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Nomura21 Global 2018年3月号

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Nomura21 Global 2018年3月号

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Nomura21 Global 2018年3月号

Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

の方向性を判断する「トップダウン・アプローチ」に基づき、続いてその中から成長が期待される産業

やセクター、その先の個別銘柄へと選考を進め、組み入れ銘柄を決定しています。その際、野村證

券エクイティ・リサーチ部などの調査リソースを活用し、テーマ性や企業の製品、サービスの競争力な

ど、主に個別銘柄における成長性を判断することにより選択を行う「ボトムアップ・アプローチ」につい

ても、トップダウン・アプローチから決定された銘柄群がより合理的なものであるかどうかを検討する上

で、有効な判断基準としています。

Nomura21 Globalは、野村證券エクイティ・リサーチ部の企業調査に基づいて、「Nomura21

Global 銘柄選定会議」(以下選定会議)において決定される参考銘柄群です。

選定会議のメンバーは、野村證券エクイティ・リサーチ部と投資情報部の担当者で構成されていま

す。原則、毎月開催される選定会議で、参考銘柄の入れ替えを決定します。

Nomura21 Globalは、「日本株」と「国内REIT、国内ETF、国内ETN」、「外国株」で構成され

ています。2017年4月号より、組み入れ上限をそれまでの40銘柄から25銘柄へと絞り込み、注目

すべきテーマや銘柄をより明確になるようにしました。

Nomura21 Globalの業種分類は、「エネルギー」、「素材」、「資本財・サービス」、「一般消費財・

サービス」、「生活必需品」、「ヘルスケア」、「金融」、「情報技術」、「電気通信サービス」、「公益

事業」、「不動産」の11業種としています。

また、野村證券が米国モーニングスター社(※)からレポートの提供を受けている銘柄も組み入れ対

象としています。これらの銘柄は野村證券による企業調査が行われておりません。 (※)米国モーニングスター社(Morningstar Inc.)は、証券会社、投信運用会社、銀行その他の金融機関と資本・提携関係にない独立調査会社です。野村證券は2003年11月より、同社との有償契約に基づき、同社発行の英文米国株レポートのうち双方が合意した銘柄について日本語に翻訳し発行しております。

「日本株投資戦略」の参考ポートフォリオについて

野村證券エクイティ・リサーチ部では、株式ストラテジーレポート「日本株投資戦略」を毎月発行し

ています。同レポートにおいては、35銘柄で構成された参考ポートフォリオを提示しています。

銘柄選定のプロセスが異なるため、Nomura21 Globalの参考銘柄と、日本株投資戦略の参考

ポートフォリオの組み入れ銘柄は、必ずしも同一とならない場合があります。

Nomura21 Globalとは

Nomura21 Global とは

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Nomura21 Global 2018年3月号

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Nomura21 Global 2018年3月号

今回の銘柄入れ替え

今回の銘柄入れ替え (2018年2月16日発表)

削除銘柄

日本株 (4307)野村総合研究所<情報技術> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P57

ビッグデータやIoT(モノのインターネット)といった新領域のICT(情報通信技術)投資を重要視する企業が増加しており、ソフトウェア市場は構造的な市場成長が期待できます。また、M&A

を含めたグローバル関連事業の拡大が業績に寄与し始めており、同業他社よりも相対的に高い成長率が見込まれます。

(4324)電通<一般消費財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P61

国内景気の拡大により、景気と連動性の高い広告市場は堅調に推移すると予想されます。また、2018年は世界的な大型イベントが多く控え、海外展開を加速させている当社はその恩恵を享受できるでしょう。バリュエーションも割安な水準であり、投資魅力が増していると考えられます。

米国株 (A3222/PCLN US)プライスライン・グループ<一般消費財・サービス>・・・・ P95

売上高で世界最大のオンライン旅行代理店である当社は、米国を中心に事業を展開しており、良好な雇用環境を背景とした、人々の旅行などの余暇に対する支出の拡大の恩恵を受けると予想されます。

(注1)業種分類は、世界産業分類基準(GICSⓇ)に基づいております。詳細は122ページをご参照下さい。

(注2)外国株式の銘柄名の前に位置するカッコ内は野村コード/ブルームバーグコードを指します。

新規組み入れ銘柄

次回の銘柄入れ替えは2018年3月23日(金)です

日本株 (6702)富士通<情報技術>

ICTサービス市場が拡大する中で、当社の先端技術が利用される機会は増えてゆくと見込まれます。一方、足もとで、システム保守サービスにおける不採算案件が発生し、業績の改善がこれまでの想定よりも遅れると予想されるため、削除します。

(6954)ファナック<資本財・サービス>

国内外問わず省力化投資や産業高度化需要の高まりが継続しており、その恩恵を享受する見方は変わりませんが、新規組み入れ銘柄の方が相対的に優位と判断し、削除します。

米国株 (A6161/FB US)フェイスブック<情報技術>

主力の「フェイスブック」に加え、画像共有サービスの「インスタグラム」など、複数のサービスで収益化が図られており、今後も業容の拡大が予想されますが、今回想定している投資環境の下では新規組み入れ銘柄の方が相対的に優位と判断し、削除します。

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Nomura21 Global 2018年3月号

Contents

Contents

P5 投資環境 • 日経平均株価・ドル円・NYダウ・日米の長期金利の推移と主な出来事 ・・・・・・・・・・・・・ 5

• 今後の予定 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

• 投資環境の考え方 ・・・・・・・・・・・ 9

• 投資戦略の概要 ・・・・・・・・・・・・ 10

• 投資環境・銘柄選定の考え方 ・・ 11

• 今月のキーワード ・・・・・・・・・・・・ 13

• 投資戦略/マクロ経済 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

• 【特集】キャッシュレス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35

• 【特集】次世代の情報通信(2月号より再掲) ・・・ 38

• 市場環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41

• テクニカルチャート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49

P55 個別銘柄

(4307)野村総合研究所<情報技術> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57

(4324)電通<一般消費財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61

(5801)古河電気工業<資本財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65

(2875)東洋水産<生活必需品> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69

(3086)J.フロント リテイリング<一般消費財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71

(4901)富士フイルムホールディングス<情報技術> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73

(6273)SMC<資本財・サービス>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75

(6301)小松製作所<資本財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77

(6504)富士電機<資本財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79

(6752)パナソニック<一般消費財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81

(6758)ソニー<一般消費財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83

(6902)デンソー<一般消費財・サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85

(6981)村田製作所<情報技術>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87

(7203)トヨタ自動車<一般消費財・サービス>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89

(9064)ヤマトホールディングス<資本財・サービス>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91

(9984)ソフトバンクグループ<電気通信サービス> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 93

(A3222/PCLN US)プライスライン・グループ<一般消費財・サービス> ・・・・・・ 95

(A0784/UNP US)ユニオン・パシフィック<資本財・サービス>・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99

(A1066/ADBE US)アドビ・システムズ<情報技術>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103

(A3300/RHT US)レッドハット<情報技術>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 105

(A3311/AMZN US)アマゾン・ドットコム<一般消費財・サービス>・・・・・・・・・・・・・・ 107

(A4967/CRM US)セールスフォース・ドットコム<情報技術>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 109

(A4987/GOOGL US)アルファベット(A株)<情報技術>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 111

(A5608/V US)ビザ<情報技術>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113

(A6792/SQ US)スクエア<情報技術>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 115

なし

(注1)業種分類は、世界産業分類基準(GICSⓇ)に基づいております。詳細は122ページをご参照下さい。

(注2)外国株式の銘柄名の前に位置するカッコ内は野村コード/ブルームバーグコードを指します。

新規 日本株

米国株 新規

前月新規

欧州株

(ご参考)Nomura21 Globalの騰落率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117

(ご参考)Nomura21 Global 日本株ベータ値一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 118

野村のサテライトセミナー情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 119

株価レーティングについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 121

モーニングスター社/世界産業分類基準(GICSⓇ)について ・・・・・・・・・・・・・・ 122

各指標について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 124

前月新規

新規

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Nomura21 Global 2018年3月号

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Nomura21 Global 2018年3月号

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日経平均株価・ドル円・NYダウ・日米の長期金利の推移と主な出来事

(円)

(ドル)

(%)

日経平均株価・ドル円・NYダウ・日米の長期金利の推移と主な出来事

日本:10年国債利回り(左軸)

米ドル・円(右軸)

米国:10年財務省証券利回り(右軸)

NYダウ(左軸)

2017年9月 10月 11月

2017年9月 10月 11月

日経平均株価(左軸)

9/7 2.039

28・衆院解散

27・トランプ米政権と与党・共和党が大型税制改革案を公表

26・イエレンFRB議長による講演で、インフレが低位の中では緩やかなペースでの利上げが妥当と発言

25・安倍首相が28日の臨時国会において衆議院解散を正式表明と発表

24・ドイツ総選挙でメルケル首相率いるキリスト教民主・

社会同盟が第一党となるも、

議席数が単独過半数に届かず

22・北朝鮮外相が太平洋上の水爆実験を示唆

21・日銀金融政策決定会合で政策の現状維持を決定

20・FOMCにおいて10月からのバランスシート縮小開始を発表、年内追加利上げの確度も強まる

15・北朝鮮が今年15回目の弾道ミサイルを発射、日本上空を通過し太平洋上に落下

13・北朝鮮は国連安保理事会の制裁決議に対して「全面排撃する」と威嚇

11・国連安全保障理事会は北朝鮮に対する輸出上限の設定など制裁強化議案を全会一致で採決

8・ドル円が一時107円台と年初来安値更新

・米上院は12月8日まで債務上限を凍結、暫定予算を含めた一体法案を賛成多数で可決 (

下院が8日可決で成立)

7・ECB金融政策据え置きもドラギ総裁が量的緩和の先行きを10月に決定見込みと発言

・米トランプ大統領は連邦債務上限の引き上げと、災害救済措置について共和・民主両党と合意

6・FRBのフィッシャー副議長が突然の辞任発表

3・北朝鮮が大陸間弾道ミサイル搭載用で過去最大の水素爆弾の実験に「完全に成功した」と発表

1・新発10年国債利回りが2016年11月以来、一時マイナス圏へ

9/8 19239

9/8 107.32

9/4 -0.009

10/2 0.075

10/10 2.361

10/6 113.44

10/16 111.65

10/13 2.273

10/26 2.461

31・日銀金融政策決定会合において現状維持を決定

27・日経平均株価は1996年7月5日以来、約21年4ヶ月ぶりの2万2000円台

26・ECB政策理事会は金融政策据え置きも、量的緩和の延長と規模縮小を決定

25・2022年までの2期目の習近平政権始動

24・日経平均株価は史上最長となる16連騰

23・約3ヶ月ぶりに114円台の円安水準

22・衆議院議員選で連立与党圧勝、自民・公明合わせて憲法改正の

国会発議に必要な2/3の310議席を上回る

11・ムニューシン米財務長官が次期FRB議長にパウエル理事を支持と報道

8・米国とトルコが互いにビザの発給を停止

6・米9月の雇用統計で非農業部門雇用者数が約7年ぶりに前月比で減少

4・ティラーソン米国務長官が緊急記者会見で辞任説を否定

・少額投資非課税制度(つみたてNISA)の口座開設手続き開始

・スペイン北東部のカタルーニャ州政府は、スペインからの独立を問う住民投票で、

9割の賛成票獲得も、スペイン政府は認めず、EUも「投票は合法ではない」との声明発表

・9月の米ISM製造業指数が2004年5月以来の高水準

2・9月日銀短観で大企業・製造業業況判断が2007年9月以来の高水準に

・ラスベガスで銃乱射事件発生

1・日本の大手運輸業者が配達料金の値上げ実施

10/5 0.046

10/20 0.075

11/6 0.024 11/7

2.315

9/5 21709

10/24 23485

11/15 23242

・OPEC総会にて2018年末までの減産延長で合意

30・NYダウは3日連続で史上最高値更新

29・北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(

ICBM)

を発射し日本海の排他的経済水域内落下

28・パウエルFRB次期議長は承認公聴会で12月利上げ示唆するも

「緩やかな利上げが望ましい」と発言

21・トランプ米大統領が北朝鮮を「テロ支援国家」に指定

19・独メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟による3党連立協議が決裂

16・下院で税制改革法案可決

11・APEC首脳会議でダナン宣言が採択され閉幕

・TPP閣僚級会合で大筋合意に至る

・米国上院共和党が連邦法人税率引き下げ開始を2019年とすると公表

9・日経平均株価はザラ場で約26年ぶりに2万3000円台を付けるも、

日中値幅が859円と2016年11月の米大統領選以来の大きさ

8・9月景気動向の基調判断は「改善を示している」と12ヶ月連続据え置き、

景気拡大局面は58ヶ月に達し、戦後2番目の長さでいざなぎ景気越え

7・日経平均株価は終値ベースでバブル崩壊後の高値を上回り、

1992年1月以来の水準で年初来高値更新

・サウジアラビアで王子や閣僚、富豪を含む有力者が汚職容疑で当局に拘束

5・トランプ米大統領来日

・BOE(

イングランド銀行)は政策金利を約10年ぶりに引き上げ

・米国下院共和党が連邦法人税率を即時20%へ引き下げるなど、税制改革法案公表

2・トランプ米大統領は次期FRB議長にパウエルFRB理事を指名

1・第4次安倍内閣発足

/ ・FOMCは金融政策現状維持を決定

11/9 23382

11/16 21972

11/6 114.73

11/27 110.84

(注)チャートの数値は、日本:10年国債利回りと米国:10年財務省証券利回りは終値で、その他はザラ場ベース。直近値は2018年2月13日の終値。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

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24000

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21000

23000

25000

27000

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28・北朝鮮新たな弾道ミサイル、もしくは人工衛星発射の準備を

進めている兆候があるとの報道

25・日経平均株価は終値ベースで年初来高値更新

・トランプ米大統領は税制改革法案に署名

22・2018年度予算案を閣議決定(97兆7128億円)

・スペインのカタルーニャ州議会選挙で独立支持派の3党が議席の過半数獲得

・米上院が1月19日までの暫定予算案を可決

21・日銀金融政策決定会合で金融政策据え置きを決定

20・米税制改革法案が上下院ともに可決

15・米与党共和党は子育て税額控除の拡充を含めた修正案で合意し、共和党

指導部は税制改革法最終案を公表、法人税は2018年から21%に引き下げ

13・FOMCは半年ぶりに主要政策金利を0.25%ポイント引き上げ、

2018年の経済成長率見通しを上方修正

7・米上院が12月22日までの暫定予算案を可決

・トランプ米大統領はエルサレムをイスラエルの首都として公式に認定、

米国大使館を移転する方針

6・日経平均株価は前日比445円安と今年最大の下げ幅

2・米上院で税制改革法案可決

1・フリン前米大統領補佐官がロシア高官との接触についてFRBに

虚偽の供述を認め、ロシア疑惑再燃(後の4日に誤報と伝わる)

12月 2018年1月 2月

日経平均株価・ドル円・NYダウ・日米の長期金利の推移と主な出来事

(円/米ドル)

(%)

2/13

日経平均株価 (終値)

21244円

2/13 米ドル・円 (終値)

107.82円

2/13

(米国)

2.829%

(日本)

0.071%

2/13 NYダウ

(終値)

24640ドル

12月 2018年1月 2月

日本:10年国債利回り(左軸)

米ドル・円(右軸)

米国:10年財務省証券利回り(右軸)

日経平均株価(左軸)

12/1 22994

12/6 22119

12/12 22994

12/15 22478

1/23 24129

NYダウ(左軸)

12/12 113.75

12/15 112.03

12/21 113.64

12/4 24534

12/7 24101

1/26 108.28

12/7 0.057

12/25 0.040

12/20 2.497

12/29,1/1 2.405

1/26 26616

30・トランプ米大統領は一般教書演説で戦後最大となる1.5兆ドル

の官民インフラ計画発表(日本時間31日)

・NYダウが過去最高値更新

・仮想通貨取引所コインチェックの仮想通貨「NEM」が不正アクセスに

より約580億円相当が流出

26・黒田日銀総裁がダボス会議で「2%物価目標にようやく近づいている」と発言

25・トランプ米大統領は強いドルを望むと発言

・ムニューシン米財務長官によるドル安容認発言

24・ドル円が約4ヶ月ぶりに一時108円台

23・日銀金融政策決定会合は現状維持決定、物価の現状判断は上方修正

・ペンス米副大統領は2019年末までに米大使館をエルサレムに移転すると表明

22・米上院が2月8日までのつなぎ予算の採決実施で合意

20・米連邦予算が失効し、政府機関の一部閉鎖(2013年10月1日以来)

16・経団連が春季労使交渉の指針に、3%の賃上げは社会的期待と明記

15・ドイツ連銀が人民元を外貨準備に組み入れ決定と明らかに

・カナダが米国の制裁関税は協定違反とWTO

に提訴

10・中国が外貨準備を通じた米国債購入ペースを落とすとの観測報道も、

中国政府当局は即座に否定

9・日本銀行が超長期ゾーンの国債買い入れオペを減額

8・アトランタ連銀総裁が「2018年の利上げ回数は2回で十分」と発言

5・フィラデルフィア連銀総裁が「2018年の利上げ回数は2回が適切」と発言

・東証一部の時価総額が初の700兆円突破

4・日経平均株価は前年末比741円高の2万3506円と

バブル経済崩壊後の1992年につけた高値を約26年ぶりに更新

12・トランプ米大統領は4兆4000億ドル規模に達する2019会計年度の予算教書を公表

・平昌冬季オリンピック開幕(~25日)

・米議会上下両院は3月23日までの暫定予算案や今後2年分の予算上限引き上げなど、

新たなつなぎ予算案を可決

9・4月8日任期満了の日銀総裁に黒田氏再任との報道

・英中銀総裁が早期追加利上げの可能性に言及

・米政府の一部が暫定予算の失効により政府閉鎖

8・NYダウは前日比1032ドル安と歴代2位の下げ幅

7・米与野党の上院指導部は2018~2019会計年度の予算上限枠の引き上げに合意

・VIX指数が一時、2015年8月以来の50超え

6・日経平均株価は前日比1071円安と、2016年6月以来の下落幅

・NYダウは前日比1175ドル安と下げ幅歴代1位も下落率は112位

5・パウエルFRB新議長就任宣誓式

3・イエレンFRB議長退任、パウエル新議長就任

2・日銀は2017年7月以来、約7ヶ月ぶりに指値オペ実施

2/6 21078

2/2 110.48

2/9 23360

2/1 0.100

2/12 2.859

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Nomura21 Global 2018年3月号

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Nomura21 Global 2018年3月号

今後の予定(2018年3月)

(注)発表日は現地時間。 (出所)各種資料より野村證券投資情報部作成

今後の予定(2018年3月)

2017年 1月 30-31日 31-2月1日 19日 2018年 1月 22-23日 30-31日 25日

2月 2月 3日パウエル新議長就任

3月 15-16日 14-15日 9日 3月 8-9日 20-21日 8日

4月 26-27日 27日 4月 26-27日 26日

5月 2-3日 5月 1-2日

6月 15-16日 13-14日 8日 6月 14-15日 12-13日 14日

7月 19-20日 25-26日 20日 7月 30-31日 31-8月1日 26日

8月 8月

9月 20-21日 19-20日 7日 9月 18-19日 25-26日 13日

10月 30-31日 31-11月1日 26日 10月 30-31日 25日

11月 11月 7-8日

12月 20-21日 12-13日 14日 12月 19-20日 18-19日 13日

金融政策決定会合の日程

日本 米国 ユーロ圏ユーロ圏米国日本

(日) 3月の国内政治・経済 (日) 3月の国際政治・経済

1 (米)2月自動車販売台数、(米)2月ISM製造業景況指数

(中)2月財新版製造業PMI、(ブラジル)10-12月期GDP

2 1月失業率、1月有効求人倍率 2 (カナダ)10-12月期GDP

1月全世帯家計調査 4 イタリア総選挙

5 (米)2月ISM非製造業景況指数、(ユーロ圏)1月小売売上高

(中)第13期全国人民代表大会第1回全体会議開会

6 (豪)金融政策委員会・政策金利発表、(南アフリカ)10-12月期GDP

7 (米)2月ADP雇用統計、(米)1月貿易収支、(豪)10-12月期GDP

(カナダ)金融政策委員会・政策金利発表

(トルコ)金融政策委員会・政策金利発表

8 日銀金融政策決定会合(~9日まで) 8 TPP11署名式(於チリ)、(ユーロ圏)金融政策委員会・政策金利発表

10-12月期GDP(2次速報) (独)1月製造業受注、(中)2月貿易収支、

1月経常収支、2月景気ウォッチャー調査 9 (米)2月非農業部門雇用者数、(米)2月失業率、(中)2月消費者物価指数

13 (米)2月消費者物価指数

14 1月機械受注 14 (米)2月小売売上高(速報)

春季労使交渉の一斉回答 (中)1-2月鉱工業生産、(中)1-2月小売売上高、(中)1-2月固定資産投資

15 (米)3月ニューヨーク連銀製造業景気指数

(米)3月フィラデルフィア連銀景況感指数、(NZ)10-12月期GDP

16 (米)2月住宅着工件数、(米)2月鉱工業生産

(米)3月ミシガン大学消費者マインド(速報)

18 (ロシア)大統領選挙

19 2月貿易収支 19 G20財務相・中央銀行総裁会議(於ブエノスアイレス、~20日まで)

2月全国百貨店売上高(※19-22日いずれか) 20 (米)FOMC(米連邦公開市場委員会)(~21日まで)

20 2月コンビニエンスストア売上高 (独)3月ZEW景況感調査

21 (米)2月中古住宅販売件数

(ブラジル)金融政策委員会・政策金利発表

22 3月製造業PMI(速報) 22 EU首脳会議(~23日まで)、(米)3月製造業PMI(速報)

2月スーパーマーケット売上高(※22-23日いずれか) (ユーロ圏)3月製造業PMI(速報)、(独)3月IFO企業景況感指数

(英)金融政策委員会・政策金利発表

(NZ)金融政策委員会・政策金利発表

(インドネシア)金融政策委員会・政策金利発表

23 2月全国消費者物価指数 23 (米)2月耐久財受注、(米)2月新築住宅販売件数

(ロシア)金融政策委員会・政策金利発表

29 2月小売業販売額 28 (米)10-12月期GDP(確報値)、(南アフリカ)金融政策委員会・政策金利発表

30 2月失業率、2月有効求人倍率 29 (トルコ)10-12月期GDP

2月鉱工業生産(速報)、2月住宅着工戸数 30 (米)3月シカゴ購買部協会景気指数

3月東京都区部消費者物価指数 31 (中)3月政府版製造業PMI

月中 次期日銀総裁・副総裁人事案を本会議で採決予定 月中 NAFTA再交渉期限

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Nomura21 Global 2018年3月号

今後の主要政治・経済予定

(注)日付は現地時間。全てを網羅しているわけではない。 (出所)野村證券経済調査部「国内外の政治・経済日程(2018年2月1日)」、各種資料より野村證券投資情報部作成

今後の主要政治・経済予定

年 月 日 日本 日 地域 海外

18 3 8 日銀金融政策決定会合(~9日) 4 欧州 イタリア総選挙

5 中国 第13期全国人民代表大会第1回全体会議開会

8 欧州 ECB政策理事会

18 欧州 ロシア大統領選挙

19 岩田日銀副総裁・中曽日銀副総裁任期 19 G20 G20財務相・中央銀行総裁会議(~20日、於ブエノスアイレス)

20 米国 FOMC(FRB議長記者会見有り)(~21日)

22 欧州 EU首脳会議(~23日)

月中 世界 NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉期限

4 8 黒田日銀総裁任期 20 世界 世銀・IMF春季会合(~22日、於ワシントン)

G20 G20財務相・中央銀行総裁会議(於ワシントン)

25 アジア ASEAN首脳会議(~28日、於シンガポール)

26 日銀金融政策決定会合(~27日)、展望レポート(27日) 26 欧州 ECB政策理事会

中旬 米国 財務省半期為替報告書発表

5 1 米国 FOMC(FRB議長記者会見無し)(~2日)

6 14 日銀金融政策決定会合(~15日) 8 G7 G7首脳会議(~9日、於カナダ・シャルルボワ)

12 米国 FOMC(FRB議長記者会見有り)(~13日)

14 欧州 ECB政策理事会

世界 FIFAワールドカップ(~7月15日、於ロシア)

22 世界 OPEC総会(於ウィーン)

28 欧州 EU首脳会議(~29日)

7 30 日銀金融政策決定会合(~31日)、展望レポート(31日) 1 世界 メキシコ大統領・議会選挙

11 世界 NATO(北大西洋条約機構)首脳会議(~12日)

21 G20 G20財務相・中央銀行総裁会議(~22日)

26 欧州 ECB政策理事会

31 米国 FOMC(FRB議長記者会見無し)(~8月1日)

8 月末 欧州 ギリシャ向け第3次金融支援終了予定

9 18 日銀金融政策決定会合(~19日) 13 欧州 ECB政策理事会

18 世界 第73回国連総会(~30日、於ニューヨーク)

30 自民党総裁任期(自民党総裁選) 25 米国 FOMC(FRB議長記者会見有り)(~26日)

10 30 日銀金融政策決定会合(~31日)、展望レポート(31日) 7 世界 ブラジル大統領選挙・議会選挙(28日決選投票)

12 世界 世銀・IMF年次会合(~14日、於インドネシア・バリ島)

18 欧州 EU首脳会議(~19日)

25 欧州 ECB政策理事会

月中 中国 中国共産党第19期中央委員会第3回全体会議(3中全会)

11 6 米国 中間選挙(下院全議席・上院1/3議席の改選)

7 米国 FOMC(FRB議長記者会見無し)(~8日)

11 アジア ASEAN首脳会議(~15日、於シンガポール)

12 世界 APEC首脳会議(於パプアニューギニア・ポートモレスビー)

30 G20 G20首脳会議(~12月1日、於ブエノスアイレス)

月末 世界 OPEC総会

12 19 日銀金融政策決定会合(~20日) 13 欧州 ECB政策理事会

欧州 EU首脳会議(~14日)

18 米国 FOMC(FRB議長記者会見有り)(~19日)

月中 中国 中国・中央経済工作会議

年内 アジア タイ総選挙

19 3 29 欧州 英国のEU離脱交渉期限

5 1 改元

10 1 消費税率引き上げ予定(8→10%) 20 欧州 ギリシャ総選挙実施期限

31 欧州 ドラギECB総裁任期

20 7 24 東京五輪 (~8月9日)

11 3 米国 大統領選挙、議会選挙

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日本:景気拡大とともに強力な金融緩和が続く

輸出の拡大や消費の回復が進み、外需・内需ともに良好です。企業業績の改善が

賃金の上昇を通じ、更なる消費拡大へとつながる好循環が期待されます。野村證券

では、2018年の経済成長率を前年比+1.4%と予想します。

インフレ率は日本銀行の2%の物価目標に届かず、金融政策については少なくとも

2019年まで、現在の強力な金融緩和策が維持され続けると予想します。

中国:安定成長が続く

中国政府当局の安定化策が奏功し、金融市場は安定しています。野村證券では

2018年の成長率を前年比+6.5%と予想します。

資源・新興国:金融市場は安定

米国発の株価急落に際し、新興国からの資金逃避などは今のところ確認されていま

せん。

野村證券は2018年末にかけて、原油価格は1バレル=55~65米ドル程度で横ば

いの推移が続くと予想します。

世界:米国がけん引する景気拡大

野村證券は2018年の世界経済成長率を前年比+4.1%と予想します。米国の成

長加速が世界景気を押し上げるでしょう。米国長期金利の上昇で、金融市場の変

動が大きくなっていますが、世界景気への影響は限定的とみられます。

米国:減税や歳出拡大により景気が加速

2017年末の税制改革法と、2018年の歳出拡大法の成立を受け、財政政策による

経済成長の加速が見込まれます。野村證券では、2018年の米国経済成長率につ

いて、+2.7%から+3.0%へと見通しを上方修正します。

野村證券はFRB(米連邦準備理事会)による次回の利上げは2018年3月で、年内

の利上げは3ヶ月毎の4回と予想します。2019年の利上げは、3月と9月の2回を予

想します。政策金利の最終的な到達点は3%程度と予想され、このあたりが長期金

利の水準の落ち着きどころになると考えます。

米国企業業績は減税効果もあり、S&P500指数構成企業のEPS(1株当たり利

益)の市場予想は、2018年に前年比+18.5%の増加が予想されています。

ユーロ圏:緩やかな金融正常化の下で景気拡大が続く

野村證券はECB(欧州中央銀行)による資産購入が2018年9月末に終了し、10-

12月期に利上げが決定されると予想します。

欧州経済は製造業の景況感指数に見られるとおり、景気拡大局面が続いています。

良好な経済環境の下、政治イベントで市場リスクが高まる可能性は低いと考えます。

投資環境の考え方

投資環境の考え方

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Nomura21 Global 2018年3月号

日本株の割安感が強まる

投資戦略の概要

投資戦略の概要

2月初旬に、米国発で世界的な株価急落が起きました。その理由は、これまで異例に低い

水準にとどまっていた米国長期金利が、急上昇したことによります。我々は、インフレと金利

の急上昇が、当面最も注意すべきリスクと考えてきました。米国の株式市場は金融相場

から業績相場へと移っています。財政赤字の拡大や、景気拡大による利上げ加速期待も、

金利の先行きに対する不透明要因です。まずは、3月のFOMC(連邦公開市場委員会)で

金融政策の具体的な道筋が示されることが、金利の安定化に向けて必要と考えます。

一方、米国の実体経済は堅調です。急落の起きた米国株でも、足元ではイールド・スプ

レッドで見て株式の魅力は薄れておらず、企業業績の強い拡大が続いています。また、過

去を振り返ると、長短金利差が逆転する逆イールドにならない限り、金利上昇局面では株

価の上昇基調が続いています。

野村證券では、「世界的な景気拡大が続く中、先進国を中心に株価の上昇基調が続

く」と考えます。世界経済のリスクについて見ると、主要国の景況感や在庫の動きなどで見て、

特に変化は起きていません。また、ドル円相場では幾分円高が進み、日米金利差との関係

が短期的に崩れるといった動きがみられます。しかし、今回の市場の混乱において、新興国

通貨が急落するといった事態には至っていません。総じて、新興国を含む世界経済への悪

影響は抑えられています。時間の経過とともに、先進国の株式市場は落ち着きを取り戻

してゆくと考えられます。

日本について、株価急落の影響を検証するには、今後の経済統計の発表を待たねばなり

ませんが、我々は経済への悪影響は小さいと考えます。輸出の増加や消費の改善など、需

要動向は良好です。賃金上昇は内需につながる好循環を示唆しています。また、人手不

足が深刻化している宅配便や職業紹介だけでなく、ソフトウェア開発など付加価値の高い

事業についても、相対的に値上げが進むなど、サービス価格の方向性に変化が見られます。

金融政策については、日本銀行の総裁・副総裁人事が大詰めを迎えていますが、黒田総

裁留任など概ね想定内の人選となり、強力な金融緩和が続くと見込まれます。この様な環

境の下、現状程度の円高では、2018年度の増益の見方が崩れることは無いでしょう。

今回の株価急落によりPBR(株価純資産倍率)が1.35倍、PER(株価収益率)が13倍台

に低下したことを踏まえ、我々は日本株がより割安になったと考えます。

投資戦略について、野村證券では、生産性向上に資する製品やサービスを提供する企業

は、中長期的に有望と見ています。しばらく、市場の変動は続く可能性がありますが、ファン

ダメンタルズが強いことから、下落局面では日米株への押し目買いが有効と考えます。今

月の銘柄選択について、日本株はサービス業を軸に考え、ビッグデータやIoT(モノのインター

ネット)の広がりを背景に、企業のシステムやソフトウェア投資の拡大が見込まれることから

野村総合研究所を新たに選択し、国内外の経済成長により広告市場の拡大が期待され

ることから電通を組み入れました。また、米国株では消費の拡大が広がりを見せ、インター

ネットを通じた旅行などのサービス消費がますます増えると予想されることから、プライスラ

イン・グループを組み入れることとしました。

(小髙 貴久)

米国長期金利の急上昇が波乱要因

米国の実体経済は堅調

世界市場の混乱リスクは小さい

投資戦略・銘柄選択

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Nomura21 Global 2018年3月号

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投資環境・銘柄選定の考え方

拡大 緩やかな上昇

今後の見通し 米国の株式市場循環

(注)左図は、GDP(増加/減少)と金利(上昇/低下)の4局面別の、①S&P 500 平均リターン、②その滞留期間、③S&P 500 をアウトパフォームする確率の高い業種、を示したもの。分析期間は1995年第2四半期~2014年第1四半期。業種はGICS(世界産業分類基準)による10セクター。

(出所)野村證券投資情報部作成

増加 減少

上昇

低下

• 公益

• 通信サービス • エネルギー

• 一般消費財

• 素材 • 生活必需品

• 金融

• 資本財

• 情報技術

• ヘルスケア

1 2

3 4

+20.1% (35四半期)

+4.4% (33四半期)

-45.2% (4四半期)

+0.8% (4四半期)

本 生産の増加が続くものの長期金利は低位安定

投資環境・銘柄選定の考え方

横ばい

今後の見通し

前号からの変化

変更なし

日本の株式市場循環

(注)左図は、生産(増加/減少)と金利(上昇/低下)の4局面別の、①TOPIX平均リターン、②その滞留期間、③TOPIXをアウトパフォームする確率の高い業種、を示したもの。分析期間は1961年1

月~2013年9月。業種は、TOPIX17シリーズに基づく。

(出所)野村證券投資情報部作成

増加 減少

上昇

低下

• 運輸・物流

• 情報通信

• 小売

• 建設・資材

• 自動車

• 鉄鋼・非鉄

• 機械

• 電機・精密

• 商社

• 銀行

• 金融(除く銀行)

• 医薬品

• 電力・ガス

• 不動産 • 素材・化学

• エネルギー・資源

1 2

3 4

+10.0% (191ヶ月)

+9.9% (268ヶ月)

-3.4% (128ヶ月)

-2.0% (32ヶ月)

・食品

拡大

輸出の増加が製造業の生産活動を活発化させています。持続的な景気拡大は、非製造

業のサービス活動にも波及するなど広がりをみせており、経済環境は良好です。

米国を中心に長期金利が上昇していますが、我が国では日本銀行による強力な金融緩和

が粘り強く維持されており、金利は低位に抑制され続けると見られます。

米国 金利上昇が緩やかなものにとどまる中で情報技術関連銘柄に注目

利上げと景気拡大が進む中、抑制されていた長期金利が上昇に転じました。減税や財政

支出の拡大が景気を後押しする中、長期金利は緩やかな上昇が続くと予想されます。

グローバルに競争力を発揮し、業容が拡大している情報技術企業を選好します。国内消

費は堅調で、テクノロジーを活用して消費に関連した事業を展開する企業が注目されます。

前号からの変化

金利の現状を上方修正

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投資環境・銘柄選定の考え方

1

2

3

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・・・ 景気拡大と共に金利も上昇

・・・ 金利上昇で景気にブレーキ

・・・ 景気減速で金利も低下

・・・ 金利低下で景気が回復 (出所)野村證券投資情報部作成

循環図の見方 : 景気指標と金利で株式循環の局面を捉える

・景気指標(GDP、鉱工業生産等)の増加 /減少と、金利の上昇 /低下で株式市場の循環局面を捉える (下左図)。一般的には、時計と逆回りに推移する。

・各局面において、相対的に株価が優位に推移する傾向がある業種を、下左図内に記載して示している。

4 1 2 3 4

株式市場循環図

増加 減少

上昇

低下

1 2

3 4

欧州 ユーロ圏の景気は堅調でECBは金融政策の正常化に向け踏み出す

拡大 緩やかな上昇

(注1)左図は、GDP(増加/減少)と金利(上昇/低下)の4局面別の、①ユーロストックス平均リターン、②その滞留期間、③ユーロストックスをアウトパフォームする確率の高い業種、を示したもの。分析期間は1999年第2四半期~2014年第2四半期。(注2)金利は欧州委員会発表のユーロ圏マネタリー・コンディション指数で代替。同指数は短期金利と実効為替相場の加重平均から求められ、金融状況の引き締め・緩和状態を示す(上昇は金融引き締め、低下は同緩和となる)。(注3)業種は産業分類ベンチマーク(IBC)に基づく19のスーパーセクターが対象。 (出所)ブルームバーグ、Reuters Datastreamより野村證券投資情報部作成

増加 減少

上昇

低下

• 通信 • 小売 • メディア • ヘルスケア • 食品・飲料 • 旅行・レジャー • 資本財サービス

• 自動車・同部品

• 公益

• 建設・資材 • 基礎資源

• 不動産

• 銀行

• 保険

• パーソナル&家庭用品

• 化学

• 金融サービス • 石油ガス

1 2

3 4

+15.5% (31四半期)

+8.3% (18四半期)

+1.0% (8四半期)

-7.6% (4四半期)

今後の見通し 欧州(ユーロ圏)の株式市場循環

ECB(欧州中央銀行)の金融政策正常化を前に、既にユーロ高が進んでいます。通貨高を

通じて、実質的に金融引き締め効果が出ており、市場のインフレ期待は抑制されています。

設備投資などの内需が堅調に推移しています。良好な経済環境が続いており、政治イベン

トで市場リスクが高まる可能性は低いと判断されます。

前号からの変化

変更なし

• テクノロジー

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(年)

(注)データは日次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

不透明感

シカゴ・オプション取引所がS&P500指数を対象とす

るオプション価格を元に算出し、公表しているボラティ

リティ(変動率)・インデックスのことです。

投資家の将来の不安心理を示す数値として利用さ

れており、通称「恐怖指数」と呼ばれています。

VIXの数値が高いほど、投資家は相場の先行きに不

透明感を持っているとされます。

通常は、10から20の間で推移することが多く、30を

超えるとパニック的な状態に、40を超える局面では市

場全体の不安心理は極致に近く、これまでの経験か

ら株式が売られ過ぎのサインと考える見方もあります。

VIX(ボラティリティ・インデックス)

今月のキーワード

今月のキーワード

順イールド・逆イールド イールド(yield)は、利回りを指します。

順イールドは、残存期間(満期日までの期間)が長い

債券の利回りの方が、残存期間が短い債券の利回

りよりも高い状態を指します。

将来的に金利が上昇するとの市場の期待が形成さ

れている場合は、短期金利よリ長期金利の方が高く

なります。通常の経済状況では、金利は順イールドに

なることが多いです。

一方、残存期間が短い債券の利回りの方が、残存

期間が長い債券の利回りより高い状態のことを逆

イールドと言います。

逆イールドが発生する条件としては「中央銀行による

金融引き締めペースが強い」「景気後退及び減速懸

念が台頭している」などが挙げられます。

適温経済 経済が、インフレ(物価上昇)が加速するほど過熱して

おらず、不況になるほど冷めていない、ほどよい状態に

あることを指します。

2017年は、先進国を中心に好景気にもかかわらず

物価が上がらない状況が続きました。

物価上昇が抑制された状況の下では、中央銀行に

よるQE(量的金融緩和政策)などの縮小ペース、ある

いは政策金利の引き上げペースが緩やかなものにとど

まるとの期待が高まります。

その結果、長期金利の上昇や景気悪化の程度が緩

和され、金融市場では楽観論が強まっていくことから、

資金が安全資産からリスク資産へ流入し、相場を押

し上げるとされています。

イールド・スプレッド 債券同士の利回り格差や株式と債券の利回り格差

などを指します。それぞれの利回りを比較することで相

対的な割高感、割安感を判断する指標のひとつとな

ります。

債券同士の場合は、一般的に長期(10年国債など)

国債を基準に、残存期間や信用度から債券利回り

の割安・割高を判断します。

債券と株式の場合は、長期国債の利回りから株式

配当利回り(=年間配当金÷株価)や株式益利回り

(=1株当たり利益÷株価)を引いた数値を比較します。

債券と株式のイールドスプレッドの値が小さくなる(株

式の利回りが高くなる)ほど、株式が割安になることを

示します。その際の資金の流れは、株式から債券に

向かっていることになります。債券は株式より安全資

産とされていますので、資金が相対的に安全志向し

ていると言えます。

一方、債券と株式のイールドスプレッドの値が大きくな

る(株式の利回りが低くなる)ほど、株式が割高になる

ことを示します。資金が相対的にリスク資産へ向かっ

ていると言えます。

順イールド

逆イールド

将来、金利が上がる

との市場の期待

将来、金利が下がる

との市場の期待

短期金利より 長期金利が高くなる

短期金利より 長期金利が低くなる

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略

2月5日にNYダウは史上最大の下げ幅となり、投資家心理の不安度合いを示

す、いわゆる恐怖指数と呼ばれるVIX指数は、2015年8月の人民元切り下げ時

以来の高さに上昇しました。米国だけでなく世界各国の株価も大きく下落し、

2016年からの株価上昇の一定幅を失う格好となりました。当面、市場が長期

金利や株価の落ち着きどころを探る、不安定な局面が続く可能性があります。

米国では景気拡大と金融政策の正常化が続く中で、10年国債利回りで見た

長期金利が、2.5%以下の異例の低水準にとどまっていました。コアPCE(個人

消費支出)デフレーターで見たインフレは落ち着いていますが、2月に物価の先行

指標と言われる賃金上昇率が予想外に高まり、利上げ加速期待が強まりました。

この長期金利の急上昇により、米国発で世界の株価下落が起きました。

米国で賃金上昇をきっかけに長期金利が約4年ぶりの水準に

米国株の急落で「恐怖指数」は2015年の人民元ショック以来の水準

(注)政策金利と10年国債利回りは日次で、直近の値は2018年2月13日。時間当たり賃金上昇率とコアPCE(個人消費支出)デフレーターは月次で、直近の値はそれぞれ2018年1月、2017年12月。バーナンキ・ショックは、バーナンキFRB議長(当時)が議会証言で量的緩和縮小に言及したことに端を発する金融市場の混乱を指す。 (出所) ブルームバーグ、米商務省、米労働省より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)VIX指数は、S&P500指数のオプション価格を元に算出されるボラティリティ・インデックスで、指数の上昇は株価変動が大きくなる予想を反映する。VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれている。データは日次で、直近の値は2018年2月13日。網掛け部分は、上に示したイベント前後でVIX指数が上振れていた時期を示す。「4つのC」とは、2016年初に連鎖的/複合的に発生した原油(Crude Oil)価格下落、新興国通貨(Currency)下落、欧州銀行問題などの信用(Credit)懸念、中国(China)景気懸念を総称する言葉。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

