「社会人訪問100人プロジェクト」で 学生はどのように成長 …...2015/06/22...
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「社会人訪問100人プロジェクト」で学生はどのように成長したか
2015年6月5日
HRサミット2015
2013年9月日本企業の採用活動(および就職活動)上の課題に対して、 科学的なアプローチによる解決を目指すプロジェクトである,「採用学プロジェクト」をスタート。
のスタート!!
採用学プロジェクトとは??
現実と科学との関係は,以下のような関係にある。
【実践家の思考】
具体的実践 = 原理・理論 × 個別の環境
【研究者の思考】
原理・理論 = 具体的実践 / 個別の環境
⇒科学的研究から良質のエビデンスとロジックを導き出す(生産)
⇒そしてそれを,実践家へと普及させる(流通)
採用学プロジェクトのポリシー
1969年(リクルートブック登場)以降の日本企業の一般的な採用の考え方
曖昧で,ポジティブな情報・魅力的なイメージで,求職者に働きかける。
結果,実際に応募してくる人の数が多くなる。
応募者の数が増えるので,企業としては,その中から優秀な人を採れ
るようになる?
⇒ 選抜の密度(e.g. 採用担当者数/候補者数)は低くなる。
⇒ 求職者をじっくりと見えあげることができない。
結果,ミスマッチが起こりやすくなる。
⇒それでも,就職期間が十分に長く,お互いがじっくりとコミュニケーションできる
時間が確保されれば,なんとかマッチングは達成されてきた。しかし・・・・
期待が
裏切られる
不満足,
でもやめ
ると損する
仕組み
適性検査やESや面接で
「ほしい人材」以外
を落とす。
応募者
の数を
多くする
ポジティブ
な情報
を伝える
募集 選抜 社会化
問題意識:曖昧な日本の採用
問題意識:2016採用における採用動向
主導とその目的 広報の開始 選抜の開始 広報解禁~ 内定解禁の期間(企業が求職者と関われる期間)
12採用⇒14採用への変更
経団連主導 採用活動の過熱化の抑制
10月⇒12月 2ヶ月の後ろ倒し
変更なし 4月スタート
10ヶ月間 広報解禁~選考解禁 4ヶ月(12月~4月) 選抜~内定解禁6カ月 (4月~10月)
16卒 政府主導 人材育成システムの 強化
12月⇒3月 3ヶ月の後ろ倒し
4月⇒8月 4ヶ月の後ろ倒し
7ヶ月間 広報解禁~選考解禁 5ヶ月(3月~8月) 選抜~内定解禁2カ月 (8月~10月)
予想される企業/求職者行動 (1)見えざる競争の激化 一部の優秀層の採用に関しては,企業⇔学生(大学)のダイレクトな採用が アンダーグラウンドで進行する (2)見える競争の激化 他方で,マスの部分では,熾烈な母集団形成競争,母集団プールの 引き付け競争が起こる。
2016採用の(よりもちょっと前から始まっている)学生の動き
学生の動きが多様化している。たとえば・・・・ (1)ナビサイトを使わずに就職活動を展開
⇒経歴が華やかで「良さ」が一目でわかる学生層
⇒各大学に「就職活動サークル」なるものが出現
⇒企業にダイレクトでつながる層の出現
(2)ナビサイトを使った一般的な活動をするが,就活の動き出しが早く,
自分から積極的に動く層。
⇒こちらも「良さ」がわかりやすい。上記(1)と重複あり。
(3)ナビサイトを使った一般的な活動を,周囲と同じようなタイミングで
行う層(マジョリティ)。
⇒時間と機会と手間をかければ「良さ」がわかるが,一見すると,
(1)や(2)よりも劣って見えてしまう学生。
⇒面接ではなかなか良さが見えてこない。
8
⇒しかも,今年は,面接の工程数を削減する企業が激増
開始3分 以内
開始10分
開始20分
開始30分
開始40分
開始50分
終了時点
全般的印象 1〜5の五段階
4 3 2 2 2 2 2
合格 可能性 0〜100%で表記
50% 40% 30% 30% 10% 0% 0%
不採用のケース
採用のケース
「即時的決定」のデビデンス from採用学 採用学プロジェクトより:面接は思っている以上に「短時間勝負」
開始3分 以内
開始10分
開始20分
開始30分
開始40分
開始50分
終了時点
全般的印象 1〜5の五段階 4 5 5 5 5 5 5
合格可能性 0〜100%で表記
50% 70% 70% 80% 80% 100% 100%
要するに・・・・・
学生と企業の出会いと,相互理解にかけられる
時間は,あまりにも不十分・・・・。
学生が就職活動中に成長できる機会も,
減ってきている・・・・。
⇒新しいプラットフォームの必要性??
