「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか

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※ 「出前学習会」など、「 3.11 以後の日本の進路」パンフレットと合わせて活用する紙芝居形式の資材 (案) . 「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか. 1. はじめに.  なぜ、「社会保障と税の一体改革」が出されてきたのでしょうか?. 一体改革が出された理由. ①財政赤字の解消 ②社会保障の拡充. 日本の現状は?.  「構造改革」路線の結果  →貧困と格差拡大  → OECD30 カ国中   ・相対的貧困率 27 位   ・税による所得再分配効果     ワースト3位 ※ 「構造改革」 - PowerPoint PPT Presentation

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「社会保障と税の一体改革」で社会保障は本当に良くなるのでしょうか

※「出前学習会」など、「 3.11以後の日本の進路」パンフレットと合わせて活用する紙芝居形式の資材(案) 

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はじめに

 なぜ、「社会保障と税の一体改革」が出されてきたのでしょうか?

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一体改革が出された理由

①財政赤字の解消

②社会保障の拡充

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日本の現状は?  「構造改革」路線の結果 →貧困と格差拡大 →OECD30カ国中  ・相対的貧困率 27位  ・税による所得再分配効果    ワースト3位※「構造改革」 →市場に任せれば全て上手くいく、市場万能主義

4

相対的貧困率の年次推移

14.9

16.0

14.6

15.315.7

12

13

14

15

16

98年 01年 04年 07年 09年

貧困率

「 2010年国民生活基礎調査」より

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5

経済力は世界第3位社会保障は先進国最低水準

人口換算で 2000万人が貧困状態 年間所得 300万円世帯→ 32%に

厚労省「 2010年国民生活基礎調査」より

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財政赤字の本当の理由は?

1990年代以降の「小さな政府」(新自由主義「構造改革」)により、税収減に  →所得税は「グローバル化」理由にフラット化  →法人税は減税  →金融資産優遇税制

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財政・財源の本当の問題は?世界第 3 位の経済力を税収に反映せず、大企業が果たすべき社会保障責任を回避、一方で内部留保をため込む。

内部留保増は非正規雇用拡大と賃金低下 →賃金低下は、社会保険料収入低下に →医療保険財政悪化の最大の理由 

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一体改革の全体像 大企業減税 消費税増税  5%→10%以上 消費税の社会保障目的税

社会保障の給付削減 社会保障を自助・共助に

社会保障の市場化

 「一体改革の社会保障像」    ○ 自助(自分で何とかする)     ○ 共助(助け合う)    ○ 公助は救貧対策だけ

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社会保障の理念を変える一体改革 「社会保障」の理念にそぐわない →社会保障は「救貧対策」ではない →憲法 25条を保障するもの

政府のいう「充実」 →日本国憲法 25条「健康で文化的な最低限度の生活」とはほど遠い →病院や生活にもことかく状態の「救貧対策」に限る社会保障へ

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医療はどうなるの?

     国民の反対で、多くの 「重点化・効率化」項目が検討事項に

  

①受診時定額負担 ( 100円程度) △

②70 ~ 74 歳の窓口負担割合  1 割→ 2 割へ引き上げ 2013年度実施を検討

③かぜ薬や湿布薬などの患者負担増(全額自己負担も) △

④ 外来受診「適正化」・外来患者を5%減らす □

⑤入院日数の短縮 入院ベッド数削減 ○

⑥一般病床の食費・居住費の負担増 ?

⑦ 傷病手当金の上限額の設定 ?

○ → 2012年通常国会への法案提出に向けて検討

△ →引き続き検討

□ →政府資料に明記

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窓口負担がまた増える「受診時定額負担」 -1

「受診時定額負担」  →通院のたびに、窓口負担

+ 100円を上乗せ

100円はいずれ 500円、 1,000円へ値上げ?