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16000

18000

20000

22000

24000

26000

28000

2013 2014 2015 2016 2017 2018

日経平均(左軸)

(年)

NYダウ(左軸)

VIX指数(右軸)

2016/6/23

英国民投票

2016/1-2月

「4つのC」

2016/11/8

米大統領選

(ドル、円) (%) 2018/2/2

米賃金上振れで

長期金利上昇 2015/8/11

人民元切り下げ

2013/5/22

バーナンキ ・ショック

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

2013 2014 2015 2016 2017 2018

(%)

(年)

時間当たり賃金上昇率

(前年同月比) 10年国債利回り

政策金利

コアPCEデフレーター

(前年同月比)

2013/5/22

バーナンキ・ショック

2016/11/8

米国大統領選挙

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15

Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略 15

Nomura21 Global 2018年3月号

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

12

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2000 2005 2010 2015 2020 2025

(名目GDP比、%) (名目GDP比、%)

2017年6月時点での見通し

現時点(2018年2月12日)

での見通し

見通し

連邦政府財政赤字

(右軸)

連邦政府債務残高

(左軸)

(年/年末)

↑財政赤字拡大

見通し修正増額分

減税やインフラ投資などの政策により、財政赤字の拡大が懸念されます。

CBO(議会予算局)は、これらの政策により、毎年の財政赤字の対名目GDP比

が、将来にわたり4%弱での推移から5%台へと悪化し、債務残高が拡大する予

想を公表しました。財政の悪化は長期金利の上昇要因となります。今後、財政

規律をどのように守るのか、政策動向への注意が必要とされます。

米国長期金利の急上昇は、世界の株式市場のリスクと言えます。米国の景気

拡大が続く中、インフレや財政・金融政策に対する不透明さは、金利の変動要

因です。一方、世界経済を見渡すと、在庫調整や資源・新興国からの資本流

出などは見られていません。世界的な金融市場の混乱が起きる可能性は小さい

と判断されます。

世界経済・市場環境の概要

米国財政赤字の拡大は金利上昇圧力に

(注)全てを網羅しているわけではない。 (出所)野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)2018年以降は、推計時点で法案化された政策を前提に算出された見通し。CBO(議会予算局)の経済見通しに基づく。現時点での見通しは2月12日時点のもので、CRFB(Committee for a Responsible Federal Budget)がCBOの推計を基に現時点まで成立した法案の内容を反映させたもの。 (出所)CBO、CRFB資料より野村證券投資情報部作成

■米国長期金利上昇リスク

• インフレ懸念

■米国経済

■その他海外

• 主要国の在庫調整リスクは小さい

• 資源・新興国からの資金逃避は見られない

• 先進国の金融政策正常化の道筋は不変

米国長期金利が落ち着くまで株価変動は大きいだろう 結論

• 景気は堅調で企業の増益が加速

• 財政悪化懸念

• 金融政策の道筋の不透明さ

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16

Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

(%)

(年)

米10年国債利回り

米FF金利誘導目標

(レンジの中間値)

野村證券予想(2018年2月11日変更)

野村證券予想(変更前)

FOMCが想定する

FF金利目標

米国では、金利などの市場環境に影響を及ぼすイベントが多数予定されていま

す。特に、11月の中間選挙に向け、7月下旬の議会休会前までは、政治的成

果を示そうと、予想外の展開となる可能性があります。また、金融政策面では、

FOMCで示される経済や政策金利の見通しに加え、パウエル議長の記者会見

の内容が注目されます。

FRB(米連邦準備理事会)議長が、イエレン氏からパウエル氏に交代しました。

金利の安定化には、今後の金融政策運営の明確化が必要です。市場が不安

視するのは、景気拡大が進む中で、適正な金利水準の居所が不透明なことに

あります。野村證券では、政策金利の最終的な到達点は3%程度となり、長期

金利もその近くに収れんしてゆくと考えます。

米国の長期金利は3%程度が目途

米国の金融政策や政治関連のポイント

(注)データは週次で、直近値は2018年2月14日時点。米FF金利目標は、FRBの政策目標であるフェデラルファンド金利のレンジの中間値。FOMCは米連邦公開市場委員会。野村證券予想は2019年末まで。 (出所)FRB、ブルームバーグ、野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)全てを網羅しているわけではない。 (出所)ホワイトハウス、各種報道資料、野村證券経済調査部等より野村證券投資情報部作成

2018年11月6日 中間選挙

3月20-21日

暫定予算期限

3月 NAFTA(北米自由貿易協定)交渉期限

FOMC(米連邦公開市場委員会)

• 交渉決裂の場合、トランプ大統領がNAFTA離脱に言及する可能性

トランプ大統領は2018年7月1日のメキシコ大統領・議会選挙を踏まえ、柔軟に対応するとも発言

• パウエルFRB議長の記者会見とFRBの経済見通し公表がある

• つなぎ予算のたびに、不成立となれば政府閉鎖のリスク

3月23日

米国議会現有議席数

上院 (全100議席、過半数51議席:うち33議席が2018年に改選)

共和党 51 民主党 47 無所属 2

2018年改選議席 8 23 2

下院 (全435議席、過半数218議席:全議席が2018年に改選)

共和党 239 民主党 193 欠員 3

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略 17

Nomura21 Global 2018年3月号

米国の設備投資は加速局面に入っています。企業業績の改善や国内景気の

堅調さが背景にあります。また、トランプ政権は米国への投資を促す政策を進め

ています。法人税率も引き下げられ、今後、米国での設備投資はさらなる拡大

が見込まれます。

米国では個人消費が名目GDPの7割弱を占めるため、経済動向を判断する上

で重要です。足元の個人消費は堅調で、米国景気の良好さを示しています。小

売売上高は、2017年の年末にかけて好調に推移しました。2018年1月は前月

から幾分減速したものの、高い伸びが続いています。インターネットを通じた電子

商取引が消費をけん引しています。

米国の消費は拡大傾向

米国の設備投資は加速局面に

(注)小売売上高は、変動の大きい食品や自動車を除くコアの前年同月比の推移。電子商取引等は、非店舗小売売上高。データは月次で、直近の値は2018年1月。 (出所)米商務省より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)データは四半期で、直近の値は実質機械設備投資が2017年10-12月期、米フィラデルフィア地区連銀調査が2018年1-3月期。細線は実質機械設備投資の実績値。 (出所)米フィラデルフィア地区連銀、米商務省資料より野村證券投資情報部作成

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 (年)

(前年同月比、%)

電子商取引等

小売売上高 (除く食品・自動車)

2018/1 +4.5%

2018/1 +10.2%

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

-20

-10

0

10

20

30

40

50

2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

(前期比年率、%)

(年)

米フィラデルフィア地区連銀調査

設備投資計画(左軸)

実質機械設備投資(右軸)

実質機械設備投資

4四半期移動平均(右軸)

(「増やす」-「減らす」、%ポイント)

関連銘柄

米国小売・消費関連

P 107 (A3311)アマゾン・ドットコム

P 113 (A5608)ビザ

など

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略

2017年10-12月期の企業決算が出そろいつつあります。法人税減税の業績へ

の影響が注目されていましたが、企業の業績見通しのガイダンスなどを受け、市

場予想への織り込みが進んでいます。2018年を通じて、EPS(1株当たり利益)

は10%台後半の高い増益率が続く見通しです。この伸び率はリーマン・ショックか

らの復調局面にあった2011年上半期以来となります。

株式益利回りとは、予想EPS(1株当たり利益)を株価で割ったもので、株価ベー

スの収益性を見たものです。米国では10年国債利回りが上昇していますが、予

想EPSの増加や株価の下落により、株式益利回りも上昇しています。両者の利

回りの差をとったイールド・スプレッドを見ると、債券に対する株式の相対的な魅

力は薄れてはいないようです。

米国イールド・スプレッドでは株式の相対的な割安感

米国企業決算発表を経て、業績の上方修正が強まった

(注)株式益利回りは、予想EPS(1株当たり利益)÷株価であり、PER(株価収益率)の逆数。予想EPSは12ヶ月先予想ベースで、S&P500指数を対象としている。イールド・スプレッドは、国債利回りー株式益利回りで、値が大きいと債券割安・株式割高、値が小さいと債券割高・株式割安を示す。直近の値は2018年2月13日。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)推定・予想はトムソン・ロイターによる。推定は終わった期で実績の集計が未完了の値。2017年10-12月期が推定で、2018年1-3月期以降が予想。棒グラフで、2017年12月15日時点のEPS予想に対し、税制改革法の成立を経て集計された2018年2月9日時点にかけて上方修正された分を赤色で積み上げた。 (出所)トムソン・ロイターより野村證券投資情報部作成

30.1

27.0

30.9

33.5

14.2

16.5 17.6

19.0

15.1

0.1

-5.7

14.6

7.2 11.1

10.7 10.8 12.0

11.0

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10

-12推

1-3

4-6

7-9

10

-12予

2015 2016 2017 2018

(ポイント)

(年)

(月期)

推定・予想 (%)

前年同期比

(右軸)

S&P500指数EPS

(左軸)

35.8 36.0

38.3

39.8 41.2

2017年12月15日時点

2018年2月9日時点

(上方修正後)

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 (年)

(%)

②株式益利回り

①10年国債利回り

(①-②)イールド・スプレッド

相対的に債券割安

相対的に株式割安

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略 19

Nomura21 Global 2018年3月号

現在は金融相場から業績相場への移行期間であり、長期金利は、その居所を

見定めるべく、変動しやすい局面が続きそうです。しかし、過去を振り返ると、米

国では利上げが続く間、株価の上昇傾向が続く傾向があります。株価の下落は、

利上げの最終局面で長短金利が逆転する前後から始まるのが一般的です。

S&P500指数のEPS(1株当たり利益)は、2017年以降の業績拡大が鮮明です。

特に、2018年は減税の効果が色濃く出ています。株価とEPSは長期的に連動

しており、2017年の株価上昇はこの動きに沿ったものでした。2018年2月初旬の

株価急落は、長期的な推移の中では一時的なものとなる可能性が指摘できま

す。

米国S&P500株価指数はEPSの増加に沿った推移

米国では過去の利上げ期間中は株価上昇局面

(注)S&P500指数は月次で、直近の値は2018年2月14日。EPSは年次で、2017年以降は2018年2月9日時点のトムソン・ロイターによる市場予想。 (出所)トムソン・ロイターより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)データは日次で、直近の値は2018年2月14日。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

-1000

-500

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

(%)

(ポイント)

(年)

政策金利

(左軸)

S&P500指数

(右軸)

米10年国債利回り

(左軸)

利上げ局面

76

88 85

65 61

85

98 104

110

119 117 118

132

157

173

0

400

800

1200

1600

2000

2400

2800

3200

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2005200620072008200920102011201220132014201520162017201820192005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019

(ポイント) (ポイント)

(年)

米S&P500指数

EPS (左軸)

米S&P500指数

(右軸)

米S&P500指数EPS

市場予想

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略

日本、米国、中国の実質在庫の過剰感は殆ど見られません。景気拡大の下で、

将来の需要を見込み在庫を用意する、意図した在庫積み上げ局面と言えます。

在庫が過剰に積み上がり、世界経済が在庫調整から景気後退に陥る状況には

無いようです。在庫循環の観点から、株価の調整局面が長期化する可能性は

低いと思われます。

世界の名目GDPの6割を占める日本、米国、中国、ユーロ圏では、製造業の活

動が、いずれも良好です。特に、米国やユーロ圏は高い水準にあります。先進国

を中心に、循環的な景気拡大が続いています。日本でも製造業の景況感の改

善が進んでいます。

主要国の製造業景気指数は世界の景気拡大を示す

主要国の在庫調整リスクは小さい

(注)データは月次で直近の値は2018年1月。定義上50%が景気の好不況の分岐点。米国はISM製造業指数、日本、ユーロ圏は製造業PMI(購買担当者景気指数)、中国は政府版製造業PMI。 (出所)中国国家統計局、中国物流購買連合会、米供給管理協会(ISM)、Markit Groupより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)日米中の製造業の実質在庫の前年同月比(欧州には比較可能なデータは存在しない)。データは月次で、直近の値は2017年12月。中国、米国については、生産者物価指数を用いて名目在庫を実質化して算出。 (出所)CEICデータベースより野村證券投資情報部作成

42

44

46

48

50

52

54

56

58

60

62

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 (年)

(%)

日本

米国

ユーロ圏

中国

2016年9月以降4地域の

景況感がそろって50%超え

4地域の景況感がそろって

50%を超えている局面

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

(製造業の実質在庫:前年同月比、%)

日本

米国

中国

(年)

3地域の在庫がそろって前年同月比マイナスの局面

2016年9月以降、3地域の在庫がそろって前年同月比マイナスとなったが、2017

年4月には中国が同プラスに転じた

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略 21

Nomura21 Global 2018年3月号

90

95

100

105

110

115

120

125

130

135

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2.4

2.6

2.8

3.0

2015/1 2015/7 2016/1 2016/7 2017/1 2017/7 2018/1

(%)

(年/月)

(円/1米ドル当たり)

米ドル高・円安

米ドル安・円高

米ドル円レート (右軸)

日米10年国債利回り差 (左軸)

-9.3

-7.3

-7.1

-6.1

-6.0

-4.9

-4.8

0.0

1.7

1.7

3.8

4.7

-15 -10 -5 0 5 10

ブラジル・レアル

メキシコペソ

インド・ルピー

南ア・ランド

豪ドル

トルコリラ

ロシア・ルーブル

人民元

ユーロ

英ポンド

スイス・フラン

2013年5月

バーナンキ・ショック

通貨上昇

通貨下落

主要先進国

資源

・新興国

(対米ドル騰落率)

-3.7

-3.8

-7.2

-4.6

-8.0

-7.1

-2.8

2.4

-0.9

1.1

3.3

-15 -10 -5 0 5

2015年8月

人民元切り下げ

-10.8 -1.6

-1.3

-0.2

1.2

-1.4

-1.3

-1.4

-0.7

-0.5

-1.9

-0.3

2.2

-10 -5 0 5

2018年2月

NYダウ史上最大の下げ幅

(%)

過去、市場がリスク回避姿勢を強める出来事が起きた時は、対米ドルで先進国

の通貨が上昇し、資源・新興国の通貨が大きく下落しています。新興国からの

資金の逃避は、新興国の景気に悪影響を及ぼしました。一方、2018年2月の

株価急落局面では、そのような為替市場の変調は起きていません。

日米10年国債利回り差とドル円相場の連動性が崩れています。米国の長期金

利上昇が想定外の速度で進み、市場がリスクととらえ、リスク回避としての円買い

が進んだ面があると言えます。日米の金融政策に対する市場の見方が落ち着く

に従い、為替と金利差との関係が戻ると予想します。

金利差と米ドル円相場の関係が崩れている

主なリスク回避時の対米ドル相場の為替騰落

(注)データは日次で、直近の値は2018年2月15日。日米10年国債利回り差は、米国10年国債利回り-日本10年国債利回りの値。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)①バーナンキ・ショック(2013年5月22日)はバーナンキFRB議長(当時)が議会証言で量的緩和縮小に言及したことに端を発する金融市場の混乱を指す。この期間の為替の対米ドルの騰落率は、2013年5月21日から6月21日の1ヶ月間。②人民元切り下げ(2015年8月11日)は、人民元が対米ドルで1.9%切り下げられた。この期間の為替の対米ドルの騰落率は、2015年8月10日から9月10日の1ヶ月間。 ③NYダウが1175ドルの史上最大の下げ幅を記録(2018年2月5日)について、為替の対米ドルの騰落率は2018年2月1日から2月14日の期間を図示した。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

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22

Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略

ロシア

2月の米国発の株式市場の変調が実体経済に悪影響を及ぼす可能性は、現

時点で小さいと予想されます。各国のこれまでの金融政策の方向性は維持され、

先進国は概ね緩やかに金融政策の正常化に向かうものと考えられます。また、

主要な新興国ではインフレが落ち着きを見せていることから利下げ局面にあり、

実体経済と金融政策のバランスがとれた状態が続くでしょう。

中国の経済環境は良好で、2017年以降は外貨準備の減少に歯止めがかかり、

資本流出懸念は後退しています。人民元の対米ドル相場は、2015年8月の人

民元切り下げ前の水準近くにまで上昇しています。中国政府当局の市場安定

化策が奏功していると言えるでしょう。

人民元相場は対米ドルで大きく上昇

先進国を中心に金融政策正常化の道筋は変わらず

(注)データは人民元相場が日次で、直近の値は2018年2月14日、外貨準備が月次で2018年1月。値の上は左から(年/月/日) (出所)中国人民銀行、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)全てを網羅しているわけではない。日付は、利上げや利下げを開始した月、または、政策金利の据え置きが始まった月。ユーロ圏は債券買入規模の縮小が始まる月。データは2018年1月18日時点。 (出所)各国中央銀行、各種資料より野村證券投資情報部作成

5.8

6.0

6.2

6.4

6.6

6.8

7.0

7.22.8

3.0

3.2

3.4

3.6

3.8

4.0

4.2

2013 2014 2015 2016 2017 2018

(兆ドル) (人民元/1米ドル当たり)[逆目盛]

(年)

人民元高

人民元安

人民元/米ドル

(右軸)

中国外貨準備

(左軸)

2015/8/11

人民元対米ドル

1.9%切り下げ

2018/2/14

6.34

2018/1

3.16

利上げ 金利据え置き 金融緩和姿勢 利下げ

2015年12月~

累計利上げ

+1.25%

2017年7月~

2017年11月~

累計利上げ

+0.75%

累計利上げ

+0.25%

2016年8月~

2015年10月~

政策金利

据え置き

政策金利

据え置き

国債買入れ残高年間

80兆円増加

ETF年間

6兆円買入れ

2016年10月~

累計利下げ

-7.50%

2015年1月~

累計利下げ

-9.50%

2015年1月~

累計利下げ

-2.00%

金融政策正常化 金融緩和継続 インフレ沈静化

景気安定

2018年1月~

債券買入規模縮小

月額600億ユーロ

から300億ユーロへ

ユーロ圏

米国

カナダ

英国

中国

豪州

ブラジル

インド

日本

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23

Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略 23

Nomura21 Global 2018年3月号

海外景気の拡大により、日本からの輸出増が続いています。代表的な輸出品目の動きを見ると、米国や欧州向けの建設機械、中国向けに半導体製造装置や電子部品などが増加しています。その他、国内外で省人化投資向けの需要が堅調で、日本の製造業の生産活動は良好な状態が続いています。

株価下落や円高など、市場環境の変化が経済や企業業績へ及ぼす影響には注意が必要ですが、海外の景気実態からは、現時点でその影響が限定的であることが示唆されています。日本企業の業績拡大は続くと見込まれます。2月上・中旬の株価下落によって、日本株の割安感は強まっています。株価は長期的に上昇傾向との野村證券の見方に変わりはありません。

日本経済・市場環境のポイント

輸出の拡大と生産の増加が続く

(注)全てを網羅しているわけではない。 (出所)野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)データは月次で、直近の値は鉱工業生産が2017年12月、輸出数量が2018年1月。図中の値の上は(年/月)。 (出所)財務省、経済産業省より野村證券投資情報部作成

■経済環境

• 国内外の景気拡大で業績上方修正が続く ■企業業績

■株価見通し

• 円高の企業業績への影響は限定的

• 株価下落でバリュエーションは割安の領域に • 長期的な株価上昇傾向は維持されている

企業業績の改善は不変で、株価は復調へ 結論

• 外需・内需ともに堅調 • 賃上げが進み、サービス価格に変化が見られる • 強力な金融緩和の下、金利は低位安定

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

50

2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

(前年同月比、%)

(年)

2010/2 44.6%

2010/3 29.2%

2009/2 -45.3%

2009/2 -37.2%

鉱工業生産

輸出数量

2017/12 4.2%

2018/1 9.3%

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略

60

80

100

120

140

90

95

100

105

110

2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

(2010年平均=100)

耐久財

(右軸)

2011/3/11

東日本大震災

2014/4/1

消費税率5%から8%に引き上げ

(年)

非耐久財

(左軸)

サービス

(左軸)

2009/5/15~

家電エコポイント制度開始

(2010年平均=100)

日本政府は産業界に3%の賃上げを要請しています。働き方改革と並び、雇用

環境の改善を促す政策を進めています。足元で春闘の賃上げ交渉が本格化し

ており、交渉の行方が注目されます。企業業績の改善が賃金上昇につながり、

さらに消費拡大を促すという経済の好循環を作り出すには長い時間が必要です

が、経済はそのような方向へと着実に進んでいます。

日本の景気拡大局面が長期化する中、消費も順調に拡大しています。耐久財

消費が買い替えサイクルのタイミングにあり、復調傾向にあります。また、サービス

消費については順調な増加が続いています。着実な賃金上昇などの生活の安

定も、消費拡大に寄与していると言えるでしょう。

日本の家計の実質消費は改善が続く

日本の月例賃金の推移と3%の賃上げを要請する政府

(注1)データは月次で2010年の物価を基準とする実質消費の水準の推移。直近の値は2017年12月。 (注2)家電エコポイント制度は、2009年5月15日から2011年3月31日までに購入した製品が対象となった。また、この期間中、2010年12月に対象ポイントが約半分に減額され、その直前の2010年11月が実質耐久財消費が最大であった。 (出所)日本銀行「消費活動指数」より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)賃上げ率の調査対象は、日本経済団体連合会および東京経営者協会会員会社。調査期間は各年の1月から6月。昇給は、ベースアップ以外の賃上げ総額(昇給、昇進昇級、諸手当の増額等)。 (出所)日本経済団体連合会、各種報道より野村證券投資情報部作成

0

1

2

3

4

5

6

7

1990 1993 1996 1999 2002 2005 2008 2011 2014 2017

(前年比、%)

賃上げ率

(昇給率+ベースアップ)

昇給率

(年)

2017年

+1.93%

+2.25%

+0.32% ベースアップ

政府の要請

+3%

関連銘柄

消費関連

P 71 (3086)J.フロントリテイリング

P 81 (6752)パナソニック

P 83 (6758)ソニー

P 107 (A3311)アマゾン・ドットコム

など

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略 25

Nomura21 Global 2018年3月号

(前年比、%) 5年平均 直近1年 5年平均 直近1年

総合 0.50 0.69

旅客輸送 0.37 0.98 郵便 1.38 5.83

鉄道 -0.04 0.00 情報サービス 0.20 0.40

国際航空 -0.77 3.79 ソフトウェア開発 0.78 0.69

国内航空 0.47 2.57 情報処理 -0.47 -0.10

陸上貨物輸送 0.92 1.94 インターネットサービス -1.04 -5.71

道路貨物 0.92 1.94 広告 0.71 0.85

うち宅配便 3.76 10.11 テレビ 1.88 -0.84

航空貨物輸送 0.83 11.57 新聞 -0.43 4.94

国際航空 1.43 17.79 雑誌 -0.13 10.30

国内航空 -0.39 0.29 インターネット -0.30 -0.62

通信 -1.22 -0.11 その他

移動通信 -3.07 -1.23 土木建築サービス 3.71 3.03

職業紹介・労働者派遣 1.05 1.62 警備 1.79 3.86

職業紹介 2.54 2.06 テレマーケティング 0.69 0.60

労働者派遣 0.93 1.64 宿泊 4.53 0.56

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020(年)

生鮮食品を除く 消費者物価指数 (コアCPI、前年比)

10年国債

利回り

日本銀行政策委員の

コアCPI大勢見通し

(%)

野村證券の コアCPI見通し

2017/12 (前年比) +0.9%

2018/2 0.06%

1

%の「物価安定のメド」

導入

2

%の物価安定

目標導入

量的・

質的金融緩和開始

+0.7%

マイナス金利付き量的・

質的金融緩和導入決定

2018年度

+1.4%

+1.1%

長短金利操作付き

量的・

質的金融緩和導入決定

2019年度

+1.8%

2017年度

+0.8%

+0.8%

コアCPIでみた日本の物価動向は、原油価格の復調などを背景に上昇基調に

あります。ただし、当面、日本銀行の2%の物価目標達成には至らないと予想さ

れます。米国で長期金利が上昇していますが、日本の長期金利は低位安定が

続いています。日本銀行の総裁・副総裁の任期満了に伴う執行部の人事を経

ても、金融緩和の長期化に対する市場の見方は揺らがないと思われます。

日本経済の変化は、サービス関連の価格動向からも見ることができます。足元で

旅客や貨物輸送関連の価格が上昇しています。また、人手不足に関連する

サービス価格も上昇しています。一方、移動通信やインターネットサービス、単純

な情報処理などのテクノロジー関連は価格下落が続いていますが、高度な技術

が必要とされるソフトウェア開発などのサービスは下落していません。

日本国内のサービス価格の上昇

日銀の2%の物価目標は遠く金融緩和は継続

(注)直近1年は2016年12月から2017年12月にかけての1年間の変化。5年平均は2012年12月から2017年12月にかけての5年間の変化を年率換算している。全てを網羅しているわけではない。伸び率がマイナスの項目を桃色、+2%以上を水色にしている。消費税率の引き上げの影響を除くベース。 (出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)消費者物価指数上昇率の直近の値は2017年12月。消費者物価上昇率の見通しは、消費税率引き上げの影響を除くベース。日本銀行の「大勢見通し」は、9人の政策委員の見通しの中央値で、2018年1月23日時点。野村證券の見通しは2018年2月14日時点。10年国債利回りは月次の月末値で、直近の値のみ2018年2月15日時点。 (出所)総務省、日本銀行より野村證券投資情報部作成

関連銘柄

宅配便関連

P 91 (9064)ヤマトホールディングス

など

ソフトウェア開発関連

P 57 (4307)野村総合研究所

など

広告関連

P 61 (4324)電通

など

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略

米国・長期金利の上昇に端を発した金融市場の変動率の高まりにより、円高が

進行しています。仮に、現状の110円/ドルをやや下回る程度の円高が定着し

ても、2017年度以降の日本企業の増益トレンドが影響を受ける可能性はほと

んどありません。円高の悪影響よりも、実体経済の好調さを背景にした数量増や

価格上昇による業績の押し上げ圧力が上回っています。

ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2017年度経常増益率は、4期ぶりの2桁

増益が予想されています。また、2017年度第2四半期の決算発表の際に、アナ

リストによる通期業績の上方修正が大規模に行われましたが、1月下旬から本

格化した第3四半期決算発表を経た後も、多くの企業の業績予想上方修正が

継続しています。

好調な日本企業の業績見通し

為替変動で日本企業の増益トレンドが影響を受ける可能性は低い

(注)2017~2018年度は、前回(2017/11末:2017年11月26日時点)と今回(2018年2月13日時点)における予想経常増益率の比較。2017年度1-3月期~2018年度のドル円レート前提は111円/ドル。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

MEMO

(注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)2017年度~2018年度の予想経常増益率。上段は、2017年度中間決算発表終了時の2017年11月26日時点。中段は、2017年度11月26日時点の予想利益を基に、ドル円レートが変動した際の予想経常増益率試算。1円/ドルの円高で、経常利益は0.4%減少する。試算に際しては2018年2月中旬以降、120~89.25円/ドルの為替レートが定着したと仮定している。下段は、直近(2018年2月13日)の予想経常増益率。予想は野村證券エクイティ・リサーチ部による。 (出所) 野村證券投資情報部作成

2016年度 2017年度 2018年度

経常増益率 社数 2017/11末 今回 2017/11末 今回

(前年度比) 実績 時点予想 予想 時点予想 予想

(社) (%) (%) (%) (%) (%)

ラッセル野村Large Cap 333 1.4 15.5 17.0 8.2 8.1

(除く金融) 301 3.6 18.0 19.2 8.3 8.6

製造業 176 0.2 23.4 24.3 8.5 9.1

 素材 39 12.1 42.2 44.5 5.2 6.0

  加工 80 -3.1 22.6 23.5 9.7 9.9

非製造業 157 2.5 8.4 10.3 7.8 7.0

非製造業(除く金融) 125 8.4 10.9 12.5 7.9 8.0

予想経常増益率(前年度比、%)

2017年度 2018年度

18.0 8.3

為替水準別 業績試算

120.00 (円/ドル) 18.5 11.8

115.00 (円/ドル) 18.2 9.9

110.00 (円/ドル) 17.9 8.0

107.50 (円/ドル) 17.7 7.0

105.00 (円/ドル) 17.6 6.1

100.00 (円/ドル) 17.3 4.2

89.25 (円/ドル) 16.6 0.0

19.2 8.6

(参考)

直近(2018年2月13日)予想 前提 2017年度:111.49円/ドル

     2018年度:111.00円/ドル

2017年11月26日時点予想 前提 2017年度:111.02円/ドル

     2018年度:111.00円/ドル

MEMO

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略 27

Nomura21 Global 2018年3月号

0

2500

5000

7500

10000

12500

15000

17500

20000

22500

25000

27500

30000

2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020(年)

日経平均株価(左軸)

(円)

16倍

14倍

12倍

12ヶ月後EPS基準予想PER 日経平均 予想12ヶ月後EPS(円)

2018年2月時点 1,637

2018年末時点 1,761

864

1,026

1,245

1,548 1,645

1,800

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

日経平均 EPS(右軸,年度ベース)

(円)

13.0倍

日経平均株価のPER(株価収益率)はここ数年、概ね12~14倍のレンジで推

移してきました。2月に入り、米国の長期債利回りの上昇による市場の動揺に伴

い日経平均株価も下落、足元のPERは13倍と割高感はほぼ払しょくされました。

一方、足元の企業業績の上方修正は続いていますので、予想EPS(1株当たり

利益)の上方修正を背景にした株価上昇が期待できます。

日経平均株価は2月に入り急落し、PBR(株価純資産倍率)も急落前の1.4倍

超から1.35倍にまで低下しています。2000年代に入ってからの日経平均株価の

平均PBRは1.50倍ですので、歴史的に見ても割安な領域に入ってきたといえる

でしょう。また、PBRに大きな影響力をもつROE(自己資本利益率)が高水準、

かつ上昇傾向にあることから再度のPBR上昇も期待できます。

PBRで見て日本株は割安感が強い

2018年末の日経平均株価の見通しは25,500円

(注)株価の直近値は2018年2月13日時点。

(出所)東京証券取引所、日本経済新聞社、東洋経済新報社、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)株価の直近値は2018年2月13日時点。なお、12ヶ月後EPSは、今期の残存期間に応じて、今期/来期の予想EPSを時間按分したもの。予想は東洋経済新報社(2018年2月13日時点)。 (出所)東京証券取引所、日本経済新聞社、東洋経済新報社、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

関連銘柄

バリュー投資関連

P 61 (4324)電通

P 73 (4901)富士フイルムHD

など

0

2500

5000

7500

10000

12500

15000

17500

20000

22500

25000

27500

30000

2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 (年)

PBR(実績ベース)

日経平均株価

(円)

1.35倍

日経平均BPS(円)

15,713(直近実績)

1.0倍

2.0倍

1.8倍

1.6倍

1.4倍

1.2倍

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Nomura21 Global 2018年3月号

投資戦略

投資戦略

投資戦略

20

25

30

35

40

45

50

55

60

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

(億ドル)

(年)

米国ハードウェア

設備投資(左軸)

日本ハードウェア

設備投資(右軸)

米国ソフトウェア

設備投資(左軸)

日本ソフトウェア

設備投資(右軸)

(兆円)

企業は成長分野の事業拡大や生産性の更なる改善に向け、機械などのハード

ウェア投資に加え、ICT(情報通信技術)などのソフトウェア投資も増やすとみられ

ます。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのテクノロジーの進展により、

新たなビジネスにつながる投資が増えています。このような投資が経済の好循環

につながり、中長期的な成長につながることが期待されます。

日本政府はコーポレートガバナンス(企業統治)の考え方を浸透させ、企業の行

動を通じた、経済と資本市場の好循環を目指しています。日本企業が配当や

自社株買いなどによる総還元性向を米国並み(注2)に高めた上で、ROE(自己資

本利益率)の改善を達成し、資本の生産性がより高まるならば、株式市場は日

本企業をより高く評価することになるでしょう。

日経平均株価の中期的な見通し

ソフトウェアへの投資の増加も経済の好循環を握るカギとなる

(注1)試算の前提は、日本企業の潜在的なEPS(1株当たり利益)成長率(5%前後)が中期的に維持され、PER(株価収益率)が一定(14倍前後)としている。また、日経平均の試算に際しては、各時点からみて来期にあたる年度の予想EPSに、PERを乗じている。ROEやEPSなどの予想値は2018年1月16日時点のもの。予想時点が異なるため、当レポートの他の部分に記載されているROEやEPSと異なる場合がある。なお、配当性向は32%、自社株買い性向10%(野村證券エクイティ・リサーチ部予想)としている。 (注2)総還元性向は税引き後の当期利益のうち、配当と自社株買いに回る比率(P124参照)で、米国は約80%前後とされている。図中の試算(80%還元)はこのような仮定で試算している。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部などより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)米国のハードウェア投資は、GDP(国内総生産)構成項目中の輸送機器を除く機器設備投資、ソフトウェア投資は同じく知的財産生産物投資で、2009年基準の実質金額。日本のハードウェア投資はGDP構成項目中の「その他の機器投資等」、ソフトウェア投資は同じく知的財産生産物投資で、2011年基準の実質金額。データは四半期の年率換算で、直近の値は米国が2017年10-12月期、日本が2017年7-9月期。 (出所)米商務省、内閣府データより野村證券投資情報部作成

22764.94 25500 27000 28000 19114.37

25500

29500 32000

35500

15000

20000

25000

30000

35000

40000(円)

日経平均

現在予想EPSベース

試算EPSベース

9.7 10.0 9.9 9.8

9.4

10.5 11.2

11.6 11.9

9

10

11

12

13

2016 2017(予) 2018(予) 2019(予) 2020(予)

(%)

(年末)

ROE

現在予想

試算

(80%還元)

1,620 1,781 1,870 1,980

1,510 1,810

2,060 2,260

2,470

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000(円)

EPS

現在予想

試算

(80%還元)

関連銘柄

ICT・ソフトウェア投資関連

P 57 (4307)野村総合研究所

P 103 (A1066)アドビ・システムズ

P 105 (A3300)レッドハット

P 107 (A3311)アマゾン・ドットコム

P 109 (A4967)セールスフォース・ドットコム

P 111 (A4987)アルファベット

P 115 (A6792)スクエア

など

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Nomura21 Global 2018年3月号

マクロ経済

マクロ経済

マクロ経済 29

Nomura21 Global 2018年3月号

FRB(米連邦準備理事会)は国債等の再投資額を減らし、バランスシートの縮

小を始めています。株式市場は、金融緩和に支えられた「金融相場」から、企業

業績の拡大が株価を押し上げる「業績相場」に入っています。FRBの高官からは、

2018年2月の株価下落について、静観する構えを示す発言が相次いでいます。

FRBのバランスシートの縮小は粛々と進められると見られます。

野村證券では、2018年は先進国がけん引役となり、世界の実質GDP成長率

は+4.1%と予測します。特に、減税効果によって米国の経済成長は加速したと

考えます。米欧先進国は景気とのバランスに見合う形で金融政策の正常化を

進めていますが、景気減速に至るような引き締め的な政策運営は行われないと

予想します。世界経済は景気拡大局面が続くでしょう。

世界の実質GDP成長率は、2018年に+4.1%成長と予想

FRBの量的緩和縮小と業績相場入りする米国株式市場

(注)野村證券の見通しは2018年2月14日時点の暦年ベースで、小数点以下第2位を四捨五入。日本は2019年10月の消費税率引き上げを想定しないベースでの数値。2月号からの修正は、2017年は日本+1.8%⇒+1.6%、ユーロ圏+2.3%⇒+2.5%、中国+6.8%⇒+6.9%。2018年は世界+3.9%⇒+4.1% 、 先 進 国 +2.4%⇒+2.6% 、 新 興 国+5.1%⇒+5.2%、日本+1.5%⇒+1.4%、米国+2.7%⇒ +3.0% 、 ユ ー ロ 圏 +2.4 %⇒ +2.8% 、 中 国 +6.4 %⇒+6.5%。2019年は先進国+1.9%⇒+2.2%、新興国+4.9%⇒+4.7%、日本+0.8%⇒+1.0%、米国+2.3%⇒+2.7%、ユーロ圏+1.8%⇒+2.0%。各地域のGDPウェイトはIMFの2017年10月時点における2016年の値。

(出所)IMF(国際通貨基金)、野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)データは日次で、直近の値は2018年2月14日。2月15日以降は、2018年2月14日時点の野村證券の予測。中央銀行のバランスシート(貸借対照表)については、国債等をその償還金額以上に買い入れることで増えた残高を、資金供給による緩和度合いとみなすことができる。 (出所)FRB(米連邦準備理事会)、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルより野村證券投資情報部作成

日本

6.5% 米国

24.7%

ユーロ圏

15.8% 中国

14.9%

インド

3.0%

その他

31.5%

世界全体に対する

各地域のGDPウェイト

(2016年)

英国

3.5% 3.8

2.3

4.9

1.6

2.3 2.5

1.8

6.9

6.2

4.1

2.6

5.2

1.4

3.0 2.8

1.5

6.5

7.5

3.6

2.2

4.7

1.0

2.7

2.0

1.5

6.1

7.3

0

1

2

3

4

5

6

7

8

世界 先進国 新興国 日本 米国 ユーロ圏 英国 中国 インド

2017年 2018年 2019年 (前年比、%)

0

4000

8000

12000

16000

20000

24000

28000

0

1

2

3

4

5

6

7

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

(ドル) (兆ドル)

(年)

NYダウ

(右軸) 野村證券

見通し

FRBバランスシート残高

(左軸)

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30

Nomura21 Global 2018年3月号

マクロ経済

マクロ経済

マクロ経済

7

42

31

20

0

10

20

30

40

50

60ドル以下 61-65ドル 66-70ドル 70ドル超

(回答数の構成比、%)

(1バレル

当たり) WTI価格

「原油掘削リグ稼働数が著しく増加するWTI価格の水準はいくらか」への回答

シェールオイルの主要生産地を管轄する米ダラス地区連銀が行った調査によれ

ば、WTIで見た原油価格の水準が、1バレル=60ドルを超えると、原油掘削施設

(リグ)の稼働数が著しく増加する結果が示されています。つまり、1バレル=60ドル

を上回る価格水準が長引けばそれだけ米国シェールオイルの生産が増加して、

価格を抑える圧力が強まると予想されます。

中東の地政学的リスクや米国の寒波などにより、原油価格が上昇しましたが、米

国の原油掘削施設(リグ)稼働数をみると、シェールオイル増産余地は大きいと言

えます。現在、OPEC(石油輸出国機構)は協調減産を行っており、価格変動

時には原油の供給量を調節することも可能です。原油価格は、2018年末には1

バレル当たり55ドル~65ドルのレンジ内に収まると予想しています。

原油価格上昇時には原油増産が予想される

米国の原油掘削施設(リグ)の稼働数が著しく増加するWTI価格の水準

(注1)データは週次で、直近の値は2018年2月9日。 (注2)原油価格の見通しは、野村證券経済調査部による2018年2月14日時点の予想で、WTI(米国産の軽質原油)を対象としている。図中の見通しの点は予想レンジの中央値。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注1)米ダラス地区連銀管轄下のテキサス州、ニューメキシコ州南部、ルイジアナ州北部に本社を持つ石油ガス会社を対象にしたサーベイ。125社が回答。テキサス州とその周辺地域は有力なシェールオイルの油田を持つ。WTIは米国産の軽質原油。 (注2)回答期間は2017年12月13-21日。 (出所)米ダラス地区連銀「Energy Survey December 28,2017」より野村證券投資情報部作成

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 (年)

(基)

2018/2/2週

791

2014/10/2週

1,609

米国での原油掘削施設

(リグ)稼働数(左軸)

(ドル/バレル) WTI原油先物

(右軸)

原油価格見通し

2018年10-12月期

55-65ドル/バレル

2016/5/4週

316

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31

Nomura21 Global 2018年3月号

マクロ経済

マクロ経済

マクロ経済 31

Nomura21 Global 2018年3月号

3

4

5

6

7

8

9

10

11

-100

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

(対前月差、万人) (%)

非農業部門雇用者数 (左軸)

(年)

失業率 (右軸) 2007/3

4.4%

2009/10

10.0% 2018/1

+20.0

2018/1 4.1%

米国では、大手通信会社の設備投資意欲が強まっています。IoT(モノのイン

ターネット)やAI(人工知能)の伸展により、データ量の拡大と分析技術の高度化

が進み、通信の高速化に対する需要も高まっています。データ通信では、5G(第

5世代移動通信システム)を担う光ファイバーへの投資拡大が見込まれます。

米国では2011年以降、恒常的に月間20万人前後の雇用者の増加が続いて

きました。失業率は、FRB(米連邦準備理事会)が中長期的な水準と予想する

4%台半ばを下回り、働く意思のある人は仕事に就けている、いわゆる「完全雇

用」に達していると推察されます。雇用環境の改善は、賃金上昇などの次の段

階に進みつつあります。

米国の雇用環境の改善が続く

米大手通信会社4社の設備投資額が増加に転じる

(注)データは月次で、直近の値は2018年1月。図中の値の上は(年/月)。 (出所)米労働省より野村證券投資情報部作成

MEMO

(注)米大手通信会社4社はベライゾン・コミュニケーションズ、AT&T、スプリント、TモバイルUS。2017年以降の推測・予想は2018年1月16日時点のファクトセットによる集計。 (出所)ファクトセットより野村證券投資情報部作成

MEMO

335

424 424

368

395 405

410

486 489 487 480

506

519

532

300

350

400

450

500

550

2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

推定・予想

(年)

(億ドル)

関連銘柄

米国光ファイバー関連

P 65 (5801)古河電気工業

など

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Nomura21 Global 2018年3月号

マクロ経済

マクロ経済

マクロ経済

-800

-600

-400

-200

0

200

400

600

800

1,000

-0.6

-0.4

-0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

2015 2016 2017 2018

中銀預金金利

(年)

(億ユーロ)

(%)

