ツタグライベント#01 石田先生セッション資料

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石田秀輝 Emile H. Ishida 生まれ: 岡山 1953.01.01 経歴: 大学では応用鉱物学を専攻、その後、㈱INAX(現LIXIL)で25年間、主 に研究開発を担当(取締役CTO) 技術戦略会議・環境戦略会議兼任議長 研究; 2004.09. 東北大学大学院環境科学研究科 着任 研究フィールドは主に、ネイチャー・テクノロジー創出システムに必要なテクノロ ジーとライフスタイル研究、技術倫理 (工学と経済の2研究室を運営) 現職; 東北大学教授、SEMSaT (Graduate course in Strategic Environmental Management and Sustainable Technology solutions環境政策技術マネジメントコース) 研究代表(兼任) アメリカセラミクス学会フェロー、 ネイチャーテクノロジー研究会代表、サステーナブル・ ソリューションズ代表、アースウォッチジャパン理事、ものつくり生命文明機構理事ほか 業績; 学術論文200報、特許90件、総説など130報 著書24冊 学術賞など14件 趣味; 紀元前後の遺跡探訪、昔を想い酒を飲むこと、 アウトドアライフ、 料理 屋号は「酔庵」(現在酔庵I-IV、IIIは沖永良部島) 近著『自然に学ぶ!ネイチャー・テクノロジ-Gakken Mook 2011『君が大人になるころに』日刊工業新聞2010 “Channeling the forces of Nature” Tohoku Univ. Press 2010『地球が教え る奇跡の技術』祥伝社2010 自然に学ぶ粋なテクノロジー』 化学同人2009 2010

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石田秀輝 Emile H. Ishida

生まれ: 岡山 1953.01.01

経歴: 大学では応用鉱物学を専攻、その後、㈱INAX(現LIXIL)で25年間、主

に研究開発を担当(取締役CTO) 技術戦略会議・環境戦略会議兼任議長

研究; 2004.09. 東北大学大学院環境科学研究科 着任

研究フィールドは主に、ネイチャー・テクノロジー創出システムに必要なテクノロ

ジーとライフスタイル研究、技術倫理 (工学と経済の2研究室を運営)

現職; 東北大学教授、SEMSaT (Graduate course in Strategic Environmental Management and

Sustainable Technology solutions環境政策技術マネジメントコース) 研究代表(兼任)

アメリカセラミクス学会フェロー、 ネイチャーテクノロジー研究会代表、サステーナブル・

ソリューションズ代表、アースウォッチジャパン理事、ものつくり生命文明機構理事ほか

業績; 学術論文200報、特許90件、総説など130報 著書24冊 学術賞など14件

趣味; 紀元前後の遺跡探訪、昔を想い酒を飲むこと、 アウトドアライフ、 料理

屋号は「酔庵」(現在酔庵I-IV、IIIは沖永良部島)

近著『自然に学ぶ!ネイチャー・テクノロジ-』Gakken Mook

2011『君が大人になるころに』日刊工業新聞2010 “Channeling the forces of Nature” Tohoku Univ. Press 2010『地球が教える奇跡の技術』祥伝社2010 『自然に学ぶ粋なテクノロジー』化学同人2009

2010

2011.09.28 日本を変えるインフォグラフィックス

バックキャストで見る新しい暮らしのかたち

自然に学ぶ粋な暮らしとものつくり

地球環境を考えることは心豊かに暮らすことなのです

東北大学大学院環境科学研究科

石田 秀輝

Tohoku Univ. Graduate School of Environmental Studies

Emile H. Ishida

Graduate School of Environmental StudiesTohoku University

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

エネルギー

資源

食料

人口

気候変動

生物多様性

人間活動の肥大化

人にとっての地球環境問題とは?

