での最初の授業で、生徒たちに「文法が分からないから話せない」と言われたショックを今でも覚えて

います。生徒たちが話した内容を高く評価するようにしたら、だんだんと英語で話すようになりました。内容

が最優先です。

ゴードン:今日のセッションでは、「スピーキング」にも様々な種類があるということを実感していただいたと

思います。ですから様々な「スピーキング」がある中で、生徒が何を前提にしているかを理解する必要が

あります。松尾先生が生徒たちの「スピーキングは正しい文法が重要」というとらえ方を「内容が重要」に

変えたことで、彼らの態度を一変させたのはとても重要な点だと思います。

ロビン:ライティングでも同じようなことが言えますね。文章の間違いばかりを指摘すると、生徒たちはどん

どん書かなくなっていきます。内容に対してフィードバックを返せば、生徒たちはより書くようになります。

■会場との Q&A

Q:IELTSの評価基準を拝見しました。IELTSの方は言語能力をかなり見ているようなのに対して、松尾先

生の方は意欲だったり、内容だったりを重視し、大分違う印象を受けたのですが、どのように考えればよ

いのでしょうか。

松尾:まず 1 回目の試験ですから、ハードルを高くせずに、どこまでできるようになったかを確認するテス

ト、と生徒たちには言っています。外部試験の Can do list ではなく、学校独自のもの、生徒に授業したも

のが目標になります

ロビン:ひとつ重要なことは、IELTS も内容に対する評価基準があり、回答は与えられたトピックに沿って

いる必要があります。もうひとつ、最も重要な点として、IELTS の語いと文法に関する評価は、正確性だけ

でなく種類(の多さ)も対象になるということです。

ゴードン:IELTS に「やり取り」を評価する記載が無いのは IELTS のスピーキングはインタビューだからで

す。インタビューはスピーキング・テストでよく使われますが、「やり取り」の力を測ることはできません。

ロビン:IELTS はパフォーマンス評価ですが、学校では必ずしも常に同様のテストが適しているとは限りま

せん。渡部先生の U 字学習曲線のお話にもありましたが、学習者は段階を踏んで学んでいくので、知識

が正確でない段階でも進歩している感覚を持てるようにすることが望ましいでしょう。

松尾:ひとつ付け加えさせていただくと、試験

官である学校の先生方としても、その場で評

価ができるためのトレーニングも評価基準に

ついての共通認識もあまり細かくできていな

い状況で、1 回やってみたというところもあり、

きちんとした語学試験に比べると細かい評価

基準にはなっていません。けれども、私たちに

とってもストレスなく、生徒たちにフェアな、お

互い納得いく形を相談してこの形になりまし

た。

Page 21: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 21

Q:準備の段階について、高校生活が始まって 2か月で、これだけの内容を英語の授業の中で準備できる

のでしょうか。後、このようなグループディスカッションは準備の仕方はどのようにされているのか。一人で

しゃべるというわけにはいけないので、「テストまでに練習をするため先生の方に来ていいよ」と言っている

のか、どんな準備を提案しているでしょうか。

松尾:授業で話をするということにこの 2 か月間で十分に慣れてきているので、子どもたちにとっては新し

い課題ではないんですね。普段の授業の中でやっていたものをつないだテストで力が測れるようになる。

できるだけそういう持って行き方をしました。

Q:ブリティッシュ・カウンシルのトレイナーの方々は、授業以外の IELTSなどのスピーキング・テストにはど

のように準備すればよいとお考えですか。

ロビン:インタビュー形式のテストで私自身も経験があって、生徒にも勧めるのは、頭の中でトピックについ

て考え、何を言うか想像してみる方法です。うまく言葉が出ない事柄があれば辞書で調べます。生徒たち

には、例えば、「リストにあるトピックについて他の生徒が質問しそうなことを想像して、それに対する自分

の答えを考えてみましょう」と説明してもいいですね。もし静かな場所で一人になれるなら、会話を声に出

して練習するのもとても効果的です。