通院回数の多い、慢性病の人、高齢者、乳幼児を直撃

経済的理由による受診手控えにつながる

 →病状がさらに悪化しかねない

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またもや高齢者差別による医療費削減

医療給付費 ( 年間)

総計 ▲約4100億円

  協会けんぽ   ▲ 800 億円

  健保組合   ▲ 700 億円

  共済組合   ▲ 200 億円

  市町村国保   ▲ 1300億円

  後期医療   ▲ 1000億円

1人当たり2,600円削減

1人当たり7,100円削減

受診時定額負担による医療費削減の試算

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70 ~ 74 歳の窓口負担の引き上げ 1 割負担据え置きの財源(国費 2,000億円) 1 割据え置きは、国民の反対と怒りの声をうけたもの 2 割負担にすれば →受診抑制に

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かぜ薬、しっぷ薬なども負担増に

かぜ薬や湿布薬の患者負担増 →薬局で、購入できる薬と類似する医薬品は保険から外し、全額自己負担

“ 混合診療”につながる?

軽い病気には思わぬ病気が →「早期発見、早期治療」の阻害

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高額療養費制度とは?  →慢性の病気、重い病気、長期の入院などで高額な医療費がかかる

時の負担軽減として、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制度

一体改革の高額療養費制度の改善案    ①年間上限額の設定    ②上限額の 1%条項の廃止    ③所得区分の細分化(3区分→ 5 区分)    ④低年収の世帯の負担上限額引き下げ  など

「受診時定額負担」の費用で高額療養費制度を改善する-1

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「受診時定額負担」の費用で高額療養費制度を改善する-2

「受診時定額負担」による公費削減分の範囲で高額療養費制度を改善

病気の患者から徴収高額療養費制度の改善は必要。国費の増額で実現を

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「財政中立」の手法 →社会保障を充実させるなど費用を増やす場合、社会保障のどこかを減らして工面する

 →公的負担は増やさない

 

例えば? 受診時定額負担と高額療養費

低所得者の国保料削減と  国保都道府県単位化による国保料引き上げ

低所得者の年金加算と  高所得者の年金削減

「受診時定額負担」の費用で高額療養費制度を改善する-3

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窓口負担増で受診を抑える

「受診時定額負担」などで、受診を抑えて医療費を削る 通院の患者数を機械的に5%削減する計画  →既に 22万 7 千人も減っている

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外来の受診延べ日数を1億日減らす

( ) 5%外来受診回数 年間 を 減らした場合

20.6億日

19.6億日

19

19.5

20

20.5

21

2010年 2025年

約 1 億日の削減

厚労省社保審医療保険部会より作成

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窓口負担がまた増える「受診時定額負担」 - 2

原則 3 割の窓口負担を減らして、経済的な心配なく、医療機関に受診できることこそ重要

健康保険法改定附則( 2002年)違反  → 将来にわたって7割の保険給付を維持する

事実上、風邪などの初期医療の保険免責政 → 2002年:財務省が医療制度改革時に「外来1回当たり 500円」を

提案 → 2005年:小泉政権時の経済財政諮問会議が「骨太の方針」に明記するよう求めたが、国民的運動で断念させた

  当面見送りとさせたが、火種は消えていない   

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そもそも、日本の窓口負担は高すぎる

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入院病床、入院患者数の削減案-1

入院病床総数    2011年 166万→ 2025年に 159万

内訳 (1)一般病床  2011年  107万→ 2025年 103万  <病床を区分>    ①高度急性期 (18万 )    ②一般急性期( 35万)    ③亜急性期・回復期リハ等( 26万ベット)

    ④地域一般病床( 24万ベット)  (2) 長期療養    2011年  23万→ 2025年 28万  (3) 精神病院    2011年 35万 → 27万

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入院病床、入院患者数の削減案 -2

入院日数を 6日短縮   2011年 30日 →  2025年 24日に

 ~特に一般急性期は~   2011年 13 ~ 14日→ 9日に

入院患者数を 4万人削減

 → 2011年 133万人→ 2025年129万人に

既に入院日数は短い →これ以上の短縮は、必要な医療を受けられない事態をまねきかねない

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医師や看護師を大病院の高度急性期へ集中

→他の入院患者、町の診療所など医師、看護師不足に

医師のマンパワーを削減

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一般病床の食費・居住費の負担増

居住費負担(高熱水費)の対象病床を広げる →入院前の住まいを維持したまま、二重負担に これまでの食材料費以外に、調理費も徴収 →入院中の食事は、治療の一部

区分療養病床に入院する

65 歳以上の方 ( 難病患者除く)左以外の方

( 一般病床など)

