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第 4 章 生活習慣病の状況
この章に掲載したデータは、主に「国保データベース(KDB)システム」による
統計情報を用いています。
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21.2
18.6
15.88.2
5.8
5.8
5.6
5.6
13.3
新生物
循環器
精神
筋骨格
神経
消化器
損傷中毒
※細小分類については主な疾患を記載
第 4 章 生活習慣病の状況
1 疾患別医療費
札幌市国保の総医療費に占める入院医療費では、悪性新生物が 21.2%、循環器
疾患が 18.6%となっており、循環器疾患では、虚血性心疾患が 4.5%、脳梗塞が
2.8%を占めています。外来医療費では、糖尿病が 7.8%、高血圧症が 6.6%、脂質
異常症が 4.3%となっています。また、入院と外来を合わせると、慢性腎不全(透
析有)も上位にあがっています。
狭心症・脳梗塞・慢性腎不全は、基礎疾患である糖尿病・高血圧症・脂質異常症
等の疾病が重症化した疾患といえるため、これらの疾患を予防することで、医療費
の増加を抑えることができると考えます。
図 31 大分類別医療費(入院)(%)
表 5 中分類別分析及び細小分類分析(入院)
中分類分析(%) 細小分類(%)
新生物 21.2
その他の悪性新生物 7.8
膵臓がん 0.9
食道がん 0.7
前立腺がん 0.6
気管、気管支及び肺の悪性新生物 3.0 肺がん 3.0
良性新生物及びその他の新生物 2.1 子宮筋腫 0.3
循環器 18.6
その他の心疾患 5.4 不整脈 2.3
心臓弁膜症 0.7
虚血性心疾患 4.5 狭心症 3.4
脳梗塞 2.8 脳梗塞 2.8
精神 15.8
統合失調症、統合失調症型障害及び妄
想性障害 9.4 統合失調症 9.4
気分(感情)障害(躁うつ病を含む) 2.6 うつ病 2.6
その他の精神及び行動の障害 1.2
筋骨格 8.2
関節症 2.5 関節疾患 2.5
脊椎障害(脊椎症を含む) 1.9
その他の筋骨格系及び結合組織の疾患 1.4
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13.9
13.5
12.2
9.7 7.9 7.6
7.2
7.0
21.0
内分泌
循環器
新生物
筋骨格
尿路性器
呼吸器
精神
※細小分類については主な疾患を記載
第 4 章 生活習慣病の状況
図 32 大分類別医療費(外来) (%)
表 6 中分類別分析及び細小分類分析(外来)
中分類分析(%) 細小分類(%)
内分泌 13.9
糖尿病 7.8 糖尿病 7.8
その他の内分泌、栄養及び代謝障害 5.4 脂質異常症 4.3
甲状腺障害 0.7 甲状腺機能亢進症 0.2
循環器 13.5
高血圧性疾患 6.6 高血圧症 6.6
その他の心疾患 3.4 不整脈 2.0
虚血性心疾患 1.6 狭心症 1.4
新生物 12.2
その他の悪性新生物 4.1
前立腺がん 1.0
腎臓がん 0.4
膵臓がん 0.4
気管、気管支及び肺の悪性新生物 1.9 肺がん 1.9
乳房の悪性新生物 1.8 乳がん 1.8
筋骨格 9.7
炎症性多発性関節障害 2.4 関節疾患 2.3
痛風・高尿酸血症 0.1
骨の密度及び構造の障害 1.8 骨粗しょう症 1.8
関節症 1.6 関節疾患 1.6
表 7【入院+外来】細小分類
順位 疾患 順位 疾患
1 統合失調症 6 うつ病
2 糖尿病 7 肺がん
3 関節疾患 8 脂質異常症
4 高血圧症 9 狭心症
5 慢性腎不全(透析あり) 10 大腸がん
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第 4 章 生活習慣病の状況
2 医療費が高額になる疾患
総医療費に占める各疾患の医療費の割合について、上位 10 疾患をあげると、慢性
腎不全(透析あり)が、40~74 歳では第 3 位に、40~64 歳では第 1 位となってい
ます。
図 34 40~74 歳の上位 10 疾患(総医療費に占める割合)
図 35 40~64 歳の上位 10 疾患(総医療費に占める割合)
図 36 65~74 歳の上位 10 疾患(総医療費に占める割合)
※65 歳以上の人工透析患者および統合失調症・うつ病等の精神疾患患者の多くは、後期高齢者医療保険制度に加入するため、
これらの疾患の 65 歳以上の患者数が減少しています。
8.6%7.4%
