第１回

希少がん病理診断講習会（於北海道・日本病理学会本部）

希少がん病理診断講習会

希 少 が ん 診 断 の た め の 病 理 医 育 成 事 業

於 北 海 道 ・ 日 本 病 理 学 会 本 部

第 1 回

一般社団法人 日本病理学会

434.5×297（厚さ14.5mm　290ページ）

厚⽣労働省 国庫補助⾦事業 希少がん診断のための病理医育成事業

第 1 回 希少がん病理診断講習会 （於 北海道・⽇本病理学会本部）

⽇ 時：平成 30 年 9 ⽉ 8 ⽇（⼟）10:00〜 場 所：北海道⼤学 医学部フラテ⼤研修室 主 催：⼀般社団法⼈ ⽇本病理学会

１．10：05〜11：05 希少がん病理診断「⾻軟部腫瘍（１）」 ·········································································· 1

産業医科⼤学 医学部 第 1 病理学 久岡 正典

２．11：15〜12：15 希少がん病理診断「⾻軟部腫瘍（２）」 ········································································ 29

国⽴がん研究センター 中央病院 病理科 希少がんセンター 吉⽥ 朗彦

３．13：15〜14：15 希少がん病理診断「⼩児腫瘍」 ······················································································ 93 福島県⽴医科⼤学会津医療センター病理診断科 （兼）同医学部病理病態診断学講座 北條 洋 先⽣

４．14：25〜15：25 希少がん病理診断「成⼈脳腫瘍」 ················································································ 221

北海道⼤学⼤学院医学研究院 腫瘍病理学教室 ⽥中 伸哉

軟部腫瘍―良性か悪性か―

第1回 希少がん病理診断講習会（於 北海道・日本病理学会本部）希少がん診断のための病理医育成事業２０１８年９月８日

国立がん研究センター中央病院病理科・希少がんセンター

吉田朗彦

軟部腫瘍病理診断の問題点

• 希少で、経験を積みにくい

• 腫瘍型が多く、分類が複雑

• 分類自体がやや流動的

• 遺伝子検索の補助が必要になることがある

• 良性と悪性の鑑別が問題となる事例がある

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今日のお話の内容

軟部腫瘍のなかで良悪性の誤診が起こりやすい腫瘍を4つ選んで、組織像を中心にお話します。

1．筋内粘液腫Intramuscular myxoma

• 成人（40‐70歳）、若年者や小児には稀

• 女性＞男性 (2:1)• 大腿、殿部、肩などに多い

• 緩徐に増大する腫瘤として発症

• 辺縁切除で治癒

• 切除後の再発は稀（断端陽性であっても）

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肉眼所見

豊富な粘液性背景

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細胞密度の上昇、血管の増加、線維化

細胞密度の上昇、血管の増加、線維化

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Ependymoma 上衣腫

定義：類円形核と細長い突起を有する均一な小型細胞からなるグリア系腫瘍で，血管周囲の無核帯（偽ロゼット）および（真性）上衣性ロゼットの形成を特徴とする。上衣腫においては従来の組織学的gradeと臨床経過が一致しないため，WHO脳腫瘍分類改訂第4版では本腫瘍のgradeは明示されていない。特徴：テント上の腫瘍は小児，成人ともに発生し，やや男性優位であるが，後頭蓋窩発生例では小児に多く，脊髄発生の腫瘍は成人に多い。

組織学的特徴：ごま塩状と称される斑状のクロマチンを有する類円形核を持つ均一な細胞からなる腫瘍で，血管周囲の無核帯（偽ロゼット）と（真性）上衣性ロゼットが診断の鍵となる特徴的な所見である。（真性）上衣性ロゼットは，円柱状の腫瘍細胞が管腔を取り囲むように配列する像で診断的価値が高いが，欠如することも稀ではない。注）・細胞性上衣腫 cellular ependymomaは削除された。・柵状配列を伴わない地図状の壊死もときに出現する。・粘液変性，腫瘍内出血，石灰沈着，骨・軟骨化生，血管壁の硝子化。・免疫組織化学的には，EMA，GFAP，vimentin，cytokeratin，CD99が陽性。・EMAの上衣ロゼット内腔の陽性像，およびドット状またはリング状の陽性。・Ki-67陽性率は平均数％以下。

（規約抜粋、⼀部改変）

Perivascular pseudorosette Ependymal epithelium and tubules

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