資産購入プログラムによる月間購入額

リファイナンス金利

2015年3月 量的緩和(QE)開始

2018年1月 QE縮小開始

2016年4月 QE増額

2018年10-12月期 利上げ開始

野村證券予想 2017年4月

QE減額・延長

2018年9月 QE終了

ECB(欧州中央銀行)も、米国に続き金融緩和の正常化を進めるでしょう。順序としては、2018年年央に、国債等の資産購入による量的緩和を9月に終了すると宣言し、2018年10-12月期にかけて0.1%ポイントの小幅な利上げを開始すると野村證券では予想します。その過程では、市場とのコミュニケーションを慎重に行い、経済情勢に見合った判断がなされると考えられます。

2017年12月に成立した税制改革法は2018年1月から効力を発し、米国の消費に寄与するだけでなく、企業の税引き後利益を増加させるでしょう。株式市場には追い風と言えます。一方、企業の海外所得は、過去分の留保利益に低率で一括課税した上で、今後は海外の利益に課税しないと決められました。企業が急いで米国に資金を戻すといったお金の動きは限定的でしょう。

米税制改革法(減税・雇用法)のポイント

ECBが金融政策の正常化に向かう

(注)海外留保利益の2.6兆ドル超という金額については、PIRGEF(米公益研究グループ教育基金)やITEP(税制経済政策研究所)等による2017年10月17日のレポートで公表された値。 (出所)PIRGEF、ITEP、各種報道等より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)2015年3月から2018年12月までのデータ。2018年2月以降は野村インターナショナルplcによる予想。 (出所)欧州中央銀行(ECB)、CEICデータベース、野村インターナショナルplc資料より野村證券投資情報部作成

個人向け減税(2025年までの時限措置) ●個人所得税率の引き下げ:最低税率10%は据え置き、残る6段階の所得税率を全て引き下げ。最高税率は39.6%から37%に引き下げ。 ●概算控除額の引き上げ:夫婦で共同申告する場合の概算控除を従来の12,700ドルから24,000ドルへと引き上げ。

法人向け減税(恒久的措置) ●連邦法人税率を従来の35%から21%に引き下げ。

企業の海外所得についての改革(恒久的措置) ●グローバル課税制度の廃止=今後は米国当局は海外利益には課税しない。 ●過去の留保利益には低率で一括課税。税率は、現金・現金相当資産は15.5%、それ以外の資産は8%。

2004年の「本国投資法」について

●本国への資金還流時に課する税率を1年限り低率とする時限措置により、2005年に約3,000億ドルの資金が還流し、ドル高要因となった。今回は還流の有無にかかわらず一括課税となる海外留保金は、2.6兆ドル超(注)と前回の4倍超の規模であることから、一時的なドル高要因となろう。ただし、その後は還流時の税率が恒久的に無税となる。

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33

Nomura21 Global 2018年3月号

マクロ経済

マクロ経済

マクロ経済 33

Nomura21 Global 2018年3月号

日本株は、1949年5月に東京証券取引所が再開して以降、様々な景気拡大

局面の中で何度かの連騰記録を達成してきました。また、歴史的な連騰記録の

出現は、今から振り返るといずれも社会や経済の転換点となっていました。株式

市場はその時の経済の姿を映し、2017年10月に記録した日経平均株価の史

上初の16連騰は、社会構造の変化を示唆していると判断されます。

北朝鮮情勢が緊迫化する場合、株安、金利低下、円高、金価格上昇が起こ

り、仮に軍事衝突が勃発すれば、そうした動きが加速すると予想されます。その

場合、戦闘状態の終結が視野に入る段階で、相場の反転が起きると考えられ

ます。ただし、メインシナリオでは、関係国は政治経済への影響から軍事衝突を

望んでいないと考えており、戦闘状態にならないと予想します。

北朝鮮情勢の緊迫化を仮定したケース別シナリオ

日本の過去の景気拡大局面と日経平均株価の上昇率

(注)様々なケースが想定されるが、全てを網羅しているわけではない。一定の仮定に基づく見方であり、各国政府による外交・政治上の反応や国民の反応によっては金融市場が想定外の動きをする可能性がある。 (出所) 野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)全ての景気拡大局面を網羅しているわけではない。景気の名称は通称で、その下の日付は景気の谷から拡大局面が続いた期間を表示している。日経平均株価の騰落は月末値での騰落率。今回は、日経平均株価を2018年1月17日時点で計算し、2018年2月15日時点で見た拡大期間を表示している。 (出所)内閣府、野村総合研究所データベースより野村證券投資情報部作成

局面1

局面2

局面3

リスクシナリオ

緊張が高まる局面

軍事衝突勃発

戦闘終結・安定化

・北朝鮮の攻撃により日本の

政治経済に致命的なダメージ

・北朝鮮、米国の軍隊の接近

・戦闘準備等の報道 など

・軍事施設への先制攻撃など

・戦闘終結による休戦状態

・外交による平和的解決 など

戦闘 戦闘

無し

現在

主要国の金融市場の反応の想定

株価下落 金利低下

円高 金価格上昇

(短期を想定)

状況の想定

株価急落 金利急低下

円高急進※ 金価格急騰

(衝突直後)

株価上昇 金利上昇

円安 金価格下落

日本売り

・復興需要期待

・軍事バランス変化に伴う新たな兵器需要の発生

・短期で特需発生

は期待できない

※日本本土への攻撃が視野に入る場合には円安の可能性が高まる

-20 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

神武景気

(%)

1954年11月~2年7ヶ月間

岩戸景気

オリンピック景気

いざなぎ景気

バブル景気

今回

1958年6月~3年6ヶ月間

1962年10月~2年0ヶ月間

1965年10月~4年9ヶ月間

1986年11月~4年3ヶ月間

2012年11月~5年3ヶ月目 +127.2%

+44.1%

+71.7%

-3.7%

+145.1%

+59.6%

朝鮮(戦争)特需

1951年10月~2年3ヶ月間 +113.6% 1952年6月~12連騰

1960年12月~14連騰

1986年3月~14連騰

1988年2月~13連騰

2017年10月~16連騰

1953年1月~12連騰

(景気拡大局面の日経平均株価上昇率)

2002年1月~6年1ヶ月間

いざなみ景気 +36.1%

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Nomura21 Global 2018年3月号

マクロ経済

マクロ経済

マクロ経済

-15

-10

-5

0

5

10

-15 -10 -5 0 5 10

在庫(

前年同期比%)

出荷(前年同期比%)

45度線

2016年~

2016年 7-9月期

2013年 ~14年

2013年 7-9月期

1998年 ~01年

1998年 10-12月期

2002年 4-6月期

2002年 ~08年

在庫復調局面 景気拡大期

在庫調整局面 景気後退期

2017年 10-12月

2001年 4-6月期

2014年 7-9月期

2008年 10-12月期

業種別の機械受注を見ると、生産設備などの一般機械は、日本企業の技術

力の高さを背景に、省人化投資などの需要増を取り込む形で、国内外からの受

注が急増しています。また、情報化投資に向けて一般機械や電気機械に対す

る受注も増えつつあります。

輸出が堅調に推移するなど、製造業の製品に対する需要は良好です。2017年

10-12月は在庫の積み上がりが見られましたが、需要増に向けた在庫の積み増

しと考えられます。国内外の景気拡大が継続する中で、在庫循環図では、出荷

の伸びと在庫の積み上がりが続き、2002年からのケースのように、右上領域の第

1象限に長期にとどまる図が描かれることになると想定されます。

日本の景気拡大が長期化すれば、在庫循環は第1象限に長期滞在

国内外の設備投資需要から一般機械に対する受注が増加

(注)データは日本の鉱工業生産の出荷と在庫の伸び率で、四半期データ。直近の値は2017年12月。在庫循環好転局面を、出荷の伸びが在庫の伸びを上回る、45度線を右下に抜けた時と定義し、1998年以降の局面を抜粋。2008年のリーマンショック後の好転局面である2009年~2012年は、上図の範囲から欄外に極端に外れるため、除いて表示している。 (出所)経済産業省より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注)データは季節調整済みの値について、3ヶ月移動平均をとっている。直近の値は2017年12月。 (出所)内閣府より野村證券投資情報部作成

在庫循環図の見方

45度線よりも左の領域

=「在庫の伸び>出荷の伸び」

出荷が伸びず、在庫がたまってしまうのを防ぐため、企業は生産を抑える

⇒景気後退

45度線よりも右の領域

=「出荷の伸び>在庫の伸び」

出荷が伸び、在庫が減少してしまうのを防ぐため、企業は生産を拡大させる

⇒景気拡大

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

(億円)

(年)

一般機械

電気機械

通信業

自動車関連

関連銘柄

機械設備投資関連

P 75 (6273)SMC

P 77 (6301)小松製作所

P 79 (6504)富士電機

など

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Nomura21 Global 2018年3月号

特集

キャッシュレス

特集

キャッシュレス

【特集】キャッシュレス 35

Nomura21 Global 2018年3月号

サービス分野 内容 主な米国企業 主な日本企業

融資

Web上で貸し手と借り手を募

り、融資の条件を分析し、融

資を実現。

レンディングクラブ

Prosper[非]

Kabbage[非]

Maneo[非]

クラウドクレジット[非]

決済スマホ等を利用してクレジット

カード決済を行う。

アップル

アルファベット

スクエア

ペイパル

LINE

コイニー[非]

メタップス

ビリングシステム

個人資産管理多数の金融機関の口座情報

を集約し、資産を一括管理。

MXテクノロジー[非]

インテュイット

マネーフォワード

マネーツリー[非]

資本性資金調達

資金需要のあるベンチャー企業

と個人投資家をマッチングし、

資金を調達。

CircleUP[非]

Loyal3[非]

ミュージックセキュリ

ティーズ[非]

個人による投資をサポート

投資の助言をロボアドバイザー

等を用いて行う。ビッグデータ分

析による資産管理も可能。

Motif-

Investing[非]

Wealthfront[非]

お金のデザイン[非]

ZUU[非]

Finatext[非]

小規模企業向けサービス中小企業向けの経理・会計ソ

フトを提供。

インテュイット

Zenefits[非]

ZenPayroll[非]

freee[非]

メリービズ[非]

4037

29

21

7 63

0.40

5

10

15

20

25

30

35

40

45

ポイント

(

支払)

コンビニ

ATM

電子マネー

ネット

バンキング

ダイレクト

自動車保険

オンライン

トレード

デビット

カード

ネット生保

2010年 2013年 2016年

(%)

ATM

(%)

躍進するフィンテック企業とそのサービス

利用者の変化に伴い、決済や送金、資産運用などで、新しい形での金融サービ

スを提供するフィンテック企業が台頭しています。スマートフォンなどのモバイル端末

を活用したサービスが多いことが特徴の一つとなっています。スタートアップ企業(創

業間もない非上場企業)が中心であったフィンテック企業は、利用者の増加ととも

に、徐々に事業規模を拡大し、存在感が高まりつつあります。

近年ではスマートフォンの普及により、インターネット環境がより身近になったことで、

日本の消費者もより早く、正確で、便利なサービスを求めるようになってきました。

2000年以降に普及が始まった金融サービスの利用率を見ると、貯まったポイント

を買い物の支払いに使う「ポイント(での支払い)」や「電子マネー」など、新しい

キャッシュレスによる決済サービスの普及が進んでいます。

国内の金融サービスの利用率とその変化

(注1)野村総合研究所が2016年8~9月に、全国の18歳~79歳の男女約1万人(有効回答10,070名)を対象として、訪問留置法で金融意識や金融行動を尋ねる「NRI生活者1万人アンケート調査(金融編)」を実施した調査結果。2010年、2013年も同様の調査を実施。

(注2)ポイント(支払い)、電子マネー、デビットカードは普段利用してる(2016年は過去半年に利用した)人の割合。

(注3)コンビニATMは、月1回以上利用する人の割合。

(注4)ネットバンキング、オンライントレードはログインして利用していると回答した人の割合。

(注5)ダイレクト自動車保険は、現在加入している保険会社がダイレクト系である人の割合。

(注6)ネット生保は、最も新しく加入した保険会社がネット系である人の割合。

(注7)2010年はポイント(支払い)、ネット生保を選択肢に含めていないため、グラフに掲載していない。

(出所)野村総合研究所より野村證券投資情報部作成

(注)全てを網羅しているわけではない。 [非]は非上場。 (出所)日本銀行、各種資料より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

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Nomura21 Global 2018年3月号

【特集】キャッシュレス

特集

キャッシュレス

特集

キャッシュレス

10

100

1,000

10,000

100,000

2013 2014 2015 2016 2017 2018 (年)

2013/12/5中国政府が金融機関のビットコイン取引禁止

2013/3/16キプロスの金融危機でビットコインへの逃避

2017/4/1改正資金決済法等の施行

2018/1/26

コインチェックから仮想通貨が不正流出

2014/2/28マウントゴックス破たん

17/1218674

13/4234

15/1183

13/769

16/6762

17/94880

13/111137

14/4376

(米ドル/1ビットコイン)

仮想通貨やフィンテック企業の発展において、欠かせない技術がブロックチェーンと

呼ばれる分散型台帳技術です。足元では、仮想通貨の不正流出問題が起き

ていますが、取引所固有のセキュリティ体制が問題であり、ブロックチェーン技術を

使った取引は問題なく続けられています。また金融庁は、仮想通貨取引所に対

し、登録制に加え、顧客資産の安全性確保など事前審査を強化する方向です。

金融技術の発展により、ビットコインに代表される多くの仮想通貨も誕生し、注

目を集めました。日本では、2017年4月に改正資金決済法等が施行され、仮

想通貨が決済手段の1つとして位置づけられました。仮想通貨は決済のインフラ

に成り得るという考え方もありますが、ビットコインの価格変化を見ると、決済手段

としての利用よりも、値上がり期待の投機の色彩が強いことは否めません。

ブロックチェーン技術と金融庁による規制強化の動き

金融技術の発展により誕生した仮想通貨

(注1)データは日次で、直近の値は2018年2月9日。 (注2)縦軸は、対数表示。 (注3)図中の数字は、米ドル/1ビットコイン当たりの価格。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(出所)各種資料、経済産業省より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO ブロックチェーンによる分散型の管理(イメージ図)

A

B

D

E

F

H

H-DB8,000G-E

B5,000F-CB500E-AB900D-H

B3,000C-FB200B-C

B4,000A-B

B1,000

G C

H-DB8,000G-E

B5,000F-CB500E-AB900D-H

B3,000C-FB200B-C

B4,000A-B

B1,000

H-DB8,000G-E

B5,000F-CB500E-AB900D-H

B3,000C-FB200B-C

B4,000A-B

B1,000

H-DB8,000G-E

B5,000F-CB500E-AB900D-H

B3,000C-FB200B-C

B4,000A-B

B1,000

H-DB8,000G-E

B5,000F-CB500E-AB900D-H

B3,000C-FB200B-C

B4,000A-B

B1,000

H-DB8,000G-E

B5,000F-CB500E-AB900D-H

B3,000C-FB200B-C

B4,000A-B

B1,000

H-DB8,000G-E

B5,000F-CB500E-AB900D-H

B3,000C-FB200B-C

B4,000A-B

B1,000

H-DB8,000G-E

B5,000F-CB500E-AB900D-H

B3,000C-FB200B-C

B4,000A-B

B1,000

分散型の管理 (参加者間で取引データを共有する)

「ブロック」と呼ばれる取引データの固まりを一定時間ごとに生成し、時系列で鎖(チェーン)のようにつなげていくことにより、データを保管する技術。過去の取引データを改ざんしようとすると、その時点から最新のブロックまでを全て改ざんしなければならず、改ざんが極めて困難である。

ブロックチェーン

金融庁は仮想通貨取引所への監督強化を検討へ

登録を希望する業者

事前 審査

金融庁

取引所 の登録

相談 本申請

審査強化を検討

・仮想通貨のリスクを利用者に説明する体制の整備

・利用者の金銭と仮想通貨の分別管理の徹底

・システムのリスク管理が出来ているか

ビットコインの価格推移

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37

Nomura21 Global 2018年3月号

特集

キャッシュレス

特集

キャッシュレス

【特集】キャッシュレス 37

Nomura21 Global 2018年3月号

キャッシュレス化に向け広がるフィンテックサービス

現在、決済サービスを中心に多くのフィンテック企業が登場しています。(米)スクエ

アは、スマートフォンなどの電子端末にクレジットカードリーダーを装着することで、ク

レジットカードの読み取りを可能にしました。また、(米)アマゾン・ドットコムは、レジ

を通らずに商品を購入し、持ち出せる無人コンビニを米国シアトルで開業したほ

か、中国企業の躍進も著しく進んでいます。

フィンテックの進化とともに、日本でもスマートフォンなどのモバイル端末を活用した

決済サービスが普及し始めています。キャッシュレス化は、金融機関のコスト削減

につながるだけでなく、訪日外国人旅行者の消費を促すなどのメリットがあります。

日本は他国と比較し、キャッシュレス化が遅れており、今後、キャッシュレス化を起

点とした新しい金融サービスが拡大していく余地が大きいと考えられます。

日本はキャッシュレス化が遅れている

(注)データは2015年。 (出所)経済産業省「FinTechビジョンについて」より野村 證券投資情報部作成

(注)図はイメージ。 (出所)アマゾン・ドットコム、各種資料より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

関連銘柄

キャッシュレス関連

P107 (A3311)アマゾン・ドットコム

P115 (A6792)スクエア

など

18

41

54 55

0

10

20

30

40

50

60

日本 米国 韓国 中国

(%)

モバイルペイメント

・モバイルNFC(近距離無線通信)型 ・スマホアプリ型(2次元コード)

アップルペイ (米)アップル

アンドロイドペイ (米)グーグル

サムスンペイ (韓)サムスン

など

アリペイ (中)アリババ

ウィーチャットペイ (中)微信

ウォルマートペイ (米)ウォルマート

など

クレジットカード

クレジットカードリーダー (イヤホン・ジャックに差し込む)

スマートフォン、タブレットPC等 店内ではセンサーやカメラ、

AIで購入商品を自動認識

退店時はレジに並ばずスマホで自動決済

(米)アマゾン・ドットコム Amazon go (米)スクエアのクレジットカードリーダー

入店時、ゲートにスマホをかざし本人確認

キャッシュレス決済比率の各国比較

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38

Nomura21 Global 2018年3月号

【特集】次世代の情報通信

特集

次世代の情報通信

特集

次世代の情報通信

大量のデータ処理が必要となったことで、その基盤となるデータセンターの数も急

拡大しています。それに伴い、データセンター間、あるいはデータセンター内での

データ通信量も増大しています。データ蓄積のためのメモリーなどの半導体製品に

加えて、高速かつ大容量な通信を実現するために、さらなる通信インフラの整備

も必要とされています。

インターネット環境やスマホ(スマートフォン)機能の発達により高画質な動画や

ゲーム、AR(拡張現実)などデータ容量の大きなコンテンツが急増しています。今

後はIoT(モノのインターネット)の進展によりデータ量の拡大に拍車がかかります。

データ通信量は2016年と比較して2021年には約3倍に達すると予想(注3)されます。

データ処理の基盤となるデータセンターへのニーズが高まる

世界のデータ通信量は急増している

(注1)全世界のデータ通信量の推移。 (注2)1エクサバイト=100京バイト=1兆メガバイト。 (注3)Cisco systems「Cisco Visual Networking Index:予測と方法論、2016~2021年」に基づく推定・予想。 (出所)Cisco systems 「Cisco VNI Mobile」より野村證券投資情報部作成

(注1)ハイパースケールクラウド事業者が運営するデータセンター数の成長予測。ハイパースケールクラウド事業者は、①Infrastructure as a Service、Platform as a Service、またはインフラストラクチャ・ホスティング・サービスによる年間収益が10億米ドルを超える。②Software as a Serviceによる年間収益が20億米ドルを超える。③インターネット検索及びソーシャルネットワークによる年間収益が40億米ドルを超える。④e-コマース/決済処理による年間収益が80億米ドルを超える。①~④いずれかの基準を満たしている事業者を指す。 (注2)「Cisco Global Cloud Index:予測と方法論2015 ~ 2020」に基づく推定・予想。 (出所)「Cisco Global Cloud Index:予測と方法論2015 ~2020」より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

259

485

0

100

200

300

400

500

2015 2016 2017 2018 2019 2020 (年)

(棟)

96

122

151

186

228

278

88

109

135

168

31

73

0

50

100

150

200

250

300

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

(エクサバイト(注2)/月間)

(年)

2017年時点予想

2015年時点予想

実績

推定・予想

予想の

上方修正

データセンター数

2月号掲載の特集

2月号掲載の特集

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Nomura21 Global 2018年3月号

特集

次世代の情報通信

特集

次世代の情報通信

【特集】次世代の情報通信 39

Nomura21 Global 2018年3月号

5G(第5世代移動通信システム)(イメージ図)

通信の混雑により、通信速度の低下や遮断といった障害が発生しています。また、

精緻な動作を必要とする自動運転や遠隔医療には、遅延のない通信が求めら

れます。5Gは「超高速・大容量通信」、「多数同時接続」、「超低遅延」を可能

とし、これらの課題を解決する技術として期待されます。通信事業者による基地

局への設備投資は今後も続くでしょう。

データ量拡大に対応するため、次世代通信技術の開発が進んでいます。5Gへ

の周波数の割り当ては2019年を予定していますが、日本では2020年の東京オ

リンピック・パラリンピックに向けて5Gの商用化を目指しているため、各通信事業

者は前倒しで設備投資を進めています。2020年を目標とする自動運転の実用

化にも通信技術の発展は必須となっています。

今後の情報通信技術の展望

(注1)全てを網羅しているわけではない。【】内は、予測や目標を試算している機関又は資料名を指す。 (注2) 2018年1月16日現在においてそれぞれの主管団体から公表されている内容であり、今後、予告無く変更・修正される可能性がある。 (注3)インターネットに接続しており、音声操作によるアシスタント機能が搭載されているスピーカーのこと。(AIスピーカー) (出所 )野村総合研究所 (NRI)「NRI未来年表2018~2100」「ITナビゲーター2018年版」、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「次世代人工知能技術社会実装ビジョン」、総務省、野村證券エクイティ・リサーチ部、各種報道より野村證券投資情報部作成

(注1)bpsはデータ伝送速度の単位で、1秒間に何ビットのデータを送受信できるかを表したもの。1ギガビットは10億ビット。 (注2)Long Term Evolutionの略称で、3.9G(第3.9世代移動通信システム)の一種。 (出所)各種資料より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

無線区間の遅延1ミリ秒以下

(LTEの10分の1)

最高伝送速度10ギガbps(注1)

(LTE(注2)の100倍)

接続数100万台/㎢

(LTEの100倍)

超高速・大容量通信

多数同時接続

超低遅延

モバイル端末に高精細動画を リアルタイムに配信

家電製品や車がインターネットにつながるスマートハウス

ドローンの自動運転 による農作業

5G

関連銘柄

5G関連

P 93 (9984)ソフトバンクグループ

など

自動運転関連

P 83 (6758)ソニー

P 85 (6902)デンソー

P 89 (7203)トヨタ自動車

など

・ ITU(国際電気通信連合)の世界無線通信会議にて、5G(第5世代移動通信システム)に割り当てる周波数を特定【総務省】

・ 5Gが世界に先駆けて日本で実用化【総務省】

・ 自動運転車が実用化【国土交通省】

・ 世界のデータセンターの消費電力量が日本の総発電量を上回る(技術革新がない場合、2020年代初頭に)【野村證券エクイティ・リサーチ部】

・ 音声エージェント端末(注3)の国内世帯普及率が50%弱に【NRI予測】

・ 準天頂衛星システムみちびきが、7機体制に(2023年をめどに)【内閣府】

・ 人工知能の機械翻訳、音声対話が人間レベルに到達(2030年以降)【新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)】

・ 人工知能が人類の能力を超える(シンギュラリティ:技術特異点)

2019年

2020年

2023年

2045年

2030年

2月号掲載の特集

2月号掲載の特集

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40

Nomura21 Global 2018年3月号

【特集】次世代の情報通信

特集

次世代の情報通信

特集

次世代の情報通信

LPWAと呼ばれる無線通信技術は、通信速度は低速ですが、数km~数十km

という広域での通信が可能で、低消費電力も実現しています。そのため、広域に

大量のモノを配置し、データをやりとりするようなIoT機器の用途に適していると言

えます。LPWAが使用される場面は様々ですが、LPWA用途の通信機器はい

ずれの場合も大量に必要とされるため、その市場は今後急拡大するでしょう。

データ通信量の増大に対応し、データ伝送のインフラとなる光ファイバーへの需要

が高まっています。動画などデータ容量の多いサービスの利用拡大に伴い、データ

センター向けのみならず、家庭向けの通信設備にも相応の能力が求められてい

ます。光ファイバーは、米国や欧州の多くの国でまだ普及が進んでいません。これ

らの地域でも今後需要が拡大していくでしょう。

IoTを支えるLPWA(省電力広域無線通信)の市場が拡大

未だ多くの国で、光ファイバーの比率は低水準にとどまっている

(注1)1人当たり光ファイバー敷設量のデータは2015年、FTTH普及率は2016年ベース。 (注2)FTTH(Fiber to the Home)は、通信事業者の設備から家までを光ファイバーケーブルでつなぐアクセス方式。FTTHの普及率は契約者ベースではなく、物理的にFTTHで接続されている世帯数を全世帯数で除したもの。 (出所)Arthur D Little「Race to Gigabit Fiber」、会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(注1)LPWAはLow Power Wide Areaの略。 (注2)グラフはIHSマークイット推定・予想に基づく、世界のLPWA市場の分野別の市場規模。 (注3)エネルギー生産とは発電所の効率化等を用途とするもの。セキュリティー・スマートビルとは建物の監視・入退室管理のようなセキュリティー機能や消費電力の効率化機能などを備えたビルのこと。インフラ・環境監視とは道路や橋などの劣化状況の監視、河川の氾濫の危険予知などを用途とするもの。スマートメーターとは電気やガスなどの自動検針や使用状況の見える化を可能にする計測機器のこと。物流・資産管理とは貨物の輸送状況等の管理や企業が所有する設備・機器等の管理を行うもの。 (出所)「平成29年版情報通信白書」(総務省)、IHSマークイットより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

関連銘柄

LPWA関連

P 87 (6981)村田製作所

など

0

2

4

6

8

10

12

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

(億ドル)

(年)

物流・資産管理

スマートメーター

インフラ・環境監視

セキュリティー・スマートビル

エネルギー生産

関連銘柄

光ファイバー関連

P 65 (5801)古河電気工業

など

日本

中国

米国

香港

フランス

英国

ドイツ

0

20

40

60

80

100

0.0 0.5 1.0 1.5 2.01人当たり光ファイバー敷設量(km/人)

F

T

T

H

(%)

2月号掲載の特集

2月号掲載の特集

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41

Nomura21 Global 2018年3月号

市場環境

市場環境

市場環境 41

Nomura21 Global 2018年3月号

24.98

16.73

34.99

22.99

9.29 8.30

11.32

8.56

18.79

13.94 13.93 14.78

0

10

20

30

40

米国 欧州 日本 香港

(99/4)

(08/10)

(15/2)

(08/10)

(09/3)

(12/5)

(08/11)

(09/11)

3.71

2.53 2.32

3.14

1.49

1.22

0.84 1.02

3.24

1.83

1.25

1.49

0

1

2

3

4

米国 欧州 日本 香港

(06/3)

(09/2)

(07/10)

(16/1)

(07/5)

(18/1)

(09/2)

(09/3)

業績予想の修正動向を示すRI(リビジョンインデックス)は、好調な世界経済を反

映し高水準を維持しています。足元では経済の過熱が警戒され株式市場を中

心とした調整が起こりましたが、企業業績は今後も改善が続く見込みであり、好

調な業績は株価の下支えになると期待されます。

各国・地域の株価指標(PER、PBR)を見ると、日本を含むアジア株の指標値が

レンジの下限に近く、割安感が強いことがわかります。割高感が指摘されることの

多い米国株も、フロー面(PER)で極端に割高なレベルにはありません。また、米

国株のPBRの高さは、継続的に企業が自社株買いを行ってきたことが評価され

た結果と考えられます。

PER・PBRを見ると日本を含むアジア株の割安感が強い

主要国・地域のリビジョンインデックスは上昇

MEMO

(注)米国:S&P500(PER:1986年1月~、PBR:2004年1月~)、欧州:ストックス・ヨーロッパ600(PER:2005年9月~、PBR:2002年1月~)、日本:TOPIX(2003年1月~)、香港:ハンセン(2002年1月~)。PERは予想、PBRは実績ベース。データは月次で、直近値は2018年2月13日時点で取得可能な最新データ。予想利益は今期・来期予想の加重平均による12ヶ月後予想ベース。PBRは各時点で入手可能な最新の決算データを使用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

MEMO PER(倍) PBR(倍)

最低値

カッコ内は(年/月)

直近値 最高値

(注)ユニバースは日本(MSCI-Japan)、米国(MSCI-US)、欧州(MSCI-Euro)とし、I/B/E/S予想における「(今期と来期におけるEPS予想上方修正人数-同・下方修正人数)/アナリスト人数×100」で求めた。データは月次で直近値は2018年2月14日。 (出所)ノムラ・インターナショナルplc.、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

(%)

(年)

日本 8.5

欧州 -2.4

米国 24.5

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42

Nomura21 Global 2018年3月号

市場環境

市場環境

市場環境

54

100 103

132

142

156

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

1970 1974 1978 1982 1986 1990 1994 1998 2002 2006 2010 2014 2018

(2007年度=100)

(年度)

経常利益

(左軸)

38915

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

45000

日経平均株価

(右軸)

(円)

日経平均株価は2018年1月に約26年ぶりの水準に上昇しました。2018年は

米欧や中国などの主要国・地域の景気拡大により、輸出や生産の増加に支え

られ、日本企業は過去最高益の更新が続くと予想されます。日本株は、良好な

相場環境の下で上昇基調が続くでしょう。

日経平均株価は、現在26年ぶりの高値圏にあります。当時は資産バブル崩壊

初期にあたり、日本経済は長期にわたるデフレ局面の入口に立っていました。企

業業績にとっても最悪に近い環境で、日経平均EPSも、史上最高水準にある

現在とは比較になりません。

増勢が加速する日経平均の予想EPS

業績拡大を追い風に日経平均株価は約26年ぶりの高値を記録

(注)ラッセル野村Large Capの経常利益。2007年度の経常利益水準を100としている。2017年度以降は野村證券エクイティ・リサーチ部による予想(2018年2月13日時点)。構成銘柄は各年度ごとで異なる。日経平均株価のデータは月次で、直近の値は2018年2月13日。 (出所)日本経済新聞社、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

875

1,110

1,245

1,548

1,645

-400

-200

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

1989 1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013 2016 2019

(円)

(年度)

(注)2017年度以降は東洋経済新報社予想(2018年2月13日時点)。 (出所)東洋経済新報社、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

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43

Nomura21 Global 2018年3月号

市場環境

市場環境

市場環境 43

Nomura21 Global 2018年3月号

我が国企業のROEは資産バブル崩壊後の最高水準に並ぶ展開となっています

が、自己資本の増加も顕著です。企業の財務レバレッジは、資産バブル崩壊後

では、事実上最低レベルにまで低下しています。今後は自己資本比率のコント

ロール(戦略的な負債倍率の引上げ)が企業にとって重要な課題となるでしょう。

ROE(自己資本利益率)は、株主から預かった自己資本の「増殖率」と言い換え

ることができます。ROEと長期の株価トレンドの間には密接な関係がみられます。

またROEの上昇は、予想される将来の自己資本水準の切り上がりを示唆するこ

とから、PBRなどのバリュエーションの上昇にもつながりやすい、ということが知られて

います。

ROEは資産バブル崩壊後の最高水準に並ぶ

重要性を増す企業の資本政策

(注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)のROEと、TOPIXの年度毎騰落率。2017年度以降は2017年11月26日時点の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。

(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部などより野村證券投資情報部作成

(注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)のROE(1段目)と、売上高税引利益率(2段目)、総資産回転率(売上高/総資産、3段目)、財務レバレッジ(4段目)。1996年度以前はNOMURA400(除く金融)。2017年度以降は、2017年11

月26日時点の野村證券エクイティ・リサーチ部による予想。値の上は年度。四捨五入等により、各項目を掛け算しても厳密にROEとは一致しない。2016年度以降は、大型の金融機関を傘下にもつ銘柄が新たに組入れられたことにより、2015年度に比較して売上高税引利益率、総資産回転率、財務レバレッジが大きく変化している。

(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部などより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

ROE 当期利益

自己資本

当期利益

売上高

売上高

総資産

総資産

自己資本 = × ×

収益性 負債倍率 効率性

(総資産回転率) (売上高税引利益率) (財務レバレッジ)

(自己資本利益率)

売上に対してどれだけ利益を生み出しているかを示します

保有資産を如何に有効活用しているかを示します

自己資本をもとに如何に多くの資産(負債)を利用して いるかを示します

-40

-20

0

20

40

60

-5

0

5

10

15

20

1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 2008 2012 2016

(%) (%)

ROE(左軸) 10.3% TOPIX年度毎騰落率

(右軸)

(年度)

0

2

4

6

8

10

12

14 ROE(左軸) (%)

2007

10.4 2018

10.3

0

2

4

6

8(%)

売上高税引利益率

(右軸)

2006

3.8

2018

6.0

0.5

1.0

1.5

2.0(回)

総資産回転率

(左軸) 2018

0.50

2

3

4

5

6

7

1970 1974 1978 1982 1986 1990 1994 1998 2002 2006 2010 2014 2018

(倍)

財務レバレッジ

(右軸)

(年度)

2018

3.39

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44

Nomura21 Global 2018年3月号

市場環境

市場環境

市場環境

米国企業の総還元性向(配当+自社株買い)は、これまで80%前後と言われ

てきましたが、ここ2年間に限れば100%を大きく超えています。一方、我が国企

業の総還元性向は2013年をボトムに順調に上昇してきましたが、2016年度は

前年度比で低下しました。日米の株主還元の状況には大きな隔たりがあること

は否定できない事実です。

企業業績が着実に増加する中、我が国の上場企業の配当総額は1年に1兆円

前後のペースで増加を続けており、現在史上最高水準にあります。一方、自社

株買いは、2017年度に前年度比で減少が予想されています。結果、企業の内

部留保は2016年度の19.7兆円から更に増加し、2017年度には20兆円の大

台をはるかに突破する見通しとなっています。

株主への総還元額は史上最高額を連続更新へ

日米の株主還元状況の推移

(注)S&P500、およびラッセル野村Large Capの税引利益に対する配当、自社株買い、内部留保の比率の推移。

(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部などより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

(注1)全上場企業の配当・自社株買い・内部留保の総額。自社株買いは整理回収機構からの購入、優先株式の買い戻しを除く普通株式ベース。2017年度以降の配当は、各年度の一株当たり配当(DPS)推定・予想額に発行済み株数を乗じて求めた。2017年度以降の配当、自社株買い予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年1月15日時点)。

(注2)グラフ中の数値ラベルは、兆円単位で四捨五入。

(出所)QUICK等より野村證券エクイティ・リサーチ部作成

27 32 32 36

50 49 49 40

28 30 34 34

47 46 48

56

75 66

12

9

6 11

17 13

27 22 20 8

39 51

65 59

49 53

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

2011 12 13 14 15 16 2011 12 13 14 15 16

(%)

(年度)

内部留保

自社株買い

配当

■ 米国 ■ ■ 日本 ■

(年)

8 8 9 11 12 13 14

5

5 5 4 4

14 19

19 15

20

24 25

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

1990 1993 1996 1999 2002 2005 2008 2011 2014 2017(年度)

自社株

買い

配当

(兆円)

内部

留保

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45

Nomura21 Global 2018年3月号

市場環境

市場環境

市場環境 45

Nomura21 Global 2018年3月号

ROEを向上させる施策は多岐にわたります。また、個々の企業の現在のROE

水準や、今後の企業戦略の違いによって、採るべき施策は異なります。我々は、

株式市場ではROEの持続的な向上を目的に、構造改革やM&A、株主還元

などに取り組む企業を評価すべきと考えています。

2017年度に入ってからの日本企業の自社株買いの累計額は、2018年1月末

時点で3兆3,889億円となっています。ここ数年の実績との比較や、日本企業の

利益が過去最高水準を更新し続けていることを考えると、やや低調な推移であ

ることは否めません。この背景には、株価が上昇基調にあったことや、企業が設備

投資に積極的な姿勢に転換してきている、ことなどが考えられます。

2017年度の自社株買いはやや低調な推移

企業の資本の生産性指標 ROEの持続的上昇のために

MEMO

(注)対象は全上場銘柄の普通株式。各年度の4月からの累積額。

(出所)QUICKより野村證券エクイティ・リサーチ部作成

3.4

0

1

2

3

4

5

6

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

2010年度

2011年度

2012年度

2013年度

2014年度

2015年度

2016年度

2017年度

(兆円)

(年度初) (年度末)

(出所)野村證券投資情報部作成

関連銘柄

予想ROE10%超 (P56上図より)

P 57 (4307)野村総合研究所

P 61 (4324)電通

P 65 (5801)古河電気工業

P 75 (6273)SMC

P 77 (6301)小松製作所

P 79 (6504)富士電機

P 81 (6752)パナソニック

P 83 (6758)ソニー

P 87 (6981)村田製作所

P 89 (7203)トヨタ自動車

P 93 (9984)ソフトバンクグループ

など

予想ROE10%以下 (P56上図より)

P 69 (2875)東洋水産

P 71 (3086)J.フロント リテイリング

P 73 (4901)富士フイルムHD

P 85 (6902)デンソー

P 91 (9064)ヤマトHD

など

ROE

10%以下

10%以上

このまま

上げたい

このまま

上げたい

株主還元 (80%以上)

投資/新技術/M&A

株主還元 (50%前後)

投資/新技術/ M&A/コスト圧縮

株価割高 ⇒ M&A

株価割安 ⇒ 自社株買い

現 状 将来像 考えうる施策

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46

Nomura21 Global 2018年3月号

市場環境

市場環境

市場環境

日本株のPBRとROEの関係を観察すると、ROEが上昇し、7%を超える辺りか

らPBRの水準が切り上がる傾向にあります。これは、企業の資産価値で評価さ

れていた株価が、収益力で評価される段階に移ることを意味します。ROEが

10%を超える水準となれば、株価の評価はさらに高まりそうです。

アベノミクスがスタートした2012年末以降、日本企業のROE水準は急速に改善

してきました。しかしながら、グローバルに比較すると、日本の予想ROEの水準は

まだ見劣りしています。今以上のROE水準達成のためには、より積極的な株主

還元、事業構造の改革、効果的なM&A/設備投資などの施策が必要でしょう。

日本の予想ROEはグローバルではまだ見劣りしている

日本企業のROEが上昇すればPBRも切り上がろう

(注)母集団は日本(MSCI-Japan)、米国(MSCI-US)、欧州(MSCI-Euro)、アジア(MSCI-Asia Pacific)とし、I/B/E/S予想における12ヶ月後予想ROEの推移を示した。データは月次で直近値は2018年2月14日。日本は他の図表に記載されているROEとは母集団が異なっていることから数値が異なる。 (出所)ノムラ・インターナショナルplc.、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(注)各点が2003年1月以降、毎月末時点のTOPIXの予想ROEとPBRを示し、直近の値のみ2018年2月13日時点。予想ROE=予想EPS(12ヶ月先行)/実績BPS。予想EPSは野村予想を東洋経済新報社予想で補完して作成。赤の領域はROEが7%以上、グレーは7%未満の場合である。 (出所)東洋経済新報社、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

(PBR、倍)

(先行き12ヶ月予想ROE、%)

2018/2/13

ROE 10.14%

PBR 1.45倍

0

5

10

15

20

25

2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

日本 9.5

(%)

(年)

欧州 12.3

米国 17.5

アジア 11.0

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47

Nomura21 Global 2018年3月号

市場環境

市場環境

市場環境 47

Nomura21 Global 2018年3月号

1997年 2007年 2017年 企業名 時価総額 業種

順位 順位 順位 億ドル

745 12 1 アップル 8,609 情報技術

- 7 2 アルファベット 7,293 情報技術

3 3 3 マイクロソフト 6,599 情報技術

823 83 4 アマゾン・ドットコム 5,635 情報技術

- - 5 フェイスブック 5,150 情報技術

28 6 6 バークシャー・ハサウェイ 4,892 金融

17 9 7 ジョンソン・エンド・ジョンソン 3,754 消費

65 20 8 JPモルガン・チェース 3,711 金融

4 1 9 エクソン・モービル 3,544 エネルギー

13 11 10 バンク・オブ・アメリカ 3,079 金融

1 2 35 ゼネラル・エレクトリック 1,513 産業

2 21 24 コカ・コーラ 1,955 消費

5 24 34 メルク 1,533 消費

米国株式市場の時価総額上位は、情報技術関連企業が多くを占めています。

日本と比べて、企業が隆盛するダイナミズムが大きいのは、M&A(企業の合併・

買収)などにより、事業を素早く拡大させていることも大きな要因と言えます。

日本株式市場の時価総額上位企業は、米国株式市場に比較すると大きく入

れ替わっている訳ではありませんが、時価総額順位が大きく上昇する企業も存在

します。近年、我が国でもM&A(企業の合併・買収)が活発に行われるようになっ

たことから、企業の新陳代謝が進んでいく可能性があるでしょう。

時価総額上位企業の変遷

米国市場では情報技術関連の企業が隆盛

(注)時価総額ランキングの順位は各年末時点。

業種は、ブルームバーグ業種分類を使用し、TechnologyとCommunicationsを情報技術、Financialを金融、

Consumer,Non-cyclicalを消費、Energyをエネルギー、Industrialを産業と訳した。情報技術の企業名を青字にしている。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO 1989年 2007年 2017年 企業名 時価総額 業種

