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知的生産性研究委員会報告書

(平成20年度)

平成21年3月

国土交通省

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目 次

1 はじめに ............................................................ 1

2 部会等報告

2.1 基礎研究部会の活動報告 ......................................... 3

2.2 環境・設備部会の活動報告 ........................................ 9

2.3 建築空間部会の活動報告 ......................................... 15

2.4 経済性評価と格付部会の活動報告の活動報告 ....................... 21

2.5 応用部会の活動報告 ............................................. 29

2.5.1 SAP小委員会の活動報告 .................................. 31

2.5.2 学習環境小委員会の活動報告 ................................ 37

2.5.3 CASBEE対応小委員会の活動報告 .............................. 43

2.5.4 医療環境小委員会の活動報告 ................................ 45

2.5.5 フリーアドレスオフィス調査小委員会の活動報告 ............... 49

2.6 普及推進委員会の活動報告 ....................................... 51

3 まとめ .............................................................. 53

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1.はじめに

知的生産性研究委員会に並立して民間共同によるコンソーシアムが平成 19 年度に設立され、

研究活動は、委員会・コンソーシアム構成で進められている。委員会・コンソーシアムの下には

合同幹事会が置かれ、5つの部会と付随するWG及び小委員会、開発企画委員会・普及促進委

員会という構成で研究が進められてきた(図 1)。委員会では「建築空間と知的活動の階層モデ

ル」という共通の概念モデル(図 2)をベースに活発な活動が行われてきた。

1.1 各部会の活動概要

(1)基礎研究部会

知的生産性評価のための P-tool, T-tool 等の現状の方法やツールを収集し、精査・整理して、

標準的な手法の検討を行った。また、これらの評価手法を用い、オフィスビル及び研究所にお

ける実測事例を収集した。併せて、知的生産性研究委員会にて提案されている「建築空間と知

的活動の階層モデル」を基に、基礎研究部会で収集した知的生産性評価手法の位置づけを明確

にするための作業を行った。

(2)環境・設備部会

知的生産性の調査研究論文資料をデータベースとして整理した。また先駆的施設を設備的視

点から環境要素マップとして概要をまとめた。また、人の生理や行動を把握・分析する手法を

16 の指標としてまとめ、SAP 小委員会と連携し主観調査票の WEB 化と一般公開の検討を行った。

さらに、不満の解消とよりポジティブな価値をもつ建築空間を目指して建築・設備計画がど

うあるべきかを環境要素マップにて検討し、知的活動と環境性能の様々な因果関係を多数の影

響パスからなる知的活動と環境性能の因果ネットワーク図の作成を行った。

(3)建築空間部会

知的生産性を向上させる建築空間を明らかにするために、ワークプレイス空間と人間行動の

2面を研究している。前者の建築空間の研究では、知的生産性の向上に資する国内外の先進的

事例を調査し結果を行列形式の「プロジェクトマトリックス」にまとめてデータベース化して

いる。後者の人間行動の研究では、国内の先導的企業のワーカーが現状どのような働き方をし

ているか、「いつ、どこで、誰と、働いているか」の大綱を把握するために、当委員会の協力

企業 20 社、のべ約 1,000 人を対象とするアンケート調査を行って分析している。

(4)経済性評価と格付部会

知的生産性の評価の考え方を、個人(作業効率、知識創造)、グループ、組織として整理し、

現行の CASBEE の評価項目を基軸として、知的生産性評価体系の原案を作成した。

CASBEE 評価における Q1 室内環境の評価と知的生産性(作業効率)の相関分析を既存研究とア

ンケート調査により行い、CASBEE 評価を用いた知的生産性(作業効率)の予測手法を提案した。

また、室内空気質についてはより厳密な環境計測と被験者による主観調査を行い、室内環境評

価と作業効率の相関の調査・分析を行い、知的生産性の経済評価の試行を行った。

1

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国土交通省 に設置委員長 :村上周三 建築研究所理事長

IBEC に設置委員長 :村上周三 建築研究所理事長委員 :部会主査から1名(未定)

民間から数名(未定)

④④ 開発企画委員開発企画委員

⑤⑤ 普及推進委員普及推進委員

連携

⑯⑯ 経済性評価経済性評価と格付部会と格付部会

②② 知的生産性研究知的生産性研究 コンソーシアムコンソーシアム

⑧⑧ 環境環境・設備部・設備部

(委員長 :村上周三 建築研究所理事長)

⑥⑥ 基礎研究部基礎研究部

①① 知的生産性研究委員会知的生産性研究委員会

③③ 合同幹事合同幹事

⑰⑰ 応用部応用部

⑫⑫ 建築空間部建築空間部

(委員長 :坊垣和明 武蔵工業大学教授)

(部会長 :田辺新一 早稲田大学創造理工学部教授)

(部会長 :川瀬貴晴 千葉大学大学院教授)

(部会長 :宗本順三 京都大学大学院教授)

(部会長 :伊香賀俊治 慶応義塾大学理工学部教授)

(部会長 :坊垣和明 武蔵工業大学教授)

((20082008年度)年度)

⑦光・視環境基礎⑦光・視環境基礎WGWG

⑨熱・空気⑨熱・空気WGWG⑩⑩光・視環境光・視環境WGWG⑪⑪音・空間・音・空間・ITCITC環境環境WGWG

⑬計画要件⑬計画要件WGWG⑭⑭主体研究主体研究WGWG⑮⑮海外調査海外調査WGWG

⑱SAP小委員会⑱SAP小委員会⑲学習環境小委員会⑲学習環境小委員会⑳⑳CASBEECASBEE対応小委員会対応小委員会[21][21]医療環境小委員会医療環境小委員会[22][22]フリーアドレスオフィス調査小委員会フリーアドレスオフィス調査小委員会

図 1.1 知的生産性研究活動組織構成

(5)応用部会

SAP小委員会、学習環境小委員会、CASBEE対応小委員会、医療環境小委員会、フリ

ーアドレスオフィス調査小委員会、がそれぞれのテーマとスケジュールに沿って活動を行って

いる。

図 1.2 建築空間と知的活動の階層モデル

Bc 人の行動人の行動

・P3 快適環境(心理・生理・物理)

・P4 健康環境(内装材料等)

・P5 空間品質(広さ・インテリア・家具・IT等)

・P6 生活の質(レクリエーション他)

RbRb 知的価値向上評価知的価値向上評価((作業効率・生理心理作業効率・生理心理 等等))

第2階層

知識情報の調査探索、加工処理

知的価値向上

RaRa 労働環境/作業効率評価労働環境/作業効率評価

R1 欠勤率・健康管理コスト・達成された仕事量・ミスの数等の評価

R2 尺度は粗いが測定は容易.部分的に現行ツールに組み込まれている

知識情報の定型処理・事務処理

情報処理

知識創造価値創造、イノベーション

第3階層

・P9 リラックスする空間と環境

・P8 コミュニケーションできる空間と環境

(フォーマル)(インフォーマル)

モードが変化

経路・結節点等を通じて

・P7 集中できる空間と環境

第1階層

・B1 ルーチンワーク・B2 定例報告 等

知的生産性の評価・格付け(CASBEEによる)

空間/環境・設備の計画人の意識・行動・体験

・B3 資料調査・B4 資料作成・B5 自席で集中 等

環境整備

環境整備

場の活性化

場の活性化

・B6 ブレーン・ストーミング・B7 意見交換・B8 インスパイア 等

・B9 ぶらぶら歩く・B10 外を眺める・B11 沈思黙考・B12 談笑 等・B13 発想異なる

人と雑談・B14 スケッチ

知識処理

・P1 労働環境(熱・空気・光)

・P2 衛生環境(環境計測・清掃)

RcRc 知的価値創造評価知的価値創造評価

R5 空間や環境が場の活性化や知識創造に与える影響を評価

R6 測定方法は未確立.将来の課題

R3 作業効率・生理心理に与える影響を定量評価.経済性評価も目標

R4 測定方法はやや複雑.現在研究進行中

B P R(Behavior) (Planning) (Rating)