このままでは2030年ころリスクは限界に達する・・・・・

人間活動の肥大化を如何に停止・縮小できるか?心豊かに暮らすことを担保しながら・・・それが今問われているのである

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

人にとっての地球環境問題とは何か?地球環境問題とは何か、それは際限のない人間活動の肥大化が生

み出した、エネルギーや資源の枯渇、生物多様性の劣化、水や食料

の分配、急激な人口増加、地球温暖化に代表される気候変動のリス

クである。そしてこのままでは2030年頃我々は文明崩壊の引き金

を引くかも知れないのである。

今我々が考えなければならないこと、それは、この際限のない人

間活動の肥大化を如何に停止・縮小できるかという事、まさに今回

の大震災の試練を乗り越える術なのである。そのためには、ライフ

スタイルを変えなければならない。それは決して我慢することでは

無い、心豊かに暮らしながら人間活動の肥大化を停止縮小させるた

めの知恵を今こそ結集する必要がある。

人間活動の肥大化を如何に停止・縮小できるか?心豊かに暮らすことを担保しながら・・・それが今問われているのである

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

冷暖房装置付き洗濯機10年前に比べ40%節電エアコン

エコ+快適生ごみ処理機

ハイブリッドカー

大量のエコ商品が市場に投入されている・・・・

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

生活者の環境意識は高いレベルにある・・・

Q1 ■環境問題についてお伺いします。あなたは環境問題に関心がありますか。(回答は1つ)【表側】セル割り

25.3

20.4

25.8

63.7

68.0

63.3

9.2

10.7

9.1

1.7

1.0

1.8

非常に関心がある まあまあ関心がある あまり関心がない 全く関心がない

TOTAL(n=1227)

東北(n=103)

京浜(n=1124)

(%)

N=1227 (2008年 高度環境政策技術マネジメント人材養成ユニット調査)

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

産業部門

業務その他部門

家庭部門

運輸部門

年度

家庭におけるCO2排出量

90

100

110

120

130

140

150

1990 1995 2000 2005 2010

基準年

2015 2020

厳しい環境制約

多くの人が環境問題に関心を持ち、省エネ技術が向上してもCO2排出量は増加傾向

将来、厳しい環境制約により存在できなくなるものやライフスタイルが出てくることが予想される、

2025 2030

日本の部門別 二酸化炭素排出量の推移 (独)国立環境研究所日本の温室効果ガス排出量データ より作成

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

あらゆるものがエコに・・・・

生活者の意識も・・・・

では、家庭のエネルギー消費は下がったか・・・・

エコ・ジレンマ

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

エコテクノロジーは市場に投入されている 生活者の環境意識も高い

環境劣化は加速する

エコ商材が消費の免罪符になっている??

エアコンは複数台に、テレビは大型に、車の走行距離は増え・・・

テクノロジーをどのように使えばよいのかを知らない??

テクノロジーは人間のニーズではなくテクノロジーのニーズによって進化してきた

今、テクノロジーの価値観の変化が求められている

エコ・ジレンマ

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

エコ・ジレンマを考える

多くのエコテクノロジーが市場に投入され、例えば冷蔵庫はこの15年で80%、エアコンは40%も効率が上がった、90%近いも生活者も高い環境意識を持っている。

では、環境劣化は停止したか、残念ながら現実は理想とは大きく乖離し劣化はますます加速している。(エコ・ジレンマ)

それは、(古くはジェボンズが証明したように、)エコ・テクノロジーが消費の免罪符となっているからである。

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

forecasting :社会の色々なニーズ

現在 将来

日本 アメリカ世界の人達が日本人と同じ生活をすれば、地球が2.3個必要

アメリカ人と同じ生活をすれば地球が4.5個必要

2.3

4.5

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

SustainablePath

© 2004 openhouse. Inc.

by Natural Step

back casting現在 将来

日本 アメリカ

一つしか無い地球で、どうやって心豊かに暮らせるのか、バックキャスティングで考えなくては解は見いだせない

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

入浴を考える

2030年の世帯数 4900万世帯 (現在5000万世帯)浴槽 300リットル

20℃から40℃に水を温める

2030年これだけの水もエネルギーも供給は不可能・・・・

入浴回数を減らすシャワーにする

身体を拭くだけにする近くの川へ水浴びに行く

銭湯へ出掛ける

フォアキャスト思考

バックキャスト思考では毎日風呂に入る…

水のいらないお風呂

フォアキャスト思考バックキャスト思考

制約*有限な地球環境

豊かな暮らし

人の欲

地球環境問題 豊かな暮らし

エコ商材エコ・ジレンマ

努力すればするほど劣化する地球環境(エコ・ジレンマ)