順位 順位 順位 億円

9 1 1 トヨタ自動車 235,360 自動車

- 2 2 三菱UFJフィナンシャル・グループ 115,925 銀行

1 4 3 日本電信電話 111,130 情報通信等

- 5 4 NTTドコモ 103,767 情報通信等

- 38 5 ソフトバンクグループ 98,179 情報通信等

450 73 6 キーエンス 76,756 電機・精密

- 8 7 日本たばこ産業 72,620 食品

- 20 8 KDDI 72,558 情報通信等

78 7 9 本田技研工業 69,957 自動車

- 9 10 三井住友フィナンシャルグループ 68,855 銀行

1989年末時点の上位5社

1 4 3 日本電信電話 229,320 情報通信等

2 11 18 日本興業銀行(1989年末当時) 150,023 銀行

3 9 10 三井住友銀行(1989年末当時) 105,517 銀行

4 11 18 富士銀行(1989年末当時) 99,924 銀行

5 11 18 第一勧業銀行(1989年末当時) 92,144 銀行(注1)上表は2017年末時点の上位10社、下表は1989年末時点の上位5社を表示。 (注2)時価総額ランキングの順位は各年末時点。 (注3)日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行の2007年・2017年は現みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行の2007年・2017年は現三井住友フィナンシャルグループとなっている。 (注4)業種は東証17業種分類をもとにしているが、自動車・輸送機を自動車、情報通信・サービスその他を情報通信等と表示している。 (出所)東京証券取引所、野村総合研究所データベースより野村證券投資情報部作成

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48

Nomura21 Global 2018年3月号

市場環境

市場環境

市場環境

ストックス欧州600指数のEPSは2011年から停滞してきましたが、2017年以降

は増益基調が定着すると見込まれます。2017年は前年比+10%弱伸びになっ

たと推定され、2018年は同+14%程度、2019年は同+9%程度の増益が予想

されています。

総還元利回りの高さは米国株式が選好される要因の一つ

ストックス欧州600指数EPSは増益基調に復帰しつつある

(注1)配当利回り・・・各四半期に実施された配当金を当該四半期期初の時価総額で除し、年率換算。 自社株買い利回り・・・各四半期に実施された自社株取得金額を当該四半期期初の時価総額で除し、年率換算。 総還元利回り・・・配当利回り+自社株買い利回り。 自社株買いは、配当金と異なり全ての株主が現金を受け取るものではない。資産クラスとして、株式の利回りがどの程度あるかを示す指標として総還元利回りを使用。四捨五入の関係で、配当利回りと自社株買い利回りの合計が総還元利回りと一致しない場合がある。 (注2)データは四半期ベースで直近値は2017年4-6月期。 (出所)S&Pより野村證券投資情報部作成

(注)棒グラフの赤色の部分はブルームバーグ集計による市場予想・推定(2018年2月13日現在)。実績及び2017年推定は継続事業希薄化後ベース。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

MEMO

MEMO

S&P 500 指数構成企業について、配当に自社株買いを合計した総還元利回

りをみると、2010年4-6月期後半以降、4%超で推移しています。この間、米10

年国債利回りは3%を下回っており、株式の相対的な優位が続いています。積

極的な株主還元方針を背景にした総還元利回りの高さは、米国株式が選好さ

れる要因の一つと考えられます。

20.6 20.7

22.8

26.0

28.2

30.52

0

5

10

15

20

25

30

35

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

(ポイント)

(年)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

1-3

7-9

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

(月期)

(年)

(%)

1.96

2.41

4.37

配当利回り

自社株買い利回り

総還元利回り

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49

Nomura21 Global 2018年3月号

テクニカル

テクニカル

テクニカルチャート 49

Nomura21 Global 2018年3月号

14000

16000

18000

20000

22000

24000

26000

28000

2015/8 2016/1 2016/7 2017/1 2017/7 2018/1-10

-5

0

5

14000

16000

18000

20000

22000

24000

26000

2015/8 2016/1 2016/7 2017/1 2017/7 2018/1-15-10-5 0 5 10

日経平均株価は、1月23日に終値で約26年ぶりの24000円台に乗せた後、大

幅下落となりました。 足元の25日移動平均線からの乖離率は、2016年6月安

値形成時の水準に迫り、下げ止まりが期待される域にあり、底入れとなるか注目

されます。仮に、この先も調整継続となった場合は、さらなる下値メドとして、昨年

夏場に保ち合いとなった20000円前後の水準が挙げられます。

日経平均株価:1月下旬以降急落、200日線まで下げる

NYダウは、1月26日高値形成後に大幅下落しました。足元の25日移動平均

線からの乖離率は、一時2016年1月安値形成時の水準に迫り、下げ止まりの

動きが期待できます。一方、調整継続となった場合は、2016年6月や11月に下

支えとなった上向きの200日移動平均線(2月13日:22830ドル)や、昨年夏場に

保ち合いとなった22000ドル前後の水準が、さらなる下値メドとして挙げられます。

(注1)データは日足で高安はザラ場ベース。直近値は2018

年2月13日。(注2)図中の「●日線」とは移動平均線を指す。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。

(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

(年/月)

(%)

25日線 75日線

日経平均株価:日足(左軸)

25日移動平均線からの乖離率(右軸)

8/11 20946

9/29 16901

8/25 -12.2

2/12 -11.9

12/1 20012

4/25 17613

1/5 19615

2/1 17905

11/9 16111

3/2 19668

(円)

1/18 18650

2/12 14865

6/24 14864

4/17 18224

6/20 20318

11/1 17473

(ドル)

(年/月)

(%)

25日移動平均線からの乖離率(右軸)

NYダウ:日足(左軸)

8/24 15370

8/25 -9.7

11/3 17977

1/20 15450

1/20 -7.2

4/20 18167

8/15 18668

6/27 17063

3/1 21169

11/4 17883

25日線

75日線

200日線 8/8

22179

4/19 20379

NYダウ:1月下旬以降急落、2016年1月以来の10%超調整

(注1)データは日足で高安はザラ場ベース。直近値は2018

年2月13日。(注2)図中の「●日線」とは移動平均線を指す。(出所)S&Pダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成

200日線

8/21 21600

9/8 19239

1/26 26616

1/23 24129 11/9

23382

11/16 21972

2/8 -7.1

2/13 -8.5

6/24 -8.7

2/6 21078

2/9 23360

保ち合い

保ち合い

▲12.2%

▲14.1%

※▲・・・直近の高値から安値までの下落率

▲2.6%

▲3.7%

▲4.2%

▲6.1%

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50

Nomura21 Global 2018年3月号

テクニカル

テクニカル

テクニカルチャート

1987 1992 1997 2002 2007 2012 2017 70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

170

180

80 85 90 95 00 05 10 15 20 6000

8000

10000

12000

14000

16000

18000

20000

22000

24000

26000

28000

30000

32000

34000

36000

38000

40000

0 200 400 600 800 1000 1200

1980年~

1990年~

2000年~

2010年~

ドルは対円で、昨年終盤以降、軟調な展開となり、足元で、2016年6月や昨

年9月に下支えとなった5年移動平均線(2月13日:109.85円)を割り込んでいま

す。この先、調整継続となった場合は、次の下値メドとして、2016年6月安値~

12月高値の上昇幅に対する2/3押し水準(105.46円)が挙げられます。

日経平均株価の動向をみると、21000円以下の水準では売買代金が積み上

がっており、下げ渋りの動きが期待できます。2018年初に1989年高値~2009

年安値の下落幅に対する半値戻し(22984円)を達成し、10年・20年移動平

均線のゴールデン・クロスが見込まれる点も踏まえると、調整一巡後は、1991年

高値(27146円)や同2/3戻し(28294円)の水準を目指す可能性が考えられます。

日経平均株価:21000円以下の価格帯では売買代金が積み上がる

ドル円相場:2016~17年に下支えとなった5年線を割り込む

(注1)データは月足で終値ベース。直近値は2018年2月13

日。(注2)*は、2018年2月の月末値を21000円として試算した場合。(注3)図中の「●年線」とは移動平均線を指す。移動平均線は、10年は120ヶ月、20年は240ヶ月、30年は360ヶ月のデータで作成。(注4)価格帯別累積売買代金のグラフは日経平均株価の1000円刻み毎に作成。

(出所)東京証券取引所、日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

(注1)寄付きは、1995年2月までは9:00時点の寄付き、1995年3月以降は9:00時点の売り気配のレート。終値は1995年2月までは15:30時点の終値、1995年3月以降は17:00時点の売り気配のレート。直近値は2018年2月13日。(注2)図中の「●年線」とは移動平均線を指す。移動平均線は、5年が60ヶ月、10年が120ヶ月のデータで作成。(注3)

トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成

(円)

(兆円)

日経平均株価:月足

30年線

10年線

5年線

(年)

(円/ドル)

88/1 120.45

90/4 160.35

95/4 79.75

98/8 147.64

02/2 135.04

04/12 101.83

07/6 124.14

ドル円相場:月足

円安・ドル高

円高・ドル安

16/6 99.00

17/9 107.59

15/6 125.66

16/12 118.39

(年)

89/12 38915

96/6 22666

09/3 7054

東証一部

価格帯別累積売買代金

15/6 20868

16/6 14952

18/1 24124

20年線

10年線

2018年2月*に ゴールデン・クロス の可能性

91/3 27146

92/8 14309

03/4 7607

07/7 18261

99/11 101.35

11/10 75.52

1989年高値~2009年安値までの 下落幅(31861)に対して

①2/3戻し(28294) ②半値戻し(22984) ・・・2018年1月達成

100円

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51

Nomura21 Global 2018年3月号

テクニカル

テクニカルチャート 51

Nomura21 Global 2018年3月号

6000

10000

14000

18000

22000

26000

6000

10000

14000

18000

22000

26000

30000

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

0

20

40

60

80

100

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

主要国株価指数(週足)

(注1)データは週足でザラ場ベース。直近値は2018年2月9日時点。

(注2)VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所(CBOE)がS&P500指数オプション価格をもとに算出している、投資家の不安心理を表すボラティリティ・インデックス。

(出所)ブルームバーグ、日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

(ドル)

(年)

(%)

(円)

日経平均株価(左軸)

NYダウ(右軸)

NASDAQ総合指数(左軸)

ドイツDAX(右軸)

英FTSE100(左軸)

上海総合指数(右軸)

VIX指数(左軸)

08/10 6994

15/6 20952

16/6 14864

18/1 24129

07/2 18300

07/10 14198

09/3 6469

18/1 26616

15/5 18351

15/8 15370

09/3 1265

07/10 2861

18/1 7505

15/7 5231

16/2 4209

07/7 8151

09/3 3588

15/4 12390

16/2 8699

18/1 13596

07/7 6754

09/3 3460

15/4 7122

16/2 5499

18/1 7792

07/10 6124

09/8 3478

08/10 1664

15/6 5178

16/1 2638 13/6

1849

18/1 3587

17/11 8.56

08/10 89.53

11/8 48.00

15/8 53.29

14/7 10.28

(ポイント)

(ポイント)

(ポイント)

(ポイント)

18/2 50.30

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52

Nomura21 Global 2018年3月号

テクニカル

テクニカルチャート

70

80

90

100

110

120

130

140

1.00

1.10

1.20

1.30

1.40

1.50

1.60

90

100

110

120

130

140

150

160

170

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

-1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

為替と日・米・独の10年国債利回り(週足)

(注)データは週足でザラ場ベース。為替はスポットレート。直近値は2018年2月9日時点。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(円/米ドル)

(米ドル/ユーロ)

(%)

(円/ユーロ)

(%)

(%)

米ドル・円(左軸)

ユーロ・米ドル(右軸)

ユーロ・円(左軸)

日本:10年国債利回り(右軸)

米国:10年国債利回り(左軸)

ドイツ:10年国債利回り(右軸)

07/6 5.322

08/12 2.035

10/4 4.009

07/6 4.704

07/6 124.14

11/10 75.35

08/7 1.603

08/10 1.233

08/7 169.96

09/1 112.12

09/6 139.22

12/7 94.12

09/11 1.514

15/6 125.86

14/12 149.78

07/6 1.982

17/1 1.034

16/7 -0.300

16/7 1.318

16/7 -0.205

(年)

16/6 99.02

10/6 1.187

11/5 1.494

12/7 1.204

14/5 1.399

16/6 109.57

12/7 1.379

14/1 3.051

10/8 2.087

11/4 3.505

13/5 0.974

13/4 0.324

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Nomura21 Global 2018年3月号

テクニカル

テクニカルチャート 53

Nomura21 Global 2018年3月号

10

30

50

70

90

110

130

150

0

3

6

9

12

15

400

800

1200

1600

2000

500

1000

1500

2000

2500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

商品価格①(週足)

(注1)データは週足でザラ場ベース。銅価格は日次終値ベース。直近値は2018年2月9日時点。

(注2) WTI原油はスポット価格。天然ガス・プラチナはニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)の先物:期近物、金はニューヨーク商品取引所(COMEX)の先物:期近物、アルミニウムと銅はロンドン金属取引所(LME)の3ヶ月物先渡し価格。

(出所)ブルームバーグ、日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

(ドル/バレル)

(ドル/トロイオンス)

(ドル/100万Btu)

(年)

(ドル/トロイオンス)

(ドル/トン)

WTI原油(左軸)

天然ガス(右軸)

プラチナ(右軸)

アルミニウム(左軸)

銅(右軸)

08/7 146.30

08/12 30.52

11/4 113.93

08/7 13.694

09/9 2.409

12/4 1.902 11/9

1923.7

08/10 752.1

11/8 1918.5

11/2 10125

08/12 2815

10/1 6.108

08/3 1033.9

08/10 681.0

08/4 8780

14/2 6.493

金(左軸)

16/3 1.611

16/1 811.4

15/12 1045.4

08/7 3380.1

09/2 1279.0

11/5 2803.0

15/11 1432.5

16/2 26.21

16/1 4358

(ドル/トン)

17/12 7251

08/3 2308.8

17/12 2290.5

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Nomura21 Global 2018年3月号

テクニカル

テクニカルチャート

100

150

200

250

300

350

400

450

500

100

300

500

700

900

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

200

400

600

800

1000

1200

1400

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

400

600

800

1000

1200

1400

商品価格②(週足)

(注1)データは週次でザラ場ベース。バルチック海運指数、中国コンテナ運賃指数は週の平均値ベース。直近値は2018年2月9日時点。

(注2) CRB商品価格指数は2012/10/5から2013/1/24まで、インターコンチネンタル取引所(ICE)先物が上場廃止となり始値・高値・安値データの提供が無い為、終値で補完した4本値で作成している。コーン、大豆、小麦価格はシカゴ商品取引所(CBT:Chicago Board of Trade)の先物:期近物。中国コンテナ運賃指数(CCFI:China Containerized Freight Index )は、上海から世界主要地域に出港するコンテナ運賃の指数。バルチック海運指数は、鉄鉱石・石炭・穀物等を輸送する不定期船運賃の指数。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(年)

(米セント/ブッシェル)

CRB商品価格指数(左軸)

コーン(右軸)

大豆(左軸)

小麦(右軸)

バルチック海運指数(左軸)

中国コンテナ運賃指数(右軸)

08/7 473.97

09/2 200.16

11/5 370.72

08/6 799.2

09/9 302.0

12/8 849.0

08/7 1636.7

08/12 776.2

12/9 1789.0

08/2 1349.5

10/6 425.5

12/7 947.2

08/5 11677

08/12 677

11/12 881.15

12/5 1335.86

09/11 4482

10/11 1118.70

15/11 844.2

16/1 154.84

16/4 632.36

07/1 657.0

16/8 386.7

16/2 291

16/8 314.7

(米セント/ブッシェル)

(米セント/ブッシェル)

17/2 877.89

(ポイント)

(ポイント)

(ポイント)

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Nomura21 Global 2018年3月号

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Nomura21 Global 2018年3月号

【ご参考】Nomura21 Global 参考指標(日本株)

【ご参考】 Nomura21 Global 参考指標(日本株)

(注1)Russell/Nomura Large Capに基づくデータで2018年2月13日時点。

(注2)Russell/Nomura Large Capインデックスは、わが国の全上場銘柄の修正時価総額上位98%の銘柄からなるRussell/Nomura Total Marketインデックスを構成するサブインデックスで、Total Marketインデックスの修正時価総額上位約85%の銘柄からなります。Russell/Nomuraインデックスは毎年12月に銘柄入れ替えが行われます。業績の集計に際しては連結子会社を控除しています。

Russell/Nomura Large Capインデックスに組入れられている企業、及びその選定方法については、http://qr.nomura.co.jp/jp/frcnri/index.htmlをご覧下さい。

(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

2016

年度

2017

年度

2018

年度

2017

年度

2018

年度

予想 予想 予想 予想

(%) (%) (%) (倍) (倍) (倍) (%) (%)

1.4 17.0 8.1 15.1 14.1 1.42 2.01 9.7

3.6 19.2 8.6 15.9 14.7 1.59 1.94 10.4

化学 16.1 34.3 6.0 12.8 12.0 1.30 2.06 10.8

鉄鋼・非鉄 -5.5 99.9 6.2 12.0 11.4 0.83 2.34 7.1 (5801)古河電気工業

機械 -17.9 35.1 15.3 20.1 17.6 1.96 1.70 10.2(6273)SMC

(6301)小松製作所

自動車 -11.6 11.0 8.4 10.7 10.8 1.29 2.84 12.5(6902)デンソー

(7203)トヨタ自動車

電機・精密 27.8 38.9 9.5 20.4 16.8 2.14 1.46 10.9

(4901)富士フイルムホールディングス

(6504)富士電機

(6752)パナソニック

(6758)ソニー

(6981)村田製作所

医薬・ヘルスケア -5.4 5.8 4.9 26.6 27.8 2.39 1.81 9.2

食品 8.3 4.9 14.9 20.9 19.0 2.29 2.01 11.6 (2875)東洋水産

家庭用品 5.8 19.8 9.5 29.5 26.7 3.89 1.14 13.8

商社 233.4 39.1 0.1 7.7 7.7 0.90 3.54 12.2

小売り -1.4 12.3 10.0 27.2 23.8 2.32 1.33 8.8 (3086)J. フロント リテイリング

サービス -9.6 9.8 8.4 24.6 22.6 1.12 1.85 4.6

ソフトウェア 21.1 47.3 32.0 31.5 25.2 3.82 1.45 12.3 (4307)野村総合研究所

メディア -1.0 5.7 -1.5 15.8 16.7 1.15 1.64 7.6 (4324)電通

通信 -1.4 5.1 16.0 15.6 12.4 1.63 1.94 10.9 (9984)ソフトバンクグループ

建設 30.5 3.0 4.7 9.5 9.3 1.50 2.45 16.6

住宅・不動産 22.4 8.1 4.5 14.9 14.0 1.54 1.98 10.7

運輸 -5.2 8.1 7.5 14.4 13.4 1.42 1.25 10.2 (9064)ヤマトホールディングス

公益 -36.2 -3.8 -0.3 9.0 10.1 0.67 2.14 7.6

金融 -8.1 5.5 4.9 10.6 10.3 0.74 2.62 7.0

消費・流通

情報

公益・インフラ

金融

エレクトロニクス

Nomura21 Global

日本株

Russell/Nomura

Large Capインデックス

Russell/Nomura

Large Capインデックス(除く金融)

素材

機械・自動車

大業種特殊分類、

中業種

2017

年度

連結PBR

予想

2017

年度

配当利回り

予想

2017

年度連結

ROE

予想

経常増益率 連結PER

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Nomura21 Global 2018年3月号

【ご参考】Nomura21 Global 各種指標(日本株/外国株)

【ご参考】 Nomura21 Global 各種指標(日本株)

(注1)データは2018年2月13日時点。 (注2)予想値について、ビザは2018.9期、アドビ・システムズは2018.11期、セールスフォース・ドットコムのPER、ROEは2019.1期、配当関連は2018.1期、レッド・ハットのPER、ROEは2019.2期、配当関連は2018.2期で、それ以外の銘柄は2018.12期のデータ。 (注3)S&P500指数のPER・配当利回り予想はブルームバーグ。 (出所)インスティネットLLC(「ILLC」)、モーニングスター社、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

【ご参考】 Nomura21 Global 各種指標(外国株)

(注1)データは2018年2月13日時点の連結優先。予想は野村證券エクイティ・リサーチ部。1株当たり配当、配当利回りは今期予想ベース。PER、ROEは来期予想ベース。 (注2)J.フロント リテイリングの実績PBRは日本会計基準適用。それ以外はIFRS(国際財務報告基準)適用。 (注3)電通の予想PERの算出には修正EPSを用いている。修正EPSは無形固定資産の償却額等の調整項目を足し戻して算出。ソニーの予想PERの計算は、潜在株式調整後の修正EPSを用いている。ソフトバンクグループの予想PERを計算する際に使用した一株当たり純利益は一時的損益を除き、通常税率を適用している。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

野村 予想 実績 予想 予想コード PER PBR 配当利回り ROE 日付 日付

(倍)(倍) (%) (%) (年月日) (年月日)

S&P 500指数 2662.94 ポイント 17.1 3.27 1.99 - 2872.87 ポイント 2018/1/26 2322.17 ポイント 2017/2/14

A0784 ユニオンパシフィック 128.30 米ドル 16.6 4.03 2.66 米ドル 2.07 23.0 143.05 米ドル 2018/1/24 101.06 米ドル 2017/7/27

A1066 アドビ・システムズ 193.48 米ドル 30.6 11.24 0.00 米ドル 0.00 26.4 204.45 米ドル 2018/1/23 116.20 米ドル 2017/2/13

A3222 プライスライン・グループ 1797.86 米ドル 21.7 9.01 0.00 米ドル 0.00 30.2 2067.99 米ドル 2017/8/8 1612.41 米ドル 2017/2/27

A3300 レッドハット 132.03 米ドル 38.5 18.73 0.00 米ドル 0.00 39.3 135.77 米ドル 2018/1/29 78.66 米ドル 2017/2/13

A3311 アマゾン・ドットコム 1414.51 米ドル 170.0 24.71 0.00 米ドル 0.00 14.0 1498.00 米ドル 2018/2/2 828.55 米ドル 2017/2/13

A4967 セールスフォース・ドットコム 107.69 米ドル 60.2 10.16 0.00 米ドル 0.00 15.7 114.52 米ドル 2018/1/31 80.25 米ドル 2017/2/17

A4987 アルファベット(A株) 1054.14 米ドル 25.6 4.80 0.00 米ドル 0.00 17.5 1198.00 米ドル 2018/1/29 824.30 米ドル 2017/3/27

A5608 ビザ 118.35 米ドル 27.0 8.65 0.825 米ドル 0.70 30.7 126.88 米ドル 2018/1/29 86.00 米ドル 2017/2/13

A6792 スクエア 42.11 米ドル 95.7 26.65 0.00 米ドル 0.00 23.2 49.56 米ドル 2017/11/24 13.84 米ドル 2017/2/16

2月13日 予想 52週 52週

終値 1株当たり 高値 安値配当

2月13日 予想 実績 予想 予想 予想 昨年来 昨年来終値 PER PBR 1株当り配当 配当利回り ROE 高値 日付 安値 日付(円) (倍) (倍) (円) (%) (%) (円) (円)

- 15.1 1.48 - 2.01 9.7 - - - -

- 15.9 1.69 - 1.94 10.4 - - - -

2875 東洋水産 4,100 18.2 1.54 60.0 1.46 7.8 4,935 2017/12/26 3,880 2017/2/9

3086 J.フロント リテイリング 1,924 15.1 1.24 34.0 1.77 8.3 2,190 2017/12/27 1,426 2017/9/15

4307 野村総合研究所 4,570 19.9 2.61 90.0 1.97 11.5 5,590 2018/1/18 3,500 2017/1/23

4324 電通 4,605 10.3 1.19 90.0 1.95 12.5 6,550 2017/5/8 4,425 2017/9/6

4901 富士フイルムホールディングス 4,316 17.2 0.92 75.0 1.74 4.9 4,838 2018/1/10 3,932 2017/6/9

5801 古河電気工業 5,540 12.8 1.89 80.0 1.44 12.6 7,230 217/11/2 3,415 2017/1/10

6273 SMC 44,610 17.8 2.92 400.0 0.90 13.8 55,830 2018/1/18 26,255 2017/1/18

6301 小松製作所 3,832 13.6 2.29 84.0 2.19 14.9 4,475 2018/1/15 2,610.5 2017/1/18

6504 富士電機 765 14.8 1.88 12.0 1.57 10.7 955 2018/1/30 559 2017/8/18

6752 パナソニック 1,593.5 14.3 2.36 30.0 1.88 14.3 1,800.0 2017/11/9 1,137.0 2017/2/3

6758 ソニー 5,099 13.5 2.58 25.0 0.49 15.3 5,738 2018/1/23 3,269 2017/1/5

6902 デンソー 6,331 14.4 1.50 130.0 2.05 9.4 7,218 2018/1/24 4,551 2017/4/17

6981 村田製作所 15,060 16.7 2.36 260.0 1.73 12.6 17,910 2017/8/3 14,000 2017/4/20

7203 トヨタ自動車 7,276 9.6 1.24 230.0 3.16 11.3 7,806 2018/1/18 5,670 2017/4/14

9064 ヤマトホールディングス 2,687.5 24.1 1.97 27.0 1.00 7.8 2,918.0 2018/2/1 2,081.0 2017/11/20

9984 ソフトバンクグループ 8,992 16.0 2.73 44.0 0.49 12.8 10,550 2017/10/30 7,494 2017/4/17

Russell/NomuraLarge Capインデックス

Russell/NomuraLarge Capインデックス(除く金融)

Page 58: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

57

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

57

Nomura21 Global 2018年3月号

その他

2.6%

金融向け システム開発・運用

54.9%

産業向け システム

開発・運用 28.5%

データセンター 運用・管理 6.5%

コンサルティング 7.4%

(4307)野村総合研究所

1965年(昭和40年)に、野村證券の調査部門が独立し、日本

初の民間シンクタンクとして設立されました。1988年に野村證

券のコンピュータ部門が母体であった野村コンピュータシステムと

合併し、現在の業態に至っています。

政府や企業に数多くの調査・コンサルティングサービスを提供す

るとともに、個別の顧客向けのシステム開発や運用を行っていま

す。証券業をはじめとした金融機関向けにシステム開発や運用

サービスを提供しており、その代表的な事例が証券会社での注

文や決済などの業務を担うバックオフィスシステム「THE STAR」

です。また、流通業向けのシステム開発にも強く、コンビニ最大

手のセブン-イレブン・ジャパンの創成期である1978年から同社の

情報システム開発を当社が手がけてきたことは有名です。

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017.3期連結)

(注)セグメント間調整後。会社セグメントでは、金融向けシステム開発・運用は金融ITソリューション、産業向けシステム開発・運用は産業ITソリューション、データセンター運用・管理はIT基盤サービス。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に日本会計基準適用。 1株当たり純利益は、のれん償却費調整後の数値。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(4307)野村総合研究所 <情報技術>

組み入れ日:2018年2月16日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 4,570 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 11,471 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 90.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 1.97 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 1,751 円

⑧予想PER(2019.3期) 19.9 倍

⑨PBR(2017.3期) 2.61 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 11.5 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 69.1 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

583 585 640

700 750

4,214 4,245 4,650

5,000 5,220

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

171.4 181.8

260.7

230.1 244.8

10.6% 10.7%

13.8%

11.5% 11.6%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

公表なし

2014 2015 2016 2017 2018

2000

3000

4000

5000

6000(円)

(年) 2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000(円)

(年)

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

14/5 2409.9

15/10 4600

16/8 2963.6

18/1 5590

03/3 933.9

18/1 5590

07/10 3462.8

11/3 1070.2

Page 59: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

58

Nomura21 Global 2018年3月号

Point

業績予想要約表

(4307)野村総合研究所

短期および中期的なソフトウェア市場拡大

ソフトウェア市場の需要構造が変わりつつ

あります。従来、ソフトウェア投資はコストと認識さ

れ、市場動向は景気循環と連動する形で推移

していました。しかし、近年、ビッグデータやIoT(モ

ノのインターネット)などの新領域のICT投資が、

企業業績の拡大やビジネスモデルを変革させるも

のとして、重要視する経営者が増えています。

製造業では、工場の生産性を上げるためにビッグ

データやIoTなどを活用する動きが見られています。

金融業でも、メガバンクが中期的な人員削減を

目標に掲げており、生産性改善に寄与するシス

テムへの投資が拡大する見込みです。

このような生産性改善だけでなく、非製造業にお

いては、ビッグデータをマーケティングに活用すると

いう新しい動きが広がりつつあります。

これら新領域における投資拡大を受けて、国内

のソフトウェア市場が今後年率3~5%程度の

ペースで中期的に拡大していく、と野村證券エク

イティ・リサーチ部では予想しています。

足元では、ソフトウェア開発を行う情報サービス業

でもシステムエンジニア(SE)の人手不足が深刻

化しています。しかし、SEの人件費上昇はシステ

ム開発単価に転嫁できていることから、当社を含

めた情報サービス業界全体での利益率改善が

今後も続く見通しです。

1. ソフトウェア投資の中期的な拡大

2. クラウド普及の恩恵を享受

3. 相対的に高い成長率

(注)DI指数とは、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもの。サービス価格指数が2014年6月に急伸しているが、これは2014年4月の消費税増税の影響によるもの。 (出所)日銀短観および企業向けサービス価格指数より野村證券エクイティ・リサーチ部作成

(注)2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)日銀短観より野村證券エクイティ・リサーチ部作成

業種別ソフトウェア投資額の見通し

情報サービス業の雇用人員DI指数とソフトウェア開発単価

(注)全産業の売上高/営業利益/経常利益/営業利益率/ROEはRussell Nomura Large Cap(除く金融)。全産業のPER/PBRはTOPIX。予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)による。

野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完。前回予想は2017年11月30日時点の予想。セクター、サブセクターはいずれもRussell Nomuraの業種分類に基づく。

(出所)野村證券金融工学研究センター、エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

全産業 セクター サブセクター (4307) 全産業 セクター サブセクター (4307)

ソフトウェアシステム・アプ

リケーション

野村総合

研究所ソフトウェア

システム・アプ

リケーション

野村総合

研究所

売上高 営業利益率

2017年度 8.1 22.8 7.9 9.5 2017年度 (%) 8.1 14.8 15.0 13.8

2018年度 3.0 18.3 5.8 7.5 2018年度 (%) 8.6 17.4 15.2 14.0

営業利益 ROE

2017年度 17.4 49.3 9.7 9.4 2017年度 (%) 10.4 12.5 16.2 13.8

2018年度 8.0 39.3 7.8 9.4 2018年度 (%) 10.4 15.1 15.3 11.5

経常利益 PER

2017年度 19.4 49.4 8.5 8.7 2017年度 (倍) 14.9 32.2 25.7 17.5

 前回予想 18.0 45.0 8.9 8.7 2018年度 (倍) 13.9 25.2 26.0 19.9

2018年度 8.6 32.0 7.8 9.1 PBR

 前回予想 8.3 23.1 7.8 9.1 実績ベース (倍) 1.41 3.96 4.15 2.61

(前年度比,

%)

96

98

100

102

104

106

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016

(%) (2010年=100)

(年)

企業向けサービス価格指数

(ソフトウェア開発、右軸)

雇用人員DI

(「過剰」-「不足」、左軸)

0

1

2

3

4

5

6

2010.3 12.3 14.3 16.3 18.3 20.3

非製造業

その他

情報通信

製造業

証券・保険

その他

銀行業

(兆円)

(期)

予想

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59

Nomura21 Global 2018年3月号

売上高営業利益率 ROE(自己資本利益率)

59

Nomura21 Global 2018年3月号

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2015 2016 2017 2018 2019

(億円)

推定・予想

(年)

パブリッククラウド

プライベートクラウド

(4307)野村総合研究所

クラウド需要拡大による業績押し上げが期待される クラウドの普及が加速しています。従来

は企業がシステムを自社で保有・管理していまし

た(オンプレミス)。しかし、それらシステムをベンダー

(売り手)が代わりに保有・管理し、利用者である

企業はインターネット経由でそれらシステムの提

供を受けるというサービスがクラウドサービスです。

クラウドは、不特定多数の企業がインターネットを

通じてコンピューティング資源を共有して利用する

パブリッククラウドと、自社や特定産業向けにカス

タマイズされたプライベートクラウドに分けられます。

野村證券エクイティ・リサーチ部では、2017年に

は約9,000億円と推定される国内クラウドサービ

スの市場規模が、2019年には約1.5兆円まで年

率3割弱のペースで拡大すると予想しています。

パブリッククラウドでは、(米)アマゾン・ドットコムのク

ラウドサービス(AWS)が高い市場シェアを有して

います。当社は、AWS導入のサポートを行うパー

トナー企業の中でも最上位に位置付けられてい

ます。AWSの普及が進むにつれ、導入支援だけ

でなく、導入したAWSのシステム上に自社システ

ムを構築するという新しいシステム需要が生まれ、

当社はその恩恵を享受することが期待されます。

また、当社は金融業界に属する利用者が共同

で利用する産業特化型のコミュニティクラウド

サービスを手掛けており、証券向けを中心に圧

倒的なシェアを有しています。

2017.3期の当社売上に占めるコミュニティクラウ

ドの比率は約2割と、競合他社に比べて突出し

て高くなっています。金融では共通した業務フロー

が多いことなどを考慮すると、今後も顧客数は継

続的に拡大していくことが予想されます。

(注)2016年度以前は実績。2017年度以降は野村證券の見通し。RNL除く金融は、ラッセル野村Large Capで、当銘柄群の除く金融ベース。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

日本国内のクラウド市場見通し

(注)推定・予想は、野村證券エクイティ・リサーチ部。 (出所)IDCより野村證券エクイティ・リサーチ部作成

(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成

自社でシステム構築、

運用、保守も行う

企業

企業内LAN

専用線等

インターネット

オンプレミス クラウド

企業 企業 企業

クラウドサービス企業が

運用、保守を行う

クラウドサービス企業

クラウドサービスとは(オンプレミスとクラウドの概念図)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018

RNL除く金融 野村総合研究所(%)

(年度)

予想

0

2

4

6

8

10

12

14

16

2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018

RNL除く金融 野村総合研究所(%)

(年度)

予想

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60

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

0

10

20

30

40

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

野村総合研究所

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

野村総合研究所

TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

(4307)野村総合研究所

M&Aを含むグローバル事業拡大が当社業績を押し上げ 相対的に高い業績の拡大ペースが当社

では見込まれています。

野村證券エクイティ・リサーチ部では、当社の売

上高が2017.3期から2020.3期まで年率7%増

のペースで拡大していくと予想しています。これに

対して、大手システムインテグレーターの同時期に

おける売上高成長率は年率4%です。

当社の足元の業績は堅調に推移しています。産

業向けのシステム開発やコンサルティングの売上

高が拡大しており、とりわけビジネスモデルに影響

を及ぼす、新領域のICT投資に対する引き合い

が旺盛です。また、苦戦が続いていた保険向けの

売上高も2019.3期に増収に転じる見込みです。

また当社は、長期的な成長戦略としてグローバ

ル関連事業の拡大を打ち出しており、長期的な

目標として2023.3期売上高1,000億円を掲げ

ています。この目標を達成するには、売上高を年

率22%増のペースで拡大させる必要があります。

そのため当社は近年、海外同業他社の積極的

な買収を展開しています。特に、豪州では2016

年にASG社を、2017年にはSMS社を立て続け

に買収し、事業基盤の強化を図っています。

豪州における買収企業との事業統合は順調に

進捗しているようです。両社の顧客基盤や営業

拠点が異なることから、両社を統合することにより

コスト削減に留まらないシナジー効果が生み出さ

れることが期待されます。

足元のPERとPBRは、過去の平均と比べて高い

水準にありますが、ソフトウェア市場の構造的な

変化やグローバル市場の開拓といった当社への

高い成長期待を反映したものと推察されます。

(横山 恭一郎)

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

(注)当社以外の大手システムインテグレーターは、新日鉄住金ソリューションズとTIS、日本ユニシス、SCSK。NTTデータは 売上規模が同業他社と比べて非常に大きいため除外した。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

当社と大手システムインテグレーターの売上高比較

当社のグローバル関連事業売上高の推移

(出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

80

90

100

110

120

130

2017.3 18.3予 19.3予 20.3予

(2017.3期=100)

野村総合研究所 大手システム

インテグレーター合計

(期)

239 311

450

580

1,000

0

200

400

600

800

1,000

1,200

2016.3 17.3 18.3 19.3 23.3

(億円)

(期)

会社計画

年率

22%成長

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61

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

61

Nomura21 Global 2018年3月号

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共にIFRS(国際財務報告基準)適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

292.8

373.1

447.8 477.6

11.3% 10.6%

12.5% 12.4%

2016.12 17.12 18.12 19.12

予想

日本

41.2%

米州

23.5%

欧州・中

東・アフリカ

21.1%

アジア

太平洋

14.3%

(4324)電通

当社は、国内最大手の広告代理店です。1901年に日本広告

株式会社が設立され、電報通信社が併設されました。その後、

通信部門が切り離され広告専業となり、1955年に社名を株式

会社電通に変更しました。

2013年に英国の広告会社イージス・グループを買収し、海外展

開を本格化させました。2017.12期時点で、売上総利益の約6

割を海外事業が占めます。

2015年の違法残業問題は、大きな社会的問題になりましたが、

当社は、労働環境改革基本計画を策定するなど、最優先課

題と位置づけ、労働環境改革に取り組んでいます。2019年度

には、1人当たりの総労働時間を2014年度比80%に削減し、

生産性の向上を図っています。 (注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。予想PERの算出には修正EPSを用いている。修正EPSは無形固定資産の償却額等の調整項目を足し戻して算出。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別(注)>(2017.12期連結)

(注)所在地別は、売上総利益の構成比。

(出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017.12期連結)

(4324)電通 <一般消費財・サービス>

組み入れ日:2018年2月16日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 4,605 円

②レーティング Neutral

③売買単位 100 株

④時価総額 13,281 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.12期) 90.0 円

⑥予想配当利回り(2018.12期) 1.95 %

⑦1株当たり純資産(2017.12期) 3,878 円

⑧予想PER(2018.12期) 10.3 倍

⑨PBR(2017.12期) 1.19 倍

⑩予想ROE(2018.12期) 12.5 %

⑪自己資本比率(2017.12期) 30.7 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

広告業

92.3%

情報サービス業、その他7.7%

1,377 1,374 1,479

1,603

8,384 9,288

9,960 10,510

2016.12 17.12 18.12 19.12

予想

2014 2015 2016 2017 2018

3000

4000

5000

6000

7000

8000(円)

(年) 2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000(円)

(年)

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

14/10 3515

15/8 7290

16/7 4410

17/5 6550

17/9 4425

15/8 7290

16/7 4410

03/3 1440

06/4 4360

09/3 1282

17/5 6550

Page 63: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

62

Nomura21 Global 2018年3月号

Point

業績予想要約表

(4324)電通

国内の広告市場は堅調に推移

国内景気の回復に伴い日本の広告市

場は堅調に推移することが見込まれます。

広告代理店の収益は、広告主のマーケティング

予算に影響を受けるため、景気動向に連動する

傾向があります。2012年に日本の広告費は前

年比でプラスに浮上しており、国内景気の回復に

伴い、広告市場も改善してきました。

足元の国内経済は、輸出の拡大により国内の

生産活動が活発化しているほか、好調な企業

業績を背景とした賃上げが進むなど、経済の好

循環に向けた構造変化が進みつつあり、今後も

緩やかな拡大が見込まれます。

当社は、国内の広告市場では25.4%のシェアを

有するトップ企業です。また、主要マスメディア全

てでトップシェアを確保しており、国内市場にお

ける当社の優位性を支える基盤となっています。

2018.12期の会社計画では、国内の労働環境

改革の費用計上等により減益となる見通しです。

しかし、2019.12期以降は堅調な国内景気を背

景とした広告市場の拡大や労働環境改革によ

る生産性の向上等により業績の改善が期待でき

るでしょう。

1. 堅調な国内の広告市場

2. 海外展開の加速

3. デジタル領域の強化

(注)2016年時点のデータ。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2017年以降の日本の広告費の推定・予想は電通イージス・ネットワーク(2018年1月16日時点)。2017年以降の名目GDPの推定・予想は野村證券経済調査部(2018年2月14日時点)。 (出所)会社資料、野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成

日本の広告費と名目GDPの推移

日本の広告市場のシェア

(注)全産業の売上高/営業利益/経常利益/営業利益率/ROEはRussell Nomura Large Cap(除く金融)。全産業のPER/PBRはTOPIX。予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)による。

野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完。前回予想は2017年11月30日時点の予想。セクター、サブセクターはいずれもRussell Nomuraの業種分類に基づく。

(出所)野村證券金融工学研究センター、エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

電通

25.4%

37.7%

16.4%

12.3%

11.0%

テレビ

新聞

雑誌

ラジオ

シェア No.1

シェア No.1

シェア No.1

シェア No.1

電通

主要マスメディアにおける

当社シェア

-14

-12

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

2005 07 09 11 13 15 17

(前年比、%)

(年)

日本の広告費

日本の名目GDP

推定・ 予想

全産業 セクター サブセクター (4324) 全産業 セクター サブセクター (4324)

メディア 出版・広告 電通 メディア 出版・広告 電通

売上高 営業利益率

2017年度 8.1 5.0 7.9 10.8 2017年度 (%) 8.1 8.7 8.4 14.8

2018年度 3.0 3.0 5.0 7.2 2018年度 (%) 8.6 8.7 8.5 14.8

営業利益 ROE

2017年度 17.4 -0.4 2.1 -0.2 2017年度 (%) 10.4 7.6 10.1 10.6

2018年度 8.0 3.1 6.8 7.6 2018年度 (%) 10.4 6.8 8.9 12.5

経常利益 PER

2017年度 19.4 5.7 13.6 12.6 2017年度 (倍) 14.9 15.8 14.4 12.3

 前回予想 18.0 4.1 11.6 0.1 2018年度 (倍) 13.9 16.7 15.4 10.3

2018年度 8.6 -1.5 -0.7 -2.5 PBR

 前回予想 8.3 -2.1 -1.3 9.7 実績ベース (倍) 1.41 1.15 1.36 1.19

(前年度比,

%)

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63

Nomura21 Global 2018年3月号

売上高営業利益率 ROE(自己資本利益率)

63

Nomura21 Global 2018年3月号

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018

RNL除く金融 電通(%)

(年度)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018

RNL除く金融 電通(%)

(年度)