・P10 リフレッシュする空間と環境

Ba

Bb

Pc 知識創造を刺激する知識創造を刺激する

空間と環境空間と環境

Pb 現状のパラダイムの下現状のパラダイムの下での空間での空間//環境の質の向上環境の質の向上

Pa 現状のパラダイムの下現状のパラダイムの下

での環境維持での環境維持

2

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2.1 基礎研究部会の活動報告

2.1.1 基礎研究部会の目的と活動方針

(1)部会の目的

知的生産性の向上のためには空気環境や温熱環境などの物理的環境に対する十分な配慮が重

要である。本部会は、主として環境・設備により作り出された物理環境が知的生産性に及ぼす

影響を生理・心理的な側面から評価する方法に関して検討を行う。知的生産性を高める環境・

設備計画のあり方に関して、客観的な検証を行う。

(2)研究内容

1) 環境要素と知的生産性の関係に関する学術データの整理

2) 知的生産性の客観的評価手法の開発

3) 実験及びオフィスビル・学校における客観的調査例の収集

(3)方法

1) 平成 19 年度は、環境要素と知的生産性の関係に関する学術データの整理を行い、国内外

の研究動向についてまとめた。ISO_TC205 (Building Environmental Design)と連携する

ことにより、省エネルギーかつ知的生産に適した環境設計を実現するための国際規格に関

し、基礎的情報を収集した。室内環境質が知的生産性に与える影響の評価手法のうち、客

観的評価手法について整理を行った。

2) 平成 20 年度は、知的生産性評価の現状の方法やツールを収集し、精査・整理して、標準

的な方法を示す。

3) 検討を行った評価手法を用い、オフィスビル等における実測事例を収集する。

(4)アウトカム

1) これまでの学術研究の体系的な整理

2) 客観的評価手法の標準化

3) 調査例の収集とデータベース化

2.1.2 研究内容の概要

2.1.2.1 調査方法の標準化

(1)はじめに

平成 19 年度は、環境要素と知的生産性の関係に関する学術データの整理を行い、国内外の研

究動向についてまとめた。また、室内環境質が知的生産性に与える影響の評価手法のうち、客

観的評価手法について整理を行った。平成 20 年度は、知的生産性評価の現状の方法やツールを

収集し、精査・整理して、標準的な方法を示すことを目的とした。検討を行った評価手法を用

い、オフィスビル等における実測事例を収集する。

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(2)「建築空間と知的活動の階層モデル」と知的生産性評価手法の対応

平成 19 年度の調査で、室内環境質が知的生産性に与える影響を評価するためには、知的活動

の成果自体を定量化するだけでなく、人間の生理・心理反応といった人体反応を併せて評価す

る必要があることを示した。平成 20 年度は、さらに研究事例を収集し、室内環境質と知的生産

性との関係について議論を行った。知的生産性研究委員会にて提案されている「建築空間と知

的活動の階層モデル」を基に、基礎研究部会で収集した知的生産性評価手法の位置づけを明確

にするための作業を行った。図 2.1.1 に室内環境質と知的生産性の関係の概念図を示す。「建

築空間と知的活動の階層モデル」では、知的活動を、第1階層「情報処理」、第 2 階層「知識

処理」、第 3 階層「知識創造」の 3 階層に分類している。これらの知的活動に、人間の人体反

応(生理・心理反応)が影響を与えると考えた。また、ワークスケールを、個人・グループ・

組織の 3 段階に区分し、個人の知的活動に対し、グループ、組織の位置づけを明らかとした。

①室内環境質の物理的測定、②人体反応測定(生理・心理反応)、③知的活動の測定、④グル

ープの活動の定量化、⑤組織の知的生産性指標の5つについて、定量評価が考えられる。

グループ ・コミュニケーション

・知識の共有

・行動(在席率、会話等)

個人

生理・心理反応

疲労

覚醒

モチベーション

メンタルワークロード

満足度

快適性

知的活動

第 1階層「情報処理」

・欠勤率

第 2階層「知識処理」

・作業効率

第 3階層「知識創造」

・創造性

・閃き

組織

知的生産性=アウトプット /インプット

・アウトプットの定量評価は、組織の経営目標や方針による。

・定量可能な例(財務上の利益、離職率の低下、特許数等) ①

② ③

室内環境質

・温熱環境

・空気環境

・光・視環境

・音環境

・建築空間

安全性・健康性の確保

→第 1階層

快適性・満足度の向上

→第 2階層

知識創造活性の工夫

→第 3階層

図 2.1.1 室内環境質と知的生産性の関係

(3)定量化の目的と評価手法

室内環境質に関して知的生産性評価を行う目的は、大きく次の 3種類に分けられる。

第一の目的は、室内環境質と知的生産性との関連性を解明することである。精度よく評価す

るために、室内環境の質を制御する為、主に実験室実験で行われる事が多い。また、環境条件

を変化させたオフィスにおける現場実測によって評価が行われる場合もある。室内環境の物理

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量、人体反応特性を調べるための生理・心理反応、知的活動のパフォーマンス評価が行われる

が、目的がメカニズムを解明することであるため、比較的詳細な測定が求められる。第二の目

的は、個別のオフィスの実態を把握し、問題点を明らかにして改善策を提示することである。

第三の目的は、多くのオフィスのデータを集めることで、現状のオフィス実態のデータベース

を作成し、その中で、該当オフィスがどのレベルに位置づけられるのかといった、格付けを行

うことである。

表 2.1.1 に、知的生産性評価の目的別に分類した評価項目を示す。前項で示した定量評価項

目に基づき、収集した知的生産性評価手法を整理した。評価の目的によって、必要となる評価

の内容や詳細さが異なる。

表 2.1.1 目的別知的生産性評価項目

評価目的 室内環境質と知的生産性の関係の解明

個別オフィスの実態把握

多数オフィスのデータ収集による実態把握と格付け

評価方法 実験室実験 オフィス現場実測 (条件介入有)

オフィス現場実測

①室内環境質の物理的測定 (温熱、空気、光、音、空間等)

執務者周りの代表性のある点における測定

建築空間の代表性のある点

心理量 快適性、満足度、不定愁訴、疲労、睡眠時間等

SAP

生理量 脳内酸素代謝 指尖脈波 フリッカー値 心電図測定(HF/LF解析)

- -

②人体反応測定

行動 着衣量 活動量

着衣量 活動量 在席率 欠勤率

○同左

③知的活動の測定 オフィス模擬作業 認知心理学的作業 (P-tool, T-tool等)

現場における定量化可能なデータ (コールセンターにおけるコールデータ等)

知的活動の自己評価(SAPによる主観申告)

④グループ活動の定量化 - 行動パターン コミュニケーション 会話 動線 活動にあわせた空間選択

⑤組織の知的生産性指標 - 財務上利益 離職率 特許数 経営者の主観評価

○同左

詳細簡易

簡易 詳細

簡易 詳細

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実験室実験での知的活動の評価には、作業効率を測定する為の作業を課す。具体的には、テ

キストタイピングや校正作業、計算作業などのオフィス作業を模擬し、その要素作業となるタ

スクを課す場合(オフィス模擬作業)と、反射応答や短期記憶、画像認識などの認知心理的なタ

スクを課す場合(認知心理的作業)とがある。また、オフィスで必要とされる人間の能力分類

に合わせて、評価ツールを作成する例もある。一般的には、オフィス模擬作業は、室内環境質

がオフィス作業に与える影響を見ようとする研究、認知心理的作業は、各室内環境要素が精神

作業にどのように影響をしているかのメカニズムを知るための研究に用いられている。併用さ

れる場合もある。実例として、デンマーク工科大学の RPM、早稲田大学の T-tool(タスクツー

ル)と P-tool(パフォーマンス評価ツール)、Thorne らの Walter Reed Performance Assessment

Battery、京都大学の CPTOP について情報を収集し、標準化の為の議論を行った。

現場実測では、現実のオフィス等の環境状況や作業内容に即した評価がしやすいが、一方で、

通常業務は定量化が難しいという課題もある。定量化するための工夫としては、もともとパフ

ォーマンスデータの定量化が可能な業務内容を選び測定する方法(例:コールセンターなど)、

被験者実験で用いる評価ツールを実測の場でも用いる方法、がある。現場実測では、通常の業

務を妨げないこと、簡易な測定方法であること、作業者の協力を得られる手法であることが重

要になる。特に、オフィスの事例を多く集める場合には、SAP 等で主観による自己評価を行う場

合が多い。

2.1.2.2 光・視環境基礎 WG

光・視環境基礎 WG を設置し、光・視環境における知的生産性の評価方法について議論した。

光・視環境に関しては、視対象物が視認できれば作業は可能であり、作業効率もほぼ変わらな

い。しかし、劣悪な光環境でも作業効率が低下しないからと言って、光環境の質を軽視できる

訳ではない。生産性を左右する程の影響がある訳ではないが、快適に作業を続けるために、光

環境は重要な要素となる。他の環境要素のように、作業効率を直接測定しても、光・視環境が

知的生産性に与える影響は明らかにならないであろうという結論に至った。そこで、これまで

の研究成果から、危険のない安全な環境を作るために重要な要素や基準を明示することがまず

は必要と考え、光環境の良悪を決定する「視認性」「不快でないこと」「雰囲気」の三要素に

関する国内外の学術資料の収集および整理を行った。

2.1.2.3 調査事例の収集

(1)N 社

創造的活動を主体とするオフィスの執務環境評価として N 社の実測事例を示す。本施設は、

環境への配慮と、知識創造促進の両立を目指して設計された。実測により、執務環境の物理量

環境と執務者申告による知的生産性の関係について調査した。加圧式床吹出空調、窓廻り簡易

エアバリアシステム、昼光制御、外気冷房、CO2 制御、クール・ヒートトレンチによる外気導入

などの設備を有する。知識創造のためのオフィスづくりにあたり、「SECI モデル」の考え方を

基に、それぞれの知識創造プロセスに対応した空間を配置した。

測定項目は、1) 環境測定、2) 執務者行動調査、3) 執務者申告調査、4) 知識創造性に関す

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る定量的トライアル評価である。環境測定では、空間ごとに複数点で詳細な実測を行った。ま

