professional techniques illustration パターンや回転ツールで …illustrator の大原則 _...

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Part 1 Part 2 Part 3 Part 4 Part 5 Illustrator 102 Illustrator CS4 Illustrator Illustrator 使Illustrator _Illustrator _Illustrator 103 装飾部分の見せ方によって、メインのイラストの存在感が変わってく る。そのため装飾となるパーツの作成は、手を抜けない作業だ。一見 複雑に見えるパーツでも、パターンや回転などさまざまなツールを使 えば簡単に作成できる。それらを感覚的に組み合わせていくことで、 グラフィカルな作品に仕上げることができる。手描きではできない表 現も可能だ。 1 Part 4 パターンや回転ツールで描く グラフィカルなイラスト ひとつの小さなパーツを、パターンスウォッチやリフレクト、回転などのツールや機能を活用して自然な配置 で反復させることで、イラストレーションに視覚的な効果を与えていこう。 作例・文=AQUINON/20001 URL http://www.20001.jp/ 使用バージョン Adobe Illustrator CS Part4-1 パターンや回転ツールで描くグラフィカルなイラスト Professional Techniques _ Illustration まず反復させたいイラスト(ここでは ポップコーン)を選択ツールで選び、 コピー&ペースト機能のショートカッ トであるoption〔Alt〕キーを押しな がら、回転ツールで回転させる。な るべく多く角度のバリエーションを 付けながら、目見当で位置を決め ていく。そうすると、より自然でラン ダムな配置になる。回転ツールの 中心ポイントを変えながら、納得の いく表現になるまで試そう。適当な パーツを2、3個ずつかたまりで選択 したりしながらこの作業を繰り返し、 パーツを増やしていく 1-1 反復させてもなめらかにつながるようなパーツを作成する。円を大小2つ描いて外接させる 1-1 。あとで中心点をとるガイドに使うので、別にもうひとつコピーをつくっておく。2つの円 が接したパスの中心あたりをはさみツールで切断し、不要なパスを消して 1-2 のような形 状にする。パスがつながる部分の重なったポイント2つを選択し、 c 〔Ctrl〕+Jキーで[角を滑 らかにする]を選んで連結させておく。できた図形の頂点のアンカーポイントをはさみツール で切り、不要な右側の半円を消去する 1-3 。リフレクトツールで垂直コピーし、頂点のアン カーポイントで連結する。中心点のガイド用にコピーしておいた2つの円の図形も、同様に 半分に切ってからリフレクトツールで垂直コピーし、3つの円の状態にしておく 1-4 出来上がったらグループ化 してコピーし、描いたイラスト 上に配置する。ここでも全 体のバランスを見ながら、回 転させたり、いらないパーツ を削除したりして位置の調 整をする 2-1 1-1 2-1 図形の中心点のアタリをとるために、ガイドの円に1つくった図形を重ねる。2つの図形を重ねたまま回転 ツールで30度に回転させて 2-1 、小さい円の中心同 士を吸着させる 2-2 。ガイドの円を分離させてから、図 形を連結させる。続いて、ガイドの円のうち小さい円のみ 再びガイドとして 2-3 のように配置する。60度回転コ ピーしてから小さい円の中心同士を吸着させ、ガイドの円 を消去して連結 2-4 。不要なパスを消去して 2-5 90 度回転コピーしてから、となり合ったポイントを吸着させ、 連結させる 2-6 。作品ではレコードジャケットにこの図 形を使った 2-7 [アキノン]アーティスト、イラストレーター。アートユニットでもあり、音楽レーベ ルでもある20001(Niman-Ichi)主宰。イラストを使ったオリジナルアパレル ブランドや音楽活動「ピーチッチュ」をスタート。 1-1 1-3 1-2 2-1 2-4 2-2 2-5 2-3 2-6 2-7 1-4 A 回転ツールでパーツをランダムに配置 外枠のついた図形をパターンにする場合、図形が隣接 して反復されるので、そのままではとなり合った罫線は 倍の太さになってしまう 1-1 。外側の罫の太さを半分 にすることによって、全体の罫線の太さを同じにできる。 ここでは、外側の正方形の罫を1pt、内側の図形を2pt とした 図形を選択した状態で、編集メニュー→“パターン設定...”を選ぶ。 新規スウォッチダイアログボックスで名前を付けて保存すると、図 形はスウォッチパネルに保存される。パターンとして使いたいとき は、塗りの設定にこの新しいスウォッチを選択すればよい 2-1 パターンの設定された図形を選択して拡大・縮 小ツールをダブルクリックし、オプションダイアロ グボックスで[オプション]の[パターン]にチェッ クをつける([オブジェクト]にはチェックをつけな い)。拡大・縮小率を入力して[OK]すれば、パ ターンのビジュアルだけが拡大・縮小されるので、 表 現の幅を広げることができる 3-1 。回転 ツールを利 用して同 様に[ パターン]のみに チェックをつけると、パターンだけが回転される 3-2 1-1 3-1 3-2 B 図形やアイコンを塗りに設定する C 円を利用して左右対称のイラストをつくる a PROFILE 作例で使用したおもな機能 option〔Alt〕キーと回転ツールを使い、細かいパーツをランダムに反復させることで、 自然でグラフィカルなイラストに仕上げる。 描いた図形を「パターン設定」し、「スウォッチ」に保存して塗りの設定として使う。 パターンのみの拡大や回転もできる。 円をガイドにしながら回転ツールで左右対称のイラストをつくる。パーツを反復させる 際、となりのパーツと自然につながるようにする。 1  パーツを回転させながらコピーしていく 1  反復させるパーツを作成する 2  ガイドの円で中心点のアタリをとって回転コピー 1  パターンにしたい図形を作成する 2  パターン設定して図形をスウォッチに保存 3  パターンを拡大・縮小したり回転したりする 2  バランスを見ながら配置する 2-1 ● 回転ツール option〔Alt〕キーを押しながらパーツを回 転ツールで回転させ、角度のバリエーション をつくりながらコピーすることで、ランダムで グラフィカルなイラストが描ける。円形状に パーツを並べて左右対称のイラストを描く ときにも便利なツールだ。 ● パターンスウォッチ イラストの塗り部分に使うことで、視覚的な メリハリが付けられる。手描きでは難しい効 果が簡単に出せる。

