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生活習慣と「自己肯定感」 1.生活習慣を形成することの重要性 幼児期からの規則正しい睡眠・食事の習慣形成 2.発達に応じた教育の重要性 日中の過ごし方~自発的な遊び~の重要性(幼児期) 和洋女子大学 鈴木みゆき 資料3 1

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生活習慣と「自己肯定感」

1.生活習慣を形成することの重要性

●幼児期からの規則正しい睡眠・食事の習慣形成

2.発達に応じた教育の重要性

●日中の過ごし方~自発的な遊び~の重要性(幼児期)

和洋女子大学 鈴木みゆき

資料3

1

1.生活習慣を形成することの重要性 ①規則正しい就寝,起床,食事→およそ一日の中でリズムを持っている。

②睡眠中には、身体・脳のメンテナンスが行われている。

③昼間に体験したこと・覚えたことは睡眠中に整理され,記憶が固定される。

④睡眠中にさまざまなホルモンが分泌される。

睡眠が不足したり,不規則な生活をしていると

ホルモン分泌がうまく行われない。

生活習慣は子供の心身の発達に影響を与える。

「自己肯定感」,「自己有用感」との

因果関係は明らかではない。

継続性→幼児期からの規則正しい睡眠・食事の習慣形成 図1 睡眠・覚醒・体温・ホルモンの概日リズム

主体性→日中自発的で協同的な遊びの重要性(幼児期) (「子どもの睡眠-眠りは脳と心の栄養」神山潤 2003)

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年齢に関係するホルモンもある・・幼児期の重要性

• 図2 Alterations in nocturnal serum melatonin levels in humans with growth and aging. : Waldhaser.F et al

J Clin Endocrinol Metab Vol.66,648-652,1988 作成:神山潤

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表1必要と考えられている人間の年齢別の睡眠時間

年齢 必要な睡眠時間(時間)

新生児(0~3ヶ月) (11-13) 14~17 (18-19)

乳児(4~11ヶ月) (10-11) 12~15 (16-18)

幼児(1~2歳) (9-10) 11~14 (15-16)

幼児期(3~5歳) (8-9) 10~13 (14)

学童期(6~13歳) (7-8) 9~11 (12)

ティーンエイジャー(14~17歳) (7) 8~10 (11)

大人(18~25歳) (6) 7~9 (10-11)

大人(26~64歳) (6) 7~9 (10)

高齢者(65歳~) (5-6) 7~8 (9)

赤字:推奨時間(Recommended Range) ( )内:限界範囲(May be Appropriate) (National Sleep Foundation in USA)2015

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図3 夜10時以降に寝る幼児の割合

「平成22年度幼児健康度調査 速報版」小児保健研究Vol.70,NO.3.2011 pp448-pp457より作成

0

10

20

30

40

50

60

1歳児 2歳児 3歳児 4歳児 5歳児

25 29

22

13 10

38 41

36

23

17

55 59

52

39 40

30

35 31

26 25

昭和55 平成2 平成12 平成22

5

●幼児期からの規則正しい睡眠・食事の習慣形成・・・地道な発信が大切

睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果 (文部科学省)

• ■調査目的:睡眠を中心とした生活習慣等についての調査を実施し、全国的な実態を把握するとともに、自立や心身の不調等についても質問を行い、生活習慣との関係性を明らかにする。

• ■調査対象:小学校第5学年から高等学校第3学年までの学年毎に100校(各校1クラス、計800クラス)を抽出(全て公立学校)。

• ■有効回答:800校のうち771校から回収(回収率※96.4%)。有効回収数は23139票。※配布した学校数に対する回収した学校数の比率(%) <内訳>

• 小学校 195校(回収率97.5%)

• 中学校 281校(回収率93.7%)

• 高等学校 295校(回収率98.3%)

• ■調査時点:平成26年11月

• ■実施体制:外部委託(株式会社リベルタス・コンサルティング)