た、定点連続測定のほか、定時移動測定も行った。行動調査としては、温度センサによる自席

着席時間計測、在室人数、加速度計を用いた活動量調査について紹介があった。対象オフィス

では、自席、滞在、歩行時間の割合は、5:4:1 であり、自席周りだけでなく、その他の空間の環

境についても考えていく必要性が述べられた。執務者申告調査のうち、不満申告から、執務室、

集中個室、オープンスペース等の空間特性によって、執務者が求めている環境が異なることが

示された。また、多様な空間を持つという空間構成への満足度と主観作業能力向上割合は正の

相関が認められた。

(2)T 技術研究所

T 社の技術研究所にて、在室研究員 19 名を対象として夏季クールビズ対応時の室内光環境及

び温熱環境を測定すると同時に室内環境に関する主観評価を実施した。室内の温湿度分布、照

度分布および気流等の測定を行った。主観評価は室内光環境及び室内温熱環境については 7 段

階評価を実施するとともに、ワークプレースプロダクティビティに関するアンケート調査(SAP)

を用いて評価した。主観評価のアンケート調査は、午後(13 時から 17 時)に自席にいる研究員

を対象とし、一日一回実施し回収した。主観評価結果から光環境について、「やや不快」であ

ると申告した人数が比較的多かった。SAP の結果から「やや暗い」に対する申告者が約 60%と

多く、温度環境についても室温が比較的高く、SAP の結果が「やや暑い」に対する申告者が約

50%と多かった。

2.1.3 今後の課題と活動方針

(1)環境要素と知的生産性の関係に関する学術データの整理

環境要素と知的生産性の関係に関する学術データを引き続き収集する。室内環境要素が知的

生産性に影響を与える際のメカニズムに関し知見を得る。

(2)知的生産性の客観的評価手法の開発

現場実測等で簡易に評価可能な客観的手法を提案する。

(3)実験またはオフィスビル等における客観的調査例の収集

客観的評価手法を用い可能であれば実験またはオフィスビル等における実測例を収集する。

2.1.4 平成 20 年度の開催状況

1)第 1 回 平成 20 年 4 月 21 日

・平成 19 年度の報告書について

・情報提供:室内環境と鬱と創造性について(加藤委員)

2)第 2 回 平成 20 年 6 月 2 日

・情報提供:生産性向上のオフィス事例および潮流(ECIFFO 編集長・岸本章弘先生)

・今年度の研究計画について

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3)第 3 回 平成 20 年 7 月 25 日

・幹事会報告

・平成 20 年度研究計画について

・情報提供:知的創造業務とオフィスファシリティ計画(大阪ガス・柳父行二先生)

4)第 4 回 平成 20 年 9 月 1 日

・幹事会報告

・知的生産性評価ツールの整理に関する討議

・情報提供:働く人とその環境について考える(名古屋大学・恒川和久先生)

5)第 5 回 平成 20 年 10 月 6 日

・基礎研究部会「光・視環境基礎 WG」設置に関する報告

・幹事会報告

・知的生産性評価ツールの整理に関する討議

・情報提供 1:タスクパフォーマンスの評価について(西原委員)

・情報提供 2:早稲田大学田辺研究室で開発した知的生産性評価ツールについて

(早稲田大学・羽田正沖氏)

6)第 6 回 平成 20 年 11 月 10 日

・幹事会報告

・知的生産性評価ツールの整理に関する討議_温熱環境に関する申告について

・情報提供:知的生産性と音環境(明治大学・上野佳奈子先生)

7)第 7 回 平成 20 年 12 月 11 日

・幹事会報告

・情報提供:「人にやさしい空間」の研究

(竹中工務店・高橋委員・石川敦雄氏・近藤正芳氏・幡谷尚子氏・鈴木和憲氏)

8)第 8 回 平成 21 年 1 月 20 日

・光・視環境基礎 WG 報告(千葉工大・望月悦子氏/岩田委員代理)

・標準化に関する議論

・実測事例紹介(柳井幹事)

・平成 20 年度 研究報告目次案について

・話題提供:「人間の知的活動と建築空間の設計・評価」(慶応大学 渡邊朗子先生)

9)第 9 回 平成 21 年 3 月 2 日

・議事録確認

・平成 20 年度 研究報告案について

・成果のまとめ方に関する議論

・実測事例紹介(秋元委員)

・話題提供:「タスクの処理速度と誤答率」(岩下委員)

基礎研究部会 部会長: 田 辺 新 一 (早稲田大学)

8

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2.2 環境・設備部会の活動報告

2.2.1 環境・設備部会の目的と活動方針

(1)部会の目的

知的生産性の向上のためには空気環境や温熱環境などの物理的環境が人の生理・心理に与え

る影響についての十分な配慮が重要である。本部会は、物理的環境について、主として主観的

な側面から環境・設備計画が知的生産性に及ぼす影響を検討し、基礎研究部会の検討結果も踏

まえて知的生産性を高める環境・設備計画のあり方を検討する。

(2)研究内容

国内外の文献を調査し、環境・設備計画が知的生産性に与える影響を検討する。

国内外の先進事例を調査し、環境・設備計画が知的生産性に与える影響を検討する。

既存ビルの知的生産性をアンケート等の主観的手法で評価する手法について検討し、基礎研

究部会の検討結果も含めて評価手法を整理する。

知的生産性を向上させる環境・設備の各種技術・計画手法を検討する。

(3)方法

国内外の各種文献、論文、先進事例を調査し、影響因子毎に整理する。

建築学会の研究をべースに、主観調査票を用いた知的生産性評価について検討し、他部会の

検討成果も考慮して評価手法の検討を行なう。

熱環境、空気環境、光・視環境、音環境、IT 環境に関わる技術の現状を調査する。

知的生産性という観点から、熱環境、空気環境、光・視環境、音環境の計画/評価手法を検討

する。

(4)アウトカム

物理的環境が知的生産性に与える影響の基本的データベースの構築。

知的生産性にかかわる主観調査票の提案及び主観・客観調査全般の調査手法の整理

知的生産性を向上させる環境・設備技術マップ作成

知的生産性を向上させる環境・設備計画モデルの提案

2.2.2 研究内容の概要

(1)研究部会の活動

月1回程度の頻度で研究部会を開催し、当初の作業課題に基づく検討を行った。また、本委

員会及び幹事会等の情報や各委員からの情報をもとにして検討を行った。以下主な検討事項を

記す。

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(2)文献調査

知的生産性に関係する内外の調査研究論文資料を収集し、知的生産性研究のためのデータベ

ースとして整理した。収集された文献は 2009 年 2 月末の時点で総数 243(内、英文文献 104)

である。英文文献においては、抄録のあるものについてはそれをデータベースに収録し、その

和訳も添付した。また、それらの文献の重要度についても委員の投票により判断し、その得票

数もデータベースに添付した。

表 2.2.1 知的生産性研究データベース(抜粋)

(3)事例調査

建築空間部会と共に先駆的施設の海外視察を行った。設備的視点から当部会で検討している

環境要素マップのフォーマットにあわせて各施設の概要をまとめた。

(4)WEB版SAP(WEB版主観評価票)の開発と試行

前期に提案したSAP2008(Subjective Assessment of workplace Productivity)の評価の利

便性を向上させるため、WEB版を開発した。当部会委員の協力により試行を行い、SAP小

委員会と連携して一般公開に向けた検討を行った。

0% 20% 40% 60% 80% 100%

視 環 境

空 気 環 境

空 間 環 境

音 環 境

温 熱 環 境

低 下 させ て いる

や や 低 下 させ て いる

影 響 しな い

や や 高 め て くれ る

高 め て くれ る

【仕 事 効 率 へ の 影 響 】

全 体

図 2.2.1 プレ評価実施結果(2008 年 9~10 月:12 社 355 名回答)

