2009-III cis卒業論文「投資で世直し!社会的責任投資」pp.publish2012ver
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投資で世直し! SRI:社会的責任投資
正式タイトル:社会的責任投資の世界的潮流と日本の政策
筑波大学国際総合学類4年 山本泰弘
200611179
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プロローグ
• 僕の卒論テーマは「投資」です。
みなさんが銀行に預けたお金は、ただそこで保管されるわけではなく、銀行が選んだ投資先に貸し出されて(投資)いきます。
無数の人々からお金を集めて企業に流す銀行などの金融機関は、世界の経済を動かす存在といってもいいでしょう。
多くの人にとっては金融機関に託したお金の流れはブラックボックス。この見えない世界で、実は世紀をまたいだ大転換が進んでいたのです...。
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Aパート.むしばまれる世界
• 20世紀末、世界のお金の流れを取り仕切る巨大金融機関(○○銀行、△△証券、□□保険etc.)は、悪のウィルスにむしばまれつつあった!
• そのウィルスに感染した金融機関は、 “ワレワレがカネをもうけるためなら、 世界の経済や環境、社会を混沌におとしいれても かまわないぜヒャッハー°∀°” という思考に染まってしまうのだ!
• その結果優秀な頭脳を持つ社員たちは... 3
Aパート.むしばまれる世界
• “ボス!軍が買ってくれるので武器を造る企業にカネを貸せばもうかりますよ!” →“よろしい ならば投資だ”
実例:日本のメガバンクが「クラスター爆弾」を製造する企業に融資していた
アメリカの銀行が「ナパーム弾」を製造する企業に融資していた
• “ボス!環境保全のルールが甘い国でダムを造ればコストが浮いてもうかりますよ!” →“よろしい ならば投資だ”
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Aパート.むしばまれる世界
• “ボス!これからはマネーゲームの時代です。市場に混乱を生み出して利益を稼ぎましょう。” →“よろしい ならば投資だ”
実例:1997年~、ゲーム的取引の影響でアジア経済が大混乱
早大の投資サークルが違法な市場操作で検挙される
• “ボス!社員を大切にする会社より、社員をこき使う会社のほうがもうけを出していますよ!” →“よろしい ならば投資だ”
実例:日本での正社員→非正規雇用への置き換え、派遣切り
少ない人数に過大な仕事をさせる・・・“ブラック会社” 5
Aパート.むしばまれる世界
• “ワレワレがカネさえもうけられればいい”ウィルス =「株主利益至上主義」 グローバル化が進んだ1990-2000年代に流行
↓
“会社(事業)はみんなのじゃなく、株主(投資家)のもの”
“会社の成績を、数字だけで評価する”
“みんなも株を売買して一攫千金を狙おう”
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• 世界金融経済危機の原因、「サブプライムローン」も このウィルスから生まれた…。
Bパート.勇者の登場
• “このウィルスから世界を救わなければ!”1992年、 危機を予見して立ち上がった勇者がいた...。その名は
「国連環境計画金融イニシアティブ」 コードネーム“UNEP-FI”
“経済・環境・社会のすべてを考えてプラスになる 投資のやり方が、きっと可能なはずだ...!” (1992「環境と持続可能な発展に関する金融機関声明」)
↓
「社会的責任投資」 7
Bパート.勇者の登場
• 「社会的責任投資」 “経済・環境・社会のすべてを考えて プラスになる投資のやり方”
eg.“エコカーを開発する企業に投資します。”
“太陽光発電を設置する事業に投資します。”
“あの会社は銃を売ってるから投資をやめよう”
・・・それまでは「経済」しか考えられなかった。でも 「環境・社会」にマイナスな企業は、時代の波に乗り遅れて 「経済」の成績も落ちることが知られるようになった。
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Bパート.勇者の登場
• 説明しよう!UNEP-FIとは...
国連機関の「国連環境計画」の招集に応じた、世界の有力金融機関によるパートナーシップなのだ!
“ひたすらカネをもうけるだけが俺たちの役目じゃないぜ!”
“私たちが闘わなければ、ウィルスで世界は滅びてしまいます...”
“フフ...世界が長持ちすれば僕らもそれだけ長く商売できるからね”
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“日本代表” 末吉竹次郎氏
Bパート.勇者の登場
• 説明しよう!UNEP-FIとは...
国連機関の「国連環境計画」の招集に応じた、世界の有力金融機関によるパートナーシップなのだ!
“ひたすらカネをもうけるだけが俺たちの役目じゃないぜ!”
“私たちが闘わなければ、ウィルスで世界は滅びてしまいます...”
↑なにげにココ大事!
金融機関にとって、経済・社会の混乱や環境破壊はみずからの
存在をおびやかす危険になりうる...。(近年のアメリカの金融機関のように)
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“日本代表” 末吉竹次郎氏
“フフ...世界が長持ちすれば 僕らもそれだけ長く商売できるからね”
Cパート.世界を救う勇者
UNEP-FIと仲間たちのこうげき!
• 1997年-「グローバル・レポーティング・イニシアティブ」
• 2000年-「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」
→企業の環境・社会面の情報を明らかにする
• 2003年 「赤道原則」
• 2006年 「責任投資原則」
→“金融機関は環境・社会面に配慮しよう”という約束
・・・「環境・社会」をないがしろにする企業に厳しい目
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Cパート.世界を救う勇者
• 国際的枠組みで「環境・社会」の重要性が認められていく
• 「環境・社会」にしっかり取り組んでる企業は、 営業の成績もなかなかだということが広まる
• 「経済」も、「環境・社会」も いい線いってる企業が人気になり、投資が集まる
• 企業がみんな「環境・社会」に注目し、 取り組みを競うようになる
• 企業)“環境・社会への貢献?常識ですよ”←いまここ
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Cパート.世界を救う勇者
• ウィルス感染金融機関は... 短期的にはもうかるかもしれないが、落とし穴が待つ
eg.“ボス!環境規制が厳しくなって工場が使えなくなってしまいます!” “ボス!NGOがわが社の問題を告発しています!” “ボス!わが社の評判が悪くて資金が集まりません!”
• UNEP-FI:“世の中のためになることをしたほうが、 実はもうかるんだ”
従来:もうけを追求 → 世の中のためにならない
現在:もうけを追求 → 世の中のためになる
(現実主義的目標)→(理想主義的目標)
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