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247 建築 Architecture

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247

建築

Architecture

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248

建築 

Architecture 

学部 

Bachelor 

五十嵐日奈子三津谷煉瓦窯再生計画W180 × D210 × H90cm木、スタイロ、布、煉瓦

IGARASHI Hinako

The rivival project of the brickkiln in MITUYAW180 × D210 × H90cm

奥山明日香トウキョウキセイダイドコロ東京寄生台所

W40 × D160 × H120cmW120 × D120 × H90cm木、スチレン

OKUYAMA Asuka

Parasitical kitchen TOKYOW40 × D160 × H120cmW120 × D120 × H90cm

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249

建築 

Architecture 

学部 

Bachelor 

加賀見香苗Tokyo Elementary SchoolW140 × D250 × H110cmW60 × D60 × H70cm木、紙など

KAGAMI Kanae

Tokyo Elementary SchoolW140 × D250 × H110cmW60 × D60 × H70cm

加瀬美和子TOKYO ground-underground JUNCTION都市構造に対する認識の変換

W60 × D90 × H50cm…2点W61 × D86 × H15cmW115 × D150 × H100cm木材、アクリル板、銅板、塩ビ版、等

KASE Miwako

TOKYO ground-underground JUNCTIONconversion of thinking to urban structure

W60 × D90 × H50cm…2SheetsW61 × D86 × H15cmW115 × D150 × H100cm

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250

建築 

Architecture 

学部 

Bachelor 

関野有希子Launching pad日暮里らしさの発信

W110 × D170cmW90 × D150cmスチレンペーパー、バルサ、 シナベニヤ、塩ビ板

SEKINO Yukiko

Launching padW110 × D170cmW90 × D150cm

西川 練おだいば メディアリミックスW60 × D130 × H60cmW90 × D220 × H110cmスタイロフォーム 、ジェッソ、シナベニヤ、オイルステイン、ニススプレー