4.9% 4.8% 4.7%
2.7% 2.4% 2.2% 2.2% 2.1%
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
12.8%
7.0%5.6% 4.9% 4.8% 4.4%
3.3% 2.5% 2.2% 1.6%
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
3.2% 3.0%1.9% 1.7%
1.0% 0.9% 0.9% 0.8% 0.7% 0.6%
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
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第 4 章 生活習慣病の状況
3 メタボリックシンドローム関連の疾病
メタボリックシンドローム関連疾病の件数と医療費を年齢階層別にみると、70
~74 歳が 30,664 件と 40~44 歳の 29.4 倍となっており、年齢が高くなるに
つれて、件数も医療費も増加しています。
図 33 メタボリックシンドローム関連疾病の状況(平成 27 年 6 月)
【メタボリックシンドロームの重症化により発生する疾病】
糖尿病、その他の内分泌、栄養及び代謝疾患(高脂血症、高尿酸血症含む)、高
血圧性疾患、虚血性心疾患、その他の心疾患、くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞、
脳動脈硬化(症)、その他の脳血管疾患、動脈硬化(症)、その他の循環器系の疾患、
アルコール性肝疾患、腎不全
※医療費は、上記の疾病名を含むレセプトの医療費の合計であるため、それ以外の
疾病も同じレセプトにある場合は、その医療費も含まれている。
56,356 73,733
150,232 200,127
441,764
706,790
893,811
1,051 1,593 2,469 4,089
11,717
28,352 30,664
0件
5,000件
10,000件
15,000件
20,000件
25,000件
30,000件
35,000件
40,000件
45,000件
50,000件
0千円
100,000千円
200,000千円
300,000千円
400,000千円
500,000千円
600,000千円
700,000千円
800,000千円
900,000千円
1,000,000千円
40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70~74歳
医療費(千円) 件数
出典:札幌市保健福祉局保険医療部
医療費計 25 億円
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第 4 章 生活習慣病の状況
4 被保険者における生活習慣病の罹患の状況
生活習慣病により治療を受けている被保険者について、平成 29 年 5 月診療のレ
セプトでは、糖尿病 9.7%、高血圧症 16.7%、脂質異常症 14.8%、また、脳血管
疾患 3.0%、虚血性心疾患 4.1%、糖尿病性腎症 0.6%、人工透析 0.2%となってお
り、全体的には増加傾向にあります。
北海道・国との被保険者千人当たりレセプト件数の比較においては、大きな差は
ありませんでした。
図 20 生活習慣病の罹患状況の割合
図 21 被保険者千人当たりレセプト件数(入院)
図 22 被保険者千人当たりレセプト件数(外来)
36.292
63.020
37.658
0.206 3.923 6.723 0.153
件
20件
40件
60件
80件
糖尿病 高血圧症 脂質異常症 脳出血 脳梗塞 狭心症 心筋梗塞
札幌市
北海道
国
0.294
0.134
0.031
0.213
0.485
0.617
0.055
0.件
0.2件
0.4件
0.6件
0.8件
糖尿病 高血圧症 脂質異常症 脳出血 脳梗塞 狭心症 心筋梗塞
札幌市
北海道
国
8.8%
15.7%
13.8%
2.9%4.0%
0.5% 0.2%
9.3%
16.3%14.4%
2.9%4.1%
0.5% 0.2%
9.7%
16.7%14.8%
3.0%4.1%
0.6% 0.2%0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
糖尿病 高血圧症 脂質異常症 脳血管疾患 虚血性心疾患 糖尿病性腎症 人工透析
27年.5月診療
28年.5月診療
29年.5月診療
