4. 遺伝毒性 ......4....

28
4. 遺伝毒性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-1~4 遺伝毒性試験として細菌(ネズミチフス菌,大腸菌)を用いた復帰突然変異試験(Ames 試験),ヒト リンパ球を用いた染色体異常試験,マウスを用いた小核試験及び哺乳類細胞を用いた遺伝子突然変異試 験を実施した。 4-1. 細菌を用いた復帰突然変異試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-1 ネズミチフス菌(TA97,TA98, TA100, TA102,TA1535, TA1537)及び大腸菌(WP2 uvrA)を用いてプ レート法及びプレインキュベーション法にて試験を実施した。 プレート法の試験用量は用量設定試験の結果に基づき設定した。用量設定試験は TA100 を用いて,代 謝活性化系非存在下で最高用量 5000μg/plate まで実施し,極軽度の毒性が認められたのみであったこ とから,プレート法では代謝活性化系非存在下及び存在下で 50~5000μg/plate の 5 用量が設定された。 プレート法では background lawn の著しい減少はみられなかったものの,TA100 を除く各菌で,対照群に 比べ復帰変異コロニー数の減少が認められたため,プレインキュベーション法では各菌毎に 0.5~1580 μg/plate の範囲で 5 用量が設定された。試験方法及び成績は「表ニ-20」に示す。 プレート法及びプレインキュベーション法ともに,代謝活性化系非存在下及び存在下で復帰変異コロ ニーの増加は認められなかった。 4-2. ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-2 ヒト末梢血リンパ球を用い,直接法(S-9 mix 非添加)及び代謝活性化法(S-9 mix 添加)にて試験を 実施した。 用量は用量設定試験の結果に基づき設定された。すなわち,直接法(24 時間処理)では 250μg/mL よ り細胞毒性が認められ始めたことから, 24 時間処理では 50,250 及び 500μg/mL の 3 用量が,48 時間 処理では 250 及び 500μg/mL の 2 用量が選択された。代謝活性化法では,3600μg/mL(10 mM)まで細胞 毒性が認められなかったため,カペシタビンにより 3 時間処理し, 21 時間の回復時間を設けた群では 250, 2500 及び 3600μg/mL の 3 用量が,回復時間を 44 時間に設定した群では 3600μg/mL が選択された。試験 方法及び成績は「表ニ-21」に示す。 代謝活性化法においては,3600μg/mL(10 mM)まで染色体の構造異常の増加は認められなかった。直接 法では,24 時間処理の 500μg/mL で軽度 (p≦0.05) の,48 時間処理の 250μg/mL 以上で明らかな(p≦ 0.01)染色体異常(構造異常)の増加が認められた。代謝活性化法及び直接法のいずれにおいても,数的異 常を有する細胞の増加は認められなかった。 これより 本薬は代謝活性化系非存在下(直接法)において,細胞毒性を有する濃度(250μg/mL 以上) で長時間処理した場合,染色体異常を誘発することが示された。 4-3. マウスを用いた小核試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-3 1 9~20 匹(骨髄採取時間あたり雌雄各 4~5 匹)のマウスにカペシタビンを 500, 1000, 2000mg/kg 用量で単回経口投与を行ない,投与後 24,48 時間目に動物を屠殺して骨髄塗沫標本を作製し,多染性赤 血球中の小核を有する細胞(MNPCE)数及び正染性赤血球(NCE)に対する多染性赤血球(PCE)比(PCE:NCE 比) を計測した。投与後 48 時間目の骨髄標本作製は対照群及び 2000 mg/kg 群でのみ行った。 試験用量は用量設定試験の結果に基づき設定した。用量設定試験では 1500 又は 2000 mg/kg を単回経 口投与し,投与後 24,48 時間目に動物を屠殺して骨髄標本を作製した。いずれの投与量及び標本作製時 期においても死亡発現はなく,また,骨髄毒性もみられなかったことから,最高用量を 2000 mg/kg とし, 283

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  • 4. 遺伝毒性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-1~4