10

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(5)知的生産生調査(評価)手法の整理

建築空間内の知的生産性を調査する手法を検討するに当たり、人の生理や行動を把握・分析

する手法を収集し、その概要について整理した。その結果、17 の指標が収集された(表 2.2.2)。

これらは「視覚関連」「脳関連」「心拍・血圧関連」「唾液関連」「行動関連」「音声」の項

目に大別される。個々の指標について、実際のオフィスにおける適用可能性の可否についてそ

の概要とともにまとめた。

表 2.2.2 知的活動に関する生理反応の調査測定手法概要

分類 名称 概要

注視点(アイマーク)

・視野内で眼球が注視した点および注視した時間を測定。・注視した時間の大小と対象の認知の程度を対応付ける。・「見たこと」はデータ化できるが、それによってどのような印象を得たのかは不明。・自動車運転時の眼疲労との関係など検討例あり。

瞬目数

・まばたきは疲労、視認性の低下や驚き等による情報処理の中断、覚醒度および集中力の低下により頻発する。時間あたりの瞬目数により、疲労や集中状態について推定する指標として利用。観察によりカウントでき測定が容易。・心理的な気詰まり感でも頻発する。・心理実験で用いられることが多い。

脳波

・脳のリズミカルな電位変動。 脳波は0.5−3Hzのδ(delta)波、4−7Hzのθ(theta)波、8−13Hzのα(alpha)波、14-35Hz程度のβ(beta)波、40Hz前後のγ(gamma)波に分類・α波とそれより低周波の脳波は、脳の大脳皮質の活動が低下している状態を示す。リラックス状態と評価される場合もあるが、抑うつ状態でもα波は観察される。覚醒度の指標として通常用いられる。低周波ほど覚醒度が低い。・集中時にFmθ波が観察される場合がある。・β波、γ波は大脳皮質上の脳神経群の活動状態を示すが、筋電位や電磁波の混入との区別が必要。

誘発電位・事象関連電位

・脳波測定と同様の手続きであるが、刺激発生時を起点として、同期加算することにより、刺激に対する固有の反応を捉える。刺激にたいしてランダムに出現する脳波の周波数成分を相殺するため、50回前後の加算平均が必要。・利用のために資格は不要。データ分析は人件費のみで特殊な分析費用は発生しない。・15チャンネル程度の生体AMPとデジタルレコーダ、加算平均用プログラムが必要。・複数の電極を頭皮上に設置し、活動部位を特定し、脳内の情報処理の性質とその処理過程を表現。測定部位は多いほど精度が増加。・加算回数に応じて被験者の拘束時間が長くなる。・微弱な電位を扱うので、歩行等の強い筋電位の発生する条件下での測定は難しい。

脳磁界(MEG)・SQUID(超伝導量子干渉計)システム

・脳磁場(MEG)は脳機能検査として主に医学的に利用。超伝導現象を利用したSQUIDシステムにより検出が可能になった。・大脳における神経活動に伴い発生する磁場を測定して活動部位を推定。脳波と異なり脳深部の活動も把握可能。位置推定の精度は3〜5mm、時間分解能は1ms程度と高精度。・感覚刺激や言語、音声に対する脳活動部位を推定。情報処理の精度は電位測定より高くなる。・脳機能研究に用いられ、建築学分野での検討例は少ない。

fMRI

・神経活動に伴う血液中のヘモグロビンの酸素化-脱酸素化に感度を持つ撮像法により、血液の供給量の多い脳の部位を推定。・実験では安静状態と作業状態をとり、その差分により作業時の賦活部位を推定。・造影剤を用いるか、血液中のヘモグロビンをトレースする。侵襲性の場合、医師による実施が必要。また、1.5テスラ以上の強磁場に被験者を暴露するため、体内に電磁誘導による電場が生じる可能性あり。厳密には測定による身体影響は不明。・シールドルームと測定前室を含む設備が必要。

近赤外光計測・近赤外分光法(fNIRS)

・近赤外光を頭表に照射し、その反射光を測定する。光の波長ごとの減衰の比率により、ヘモグロビン中の酸素化−脱酸素化の変動を捉え血流動態を定量的に測定可能。最近10年間に普及が進んでいる新技術。・装置は小型で大規模施設は不要。電磁的なノイズの影響を受けにくく、装置への拘束などの被験者への負担が少ない。・頭皮下2cm程度の深度以内の大脳皮質上の活動のみ観察可能。・建築学における検討事例は少ない。

心拍数

・通常、1分あたりの心臓の拍動数。・心拍数は交感神経系、副交感神経系の二重の支配を受け、交感神経が優位になると心拍数は増加し、また心電図の電位の立ち上がりも急峻。運動、緊張やストレスにより心拍数は増加。・安静時と運動時の最大心拍数の差分により、運動強度を測定する指標としても利用。

心拍変動(Heart RateVariability)・R-R間隔変動係数(CV-RR)

・心拍の拍動間隔の分散。交感神経機能と副交感神経機能相互の活動の優位性の違いにより、分散の幅が変化。分散が大きい場合、副交感神経優位。スペクトル解析で主たる変動の周波数帯域の違いにより交感・副交感神経系の支配の割合を検討。心電図QRS波のピーク、R-R間隔の変動を観測し、R-R間隔変動係数(CV-RR)として測定する場合もある。CV=SD/平均R-R間隔×100(%)。・緊張感など気分を示す指標として利用。

指尖脈波

・指先にセンサを装着して、脈波を測定する。脈波には動脈の拍動と呼吸、基線動揺の成分が含まれている。0.3Hz以下が基線動揺成分、0.1Hz前後の周波数成分が拍動波成分。・心拍の簡易的な測定として使われる場合は、心拍数と同様に、一定時間内の拍動数が多い場合、運動量の増加や安静時に交感神経系優位な緊張状態として判断。・交感神経の遮断で基線動揺が消失することから、基線動揺成分の増加は交感神経系の賦活を示すと考えられる。情動と対応し、不安で基線動揺が増加。・建築学での研究例は少。

血圧

・指標概要 ・血圧は外因性変動として、環境条件や身体/精神的ストレスにより変動。・リラックス時と比較して、会話、作業、運動、電話、食事、デスクワークなどで収縮期血圧がおよそ6〜20mmHg高まる。・精神活動との関係では、覚醒状態で血圧は上昇する。白衣高血圧のように、精神的な緊張感で血圧は上昇。・幸福感の増大により収縮期血圧は下降する。不安感の増大により拡張期血圧が上昇。・呼吸、心拍数と相関し、精神状態による変動と運動による変動を血圧データからは分離できない。

唾液(コルチゾル) ・唾液中に含まれるホルモン、コルチゾルの上昇は、短期的なストレスに対して上昇。・唾液中コルチゾル濃度(pmol/ml)を測定

唾液(メラトニン) ・松果体から分泌される、入眠を促進するホルモンであるメラトニンの唾液中の分泌量の増減により、覚醒水準を評価する。・夜間にもっとも分泌される。夜間に照明などの光に暴露されると分泌量は減る

唾液(アミラーゼ)

・ストレスにより分泌される免疫作用をもつ生理活性物質の増加と同時にアミラーゼの分泌量が増える。その現象を利用して、唾液中へのアミラーゼ分泌量を測定することにより、間接的に免疫レベルでのストレスへの反応量を推定。・アミラーゼ活性(AMYa)[kU/L]を測定する。ストレスにより活性は上昇し、リラックスにより下降。・ストレスを与えてからアミラーゼ活性が高まるまで10分程度以内。内分泌系の測定指標であるために、神経機能系の反応に比べると反応速度は遅い。短期的なストレスの評価指標としては十分に使用可能

モーションキャプチャ

・身体の各部位にマーカーないしセンサーを付けて、3次元動作解析するシステム。身体動作の経時変化を表現。・スポーツでのフォーム解析で多用。建築学においては床の段差や家具配置などに対する身体動作の負荷の検討や、群衆流動研究に利用。・高齢化に対応した医療福祉分野でも使用