(4324)電通

海外展開の加速 海外展開を当社は近年加速させています。

当社は、2013年の英国のイージスグループ買収

により海外展開を本格化しました。その後も

M&Aを海外展開の基本戦略とし、現在では、

売上総利益の約6割を海外事業が占め、世界

シェアは5位まで成長しています。

世界の広告費の成長率は、中央および東ヨー

ロッパを除く世界各地で成長がやや鈍化したこと

に伴い、2017年は2016年対比で低下した模様

です。しかし、2018年は世界の広告市場の3分

の1を占める北米をはじめ、アジアパシフィックやラ

テンアメリカでの成長が上向くことから、2017年を

上回る3.6%の成長となり、総広告費は5,895

億ドルになると、電通イージス・ネットワーク(当社

の海外本社)では予測しています。

この2018年の広告費の成長率には、デジタル広

告の拡大や「2018年平昌冬季オリンピック・パラ

リンピック競技大会」「2018年FIFAワールドカッ

プ・ロシア大会」「米国の中間選挙」などの大型イ

ベントの貢献が反映されています。

鈍化が続いていた海外事業の売上総利益の

オーガニック成長率(注)は2017年10-12月期に前

年同期比+1.2%となり、底打ちが確認されました。

加えて、会社は2018.12期の海外事業のオーガ

ニック成長率を、1桁前半と想定しています。

2018年の世界広告市場の成長により、さらに改

善する可能性があるでしょう。

(注)為替やM&Aの影響を除いた内部成長率。

(注)売上高営業利益率は、IFRS(国際財務報告基準)の売上総利益に対する営業利益の割合を記載している。電通は2017年度以前は実績。2018年度以降は野村證券の見通し。RNL除く金融は、ラッセル野村Large Capで、当銘柄群の除く金融ベース。2016年度以前は実績。2017年度以降は野村證券の見通し。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

世界の広告費成長率予測

海外事業の売上総利益の推移

(注)2018.12期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。2015.12期は財務報告ベースでは、4~12 月の9 ヶ月決算だが、図表の売上総利益は会計期間を1~12 月の12ヶ月修正ベース。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2017年以降の推定・予想は電通イージス・ネットワーク(2018年1月16日時点)。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(前年比、%)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

2015.12 2016.12 2017.12 2018.12 2019.12

(億円)

(期)

米州

欧州・中東・アフリカ

アジア太平洋

予想

海外事業の売上総利益のオーガニック成長率の推移

-4

-2

0

2

4

6

8

1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12

2016 2017

(前年同期比、%)

(月期)

(年)

(出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

2016年 2017年 2018年

全世界(59地域) 4.7 3.1 3.6

北米 4.8 2.5 3.1

西ヨーロッパ 4.1 3.3 2.6

中央及び東ヨーロッパ 7.6 8.3 7.4

アジアパシフィック 4.6 3.5 4.2

ラテンアメリカ 9.1 8.1 8.8

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64

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

(4324)電通

デジタル領域の強化とバリュエーション比較 広告のデジタルシフトへの対応が必要

不可欠となるでしょう。

日本の広告費を媒体別に見ると、テレビや新聞、

雑誌、ラジオといった従来型メディアが伸び悩む

中、インターネット広告が急速に拡大しています。

インターネット広告は、2009年に雑誌、2012年

に新聞を抜き、現在ではテレビに次ぐ約6,500億

円規模のメディアとなりました。

このような成長機会を取り込むため、当社は海

外事業において、約130件のM&A(2014年

~2017年)を行うなど、デジタル領域の強化を図り、

2017.12期の時点で、デジタル領域の売上総利

益に占める割合を43%まで高めています。

今後もオンライン動画広告やソーシャルメディア広

告などがけん引し、国内外で広告のデジタルシフ

トが進むと予想されます。当社は、デジタル領域

でのM&Aを継続するとしており、デジタルシフトへ

の対応を進める見込みです。

足元の株価は、労働環境改革に伴う費用増や

海外事業の成長率が伸び悩んだことから低迷し

ていますが、2018.12期の野村予想EPS基準で

PER10.3倍と海外大手競合平均の13倍と比

較して低い水準です。また、TOPIXや当社の過

去平均と比べても大きく下にかい離しています。

国内広告市場の復調や海外展開の加速、デジ

タル領域の強化が進展し、業績回復が確認され

れば、株式市場での評価が高まる可能性がある

でしょう。

(平瀬 太祐)

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

(注)2006年より、「その他」から「インターネット広告」を特掲している。一部調査対象の追加等を行ったため、 数値の不連続が生じている。 (出所)経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より野村證券投資情報部作成

日本の媒体別広告費の推移

当社と海外大手競合のPERの比較

(注)データは月次で、電通のデータの直近値は2018年2月13日。海外大手競合は2月14日。 括弧内の値は直近のPER。電通のPERは野村予想ベース。海外大手競合のPERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想、ブルームバーグ予想が無い、などの場合、表示していない。 (出所)野村證券金融工学研究センター、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

0

5,000

10,000

15,000

20,000

1988 92 96 00 04 08 12 16

(億円)

(年)

テレビ

インターネット広告

新聞

ラジオ

雑誌

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

電通

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)

0

10

20

30

2008 2010 2012 2014 2016 2018

電通(10.3倍) インターパブリック・グループ(14.1倍) パブリシス・グループ(13.2倍) オムニコム・グループ(14.3倍) WPP PLC(10.5倍)

(年)

(倍)

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

電通

TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

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65

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

65

Nomura21 Global 2018年3月号

インフラ

30.0%

電装エレク

トロニクス

51.0%

機能

製品

15.3%

サービス・

開発等

3.7%

日本

53.8%

中国

9.7%

その他

アジア

18.5%

北中米

9.8% その他

8.3%

(5801)古河電気工業

当社は、通信用・電力用ケーブルや自動車電装部品などを手

掛ける大手電線メーカーです。特に、当社が世界で初めて実用

化した光ファイバーケーブルは高い世界シェアを有しています。

1884年に古河市兵衛が開設した本所鎔銅所と、同時期に開

設された山田電線製造所が当社の母胎事業です。1917年に

横浜護謨製造(現在の横浜ゴム)、1923年に富士電機製造

(現在の富士電機)、1959年に古河アルミニウム工業(現在の

UACJ)を設立するなど、早くから事業の多角化を進めてきました。

中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」では、光ファイバー

などの成長分野に積極的に投資するとともに、低採算品の縮小

などを進め、収益性の向上を図る方針を示しています。 (注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017.3期連結)

(注)事業別はセグメント間調整後。事業別のインフラは光ファイバーなどを手掛ける情報通信ソリューション事業と電力ケーブルなどを手掛けるエネルギーインフラ事業が含まれる。電装エレクトロニクスはワイヤーハーネスなどの自動車部品や巻線など、機能製品は半導体製造用テープやケーブル管路材など、サービス・開発等は物流や情報処理・ソフトウェア開発などを手掛ける事業。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(5801)古河電気工業 <資本財・サービス>

組み入れ日:2018年1月19日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 5,540 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 3,915 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 80.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 1.44 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 2,933 円

⑧予想PER(2019.3期) 12.8 倍

⑨PBR(2017.3期) 1.89 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 12.6 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 27.6 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

271

386 450

530 600

8,749 8,433

9,650 10,300 10,900

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

141.7

249.2

383.1

432.7

496.6

5.5%

9.3%

12.4% 12.6% 13.0%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

10000

20000

30000

40000(円)

(年)

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

14/1 2900

14/10 1770

17/11 7230

89/6 13800

98/10 3330

00/10 37100

02/11 1780

06/02 11250

12/11 1410

17/11 7230

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に日本会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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66

Nomura21 Global 2018年3月号

Point

業績予想要約表

全産業 セクター サブセクター (5801) 全産業 セクター サブセクター (5801)

鉄鋼・非鉄 電線 古河電気工業 鉄鋼・非鉄 電線 古河電気工業

売上高 営業利益率

2017年度 8.1 17.2 10.3 14.4 2017年度 (%) 8.1 5.3 5.3 4.7

2018年度 3.0 2.1 5.1 6.7 2018年度 (%) 8.6 5.5 5.8 5.1

営業利益 ROE

2017年度 17.4 64.9 13.7 16.6 2017年度 (%) 10.4 7.3 8.5 12.4

2018年度 8.0 4.8 13.8 17.8 2018年度 (%) 10.4 7.3 9.1 12.6

経常利益 PER

2017年度 19.4 92.7 12.0 29.2 2017年度 (倍) 14.9 11.9 11.9 14.5

 前回予想 18.0 101.2 16.0 34.7 2018年度 (倍) 13.9 11.4 10.4 12.8

2018年度 8.6 6.2 15.6 18.3 PBR

 前回予想 8.3 2.6 12.7 12.4 実績ベース (倍) 1.41 0.85 0.98 1.89

(前年度比,

%)

(5801)古河電気工業

光ファイバーが当社の業績をけん引

光ファイバーの世界需要は、情報通信量

の拡大などに伴い、2018年に前年比20%強拡

大し、2019年から2021年にかけて年率10%増

加すると野村では予想しています。

当社は、世界トップクラスのシェアを誇る光ファイ

バーメーカーです。2001年に米国の光ファイバー

企業を買収したことや、デンマークに生産拠点を

有していることなどから、当社の光ファイバー事業

の地域別売上構成比は、北米が約5割、欧州

が約2割と相対的に高くなっています。

北米での光ファイバー需要は、1)大手通信キャリ

アの5G(第5世代移動通信システム)に向けた設

備投資、2)データセンター投資の拡大、3)デー

タセンター内の銅配線が光ファイバーへと転換、な

ど様々な要因により拡大するとみられます。

また欧州でも、大手通信キャリアが光通信網へ

の設備投資を積極化させているほか、ドイツ政府

が超高速通信網の整備に2025年までの8年間

で1,000億ユーロを投じる方針を示すなど、光ファ

イバーの需要拡大が今後期待されます。

旺盛な需要に対し、当社は光ファイバーの生産

能力を2020.3期には2017.3期比で2倍に増強

する計画であり、需要拡大の恩恵を享受できる

とみられます。

1. 光ファイバー需要の拡大

2. 自動車向け製品の成長

3. 機能製品事業の業績拡大

(注1)1人当たり光ファイバー敷設量のデータは2015年。FTTH普及率は2016年ベース。 (注2)FTTH(Fiber to the Home)は、通信事業者の設備から家までを光ファイバーケーブルでつなぐアクセス方式。FTTHの普及率は契約者ベースではなく、物理的にFTTHで接続されている世帯数を全世帯数で除したもの。 (出所)Arthur D Little「Race to Gigabit Fiber」、古河電気工業、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(注)2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

情報通信ソリューション事業の業績推移

各国の1人当たりの光ファイバー敷設量とFTTH普及率

(注)全産業の売上高/営業利益/経常利益/営業利益率/ROEはRussell Nomura Large Cap(除く金融)。全産業のPER/PBRはTOPIX。予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)による。

野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完。前回予想は2017年11月30日時点の予想。セクター、サブセクターはいずれもRussell Nomuraの業種分類に基づく。

(出所)野村證券金融工学研究センター、エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

日本

中国

米国

香港

フランス

英国

ドイツ

0

20

40

60

80

100

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

(%)

1人当たり光ファイバー敷設量(km/人)

F

T

T

H

0

3

6

9

12

15

0

800

1,600

2,400

3,200

4,000

2016.3 2018.3 2020.3 2022.3

(億円) (%)

(期)

売上高(左軸)

売上高営業利益率(右軸)

予想

当社の光ファイバー

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67

Nomura21 Global 2018年3月号

売上高営業利益率 ROE(自己資本利益率)

67

Nomura21 Global 2018年3月号

(5801)古河電気工業

電装エレクトロニクス事業の業績拡大 EVやPHEVなどの環境対応車やADAS製

品(エーダス、先進運転支援システム)搭載車種

の普及などにより、当社の電装エレクトロニクス事

業の拡大が期待されます。

電装エレクトロニクス事業は、エナメル線(注1)や伸

銅品(注2)などを手掛ける電装エレクトロニクス材料

事業と、ワイヤーハーネス(注3)を主力とした自動車

部品・電池事業の2つから構成されています。

各国・地域の環境規制強化などから、自動車

メーカー各社はEV(電気自動車)やPHEV(プラグ

インハイブリット車)などの環境対応車の開発・生

産・販売を積極化させています。このような背景

から、電装エレクトロニクス材料事業の平角(ひら

かく)巻線やパワー半導体向け銅条などの需要

拡大が予想されます。

また自動車部品・電池事業では、ADAS製品に

注力していく方針を示しています。実際に、当社

の周辺監視レーダーは、2017年2月に発売され

たマツダのSUV「CX-5」に搭載されています。

加えて、自動運転技術の進展による、1台当たり

に搭載されるADAS製品などの増加から、それら

をつなぐワイヤーハーネスの需要も拡大するとみら

れます。中でも車体の軽量化を実現するアルミ

ハーネスの需要拡大が期待されます。

2017年4-12月期の電装エレクトロニクス事業の

営業利益は、銅条や巻線、ワイヤーハーネスなど

の需要増加を背景に、前年同期比79.9%増と

なっています。

(注1)銅線をエナメルの皮膜で被覆した電線。産業用・家電用モーターのほか、自動車電装用モーターやコイル等、幅広い用途に使用される。

(注2)伸銅品は、圧延・押出し・引抜き・鍛造などの熱間又は冷間の塑性加工によって造られた銅及び銅合金の板・条・管・棒・線などの製品の総称。

(注3) 自動車の隅々に張り巡らされた電線であり、電力と情報信号の伝送機能を持つ。

(注)2016年度以前は実績。2017年度以降は野村證券の見通し。RNL除く金融は、ラッセル野村Large Capで、当銘柄群の除く金融ベース。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

電装エレクトロニクス事業の営業利益の推移

当社が注力する自動車向け製品の例

(注)全てを網羅しているわけではない。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

0

50

100

150

200

250

2016.3 2018.3 2020.3 2022.3

(億円)

(期)

予想

自動車部品・電池

電装エレクトロニクス材料

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018

RNL除く金融 古河電気工業 (%)

(年度)

予想

-70

-60

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018

RNL除く金融 古河電気工業 (%)

(年度)

予想

平角巻線

自動車のEV・PHEV車の駆動モーター等の高電圧に使用される巻線。機器の小型化や軽量化にも貢献すると期待される。

銅条

圧延で薄く伸ばし、コイル形状で供給される伸銅品。パワー半導体向け銅条の需要拡大が期待される。

周辺監視レーダー

悪天候時でも車両後方や死角の障害物を検知することが可能なセンサーの一種。

従来の銅を使用したモノと比較し、10~40%の軽量化を実現した。

アルミハーネス

自動車部品・電池 電装エレクトロニクス材料

アルミ電線を使用したワイヤーハーネス。

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68

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

古河電気工業

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

古河電気工業 TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

(5801)古河電気工業

機能製品事業の業績拡大 無電柱化の進展によるケーブル保護管の

需要拡大や自動車の電動化による電解銅箔(注)

の需要拡大が、当社の機能製品事業の利益拡

大に寄与するとみられます。

当社の機能製品事業は、半導体製造用テープ

や国内シェア約5割を誇るケーブル保護管、電解

銅箔を主力とする事業です。

政府は、景観の向上や歩行空間の確保、都市

防災力の強化などを目的に、無電柱化を推進し

ています。ロンドンやパリなどの観光都市ではすで

に無電柱化が100%である中、東京23区では

8%(2016年度末時点)と依然として低水準と

なっています。無電柱化が進展すれば、当社が

手掛ける地中送電ケーブルはもちろん、そのケー

ブルを保護するための地中埋設ケーブル保護管

の需要拡大にもつながるとみられます。

また、自動車の電動化により、当社が世界で高

いシェアを持つ車載リチウムイオン電池用電解

銅箔の需要が拡大しています。実際に2017年

4-12月期では、銅箔の旺盛な需要などにより、

機能製品事業の営業利益は前年同期比

29.4%増となりました。

2016年頃までの当社PBRは市場平均以下の

水準が続いていましたが、光ファイバー事業の高

い成長期待などから急速に市場の評価が改善し

ています。今後も、高PBRを維持しつつ業績拡

大に連動した株価の推移が期待されます。

(注)銅箔は一般的に銅を70マイクロメートル以下の薄さの箔形状としたものを指す。電解

銅箔はフレキシブルプリント配線板やリチウムイオン電池の負極材などに使用される。

(大坂 隼矢)

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

6%

8%

35%

46%

93%

95%

100%

100%

大阪市

東京23区

ジャカルタ

ソウル

シンガポール

台北

香港

ロンドン・パリ

(注)ロンドン・パリ、香港は2004年、台北は2013年、シンガポールは1998年、ソウルは2011年、ジャカルタは2014年、 日本は2016年度末の数値。 (出所)古河電気工業、国土交通省より野村證券投資情報部作成

海外主要都市と日本の無電柱化率

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・野村證券エクイティ・リサーチ部(2月6日発表)

2020.3期:610億円→600億円

機能製品事業の営業利益の推移

(注)Q1は4-6月期、Q2は7-9月期、Q3は10-12月期、Q4は1-3月期を指す。2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)古河電気工業、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

0

10

20

30

40

50

60

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4

2016.3 2017.3 2018.3(期)

予想 (億円) 銅箔

ケーブル保護管

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69

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

69

Nomura21 Global 2018年3月号

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000(円)

(年)2014 2015 2016 2017 2018

2700

3000

3300

3600

3900

4200

4500

4800

5100(円)

(年)

(2875)東洋水産

当社はマルちゃんブランドで知られる総合食品メーカーです。

1953年に築地市場内に、冷凍マグロの輸出事業を手掛ける

横須賀水産として創業し、魚肉ハム・ソーセージや缶詰などの加

工食品へ進出しました。その後、加工食品事業の需要閑散期

である冬場向けの商品として即席麺事業を成長させました。

1962年のハイラーメン発売以降、マルちゃんマークを付けたマル

ちゃん焼きそば3人前(チルド麺)や、赤いきつね(カップ麺)など、

30年以上にわたるロングセラー商品を多数手掛けています。

海外でも1972年からMaruchan製品として親しまれ、特にメキ

シコではMaruchanが「すぐに」という意味で使われ、2006年の

サッカーワールドカップでメキシコ代表の速攻攻撃を「Maruchan

作戦」と呼んだ程、広く知られています。 (注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017.3期連結)

(注)事業別はセグメント間調整後。その他は水産食品とその他事業を含む。所在地別は通期のみで、セグメント調整前。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(2875)東洋水産 <生活必需品>

組み入れ日:2017年11月24日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 4,100 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 4,546 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 60.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 1.46 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 2,655 円

⑧予想PER(2019.3期) 18.2 倍

⑨PBR(2017.3期) 1.54 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 7.8 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 75.1 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に日本会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

日本

80.8%

米国・

メキシコ

19.1%

その他 0.1%

国内

即席麺

29.7%

海外

即席麺

19.5%

低温食品

18.9%

加工食品

5.5%

冷蔵

4.8%

その他

21.7%

15/8 5020 5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均 14/6 2984

16/1 3705

16/7 4615

16/11 3835

17/12 4935

15/8 5020

89/11 1930

98/10 659

08/10 3110

11/3 1614

283 295 284 299 321

3,833 3,827

3,924

4,025

4,134

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

179.8

204.0 202.7

225.2 240.9

7.3%

7.9%

7.4% 7.8% 7.9%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

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70

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(岩崎 裕美)

(2875)東洋水産

当社の米国における即席麺の販売量の推移

当社が即席麺市場で高いシェアを誇る米国やメ

キシコでは、予想以上に販売が好調に推移した

ため、米国で生産がひっ迫し、人件費やメキシコ

への輸送費の追加負担が発生しました。しかし、

米国内で相対的に人件費が安く、メキシコへの

輸送効率が良いテキサス工場で生産ラインを増

強しています。2018年4月以降の稼働を控え、

これらの負担増加は解消に向かう見込みです。

国内では高齢化や共働き世帯の増加、世帯人

数の減少などを背景とした、食の時短・簡便化

ニーズの高まりが当社の業績拡大の追い風と

なっています。低温食品事業(生麺・チルド・冷凍

食品類等)や、加工食品事業(レトルト米飯やフ

リーズドライ製品等)では、電子レンジ調理対応

商品等を強化し、販売が好調に推移しています。

冷蔵事業では、農水産・畜産品、冷凍食品を

中心に取扱いが増加しています。業界全体で大

都市圏を中心に冷蔵倉庫の設備不足感が強ま

る一方で、当社は積極的に設備増強を行ってい

ます。今後も冷蔵倉庫に対する需要の拡大に伴

い、同事業の売上拡大が期待されます。

当社のバリュエーションは食品セクターの中では割

安な水準にあります。海外での販売好調や冷蔵

事業の成長を背景に、食品セクターの中での相

対的な評価の向上が期待できるでしょう。

6大都市の冷蔵倉庫の収容容積と入庫数量の推移

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2018年2月16日の業績予想修正(営業利益)

・野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年1月31日発表)

2018.3期:295億円→284億円

2019.3期:306億円→299億円

2020.3期:334億円→321億円

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

2012.3 13.3 14.3 15.3 16.3 17.3 18.3

予想

(期)

(前年同期比、%)

(注)データは四半期。2018年1-3月期は野村證券エクイティ・リサーチ部の予想(2018年2月13日時点)。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

1. 海外での販売好調

2. 食の時短・簡便化ニーズの高まり

3. 冷蔵倉庫の取扱量の拡大

(注)データは月間平均。6大都市は、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

900

920

940

960

980

1,000

1,020

1,040

1,060

58

60

62

64

66

68

70

72

74

2000 2005 2010 2015

(万個) (万立方メートル)

(年)

6大都市の収容容積(右軸)

6大都市の入庫数量(左軸)

0

10

20

30

40

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

東洋水産

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

東洋水産TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

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71

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

71

Nomura21 Global 2018年3月号

(3086)J.フロント リテイリング

当社は2007年9月に百貨店の大丸と松坂屋ホールディングスが

経営統合して設立された共同持株会社で、百貨店事業を中

心とした小売事業グループです。大丸は1717年(享保2年)に下

村彦右衛門正啓が京都の伏見に呉服屋を開いたのが創業で、

松坂屋は織田信長の小姓であった伊藤蘭丸祐道が、本能寺

の変の後(1611年、慶長16年)、武士を捨て商人となり、前身

のいとう呉服店を構えたのが始まりです。

当社は事業領域の拡大のため、2011年に雑貨や化粧品販売、

通信販売を手掛けるスタイリングライフ・ホールディングスを持分

法適用関連会社化し、2012年には商業施設を開発・運営す

るパルコを連結子会社化、2015年には「ベルメゾン」を展開する

通信販売大手の千趣会を持分法適用関連会社化しています。

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。1株当たり純資産、PBR、自己資本比率の実績値は日本会計基準適用。それ以外の予想はIFRS(国際財務報告基準)を適用。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017.2期連結)

(注)所在地別の売上高は、国内が90%を超えるため、記載を省略している。事業別はセグメント間調整後。その他は、不動産事業、クレジット金融事業、その他を含む。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年3-8月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。 1株当たり純利益及びROEの実績値は日本会計基準適用。それ以外はIFRS(国際財務報告基準)を適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(3086)J.フロント リテイリング <一般消費財・サービス>

組み入れ日:2017年10月20日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 1,924 円

②レーティング Neutral

③売買単位 100 株

④時価総額 5,206 億円

⑤予想1株当たり配当(2019.2期) 34.0 円

⑥予想配当利回り(2019.2期) 1.77 %

⑦1株当たり純資産(2017.2期) 1,554 円

⑧予想PER(2019.2期) 15.1 倍

⑨PBR(2017.2期) 1.24 倍

⑩予想ROE(2019.2期) 8.3 %

⑪自己資本比率(2017.2期) 38.7 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

公表なし

百貨店

56.4%

パルコ

19.2%

その他

24.5%

417

515 550 580

4,525 4,760 4,810 4,870

2017.2 18.2 19.2 20.2

予想

100.4 103.0

117.0

127.3 134.2 6.9% 6.8%

7.7% 8.3% 8.2%

2016.2 17.2 18.2 19.2 20.2

予想

2014 2015 2016 2017 2018

750

1000

1250

1500

1750

2000

2250

2500

2750(円)

(年) 2007 2009 2011 2013 2015 2017

0

500

1000

1500

2000

2500

3000(円)

(年)

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均 13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

14/3 1246

15/7 2512

16/7 1010

17/3 1798

17/9 1426

15/7 2512

16/7 1010

11/3 524

07/10 2346

09/3 544

10/4 1214

17/12 2190

17/12 2190

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

Page 73: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

72

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(3086)J.フロント リテイリング

訪日外国人と免税総売上高の推移

インバウンド消費の復調を背景に、全国百貨店

売上高は改善傾向にあります。当社傘下の大

丸松坂屋は2018年1月の免税売上高が前年

同月比+36%と大幅に伸びました。

当社は海外の交流サイト(SNS)でPRを強化し

たり、中国で普及しているスマートフォンを使った

決済サービスを導入するなどの施策を行っていま

す。今後も拡大が予想されるインバウンド需要の

取り込みが進められています。

国内では、所得環境が改善しており、個人消費

は堅調に推移しています。2018年の春闘で安

倍首相は3%を超える賃上げを期待すると表明

しています。今後も持続的で着実な賃上げが実

施されれば、個人消費は下支えされるでしょう。

不動産事業の成長も期待されます。2017年4

月に開業した「GINZA SIX」の客足は好調です。

同年11月には「上野フロンティアタワー」も開業し

ました。今後も心斎橋や渋谷などの大都市中心

部で不動産開発プロジェクトが控えており、収益

性及び不動産価値向上が期待されます。

当社のPBRは概ね市場平均を下回る水準で推

移してきました。今後、収益性の改善及びROE

の向上が確認されれば、株式市場での評価が

高まる可能性があるでしょう。

実質個人消費支出と実質雇用者報酬の推移

1. インバウンド消費の復調

2. 堅調な個人消費

3. 不動産事業の成長

(注)データは四半期で、直近の値は2017年10-12月期。2011年暦年の連鎖価格を基準に、実質金額が計算されている。 (出所)内閣府経済社会総合研究所より野村證券投資情報部作成

(注)2014年10月1日より新免税制度が導入され、新たな免税対象となった消耗品(化粧品、食料品等)が計上されている。データは月次で、免税総売上高の直近値は2017年12月、訪日外国人の直近値は2017年12月。 (出所)日本百貨店協会、日本政府観光局(JNTO)より野村證券投資情報部作成

(平瀬 太祐)

0

50

100

150

200

250

300

0

50

100

150

200

250

300

2012 2013 2014 2015 2016 2017

(億円) (万人)

免税総売上高(左軸)

訪日外国人(右軸)

(年)

新免税制度導入

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

240

245

250

255

260

265

270

275

275

280

285

290

295

300

305

310

2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

(2011年基準、年率、兆円) (2011年基準、年率、兆円)

(年)

実質雇用者報酬

(右軸)

実質個人消費支出

(左軸)

0

10

20

30

40

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

J.フロント リテイリングTOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

1.0

2.0

3.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

J.フロント リテイリングTOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

Page 74: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

73

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

73

Nomura21 Global 2018年3月号

(4901)富士フイルムホールディングス

当社は、1934年に写真フィルムの国産工業化計画に基づき、

大日本セルロイド株式会社(現ダイセル)の写真フィルム事業を

分離継承し、富士写真フイルム株式会社として設立されました。

デジタル化の進展で、2000年をピークに写真用フィルムの需要

が激減しました。難局を乗り切るために当社は写真事業で培っ

た基盤技術を核とした事業領域の再編を断行し、今では事務

機器や医薬品など多岐にわたる事業を展開しています。

当社は2017年8月に新中期計画「VISION2019」を策定しま

した。最終年度である2019年度に、過去最高益となる営業利

益2,300億円の達成を目標とし、戦略的なM&Aへの投資を加

速させています。 (注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017年4-9月期連結)

(注1)セグメント間調整後。(注2)会社の区分では、事務機器関連はドキュメントソリューション、高機能材料・ヘルスケア関連はインフォメーションソリューション、写真関連はイメージングソリューションに含まれる。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に米国会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(4901)富士フイルムホールディングス <情報技術>

組み入れ日:2017年9月22日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 4,316 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 22,211 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 75.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 1.74 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 4,668 円

⑧予想PER(2019.3期) 17.2 倍

⑨PBR(2017.3期) 0.92 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 4.9 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 57.8 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

1,806 1,723

1,350

2,160

2,770

24,604 23,222

24,510

30,720

36,230

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

250.0

296.3

306.3

250.5

295.0

5.5%

6.5% 6.3%

4.9%

5.6%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000(円)

(年)

15/8 5293

14/5 2502

16/7 3647

17/1 4560

17/6 3932

15/8 5293

89/10 4260

95/3 1850

01/6 5550

03/4 2830

07/11 5710

12/9 1240

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均 18/1 4838

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

18/1 4190

事務機器

関連

44.8%

高機能材料・

ヘルスケア関連

40.5%

写真関連

14.7%

日本

49.3%

米国

18.3%

欧州

9.1%

アジア及び

その他

23.3%

Page 75: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

74

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(4901)富士フイルムホールディングス

セグメント別売上高構成比の変化

当社は写真フィルムの需要激減という本業消失

の危機を、同事業で培った技術を活かした事業

の多角化によって乗り切りました。現在では、売

上高に占める写真関連事業以外の割合は8割

を超え、中でも事務機器が主力となっています。

当社は(米)ゼロックスとの経営統合を発表しまし

た。実現すれば、事務機器の売上高で世界最

大となります。富士ゼロックスがアジア太平洋、ゼ

ロックスが欧米と住み分けされていた非効率な商

圏もなくなり、世界で一元化された営業が可能に

なります。会社は、生産体制の最適化や人員削

減により、2023.3期までに年間17億ドル以上の

コスト改善効果を生むと見込んでいます。

成長戦略として、2020.3期までの3年間で総額

5,000億円規模のM&A投資枠を設けました。戦

略的な事業展開の中で、ヘルスケア事業、特に

再生医療に関しては、M&Aを活用し一連の製

造までの工程をすべて自社グループでまかなえる

体制をつくり上げました。同事業は2019.3期から

の収益貢献を目指しています。

当社PBRは1倍前後の水準が続いていますが、

事務機器事業の収益性改善や成長分野の立

ち上がりが確認されれば、今後のバリュエーション

改善が期待できます。

事務機器事業の売上高営業利益率と営業利益の推移

1. 写真フィルム技術を活かした構造改革

2. 事務機器事業の競争力の向上

3. M&Aを活用したヘルスケア事業の拡充

写真関連

15%

高機能材料・

ヘルスケア関連

39%

事務機器関連

46%

2016年度売上高構成比

2001年度売上高構成比

写真関連

33%

高機能材料・

ヘルスケア関連

29%

事務機器関連

39%

(注1)会社の区分では、事務機器事業はドキュメントソリューション。 (注2)2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(滝沢 弘量)

(出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・会社(1月31日発表)

2018.3期:1,850億円→ 1,300億円

・野村證券エクイティ・リサーチ部(1月31日発表)

2018.3期:1,930億円→ 1,350億円

2019.3期:2,150億円→ 2,160億円

2020.3期:2,230億円→ 2,770億円

0

2

4

6

8

10

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3 21.3

営業利益(左軸)

売上高営業利益率(右軸)

(%)

(期)

(億円)予想

0

25

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

富士フイルムホールディングス

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年) 0.0

2.0

4.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

富士フイルムホールディングス

TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

Page 76: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

75

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

75

Nomura21 Global 2018年3月号

日本

30.9%

北米

15.1%

欧州

14.5%

アジア

37.5%

その他

2.0%

(6273)SMC

当社は、FA(ファクトリー・オートメーション、工場での生産工程の

自動化システム)の要の部品である空圧機器で世界トップシェア

を誇ります。

1959年に焼結金属工業として設立され、社名の由来は、焼結

金属を英語に訳した「Sintered Metal」と「Company」の頭文

字からきています。

1967年のオーストラリア進出を皮切りに、グローバルな生産・販

売体制を築いてきました。部品毎にほぼ1ヶ所で集中生産する

ことで、コスト競争力を高めるとともに、部品設計や工法の変更

を行いやすくし、継続的なコストダウンを図っています。

また、主力製品の空圧機器は、販売地域の実情に即して組み

立て、顧客の要望に応えることでシェアを高めてきました。

①株価(2018年2月13日) 44,610 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 30,053 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 400.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 0.90 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 15,293 円

⑧予想PER(2019.3期) 17.8 倍

⑨PBR(2017.3期) 2.92 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 13.8 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 86.2 %

(6273)SMC <資本財・サービス>

組み入れ日:2016年1月22日

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

<所在地別>(2017年4-9月期連結)

(注)セグメント間調整後。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<国内業種別>(2017年4-9月期単体)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に日本会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<営業利益>

<売上高>

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

自動車

22.0%

電機(半導

体を含む)

30.0%

工作機械

12.0%

食品

5.0%

医療

4.0%

その他

27.0%

1,342 1,411

1,920 2,150

2,330

4,756 4,876

5,980 6,530

6,950

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

1371.3

1683.1

2218.9

2504.7

2704.1

9.9%

11.5%

13.7% 13.8% 13.3%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

10000

20000

30000

40000

50000

60000(円)

(年) 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000(円)

(年)

14/3 22800

15/6 39265

16/2 23010

18/1 55830

18/1 55830

00/2 24100

08/12 7090

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

Page 77: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

76

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

10

15

20

25

30

35

40

45

50

2008.3 2011.3 2014.3 2017.3

(%)

(期)

アジア (中国を含む)

世界

うち、中国

欧州

北米

(6273)SMC

当社空圧機器の地域別シェアの推移(金額ベース)

当社の主力製品である空圧機器は、工場で人

の作業を自動化する機械やロボットの部品として

多く使われます。当社は、空圧機器の需要増加

を見据え、海外で営業人員を積極的に増やすこ

とで、世界シェア拡大を継続しています。

中国では政府主導のもと「中国製造2025」を掲

げ、半導体の国産化に代表される産業の高度

化を進めています。半導体の生産工程では、空

圧機器のなかでも高性能なものが使用されるた

め、同分野でシェアの高い当社に追い風となって

います。

また空圧機器は、他の駆動機器(油圧機器や

モーターなど)と比較し、低価格な上、設置が容

易であることから幅広い業種に使用されます。

2017年4-9月期の顧客業種別の売上高を見る

と、電機向けの好調に加えて、自動車向けや工

作機械向けの回復も確認されています。

FA機器市場の成長性や、業績拡大への期待

から当社のPBRは全産業平均に比べて恒常的

に高く、過去平均と比較しても高水準で推移し

ています。しかし、当社の営業利益率は、リーマン

ショック前のピークである2007.3期の26%から、

2018.3期には過去最高の32%まで上昇すると

予想されます。収益力の向上が株式市場からの

評価につながるでしょう。

当社の売上高と売上高営業利益率の推移

(注)2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(杉浦 智大)

1. 世界シェア獲得に向け販路を拡大

2. 中国での当社空圧機器の需要増

3. 顧客業種が広く業績の安定性が高い

(注)野村證券エクイティ・リサーチ部の推定も一部含まれる。アジアに日本は含まれない。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・野村證券エクイティ・リサーチ部(2月7日発表)

2019.3期:2,140億円→ 2,150億円

2020.3期:2,320億円→ 2,330億円

0

10

20

30

40

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

SMC

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

SMC TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

0

4

8

12

16

20

24

28

32

36

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

2007.3 2010.3 2013.3 2016.3 2019.3

(億円) (%)

(期)

売上高(左軸)

売上高営業利益率(右軸)

予想

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77

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

77

Nomura21 Global 2018年3月号

(6301)小松製作所

当社は、売上高ベースで日本で第1位、世界で第2位の建設・

鉱山機械メーカーです。コスト管理能力に優れ、2017.3期の売

上高営業利益率は約10%と、収益力では売上高世界首位の

(米)キャタピラーを上回っています。

2017年4月には、米国の超大型鉱山機械メーカーのコマツマイ

ニング(旧ジョイ・グローバル)を買収しました。同社の買収により、

超大型鉱山機械の取り扱いが可能になりました。鉱山機械のフ

ルライン化が可能となったことで、今後は北米を中心に売上拡

大が見込まれます。

また、2017年12月には半導体大手の(米)エヌビディアと、建設

現場におけるAI(人工知能)の導入で協業すると発表しました。

将来、建設機械等の自動制御による効率化も期待されます。 (注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017年4-9月期連結)

(注1)所在地別売上高はセグメント間調整後。事業別売上高はセグメント間調整前。 (注2)所在地別でCISはロシアなどを指す。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に米国会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(6301)小松製作所 <資本財・サービス>

組み入れ日:2017年9月22日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 3,832 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 37,246 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 84.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 2.19 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 1,672 円

⑧予想PER(2019.3期) 13.6 倍

⑨PBR(2017.3期) 2.29 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 14.9 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 59.4 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

日本

16.4%

米州

37.3%

中国

6.8%

アジア

オセアニア

20.4%

中近東・アフリカ

6.6%

欧州・

CIS

12.5%

6.8%

産業機械他 リテールファイナンス

2.0%

建設機械・車両 91.2%

2,086 1,741

2,600

4,000 4,650

18,550 18,030

24,950 27,290

29,190

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

145.8120.3

208.9

280.9

328.6

9.0%

7.3%

12.0%

14.9%15.9%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

1000

2000

3000

4000

5000(円)

(年)

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

14/12 2963.0

16/2 1557.5

17/3 3029

17/5 2622.5

18/1 4475

89/12 1470

07/10 4090

08/10 702

13/5 3095

16/2 1557.5

18/1 4475

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

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78

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

-50

0

50

100

150

-1,000

-500

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2005.3 2010.3 2015.3 2020.3 (期)

(億円) (%)建設機械売上高

(左軸)

前年比伸び率

(右軸)

予想

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

2001.3 04.3 07.3 10.3 13.3 16.3 19.3

推定ストック台数

(過去10年間の累積需要)

(万台、左軸)

(期)

(%)

需要/ストック比率(右軸)

年間需要台数(千台、左軸)

予想

(6301)小松製作所

当社の中国の建設機械売上の推移

中国で建設機械の需要が増加し、当社の業績

をけん引しています。中国では2015年以降、「一

帯一路」構想などの経済・産業プロジェクトが相

次いで打ち出されており、中国での建設機械の

需要は今後も増加が見込まれます。

また、世界的な景気拡大を背景に、北米やカナ

ダ、中南米でも、インフラおよびエネルギー関連を

中心に建設機械の需要が堅調に伸びています。

当社の次の成長ドライバーとして期待されるのが、

新興国を中心とした鉱山機械の需要回復です。

資源価格も底打ちが確認されつつあり、新車両

販売の回復が見込まれます。また、鉱山機械の

平均耐用年数は10年程度とみられ、今後は更

新需要も期待できます。息の長い鉱山機械の

需要回復が当社の業績をけん引するでしょう。

買収した米国のコマツマイニングの収益改善も

期待されます。同社は本体よりも利益率の高い

部品・サービス事業が売上の約8割を占めます。

同社事業が本格軌道に乗れば、当社の収益力

の更なる改善が見込まれます。

当社の収益源は多様化しており、野村證券エク

イティ・リサーチ部では、 2019.3期には2008.3期

の過去最高益を更新すると予想しています。

PBRは、当社の業績拡大への期待から、足元で

再度上昇し始めています。

世界の鉱山機械需要と需要/ストック比率

1. 建設機械の需要が拡大

2. 今後は鉱山機械が収益をけん引

3. 収益源の重層化により業績拡大へ

(注1)2018.3期以降の予想は、野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (注2)2016.3期までは事業セグメントを建設機械・車両と産業機械他の2つに区分していたが、2017年4-6月期よりセグメント区分を建設機械・車両、リテールファイナンス、産業機械他の3区分に変更した。 これに伴い2016.3期より新区分に組替えて表示している。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(注)2018.3期以降の予想は、野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(注)写真はダンプトラック。 (出所)株式会社小松製作所

(寺田 絢子)

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・野村證券エクイティ・リサーチ部(1月31日発表)

2018.3期:2,500億円→2,600億円

2019.3期:3,750億円→4,000億円

2020.3期:4,420億円→4,650億円

0

10

20

30

40

50

60

70

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

小松製作所

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

2.0

4.0

6.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

小松製作所TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

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79

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

79

Nomura21 Global 2018年3月号

(6504)富士電機

当社は、パワー半導体やパワーエレクトロニクス(電力制御技術)

を軸に、発電所や工場、自動車、鉄道、コンビニ・スーパーなど

幅広い分野で事業を展開する重電大手企業です。

当社は1923年に、古河電気工業と(独)シーメンスとの提携によ

り富士電機製造として設立されました。1935年には通信機部

門を分離し、現在の富士通にあたる富士通信機製造を設立し

ています。当社と富士通はその後、相互に株式の持ち合いを維

持していましたが、資本効率の改善や株主利益の観点から、

2017年2月に持ち合いを一部解消しています。

創立100周年にあたる2024.3期までに売上高1兆円、営業利

益率7%を目標に掲げています。

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017年4-9月期連結)

(注)事業別はセグメント間調整後。会社セグメントでは、パワエレ(エネルギー)はパワエレシステム・エネルギーソリューション、パワエレ(産業)はパワエレシステム・インダストリーソリューション。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に日本会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(6504)富士電機 <資本財・サービス>

組み入れ日:2017年11月24日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 765 円

②レーティング Buy

③売買単位 1,000 株

④時価総額 5,711 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 12.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 1.57 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 408 円

⑧予想PER(2019.3期) 14.8 倍

⑨PBR(2017.3期) 1.88 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 10.7 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 32.8 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

日本

73.7%

中国

9.4% アジア他

12.6%

その他

4.3%

パワエレ

(エネルギー)

23.4%

パワエレ

(産業)

33.0%

発電

9.6%

電子

デバイス

16.0%

食品流通

14.0%

その他

4.0%

450 447

550 590

650

8,136 8,378

8,900

9,300

9,700

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

42.9

57.4

46.2

51.8

58.8

11.8%

15.7%

10.6% 10.7% 11.2%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

300

400

500

600

700

800

900

1000(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

250

500

750

1000

1250

1500(円)

(年)

16/2 335

14/2 406

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

15/4 617

17/2 683

17/8 559

18/1 955

18/1 955

09/3 77

06/5 704

02/11 173

89/4 1330

82/8 177

Page 81: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

80

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(大坂 隼矢)