NISHIKAWA Ren

Odaiba Media RemixW60 × D130 × H60cmW90 × D220 × H110cm

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建築 

Architecture 

学部 

Bachelor 

林 映里scale-filter層に住む

W180 × D180 × H94cmW25 × D180 × H40cmLVL、シナ合板、バルサ板、アクリル板、スチレンペーパー等

HAYASHI Eri

scale-filterW180 × D180 × H94cmW25 × D180 × H40cm

藤原一世ミックスジューコW96 × D90 × H96cmW90 × D160 × H90cm

FUJIWARA Issei

mixed function houseW96 × D90 × H96cmW90 × D160 × H90cm

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252

建築 

Architecture 

学部 

Bachelor 

堀越優希しょくぶつ エン 景W135 × D220cm紙、木、スタイロフォーム

HORIKOSHI Yuki

EDGE of the GARDENW135 × D220cm

宮原大輔かごしま の もくじ

MIYAHARA Daiske

the stop of the tram and its scenery

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253

建築 

Architecture 

学部 

Bachelor 

森 純平そら _ から空に一番近いところ

W91 × D91 × H91cm…3点W30 × D30 × H30cm…9点怒り、木材、金属、発砲、塩ビ、塔

MORI Junpei

SORA_KARAW91 × D91 × H91cm…3PiecesW30 × D30 × H30cm…9Pieces

渡邉安結ペラペラ パラパラW60 × D45cmカネライトフォーム、LKカラー、スチレンボード他

WATANABE Auuu

pera pera pera peraW60 × D45cm

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254

建築 

Architecture 

学部 

Bachelor 

和田郁子音街 - オトマチ -音の聴こえる坂

H110 × W330 × D250cmH90 × W60 × D50cm

WADA Ikuko

oto-machiW110 × W330 × D250cmW90 × W60 × D50cm木、スチレン、紙

下司 歩宇田川ストリートパークW180 × D120cmW90 × D90cm…2点木材、カネライトフォーム、 金属

SHIMOTSUKASA Ayumu

UDAGAWA street parkW180 × D120cmW90 × D90cm…2Pieces

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255

建築 

Architecture 

修士 

Master 

益田郁乃Roundscape連続する壁面による風景の再構築

H15 × W90 × D90cm…2点木材、紙、ベニヤ

MASUDA Ikuno

RoundscapeH15 × W90 × D90cm…2Pieces

建築 

Architecture 

学部 

Bachelor 

渡邊直哉川崎の断面-新しい荒野の姿 -

W180 × D180cm…2点合板、石膏、金属ほか

WATANABE Naoya

phase of the KAWASAKIW180 × D180cm…2Pieces

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建築 

Architecture 

修士 

Master 

上杉康介ひとつの部屋H40 × W91cm石膏、スタッフ

UESUGI Kohsuke

A RoomH40 × W91cm

顧 彬彬都市ヲ思フ絵図-不可逆的プロセスの試行-

H150 × W300cm顔、インク

CO Pinpin

A pictrial diagram of the cityH150 × W300cm

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257

建築 

Architecture 

修士 

Master 

新 雄太VILLA PALLADIOH120 × W195 × D108cm木材

SHIN Yuta

VILLA PALLADIOH120 × W195 × D108cm

袴田早矢香ⅡH20 × W52.5 × D70cm…3点H70 × W52.5…9点

HAKAMATA Sayaka

ⅡH20 × W52.5 × D70cm…

3PiecesH70 × W52.5…9Pieces

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258

建築 

Architecture 

修士 

Master 

小林一行NAWABARIドゴン族集落調査から

H100 × W73cm…3点バルサ、スチレンペーパー、ラワンベニヤ、発砲ウレタン

KOBAYASHI Ikko

NAWABARIH100 × W73cm…3Pieces

藤江保高変容する体験ツールとしての辞書を用いた空間の展開

H150 × W20 × D20cm…20点紙、MDF

FUJIE Yasutaka

changing experienceexpanding spaces made by dictionary as a tool

H150 × W20 × D20cm …20Pieces

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鈴木隆史空間論からH870 × W32 × D32cmミクストメディア