一般の方

( 食材料 調理費)  1食・460円(居住費)        1日 320円

1 食につき260円

市町村民税非課税の世帯等

( 食材料・料理費)  1食210円(居住費)        1日 320円

1 食につき210円

上記のうち、世帯全体が一定の所得以下

( 食材料・調理費)  1食130円(居住費)        1日 320円

1 食につき100円

2011年 10 月 9日社保審医療保険部会資料より

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傷病手当金の上限額の設定

健康保険の「傷病手当金」に上限額を設ける

「傷病手当金」とは? 病気やけがで会社を休み、十分な収入が受けられない場合に支給される健康保険制度(国保にはない)

一定期間 ( 最長で 1年半 ) 、およそ収入の 6 割が支給される

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介護予防の名で、軽度者への介護サービス削減

要支援1・2の人への家事援助やデイサービスを、市町村の判断で、安上がりのサービスに置き換える改定介護保険法が成立している ・小規模多機能「居宅介護」5万人→ 40万人に ・定期巡回訪問介護サービス 15万人へ

要介護認定者数を3%減らす 政府資料に明記

介護施設数 介護施設を抑制し、施設入所は重症者に(法案提出に向けて検討)

要支援1・2の人の利用料年収 320万円以上(もしくは 383万円以上)の人の利用料 

 1割→2割 (法案提出に向けて検討)

要介護1・2の人の施設利用料  引き上げ(法案提出に向けて検討)

資産を持つ低所得者の施設利用料  死後精算=リバースモケージ(引き続き検討)

ケアプラン作成 要支援者月 500円、要介護者月 1000円 (法案提出に向けて検討)

2~4人部屋の室料  月 8000円引き上げ(法案提出に向けて検討)

介護はどうなるの? 

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介護施設も削減 受け皿は在宅の医療と介護 -1

要介護認定者を3%削減  1日当たり利用者( 2025年)で換算すると・・・

   600万人→ 582万(約 18万人削減)

介護入所施設 →重度者にしぼり施設数を抑制 →居住系施設と、在宅介護の  大幅増

入院日数短縮+入院病床削減の“受け皿”は?

 →在宅へ

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介護施設も削減 受け皿は在宅の医療と介護 -2

医療と介護の受け皿 

 「地域包括ケアシステム」

 ① 24 時間 365日、日常生活圏で、医療、介護、予防、住まい、生活支援を切れ目なく提供

 ②医療と介護の一体的提供で、医療・介護ニーズの高い患者や、看取りも対応

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介護施設も削減 受け皿は在宅の医療と介護 -3

「地域包括ケアシステム」  ①「定期巡回・随時対応の訪問介護サービス」 →  15万人に拡大  ②「小規模多機能居宅介護」 →  5万人を 40万人に  小規模多機能居宅介護とは… 主に認知症の高齢者が、今までの人間関係、生活環境を維持できるよう、

通所を中心に訪問、   泊まりの3つのサービス形態を一体的に24時間切れ間な提供する

  ③介護施設不足を逆手に「サービス付高齢者住宅」の市場を拡大 など

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「定期巡回・随時サービス」(新設サービス) →業者に支払う報酬は定額制を予定  「定期巡回 随時対応型訪問介護看護」とは?・    重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間通じて、訪問介護と訪問看護を一体的、密接に連携しながら、定期巡回訪問と随時の対応を行う

 →十分なサービス対価なしに必要な介護・看護は困難 →十分な在宅医療・介護は確保できないおそれ

介護施設も削減 受け皿は在宅の医療と介護 - 4

国と自治体の公的責任を明確にし、入院医療体制、介護施設、医師や看護婦など、高齢者の生活全体を支える医療・介護サービスの構築が必要

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3232

介護保険制度の「改革」

介護保険料の総報酬制  →応能負担は目指すべきだが、いびつな保険料体系の見直しなしでは、単純な引きげに  →保険料負担増として直撃

介護保険料 (65 歳以上 ) は月平均 5000円超える 

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国保の都道府県単位運営化で医療はどうなる -1

市町村単位から、都道府県単位の運営に (国保の広域化)