3次元加速度センサ ・小型3次元加速度センサを身体各部位に装着し、その部位の加速度を算出する。加速度の変化から、身体運動量を測定。

音声音声疲労計測システム

・被験者の発声を録音し、ターケンス・プロットによりカオスアトラクタを生成、リアプノフ数により疲労状態を検出。塩見のプロトタイプシステムの場合、音声信号を11025Hz(8bits/sample)で1秒間サンプリングし、4次元的にカオスアトラクタを生成させ、初期のリアプノフ数を導出。疲労している場合、カオスアトラクタの軌道は不安定さを示す。事例では疲労により初期のリアプノフ数は低下。・音声のカオスアトラクタのゆらぎの不安定性の機序についてはまだ未解明。音声の揺らぎは、例えばノイズ下での受聴条件(聴こえないと相手に伝えるために発声を変える、など)や体動、感情の変化、集中度とも関係することも可能性として考えられ、機序の解明には、今後の研究の蓄積が必要。利用のために資格は不要。データ分析はパソコンによる。人件費のみで特殊な分析費用は発生しない。

唾液関連

行動関連

視覚関連

脳関連

心拍・血圧関連

11

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(6)知的活動と環境性能の因果ネットワーク

知的活動と環境性能の様々な因果関係を構造的に整理し、建築・設備仕様から環境性能、人

間反応を経て知的作業に至る多数の影響パスからなるネットワーク図を作成した(図 2.2.2)。

「建築空間と知的活動の階層モデル」に基づいて各階層の知的作業を区別した上で、人間反応

として「集中」「リラックス」「リフレッシュ」「コミュニケーション」の4つの意識・行動

状態に対して影響要因となる環境性能および建築・設備仕様を各物理環境について網羅的に列

挙した。さらには本ネットワーク図をベースに、「集中のための空間」「フォーマル・コミュ

ニケーションのための空間」「インフォーマル・コミュニケーションのための空間」「リラッ

クスのための空間」「リフレッシュのための空間」各々において重要となる影響パスを抽出し、

設計上留意すべき環境性能を明示したネットワーク図を空間用途毎に作成した。

図 2.2.2 知的活動と環境性能の因果ネットワーク(抜粋)

(7)環境要素マップ(空間・環境・心理マトリクス)

知的生産性の主観調査や既存文献により、知的生産性と満足度との相関性が高いことが想定

される。また既存ビルでは最新のビルにおいても、知的生産性の高い環境が維持されていると

第1階層情報処理

第2階層

知識処理

第3階層

知識創造

正確性

迅速性

論理性

流暢性

柔軟性

独創性

健康性

記憶

収束的思考

拡散的思考

計算

視覚認知

動作制御

志向知的活動階層 知的作業 人間反応 環境性能

聴覚認知

想起・閃き

分析・統合

音環境

空間環境

ICT環境

光・視環境

温熱環境

空気質環境

文字・図形認識

音声認識

判断・操作

知識蓄積

知識加工

建築・設備仕様

静謐性

遮音性

音声明瞭度

広さ

閉鎖性

対人距離

音響演出

意味性

回遊性

格調

自然性

滞留性

姿勢安楽性

明視性

採光性

照明演出

グレア

眺望

温冷感

気流感

清涼感

におい

清浄度

乾湿感

通信情報量

アクセス性

提示情報量

操作性

集中

コミュニケーション

リラックス

リフレッシュ

覚醒

プライバシー

情報刺激

会話しやすさ

雰囲気

気分転換

ストレスレス

思考支援

疲労回復

対人接触

感覚刺激

火照り感

清潔度

収納性

外壁開口部遮音

室間遮音

床衝撃音遮音

内装材吸音

設備機械騒音

空調騒音

給排水騒音

サイン音

拡声設備

BGM

OA機器騒音

通路配置

間仕切

家具配置

座席配置

内装グレード

電話網

遠隔会議システム

LAN

ホワイトボード

情報配信システム

椅子・ソファ

観葉植物・水槽

アート・装飾

空間接続

空間規模

屋外景観

ディスプレイ設備

サウンドマスキング

窓周辺内装

照明器具

照明方式

内装仕様

コンセント

採光装置

清掃サービス

窓周辺外装

気流調整

放射

着衣

湿度

換気

粉塵・花粉

臭度

通風性能

日射

VOC

人員

菌類

窓サッシ熱性能

外壁熱性能

温度調整

収納スペース

12

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いう居住者の意識は低く、各種の環境要素に対する満足度も高くない場合が多い。

従来の建築計画では、健康性や快適性を目標にして、不満やクレームの無い計画が行なわれ

てきたが、依然残る不満の解消を図り、さらに、よりポジティブな価値をもつ建築空間を目指

した熱環境、空気環境、光・視環境、音環境、ICT 環境のあり方を考え、建築用途別にこれから

の新しい目標(価値)を洗い出し、その目標に向かって建築・設備計画がどうあるべきかを検

討した。知的生産性に係わる空間要素として、集中する空間、フォーマル/インフォーマルな

コミュニケーション空間、リラックス空間、リフレッシュ空間に分類した。

これらの空間への対応は、第 1 階層から第 3 階層までのレベルの視点で考えることが可能で

あるが、今回の検討では主として第 2 階層、第 3 階層を中心とした検討を行い、各空間要素に

対して空間と建築・設備計画のあり方を議論検討し、環境要素と建築・設備分類のマトリクス

上における各種技術の現状把握を行なった。この具体的な内容を検討し、項目をブレークダウ

ンした。

表 2.2.3 第3階層を意識した知的生産性を向上させる環境・設備計画手法(環境要素マップ)

2.2.3 今後の課題と活動方針

1) 引き続き文献調査を継続し、調査結果をデータとして蓄積する。

2) 国内外の事例を調査して各種の環境側面が知的生産性に与える具体的内容、及びその計画

手法を検討する。

13

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3) SAP小委員会と連携して、WEB版のSAPをホームページ上に公開し、一般への利用

を促進する。同時にアンケート結果を解析し、その活用方法を検討する。

4) 知的活動と環境性能の因果ネットワークとの関連性を考慮しながら、環境と建築・設備の

相互の関係性を考察した環境要素マップを洗練し、計画時に利用しやすい形にまとめる。

5) 知的生産性を向上させる具体的手法案を提案する。

従来、建築環境の計画にあたっては快適性や保健衛生といった視点だけから、その空間の

あるべき姿・目標が設定されたが、より多面的な側面からあるべき姿を検討し、知的生産

性の高い計画モデルを提案する。

2.2.4 平成 20 年度の開催状況

(1)環境・設備部会

1)第1回 環境・設備部会 平成 20 年 5 月 14 日

2)第 2 回 環境・設備部会 平成 20 年 6 月 18 日

3)第 3 回 環境・設備部会 平成 20 年 8 月 4 日

4)第 4 回 環境・設備部会 平成 20 年 10 月 6 日

5)第 5 回 環境・設備部会 平成 20 年 11 月 5 日

6)第 6 回 環境・設備部会 平成 20 年 12 月 3 日

7)第 7 回 環境・設備部会 平成 21 年 1 月 28 日

8)第 8 回 環境・設備部会 平成 21 年 3 月 2 日

(2)熱・空気WG

1) 第 1 回 熱・空気WG 平成 20 年 4 月 24 日

2) 第 2 回 熱・空気WG 平成 20 年 7 月 24 日

3) 第 3 回 熱・空気WG 平成 20 年 11 月 18 日

その他、適宜WGメンバーとメール会議

(3)音環境WG

1) 第 1 回 音環境WG 平成 20 年 4 月 30 日

2) 第 2 回 音環境WG 平成 20 年 10 月 15 日

その他、適宜WGメンバーとメール会議

(4)光環境WG

適宜WGメンバーとメール会議

環境・設備部会 部会長:川 瀬 貴 晴(千葉大学大学院)

14

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2.3 建築空間部会の活動報告

2.3.1 建築空間部会の目的と活動方針

(1)部会の目的

知的生産性の基礎的研究の成果を具体的な建築空間に反映させたワークプレイス(「仕事場」)