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第 4 章 生活習慣病の状況
5 外来のレセプト件数
脂質異常症・高血圧症・ 糖尿病・慢性腎不全(透析あり)の 4 疾患について、
外来の生活習慣病千人当たりレセプト件数を年齢別・男女別に見ると、いずれの疾
患も、男女ともに年齢が高くなるにつれて増えていますが、慢性腎不全(透析あり)
の件数は、他の 3 疾病よりも少なくなっています。
⑴ 脂質異常症 外来 1,000 人当たりレセプト件数(診療月:H27.5、H28.5)
図 23 男性(40~74 歳) 図 24 女性(40~74 歳)
⑵ 高血圧症
図 25 男性(40~74 歳) 図 26 女性(40~74 歳)
(件) (件)
8.93
9.28 16.96
17.95
27.66 35.32 38.27
53.46
5.27
11.48
19.54 23.88
23.25
44.35 48.29
58.50
0件
10件
20件
30件
40件
50件
60件
70件
80件
90件
100件
40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳 70歳 74歳
H27.5
H29.5
3.85 6.95
13.70
29.66
47.90
74.64
84.91
95.39
3.46 6.14
15.76 29.25
48.61
65.87
84.19
94.55
0件
10件
20件
30件
40件
50件
60件
70件
80件
90件
100件
40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳 70歳 74歳
H27.5
H29.5
7.86
18.56
25.45
45.97
77.53
101.34
125.81 141.84
14.07
15.31
30.78 42.68
80.26
106.38 121.70
148.41
-10件
10件
30件
50件
70件
90件
110件
130件
150件
40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳 70歳 74歳
H27.5
H29.5
8.09 11.03
22.97
45.24 56.87
89.70
117.24
131.15
9.38 12.72
18.23
38.71
58.23 83.09
112.29
127.32
-10件
10件
30件
50件
70件
90件
110件
130件
150件
40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳 70歳 74歳
H27.5
H29.5
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第 4 章 生活習慣病の状況
⑶ 糖尿病
図 27 男性(40~74 歳) 図 28 女性(40~74 歳)
⑷ 慢性腎不全(透析あり)
65 歳以上の人工透析患者の多くは、後期高齢者医療保険制度に加入し国民健康
保険を脱退するため、これらの疾患の 65 歳以上の患者数が減少しています。
図 29 男性(40~74 歳) 図 30 女性(40~74 歳)
(件)
10.01 18.56
32.59
40.72
51.23 73.28
77.60
101.13
17.14 21.68
31.75
54.37
49.56
74.22
87.21
94.70
0件
20件
40件
60件
80件
100件
40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳 70歳 74歳
H27.5
H29.5
6.17 10.63
18.53
19.28 27.34
38.93
46.31 52.33
5.93 7.02 11.82
21.94
33.78
37.21
50.59 53.69
0件
20件
40件
60件
80件
100件
40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳 70歳 74歳
H27.5
H29.5
1.79
3.63
6.25 7.88
6.15
0.14 0.15
0.33
3.08
3.40
5.37
11.18
10.09
0.53
0.12
0.83
0件
2件
4件
6件
8件
10件
12件
40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳 70歳 74歳