 →国保財政赤字の改善というが・・・ 

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市町村一般会計から国保会計への繰入金をさせない計画 →保険料のさらなる値上げ →市町村独自の減

免制度も廃止 →保険料未納者への国保保険証の取り上げの強化に

34

国保の都道府県単位運営化で医療はどうなる -2

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広域化すれば国保の赤字は改善する?     ~大都市国保は赤字~

広域化の目的  →医療費(給付)と保険料(負担)が連動する民間保険原理での運営強化

国保会計の赤字の理由 →国庫負担の削減が原因

赤字の自治体を集めても改善しない

広域化している大都市の国保は赤字

国保制度の改善は、広域化ではなく国庫負担の抜本的な改善が不可欠

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既に都道府県単位化した協会けんぽ-保険料率の増加と格差の拡大

協会けんぽ →全国一律運営の政府管掌健康保険から、

都道府県単位に支部をおく「協会けんぽ」に再編( 08年から)

中小企業の多くが加入 →財政難

国庫補助率 → 2010年度に 13%→16.4%に引き上げられたが、平均保険料率は上がり続ける

 → 2012年の保険料率は10.2%!

2011年保険料率の格差  0.21 にもポイント   最大:  北海道・佐賀県→  9.6%   最小:  長野県     → 

9.39%   地域間格差の拡大で、医療のあり方が歪め

られる懸念あり

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被用者保険の現状は? 主な被用者保険の種類 ①協会けんぽ(中小企業) ②組合健保(大企業の従業員)   加入者平均年齢若く、平均所得も高い

 ③共済組合(公務員、私立学校教職員等)

組合ごとの財政運営 →所得が同額でも、加入する健保ごとに保険料が異なる

組合健保や共済組合には、協会けんぽにはない、窓口負担の上限額などがある

保険者間による保険料や給付の格差も拡大

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3838

「後期高齢者医療制度」は廃止でなく看板のかけかえ

民主党→「後期高齢者医療制度」の廃止などを訴え政権交代

高齢者医療「新制度」の案  →制度の名前を変えるだけ  →医療費が増えれば、保険料は自動的に上がる一番の問題点を残す

保険料は、今後も上がり続ける!

老人福祉法の基本理念をふまえ、公的年金支給の 65歳以上の医療を保障する社会保障としての高齢者医療制度に!

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「共通番号制」って何?   →巨大な「ネットワーク・データベースシステム」(情報連携基盤)を作り、社会保障分野(医療・介護・年金・障害・保育)と、税分野で、国民一人一人の番号を付番

   →番号は、国や自治体が各情報を付き合わせて、一元管理するしくみ

   →番号利用は、 2018年を目処に情報範囲の拡大も検討される

導入目的「政府」 →国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図り、国民が

安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与すること。 →つまりインフラ整備を行うということ

「共通番号制」は何のため?

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40

共通番号制で何が変わる? 社会保障の給付(社会保障サービス等)と負担 ( 保険料・税)を個人管理  →負担した額しか社会保障サービスが受けられなくなる=社会保障といえない

  →アメリカのような民間保険医療に近づく! 社会保障、医療の市場化

国民全員にICカード  → 2014年 6 月に全国民に「 」、 法人等に「法人番号」を半年マイナンバーかけて連絡(郵送予定)

  → 2015年 1 月以降 可能な範囲で「 」利用開始マイナンバー    個人ICカードは、申請にもとづき作成予定  →健康保険証は、当面これまで通り利用予定。いずれICカードが保険証に

  →窓口や税務申請等で「マイナンバー」番号提示を求められていく

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共通番号制導入までのスケジュール

2012年

2013年 2014年

2015年~

2018年

範囲拡大を含めた番号法の見直し

第三者機関の設置

「マイナンバー法案」「マイナンバー方整備法案」審議成立?