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Page 1: Professional Techniques Illustration パターンや回転ツールで …Illustrator の大原則 _ デザイン編 新版 プロとして恥ずかしくない Illustrator の大原則

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新版 プロとして恥ずかしくない

Illustrator

の大原則102

Illustrator CS

4

の新機能

Illustrator

の機能とツールの大原則

Illustrator

使いこなしの原則

プロのテクニックから学ぶ

Illustrator

の大原則

_

イラスト編

プロのテクニックから学ぶ

Illustrator

の大原則

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デザイン編

新版 プロとして恥ずかしくない

Illustrator

の大原則103

装飾部分の見せ方によって、メインのイラストの存在感が変わってくる。そのため装飾となるパーツの作成は、手を抜けない作業だ。一見複雑に見えるパーツでも、パターンや回転などさまざまなツールを使えば簡単に作成できる。それらを感覚的に組み合わせていくことで、グラフィカルな作品に仕上げることができる。手描きではできない表現も可能だ。

1Part 4 パターンや回転ツールで描く

グラフィカルなイラストひとつの小さなパーツを、パターンスウォッチやリフレクト、回転などのツールや機能を活用して自然な配置で反復させることで、イラストレーションに視覚的な効果を与えていこう。

作例・文=AQUINON/20001 URL : http://www.20001.jp/ 使用バージョン Adobe Illustrator CS

Part4-1 パターンや回転ツールで描くグラフィカルなイラストProfessional Techniques _ Illustration

まず反復させたいイラスト(ここではポップコーン)を選択ツールで選び、コピー&ペースト機能のショートカットであるoption〔Alt〕キーを押しながら、回転ツールで回転させる。なるべく多く角度のバリエーションを付けながら、目見当で位置を決めていく。そうすると、より自然でランダムな配置になる。回転ツールの中心ポイントを変えながら、納得のいく表現になるまで試そう。適当なパーツを2、3個ずつかたまりで選択したりしながらこの作業を繰り返し、パーツを増やしていく 1-1