H27.5
H29.5
0.39 0.82
1.61
2.60
1.97
0.09 0.00 0.11
0.99 0.88
1.97
1.29
2.47
0.12 0.19 0.32
0件
2件
4件
6件
8件
10件
12件
40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳 70歳 74歳
H27.5
H29.5
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第 4 章 生活習慣病の状況
6 人工透析の状況
被保険者で人工透析のレセプトを持つ人は、40 歳代から増加していますが、患
者千人当たり人工透析新規患者数は、北海道・国と比較すると少ない状況です。
表 10 人工透析と判定したレセプトを持つ被保険者数
診療月 20歳代以下 30歳代 40歳代 50歳代 60~64歳 65~69歳 70~74歳 合 計
H27年5月 2 35 110 276 343 15 34 815
H28年5月 5 35 106 277 292 23 23 771
表 11 患者千人当たり人工透析新規患者数(当月発症)
札幌市 北海道 同規模 全国
平成 27 年度 0.098 0.126 0.115 0.120
平成 28 年度 0.099 0.123 0.119 0.122
7 慢性腎臓病(CKD)のリスク分布
日本腎臓病学会の CKD 重症度分類に基づき、平成 27 年度及び 28 年度の特定健
診の受診結果における腎機能についてみてみると、CKD の中・高リスク者は約 3%
を占めています。また、中・高リスク者の治療状況では、「治療なし」が約 3 割と
なっています。
図 37 慢性腎臓病(CKD)のリスク分布と中高リスク者の治療状況
表 9 慢性腎臓病(CKD)のリスク分布表 尿蛋白区分
GFR 区分(ml/分 1.73 ㎡) (-)or(±) (+) (2+)以上
90 以上 正常 低リスク 中リスク
60~90 未満 45~60 未満 低リスク 中リスク
高リスク 30~45 未満 中リスク
高リスク 15~30 未満 高リスク
15 未満
※リスクの程度が上がるにつれて、末期腎不全や心血管死亡のリスクが高くなります。
正常, 79.1%
低リスク,
17.8%
中リスク,
2.5%
高リスク,
0.5%
H28年度リスク分布
治療中, 68.5
治療なし, 31.5
中・高リスク者の治療状況
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第 4 章 生活習慣病の状況
8 重症化予防の対象者
特定健診の結果、脳血管疾患・虚血性心疾患・糖尿病腎症予防のための各学会の
ガイドラインに基づいた重症化予防対象の基準値となった人の割合は 27.9%とな
っています。
表 8 健診受診者の重症化予防事業対象者数(平成 28 年度)
重症化予防対象基準値 対象者 基準値の根拠
高血圧症 Ⅱ度高血圧以上 2,925 4.8% 高血圧治療ガイドライン 2014 (日本高血圧学会)
心房細動 心房細動 416 0.7%
脂質異常症 LDL-C180mg/dl 以上 3,548 5.8%
動脈硬化症疾患予防ガイドライン2012 年版(日本動脈硬化学会)
中性脂肪 300mg/dl 以上 1,629 2.7%
メタボリックシンドローム
メタボ該当者(2 項目以上) 8,666 14.2% メタボリックシンドロームの診断基準
糖尿病 GbA1c(NGSP)6.5%以上
(治療中 7.0 以上) 3,072 5.0%
糖尿病治療ガイド 2016-2017 (日本糖尿病学会)
慢性腎臓病 (CKD)
尿蛋白(2+)以上 686 1.1% CKD 診療ガイド 2012 (日本腎臓病学会)
eGFR50 未満 70 歳以上 40 未満 1,079 1.8%
重症化予防対象者(実人数) 16,985 27.9%
103
97
556
2,325
540
792
63
748
380
225
1,952
2,325
1,301
3,333
159
1,887
699
461
1,120
6,341
328
215
257
1,038
0件 1,000件 2,000件 3,000件 4,000件 5,000件 6,000件 7,000件
慢性腎臓病(eGFR)
慢性腎臓病(尿蛋白)
糖尿病
メタボリックシンドローム
脂質異常症(中性脂肪)
脂質異常症(LDL-C)
心房細動
高血圧症治療中
治療なし
(再掲)特定保健指導