番号法案提出

全国リレーシンポ

付番 番号の利用開始

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共通番号制の具体的な問題点 - 1 プライバシー流出、営利企業による番号利用 →個人情報保護のための「第三者機関」は、国に1つだけ。

  役割は、情報を保有する自治体などへの助言・承認など。

  個別の情報漏洩にどれだけ対応できるか疑問。 →番号制を導入する国で多発する「なりすまし」被害。

導入時にかかる初期の費用は6000億円以上  → 制度維持にはさらに費用がかかる

番号は国民全員に強制的につけられる  →病名や、病歴などの個人情報を国がにぎる

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共通番号制の具体的な問題点 - 2 「総合合算制度」導入の前提となっているが・・   →各制度番号は当面個別管理されるため、実現は先

政府が想定する「正確な所得把握」は不可能  →個人の買い物全てに「マイナンバー」を示すことは不可能。  →海外での取引を共通番号で把握できないためので、正確な所得把握は不可能

  「マイナンバー」がないと、各種サービスが受けられなくなる可能性。住所不定者などに番号が届かない

  →全国民への社会保障給付が保障されなくなる

Page 44: 「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか

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「共通番号制」の本当の真のねらいは?

本当の狙い →社会保障制度の給付の削減 →「社会保障個人会計」の導入のための試行 →長期疾病、難病患者さんなどが、負担に比べて給付が多いとの理由で、社会保障から排除されかねない

「共通番号制」創設を求めたのは財界

生存権保障としての社会保障理念を変質させるもの

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総合合算制度とは?以下の 2 点について「低所得者」世帯の自己負担に上限を設ける制度案①同一世帯家族の年収総額や納税額、保険料納付額②医療、介護、保育、障害に関する自己負担の総額、

所得に応じた一定の上限額を超えた分を公費でまかなう。

 「共通番号」を用いて一元管理する前提。

Page 46: 「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか

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①医療扶助に自己負担導入 (△ 引き続き検討 )

 →受給者の 8割は医療扶助を利用。経済的理由で治療から遠ざかる

     

生活保護世帯にも負担増 -1

Page 47: 「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか

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②基礎年金との整合性を理由にした、生活保護費の引き下げ

③保護期間の有期化→決められた期間内で働かない時は保護打ち切り

  (△ 引き続き検討 )

47

生活保護世帯にも負担増 -2

一体改革案の「貧困・低所得者対策」を実行あるものにするには、制限でなく、自立に向かえるような制度に抜本的な拡充が必要

Page 48: 「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか

4848

年金の支給年齢引上げ 厚生年金 ①支給開始年齢そのものを   68 歳~ 70 歳へ (△引き続き検討)

   →  1 歳先延ばしで 5000 億円公費削減

 ②物価、賃金下落以上の引下げ(△引き続き検討)

 ③過去の物価下落時に反映させなかったとして、現在の受給者の年金を 2.5%削減 (○  2012年法案提出)

Page 49: 「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか

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      保育制度 「子ども・子育て新システム」 ( 介護度認定の保育版 )

 →保護者の責任で保育施設を探して契約する →市町村は子どもの“保育の必要度”を認定し、必要度に応じて保育サービスの費用の一部を支給するだけ

保育料は保育時間に応じて支払われ、“保育の必要度”を超える部分は全額自己負担に(○ 2012年 法案提出)

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5050

一体改革の税制改革 -1

①消費税増税と目的税化

②法人税減税

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 消費税増税と目的税化  -1

社会保障費(公費負担分)と消費税を連動させる

   →際限なく増税可能な仕組み

2015年度までに税率引き上げ  →5%を 10% へ引き上げ

当面、「社会保障4経費」(年金、医療、介護、子育て)へ消費税を全額投入

  →不足すれば消費税引き上げ

将来、社会保障費に係わる公費負担全額を消費税でまかなう 

   消費税率  2015年→  18%           2025年→  20%

Page 52: 「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか

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  消費税増税と目的税化 -2

消費税を目的税化しても、税率を上げても社会保障財源はふえない

Page 53: 「社会保障と税の一体改革」で 社会保障は本当に良くなるのでしょうか

5353

 消費税増税と目的税化 -3    ~社会保障目的税化は何をもたらすか?~

引き上げられる5%分の使い道

・消費税引き上げに伴う社会保障支出増 → 機能強化 × 1%相当

・制度改革に伴う増 →  機能強化 △ 1%相当

・社会保障の自然増 → 機能強化 × 1%相当

・年金の国庫負担引き上げ分 →  機能強化 × 1%相当

・機能維持 (介護や福祉の借金穴埋め) → 機能強化 × 1%相当

 消費税に頼らざるを得ない税収構造へ 税制の空洞化、景気回復しても税収が増えない悪循環に 上がり続ける、消費税率 社会保障財源は増えないので、増税されても、社会保障は充実しない