反復させてもなめらかにつながるようなパーツを作成する。円を大小2つ描いて外接させる1-1 。あとで中心点をとるガイドに使うので、別にもうひとつコピーをつくっておく。2つの円が接したパスの中心あたりをはさみツールで切断し、不要なパスを消して 1-2 のような形状にする。パスがつながる部分の重なったポイント2つを選択し、c〔Ctrl〕+Jキーで[角を滑らかにする]を選んで連結させておく。できた図形の頂点のアンカーポイントをはさみツールで切り、不要な右側の半円を消去する 1-3 。リフレクトツールで垂直コピーし、頂点のアンカーポイントで連結する。中心点のガイド用にコピーしておいた2つの円の図形も、同様に半分に切ってからリフレクトツールで垂直コピーし、3つの円の状態にしておく 1-4

出来上がったらグループ化してコピーし、描いたイラスト上に配置する。ここでも全体のバランスを見ながら、回転させたり、いらないパーツを削除したりして位置の調整をする 2-1

1-1 2-1

図形の中心点のアタリをとるために、ガイドの円に1でつくった図形を重ねる。2つの図形を重ねたまま回転ツールで30度に回転させて 2-1 、小さい円の中心同士を吸着させる 2-2 。ガイドの円を分離させてから、図形を連結させる。続いて、ガイドの円のうち小さい円のみ再びガイドとして 2-3 のように配置する。60度回転コピーしてから小さい円の中心同士を吸着させ、ガイドの円を消去して連結 2-4 。不要なパスを消去して 2-5 90度回転コピーしてから、となり合ったポイントを吸着させ、連結させる 2-6 。作品ではレコードジャケットにこの図形を使った 2-7

[アキノン]アーティスト、イラストレーター。アートユニットでもあり、音楽レーベルでもある20001(Niman-Ichi)主宰。イラストを使ったオリジナルアパレルブランドや音楽活動「ピーチッチュ」をスタート。

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A 回転ツールでパーツをランダムに配置

外枠のついた図形をパターンにする場合、図形が隣接して反復されるので、そのままではとなり合った罫線は倍の太さになってしまう 1-1 。外側の罫の太さを半分にすることによって、全体の罫線の太さを同じにできる。ここでは、外側の正方形の罫を1pt、内側の図形を2ptとした

図形を選択した状態で、編集メニュー→“パターン設定...”を選ぶ。新規スウォッチダイアログボックスで名前を付けて保存すると、図形はスウォッチパネルに保存される。パターンとして使いたいときは、塗りの設定にこの新しいスウォッチを選択すればよい 2-1

パターンの設定された図形を選択して拡大・縮小ツールをダブルクリックし、オプションダイアログボックスで[オプション]の[パターン]にチェックをつける([オブジェクト]にはチェックをつけない)。拡大・縮小率を入力して[OK]すれば、パターンのビジュアルだけが拡大・縮小されるので、表現の幅を広げることができる 3-1 。回転ツールを利用して同様に[パターン]のみにチェックをつけると、パターンだけが回転される

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B 図形やアイコンを塗りに設定する

C 円を利用して左右対称のイラストをつくる

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PROFILE

作例で使用したおもな機能

option〔Alt〕キーと回転ツールを使い、細かいパーツをランダムに反復させることで、自然でグラフィカルなイラストに仕上げる。

描いた図形を「パターン設定」し、「スウォッチ」に保存して塗りの設定として使う。パターンのみの拡大や回転もできる。

円をガイドにしながら回転ツールで左右対称のイラストをつくる。パーツを反復させる際、となりのパーツと自然につながるようにする。

1 パーツを回転させながらコピーしていく

1 反復させるパーツを作成する 2 ガイドの円で中心点のアタリをとって回転コピー

1 パターンにしたい図形を作成する 2 パターン設定して図形をスウォッチに保存

3 パターンを拡大・縮小したり回転したりする

2 バランスを見ながら配置する

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● 回転ツールoption〔Alt〕キーを押しながらパーツを回転ツールで回転させ、角度のバリエーションをつくりながらコピーすることで、ランダムでグラフィカルなイラストが描ける。円形状にパーツを並べて左右対称のイラストを描くときにも便利なツールだ。

● パターンスウォッチイラストの塗り部分に使うことで、視覚的なメリハリが付けられる。手描きでは難しい効果が簡単に出せる。