「社会人訪問100人プロジェクト」で
学生はどのように成長したか ~「採用学」による調査研究から見えたこと~
【職サークル説明補足資料】
2015年6月5日
HRサミット2015
職サークルとは?
学生と企業がお互いのホンネを理解し、 信頼関係を醸成するコミュニティとしてスタート。
いつから?
1998年9月
・アジア通貨危機、橋本内閣緊縮財政、消費税増税、国内消費縮小、山一証券や拓銀など経営破たん、長銀、日債銀など国有化…。1997年から1998年は、日本経済どん底の最中。2000年新卒求人倍率は1.0を下回るほどの、いわゆる超就職氷河期に突入した時代。
なぜ始めた?
●創業時より、「顔の見える就職と採用」が事業コンセプト。
●就職ナビの登場。超就職氷河期。マニュアルの台頭。就職活動やったつもり。互いの顔がみえない。
●現状を変えたい硬派な企業人事の存在。
職サークル協賛基準
道義を重んじ、
ウソのない誠実な採用を
行なう会社であること
目指しているもの
企業と学生の信頼関係を構築。
「学生よし、企業よし、社会よし」
三方よしの就職と採用の環境を
生 み 出 す イ ン フ ラ と な る
実現したい社会
すべての社会人が
当 た り 前 の よ う に
若者たちを見守 り
育ててい く世の中
社会人100人訪問プロジェクト
●2014年8月スタートの職サークル理念具現化のための取組
●通称:100×10チャレンジ(ひゃくてんチャレンジ)
●社会人100人に会いに行こう!
●そして、それぞれの社会人に10の問いを立ててぶつけよう!
わしも、勝先生、西郷さんを始めとする大きな人物たちと出会うたおかげで大きくなったんぜよ!
社会人100人訪問プロジェクト
●夏クール(8月~9月)、秋クール(10月~12月)、冬クール(1月~2月)に分けて参加学生を大募集
>夏クール 105名 (スタート時は114名)
>秋クール 94名 ( 〃 124名)
>冬クール 100名 ( 〃 124名)
合計約300名の修了生を送り出した。
●一方、訪問受入にご協力いただいた協賛企業は117社(夏秋冬の延べ社数)
企図したもの(学生側の視点)
●行動すること(社会人への訪問)を起点として、
「学習する力」「思考する力」「協働する力」を伸ばしていく。
⇒ 社会で活躍しうる人材に近づいていく。
行動する力
学習する力
思考する力
協働する力
企図したもの(採用側の視点)
●採用選考という限られた時間だけでは発見することのできない
学生の変化、成長、伸びしろ(潜在力、成長余力)を確認
●学生の成長現場に立ち会うことによる大人側の様々な気づき
●求める人材像の再定義と、選考手法の在り方の見直し
●自社インターンシップを超える費用対効果の創出
「4つの力」に関する分析
①学習する力・思考する力
②行動する力
③協働する力
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学習する力・思考する力・考えることを楽しむ力のすべてにおいて、職サークルの効果がプラスの効果
職サークル受講前に「あまり自信がないと回答した人」ほど、職サークルによる効果が大きくなる傾向。
※すべて統計的に5%水準で有意な結果
自信がないと回答した人の思考する力への効果
※あまり自信がないと回答した人は、回答サンプルのうち得点が下位25%以下のサンプルを指す
①学習する力・思考する力:「自信がない人」で思考する力が伸びる効果
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※塗りつぶしてあるものはすべて統計的に10%水準で有意
6つの項目のうち、傾聴力や実行力をはじめとする4つの項目で、受講前に「あまり自信がないと回答した人」で大きな効果。
ただし、働きかける力・計画力の2つに関しては、今回の分析ではプラスの効果を確認することができない。
自信がないと回答した人の行動する力への効果
※あまり自信がないと回答した人は、回答サンプルのうち得点が下位25%以下のサンプルを指す
②行動する力:「自信がない人」には大きな効果