消費税を引き上げても、社会保障は充実しない

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消費税増税と目的税化 -4  ~そもそも消費税は社会保障に使われてきたのか?~

法人税の減税に使われてきた消費税

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消費税増税と目的税化 -5

他国と比べ税率は低いが、国税に占める割合は大差なし

外国は食糧などの生活必需品は消費税免除

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「給付付き税額控除」で低所得者負担できる?

政府は  「低所得者に対して(中略)  給付付き税額控除の導入に  向け検討を進める」   ( 12年 1/6 政府一体改革素案)

「給付付き税額控除」は、格差社会化、  貧困対策の一手段にすぎない

実際に「勤労所得税額控除」で導入しているアメリカでは・・・ → 払いすぎや、不正な受給が全体の 23 ~ 28%も → 受給資格のある人の4分の1人が、申請していない

   同じ問題が、日本でも起こりかねない

「給付付き税額控除」とは?

◆税制を活用した、社会保障政策の一環としての社会保障給付。◆社会保障給付と税額控除が一体化した仕組み。◆消費税増税と、「共通番号制導入」が前提

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1997年橋本内閣  ・消費税 3%→5%  ・サラリーマン本人窓口負担2割引上げ →日本のGDP マイナス2 % に

消費税増税で財政危機は悪化へ

消費税増税と社会保障の抑制・削減は

 ①国民の安心と生活を壊し

 ②内需を冷え込ませ

 ③経済も悪化させる

  再び繰り返してはならない危険な道!!

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財政赤字の主な理由は税収減一体改革の必要性は赤字財政の改善→赤字の理由を「社会保障」に押しつける

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1 億円を境に減る所得税率

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GDPに占める主な税目割合

経済力に対応しない歪んだ税収構造を放置→これで「消費税増税」以外に道はない!?

GDPに占める主な税目割合

4.1

5.8

1.01.4

2.72.1

01234567

法人税 所得税 消費税

%1990年

452(DGP 兆円)2009年

474(DGP 兆円)

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企業の利益が伸びても法人税負担は伸びない構造企業の利益が伸びても法人税負担は伸びない構造                   【国税庁「税務統計から見た法人企業の実態」】 【国税庁「税務統計から見た法人企業の実態」】

  37.5%     ⇒ (法人税率)         30%へ    (更に優遇税制もあり)         

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  法人税減税は本当に必要? -1

大企業には、グローバル化を口実に法人税率引き下げ → 1990年代以降応分の負担していない(内部留保増加)

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大企業が海外進出する理由 →法人税の高さではない

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  法人税減税は本当に必要? -2

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一般会計税収は 60兆から 38兆へ

GDP(国内総生産)はほぼ変改なしでも税収は 35%も減っている!

   →DGP    1990年  452兆円 → 2009年  474兆円  

   →歳出に占める一般会計税収割合            1990年  86.8%  →  2009年 38.4%

   →税収額   1990年  60.1兆円 →  2009年 38.7兆円 税制が減った最大の理由は、法人税率  40%→30% 現在の財政赤字の責任を社会保障に押しつけ

雇用改善による、内需拡大が景気回復の道

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財源をどうするか -1 赤字財源の原因、財政・財源の真の問題

 →グローバル化を理由にした、法人税減税、金融資産の優遇税制などによる税収減

 →世界第3位の日本の経済力が税収に反映していない

 →大企業が果たすべき税・社会保障に対する責任回避 

大企業と富裕層に応分の負担を

社会保険料事業主負担及び法人所得課税収が国民所得に氏得る割合

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財源をどうするか -2

政府税制調査会→大企業の優遇税制の廃止・縮減で最大で 4兆5千億円捻出可

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財源をどうするか - 2

後発品のない先発品(約 6兆円)の薬価を、一律2割引き下げるだけでも、1兆円以上の財源捻出に

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社会保険への支出、日本少な社会保険への支出、日本少ないい (GDP(GDP比)比)