(6504)富士電機

パワー半導体市場の見通し

当社の主力製品であるパワー半導体は、電力の

変換、制御、供給機能を持ち、省エネニーズの

高まりから今後の需要拡大が予想されます。足

元では産業機器向けに需要が拡大していますが、

今後は自動車の電動化による車載向けパワー

半導体の需要も増加していくとみられます。

また、IoT(モノのインターネット)や生産の自動化

に向け、工場の電気設備の更新需要が見込ま

れていることから、当社の中核事業であるパワエ

レシステム事業の成長も期待されます。

足元では、インバーターやサーボモーターの販売が好調に推移し、同部門の2017年4-12月期営業利益は前年同期の16億円の赤字から20億円の黒字へと転換しており、今後も事業拡大が期待できるでしょう。

加えて、当社が中国で約7割のシェアを持つ自販機事業の中期的な成長も期待されます。中国自販機市場では、電子決済対応機種の増加から、紙幣利用による故障や盗難といったリスクが低下しています。普及率の低さや今後の経済成長などを考慮すれば、中国自販機市場は中長期的な拡大が続くと予想されます。

当社株のPBRは成長事業を複数持つ点が評価され、市場平均以上となっています。今後も業績拡大に連動した株価推移が期待されます。

各国・地域の自販機総設置台数と人口、1人当たりGDP

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2009 2011 2013 2015 2017 2019

(億ドル)

(年)

350

288

191

推定・予想

パワーマネジメントIC

ディスクリート(除く小信号トランジスタ)

(注)2017年以降の推定・予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。ディスクリートは個別半導体で、1つの機能のみを備えている。IGBTはここに含まれる。トランジスタは信号を増幅したり、信号によって回路をオン/オフするなど電気の流れをコントロールする能動部品。小信号トランジスタは低い電流に対応したもの。パワーマネジメントIC(電源IC)は一定の電圧や電流を出力するレギュレータなどを指す。 (出所)WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)、富士電機、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

1. パワー半導体の需要拡大

2. 主力であるパワエレ事業の復調

3. 中国自動販売機の中長期的な成長

57,608ドル

39,371ドル 38,883ドル

8,123ドル

米国 欧州 日本 中国 3.23億人 5.09億人 1.27億人 13.82億人

1人当たりGDP

450万台

350万台

250万台

(人口)

20万台

自販機総設置台数

(注)1人当たりGDPと人口は2016年の数値。欧州の人口、1人当たりGDPはEU加盟国28ヶ国が対象。 (出所)会社資料、IMF(国際通貨基金)「World Economic Outlook Database,October 2017」より野村證券投資情報部作成

パワー半導体(IGBT)

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・会社(1月29日発表)

2018.3期:520億円→530億円

・野村證券エクイティ・リサーチ部(1月30日発表)

2018.3期:540億円→550億円

2019.3期:570億円→590億円

2020.3期:620億円→650億円

0

10

20

30

40

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

富士電機

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年) 0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

富士電機 TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

Page 82: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

81

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

81

Nomura21 Global 2018年3月号

当社は、白物家電やAV機器、電池、住宅設備等幅広く事業

を展開する、日本を代表する総合エレクトロニクスメーカーです。

1918年に松下幸之助が松下電気器具製作所を創業し、配

線器具の製造を開始しました。その後事業を拡大させ、家電で

は国内トップシェア、車載用リチウムイオン電池では世界トップ

シェアを誇ります。

現在、事業領域を「家電」「住宅設備・機器」「車載及び産業」

「法人向けビジネス」の4つに整理し、2019.3期の営業利益

4,500億円を目標に、各事業領域内の取組みにおける選択と

集中を加速させています。

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017年4-9月期連結)

(注1)所在地別売上高はセグメント間調整後。事業別売上高はセグメント間調整前。 (注2)会社のセグメント区分では、家電は「アプライアンス」、住設機器等は「エコソリューションズ」、法人向けビジネスは「コネクティッドソリューションズ」、車載及び産業は「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共にIFRS(国際財務報告基準)適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(6752)パナソニック <一般消費財・サービス>

組み入れ日:2017年8月25日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 1593.5 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 39,089 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 30.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 1.88 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 674 円

⑧予想PER(2019.3期) 14.3倍

⑨PBR(2017.3期) 2.36 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 14.3 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 26.3 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

2,303 2,768

3,550

4,400 4,900

76,263 73,437 79,800 84,500 88,200

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

71.3 64.3

91.3

111.5

126.5

11.1%

9.9%

12.9%

14.3% 14.6%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

家電

31.3%

住設

機器等

17.8%

車載及び

産業

31.6%

その他

6.8%

法人向けビジネス

12.5%

日本

45.5%

米州

17.1%

欧州

9.8%

アジア・

中国他

27.6%

2014 2015 2016 2017 2018

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500(円)

(年)

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均 13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

14/5 1030

15/5 1853.5

16/2 799.0

17/11 1800.0

15/5 1853.5

88/8 2923

93/3 995

00/3 3320

03/4 860

06/4 2870

12/11 376

18/2 1523.5

16/2 799.0

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

(6752)パナソニック

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82

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(6752)パナソニック

耐久消費財サイクルと耐久財支出の相対的成長率推移

国内家電市場では、家電製品の平均使用年

数で見て、買い替えサイクルに入っています。当

社は国内家電でトップシェアを誇り、家電事業の

業績が改善しています。

また、当社は世界トップシェアを誇る車載用リチ

ウムイオン電池メーカーです。米国カリフォルニア

州や欧州、中国での環境規制強化などから、自

動車メーカー各社がEV(電気自動車)の開発・

生産・販売を積極化しており、当社の業績に追

い風になるとみられます。

当社はEV出荷首位の(米)テスラに電池を供給

しています。また、2017年12月には、トヨタ自動

車と車載電池で協業を検討すると発表しており、

今後の進捗が注目されます。

テスラが新型EV「モデル3」の生産遅延により、

1週間当たり5千台という生産目標の達成の時

期を、2018年3月末から2018年6月末に後ろ倒

しにしました。しかし、2020年に年産100万台の

達成という目標は変えておらず、テスラの生産体

制が確立することで業績改善が予想されます。

PBRは2倍を超えていますが、EV市場の成長性

や電機・精密セクターの業界平均PBRを考慮す

ると割高とはいえず、当社の高い成長性への期

待を反映していると考えられます。

(注)家電事業(アプライアンス事業)は、2011.3期から2017.3期の間、一部事業の移管など行っており、完全な継続事業ではない。

1. 耐久消費財の買い替えサイクルが到来

2. リチウムイオン電池の需要拡大

3. トヨタとの協業の検討を発表

(小山 直城)

EV向け電池の世界需要見通し

29 44

62

105

155

239

352

475

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 (年)

(GWh)

予想

-4

-2

0

2

4

6

8

10

-2

-1

0

1

2

3

4

5

1981 1987 1993 1999 2005 2011 2017

(前期比、%) (ポイント)

(年)

耐久財支出の 相対的成長率

(左軸) 耐久消費財サイクル(右軸)

(注)「耐久消費財サイクル」は消費者態度指数から算出した。耐久財支出の相対的成長率は、耐久財の前期比から、その他財・サービスの前期比を引いた値に、HPフィルターをかけたもの。

(出所)内閣府資料、野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・会社(2018年2月5日発表)

2018.3期:3,350億円→3,500億円

・野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月5日発表)

2018.3期:3,500億円→3,550億円

0.0

1.0

2.0

3.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

パナソニック TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年) 0

20

40

60

80

100

120

140

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

パナソニック

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)

(注)リチウムイオン電池需要の2017年から2022年の予測は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。1GWhは100万kWh。

(出所)Delphi、CAR、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

Page 84: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

83

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

83

Nomura21 Global 2018年3月号

(6758)ソニー

当社は1946年5月に電気通信機及び測定器の研究・製作を

目的として、東京通信工業としてスタートしました。

1955年に日本で初めてトランジスタラジオを発売し、後に欧米

でも大成功を収めました。その後も、トリニトロンカラーテレビや携

帯音楽プレーヤーのウォークマンなど数々の日本初、世界初の

商品を生み出してきました。

1993年には家庭用ゲーム機事業に参入し、翌1994年に発売

されたプレイステーションは、据え置き型ゲーム機として初めて累

計出荷台数が1億台を突破しました。

現在の事業分野は家電やゲーム、半導体、映画、音楽、金融

など多岐にわたります。

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。予想PERの計算は、潜在株式調整後の修正EPSを用いている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017年4-9期連結)

(注)セグメント間調整後。会社セグメントでは、ゲームはゲーム&ネットワークサービス、家電はホームエンタテインメント&サウンド、その他はモバイル・コミュニケーション、イメージング・プロダクツ&ソリューション、映画、その他を含む。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に米国会計基準適用。 潜在株式調整後の修正EPSを使用している。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(6758)ソニー <一般消費財・サービス>

組み入れ日:2017年11月24日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 5,099 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 64,536 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 25.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 0.49 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 1,978 円

⑧予想PER(2019.3期) 13.5 倍

⑨PBR(2017.3期) 2.58 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 15.3 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 14.1 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

2,942 2,887

7,200 7,300 7,700

81,057 76,033

85,500 87,000 89,500

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

117.5

56.9

372.5 376.4 395.8 6.2%

3.0%

17.6%

15.3% 14.1%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

1000

2000

3000

4000

5000

6000(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

2500

5000

7500

10000

12500

15000

17500

20000(円)

(年)

14/2 1514

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

15/5 3970.0

16/2 2199.0

18/1 5738

18/1 5738

00/3 16950

87/4 1163

12/11 772

日本

31.0%

米国

20.4%

欧州

19.9%

その他

6.6% 中国

8.7%

アジア・太平洋地域

13.4%

その他

33.2%

ゲーム

18.9%

半導体

9.4%

金融

14.8% 家電

14.3%

音楽

9.4%

Page 85: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

84

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

-2

0

2

4

6

8

10

-2,000

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

2012.3 14.3 16.3 18.3 20.3 (期)

(億円) (%) 予想

営業利益(左軸)

売上高営業利益率(右軸)

(滝沢 弘量)

(6758)ソニー

産業向けカメラ市場の推定・予測

世界シェア1位のCMOSイメージセンサーは、ス

マートフォンのカメラ向けに加えて、監視カメラなど

の産業向けに市場が拡大しています。当社は車

載向けに注力しています。車1台当たりのセン

サーは、先進運転支援システムの普及に伴い数

量や金額に直しても増加が見込まれます。

主力のゲーム事業も好調です。安定的な収益

源である有料会員数は、2017年3月末の2,640

万人から2017年12月末に3,150万人となるなど

増加傾向にあります。さらに当社は、多数保有す

るゲームやアニメなどのIP(知的財産)を活用し、

固定のファン層を狙ったゲーム開発により、一定

の安定的な需要が見込めるようになっています。

当社はゲームの有料会員サービスのように、顧客

との継続的な関係で収益を上げるリカーリング

型事業の強化を打ち出しています。利用期間に

対して対価を支払う保険などの金融サービスやデ

ジタルカメラのレンズ交換などの追加購入が代表

的なものです。当社は同事業が連結売上高に

占める比率が2016.3期の35%から2018.3期に

は40%になると予想しています。同事業の拡大

は、収益の向上と安定化に寄与するでしょう。

PBRはゲームやセンサーなどの新たな成長ドライ

バーが立ち上がったことで、上昇傾向にあります。

営業利益と売上高営業利益率の推移

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・会社(2月2日発表)

2018.3期:6,300億円→ 7,200億円

・野村證券エクイティ・リサーチ部(2月4日発表)

2018.3期:6,500億円→ 7,200億円

2019.3期:7,000億円→ 7,300億円

2020.3期:7,400億円→ 7,700億円

1. CMOSイメージセンサー市場が拡大

2. ゲーム事業の持続的な成長

3. 事業構造の改革が進展

(注)数値は野村総合研究所の推定・予測。 (出所)野村総合研究所「ITナビゲーター2017年版」のデータをもとに野村證券投資情報部作成

PlayStation®4

© Sony Interactive Entertainment Inc. All rights reserved. Design and specifications are subject to change without notice.

(出所)ソニー デジタルカメラ/交換用レンズ

aibo

(注)2018.3期以降の予想は野村証券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)会社資料・野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

リカーリング型ビジネスモデルが採用されている主な製品

0

20

40

60

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ソニー TOPIX 銘柄PER平均 (倍)

(年) 0.0

1.0

2.0

3.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ソニー TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

2016 2018 2020 2022

(億円)

(年)

ドローン用カメラ

車載カメラ

マシンビジョンカメラ

監視カメラ

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85

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

85

Nomura21 Global 2018年3月号

(6902)デンソー

当社はトヨタ自動車グループの中核をなす自動車部品メーカー

です。世界有数の売上規模を誇り、トヨタグループ向けが売上の

約4割強を占めています。

エンジン部品などのパワートレインシステムやカーエアコンなどの

サーマルシステムなどを主力に、幅広い製品分野で事業を行って

います。製品単体だけでなく、システム全体での提案が当社の

強みとなっています。近年は、自動運転分野に注力し、世界初

の製品を多く開発しています。

設備や生産ラインの設計、加工方法を、創業以来一貫して内

製化することにこだわり、高い生産効率を実現している点も当社

の強みと言えるでしょう。

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017年4-9月期連結)

(注)セグメント間調整後。会社セグメントでは、空調システム等はサーマルシステム、パワートレインはパワートレインシステム、情報安全はインフォメーション&セーフティシステム、電動化システム製品はエレクトリフィケーションシステム、その他は電子システム、モーター、その他、FA・新事業分野の合計値。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<製品別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共にIFRS(国際財務報告基準)適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(6902)デンソー <一般消費財・サービス>

組み入れ日:2017年7月21日

<営業利益>

<売上高>

①株価(2018年2月13日) 6,331 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 50,272 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 130.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 2.05 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 4,215 円

⑧予想PER(2019.3期) 14.4 倍

⑨PBR(2017.3期) 1.50 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 9.4%

⑪自己資本比率(2017.3期) 64.3 %

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

3,157 3,306

4,116 4,482

4,910

45,245 45,271

50,840 55,323

57,280

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

307.2 326.3

411.5

439.3

482.6

7.6% 8.0%

9.4% 9.4% 9.7%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

空調

システム等

30.1%

パワトレイン

25.6%

情報安全

16.2%

電動化シス

テム製品

10.0%

その他

18.1%

日本

40.5%

北米

22.6%

欧州

12.3%

アジア

22.9%

その他

1.7%

2014 2015 2016 2017 2018

3000

4000

5000

6000

7000

8000(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000(円)

(年)

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

14/5 4223

15/5 6548

16/7 3317

17/3 5323

08/12 1250

07/7 4940

01/9 1535

97/5 3280

92/3 1210

89/10 2472

17/4 4551

18/1 7218

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

18/1 7218

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

Page 87: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

86

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

25

26

27

28

29

30

31

32

33

34

35

2009.3 2011.3 2013.3 2015.3 2017.3 2019.3予

(万円)

(期)

(6902)デンソー

デンソーのトヨタ自動車向け(国内)1台当たり売上高推移

当社はモーターなど従来の電装化製品に加え、

衝突回避のためのミリ波レーダーや画像センサー

などのADAS(エーダス、先進運転支援システム)

製品の拡販により、自動車1台当たりの売上高

を拡大させていくとみられます。

当社は、足元で生産ラインの長さや生産設備の

サイズを半分以下にする「N分の1ライン」 (注 )と

いった取り組みなどにより、収益性が改善していま

す。2017年4-12月期決算では、前年同期比

+671億円の営業増益となりましたが、そのうち

300億円がこのような合理化によるものでした。

今後は、海外工場でも同様の取り組みを進めて

いくことでさらなる収益性の改善を図る方針です。

また、当社は2026.3期に営業利益率10%を達

成する目標を掲げています。2017.3期までの過

去5年間の平均営業利益率が7.8%であること

を考慮すると野心的な高い水準目標となります。

足元のPERは、過去の平均的な水準で推移し

ていますが、ADASや電動化製品のような付加

価値の高い製品の拡販や合理化努力などにより、

会社が目標とする営業利益率が達成されれば、

これまで以上の評価を市場から得られるでしょう。

(注)生産設備を小型化することにより、機材のコストが抑えられるだけでなく、工程間の製造スピードの調整が容易になり、中間在庫の減少による加工費削減にも寄与する。

合理化効果と売上高営業利益率の推移

(鎌田 凌)

1. ADAS製品の普及による売上高増加

2. 合理化効果による収益性の改善

3. 営業利益率10%の目標

(注1)国内トヨタ自動車向け売上高をトヨタ自動車の国内自動車生産台数で除した値で、トヨタ車1台当たりにおける当社の売上高を示している。 (注2)数値は会社資料より野村證券エクイティ・リサーチ部の推定値。2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(注1)合理化効果は工場の稼働率や労働時間等から計算される。 (注2)2015.3期までは日本会計基準、2016.3期以降はIFRS。2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

画像センサー カメラにより道路上の白線や前方の物体を識別するセンサー

ミリ波レーダー 前方の車両や障害物との距離や相対速度を測る部品

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・会社(2月2日発表)

2018.3期:3,900億円→3,950億円

・野村證券エクイティ・リサーチ部(2月4日発表)

2018.3期:4,096億円→4,116億円

2019.3期:4,402億円→4,482億円

2020.3期:4,810億円→4,910億円

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0

100

200

300

400

500

600

2013.3 2015.3 2017.3 2019.3予

(億円) (%)

(期)

合理化効果(左軸)

売上高営業利益率(右軸)

0

10

20

30

40

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

デンソー

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年) 0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

デンソー

TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

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87

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

87

Nomura21 Global 2018年3月号

(6981)村田製作所

当社は1950年の設立以来、蓄積してきた製造ノウハウを基に

独自の高付加価値商品をいち早く市場に投入し、小型で高機

能なMLCC(積層セラミックコンデンサー)やSAW(弾性表面波)

フィルターなどの電子部品事業を主力事業としています。現在で

は、当社の手掛けるミクロン単位の超小型部品がスマートフォン

(以下、スマホ)向けを中心に高い市場シェアを保有しています。

スマホの高機能化で1台当たりに搭載される部品数は増加して

います。加えて電装化される自動車向けなど新しい分野でも当

社製品の利用は拡大しています。今後も情報通信の拡大や

IoT(モノのインターネット)の発展とともに、当社製品の利用がま

すます広がっていくでしょう。

①株価(2018年2月13日) 15,060 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 33,926 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 260.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 1.73 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 6,368 円

⑧予想PER(2019.3期) 16.7 倍

⑨PBR(2017.3期) 2.36 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 12.6 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 82.9 %

(6981)村田製作所 <情報技術>

組み入れ日:2013年11月22日

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

<所在地別>(2017年4-9月期連結)

(注)セグメント間調整後。事業別ではなく用途別を表記している。 会社セグメントでは車載部品はカーエレクトロニクス、音響・映像はAV。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に米国会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<営業利益>

<売上高>

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

2,754

2,012 1,800

2,500

2,950

12,108 11,355

13,870

15,430 16,210

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

5000

7500

10000

12500

15000

17500

20000

22500

25000(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000(円)

(年)

15/7 22220

16/7 10365

14/5 8192

17/8 17910

99/12 25610

15/7 22220

08/10 2630

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

16/7 10365

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

通信

52.8%

音響・映像

5.0%

家電・その他

11.4%

コンピューター・関連機器

15.9%

車載

部品

14.9%

中華圏

56.7%

アジア・

その他

18.7%

南北アメリカ

9.5%

ヨーロッパ

7.5%

日本

7.6%

962.6

733.9 681.6

902.0

17.3%

12.1%

10.4%

12.6% 13.6%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想 予想

1,061.3

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88

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(6981)村田製作所

セラミックコンデンサーの平均単価(注1)の推移

当社は、スマホの高機能化に伴う部品の小型化

ニーズに応え、世界最小クラスの電子部品を生

み出してきました。電子部品の小型化には、小

型化に耐えうる材料の開発や微細加工など高

度な技術が必要です。また、当社は生産能力

増大の為に設備投資も積極的に進めています。

主力製品で世界シェア1位のMLCC(積層セラ

ミックコンデンサー)は、スマホ向けに加えて、車載

向けや産業機械向けなど幅広い用途で搭載が

増加しています。2017年10-12月期決算で発

表された受注残高は、過去最高を更新しました。

需要拡大を受けて、セラミックコンデンサーの平均

単価は2017年6月以降上昇に転じています。

自動車の電装化の進展により、ECU(電子制御

装置)の搭載数が増加し、それに伴い車載向け

MLCCなどの需要が急拡大しています。現在、

自動車1台当たりには数千個のMLCCが使用さ

れています。その数はEV(電気自動車)などの環

境対応車へのシフトに伴い、増加傾向が続くと見

込まれます。会社予想では、2018.3期の車載

向け売上は前期比+16%と加速する見通しです。

市場平均を超えるPBRでの評価が定着していま

が、今後もIoTや車載市場での成長によって、業

績拡大に連動した株価の動きが期待できます。

車載向け電子部品事業の売上高推移

(注)2018年3月期の売上高前期比伸び率は会社予想による(2018年2月13日現在)。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(滝沢 弘量)

1. 高い営業利益率を支える技術力

2. 電子部品の旺盛な需要

3. 自動車の電装化進展が追い風

(注1)セラミックコンデンサーの生産金額を生産数量で除した数値。 (注2)直近の値は2017年11月確報値(2018年2月13日現在)。 (出所)経済産業省生産動態統計より野村證券投資情報部作成

代表的なセラミックコンデンサーのMLCC

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・野村證券エクイティ・リサーチ部(1月26日発表)

2018.3期:2,350億円→ 1,940億円

2019.3期:2,910億円→ 2,500億円

2020.3期:3,090億円→ 2,950億円

・野村證券エクイティ・リサーチ部(1月30日発表)

2018.3期:1,940億円→ 1,800億円

0.30

0.35

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

2013/4 2014/4 2015/4 2016/4 2017/4

(円)

(年/月)

0

10

20

30

40

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

村田製作所

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年) 0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

村田製作所 TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2012.3 13.3 14.3 15.3 16.3 17.3 18.3

売上高(左軸)

前期比伸び率(右軸)

(億円) (%)

1239 1455

1,528 1,687

5.9 10.4

16.0

4-12月期実績

予想

(期)

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89

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

89

Nomura21 Global 2018年3月号

(7203)トヨタ自動車

1937年、トヨタ自動車工業として設立されました。ダイハツ工業、

日野自動車を連結子会社とし、グループ総販売台数は1,000

万台を超え、世界首位級です。1997年にHV(ハイブリッド車)

「プリウス」、2014年に燃料電池自動車「ミライ」を発売するなど、

環境対応や次世代自動車の開発を積極的に行ってきました。

将来を見据えた技術開発は広がりを見せています。足元では

EV(電気自動車)や自動運転の分野において開発や他社との

連携を活発化させています。

また、継続的な生産工程の効率化が当社の強みであり、生産

現場のムダ、ムラ、ムリを徹底的に排除する合理的な製造過程

は「トヨタ生産方式」と呼ばれています。 (注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<所在地別>(2017年4-9月期連結)

(注)セグメント間調整後。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

①株価(2018年2月13日) 7,276 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 237,416 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 230.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 3.16 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 5,888 円

⑧予想PER(2019.3期) 9.6 倍

⑨PBR(2017.3期) 1.24 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 11.3 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 35.9 %

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に米国会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(7203)トヨタ自動車 <一般消費財・サービス>

組み入れ日:2011年12月22日

<営業利益>

<売上高>

売上高・営業利益(兆円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

日本

30.6%

北米

36.1%

アジア

15.3%

欧州9.9%

その他 8.2%

自動車

89.6%

金融

6.7%

その他

3.7%

2.85

1.99 2.24 2.36

2.68

28.4 27.6

29.4 30.1

30.9

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

741.4

605.5

822.3 755.8

867.9

13.8%

10.6%

13.4%

11.3% 12.0%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

4000

5000

6000

7000

8000

9000(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

2000

4000

6000

8000

10000(円)

(年)

14/4 5205

15/3 8783

16/6 4917

16/12 7215

15/3 8783 07/2

8350

11/11 2330

00/4 5800

03/4 2455

92/3 1260

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

16/6 4917

17/4 5670

18/1 7806

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

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90

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

発表時期 内容

2017年9月 当社、マツダ、デンソーの3社がEVの共同技術開発契約を締結した。

10月

EV用全固体電池と自動運転について新発表を行った。

(EV用全固体電池:2020年代前半の実用化を目指す。 自動運転:高速道路などの自動車専用道向けで2020年の実用化を目指す。)

12月 当社とパナソニックが車載電池での協業を検討することに合意したと発表した。

12月

2030年の電動車販売目標(グローバルで550万台以上)

を発表。EV/FCV(燃料電池車 ):100万台以上、HV/PHV(プラグインハイブリッド車):450万台以上。

2018年1月

移動や物販、物流などの多様なサービスに使えるEVのコンセプト車を発表した。(米)アマゾン・ドットコムやライドシェア最大手の(中)滴滴出行、マツダなどと共同で2020

年代前半に米国などでサービス実証を目指す。

(7203)トヨタ自動車

地域別売上高営業利益率推移

欧州では、排ガス規制強化に伴い当社HV(ハイ

ブリッド車)の販売台数が増加し、シェア拡大が続

いています。加えて、米国ではTNGA(注1)を採用

した主力車種が相次いで投入されるなど収益性

改善に向けた取り組みが進んでいます。野村證

券エクイティ・リサーチ部では、2018.3期に増益

転換すると予想しています。

一方、次世代技術の開発に関しても進展を見

せています。足元で、EV(電気自動車)の共同技

術開発や次世代電池である全固体電池(注2)の

開発で協業を検討するなど、他社との連携を強

化しています。さらに2017年12月には、EVを含

む電動車の2030年販売目標を2017年(150万

台)の4倍近い550万台以上へと引き上げることを

発表しました。

また、多くの自動車メーカーで次世代技術への投

資負担などから株主還元への消極姿勢が目立

つ中、当社は自社株買いの継続など積極的な

株主還元を実施しています。

このような成長期待などを踏まえると、業界平均

以下の当社PERには割安感があるでしょう。

(注1)TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)は、生産工程や部品を複数車種で共通化する製造プラットフォーム。持続的な原価改善効果が見込まれる。

(注2)EVやPHV(プラグインハイブリッド車)などの電動車に載せる電池で、現状使われているリチウムイオン電池に比べ充電時間が短く電池容量も大きいため、走行距離が長くなる。

次世代技術に関連する当社の動向

(注)2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部による(2018年2月13日現在)。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(澤田 麻希)

(注)全てを網羅しているわけではない(2018年2月13日時点)。 (出所)会社資料、各種報道発表より野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・会社(2月6日発表)

2018.3期:20,000億円→22,000億円

・野村證券エクイティ・リサーチ部(2月6日発表)

2018.3期:21,572億円→22,379億円

2019.3期:23,816億円→23,649億円

2020.3期:26,176億円→26,809億円

-2

0

2

4

6

8

10

12

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

(%)

(期)

アジア

日本

北米

その他

欧州

予想

0

10

20

30

40

50

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

トヨタ自動車

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

1.0

2.0

3.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

トヨタ自動車TOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

1. 2018.3期以降増益基調へと転換

2. 次世代技術の開発が進む

3. 積極的に株主還元を実施

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91

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

91

Nomura21 Global 2018年3月号

(9064)ヤマトホールディングス

当社は国内宅配便市場でトップシェアを獲得しており、2017.3

期の宅配便取扱個数は約18.7億個でした。また、全国に約6

千店の宅配便センターを持ち、従業員は約20万人で、そのうち

セールスドライバー約6.1万人(パートタイマーを含めると約8.5万

人)を抱えます。

足元では、宅急便取扱個数の急激な増加により、労働力不足

が深刻化しています。会社は社員が働きやすい環境を整備する

ため、2018.3期より働き方改革として、労働環境の改善、宅急

便総量のコントロール、宅配サービスレベルの変更、宅急便の基

本運賃の改定などの改革を進めています。

①株価(2018年2月13日) 2,687.5 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 11,055 億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 27.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 1.00 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 1,368 円

⑧予想PER(2019.3期) 24.1 倍

⑨PBR(2017.3期) 1.97 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 7.8 %

⑪自己資本比率(2017.3期) 48.4 %

(9064)ヤマトホールディングス <資本財・サービス>

組み入れ日:2016年7月22日

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

<所在地別>(2017.3期連結)

(注)セグメント間調整後。所在地別のその他は、北米、その他を含む。事業別のBIZ-ロジ事業は物流システムサービスを提供する。その他はホームコンビニエンス事業、e-ビジネス事業、フィナンシャル事業、オートワークス事業、その他を含む。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に日本会計基準適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<営業利益>

<売上高>

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

日本

98.3%

その他

1.7%

デリバリー

77.7%

BIZ-ロジ

7.9%

その他

14.4%

685

349 334

718 830

14,164 14,669 15,381 16,037 16,523

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

96.5

45.4 51.1

111.4

130.3

7.1%

3.4% 3.7%

7.8%

8.6%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

2014 2015 2016 2017 2018

1800

2000

2200

2400

2600

2800

3000

3200(円)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

1000

2000

3000

4000

5000(円)

(年)

15/3 2958.5

16/4 2051.5 14/10

1967.0

16/7 2661.5

00/1 4050

89/9 1768

92/8 711

09/3 825

15/3 2958.5

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

17/11 2081.0

18/2 2918.0

Page 93: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

92

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(9064)ヤマトホールディングス

当社の宅急便取扱個数と平均単価の推移

当社は、人手不足に伴う宅配コストの上昇を理

由に、2017年10月に個人向けの運賃を値上げ

し、法人顧客に対しても値上げ交渉を行い、価

格改定を進めました。その結果、2018年1月の

宅急便取扱個数は、前年同月比-8.3%と減少

した一方で、宅急便の平均単価は前年同月比

+17.9%と大幅に上昇しました。

野村證券では、2018.3期の宅急便の平均単価

は前期比+6.4%、値上げが通期にわたり寄与す

る2019.3期は同+8.2%と値上げ率が拡大する

と予想しています。

また、当社は2018.3期の費用前提を保守的に

見ていますが、下期から一部顧客との契約終了

で取扱個数が減少しているため、委託費の追加

投入が不要となり、計画以上の利益を計上しや

すくなると考えられます。

当社は国内宅配便シェアの約半数を有しますが、

競合他社は人手不足を背景に荷物の獲得に積

極的ではないため、今回の値上げにより、シェア

は大きく変化しないと考えられます。

足元のPERは、過去平均程度で推移していま

す。宅急便の値上げ等により、過去最高益達成

がみえれば、株式市場での評価は高まるでしょう。

国内宅配便(トラック)取扱個数のシェア

(注)データは月次で、直近の値は2018年1月。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

(平瀬 太祐)

1. 値上げによる宅急便平均単価の上昇

2. 追加コストのリスクが後退

3. 宅配業界で国内最大人員を有する

(注1)データは2016年度。 (注2)ヤマトホールディングスのデリバリー事業は主にヤマト運輸が請け負う。 (注3)日本郵便については、航空等利用運送事業に係る宅配便も含めトラック運送として集計している。 また、2016年10月より日本郵便が取り扱う「ゆうパケット」を宅配便取扱個数に含めて集計している。 (出所)国土交通省より野村證券投資情報部作成

ヤマト運輸46.9%

佐川急便30.6%

日本郵便15.9%

その他6.5%

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・会社(1月30日発表)

2018.3期:250億円→310億円

・野村證券エクイティ・リサーチ部(1月30日発表)

2018.3期:312億円→334億円

2019.3期:716億円→718億円

2020.3期:801億円→830億円

0

20

40

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ヤマトホールディングス

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

1.0

2.0

3.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ヤマトホールディングスTOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

-10

-5

0

5

10

15

20

2016 2017 2018

(前年同月比、%)

宅急便の平均単価

宅急便の取扱個数

(年)

Page 94: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

93

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

93

Nomura21 Global 2018年3月号

(9984)ソフトバンクグループ

当社は、1981年にパソコン用パッケージソフトの卸会社として出

発しました。1996年には、(米)Yahoo Inc.と共同でヤフーを設

立し、2001年にはブロードバンドサービスの商用化を通じて通信

業に進出しています。2004年に日本テレコム、2006年に(英)

ボーダフォンの日本法人、2013年には(米)スプリント・ネクステル

を買収したことで、通信会社大手へと成長しました。

通信事業以外にも、2005年以降、(中)アリババとの提携を通じ

て、中国のインターネット事業に参入しました。直近では、(中)

「滴滴出行」 (ディディチューシン)に代表されるライドシェア分野へ

の出資も積極化させています。今後、IoT(モノのインターネット)

が拡大していく時代を見据えて、通信の枠を超えた異業種への

事業展開を図ろうとしています。

①株価(2018年2月13日) 8,992 円

②レーティング Buy

③売買単位 100 株

④時価総額 98,971億円

⑤予想1株当たり配当(2018.3期) 44.0 円

⑥予想配当利回り(2018.3期) 0.49 %

⑦1株当たり純資産(2017.3期) 3,292 円

⑧予想PER(2019.3期) 16.0倍

⑨PBR(2017.3期) 2.73 倍

⑩予想ROE(2019.3期) 12.8%

⑪自己資本比率(2017.3期) 14.6 %

(9984)ソフトバンクグループ <電気通信サービス>

組み入れ日:2016年8月19日

売上高・営業利益(億円) 1株当たり純利益(円)・ROE(%) 売上高構成比

<所在地別>(2017.3期連結)

(注)セグメント間調整後。上記区分での所在地別売上高については通期のみ開示。

(出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

<事業別>(2017年4-9月期連結)

(注)決算は連結、2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部予想。実績、予想共に国際財務報告基準(IFRS)適用。修正EPS、修正ROEを使用している。1株当たり純利益には一時的損益を除き、通常税率を適用。 (出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

<営業利益>

<売上高>

(注)2018年2月13日現在の野村證券エクイティ・リサーチ部の予想。2014年7月22日より、日本株の大型銘柄の一部の値段の刻みが1円未満となっている。予想PERを計算する際に使用した1株当たり純利益は一時的損益を除き、通常税率を適用。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

9,089 10,260

12,968 11,271 11,859

88,818 89,010 91,263 94,412 97,749

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

359.3

489.5 525.2 562.8

607.6

17.5%

14.3%

12.8%

11.2%

2016.3 17.3 18.3 19.3 20.3

予想

国内通信

34.3%

スプリント

38.8%

ヤフー

9.5%

流通

14.0%

アーム

2.1%

その他

1.3%

日本

49.0%

米国

44.5%

その他

6.5%

2014 2015 2016 2017 2018

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

10000

11000(円)

(年) 1995 2000 2005 2010 2015

0

5000

10000

15000

20000

25000(円)

(年)

16/2 4133

17/10 10550 00/2

22000

17/10 10550 13/12

9320

16/2 4133

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

14/9 8760

18/2 8059

02/11 275

(注1)株価は修正株価で、直近値は2018年2月13日現在。(注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単位変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。

具体的には、東京証券取引所の取引で、2014年7月22日以降の株価が5,000円以下、2015年9月24日以降の株価が3,000円以下の値段の刻みが、1円未満となった。

(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成

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94

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

0

20

40

60

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ソフトバンクグループ

TOPIX

銘柄PER平均

(倍)

(年)0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ソフトバンクグループTOPIX

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

18

27 2732

-8

-4

0

4

8

12

16

-20

-10

0

10

20

30

40

2014.3 15.3 16.3 17.3 18.3 19.3 20.3

(%)(億ドル)

(期)

予想

営業利益(左軸)

売上高営業利益率

(右軸)

(9984)ソフトバンクグループ

スプリント社の営業利益と売上高営業利益率の推移

2013年に買収した(米)スプリントは、米国通信

会社の中で最多の周波数を保有し、なかでも

2.5GHz帯周波数はアクセス距離や建物への浸

透に強みをもちます。今後、5G(第5世代移動

通信システム)への移行により、積極的な投資拡

大を経て同社の優位性が高まることで、収益性

は改善されていくでしょう。

(英)アーム・ホールディングスが設計するCPU(中

央演算処理装置)は、小型・省電力・高セキュリ

ティと性能に優れ、多くの情報通信機器に搭載

されています。今後IoTの進展に伴い、アーム仕

様のCPUの出荷数も一層伸びていくでしょう。

10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドは、

半導体やライドシェアなどテクノロジー分野の企業

へ投資を拡大しています。投資先からのリターン

や投資の売却益を得ることができれば、当社の

利益は積み上がるでしょう。

国内通信事業は、顧客一人あたりの平均収入

を増やすため、フィンテックやEC(電子商取引)な

どの様々なサービスを付加していく方針です。足

元では、顧客基盤拡大も含めた先行投資を進

めています。また、国内通信子会社であるソフト

バンクの株式上場準備の開始を公表しています。

当社の成長性が、市場で米国テクノロジー企業

並みと評価されれば、PBRは切り上がるでしょう。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(注1)の主な投資状況

(注1)ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、「ビジョン・ファンド」、「デルタ・ファンド」および各ファンドに投資助言を行う予定のアドバイザリー会社の総称。 (注2)2017年12月31日時点における「ビジョン・ファンド」および「デルタ・ファンド」が取得または、当社からの移管が決定した投資先(関係規制当局からの承認を要する投資を除く)。全ての投資先を網羅しているわけではない。 (注3)「デルタ・ファンド」による投資のほか、当社が取得した後「デルタ・ファンド」へ移管した投資の移管時の対価(当社の「デルタ・ファンド」の支払義務相当額と相殺)を含む。 (注4)Graphics Processing Unitの略称で、画像処理装置のこと。 (注5)ウィワーク、OSIソフト、エヌビディア、ロイヴァント サイエンシズ、ファナティクス、マップボックスおよびその他の投資先を含めた合計額。投資先ごとの詳細な取得額については公表されていない。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(公文 元紀)

(注)PERは今期野村予想ベース。TOPIXについては、野村予想が無い場合には東洋経済予想で補完する。図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、野村予想が無い、などの場合、表示していない。決算期末まで3ヶ月を切る場合には、来期予想を用いている。PBRは前期実績ベース。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

(出所)野村證券金融工学研究センターより野村證券投資情報部作成

(注)2018.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2018年2月13日時点)。 (出所)会社資料、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

会社名 分野取得額

(億ドル)

アーム・ホールディングス 半導体設計 63

滴滴出行 ライドシェアサービス 37

ウィワーク 共用オフィス運営

OSIソフト IoTのデータ分析

エヌビディア 半導体GPU(注4)開発

ロイヴァント サイエンシズ バイオ薬品事業

ファナティクス スポーツ用品オンライン通販

マップボックス 地理情報プラットホーム

275取得額合計

175

(注2)

(注5)

(注3)

ほか

1. スプリント事業への懸念後退

2. アーム仕様CPUの需要増大

3. テクノロジー企業への投資拡大

Page 96: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

95

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

95

Nomura21 Global 2018年3月号

(A3222/PCLN)プライスライン・グループ

1997年創業の、売上高で世界最大のオンライン旅行代理店

(Online Travel Agent、OTA)です。ホテル等の宿泊予約、航

空券の購入、レンタカーの予約などのサービスを提供します。

OTA業界では、既存の旅行代理店をオンライン化した形式の

マーチャントモデルに注力している企業が多い中、当社はエー

ジェンシーモデルと呼ばれる予約代行業に注力し、同業他社を

上回る成長を遂げてきました。

米国をはじめ、主要国における良好な雇用状況といった経済環

境に加え、人々がモノの購買よりも体験をより重視する嗜好の

変化などが、当社業績の追い風になると予想されます。

(2018年2月27日、2017.12期決算発表予定)

①株価(2018年2月13日) 1797.86 米ドル

②モーニングスター社の投資判断 ★★★

③売買単位 1 株

④時価総額 877 億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.12期) 0.00 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.12期) 0.00 %

⑦1株当たり純資産(2016.12期) 199.64 米ドル

⑧予想PER(2018.12期) 21.7 倍

⑨PBR(2016.12期) 9.01 倍

⑩予想ROE(2018.12期) 30.2 %

⑪自己資本比率(2016.12期) 49.5 %

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社の予想(投資判断評価はP122)。1株当たり純資産は会社資料より。 (出所)会社資料、モーニングスター社、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注1)セグメント間調整後。当該区分での開示は通期のみ。(注2)所在地別でのオランダとは、Booking.comの所在地。 (注3)事業別は、会社セグメントでは①Agency Revenues、②Merchant Revenues、③Advertising and Other Revenues。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社の推定・予想で、実績は会社資料及びモーニングスター社。継続事業ベース。営業利益、ROEは一時的項目調整後。1株当たり純利益は一時的項目調整後及び完全希薄化後。 (出所)会社資料、モーニングスター社などより野村證券投資情報部作成

売上高・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2016.12期連結)

<事業別>(2016.12期連結)

<営業利益>

<売上高>

売上高構成比

2014 2015 2016 2017 2018

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

2200(ドル)

(年)

(年) 1995 2000 2005 2010 2015

0

250

500

750

1000

1250

1500

1750

2000

2250

(ドル)

(年)

14/3 1378.96

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

15/1 990.69

15/11 1476.51

16/2 954.02

17/8 2067.99

17/11 1630.56

17/8 2067.99

99/4 990.00

02/10 6.30

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

米国

15.6% オランダ

72.5%

11.9%

②マーチャント収入

19.1%

①エージェンシー収入

74.3%

③広告他

6.6%

32.6 38.5

42.4 46.0

52.9

92 107

123 140

159

2015.12 16.12 17.12 18.12 19.12

推定・予想

58.67 65.64

74.28

82.70

95.42

30.9%

35.3% 33.5%

30.2% 29.8%

2015.12 16.12 17.12 18.12 19.12

推定・予想

(A3222/PCLN) プライスライン・グループ<一般消費財・サービス>

組み入れ日:2018年2月16日

Page 97: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

96

Nomura21 Global 2018年3月号

Point

株価パフォーマンス表

(A3222/PCLN)プライスライン・グループ

事業内容

売上高世界最大のオンライン旅行代

理店(Online Travel Agent、以下OTA)です。

複数のブランドで、ホテル等の宿泊予約や航空

券の購入、レンタカーやレストランの予約などの

サービスを提供します。

当社はName Your Own Price と呼ぶ、買手

側が価格などの購買条件を示し、売手側がそれ

に応札する「逆オークション」という電子商取引の

手法で創業しました。

逆オークション方式の価格面でのメリットから、多く

の消費者に受け入れられました。しかし、ホテルや

航空会社を指定できない点を敬遠する利用者

もおり、2000年代前半に事業は伸び悩みました。

そこで、2005年にオランダの旅行関連サイト(現

在のブッキング・ドットコム)を買収し、逆オークショ

ン方式ではない、予約仲介業をサービスに加え、

業容の拡大を図りました。

当時、欧州は米国に比べOTAの普及率が低

かったことに加え、大手ホテルチェーンに属さない

個別経営のホテルが多く、仲介に対する需要が

大きかったことに着目しました。

この戦略は奏功し、2006年度以降、当社の業

容は拡大が続いています。

1. オンライン旅行代理店売上高世界最大

2. 米国内景気拡大が業績に追い風

3. 先駆的な取り組みで業容拡大

プライスライン・グループの主要事業

(注)当期純利益は、2006年以降は一時的項目調整後ベース。 (出所)会社資料、モーニングスター社を基に野村證券投資情報部作成

(注)データは2018年2月13日の終値までの株価(および指数)の騰落率。円換算ベースは、その日のドル円レートで換算した騰落率。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(注)全てを網羅している訳ではない。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