SUZUKI Takashi

From The Theory of "Space"H870 × W32 × D32cmmixed media

建築 

Architecture 

修士 

Master 

堀江康介感覚の記述建築の元型の抽出

H30 × W30 × D20cm…5点H180 × W72 × D12cmミクストメディア

HORIE Kohsuke

Notation for senseQuest for Archetype of Architecture

H30 × W30 × D20cm…5PiecesH180 × W72 × D12cmmixed media

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260

建築 

Architecture 

修士 

Master 

會田涼子19世紀のフィレンツェにおける建築家ジュゼッペ・ポッジの都市計画

KAITA Ryoko

The city planning of architect Giuseppe Poggi in Florence in 19century

 ジュゼッペ・ポッジ(1811-1901)は、イタリア統一後のフィレンツェにおい

て近代化都市計画を委任された建築家である。本研究では、彼の計画の全貌が

如何なるものかを明らかにし、歴史都市から近代都市への変容を理解すること

を目的とする。

 フィレンツェは一時的に首都になり、ポッジは市壁を解体して都市を拡大し

た。市門をモニュメンタル化し、周辺を広場として新しい地区と旧市街の境界

点とした。そこで彼はルネサンス時代の建築物と近代の建築物を周辺の街区整

備によって、新旧の対峙をつくりだした。さらに丘陵地帯に大通りを建設し別

荘地と都市を繋いぎ、また丘の上に大広場を建設してフィレンツェの都市の眺

望を得られる装置をつくった。

 本論では、ポッジの計画以前の近代化の始まりを第 1章とし、ポッジの計画

を第 3章、ポッジ以後を第 4章とした。19 世紀のフィレンツェの都市生活につ

いての章を第 2章として設けた。

ポッジの計画から導き出されるのは、都市としての機能を中心地に存続させな

がら、フィレンツェという歴史都市のアイデンティティを視覚化させることで、

歴史の放棄という選択から逃れると同時に近代化するという前進を果たしたこ

とである。それは建築に近づいて見ると市門がモニュメントとなったことに表

象される。都市から少し離れて見ると、市門を基点として市壁外の住宅地から

接続されたブールヴァールに導かれてミケランジェロ広場にたどり着き、そこ

から俯瞰するフィレンツェの都市の全体像を視覚的に捉えることに表象される。

それを実現させた背景にはイタリア統一、産業の発展、中産階級の台頭等の社

会的背景、散歩や広場に集うイタリア的習慣が基盤にあり、フィレンツェは新

しい観点から把握された都市のアイデンティティを再び獲得したのである。

芦原湖子ミラノのモンテ・ナポレオーネ通りの街路景観におけるパラッツォ建築の研究商業の流入とファサードの継承

ASHIHARA Koko

Research on landscape of palazzo on the Via Monte NapoleoneCommerce and facade

 本論文はイタリア、ミラノの世界有数の商業通りであるモンテ・ナポレオー

ネ通りの街路景観を構成するパラッツォ建築に着目し、そのファサードが商業

が流入することによりどのように変化しながら継承してきたかを明らかにしよ

うとするものである。モンテ・ナポレオーネ通りは 19 世紀に貴族の邸宅として

建てられた当時の典型的なパラッツォ建築の集積である。19 世紀後半からミラ

ノが繁栄するにつれ都市が拡大し、ミラノ大聖堂周辺に位置していた商業地域

がこの通りを中心とする地域に移り、商業が流入しモンテ・ナポレオーネ通り

周辺の住民の生活を支える商店街となった。その後 1950 〜 60 年代のイタリア

の高度経済成長に伴い世界有数のブティックが軒を並べる商業通りへと変貌し

ていったのである。事実、モンテ・ナポレオーネ通りを構成するパラッツォ建

築は建築史上さほど重要な建築物とはいえない。そのためこの通りに関する研

究はイタリアをはじめ、日本においてもされていない。そこで具体的な対象を

19 世紀から現在までのモンテ・ナポレオーネ通りに面する全パラッツォ建築と

し、一次資料として古文書館の図面と現状調査からパラッツォ建築のファサー

ドを視点とした。

 モンテ・ナポレオーネ通りでは、商業の流入という機能転化を受け入れなが

らも人々の生活の中で、19 世紀の連続するパラッツォ建築からなる街路景観を

継承してきたことが都市の価値を創出することにつながった。背後には既存の

都市とその時代時代の社会状況とをいかに折合いをつけていくかという人々の

知恵と意志があり、次なる世代へと都市を継承する力となっていたと結論づけ

た。

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矢崎徹太テルミニ駅の形成過程と近代ローマ都市計画1850年から1950年のローマに求められた象徴性と機能性

YAZAKI Tetsuta

Formative process of the Station Termini and the modern urbanism of RomeThe role of symbol and function from 1850 to 1950

建築 

Architecture 

修士 

Master 

有原寿典メタホームH50 × W108 × D92cmH91 × W67 × D67cmH91 × W87 × D79cm…2木、色紙、プラスチック、ウレタン樹脂