ゴードン:忘れてはいけないのは、例えば

IELTS のインタビューテストが目標だったとし

ても、常にその練習だけをする訳ではなく、会

話の練習や新しい語いを学んだり、間違いか

ら学んだりする、様々な段階を踏んで学習す

るということです。テスト準備の具体的なこと

で言えば、まずそのテストを受けてみて、生徒

たちの課題を理解することだと思います。たと

えば、このトピックについて話すためには語い

が足りないのだな、と分かれば、何をしなけれ

ばならないかが明確になります。

ロビン:テスト前にできることとしてもうひとつ、テストの形式を実演し、評価基準と合わせて良い例、悪い

例、平均的な例を生徒に見せると、生徒たちは自分がテストを受ける際のかなりはっきりとしたイメージを

持つことができます。

ゴードン:今日のワークショップと同じような活動を生徒としてみると良いと思います。具体的に何を、どの

ようにテストされるのかが理解できるので、学習目標も具体的になります。

Q:松尾先生に 3つ質問です。1つ目は、パフォーマンス・テストの全体的な評価の割合、2つ目は、ルーブ

リックの評価基準と点数の割合と、そこに至るプロセス、最後に、教員の評価のスキルアップについて、教

えてください。

松尾:初めてなのであまり辛くつけないように、T1と T2を照らし合わせて教員で話し合いました。25点満

Page 22: テストが到達目標と指導に与える影響...セミナーレポート テストが到達目標と指導に与える影響 スピーキング試験と指導の有機的な連動をめざして

www.britishcouncil.or.jp 22

点で各クラスとも大体 20 点ぐらいでした。全体の評価の中でのペーパーテストの割合を 55%に圧縮し、

パフォーマンス・テストは 15%です。その他、ポートフォリオ、ライティング、レポートを全部評価して、最後

に総点をつけるシステムです。

ルーブリックのほうは、今回平均点が高く出てしまったので、Can do リストを年間の指導計画と合わせ

て調整しなければならないところにきています。今までは評価の見直しは年に 1 回で、Can do や目標は

変えるべきものじゃないという思いがありました。けれども、Can do リストや学習到達目標は生徒の変化

と共に変わるので、気づいた段階で調整しないといけないです。

教員の評価のスキルアップについては、生徒の幸せのために頑張りたいと思わない教員はいませんし、

自分の授業を良くしたいと思わない教員もいませんので、自分の授業を良くしてかつ生徒たちが伸びるた

めの共通理念・共通項を掘り下げていくと、必要なものにたどり着きます。教員の経験値が足りない部分

もありますが、教員が生徒たちをここまで到達させたいという思いと、生徒たち自身がここまでできるように

なりたい、というところをきちんと共有できる教室を作る覚悟を組織の中に作れるかどうかだと思います。

「できる」という場を与え、それに見合った評価をする、チームワークも合わせて大事になると思います。

ロビン:3 つ目の質問、生徒のスピーキングを評価するための教員のスキルアップについて、2 つできるこ

とがあると思います。ひとつは、英語教員全員で質問を確認し、お互いに回答してみることで、生徒の実

際の回答を予想し、質問が現実的かどうかを検証できます。もうひとつは、生徒の良い回答、悪い回答、

平均的な回答を一緒に考えてみることで、教員全員が何を目標とするのか大体の共通認識を持てます。

もし可能なら、生徒の回答を録画して、具台的にどう評価するかを話し合う方法もあります。いずれもある

程度時間を割く必要がありますが、その価値があると思います。

ゴードン:生徒の回答を録画、あるいは録音して、評価基準と照らし合わせながら、どのように評価するか、

なぜその評価になるかを話し合う場合、「なぜ」の部分がとても大切です。評価の理由が理解されれば、

全員で同じように評価する助けになります。評価の訓練を十分受けた者同士でも完全に一致することはあ

りませんので、完璧にはならないのは承知しておいてください。でも、こうした評価の確認を定期的に行う

ことで、各教員による評価が近づいてきます。また、評価に対する理解が共有されれば、各教員が授業を

行う際も同じ目標を持って指導することができます。