プライスライン・グループの業績の推移

(騰落率、%) ベンチマーク セクター 産業グループ コード

S&P500指数 一般消費財

・サービス

小売り PCLN

1ヶ月 -4.4 -2.2 +0.6 -6.3

3ヶ月 +3.0 +10.9 +18.6 +4.4

6ヶ月 +9.1 +14.4 +28.3 -3.0

12ヶ月 +14.4 +19.7 +34.4 +9.2

1ヶ月 -7.2 -5.1 -2.3 -9.1

3ヶ月 -2.2 +5.2 +12.6 -0.9

6ヶ月 +7.7 +12.9 +26.7 -4.3

12ヶ月 +8.4 +13.5 +27.4 +3.5

現地通貨

ベース

円換算

ベース

-20

0

20

40

60

80

100

120

1998 2000 02 04 06 08 10 12 14 16

(億米ドル)

(年)

売上高

当期純利益

サービス名 主な事業内容

ブッキング・ドットコム

グローバルにホテル・旅館等の宿泊施設に関する

オンライン予約を扱う、ウェブサイト及びモバイルア

プリ。運営会社はオランダに本拠を置く。

プライスライン・ドットコム

主に米国内で事業展開するホテル・旅館等の宿

泊施設に関するオンライン予約を扱う、ウェブサイ

ト及びモバイルアプリ。

カヤック (KAYAK)複数の旅行関連サイトを横断的に一括検索す

るメタサーチサービスを展開。

アゴダ・ドットコムアジア太平洋地域を中心に展開する宿泊施設

予約サービス。

レンタルカーズ・ドットコム グローバルに展開するレンタカー予約サービス。

オープンテーブル レストラン情報提供及びレストラン予約サービス。

Page 98: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

97

Nomura21 Global 2018年3月号

売上高営業利益率 ROE(自己資本利益率)

97

Nomura21 Global 2018年3月号

(A3222/PCLN)プライスライン・グループ

事業環境 業績は、米国景気の拡大も追い風に、今後

も拡大が予想されます。

過去10年の米国民の総海外旅行支出額の推

移を見ると、世界的な金融危機の余波を受けた

2009年と、米国政府機関の一部閉鎖や欧州

財政危機などがあった2013年には前年比減少

しましたが、基本的には拡大傾向にあります。

2009~2017年における米国民の総海外旅行

支出額の年平均成長率は6.7%と、同時期の

米名目GDP成長率の同3.8%を上回っています。

元々、海外旅行は余暇の過ごし方として人気が

高かったことに加え、近年では物の購入などの「モ

ノ消費」より、体験など「コト消費」に価値を見出

す消費者が増えていることも、拡大傾向の背景

にあると推察されます。良好な雇用環境という追

い風も加わり、今後もこの傾向は続き、米国民

の海外旅行支出額は拡大が続くと予想されます。

米国民が海外に行く際に宿泊先を予約する方

法としては、宿泊施設に直接予約するケースと、

インターネット予約サービスを利用するケースがほ

ぼ同率で多くなっております。

出張者を含め、旅行者の中には、ホテルのロイヤ

リティープログラムでポイント等を貯めている場合も

多く、ホテルのホームページ経由や電話で予約す

るケースも多いと推察されます。

一方、余暇で海外旅行に行く場合には、イン

ターネット予約サービスの利用が最も多くなって

おります。自費で旅行する場合には、より価格に

敏感な利用者が多いことが要因として考えられま

す。インターネットの利便性等も考慮すると、今

後もこの傾向は続くと予想されます。

(注)2016年。宿泊施設に直接とは、インターネット上のホテルのホームページでの予約や電話での予約など。旅行代理店店頭には、旅行代理店への電話での予約を含む。すべてを網羅しているわけではない。 (出所)米商務省より野村證券投資情報部作成

米国民の海外宿泊の予約先

(注)データは年次で、直近の値はS&P500が2017年12月、個別銘柄は2017年の直近公表の四半期決算末時点。売上高営業利益率は、銘柄が金融業の場合は売上高でなく純収益で営業利益を割っている。

データはブルームバーグが収録している時系列データを利用しており、前ページの財務指標と値が異なることがある。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(注)総海外旅行支出は、米国民による宿泊費や食費など海外旅行に関する支出、運賃などの合計。2017年は米商務省資料より野村證券投資情報部推定。 (出所)米商務省より野村證券投資情報部作成

米国民の総海外旅行支出額の推移

-20

-10

0

10

20

30

40

50

60

70

80

2001 2004 2007 2010 2013 2016

プライスライン・グループ S&P 500(%)

(年)

-10

0

10

20

30

40

50

2001 2004 2007 2010 2013 2016

プライスライン・グループ S&P 500(%)

(年)

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

2008 09 10 11 12 13 14 15 16 17

(億米ドル)

(年)

0 20 40

航空会社

企業の出張担当部門

旅行クラブ等

旅行代理店店頭

インターネット予約サービス

宿泊施設に直接

出張

余暇

米国民合計

(%)

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98

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

0

20

40

60

80

100

120

140

2007 09 11 13 15 17 (年)

(億米ドル) 売上高合計

プライスライン・グループ

エクスペディア

(A3222/PCLN)プライスライン・グループ

競合状況 エージェンシーモデルに注力したことで、

当社は2011年にエクスペディアを抜き、以降、

OTAとして売上高1位を維持しております。

OTAのビジネスモデルは、主にマーチャントモデル

とエージェンシーモデルに分けられます。旅行関連

サイトには、広告収入等を収益源とする比較・口

コミサイト(トリップアドバイザー等)もあります。

マーチャントモデルでは、OTAは客室をホテル等

から仕入れます。旅行者は予約時点で宿泊費

をOTAに支払い、この金額と仕入値の差額が

OTAの利益となります。事前入金のため、OTA

の手元資金は潤沢となる傾向にあります。

エージェンシーモデルでは、OTAは予約の仲介

業務を行います。旅行者はOTAで客室の予約

を行いますが、宿泊費の支払いはチェックアウト時

にホテルに対して直接行います。その後、ホテルは

OTAにコミッション(手数料)を支払います。

予約時点ではなく、チェックアウト時に代金を支

払うという点などが利用者に評価されたとみられ、

近年ではエージェンシーモデルの方が、利用者の

拡大ペースが速くなっています。

また、エクスペディアなど他のOTAの多くは、既存

の旅行代理店をオンライン化した形式のマーチャ

ントモデルに注力しましたが、競争の激化で近年、

収益性が低下しています。一方、当社は業容の

拡大と共に収益性が改善し、高い利益率を維

持しています。

当社のPER、PBRは概ねS&P 500 平均を上

回って推移しています。当社の株式市場平均を

上回る成長力が評価されていると推察されます。

(村山 誠)

(注)2017年はプライスライン・グループはモーニングスター社による推定。 (出所)会社資料、ファクトセット、モーニングスター社より野村證券投資情報部作成

(注) 2017年はプライスライン・グループについてはモーニングスター社の推定。 (出所)モーニングスター社、会社資料より野村證券投資情報部作成

ビジネスモデル別売上高と売上高合計の推移

売上高営業利益率の推移

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

0

2

4

6

8

10

12

14

16

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

プライスライン・グループS&P 500

銘柄PBR平均

(倍)

(年)0

5

10

15

20

25

30

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

プライスライン・グループ

S&P 500

銘柄PER平均

(倍)

(年)

0

20

40

60

80

100

2007 09 11 13 15 17

プライスライン・グループ

エクスペディア

(億米ドル)

(年)

マーチャント収入

0

20

40

60

80

100

2007 09 11 13 15 17

プライスライン・グループ

エクスペディア

(億米ドル)

(年)

エージェンシー収入

-5

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2001 03 05 07 09 11 13 15 17

(%)

(年)

プライスライン・グループ

エクスペディア

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99

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

99

Nomura21 Global 2018年3月号

(A0784/UNP)ユニオン・パシフィック

米国西海岸から内陸中西部までの路線網を展開している貨物

鉄道会社です。

当社は米国の上場鉄道会社の中では最も広範な鉄道ネット

ワークを構築していることから、米国内の製造業活動の活発化

の恩恵を大きく受けると考えられます。

中長期的にも、トランプ政権の政策により米国内で製造業の拠

点が増加したり、米国内のインフラ関連投資が拡大すれば、貨

物輸送量の増大と貨物運賃の値上げ等が期待でき、当社業

績には追い風となると予想されます。

①株価(2018年2月13日) 128.30 米ドル

②モーニングスター社の投資判断 ★★★

③売買単位 1 株

④時価総額 1,000 億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.12期) 2.66 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.12期) 2.07 %

⑦1株当たり純資産(2017.12期) 31.83 米ドル

⑧予想PER(2018.12期) 16.6 倍

⑨PBR(2017.12期) 4.03 倍

⑩予想ROE(2018.12期) 23.0 %

⑪自己資本比率(2017.12期) 43.0 %

(A0784/UNP)ユニオン・パシフィック <資本財・サービス>

組み入れ日:2018年1月19日

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社の予想(投資判断評価はP122)。1株当たり純資産は会社資料より。 (出所)会社資料、モーニングスター社、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注1)セグメント間調整後。(注2)所在地別でのメキシコとは、メキシコ向け及びメキシコ発貨物に関する貨物収入。(注3)事業別とは、運搬する製品別の貨物収入を示す。当社は貨物鉄道のみの単一事業セグメント。複合輸送とは、コンテナ船など他の輸送機関との一貫輸送サービス。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社の推定・予想で、実績は会社資料及びモーニングスター社。継続事業ベース。ROEは一時的項目調整後。1株当たり純利益は一時的項目調整後及び完全希薄化後。 (出所)会社資料、モーニングスター社などより野村證券投資情報部作成

売上高・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2017.12期連結)

<事業別>(2017.12期連結)

<営業利益>

<売上高>

売上高構成比

米国

89.2%

メキシコ

10.8%

農産物

17.3%

自動車

9.4%

化学

16.9%

石炭

12.5%

工業製品

19.2%

複合輸送

18.1%

その他

6.6%

72.7 78.5 86.3 92.2 97.8

199 212 221 230 238

2016.12 17.12 18.12 19.12 20.12

予想

5.07

5.79

7.75

8.60

9.42 20.8% 20.1%

23.0% 24.9%

26.0%

2016.12 17.12 18.12 19.12 20.12

予想

2014 2015 2016 2017 2018

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150(ドル)

(年)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

20

40

60

80

100

120

140

160

(ドル)

(年)

18/1 143.05

16/1 67.06

18/1 143.05

15/2 124.52

08/9 42.90

09/3 16.64

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

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100

Nomura21 Global 2018年3月号

Point

株価パフォーマンス表

(A0784/UNP)ユニオン・パシフィック

事業内容

時価総額でみて世界最大の上場鉄道会

社です。上場鉄道会社は、日本ではほぼ旅客

鉄道会社を中心とする企業群ですが、北米では

貨物鉄道会社を中核とする企業群です。

前身企業は1862年設立と社歴は長く、現在、

本社は米国ネブラスカ州にあります。中西部の鉄

道会社の買収を繰り返し、営業距離、売上規

模で、米国最大の上場鉄道会社となりました。

路線ネットワークは23州にわたり、米国の西側3

分の2の地域をカバーしています。

米国西海岸から内陸中西部までの鉄道ネット

ワークを展開している鉄道会社は当社と、バーク

シャー・ハサウェイ傘下で非上場のバーリントン・

ノーザン・サンタフェ(BNSF)の2社のみで、同社

は最も直接的な競合企業です。

米国内で生産される穀物等の農産物や、石炭

などの天然資源、自動車部品や化学品などの

工業製品の輸送を行っています。また、海外から

コンテナ等で西海岸に到着した電機製品や衣料

品、建築資材等を、内陸部へ輸送しています。

メキシコの鉄道会社Ferrocarril Mexicano (略

称 Ferromex、フェロメックス)に26%出資してお

り、米国メキシコ間の貨物輸送が売上の約1割

を占めます。

1. 時価総額世界最大の鉄道会社

2. 米国内景気拡大が業績に追い風

3. 自社株買いにも積極的

世界の鉄道会社の時価総額

(注)2016年12月末時点。 (出所)会社資料を基に野村證券投資情報部作成

(注)データは2018年2月13日の終値までの株価(および指数)の騰落率。円換算ベースは、その日のドル円レートで換算した騰落率。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日時点の時価総額と為替レートを基に米ドル換算。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

ユニオン・パシフィックの路線網

(騰落率、%) ベンチマーク セクター 産業グループ コード

S&P500指数 資本財

・サービス

運輸 UNP

1ヶ月 -4.4 -6.6 -11.7 -9.1

3ヶ月 +3.0 +5.7 +6.4 +10.1

6ヶ月 +9.1 +9.2 +10.2 +23.9

12ヶ月 +14.4 +12.6 +9.2 +18.4

1ヶ月 -7.2 -9.3 -14.3 -11.8

3ヶ月 -2.2 +0.3 +1.0 +4.5

6ヶ月 +7.7 +7.8 +8.8 +22.3

12ヶ月 +8.4 +6.7 +3.5 +12.3

現地通貨

ベース

円換算

ベース

1,000

560 475

398 368

0

200

400

600

800

1,000

1,200

ユニオン・パシフィック ノーフォーク・サザン

(億ドル)

ユニオン・

パシフィック

(米)

カナディアン・

ナショナル・

レールウェイ

(加)

CSX

(米)

ノーフォーク・

サザン

(米)

JR東日本

(日)

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101

Nomura21 Global 2018年3月号

売上高営業利益率 ROE(自己資本利益率)

101

Nomura21 Global 2018年3月号

(A0784/UNP)ユニオン・パシフィック

業績動向 業績は、米国景気の拡大に伴い、足元では

回復に向かっています。

当社の営業利益の推移を見ると、1980年代か

ら2000年代前半まで循環的に推移していました。

その要因として、各州を結ぶ高速道路網の整備

により利便性を増したトラック等、他の輸送手段

との競合が挙げられます。この間、当社は他の鉄

道会社買収による事業規模の拡大、重複費用

の削減、情報技術導入による業務効率の改善

等を通し、一定の利益規模を確保してきました。

2000年代半ば以降に当社業績が拡大基調と

なった要因の一つには、原油価格上昇に伴う燃

料費の上昇で、鉄道の輸送機関としての相対

的なコスト競争力が向上したことが挙げられます。

それまで1バレル当たり20~30ドルで推移してい

た原油価格が、2000年代半ばには一時、100ド

ルを超える水準まで上昇し、ディーゼルトラックの

燃料となる軽油価格が大幅に上昇しました。

米国の貨物鉄道会社が主力とするディーゼル機

関車の燃料も軽油ですが、貨車の積載容量が

大きく、連結により多数の車両を一度に運送でき

ることから、トンマイル(1トンの貨物を1マイル運ぶ)

当たりの燃料効率はトラックより優れています。

米国景気の減速と共に2015年、2016年と各商

品とも減収となりましたが、景気回復に伴い、

2017年には工業製品や複合輸送、化学などが

増収に転じました。2018年には農産物も増収に

向かうと予想されます。

当社の営業利益も2015年、2016年と減益とな

りましたが、2017年には増益に転じ、2019年に

は過去最高益となると予想されます。 (注) 2018年2月13日時点のモーニングスター社による予想で、実績はファクトセット及び会社資料。 (出所)ファクトセット、会社資料、モーニングスター社より野村證券投資情報部作成

商品別収入の推移

(注)データは年次で、直近の値はS&P500が2017年12月、個別銘柄は2017年の直近公表の四半期決算末時点。売上高営業利益率は、銘柄が金融業の場合は売上高でなく純収益で営業利益を割っている。

データはブルームバーグが収録している時系列データを利用しており、前ページの財務指標と値が異なることがある。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(注) 2018年2月13日時点のモーニングスター社による予想で、実績はファクトセット及び会社資料。 (出所)ファクトセット、会社資料、モーニングスター社より野村證券投資情報部作成

ユニオン・パシフィックの営業利益の推移

0

20

40

60

80

100

1980 85 90 95 00 05 10 15 20

(億ドル)

(年)

予想

0

10

20

30

40

50

60

2001 2004 2007 2010 2013 2016

ユニオン・パシフィック S&P 500(%)

(年)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2001 2004 2007 2010 2013 2016

ユニオン・パシフィック S&P 500(%)

(年)

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

2011 12 13 14 15 16 17 18 19 20

農産物

自動車

化学

石炭

工業製品

複合輸送

予想 (億ドル)

(年)

Page 103: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

102

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

(A0784/UNP)ユニオン・パシフィック

今後の見通し 自社株買いによる株主還元にも積極的

です。

当社の株価は、米鉱工業生産指数の動向と連

動する傾向が見られます。ただし、2010年から

2014年にかけては、同指数に加速感が見られな

い中でも株価の上昇が続きました。

背景には、同時期に米国で進行したいわゆる

シェール革命が挙げられます。関連する鉄道貨

物として、油田・ガス田で用いられるパイプや

シェールガス掘削時に充填材として使用されるフ

ラックサンド、採掘された原油等の輸送量が増加

し、当社はその恩恵を受けました。

しかし2014年以降、原油価格の低迷でシェール

層での原油・ガス生産の拡大基調に一巡感が

出ると、当社の株価は再び米鉱工業生産指数

との連動性が高くなりました。

前述の通り、当社の営業利益が過去最高益を

更新するのは2019.12期と予想されます。しかし、

当社は自社株買いを継続して行っていることから、

発行済み株式数の減少に伴い、一株当たり利

益は2017.12期には過去最高を更新しました。

2018.12期以降は米法人税減税も加わり、一

株当たり利益の拡大が続く見込みです。

当社のPERは、概ねS&P 500 平均並みで推

移しています。一方、PBRは近年、S&P 500

平均を上回って推移しています。株式市場では

当社の株式市場平均を上回るROEを評価して

いると推察されます。

(村山 誠)

(注)調整後一株当たり利益とは、一時的な項目調整後。2018年2月13日時点のモーニングスター社による予想で、実績はファクトセット及び会社資料。 (出所)会社資料、モーニングスター社より野村證券投資情報部作成

(注) データは月次で直近値は2017年12月。 (出所)トムソン・ロイターより野村證券投資情報部作成

米鉱工業生産指数とユニオン・パシフィック株価

一株当たり利益の推移

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・モーニングスター社(1月25日発表)

2018.12期:85.1億米ドル→86.3億米ドル

2019.12期:91.7億米ドル→92.2億米ドル

-20

-15

-10

-5

0

5

10

0

20

40

60

80

100

120

140

2007 2009 2011 2013 2015 2017

(ドル)

(年)

(%)

ユニオン・パシフィック株価(左軸)

米鉱工業生産指数(前年同月比、右軸)

5.75 5.49 5.07

5.79

7.75

8.60

9.42

0

2

4

6

8

10

12

2006 08 10 12 14 16 18 20

(ドル)

(年)

予想

0

1

2

3

4

5

6

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ユニオン・パシフィックS&P 500

銘柄PBR平均

(倍)

(年)0

5

10

15

20

25

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ユニオン・パシフィックS&P 500

銘柄PER平均

(倍)

(年)

Page 104: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

103

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

103

Nomura21 Global 2018年3月号

①デジタル

メディア

68.6%

③印刷・出版 2.3%

②デジタル マーケティング

29.0%

米州

57.7%

欧州中東

アフリカ

27.2%

アジア

太平洋

15.1%

(A1066/ADBE)アドビ・システムズ

デジタル文書の共有・配布フォーマットとして国際標準となってい

るPDF(Portable Document Format)を開発したことで有名で

す 。画像編集 ソフト「 Photoshop 」 や イラスト制作ソフト

「Illustrator」など、クリエーターの間では当社製品の多くがデ

ファクトスタンダード(事実上の業界標準)になっています。

従前はソフトウェアをパッケージで販売する形態が主流でしたが、

クラウド環境の進展に対応し、月額での課金形態へ移行してい

ます。デジタルコンテンツに対する需要の拡大に加え、初期費用

が抑えられた結果、新しい顧客層も加わり始めており、今後、一

段の業容の拡大が予想されます。

(2018年3月15日、2017年12月-18年2月期決算発表予定)

①株価(2018年2月13日) 193.48 米ドル

②モーニングスター社の投資判断 ★★★★

③売買単位 1 株

④時価総額 951 億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.11期) 0.00 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.11期) 0.00 %

⑦1株当たり純資産(2017.11期) 17.22 米ドル

⑧予想PER(2018.11期) 30.6 倍

⑨PBR(2017.11期) 11.24 倍

⑩予想ROE(2018.11期) 26.4 %

⑪自己資本比率(2017.11期) 58.2 %

(A1066/ADBE)アドビ・システムズ <情報技術>

組み入れ日:2017年9月22日

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社の予想(投資判断評価はP122)。1株当たり純資産は期末の株主資本と発行済株 式数から算出。 (出所)会社資料、モーニングスター社、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注1) セグメント間調整後。 (注2)会社セグメントでは、①はDigital Media、②はDigital Marketing、③はPrint and Publishing。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社予想で、実績は会社資料及びモーニングスター社。継続事業ベース。ROEは一時的項目調整後。1株当たり純利益は一時的項目調整後及び完全希薄化後。 (出所)会社資料、モーニングスター社などより野村證券投資情報部作成

売上高・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2017.11期連結)

<事業別>(2017.11期連結)

<営業利益>

<売上高>

売上高構成比

14.9 21.7

28.6 35.7

44.1

58.573.0

88.7106.2

123.7

2016.11 17.11 18.11 19.11 20.11

予想

3.01

4.31

6.32

7.62

9.31

16.2%

21.3%

26.4% 27.6%29.3%

2016.11 17.11 18.11 19.11 20.11

予想

2014 2015 2016 2017 2018

25

50

75

100

125

150

175

200

225(ドル)

(年)

(年) 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

0

25

50

75

100

125

150

175

200

225

(ドル)

(年)

18/1 204.45

16/2 71.27

18/1 204.45

00/11 43.66

02/8 8.24

15/12 96.42

14/10 58.51

07/10 48.47

09/2 15.70

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

Page 105: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

104

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(A1066/ADBE)アドビ・システムズ

2020年における当社製品サービスに対する潜在需要

当社は画像編集ソフトやイラスト制作ソフト(デジ

タルメディア)など、クリエイティブ関連ソフトウェア

で世界最大手です。

電子商取引やソーシャルメディアの普及に伴い、

写真や動画などのデジタルコンテンツの需要が急

拡大しています。今後もコンテンツを制作するクリ

エーター数の増加や自動化を含めた当社製品の

機能拡充が予想されます。また、デジタルマーケ

ティングに対する需要も拡大するでしょう。

当社では2020年での当社製品に対する潜在需

要を約830億ドルと推定しています。2017.11期

の売上高は前年比+25%の73億ドルと好調でし

たが、市場開拓の余地が依然として大きく、今後

も高い成長力を維持することが期待されます。

従来はソフトウェアをパッケージで販売する形態が

主流でしたが、月額での課金形態へ移行してい

ます。デジタルコンテンツに対する需要の拡大に

加え、利用者にとって初期費用が抑えられた結

果、新しい顧客層も加わり始めており、今後も一

段の業容の拡大が予想されます。

当社のPERとPBRは一時期、低迷していました

が、近年では再び上昇しています。株式市場で

は当社の株式市場平均を上回る成長力を評価

していると推察されます。

売上高の推移

1. クリエイティブ関連ソフト世界最大手

2. 社会のデジタル化は当社への追い風

3. クラウド型の収益構造への移行が進展

(出所)会社資料、 モーニングスター社より野村證券投資情報部作成

(注)デジタルメディア事業では、画像編集ソフト「Photoshop」や写真編集・管理ソフト「Lightroom」などのソフトウェアなどを手掛け、自社のクラウドサービス「Creative Cloud」によって提供している。また、デジタルマーケティング事業では、ウェブサイト解析ツール「Analytics」、ウェブサイトやモバイルアプリなどの最適化ソフトウェア「Target」などを手掛け、自社のクラウドサービス「Marketing Cloud」で提供している。 (出所)会社資料を基に野村證券投資情報部作成

(億ドル)

デジタルメディアの潜在需要

コアユーザー 128

ユーザー層拡大 57

機能追加 110

  小計 295

デジタルマーケティングの潜在需要 潜在需要合計

マーケティング・クラウド 315 約830

アナリティクス・クラウド 136

アドバタイジング・クラウド 80

  小計 531

(横山 恭一郎)

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(1株当たり純利益)

・モーニングスター社(2018年1月22日、2月6日発表)

2018.11期:5.55米ドル→6.33米ドル→ 6.32米ドル

2019.11期:7.02米ドル→7.80米ドル→ 7.62米ドル

2020.11期:8.59米ドル→9.53米ドル→ 9.31米ドル

0

20

40

60

80

100

120

140

2006 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

課金収入

パッケージ製品売上高

サービス収入

売上高合計

(億ドル) 予想

(年度)

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月14日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

0

2

4

6

8

10

12

14

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

アドビ・システムズ

S&P 500

銘柄PBR平均

(倍)

(年)0

10

20

30

40

50

60

70

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

アドビ・システムズ

S&P 500

銘柄PER平均

(倍)

(年)

Page 106: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

105

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

105

Nomura21 Global 2018年3月号

(A3300/RHT)レッドハット

OSS(Open Source Software、プログラムの設計図に当たる

ソースコードが公開されているソフトウェア)のLinuxの開発・運用

支援サポートを事業とする企業としては世界最大手です。データ

センターなどで用いられるLinuxサーバーOSでは高い市場シェア

を誇ります。

OSSが用いられるケースが多いクラウドサービスやIoT(モノのイン

ターネット)、人工知能等の普及は当社にとって商機で、当社一

株当たり利益は当面、二桁成長が予想されます。

①株価(2018年2月13日) 132.03 米ドル

②レーティング Buy

③売買単位 1 株

④時価総額 234 億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.2期) 0.00 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.2期) 0.00 %

⑦1株当たり純資産(2017.2期) 7.05 米ドル

⑧予想PER(2019.2期) 38.5 倍

⑨PBR(2017.2期) 18.73 倍

⑩予想ROE(2019.2期) 39.3 %

⑪自己資本比率(2017.2期) 27.5 %

(A3300/RHT)レッドハット <情報技術>

組み入れ日:2017年11月24日

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のインスティネットLLC(ILLC)の予想。1株当たり純資産は期末の株主資本と発行済株式数から算出。 (出所)会社資料、ILLC、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注1)セグメント間調整後。 (注2)会社セグメントでは、①はInfrastructure-related offerings、②はApplication Development-related and other emerging technology offerings、③はTraining and services revenue。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のILLC予想(前号まではモーニングスター社予想)で、実績は会社資料及びILLC。継続事業ベース。営業利益、ROEは一時的項目調整後。1株当たり純利益は一時的項目調整後及び完全希薄化後。 (出所)会社資料、ILLCなどより野村證券投資情報部作成

売上高・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2017年3-8月期連結)

<事業別>( 2017年3-8月期連結)

<営業利益>

<売上高>

売上高構成比

米国

58.0%

米州

6.4%

欧州中東

アフリカ

21.7%

アジア

太平洋

13.9%

①インフラ関連契約収入

67.5%

②開発・新技術関連収入

20.6%

③コンサル・トレーニング収入

11.9%

2014 2015 2016 2017 2018

40

60

80

100

120

140(ドル)

(年)

(年) 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013 2016

0

25

50

75

100

125

150

175

(ドル)

(年)

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在(当社は1999年8月より上場)。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

18/1 135.77 5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

15/12 84.44

16/2 59.59

14/4 47.45

18/1 135.77

99/12 151.31

01/9 2.40

4.8 5.6 7.0

8.4

10.6

20.5 24.1

29.1 35.1

43.1

2016.2 17.2 18.2 19.2 20.2

予想

1.91

2.27

2.89

3.43

4.31

27.1%

32.1%

39.2% 39.3% 39.2%

2016.2 17.2 18.2 19.2 20.2

予想

Page 107: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

106

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(A3300/RHT)レッドハット

オープンソースソフトウェアの特徴

オープンソースソフトウェア (Open Source

Software、以下OSS、プログラムの設計図に当

たるソースコードが公開されているソフトウェア)関

連の代表的な企業です。データセンターなどに設

置されるサーバー用のOS(基本ソフト)として普及

しているLinuxの開発・運用支援サポートを主力

とし、期間定額契約で料金を収受します。

一般のソフトウェアとOSSでは、ライセンス料の有

無の他、ソースコードの公開/非公開、開発方法

などが異なります。

有償ソフトウェアでは通常、開発元企業の研究

開発要員が社内で開発を行います。また他社ソ

フトウェアへの乗り換えを難しくしてユーザーを囲い

込む「ベンダーロックイン」が発生しやすくなります。

これに対しOSSは、様々な企業や立場の個人

が参加しインターネット上で展開されるコミュニ

ティで開発が行われ、1社で開発するのに比べ、

技術的に優れたソフトウェアとなることが多く、ベン

ダーロックインも発生しづらい傾向にあります。

このような特性から、多くの企業のハードウェアや

ソフトウェアと連携する必要があるクラウドサービス

やビッグデータ解析、IoT関連などではOSSが利

用されるケースが多くなっています。

当社の2017.2期の売上高は24.1億ドルですが、

2020年の世界における当社サービスに対する潜

在的な需要は、OSで130億ドル、ミドルウェアで

は170億ドル、クラウド管理で160億ドルなど、合

計で660億ドルと当社では推定しています。

2020年における当社サービスに対する潜在需要見通し

(村山 誠)

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

0

5

10

15

20

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

レッドハット

S&P 500

銘柄PBR平均

(倍)

(年)0

50

100

150

200

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

レッドハット

S&P 500

銘柄PER平均

(倍)

(年)

1. オープンソースソフト関連世界最大手

2. クラウドサービスの普及で商機が拡大

3. 大きな潜在需要が期待される

オープンソースソフトウェア

一般の有償ソフトウェア

(プロプライエタリー

ソフトウェア)

ソースコード 公開。改変、再配布は自由 非公開

開発体制 インターネット上のコミュニティ 開発元企業の内部

価格ライセンス料は無料なため、

安価となる傾向に

ライセンス料を徴収し、

高額となる傾向に

(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成

(注)潜在需要とは会社資料ではTotal addressable market。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

130

50

30

170 160

80

40

0

30

60

90

120

150

180

OS ミドルウェア ストレージ 仮想化 OS ミドルウェア

クラウド管理

インフラ管理

PaaS ストレー

(億ドル)

合計 660億ドル

OS … 基本ソフトウェア ミドルウェア … OSとアプリケーションの中間に入るソフトウェア PaaS … Platform as a Service、アプリケーションを稼働させるためのプラット

フォームとして、ミドルウェアまでを提供するサービス

2017 (年)

Page 108: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

107

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

107

Nomura21 Global 2018年3月号

(A3311/AMZN)アマゾン・ドットコム

当社は、売上高で世界最大のオンライン小売業者です。電子

商取引が実用化され始めた早い段階で業界に参入したことから、

消費者の間での認知度は高いです。基本的には商品を在庫と

して仕入れ、販売した際の粗利が利益の源泉となります。

また、当社のインフラを活用し、外部の販売事業者の商品を代

行販売するサードパーティ事業では、売上金額に対して一定の

手数料を徴収します。

事業から創出したキャッシュフローは、物流機能の強化に加え、

新 規 事 業 に も 充 当 し て い ま す 。 2006 年 か ら 開 始 し た

AWS(Amazon Web Services)と呼ぶ、法人向けクラウド基盤

サービス事業では、顧客獲得が順調に進み、連結利益に貢献

しています。

①株価(2018年2月13日) 1414.51 米ドル

②レーティング Buy

③売買単位 1 株

④時価総額 6,848 億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.12期) 0.00 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.12期) 0.00 %

⑦1株当たり純資産(2017.12期) 57.25 米ドル

⑧予想PER(2018.12期) 170.0 倍

⑨PBR(2017.12期) 24.71 倍

⑩予想ROE(2018.12期) 14.0 %

⑪自己資本比率(2017.12期) 21.1 %

(A3311/AMZN)アマゾン・ドットコム <一般消費財・サービス>

組み入れ日:2016年8月19日

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のインスティネットLLC(ILLC)の予想。1株当たり純資産は期末の株主資本と発行済株式数から算出。 (出所)会社資料、ILLC、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注1)セグメント間調整後。 (注2)会社セグメントでは①はOnline stores、②はThird-party seller services、③はSubscription services、④はAWS、⑤はPhysical stores、⑥はOther。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のILLCの予想で、実績は会社資料。継続事業ベース。1株当たり純利益は完全希薄化後。ROEは、今月号より、持ち分法投資損益を含む当期純利益を用いて計算している(前月号までは、親会社帰属の当期純利益を使用)。

(出所)会社資料、ILLCなどより野村證券投資情報部作成

売上高・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2017.12期連結)

<事業別>(2017.12期連結)

<営業利益>

<売上高>

売上高構成比

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

米国

67.7%

ドイツ

9.5%

英国

6.4%

日本

6.7%

その他

9.6%

2014 2015 2016 2017 2018

0

250

500

750

1000

1250

1500

1750(ドル)

(年)

(年) 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013 2016

0

250

500

750

1000

1250

1500

1750

(ドル)

(年)

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均 18/2

1498.00 18/2

1498.00

15/12 696.44

16/2 474.00

14/10 284.00

99/12 113.00

14/1 408.06

14/10 284.00

41.9 41.1

75.4

125.8

200.0

1,3601,779

2,3002,794

3,371

2016.12 17.12 18.12 19.12 20.12

予想

4.90 4.55

8.32

15.44

25.92

15.1%

9.6%

14.0%

21.9%

28.5%

2016.12 17.12 18.12 19.12 20.12

予想

①商品

60.9%

②サード

パーティ

17.9%

④AWS

9.8%

⑤実店舗

3.3%

③会員サービス5.5%

⑥その他 2.6%

Page 109: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

108

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

50

2014 2015 2016 2017

北米

北米以外の地域

AWS

(%)

(年)

(A3311/AMZN)アマゾン・ドットコム

営業損益内訳の推移

当社は創業以来、単年度の利益よりも将来へ

の投資を優先させ、先行投資を積極的に行って

きました。近年では、売上規模の拡大に伴い、

北米では相応の利益を獲得しています。

米国の消費は堅調で、特に電子商取引が中心

の無店舗販売は、前年同月比で高い伸びが続

いています。2014年には、AI(人工知能)を内蔵

したAIスピーカー「アマゾン・エコー」を世界で初め

て米国で発売しました。端末の普及により、電子

商取引の更なる拡大が期待されます。

一方、北米以外の地域は、物流拠点を拡大す

るなど先行投資の段階で赤字となっています。今

後、インフラ整備が進み、売り上げ規模が拡大す

れば、当社連結業績に貢献すると予想されます。

また、AWSは世界190ヵ国以上で展開し、業界

最大手です。2017.12期の売上高営業利益率

は約25%と高く、当社の収益を牽引しています。

当社が2月1日に発表した2017年第4四半期の

連結決算は、全セグメントが前年同期比3~4

割前後の増収となりました。高採算のAWSの売

上拡大などにより利益率も改善しました。

PERやPBRなどのバリュエーション指標は、

S&P500 平均と比べて高くなっています。これは

北米以外の地域の黒字化等、当社の将来の利

益拡大を市場が期待しているものと考えられます。

米国小売売上の業種別動向(前年同月比)

1. 北米で業容拡大により収益力が向上

2. 現在赤字の地域も今後、損益改善へ

3. AWSは顧客獲得が進み利益に貢献

(寺田 絢子)

(注)事業別の営業損益で、株式報酬費用と一部本社費用等控除後。AWSはAmazon Web Servicesと呼ばれる、インターネット経由で情報技術インフラのサービスを提供するクラウドサービス事業。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)総合小売には百貨店も含む。データは月次で、直近値は2018年1月。直近2-3ヶ月分のデータが後に改定される場合がある。 (出所)米商務省、トムソン・ロイターより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・インスティネットLLC(2018年2月5日発表)

2018.12期: 59.6億米ドル→75.4億米ドル

2019.12期: 97.1億米ドル→125.8億米ドル

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

0

20

40

60

80

100

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

アマゾン・ドットコム

S&P 500

銘柄PBR平均

(倍)

(年)0

20

40

60

80

100

120

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

アマゾン・ドットコム

S&P 500

銘柄PER平均

(倍)

(年)

-10%

-5%

+0%

+5%

+10%

+15%

+20%

1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1

2015 2016 2017 (年)

(月)

百貨店

総合小売

無店舗販売

Page 110: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

109

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

109

Nomura21 Global 2018年3月号

18.1% 12.2%

⑤専門サービス他 7.7%

①セールス・ クラウド 34.7%

②サービス・ クラウド 27.3%

③セールスフォース・ プラットフォーム他

④マーケティング及びコマース・クラウド

⑤専門サービス他 ③セールスフォース・ プラットフォーム他

④マーケティング及びコマース・クラウド

(A4967/CRM)セールスフォース・ドットコム

インターネット経由で顧客がサービスを利用するクラウド型で、企

業向けに営業支援や顧客関係管理 の CRM(Customer

Relationship Management)システムを提供することを主力事

業としています。同分野では世界最大手です。

当社の顧客企業は、当社システムを利用し、営業や顧客に関

するデータを一元管理することで、部門内や部門間、経営上層

部と現場との間で情報共有ができます。そして営業の効率化や、

より迅速かつ的確な経営判断が期待できます。

CRMシステム分野は、企業向けソフトウェアの中でも高い市場

成長率が予想されます。中長期的には、業務効率の改善や、

顧客満足度の向上を図りたい企業のニーズを背景に、業容を

拡大していくと予想されます。

(2018年2月28日、2018.1期決算発表予定)

①株価(2018年2月13日) 107.69 米ドル

②モーニングスター社の投資判断 ★★★★

③売買単位 1 株

④時価総額 778 億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.1期) 0.00 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.1期) 0.00 %

⑦1株当たり純資産(2017.1期) 10.60 米ドル

⑧予想PER(2019.1期) 60.2 倍

⑨PBR(2017.1期) 10.16 倍

⑩予想ROE(2019.1期) 15.7 %

⑪自己資本比率(2017.1期) 42.7 %

(A4967/CRM)セールスフォース・ドットコム <情報技術>

組み入れ日:2017年10月20日

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社の予想(投資判断評価はP122)。1株当たり純資産は会社資料より。 (出所)会社資料、モーニングスター社、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注1)セグメント間調整後。(注2)会社セグメントでは、①はSales Cloud、②はService Cloud、③はSalesforce Platform and Other、④はMarketing and Commerce Cloud、⑤はProfessional services and other。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社予想で、実績は会社資料及びモーニングスター社。継続事業ベース。ROEは一時的項目調整後。1株当たり純利益は一時的項目調整後及び完全希薄化後。 (出所)会社資料、モーニングスター社などより野村證券投資情報部作成

売上高・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2017年2-7月期連結)

<事業別>(2017年2-7月期連結)

<営業利益>

<売上高>

売上高構成比

米州

72.9% 欧州

17.7%

アジア太平洋 9.4%

0.77

1.01

1.34

1.79

2.44

11.3% 11.3%

12.7%

15.7%

19.3%

2016.1 17.1 18.1 19.1 20.1

推定・予想

2014 2015 2016 2017 2018

40

50

60

70

80

90

100

110

120(ドル)

(年)

(年) 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

0

20

40

60

80

100

120

(ドル)

(年)

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在(当社は2004年6月より上場)。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

14/4 48.18

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

15/11 82.90

16/2 52.60

18/1 114.52

18/1 114.52

16/2 52.60

15/11 82.90

11/12 23.52

11/7 40.03

1.1 0.6 2.4

6.0

11.1

6784

104127

152

2016.1 17.1 18.1 19.1 20.1

推定・予想

Page 111: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

110

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(A4967/CRM)セールスフォース・ドットコム

主要ソフトウェア企業の今後5期間の売上高平均年率成長率

主要ソフトウェア企業の中で、売上高でみた当社

の規模は、パーソナルコンピューターの基本ソフト

であるオペレーティング・システム(OS)世界最大

手のマイクロソフト、データベース管理システム世

界最大手であるオラクル、統合基幹業務システ

ム(ERP)世界最大手の(独)SAPに次ぎ4位です。

モーニングスター社によれば、今後5期間における

売上高の平均年率成長率は、当社は19.9%と

4社の中で最も高いと予想されています。この要

因としては、他のソフトウェア分野はこれまでに相

応に普及が進んだのに対し、CRMシステムは比

較的新しい分野で、市場として成長途上の段階

にあるためと推察されます。

CRMシステム市場は成長が期待されていること

もあり、前述の大手ソフトウェア企業を含め、多く

の企業が参入しています。その中でクラウドベース

でのサービス提供にいち早く着目し、この分野で

先行している当社はトップシェアを獲得しています。

米国における、当社の売上高の平均年率成長

率は、過去4年間で31.5%と、欧州における

27.2%、アジア太平洋における18.6%を上回っ

ています。上記の要因としては、CRMシステムは、

欧州やアジア太平洋ではまだ普及の比較的早

期の段階ですが、米国では普及が加速している

段階に入っているということが考えられます。

上場来、当社のPERとPBRはS&P 500 平均

を上回って推移してきました。株式市場では当社

の株式市場平均を上回る成長力を評価してい

ると推察されます。

CRMシステム市場における各社市場シェア(2016年)