の計画方法の研究と実践的な設計に向けた設計知識の収集・空間の提案、ファシリティマネジ

メント方法の研究を行う。

(2)研究内容

1) 国内外の文献を調査し、建築空間計画が知的生産性に与える影響を整理する。

2) 国内外の先進的事例の調査を行い、事例収集と空間を評価する手法を検討する。

3) 「仕事場」における人間行動・心理と知的生産性を向上させる建築空間を検討する。

4) 知的生産性を向上させる建築環境の各種計画技術・マネジメント技術を検討する。

(3)方法

1) 国内外の各種文献、論文を基に既往研究を調査し、知的生産性と空間要素、人間行動の関

係を整理する。

2) 「仕事場」における行動活性化評価をもちいた空間性能評価手法を検討する。

3) 「仕事場」における人間行動と空間性能のモニタリングを検討する。

4) 知的生産性を向上させる建築空間の各種計画法・ファシリティマネジメント手法を検討す

る。

(4)アウトカム

1) 知的生産性と空間要素、人間行動、「仕事場」の関係のデータベースの構築

2) 「仕事場」の行動活性化評価をもちいた空間性能評価手法の提案

3) 知的生産性を向上させる建築空間の各種計画法・設計知識の提案

4) 知的生産性を向上させる空間モデルデータベースの提案

2.3.2 研究内容の概要

1) 知的生産空間の計画要件の研究(空間)

知的生産性に影響を与える建築的要因(場所、室レイアウト、家具レイアウト、天井高な

ど)の抽出。

これらの建築的要因(場所、室レイアウト、家具レイアウト、天井高など)の調査。

建築的要因の検証。

2) 知的生産主体の研究(人)

知的生産性に関連する人間行動(上記建築的要因と関連させて調査、分析)の把握

知的生産性に関連する人間行動の実験・調査。

3) 事例調査

国内事例調査

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海外事例調査

上記目的を集中的に調査研究するために、部会内に下記の3つのワーキンググループ(W

G)を発足させた。

① 計画要件WG(主査:徳本幸男 竹中工務店ワークプレイスプロデュース本部長)

② 知的生産主体WG(主査:仲隆介 京都工芸繊維大学大学院教授)

③ 海外調査WG(主査:田名網雅人 鹿島建設建築設計本部グループリーダー)

さらに、2009 年 1 月にフリーアドレスオフィス調査小委員会(委員長:宗本順三)を発足さ

せて、ワークプレイスで行動計測を行う応用部会と研究の連繋を強めることとした。

(1)計画要件研究WGの活動

国内および海外のワークプレイスの先進的事例を調査し、分析するために、対象建物の特徴

を、「建築空間の計画要件(横軸)」と「経営者のコンセプトに合致するワーカーの行動(縦

軸)」の2軸を基準にマトリックス化する方法を構築している。建物諸元と併せて、プロジェ

クトマトリックスシート(図 2.3.1)として、ワークプレイスの先進的事例をデータベース化し

ている。

図 2.3.1 プロジェクトマトリックスシート概要

(2)知的生産主体研究WGの活動

知的生産主体(オフィスワーカー)がワークプレイスを始め様々な場所において、日々の時間

の中で、「建築空間と知的活動の階層モデル」の各階層に基づくどのような働き方をしている

かを調査する。すなわち「どんな属性のオフィスワーカーが、いつ、どこで、誰と、働いてい

るか」の大綱を、階層モデルに基づく知的生産性研究の基本データとして明らかにするために、

当委員会の協力企業 20 社、のべ約 1,000 人を対象とするアンケート調査を実施中である(図

2.3.2)。

16

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図 2.3.2 「働き方調査」アンケートシート概要

(3)先進的事例調査

1) 海外調査WGの活動

ワークプレイスの先行研究や、「建築空間と知的活動の階層モデル」の第3階層「知識

創造」を促進すると考えられる事例、すなわちワークプレイスの先進的事例の調査を行っ

た。国内および海外先進的事例の調査に先立ち、調査物件の選定、調査団の結成、調査計

画の検討などを行った。

2) 国内事例調査

下記の3事例の調査を行った。

① 株式会社パソナグループ

建 物:新丸ビル(丸の内ビル 14 階)および東京本社(大手町野村ビル)

調査日:2008 年 9 月 8 日

② ブルームバーグ合資会社

建 物:東京本社(丸の内ビル内)

調査日:2008 年 9 月 8 日

③ 日産先進技術開発センター

建 物:神奈川県厚木市

調査日:2008 年 9 月 24 日

3) 海外事例調査

下記の 20 事例の調査を行った。調査で得られた写真や文書等の資料は、オンラインスト

レージを用いてデータベース化し、プロジェクトマトリックスシート(図 2.3.1)を作成

17

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中である。

建 物 場 所 スウェーデン 1. Swedish Post Headquarters Solna, Stockholm 2. OMX Tullvaktsvägen, Stockholm 3. SAS Headquarters Solna, Stockholm ドイツ 4. Lufthansa Aviation Center Airportring, Frankfurt 5. Commerzbank Headquarters Kaiserplatz, Frankfurt 6. Allianz-Kai Theodor-Stein-Kai, Frankfurt 7. BMW Willy-Brandt-Platz, Leipzig 8. Ingenhoven Architekten Plange Mühle, Düsseldorf イギリス 9. DEGW The Merchant Centre, London 10. Lloyd's of London Leadenhall Street and Lime Street, London 11. Willis Headquarters Fitzroy Street, London 12. BedZED Helios Road, Wallington 13.. 30st. Mary Axe St Mary Axe, London 14. Plantation Place Fenchurch Street, London 15. Unilever main office Unilever House, Blackfriars, London 16. London City Hall Queen's Walk, London 17. Foster and Partners Riverside, Hester Road, London アメリカ 18. Google Mountain View, San Francisco 19. Marvell Santa Clara, San Francisco 20. Sun Microsystems Santa Clara, San Francisco

調 査 行 程:ストックホルム→フランクフルト→デュッセルドルフ→ライプチヒ→ロンドン→

サンフランシスコ→サンタクララ

調 査 期 間:2008 年 10 月 12 日~10 月 23 日

調査団名簿:宗本順三(京都大学)、松下大輔(京都大学)、篠島久明(三菱地所)、平倉章

二(久米設計)、杉本賢司(タイセイ総合研究所)、賀持剛一(大林組)、田名網雅人(鹿島

建設)、徳本幸男(竹中工務店)、畠山拓也(大成建設)、川瀬貴晴(千葉大学)、伊東民雄

(高砂熱工業)、高井啓明(竹中工務店)、木下泰三(日立製作所) 計 13 名 調査結果の概要は第3回知的生産性研究委員会シンポジウム(2009 年 1 月 23 日開催)にお

いて報告した。

4) 先行研究調査

① ニューオフィス推進協議会による「クリエイティブ・オフィス推進運動実行委員会調査

報告書」を調査した。ここでははじめに「クリエイティブ・オフィス」の理念(目標)

が SECI モデルに基づいて仮設的に掲げられ、理念の「推進運動」が行われている点で、

本研究委員会の活動と異なる。行動観察調査、アンケート調査、センシング調査を行う

18

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手法は、当部会の研究手法に共通する部分がある。

② DEGW(本社ロンドン)の研究を調査した。

2.3.3 今後の課題と活動方針

(1)知的生産空間の計画要件の研究

プロジェクトマトリックスシートの書式を改善し、調査を行った先進的事例の特徴を明快に

記述可能な方法を構築する。国内事例および海外事例のプロジェクトマトリックスを蓄積し、

空間モデルデータベース化する。他部会のモデルとの摺り合わせを行う。

(2)知的生産主体の研究

「働き方調査」の回答を収集し、データベース化する。データベースを統計的手法を用いて

分析する。オフィスワーカーのワークプレイスにおける働き方を本研究の基本的知見として得

る。

(3)事例調査

国内先進的事例の情報収集を行い、調査計画を立案する。調査結果をプロジェクトマトリッ

クスを用いてデータベース化する。異なる業種、業態間の事例の特徴を横断的に分析し、先進

的事例に共通する空間モデルや、今後のワークプレイスに求められる空間特性を明らかにする。

(4)得られた知見の普及:出版の検討

本研究委員会の活動の最終年度を迎えるに際し、得られた成果を書籍にまとめて出版する予

定である。

2.3.4 平成 20 年度の開催状況

(1)建築空間部会

1)第 1 回 建築空間部会 平成 20 年 4 月 22 日

2)第 2 回 建築空間部会 平成 20 年 6 月 26 日

3)第 3 回 建築空間部会 平成 20 年 7 月 15 日

4)第 4 回 建築空間部会 平成 20 年 8 月 21 日

5)第 5 回 建築空間部会 平成 20 年 9 月 8 日

6)第 6 回 建築空間部会 平成 20 年 9 月 29 日

7)第 7 回 建築空間部会 平成 20 年 11 月 5 日

8)第 8 回 建築空間部会 平成 21 年 12 月 12 日

9)第 9 回 建築空間部会 平成 21 年 3 月 6 日

(2)計画要件WG

1)第 1 回 計画要件WG 平成 20 年 6 月 26 日

2)第 2 回 計画要件WG 平成 20 年 8 月 7 日

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3)第 3 回 計画要件WG 平成 20 年 9 月 24 日