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日本、公費、事業主負担が少ない

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一体改革案に異議あり 一体改革案は、消費税の増税、法人税減税と、社会保障の給付抑制を狙うもの

国民の安心と生活を破壊し、内需を冷え込ませ「経済も財政も悪化させる危険な道」

大企業と富裕層は、税・社会保障の責任から逃げず、社会保障財源は、応能原則による法人税、所得税、社会保険料を主とすべき

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その他

TPP参加による医療への影響

TPPってなに? →環太平洋連携協定( Trans-Pacific   Partnership)の略称。TPPは、EPA(経済連携協定)を、アメリカ中心にした環太平洋諸国全体で行おうとするもの。

 →TPPとは、すべての貿易品目の関税撤廃を行うだけでなく、サービスや人の移動に関する各国の規制(非関税障壁)も、自由化する貿易協定

   ※公的医療保険制度も非関税障壁とされ、規制漢和の対象に 

EPA(経済連携協定)FTAを柱に、ヒト、モノ、カネ、の移動など、全ての分野の関税を

例外なく撤廃する協定FTA(自由貿易協定)特定の国や地域間で、物の関税やサービス貿易の障壁などを、削減・撤廃する協定

・人的交流の拡大・投資規制撤廃・知的財産の保護

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TPP交渉参加・協議の流れ

日本がTPP交渉に参加するには、現在の交渉参加9カ国すべての同意が必要

このうちアメリカは議会の承認が必要。

アメリカ政府は、新規交渉参加国との交渉開始の少なくとも 90日前までに、議会に交渉開始を通知しなければならない

【 TPP参加・事前協議の流れ】

    日本政府      ↓事前協議 米国政府・議会の事前協議      ↓     米国議会の同意・承認手続き      ↓最低でも 90日間   TPP交渉に正式参加  ( 交渉参加9カ国の同意・承認が必要 )      ↓  TPP交渉の最終合意      ↓ 2012年中  参加国が批准の手続き      ↓          TPP発効

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日本の関税率はすでに低い菅前首相は、「第3の開国が必要だ」とTPP参加を推進→日本の関税は、 3.3%。

全品目でアメリカ、EU、韓国より既に定率

TPPに参加した場合の食糧自給率(農林水産省試算)  40%(現在)→ 13 % へ東日本大震災の被害を受けた東北は、日本の農業の中心地。TPPに参加すれば被災費の農業は壊滅しかねない。

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誰のためのTPP参加推進?財界とアメリカのため 大企業 →関税を上乗せすることなく、多くの製品を輸出・販売し、利益の最大化を狙う

 アメリカ →さらなる日本の市場拡大を狙う

GDPでみると、日本と米国のFTA ( 自由貿易協定)に

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公的医療保険もTPPの対象になるの?

~政府説明の変化~ 「TPP協定交渉の分野別状況」( 2011年 10 月公表政府説明資料)

 →「米豪・米韓 FTAのように、医薬品分野に規定が置かれる可能性はある」

曖昧な政府の説明(同年 11 月 7日) →公的医療保険制度については、「議論の対象となっていない模様」

 ところが・・・・ 11月9日の外務省追加説明資料 →「混合診療の全面解禁が TPPで議論される可能性は排除されない」

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公的医医療保険制度があるのは日本だけ アメリカは、国民皆保険制度はなく基本的に民間医療保険の国。無保険者が 4600万人以上存在

オーストラリアは税方式の医療保障と民間医療保険を併用する医療制度で、ニュージーランドは株式会社病院が多数開設され、民間医療保険も活用されている。両国とも公立病院の待機患者が多いことが問題

シンガポールは公的医療保険制度がない。入院費や医療保険費として引き出すだめの強制貯蓄制度や高額医療費に備える民間医療保険が中心

民間医療保険と競合するとして、日本の公的医療保険制度が市場開放のTPP議論の対象になるのは必至

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TPPと前提・条件が似ている米韓・米豪FTAでは?