ARIHARA Kazunori

<meta name="home">H50 × W108 × D92cmH91 × W67 × D67cmH91 × W87 × D79cm…2

 テルミニ駅の形成過程を軸に、ローマの近代都市骨格を読み解くことが本研

究の目的である。対象期間は教皇領末期から第二次世界大戦後のイタリア共和

国成立までの 100 年間であり、「教皇領」「イタリア王国」「ファシズム」の首都

を経て「イタリア共和国」のローマへと移り変わる時代となる。

 19 世紀の中頃に成立した中央駅をその原型とするテルミニ駅は、現在でも古

代から「中心部:centro」を形成する市壁内に位置する唯一の鉄道駅であり、時

の為政者の意図する象徴性を色濃く反映した。

 教皇領下の首都中央駅として S. ビアンキによって旧駅舎は設計され、併合さ

れたイタリア王国の都市計画の中で「取り込むべき存在」として周辺街区形成

が行われる。この都市操作は成功したといえ、旧駅舎は 1948 年まで改変を受け

つつも存続することとなる。

 市壁内の充填を目指した近代初期都市計画の後、ファシズム政権によって都

市は郊外拠点施設の整備に向かう。この郊外との連結のため「機能上の必要性」

を用いてファシズム政権は旧駅舎の改変を計画することとなった。1930 年代に

始まった現存ボリュームの大部分を占める新駅舎は、第二次大戦後のファサー

ド改変によりその姿は側面に見られるにとどまっている。このボリューム部分

は、ファシズム政権の建築家A. マッツォーニによるものであり、威圧的で巨大

な列柱を持つファサードが計画されていた。戦後のコンペにおいて、現在もそ

の形を残すファサードは、ファシズムのボリュームを覆い隠すように機能配置

が行われる。

 ローマが駅舎にどのような象徴性を必要とし、現在まで至るローマ都市計画

にどう影響したかを探った本論において、この都市が近代の百年間において前

の時代をどう扱い、継承と利用を行ってきたかという事例を見ることができた。

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建築 

Architecture 

修士 

Master 

井口由香梨shade BOX光をたどる設計手法への実験

H50 × W120 × D40cm木材、スチレンボード

IGUCHI Yukari

shade BOXtrace the light

H50 × W120 × D40cm

李 圭姫WidenH150 × W150cm

Lee Kyn Hee

WidenH150 × W150cm

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建築 

Architecture 

修士 

Master 

内田陽介詩人と小鳥の家H21 × W29.7 × D21cm…7点コンクリート、ラワンベニヤ、コピー用紙

UCHIDA Yosuke

A house of bard and birdH21×W29.7× D21cm…7Pieces

菓子麻奈美There is Golem.想像力を喚起させる空間

H1800 × W40 × D37.5cmH80 × W30 × D300cmGolem

KASHI Manami

Space;that affords our imaginationH1800 × W40 × D37.5cmH80 × W30 × D300cmGolem

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建築 

Architecture 

修士 

Master 

清水佐和断面荘H100 × W2700cmH100 × W2700cmH60 × W260cmH60 × W80cmスタイロ、木材、ジェッソ

SHIMIZU Sawa

House of SectionsH100 × W2700cmH100 × W2700cmH60 × W260cmH60 × W80cm

松原正佳変形と固定H70 × W70 × D70cm樹脂

MATSUBARA Masayoshi

deform,fixH70 × W70 × D70cm

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建築 

Architecture 

修士 

Master 

滝澤創也BIOMIMICRY STRUCTURE変化と安定

H92.5 × W27 × D22cmH92.5 × W50 × D22cmH92.5 × W43 × D22cmH92.5 × W40 × D22cmmixed media、木材、鉄、鉛、

TAKIZAWA Soya

BIOMIMICRY STRUCTUREchange and stability

H92.5 × W27 × D22cmH92.5 × W50 × D22cmH92.5 × W43 × D22cmH92.5 × W40 × D22cm

白井尚太郎Atoms fitH90 × W90 × D130cmH90 × W90 × D35cmH6 × W3 × D180cmガーゼ、紙、スタイロフォーム、樹脂、木、真鍮

SHIRAI Shotaro

Atoms fitH90 × W90 × D130cmH90 × W90 × D35cmH6 × W3 × D180cm

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建築 

Architecture 

修士 

Master 

松田和久GSAMP

MATSUDA Kazuhisa

GSAMP

ビアラクラウディアFORMLESS BASEN ON WEIGHT AND THE MICRO5点

BIALA Klaudia

FORMLESS BASEN ON WEIGHT AND THE MICRO5Pieces

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渡邉絵梨子近くの風景 遠くの食卓H135 × W115 × D115cmH90 × W15 × D15cm…6点H84.1 × W59.4cm…6点シナ、スチレンボード、紙