• ■調査内容:下記の項目(35問)についてマークシート形式で実施。<調査項目>○睡眠の状況、○食事の状況、○情報機器との接触、○自立や心身の不調等 など

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図4 小中高校生の就寝時刻(2014)

「睡眠を中心とした生活習慣と子どもの自立等の関係性に関する調査」小学5年生~高校3年生 (n=23,000)

• 平成26年度文部科学省委託調査「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」

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就床が遅いと、イライラを感じる子どもの割合が高い

図5 就床時刻×何でもないのにイライラする割合

平成26年度文部科学省委託調査「家庭教育の総合的推進に関する調査研究

睡眠を中心とした生活習慣と子どもの自立等の関係性に関する調査」 8

就床時刻と自己肯定感

図6 就床時刻×自分のことが好き

平成26年度文部科学省委託調査「家庭教育の総合的推進に関する調査研究

睡眠を中心とした生活習慣と子どもの自立等の関係性に関する調査」

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新任保育士の生活習慣とメンタルヘルス 2012年4月に採用された新採保育士357名を対象に質問紙調査をしたところ,現在の生活習慣(朝食欠食や夜12時以降のメール等)と幼児期~学童期の生活習慣には関連が見られた。また現在の生活習慣がメンタルヘルスに影響を与えていることが示唆された(鈴木)。

図7 朝起きられず遅刻したことがある(幼)×朝自然に目が覚める(現在)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

よくある

時々ある

あまりない

全くない

図8 寝つきが悪い×仕事や生活への不安がある

全くない あまりない 時々ある よくある

寝つきの悪さ(現在)

仕事や生活への不安

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ない

少しある

程々ある

多くある

1

0

1

4

8

5

6

5

26

12

15

5

26

9

9

3

全く無い あまりない 時々ある よくある

朝起きられず遅刻したことがある

(幼)

現在

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社会的情動スキルとの関係

○Neural Basis of Brain Dysfunction Produced by Early Sleep Problems

Jun Kohyama

Brain Scisences.2016.6,5

Abstractより

The serotonergic system is involved in reward processing and interactions with the dorsal striatum, ventral striatum, and the prefrontal cortex are thought to comprise the neural basis for behavioral patterns that are affected by the quantity, quality, and timing of sleep early in life.(下線:鈴木)

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図9 means of increasing serotonin Hdeho Arita Brain mechanisms of poor anger management JMAJ 52(3):184-190,2009

しっかり覚醒

穏やかさを保つ

散歩やジョギング,禅など

姿勢が悪い 痛みの軽減 背筋まっすぐ

引きこもってビデオゲーム漬け

目覚めた時にイライラ

痛みに過敏

前頭前野の損傷,うつ傾向, 自制心を失う傾向

縫線核のセロトニンニューロン を弱めると

縫線核のセロトニンニューロンを強化すると

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2.発達に応じた教育の重要性

●日中の過ごし方~自発的・協同的な遊び~の重要性(幼児期) •身体の諸感覚を通し,学びに向かう姿勢や態度が育つ。

•体験の積み重ねが大切。同時にそこに

かかわる教師の存在が重要。

存在そのものを受け止められ愛される。

個として認められ,仲間と協同して

いく楽しさ・面白さを積み上げる。

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幼児期の教育 • 幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して・・(幼稚園教育要領第1章第1節 幼稚園教育の基本)

• 幼児は周囲の人々に温かく見守られ,ありのままの姿を認められている場の中で,自分らしい動き方ができるようになり,自己を発揮するようになる。

• 幼児はありのままの自分が認められているという安心感や,日々の遊びや生活の中でその幼児なりの

よさをとらえる教師のまなざしに支えられ,自分に力があると信じて取り組み,自信をもって行動することができるようになっていくだろう。・・・この自信を基盤として,人とかかわる力も育っていく。

(幼稚園教育要領解説 第2章2

人間関係 内容の取扱い(2)より)

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