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

テクノロジーや暮らし方の価値観を変えることなく未来を予測

良質な「箍」をはめて未来を予測

2030年の制約因子の中で心豊かに暮らせる生活のシーンを考える

2030年に必要なテクノロジーを自然の循環の中から見つけ出す

地球に最も負荷のかからないテクノロジーとしてリ・デザインする

暮らしのシーンを構成するテクノロジー要素を抽出

ネイチャー・テクノロジー創出システム

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

持続可能な暮らしに必要なあたらしいものつくりのかたち

We can learn from the Edo era but we can’t go back

Human beings are the only species

having the irreversible value of life

<人間だけが持っている生活価値の不可逆性を認めなければならない>

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

2030年の制約因子

人口

食料水

エネルギー

資源

生物多様性

気候変動

五感

人の欲

物欲

承認

受容 自尊心

向上心

競争

支配・名声

防衛

逃避

所属安全

開放

刺激

探求

援助

逃避

現状維持

虚栄

依存

所属

地元での暮らしを大切にし、分け合うようになります

家で作れるものは家で作るようになります

自然をもっと意識した暮らしになります

地産地消1‐2‐3次産業

ご近所市

残り物回収サービス

家庭農場

手動製品

修理

雨水

匂い

バックキャスティングで2030年を考える

時々思い切って贅沢をします

「もの」はなるべく持たないようにします

知恵や、教養が価値をつくります

健康であることが大切にされます

お金をかけずに生活を楽しみます

<未発表 電通2030ー石田研PJ>

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

どうやってつくる?

あたらしいものつくり、暮らしかたのかたち

持続可能な社会とは、地球(循環型社会)と人(欲望)のことを考えたものつくり・暮らし方のかたち。

人には生活価値の不可逆性という欲のかたちがある、2030年の厳しい環境制約の中で、これを認めることで描くことのできる新しい暮らしのかたち(ライフスタイル)、その中に必要なテクノロジーを完璧な循環を最も小さなエネルギーで駆動する自然の中に捜しに行く、そして生まれたのが、自然のすごさを賢く活かすネイチャーテクノロジー。

(今までの様にまずテクノロジーありきで、これを使うためにライフスタイルをつくれば、発散型、エコ・ジレンマを起こす)

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

<バックキャステイングの手法で生み出された50のライフスタイル 一部、タイトルのみ>ライフスタイル50No.1 太陽に合わせて、人間も街も動いています。(人中心の暮らしから自然中心の暮らしへ変化)No.2 世界で一番、色の多い国になっています。(染めの趣味化、色・言葉の多様化、物へ波及)No.3 歩行者中心に考えたら、道がくねくねし始めました。(歩行者中心の街づくりが人と自然を近づける)No.4 全国の街道が、東海道五十三次をお手本にしています。(歩行への移行が新しい街を栄えさせ、小さな移動体が人や物を運ぶ)No.5 公園が、テーマパーク化しています。(自動車道路の代わりに自然を肌で感じる公園などが増える)No.6 人々は庭で暮らしています。(庭が団らんの場所、室内・地下は風雨をしのぐ場所に)No.7 ベランダに薬局があります。(日用品を楽しく育てる暮らしに)No.8 「土ミシュラン」が、過疎をなくしています。(住むところの土の質が大事になる)No.9 普通の家庭に、料理の鉄人がたくさんいます。(料理の種類を競う暮らしに)No.10 アラブのスークのような市場が大盛況です。(量り売りが見て楽しめる市場になる)

・・ Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

Social Receptivity (questionnaire against1000 Japanese persons)

Hope 望む

Want 非常に望む

Slightly hope やや望む

Higher Social Receptivity

50のライフスタイルの社会受容性調査結果(16%が70%を超える高い社会受容性を示す、これ

は、フォアキャストでは見えないライフスタイルがパラレルワールドの様に我々のすぐ横にあることを示す)

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

50のライフスタイル クラスター分析 (未発表)(社会受容性調査から、潜在的に4つの強い欲求があることが明らかに)

Cluster Analysis from 50 Life Styles (to be announced )

25

Nature 自然Pleasure 楽しみHarmonized with community

社会と一体 → People want muchPersonal growth 自分成長 求められている

Unsatisfied 不便性 → People can accept受容できる

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

昔、味噌や醤油を借りにお隣さんへ出掛けたように、今日はちょっと電気を借りよう、しばらく出かけるから家の電気使ってよ・・・その繰り返しがコミュニティーの絆を強くする

共用電池

家庭農場

トンボ型風力発電機

光導波照明

地熱冷暖房

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

車のいらない街に必要な移動媒体とは?

トンボ型風力発電機

太陽熱・太陽光発電機

エネルギー販売所(自分でつくった電気を売ることも買う事も出来ます)

発電機付き電動アシスト自転車

一人乗り電動パッケージカー(家族で出かけるときには連結できます)

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

夢をかたちにするのが、私たちの仕事です

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

トランス+ネイチャー・テクノロジーは豊かなライフスタイルを持った街を生み出します

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.

水の要らないお風呂あわ

つち

かたつむり 汚れがつきにくく取れやすい表面

無電源空調機

とんぼ微風でも発電可能な風力発電機

家庭農場

微生物の多様性

ネイチャー・テクノロジー

Emile H. Ishida, Tohoku Univ.