4)第 4 回 計画要件WG 平成 20 年 12 月 1 日

(3)知的生産主体WG

1)第 1 回 知的生産主体WG 平成 20 年 7 月 8 日

2)第 2 回 知的生産主体WG 平成 20 年 8 月 7 日

3)第 3 回 知的生産主体WG 平成 20 年 9 月 29 日

4)第 4 回 知的生産主体WG 平成 20 年 11 月 4 日

5)第 5 回 知的生産主体WG 平成 20 年 12 月 1 日

6)第 6 回 知的生産主体WG 平成 20 年 1 月 9 日

建築空間部会 部会長: 宗 本 順 三 (京都大学)

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2.4 経済性評価と格付部会の活動報告

2.4.1 経済性評価と格付部会の目的と活動方針

(1)部会の目的

個々人および組織総体としての知的生産性向上に資する建築物の総合的な経済性と環境性能

の評価・格付け手法を検討する。具体的には、「環境・設備 生理/心理部会」と「環境・設備

計画/評価部会」の研究成果と、「建築空間 計画/設計部会」の研究成果を総合化した評価/

格付け手法を提案する。

(2)研究内容

1) 個々人および組織総体としての知的生産性向上に関する国内外の既往研究を調査する。

2) 建築物総合環境性能評価システム(CASBEE)における Q1:室内環境、Q2:サービス性能、

Q3:屋外環境の各評価基準への知的生産性評価の反映方法を検討する。

3) CASBEE等の評価/格付けシステムと連携した経済性評価手法を検討する。

(3)方法

1) 国内外の既往研究、並びに米国の建築物総合環境性能評価システム(LEED-NC、LEED-EB)

など、海外の先行事例を調査する。

2) 個々人および組織総体としての知的生産性評価の CASBEE 等への反映方法、経済性評価

手法を検討する。

(4)アウトカム

1) 個々人および組織総体としての知的生産性評価の CASBEE等への反映方法の提案

2) CASBEE等と連携した経済性評価手法の提案

室内の物理環境と個々人の知的生産性評価→ Q-1室内環境

・経済性評価手法の検討

組織総体としての知的生産性評価→ Q-2サービス性能とQ3室外環境の一部

「環境・設備 生理/心理部会」、「環境・設備 計画/評価部会」と連携

「建築空間 計画/設計部会」 と連携

・建築物総合環境性能評価システム(CASBEE)への知的生産性評価の反映

海外の先行事例の調査

図 2.4.1 経済性評価と格付部会における検討

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2.4.2 研究内容の概要

(1)知的生産性評価の枠組み

知的生産性の評価を行うにおいて、本部会では以下の項目を評価体系構築に向けたアプロー

チの前提とした。

① CASBEEとの関係性の整理

→ CASBEEの項目を中心として評価項目を抽出し、議論の過程、各部会成果を参考に要素

を抽出することとし、新たな評価体系の構築も視野に入れる。

② 評価時期

→ 知的生産性にはワークプレイスが強く影響するため、箱としての建築の評価だけでは不

十分な可能性があるため、CASBEE-既存で整理をし、CASBEE-新築へ準用するような

手順とする。

③ 評価対象

→ 最終目標は組織(企業)の対する評価指標として経済性との関係を明示することが一つ

の目的であるが、中間的な指標群としてまずは個人、グループからアプローチする。

室内環境

情報処理 作業効率 の向上

第3階層

第2階層

第1階層

(2)個人

(1)組織・グループ

知識創造の誘発

新規提案数の増加、業務プロセスの改善

動線

作業スペース環境共生 選択性、柔軟

オフィスレイアウト IT環境

優秀な人材の確保

魅力的な 建築空間

経営環境

価値・利益の向上

ワークスタイル

建築に係る説明変数

企業経営に係る 説明変数

リフレッシュスペース

顧客の信頼

図 2.4.2 知的生産性に係る評価のフロー

(2)個人の知的生産性評価の考え方

器としての建築・設備・都市が個人の知的生産性にどう関与しているのかを検討する上で、

作業を大きく2つ(①情報処理、②知識創造)に分類して、器としての空間や室内環境が作業

プロセスのどの過程に影響がある因子であるのかを整理する。

1) 情報処理作業の考え方

情報処理作業は INPUT と OUTPUT が決まっており、それをどう効率よく処理するかが求

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められる。建築・設備的な器の関与は主に、「伝達」と「作業」に係るプロセスが中心とな

る。

情報処理 INPUT OUTPUT

INPUT 内容:与条件

伝達に係る影響因子

①IT環境

②打ち合わせスペース

作業効率に係る影響因子

①室内環境、②PC環境、③作業スペース、

④移動動線の短縮、⑤情報ライブラリーの整備環境

OUTPUT 内容:要件

意欲向上に係る影響因子

①組織文化の浸透、②ステータスの高い建築・空間

③環境貢献による社会的責任の全う? 図 2.4.3 個人の知的生産性(情報処理:第1階層)の評価の考え方

2) 知識創造作業の考え方

知識創造作業は不特定の情報から未知なる成果を創造(知識創造)する作業であり、

プロセスそのものを指している「情報処理」とは本質的に異なる。建築・設備的な器の関

与は主に、「情報収集」や「閃き」に係るプロセスが中心となる。「情報収集」とは、仲

間との交流、外部との接触など、内在した知識(暗黙知)に対して、新たな知識創造を誘

発する不特定多数の情報(外在知)の取得を意味し、その場の提供や創出について評価を

行う。「閃き」のプロセスは暗黙知と外在知がある体系をなす新たな知識へと昇華するプ

ロセスを指し、その閃きに至る黙考の場やきっかけを誘発する場の提供として建築・設備

との係りが評価、格付けにつながる。

個人に内在する

暗黙知との連結 INPUT OUTPUT

INPUT 内容:不特定

閃きに係る影響因子

①黙考の場の創出 ②気分転換の場の創出

(環境共生空間、リフレッシュコ

ーナーなど)

OUTPUT 内容:

新たな知識

情報収集に係る影響因子

①出会いの機会の創出 ・ 室内動線の意図的な迂回 ・ 来客者・知識者を呼びやすい環境

(情報発信、デザイン的魅力など) ・ 立地条件 ②無駄な情報を仕入れる場?

知識創造

図 2.4.4 個人の知的生産性(知識創造:第3階層)の評価の考え方

3) 具体的な評価の考え方

第1、第2、第3階層の全てにおいて、①情報処理作業と②知識創造作業の両面が介

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在していると考えられるが、実際にはその作業内容に応じて比重が異なると考えられる。

主には表1のように簡易な見せ方が望ましいが、その決め方に関しても、以下の通り

様々に考えられる。また、階層での重み付け案は提示するとしても、最終的にはこの評価

の利用者が自らや評価対象に応じて一意に設定、もしくは職能に応じて設定するなどの考

え方がある。

この数値的割合などは、宗本部会における「働き方調査」や田辺部会における「認知能

力分類」とワーカーの傾向分析などから得られた知見を参考にまとめていくことを想定す

る。

A.作業時間の割合

B.与えられた使命に応じた期待度

表 2.4.1 個人の作業のアウトプットに影響を与える情報処理と知識創造の比率の考え方(例)

A:作業時間割合 B:使命に応じた期待

情報処理 知識創造 情報処理 知識創造備考

第1階層 (情報処理)

0.9 0.1 1.0 0 作業手順の改善など一部創造作業が含まれる?