18.1

9.4

7.2

1.4

63.9

セールスフォース・ ドットコム

オラクル

SAP

マイクロソフト

(%)

(出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)予想は2018年2月13日時点のモーニングスター社の予想。 (出所)モーニングスター社より野村證券投資情報部作成

1.CRMシステム世界最大手

2.大手ソフトウェア企業の中で最も高成長

3.本国の米国で普及が加速

(村山 誠)

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

0

5

10

15

20

25

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

セールスフォース・ドットコム

S&P 500

銘柄PBR平均

(倍)

(年)0

50

100

150

200

250

300

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

セールスフォース・ドットコム

S&P 500

銘柄PER平均

(倍)

(年)

9.9%

4.1%

6.7%

19.9%

0%

10%

20%

マイクロソフト オラクル SAP セールスフォース ・ドットコム

2017 (年)

Page 112: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

111

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

111

Nomura21 Global 2018年3月号

(A4987/GOOGL)アルファベット(A株)

検索エンジン世界首位のグーグルを中核とした持ち株会社です。

検索エンジンに加え、広告、地図、各種アプリケーション、ハード

ウェア製品など多岐にわたるインターネット関連サービスを提供し

ています。

中核事業のグーグルは検索エンジンの分野で圧倒的な世界シェ

アを有しています。その強みを武器に、動画配信サイト

YouTube(ユーチューブ)、モバイル検索、アドテクノロジー等の分

野でも競争力を発揮し、収益の拡大を続けています。

ハードウェア製品にも注力しています。2016年には当社純正ス

マートフォン「Pixel(ピクセル)」、音声アシスタント付スピーカー

「グーグル ホーム」を発売しました。

①株価(2018年2月13日) 1054.14 米ドル

②モーニングスター社の投資判断 ★★★

③売買単位 1 株

④時価総額 7,322 億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.12期) 0.00 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.12期) 0.00 %

⑦1株当たり純資産(2017.12期) 219.50 米ドル

⑧予想PER(2018.12期) 25.6 倍

⑨PBR(2017.12期) 4.80 倍

⑩予想ROE(2018.12期) 17.5 %

⑪自己資本比率(2017.12期) 77.3 %

(A4987/GOOGL)アルファベット(A株) <情報技術>

組み入れ日:2017年1月22日

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社の予想(投資判断評価はP122)。1株当たり純資産は期末の株主資本とブルームバーグ提供の発行済株式数から算出。時価総額はブルームバーグ算出によるクラスA、B、C株の合計。 (出所)会社資料、モーニングスター社、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注)セグメント間調整前。EMEAは欧州・中東・アフリカ。会社セグメントでは、①はGoogle properties、②はGoogle Network Members’ properties。アドテクノロジーは広告枠取引市場運営のこと。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のモーニングスター社の推定・予想で、実績は会社資料。継続事業ベース。売上高はトラフィック獲得費用控除前。営業利益は非現金項目を除外したもの。1株当たり純利益は完全希薄化後。 (出所)会社資料、モーニングスター社などより野村證券投資情報部作成

売上高・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2017.12期連結)

<事業別>(2017.12期連結)

<営業利益>

<売上高>

売上高構成比

27.85

18.00

41.17

49.89

60.60 15.0%

8.7%

17.5% 17.9% 18.3%

2016.12 17.12 18.12 19.12 20.12

予想

米国

47.3%

EMEA 32.5%

アジア

太平洋

14.6%

その他米州

5.5%

グーグル

その他

12.9%

その他

1.1%

①検索関連収入、Gメール、

マップ、YouTube等からの広告収入

70.2%

②アドテクノロジー等の広告収入 15.9%

2014 2015 2016 2017 2018

400

500

600

700

800

900

1000

1100

1200

1300(ドル)

(年)

(年) 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

(ドル)

(年)

15/1 490.91

16/2 810.35

16/6 672.66

18/1 1198.00

14/2 615.03

18/1 1198.00

07/11 373.98

08/11 123.77

5年(60ヶ月)移動平均

10年(120ヶ月)移動平均

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在(当社は2004年8月より上場)。アルファベットは2015年にグーグルから社名変更を行っている。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

237.2 288.8

324.1 389.4

472.0

903 1,109

1,337 1,576

1,822

2016.12 17.12 18.12 19.12 20.12

予想

Page 113: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

112

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(A4987/GOOGL)アルファベット(A株)

世界の広告市場の規模

インターネット広告(デジタル広告)市場は数年

後にはテレビや新聞、ラジオなど既存メディア広告

市場の規模に迫る成長が予想されています。

中核事業のグーグルは検索エンジンで圧倒的な

世界シェアを有します。当社は動画配信サイト、

モバイル検索、アドテクノロジー等でも競争力を

発揮し、広告市場拡大の恩恵を享受しています。

ハードウェア製品にも注力しています。2016年に

当社純正スマートフォン「Pixel」(注) 、2017年10

月にはAI(人工知能)や機械学習に基づいた新

機能を搭載した後継機種を発売しました。ユー

ザーを囲い込むとともに、消費者に端末利用を促

し、収集したデータを機械学習に活用することで、

デジタル広告収入の増加につなげる戦略です。

2016年には音声アシスタント付スピーカー「グー

グル ホーム」も発売しました(注)。人工知能「グー

グル アシスタント」とスピーカーを内蔵し、音声の

指示によって、予定・天気等の確認や、電話・テ

レビなど家電の操作などがハンズフリーで利用でき

るようになっています。

成長力が評価され、PERは上場以来、市場平

均を上回って推移していますが、一過性の要因

を除外した調整後EPS(12ヶ月先予想)ベースの

PERは上場来の平均に近い水準にあり、利益

の伸びを反映した株価上昇が続いています。

(注)日本では「Pixel」シリーズは未発売。「グーグル ホーム」は2017年10月6日に発売。

「グーグル ホーム」のイメージ

1. インターネット広告市場は急成長

2. グーグルは検索エンジンのガリバー

3. ハードウェアの展開で顧客を囲い込み

(山口 正章)

(注)2016年は実績、2017年以降は推定・予想。電通イージスの予想をもとに、野村證券投資情報部が一部補正した。 (出所)電通資料より野村證券投資情報部作成

(注)図はイメージであり、実際の製品、機能とは異なる。 (出所)各種報道より野村證券投資情報部作成

「OK、グーグル。今日の予定は?」

「OK、グーグル。私の今日の予定は?」

「OK、グーグル。元気の出る音楽を流して。」

「今日は予定がありません。」

「今日の予定は1件です。12

時にランチの予定があります。」

登録している人物の声を聞き分けて、予定を伝える。

音楽を流したり、ビデオの予約を行ったり、照明を消したりと、人間の要求に応える。

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・モーニングスター社(2月2日発表)

2018.12期:334.3億米ドル→324.1億米ドル

2019.12期:410.3億米ドル→389.4億米ドル

0

10

20

30

40

50

60

70

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

アルファベット S&P 500種

銘柄PER平均

(倍)

(年) 0

5

10

15

20

25

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

アルファベット S&P 500種

銘柄PBR平均

(倍)

(年)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

2016 2017 2018

デジタル広告 その他広告

(億米ドル)

(年)

世界の広告市場規模 0

5

10

15

20デジタル広告

(%) 前年比伸び率 推定・予想

Page 114: Nomura21 Global 3月号 - 野村證券 | 退職金・相続など … Nomura21 Global 2018年3月号 Nomura21 Globalにおける分析手法は、景気・金利・為替などのマクロ経済環境から株式市場

113

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

113

Nomura21 Global 2018年3月号

(A5608/V)ビザ

当社はクレジットカードなどのカード決済ネットワーク世界最大手

です。2016年6月に買収したビザ・ヨーロッパも収益に寄与し、

世界トップの座を確固たるものにしています。

電子商取引において、決済はクレジットカード等が主に用いられ

るため、小売業界における電子商取引の拡大は、当社にとって

追い風となっています。

加えて、グローバルに企業や政府が取引コスト削減と効率化を

目指し、決済方法を現金から電子的方法へ移行させています。

電子決済への構造的なシフトは当社業績の追い風になるでしょ

う。

NYダウ指数構成銘柄の1つです。

①株価(2018年2月13日) 118.35 米ドル

②レーティング Buy

③売買単位 1 株

④時価総額 2,439 億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.9期) 0.825 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.9期) 0.70 %

⑦1株当たり純資産(2017.9期) 13.68 米ドル

⑧予想PER(2018.9期) 27.0 倍

⑨PBR(2017.9期) 8.65 倍

⑩予想ROE(2018.9期) 30.7 %

⑪自己資本比率(2017.9期) 48.2 %

(A5608/V)ビザ <情報技術>

組み入れ日:2017年8月25日

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のインスティネットLLC(ILLC)の予想。1株当たり純資産は会社資料より。 (出所)会社資料、インスティネットLLC(ILLC)、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注1)所在地別はセグメント間調整後。事業別は顧客への報奨金控除前。(注2)会社セグメントでは、①はService revenues、②はData processing revenues、③はInternational transaction revenues、④はOther revenues。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のインスティネットLLC(ILLC)予想で、実績は会社資料及びILLC。継続事業ベース。営業収益は一般の事業会社の売上高に相当。ROEは一時的項目調整後。1株当たり純利益は一時的項目調整後及び完全希薄化後。 (出所)会社資料、インスティネットLLC(ILLC)などより野村證券投資情報部作成

営業収益・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2017.9期連結)

<事業別>(2017.9期連結)

<営業利益>

<営業収益>

売上高構成比

①サービス

手数料

34.8% 34.0% 27.6%

④その他収益3.7%

②データ処理 手数料

③海外取引 手数料

米国

44.4%

海外

55.6% 90.6

78.8

121.4 137.9 156.8

139 151

184 202 224

2015.9 16.9 17.9 18.9 19.9

予想

2.62 2.84

3.48

4.39

5.23

22.5% 21.9%

25.4%

30.7%

34.4%

2015.9 16.9 17.9 18.9 19.9

予想

2014 2015 2016 2017 2018

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140(ドル)

(年)

(年) 2007 2009 2011 2013 2015 2017

0

20

40

60

80

100

120

140

(ドル)

(年)

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在(当社は2008年3月より上場)。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

14/4 48.71

18/1 126.88

18/1 126.88

14/4 48.71

14/1 58.87

09/1 10.44

5年(60ヶ月)移動平均 13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

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114

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(A5608/V)ビザ

クレジットカード決済の仕組み

当社はクレジットカード(後払い)、デビットカード

(即時払い)、プリペイドカード(預払い)等のカード

決済ネットワークを提供する世界最大手です。

当社自らはクレジットカード等を発行しません。

カード発行会社(イシュアー)がカード発行と利用

者への与信を行い、当社は認証・決済サービス

を提供しています。

主な収益は、カード発行会社や加盟店管理会

社等から受け取る手数料です。提携するカード

発行会社が、自社業績の拡大のためにカードの

利用を促進することで、クレジットカード等の取扱

高が増加すると、当社がカード発行会社等から

徴収する手数料も増加する構造となっています。

当社は、カード決済時の署名に替えて、生体認

証を活用した決済の実験等を進めています。電

子決済が世界的に拡大する中で、より手軽でか

つ、より安全性の高い決済システムへの需要は

今後、高まっていくものと思われます。

上場以来、当社のPERはS&P 500 平均を上

回って推移してきましたが、株式市場では当社の

高い成長力が評価されているものと推察されます。

2015年以降は概ね20倍台半ばで推移しており、

今後も一株当たり利益の拡大と共に、当社株

価の上昇基調の継続が期待されます。

世界の主要カード関連企業

1. カード決済ネットワーク世界最大手

2. 取扱高の増加による収益拡大への期待

3. より容易で安全な決済方法の開発 $$

①代金をカードで支払う

⑧商品・サービス

③認証要求

④認証要求

⑤認証 ⑥認証

$ $

加盟店管理会社 (アクワイアラー)

カード発行会社 (イシュアー)

カード利用者 加盟販売店

ビザ (決済ネットワーク)

代金支払

代金支払

(注)①~⑧は手続き順、ブロック矢印($)は取引後の金の流れ。 (出所)ILLC、各種資料より野村證券投資情報部作成

(注)データは2017年。取扱高はカードによる購入額、総取扱高は取扱高にキャッシングを加えた金額。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(藤原 宏充)

②認証要求

代金請求

⑦認証

カード発行

枚数

31.4億枚 16.7億枚 1.1億枚 1.0億枚 0.6億枚

6.27

3.51

1.02 0.23 0.15

8.87

4.83

1.04 0.24 0.16

0

2

4

6

8

10

VISA MasterCard

AmericanExpress

JCB Discover/Diners Club

取扱高

総取扱高

(兆ドル)

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

2018年1月20日-2月16日の業績予想修正(営業利益)

・インスティネットLLC(2月2日発表)

2018.9期:139.0億米ドル→137.9億米ドル

2019.9期:155.6億米ドル→156.8億米ドル

0

2

4

6

8

10

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ビザ S&P 500種

銘柄PBR平均(倍)

(年)0

10

20

30

40

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

ビザ S&P 500種

銘柄PER平均(倍)

(年)

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115

Nomura21 Global 2018年3月号

概要

株価チャートと移動平均線<週足> <月足>

115

Nomura21 Global 2018年3月号

(A6792/SQ)スクエア

当社は「誰もがモバイル端末で簡単にクレジットカード決済を受

け付けられるようにする」というアイディアの下、2009年に設立さ

れた、カード決済処理企業です。

スマートフォンやタブレットPCに当社のソフトウェアをダウンロードし、

当社のクレジットカードリーダーをイヤホン・ジャックに差し込めば、

クレジットカードの読み取りが行えるようになります。

ビザやマスターカードなど、既存のカード決済処理企業と共存関

係を構築し、業容を拡大しています。2016.12期に1株当たり純

利益は黒字化し、今後、高い利益成長が期待できます。

(2018年2月27日、2017.12期決算発表予定)

①株価(2018年2月13日) 42.11 米ドル

②レーティング Buy

③売買単位 1 株

④時価総額 164億米ドル

⑤予想1株当たり配当(2018.12期) 0.00 米ドル

⑥予想配当利回り(2018.12期) 0.00 %

⑦1株当たり純資産(2016.12期) 1.58 米ドル

⑧予想PER(2018.12期) 95.7 倍

⑨PBR(2016.12期) 26.65倍

⑩予想ROE(2018.12期) 23.2 %

⑪自己資本比率(2016.12期) 47.6 %

(A6792/SQ)スクエア <情報技術>

組み入れ日:2017年7月21日

(※)1米ドル=107.82円(2018年2月13日現在)。(注)2018年2月13日現在のインスティネットLLC(ILLC)の予想。1株当たり純資産は会社資料より。 (出所)会社資料、ILLC、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

(注1)セグメント間調整後。(注2)会社セグメントでは、米国外はInternational。

(注3)事業別の売上高構成は、単一セグメントのため開示はない。

(出所)会社資料より野村證券投資情報部作成

(注)2018年2月13日現在のILLCの推定・予想で、実績は会社資料。継続事業ベース。調整後純収益は一般の事業会社の売上高に相当。調整後純収益、調整後営業利益、ROEは一時的項目等調整後。1株当たり純利益は一時的項目調整後及び完全希薄化後。 (出所)会社資料、ILLCなどより野村證券投資情報部作成

調整後純収益・営業利益(億米㌦) 1株当たり純利益(米㌦)・ROE(%)

<所在地別>(2017年1-6月期連結)

<事業別>( 2017年1-6月期連結)

<調整後営業利益>

<調整後純収益>

売上高構成比

公表なし

米国

96.2%

米国外

3.8%

-0.7

0.1

1.1

2.1

4.7

4.5 6.9

9.7

13.1

17.7

2015.12 16.12 17.12 18.12 19.12

推定・予想

-0.39

0.04

0.27

0.44

0.95

-17.0%

2.8%

17.0%

23.2%

38.9%

2015.12 16.12 17.12 18.12 19.12

推定・予想

2015 2016 2017 2018

0

10

20

30

40

50

60(ドル)

(年)

(年) 2015 2016 2017 2018

0

10

20

30

40

50

60

(ドル)

(年)

13週移動平均

26週移動平均

52週移動平均

16/2 8.06

16/3 15.90

16/6 8.42

17/11 49.56

17/11 49.56

16/3 15.90

16/2 8.06

16/6 8.42

17/12 34.14

(注)株価は米国市場における修正株価で直近値は2018年2月13日現在(当社は2015年11月より上場)。

(出所)ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

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116

Nomura21 Global 2018年3月号

PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率)

Point

(A6792/SQ)スクエア

スクエアのクレジットカードリーダーとスクエアスタンド

一般的な据え置き型のクレジットカードリーダーを

置いていない店舗でも、当社のソフトウェアをス

マートフォンやタブレットPCなどのモバイル機器にダ

ウンロードし、当社のクレジットカードリーダーを用

いれば、ビザやマスターカードなどの主要クレジット

カードの読み取りが行えるようになります。

創業時は差し込み式のカードリーダーが主力でし

たが、販売時点情報管理を行うPOSレジなどの

ソフトウェアも提供しています。同アプリを用いれば、

加盟店は売上データの収集とレポート作成、在

庫管理や顧客リストの作成が可能になります。こ

のような加盟店支援サービスの提供は、当社

サービスの普及を促進する一因となっています。ま

た、ハードウェアとしてPOSレジアプリをインストー

ルしたタブレットPCを保持しながら電源を供給し、

クレジットカードリーダーも備えたスクエアスタンド

や非接触式カードリーダーも提供しています。

決済システムにおける当社の位置付けは、当社

が小売店等の加盟店と契約し、決済サービスを

提供します。加盟店でクレジットカードが使用され

ると、当社は加盟店における売上高(総決済処

理額)から一定の手数料を差し引きます。その中

から決済ネットワーク(ビザやマスターカードなど)や

クレジットカード発行会社などに手数料を支払い、

残った金額が当社の収益になります。

足元では、ビットコインの試験的導入や、銀行業

務の検討など、自社決済システムのサービス強化

に向けた動きがみられます。

決済システム内のスクエアの位置付けと手数料の流れ

1. モバイル端末でクレジット決済を可能に

2. 加盟店支援サービスが普及を促進

3. ハードウェアなども拡充

(注)図はイメージ。 (出所)野村證券投資情報部作成

クレジットカード

クレジットカードリーダー (イヤホン・ジャックに差し込む)

スマートフォン、タブレットPC等

(注)GPV(Gross Payment Value)とは、総決済処理額。各数値はILLCによる2016.12期の米国における推定値。 (出所)ILLCより野村證券投資情報部作成

アクワイアリング

プロセッサー カード発行会社

消費者

加盟店

決済ネットワーク

決済サービスプロバイダー(当社)

0.10~

0.15%

各種手数料の支払い後に当社の手元に残るトランザクション収益はGPVの約1%。

フロン トエン ド の決済サービスを提供しており、売り手である加盟店と直接やり取りをする。決済のハンドリングを行う。

決済ネットワークからカード発行会社に支払情報を伝達する仕組みを提供する。

ビザやマスターカードなど。クレジットカードでの決済機能を提供する。

銀行系カード発行会社など。クレジットカード利用に伴う与信を行う。

代金

2.93%

スクエアスタンド

クレジットカードリーダー部

タブレットPC(POSレジをインストール)

非接触式カードリーダー(アップルペイなどモバイル機器での決済や、ICクレジットカードの読み取りを行う。)

(概念図)

(岡本 彩芽)

(注)PERはブルームバーグ・12ヶ月先予想ベース。PBRはブルームバーグ基準で収録されている直近四半期実績ベース。データは月次で、直近の値は2018年2月13日。

図中個別銘柄の値がマイナス、左縦軸の最大値を著しく超えている、ブルームバーグのデータが取得できない、などの場合、表示していない。網掛け部分は平均から±1標準偏差の範囲(統計的に約3分の2の確率で収まる範囲)を示す。PERの標準偏差の範囲は、株式益利回り(PERの逆数)で計算の後割り戻しているため、上下対称でない。

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

0

5

10

15

20

25

30

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

スクエア

S&P 500

銘柄PBR平均

(倍)

(年)0

50

100

150

200

250

2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017

スクエア

S&P 500

銘柄PER平均

(倍)

(年)

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Nomura21 Global 2018年3月号

117

Nomura21 Global 2018年3月号

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

1999/9 2003/5 2007/1 2010/9 2014/5 2018/1 (年/月)

(1999年9月27日=100)

日経平均株価

TOPIX

Nomura21 Global

騰落率 騰落率

(%) (%)

日本株 -11.16 日本株 21.78

外国株 0.08 外国株 30.94

-11.15 9.96

-9.90 10.63

対日経平均株価 -0.01 対日経平均株価 +11.83

対TOPIX -1.26 対TOPIX +11.15

Nomura21

Global

Nomura21

Global

Nomura21 Global 日本株

の相対騰落率

     日経平均株価

TOPIX

Nomura21 Global 日本株

の相対騰落率

     日経平均株価

TOPIX

【ご参考】Nomura21 Globalの騰落率

【ご参考】 Nomura21 Global の騰落率

上表はNomura21 Globalの各銘柄集団が過去どのような動きであったかを見ることを目的に作成した参考データです。従って、将来の動きを保証するものではありません。尚、上表は以下の要領で作成しています。

(出所)東京証券取引所、米国証券業協会、香港証券取引所、NY連銀、ブルームバーグ、日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

①Nomura21Globalの騰落率については、組み入れ銘柄の選定日間の騰落率の平均値です。

②相対騰落率は組み入れ銘柄平均の騰落率から日経平均あるいはTOPIXの騰落率を差し引いたものです。

③手数料などは考慮していません。

(注)騰落率は2018年2月14日までを採用。

前回組み入れ銘柄選定日(2018年1月19日)

からの騰落率 1年間(2017年2月14日~)の騰落率

(出所)東京証券取引所、日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

上図はNomura21 Globalの日本株が過去どのような推移をしたかを見ることを目的に作成した参考データです。

従って、将来の動きを保証するものではありません。

【ご参考】 Nomura21 Global 日本株の騰落率の累積値の推移(1999年9月27日~2018年2月14日)

上記①の方法で計算したNomura21 Global日本株の騰落率を、以下の計算式を用いて前回の組み入れ銘柄選定日時点の指数値に掛け合わせて算出します。基点は1999年9月27日終値時点で、指数値を100としています。

今回の組み入れ銘柄選定日時点での指数値

=前回の組み入れ銘柄選定日時点での指数値×(1+Nomura21 Global日本株の騰落率/100)

Nomura21 Global 日本株=167.27

日経平均株価=125.76

TOPIX=119.12

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Nomura21 Global 2018年3月号

東証一部

株価指数総合

日経平均

株価

NYダウ

工業株30種

上海A株

指数

 為替

(ドル円相場)

NYMEX

WTI先物

2875 東洋水産 0.44 0.42 0.23 -0.09 0.73 -0.10

3086 J.フロント リテイリング 1.40 1.30 0.99 0.14 1.67 0.11

4307 野村総合研究所 0.89 0.80 0.38 0.09 0.87 0.02

4324 電通 1.06 1.01 0.85 0.31 1.35 -0.03

4901 富士フイルムホールディングス 0.79 0.76 0.39 0.18 1.27 -0.02

5801 古河電気工業 1.11 0.99 1.26 0.36 0.92 0.08

6273 SMC 1.14 1.09 1.21 0.51 0.67 0.20

6301 小松製作所 1.12 0.99 1.36 0.47 1.09 0.17

6504 富士電機 1.42 1.35 1.54 0.38 1.00 0.27

6752 パナソニック 1.26 1.19 1.30 0.52 1.62 0.17

6758 ソニー 1.03 1.01 1.70 0.51 0.93 0.16

6902 デンソー 1.33 1.22 1.19 0.42 1.80 0.11

6981 村田製作所 1.30 1.24 0.95 0.58 1.43 0.09

7203 トヨタ自動車 1.08 1.01 0.85 0.31 1.64 -0.08

9064 ヤマトホールディングス 0.49 0.46 0.60 -0.06 0.23 -0.17

9984 ソフトバンクグループ 1.02 1.01 1.26 0.10 0.64 0.39

【ご参考】Nomura21 Global 日本株ベータ値一覧

【ご参考】 Nomura21 Global 日本株ベータ値一覧

(本資料における数値は過去のデータに基づくものであり、将来を保証するものではありませんのでご注意下さい。)

上表は、Nomura21 Global 日本株の構成銘柄のTOPIX、日経平均株価、NYダウ工業株30種、上海A株指数、為替(ドル円相場)、 WTI先物に対するベータ値(※)を記載したものです。

ベータ値は、例えば「ある指数(例:TOPIX)が上昇すると考える場合、その指数に対するベータ値が大きい銘柄の上昇率はより大きいと考える」という利用方法が一般的です。

(※)「ベータ値」とは市場の変動に対する株価の感応度である。例えば、ある銘柄のベータ値が 1.5ということは、市場全体が 10%上昇するとその銘柄は約15%(=10% × 1.5)上昇し、逆に市場全体が 10%下落するとその銘柄は約 15%下落することを意味している。

(計算基準)直近60ヶ月(5年)の月末ベースの月間騰落率より算出(修正株価を使用)。直近値は2018年2月14日。

為替(ドル円相場)は日銀公表値終値(売り気配)を採用。為替(ドル円相場)ベータ値はドルに対する感応度。NYMEX WTI先物は期近物終値を採用。

(出所)東京証券取引所、日本経済新聞社、Financial Times、上海証券取引所、日本銀行、野村総合研究所など各種資料より野村證券投資情報部作成

(大坂 隼矢)

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Nomura21 Global 2018年3月号

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Nomura21 Global 2018年3月号

「やさしくひも解く投資環境」

野村のサテライトセミナー情報

世界各国(新興国も含む)の経済・株式・為替の動向、見通しなどに加え、

今月の「Nomura21 Global」から注目銘柄をご紹介致します。

第一部 グローバル投資環境の展望

第二部 今月の投資テーマ

第三部 今月の銘柄フォーカス

(セミナーへのご参加申込み方法 )

※開催の有無や日程については、一部支店で異なる場合がございますので、ご参加いただく場合には、

最寄りの弊社各支店へ必ずご確認下さい。

原則毎月10日放映

(60分番組)

※ 記載のセミナーでは、セミナーでご紹介する商品等の勧誘を行う場合があります。

「グローバル投資の視点」 原則毎月1日放映

(60分番組)

野村のサテライトセミナー情報

■セミナーの予定

2018年3月1日(木)以降、野村證券/全国各支店ホールにて放映致します。

詳細は各支店へお問い合わせ下さい。

野村證券投資情報部発行の「月刊資産管理」より、足元の経済環境と投資テーマを

やさしく解説致します。

第一部 投資の指針に

第二部 今月の注目テーマ

■セミナーの予定

2018年3月9日(金)以降、野村證券/全国各支店ホールにて放映致します。

詳細は各支店へお問い合わせ下さい。

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Nomura21 Global 2018年3月号

MEMO

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Nomura21 Global 2018年3月号

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Nomura21 Global 2018年3月号

株価レーティングについて

野村グループの株式リサーチの個別銘柄およびセクターのレーティングシステム定義

レーティングシステムは、マネジメントによる一定の裁量の下、ベンチマークに対する個別企業の予想パフォーマンスを表す相対システムです。アナリストの目標株価は、現時点での株式の内在妥当価値の評価です。目標株価の計算方法は、ディスカウント・キャッシュフロー、期待ROE、相対評価等を含み、アナリストが定義します。アナリストは、(目標株価-株価)/株価として定義された、目標株価までの予想アップサイド/ダウンサイドに言及することもあります。

「個別企業」

「セクター」

目標株価

アナリストがレポートにおいて企業の目標株価に言及した場合、その目標株価はアナリストによる当該企業の業績予想に基づくもので、今後12ヶ月での達成が期待されています。実際の株価は、当該企業の業績動向や、当該企業に関る市場や経済環境などのリスク要因により、目標株価に達しない可能性があります。

インスティネットLLCに関するご説明

インスティネットLLC(Instinet, LLC)は、野村ホールディングスが100%出資する持ち株会社インスティネット・インコーポレイティッド(Instinet.

Incorporated)の米国子会社です。

1またはBuy 当該銘柄の今後12ヶ月間におけるパフォーマンスが、ベンチマークを上回るとアナリストが予想する場合

2またはNeutral 当該銘柄の今後12ヶ月間におけるパフォーマンスが、ベンチマーク並みとアナリストが予想する場合

3またはReduce 当該銘柄の今後12ヶ月間におけるパフォーマンスが、ベンチマークを下回るとアナリストが予想する場合

レーティング保留

(Suspended) 法令や社内規定などにより、一時的にレーティング、目標株価および業績予想を保留する場合

Not rated または未付与

野村グループのレギュラーカバーの対象ではありません

強 気(Bullish)

当該セクターの今後12ヶ月間におけるパフォーマンスが、ベンチマークを上回るとアナリストが予想する場合

中 立(Neutral)

当該セクターの今後12ヶ月間におけるパフォーマンスが、ベンチマーク並みとアナリストが予想する場合

弱 気(Bearish)

当該セクターの今後12ヶ月間におけるパフォーマンスが、ベンチマークを下回るとアナリストが予想する場合

Not rated またはN/A

当該セクターにレーティングがない場合

株価レーティングについて

「野村グループ」とは、野村ホールディングス、およびその関連会社と子会社を指し、また、日本の野村證券(「NSC」)、英国のノムラ・インター

ナショナルplc(「NIplc」)、米国のノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(「NSI」)、インスティネットLLC(「ILLC」)などが含まれます。

野村グループ、その執行役、取締役、従業員は、関連法令、規則で認められている範囲内で、本資料中で言及している発行体の証券、商

品、金融商品、またはそれらから派生したオプションやその他のデリバティブ商品、および証券について、自己勘定、委託、その他の形態による

取引、買持ち、売持ち、あるいは売買を行う場合があります。

野村證券の親会社である野村ホールディングスの子会社又は関連会社、野村證券の役員が役員を兼務している会社、野村グループが株

式を合計1%以上保有している会社および野村證券が過去12ヶ月間に株券、新株予約権証券又は新株予約権付社債券の募集又は売

出しに関し主幹事を務めた会社につきましては、http://www.nomuraholdings.com/jp/report/ をご参照ください。

ベンチマークは、以下の通りです。

米国・欧州・日本を除くアジア:個別企業の評価方法のベンチマークをご参照ください。

http://go.nomuranow.com/research/globalresearchportal にあるディスクロージャーでご覧いただけます。

グローバル・エマージング市場(除くアジア):評価方法に別途記載がない限りMSCIエマージング市場(除くアジア)。

日本:ラッセル野村Large Cap。

ベンチマークは以下の通りです。

米国:S&P500、欧州:ダウ・ジョーンズSTOXX®600、グローバル・エマージング市場:MSCIエマージング市場(除くアジア)、

日本含むアジア:セクターレーティングがありません。

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Nomura21 Global 2018年3月号

モーニングスター社の投資判断に関するご説明/世界産業分類基準(GICSⓇ)について

現在使われている投資判断決定の方法は2004年2月に導入さ

れたものです。モーニングスター社の投資判断は、同社のアナリス

トがフリーキャッシュフローを基に独自のモデルを用いて算出する各

銘柄の適正投資価値と株価の比較を基に決定されます。これは

1つから5つの星の数で表現されます。アナリストが算出する投資

価値に対し株価が割安と判断すれば、その度合いにより5つ星あ

るいは4つ星となり、その逆の場合は2つ星または1つ星となります。

よって星の数が多いほど強気の判断となります。

投資判断には株価リスクも考慮され、同社は株価リスクを「低い」、「中程度」、「高い」、「非常に高い」、「極めて高い」の5段階で評価しています。これは会社の競争力の高さ(原文ではEconomic moat:事業への参入障壁)と外的要因(イベントリスク)への対応力を検討して決定されます。外的要因とはキャッシュフロー予想には織り込みにくい、訴訟、法令・制度の変更、特定の製品・サービスへの依存度の高さが抱えるリスク等を指します。

競争力の高さの例

①マーケットシェア

②生産コスト

③特許、商標、政府の認可や免許

④競争力の源泉を生む企業カルチャー

⑤顧客のスイッチコスト (取引先、使用ブランド等の変更に伴うコスト)

⑥ネットワーク効果 (一企業が業界のデファクトスタンダードを築いた場合等に享

受する付加価値)

モーニングスター社の概要と野村證券との関係

米国モーニングスター社(Morningstar Inc.)は、1984年に現会

長のジョセフ・マンスエート氏により設立された、個人向けの投信

評価サービスを全米で初めて行った会社です。現在では米国の

投信購入者の70~80%が同社の評価を重要な情報源として

います。同社は投信の他、株式、債券の分析ツールも提供して

おります。モーニングスター社は証券会社、投信運用会社、銀行

その他の金融機関と資本・提携関係にない独立調査会社です。

日本のモーニングスター株式会社(英文標記はMorningstar

Japan K.K.)は1998年3月に設立され、2000年6月にナスダックジャパン(現 東証ジャスダック市場)に上場されました。 野村證券は1999年以降、モーニングスター社と投信、年金ビジネスで取引があります。また2003年11月より、当社は同社との有償契約に基づき、同社発行の英文米国株レポートのうち双方が合意した銘柄について当社が日本語に翻訳し発行しています。

モーニングスター社は株価の動きや適正投資価値、リスクファク

ターに関する見解の変更により、機動的に投資判断を変更しま

す。ただし、影響力のある、新しい情報が発表された銘柄で適正

投資価値の見直しに時間を要する場合は投資判断を「Under

Review(保留)」とします。また、米国市場の取引時間中は投資

判断の変更は行いません。アナリストが退職した場合等は投資

判断を一旦「Suspension(停止)」とします。

モーニングスター社の投資判断(Morning Star Rating)に関するご説明

世界産業分類基準(GICS Ⓡ) スタンダード&プアーズはモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)と共同で作成した世界産業分類基準(Global

Industry Classification Standard=GICS)を採用しています。この世界産業分類基準の目的は投資調査及び資産運用のプロセスをより容易にすることによって、世界の金融専門家の便宜を図ることにあります。世界の投資家、投資顧問会社、投資アナリストなど各方面の専門家との議論に基づいて設計されたこの分類基準は正確、完全かつ標準化された産業の定義に対する世界の金融界のニーズに応えることを目的に作成されています。 世界産業分類基準は、11のセクター、24の産業グループ、68の産業、および157の産業サブグループからなっています。 (2016年9月1日時点) 業種の分類は主として売上高に基づいて行う一方、二義的な基準として利益を検討対象にするという方法を採用しており、事業毎または商品毎に精査・分析して行っています。 1つの企業は各階層で1つのグループにしか入ることができません。3つ以上の分野にまたがって事業展開している多角化企業で、売上高または利益のどちらかが全体の半分以上を占める事業部門がない場合は、コングロマリット産業サブグループ(一般事業会社セクター)、またはマルチセクター持株会社産業サブグループ(金融セクター)に分類されます。 分類は投資対象ユニバースを十分に反映するよう、毎年見直しを行います。

世界産業分類基準(GICSⓇ)について

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ご投資にあたっての注意点

ご投資にあたっての注意点

●弊社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大

1.404%(税込み)(20万円以下の場合は、2,808円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された

購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経費、等)をご負担いただく場合があります。また、

各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当

該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。

●国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大

1.404%(税込み)(20万円以下の場合は2,808円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等

を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客

様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。

●外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差

し引いた額)に対し最大1.026%(税込み)(売買代金が75万円以下の場合は最大7,668円(税込み))の国内売買手数料

をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募

集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、

お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により

損失が生じるおそれがあります。

●信用取引には、売買手数料(約定代金に対し最大1.404%(税込み)(20万円以下の場合は2,808円(税込み)))、管理費

および権利処理手数料をいただきます。加えて、買付の場合、買付代金に対する金利を、売付けの場合、売付け株券等

に対する貸株料および品貸料をいただきます。委託保証金は、売買代金の30%以上(オンライン信用取引の場合、売買

代金の33%以上)で、かつ30万円以上の額が必要です。信用取引では、委託保証金の約3.3倍まで(オンライン信用取引

の場合、委託保証金の約3倍まで)のお取引を行うことができるため、株価の変動により委託保証金の額を上回る損失が

生じるおそれがあります。詳しくは、上場有価証券等書面、契約締結前交付書面、等をよくお読みください。

●債券を募集・売出し等その他、当社との相対取引によってご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。債

券の価格は市場の金利水準の変化に対応して変動しますので、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財

務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがあります。加えて、外貨建て債券

は、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。

本資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、特定の銘柄の投資勧誘を目的として作成したものではございません。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。なお、使用するデータ及び表現等の欠落・誤謬等につきましては、当社はその責を負いかねますのでご了承下さい。

また、本資料は提供させていただいたお客様限りでご使用いただきますようお願い申し上げます。

過去に国内で募集・売出しを行ったもの、または東証上場銘柄等を除いて、外国証券は我が国の金融商品取引法に基づく企業内容の開示が行われておりません。

他社比較のためやスクリーニングなどにおいて、会社名の記載を行うことがありますが、これは投資勧誘を意図したものではありません。

本資料は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、金融商品取引法に定める外国証券情報、若しくは日本証券業協会規則に定める外国証券内容説明書ではありません。

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PBR (株価純資産倍率)

PER (株価収益率)

発行済み株数

PBR(株価純資産倍率)・・・企業の自己資本からみる指標 株価が1株当たりの自己資本の何倍まで買われているかをみる指標。1を下回る場合は、帳簿上の解散価値からみて割安だと判断できます。市場の評価が高い銘柄は、1株当たりの自己資本を大きく上回る株価が付いているため、PBRが1を大きく上回るものもあります。注意すべきは、財務内容に問題がある場合がありますので、他の情報と併せて判断する必要があります。

(-) 売上原価

(+)売上高

(+)売上総利益(粗利)

(±)特別損益 (+)税引前 当期利益

(-)税金

損益計算書(P/L)

(+) 当期利益

(-)販管費 (+)営業利益

(±)営業外損益 (+)経常利益

商品を作ったり仕入れたりする為の費用

商品を売るのにかかった費用

受取った利息 支払った利息

手数料

土地、株式の売却金 災害リストラで失った損失

法人税住民税

内部留保等

配当

資産

負債

自己資本

貸借対照表(B/S)

BPS(1株当たり自己資本)

自己資本

PER(株価収益率)・・・企業の利益からみる指標 株価が1株当たりの利益の何倍まで買われているかをみる指標。企業の利益からみて今の株価水準を市場がどのようにみているかを判断するための目安のひとつ。市場の評価が高い銘柄はPERが高いという見方もできます。

同業他社同士のPERを比較するなどの活用方法が考えられます。

ROE(自己資本利益率)・・・自己資本を元にどの程度利益をあげたかをみる指標 株主の持分である自己資本を元に、どれだけ効率よく利益をあげているかを株主の目線で見た指標。ROEが高いと

資本効率が良い、低いと資本効率が悪いと判断します。負債の大きい場合には、財務の健全性にも注意する必要があります。

配当利回り・・・株価に対して配当が多いか少ないかをみる指標 1株当たり年間配当金が株価に対して何%に相当するかをみる指標。企業の業績悪化等で減配・無配の可能性もあります。

注意すべきは、業績や財務内容に問題がある場合がありますので、他の情報と併せて判断する必要があります。

EPS (1株当たり利益)

株価

商品(サービス)の販売で得たお金

本業の儲け

その期に限って起きたことまで計算した儲け

最終的な儲け

普段の営業活動での儲け

返済要

返済不要

配当総額

指標

1

当期利益

自社株買い 配当 ( + )

総還元性向(%)

DPS(1株当たり配当金)

発行済み株数

EPS(1株当たり利益)

発行済み株数

当期利益

PER(倍) = 株価= EPS (1株当たり利益)

×

ROE(%) =

× 100 配当利回り(%)= 株価

DPS(1株当たり配当金)

BPS (1株当たり純資産)

株価 PBR(倍) = BPS

(1株当たり純資産) ×

指標

2

指標

3

指標

4

自社株買い 当期利益

株価=

商品をつくった 段階の儲け

(注)正確には「資産」=「負債」+「純資産」 で、「純資産」=「少数株主持ち分」+「自己資本」だが、簡略化して説明している。

× 100 自己資本(期中平均)

当期利益

(注)期中平均(一般的に期初と期末の平均)を使うのは、その期間の自己資本で利益を稼いだという考え方による。

各指標について

各指標について

(注)簡略化して説明している。

株主還元

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MEMO

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Nomura21 Global 2018年3月号

MEMO

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野村株アプリ

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野村株アプリ

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野村株アプリ

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Nomura21 Global 2018年3月号 「Nomura21 Global 3月号」

2018年2月19日発行

野村證券 投資情報部

編集長・ストラテジー

小髙 貴久

部長

西澤 隆

業績予想・株価レーティング付与

野村證券エクイティ・リサーチ部、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)、

インスティネットLLC (「ILLC」)、ノムラ・インターナショナルplc(Niplc)、野村国際(香港)、モーニングスター社

日本株編集責任者

伊藤 高志

外国株編集責任者

村山 誠

データ・サイエンティスト

本広 守

デザイン・編集

加藤 南

服部 哲郎

横山 恭一郎

大坂 隼矢

藤原 宏充

木下 智夫

岡田 公現

滝沢 弘量

岡本 彩芽

若生 寿一

澤田 麻希

平瀬 太祐

鎌田 凌

尾畑 秀一

岩崎 裕美

公文 元紀

山内 正一郎

岩本 竜太郎

杉浦 智大

山口 正章

丹羽 紘子

寺田 絢子

小山 直城

表紙の由来

常に流動し続ける市場を読み解く本冊子のコンセプトを、動的な矢印で表現しています。

色々な大きさの矢印には色の濃淡による奥行きも表現されており、様々な国・地域とバラエティー豊かな産業の活動をイメージしています。

マクロ的、巨視的な視野で見た市場の動きや「トップダウン・アプローチ」を想起させるグラフや数字の画像と、ミクロで見た「ボトムアップ・アプローチ」を想起させる画像の合成は、多角的に市場を分析する力を強くアピールしています。

野村證券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第142号

加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会

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