WATANABE Eriko

The scencery next door.H135 × W115 × D115cmH90 × W15 × D15cm…6PiecesH84.1 × W59.4cm…6Pieces

建築 

Architecture 

修士 

Master 

大井隆弘吉田五十八の住宅作品にみる線的部材とその意味に関する研究

OHI Takahiro

On Linear Elements and Its Meanings of Residential Works by Isoya YOSHIDA

 吉田五十八(1894 〜 1974)は日本の昭和期を代表する建築家である。日本芸

術院会館や岸信介邸をはじめとする多くの作品を手がけ、日本芸術院賞や文化

勲章を受賞している。また、東京美術学校卒業後、教員として多くの建築家を

育て、本学名誉教授も勤めた。今日、吉田は新興数寄屋の大家とされ、その作

品の評価は大壁(仕上材で柱等の線材を隠した壁)に集中している。

 本論は、吉田の住宅作品を対象として、固定化した吉田に対する評価を逆説

的に見直すものである。つまり、大壁採用による線材の減少を、その効果的使

用を目的とした背景と捉え、吉田を線材によって評価し直そうとするものであ

る。そこでまず、大壁の他、床や天井という面の連続性を獲得するために、線

材がどういった役割を果たしたのかを確認した上で、空間に現れた線材が発揮

した様々な効果を探っている。そして、最終的に線と面がどのように組み合わ

されたのかを考察した。

 こうした考察に先立っては、吉田五十八芸術復興財団の解散後、本学美術館

に寄贈された1万点を超える図面類の内、住宅に関する4千点の作品図面を整

理し、これを一次資料として扱った。また、吉田五十八に師事した板垣元彬氏

にインタヴューも行っている。

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建築 

Architecture 

修士 

Master 

齋藤雄介「『家』の履歴書」にみる転居パターンと土地 イメージに関する研究

SAITOH Yusuke

Relation between Pattern of Moving and Image of Site on "IE-NO-RIREKISHO"

 土地には一般的に共有されたイメージが存在している。イメージは実態と表

裏一体であり、転居とはそれを読み取る行為である。本稿では『週刊文春』の

連載である「『家』の履歴書」を用いて著名人の転居履歴を分析・考察した。

 一章では、分析のために著名人の人生に三つの画期を定義した。生まれてか

ら家を出るまでの「すねかじり期」、進学や就職などによって独立してから成功

するまでの「苦節期」、成功を収めた後の「成功期」である。

 二章では、各々の転居履歴から住居の記録を市区別に読み取り、人生の画期

と年代、家族構成に注目し各市区の性格および土地イメージを明らかにした。

 三章では、駅や地名ごとに土地の性格を分析した。まず、同一の駅から郊外

へ延びる中央線と小田急線が対比的な性格を持っていることを明らかにした。

次に、青山・赤坂・麻布・広尾の比較において、物理的境界の無い隣接地区間

で居住者の職業や国籍に違いが発生していることを確認した。

 四章では、各人の転居履歴から、面的な広がりをもった転居を行う「エリア型」、

路線に沿って直線的な転居行う「リニア型」、狭い範囲で集中した転居を行う「ス

ポット型」という転居を構成する基本三パターンを抽出した。みうらじゅんや

五木ひろしといった個別事例の分析からは、転居と土地イメージとの関係、また、

それに収まらない多様性が明らかになった。

 本稿では、定量的な分析と定性的な分析を同一の資料群について行い、集合

的な土地イメージと、それが転居先を決定付ける一つの要因となっていること

を明らかにした。また、その背景に隠れた個の多様性もまた重要であると本稿

を通して再確認できた。