第2階層 (知識処理)

0.8 0.2 0.7 0.3 複雑な情報を処理する上で、手順の構築など創造的作業の割合が増す

第3階層 (知識創造)

0.5 0.5 0.2 0.8 知識創造を期待されているが、事務処理など時間的には情報処理の比率も高い。

(3)組織・グループの知的生産性の考え方

・ 知的生産性に関する体系図において、個人→グループ→組織という展開を前提にした場

合、組織としての成果(財務的指標)と個人、グループとしての成果には、なんらかの

因果関係が存在すると考えられる。

・ ただし、グループ、組織の成果を実現するための必要条件としては、個人の成果のみで

はなく、グループ、組織としてのあり方(コミュニケーション、等)の他、顧客の視点、

財務指標の視点、等を考慮する必

要があると思われる。

・ よって、個人の知的活動と

CASBEE 項目との因果関係をベ

ースとしたグループ、組織として

の評価についても検討すると同

時に、網羅的な因果関係の事例に

ついての整理を行う。事例の一つ

として、企業内の経営戦略ツール

としての普及が進んでいる、バラ

ンスドスコアカードの事例を示す。 図 2.4.5 バランススコアカード戦略マップ

「バランス・スコアカード入門」 吉川武男著 「図解バランス・スコアカード」 松永達也著

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(4)知的生産性評価項目の体系化

CASBEE 新築の評価項目を基盤として、前述の個人の知的生産性評価の考え方、組織・グル

ープの知的生産性評価の考え方を体系図としてまとめる。図 2.4.6 は縦方向に CASBEEの項目

CASBEE評価項目の知的活動との相関

知的生産性評価に関する体系図(経済性と格付/評価部会)

作業効率の向上

情報伝達の質向上

作業意欲の向上

コミ

ュニケーシ

ョン

の活性化

企画開催の機会

来訪者の呼びやすさ

思考活動を支援

創造を活性化

離職率の低下

優秀な人材の確保

環境配慮への取組み

地域貢献

CIブランドの発信

顧客満足度

Q1 1 音環境 1.1 騒音 ○

室内環境 1.2 遮音 ○

1.3 吸音 ○

2 温熱環境 2.1 室温制御 ○

2.2 湿度制御 ○

2.3 空調方式 ○

3 光・視環境 3.1 昼光利用 ○ ○ ○

3.2 グレア対策 ○

3.3 照度 ○

3.4 照明制御 ○

4 空気質環境 4.1 発生源対策 ○

4.2 換気 ○ ○ ○

4.3 運用管理 ○

Q2 1 機能性 1.1 機能性・使いやすさ 広さ・収納性 ○

サービス 高度情報通信設備対応 ○

性能 バリアフリー計画

1.2 心理性・快適性 広さ感・景観 ○ ○ ○

リフレッシュスペース(スペース) ○ ○

内装計画(の有無) ○ ○

1.3 維持管理 メンテナンスに配慮した建材と設計 ○ ○

維持管理用機能の確保 ○ ○

2 耐用性・信頼性 2.1 耐震・免震

3 3.1 空間のゆとり 階高のゆとり ○ ○

対応性・更新性 空間の形状・自由さ ○ ○

空間可変性(吹き抜け、給水設備など設置可能性) ○ ○

3.2 荷重のゆとり

3.3 設備の更新性

ソフトウェア充実度 ○

建築空間 ICT環境 ICTライブラリー

評価項目 グループウェア充実度 ○ ○

オフィス空間構成 情報処理作業者の動線を最短化するレイアウト

出会いの多い動線計画

リフレッシュスペースの配置 ○

共同作業スペース ○ ○

作業場所の選択性 ○ ○

展示ホール ○ ○ ○ ○

空間の質 内装計画の質(デザイン性、CIの表現) ○ ○ ○ ○ ○

環境共生空間の創出 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

Q3 室外環境 1 生物環境の保全と創出 I 立地特性の把握と計画方針の設定 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

2 まちなみ・景観への配慮 I 景観の阻害

II 良好な景観の形成 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

3.地域性・ 3.1 地域性への配慮、 I 地域固有の風土、歴史、文化の継承 ○ ○ ○ ○ ○

アメニティへ 快適性の向上 II 空間・施設機能の提供による地域貢献 ○ ○ ○ ○

の配慮 III 建物内外を連関させる豊かな中間領域の形成 ○ ○ ○ ○

IV 防犯性の配慮

V 建物利用者等の参加性

3.2 敷地内温熱環境の向上1)敷地内へ風を導く ○ ○ ○ ○ ○

2)敷地内に緑地や水面等を確保 ○ ○ ○ ○ ○ ○

3)建築設備による排気や排熱の位置等に配慮

財務の視点

顧客の視点個人

人材確保

学習の視点

社会的責任

情報発信情報収集

情報処理 知識創造

閃き作業効率

建築空間部会の成果を活用

設備・環境部会の成果を活用

図 2.4.6 知的生産性評価体系マトリクス

今後、基礎研究部会等の研究成果を反映して各項目の重みなどを設定していく。

建築空間部会、設備・環境部会等の研究成果を反映して、現在CASBEEにない項目を抽出

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に加え、知的生産性に関与すると思われるワークプレイスの項目を並べ、横方向に並べた個人

や組織の知的生産性向上に対する目的変数を並べ、関係があると考えられる場所に「○」を振

ったものである。特に以下の2項目などに関しては、建築・設備の枠組みを超越した部分であ

り、本部会にて総合的な議論を行った上で、「○」の振り方を検討した。

(5)CASBEEの枠組みによる知的生産性の評価と経済性に関する評価

CASBEE の評価体系を通じた知的生産性評価の試行を行った。本年は主に第一階層である情

報処理作業に関する物理環境との相関係数の同定を行い、知的生産性スコアの指標化を行い、

個人作業の向上による経済性評価を試行した。

図7 CASBEEの枠組みを利用した知的生産性(物理環境)の評価試行

各々の物理環境と知的生産性の関係を検討した研究事例の収集

知的生産性(物理環境)のスコア算出

目的変数:知的生産性、説明変数:暗騒音、 PMV、照度、CO2濃度

モデルを用いてCASBEEの各レベルと

知的生産性の関係を対応づける

とする応答曲面モデルを作成

第1階層 情報処理・第2階層 知識処理

温熱環境

空気環境

光・視環境

音環境収納性

IT環境空間環境

物理環境

→ 自席の環境

機能性

物理環境は以下の指標で代表して評価する。

音環境 ⇒ 暗騒音[dB]、光・視環境⇒ 照度[lx]

温熱環境⇒ PMV [-]、空気質環境⇒ CO2 濃度

PMV [-]

CO2濃度 [ppm]

知的生産性 [-]

1

0.9

0.8

0.7

5001000

15002000 0

12

-1

暗騒音 PMV注) 照度 CO2濃度

50dB(レベル2) 0.25 750

(レベル4)800

(レベル4)

知的生産性

0.89

作成した応答局面モデルを用いてCASBEEの各レベル代表値 其々の組み合わせの知的生産性を算出

レベル1 50dB <【暗騒音】 ⇒ 53dB

レベル2 47dB < 【暗騒音】 ≦ 50dB ⇒ 50dB

レベル3 43dB < 【暗騒音】 ≦ 47dB ⇒ 47dB

レベル4 40dB < 【暗騒音】 ≦ 43dB ⇒ 43dBレベル5 【暗騒音】≦40dB ⇒ 40dB

1.1.2 暗騒音

■ 応答曲面モデル (イメージ) ■ 各レベルの代表値の選出 (例)

代表値

注) 室温、湿度、平均気流速度のスコアより算出

■作業効率の向上による経済的影響 [円/(m2・年)]

作業効率の向上率[%]一人あたりの年間給与[円/(人・年)]

占有床面積[m2/人]×=

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2.4.3 今後の課題と活動方針

(1)グループ・組織における知的生産性評価体系の構築

本年度に継続して、個人と組織の関係、組織としての知的生産性の評価体系の構築を目的と

して検討を行う。

(2)CASBEEの枠組みによる知的生産性の評価方法の開発

知的生産性に関係する項目の抽出から、CASBEE の評価体系を用いた知的生産性の数値指標

を開発する。特に第3階層(知識創造)に関する評価方法に関して研究を行う。

(3)知的生産性評価指標と経済的価値の関係に関する研究

CASBEE による知的生産性の評価指標に対して経済性の見地からの説明を付与すべく、研究

を行なう。既存の研究事例の調査から始め、アンケート実験の試行までを H21 年の活動目標と

する。

2.4.4 平成 20 年度の開催状況

1) 第 1 回 経済性評価と格付部会 平成 20 年 6 月 5 日

2) 第 2 回 経済性評価と格付部会 平成 20 年 7 月 11 日

3) 第 3 回 経済性評価と格付部会 平成 20 年 8 月 4 日

4) 第 4 回 経済性評価と格付部会 平成 20 年 9 月 29 日

5) 第 5 回 経済性評価と格付部会 平成 20 年 11 月 28 日

6) 第 6 回 経済性評価と格付部会 平成 21 年 1 月 13 日

7) 第 7 回 経済性評価と格付部会 平成 21 年 2 月 4 日

8) 第 8 回 経済性評価と格付部会 平成 21 年 3 月 11 日

経済性評価と格付部会 部会長:伊 香 賀 俊 治(慶應義塾大学)

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