   アメリカは医薬品や医療機器の価格制限の撤廃を要求 米韓 FTA( 2012年1月発効予定)  ①米国企業の医薬品の独占的特許を認め、特許期間を実質的に延長し高薬価を維持する  ②韓国政府の薬価の決め方に米国企業が不服がある場合、見直しを申請できる独立機関の設置―などで合意。特区での米国企業による営利病院の開設も許可した

   韓国の酪農学園大学食品流通学科・柳京熙・・・ ( ゆうきょんひ ) 准教授    ISD「国家と投資家間の紛争解決手続き」条項について、「もし韓国政府が国民健康保険を強化する政策を取った場合、保険会社は直ちに民間医療保険市場の縮小を盾に、韓国政府に対し、損害賠償請求をおこすことが可能となった」と指摘

米豪 FTA(既に発効)  ①米国が革新的医薬品の評価を要求し、オーストラリアの医薬品給付制度に変更が加えられた。

米韓・米豪 FTAと同様の規定を TPP交渉参加国にも要求する可能性は高い

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長年、日本の病院営利化を求めてきたアメリカ

 日本の医療保険制度の規制緩和・市場開放はアメリカの長年の要求

アメリカ通商代表部 は、保険が利かない医療を含む包括的な医療サービス提供などを強く求めている

  ▽営利病院運営の認可  ▽混合診療の全面解禁  ▽医薬品の「参照価格制」、

医療が一つの「商品」になり、患者さんの財力による医療格差が広がりかねない

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TPP参加は、名ばかりの国民皆保険への道

公的医療保険が市場開放の対象になれば、 「誰でも」「いつでも」「どこでも」受けられる日本の優れた国民皆保険の崩壊につながる

たとえ、「公的保険」の名前が残っても、保険給付の範囲が狭くなり、お金がないと十分な医療が受けられない制度に変質しかねない

誰もが平等に受けられる医療を守るため、TPP参加を断念させよう

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国のあり方そのものを変えかねない大きな問題

国内法よりTPPが優先される →例えば、外国投資家が、市場開放によって営利企業による病院運営の権利を得た場合、医療に悪影響を及ぼしていても取り消せないことに

国民が国のあり方や基本政策を決めることができなくなる

日本社会の枠組みに広範な影響を与える可能性が極めて高い重大な問題

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(参考)TPP参加に関する資料 -1

1、米国通商代表部の対日要求 

①カーク米国通商代表部代表の発言 ( 「日経新聞」 10 月 27日付 )

「『アメリカは雇用や成長などのために TPPを必要としている』と述べ、 FTA(自由貿易協定 ) より高いレベルの協定をめざす姿勢を改めて打ち出した」

②「 2011年外国貿易障壁報告書」・医療サービス市場への外国アクセスの制限撤廃・外国事業者を含む営利企業による営利病院運営・ ( 保険が利かない医療を含む ) 包括的な医療サービス提供・試行的に導入された「新薬創出加算」の恒久化・共済は、民間保険会社と同じ規制・監督に服する

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TPP参加に関する資料 -2

2、米韓 FTAの医療・共済にかかわる規定 医薬品、医療機器の承認、価格、診療報酬の決定は、市場競争価格に基づく

医薬品、医療機器の価格、診療報酬にかかわる政府の決定について、申請者の要請に基づき、レビューする機関 ( 医薬品・医療機器委員会 ) を設置

医薬品の後発開発者が市販許可をえる場合、特許権の侵害を防止するために必要な措置を当局が行う

協同組合が行う共済事業を、同種の民間保険より優遇しない

投資企業・個人が、国際機関に相手国政府を提訴できる

  (韓国・酪農学園大学食品流通学科の柳京熙 ( ゆう きょんひ ) 准教授の報告等から作成)

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TPP参加に関する資料 -33、 TPP・ FTA 関連の条項・規定①ISDS (「国家と投資家の間の紛争解決手続き」 ) 条

項自由貿易協定で、投資先の国の政策で不利益を被ったと企業・投資家が判断すれば提訴できる。世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターなどが仲裁機関に指定されている。

審理は非公開で、不服があっても上訴すねことはできない。政府だけでなく地方自治体が行う規制も訴訟の対象になる

②ラチェット条項一度、規制緩和=市場開放で自由化した分野は、何があっても元に戻せない