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逆に、受講前に「自信があると回答した人」に対してはマイナスの効果。
⇒職サークルを通じて「実行力の高い他の優れた人」と出会うことで、
自身を見つめなおした結果とも考えられる。
今後の成長のための一時的な落ち込みの可能性が高い
自信があると回答した人の行動する力への効果
※自信があると回答した人は、回答サンプルのうち得点が上位25%以上のサンプルを指す
※塗りつぶしてあるものはすべて統計的に5%水準で有意
②行動する力:「自信がある人」には「出会いによる内省の効果」
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受講前の「協働する力」の得点が低い人への効果を見てみると、「傾聴力」や「共感性」などの3つの項目ではプラスの効果が確認できる。
意見の譲歩については効果が確認できず。「譲歩する」ことには良し悪しがあるので,解釈が難しい。
※塗りつぶしてあるものはすべて統計的に10%水準で統計的に有意
受講前にそれぞれの力が低いと回答した人の協働する力への効果
※もともと協働する力が低い人は、回答サンプルのうち得点が下位25%以下のサンプルを指す
③協働する力:もともと協働する力が低い人で効果がみられる
キャリアに対する意識の分析
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受講前と比較すると、受講後の方が平均的に社会人を身近に感じているという結果。
特に5ポイント未満(相対的に親近感が低い)が大きく減っている。
非常に身近に感じる→ 非常に身近に感じる→
受講前 受講後
社会人をどの程度身近に感じるか(10段階評価)
※受講後の9.5は9と10の両方に回答したサンプル
キャリアに対する意識:社会人への親近感が増している
企業理解と他の形態
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企業に関する理解や新たな発見に効果がある。 説明会や他のインターンシップと比較して、企業や働き方に対して深い理解が得られるとの回答が多くみられる。
OB・OG訪問とはどの指標においても差がみられない。
特に、「普段は見えない一面」で他の形態よりも深く知ることができている。
※職サークルと他の形態との差は、OB・OG訪問を除き5%水準で統計的に有意な差
企業理解と他の形態との比較:企業理解・発見にも効果あり
企業訪問と興味・愛着
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職サークルを通じて20社との出会いがあるという結果
訪問した企業のうち、名前を知っていた企業は5社程度、興味があった企業は2社弱。
質問 平均値 最小値 最大値 職サークルを通じて訪問した企業の総数 22.31 0 120
うち、職サークル以前に名前を知っていた企業の数 5.08 0 40
うち、職サークル以前に興味があった企業の数 1.90 0 20
うち、現在就職に興味がある企業の数 4.72 0 27
うち、愛着を持てた企業の数 7.43 0 95
ただし個人差も大きく、訪問企業数にはばらつきあり
10~20社の学生が最多
20社以下の学生が半数以上
企業訪問と興味・愛着:企業訪問を通じて20社との出会い
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企業訪問と興味・愛着③
受講者全体としてみれば訪問企業数が7社増えるごとに就職に興味がある企業が約1社増える関係がある。
1期/2期、文系/理系、男性/女性の違いの影響は除去。
※1%水準で有意な関係
※ただし訪問企業数が100社を超えるサンプルは除外して分析
y=0.14x+1.
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企業訪問と興味・愛着:7社訪問で1社に興味