    遺伝毒性試験として細菌(ネズミチフス菌,大腸菌)を用いた復帰突然変異試験(Ames 試験),ヒト

    リンパ球を用いた染色体異常試験,マウスを用いた小核試験及び哺乳類細胞を用いた遺伝子突然変異試

    験を実施した。

    4-1. 細菌を用いた復帰突然変異試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-1

    ネズミチフス菌(TA97,TA98, TA100, TA102,TA1535, TA1537)及び大腸菌(WP2 uvrA)を用いてプ

    レート法及びプレインキュベーション法にて試験を実施した。

    プレート法の試験用量は用量設定試験の結果に基づき設定した。用量設定試験は TA100 を用いて,代

    謝活性化系非存在下で最高用量 5000μg/plate まで実施し,極軽度の毒性が認められたのみであったこ

    とから,プレート法では代謝活性化系非存在下及び存在下で 50~5000μg/plate の 5 用量が設定された。

    プレート法では background lawn の著しい減少はみられなかったものの,TA100 を除く各菌で,対照群に

    比べ復帰変異コロニー数の減少が認められたため,プレインキュベーション法では各菌毎に 0.5~1580

    μg/plate の範囲で 5用量が設定された。試験方法及び成績は「表ニ-20」に示す。

    プレート法及びプレインキュベーション法ともに,代謝活性化系非存在下及び存在下で復帰変異コロ

    ニーの増加は認められなかった。

    4-2. ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-2

    ヒト末梢血リンパ球を用い,直接法(S-9 mix 非添加)及び代謝活性化法(S-9 mix 添加)にて試験を

    実施した。

    用量は用量設定試験の結果に基づき設定された。すなわち,直接法(24 時間処理)では 250μg/mL よ

    り細胞毒性が認められ始めたことから, 24 時間処理では 50,250 及び 500μg/mL の 3 用量が,48 時間

    処理では 250 及び 500μg/mL の 2 用量が選択された。代謝活性化法では,3600μg/mL(10 mM)まで細胞

    毒性が認められなかったため,カペシタビンにより 3時間処理し,21 時間の回復時間を設けた群では 250,

    2500 及び 3600μg/mL の 3 用量が,回復時間を 44 時間に設定した群では 3600μg/mL が選択された。試験

    方法及び成績は「表ニ-21」に示す。

    代謝活性化法においては,3600μg/mL(10 mM)まで染色体の構造異常の増加は認められなかった。直接

    法では,24 時間処理の 500μg/mL で軽度 (p≦0.05) の,48 時間処理の 250μg/mL 以上で明らかな(p≦

    0.01)染色体異常(構造異常)の増加が認められた。代謝活性化法及び直接法のいずれにおいても,数的異

    常を有する細胞の増加は認められなかった。

    これより 本薬は代謝活性化系非存在下(直接法)において,細胞毒性を有する濃度(250μg/mL 以上)

    で長時間処理した場合,染色体異常を誘発することが示された。

    4-3. マウスを用いた小核試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-3

    1 群 9~20 匹(骨髄採取時間あたり雌雄各 4~5 匹)のマウスにカペシタビンを 500, 1000, 2000mg/kg の

    用量で単回経口投与を行ない,投与後 24,48 時間目に動物を屠殺して骨髄塗沫標本を作製し,多染性赤

    血球中の小核を有する細胞(MNPCE)数及び正染性赤血球(NCE)に対する多染性赤血球(PCE)比(PCE:NCE 比)

    を計測した。投与後 48 時間目の骨髄標本作製は対照群及び 2000 mg/kg 群でのみ行った。

    試験用量は用量設定試験の結果に基づき設定した。用量設定試験では 1500 又は 2000 mg/kg を単回経

    口投与し,投与後 24,48 時間目に動物を屠殺して骨髄標本を作製した。いずれの投与量及び標本作製時

    期においても死亡発現はなく,また,骨髄毒性もみられなかったことから,最高用量を 2000 mg/kg とし,

    - 283 -

  • - 284 -

    公比 2で中間用量(1000 mg/kg)及び低用量(500 mg/kg)を設定した。試験方法及び成績は「表ニ-22」

    に示す。

    骨髄毒性は投与後 24 及び 48 時間目標本の 2000 mg/kg 投与群で極軽度認められた。投与後 24 時間目

    標本においては,いずれの用量においても小核を有する多染性赤血球の増加は認められなかった。投与

    後 48 時間目標本においては,2000 mg/kg 群で小核を有する多染性赤血球の増加が散見されたが,対照群

    と比較した群平均値に有意差は認められなかった。

    4-4. 哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-4-4

    哺乳類培養細胞(V79 細胞)を用い,代謝活性化系非存在下及び存在下にて試験を実施した。

    用量は細胞毒性を示さない化合物で推奨される最高用量 5000μg/mL を上限とし,代謝活性化系存在下

    及び非存在下ともに 100~5000μg/mL の 5 用量で試験を行った(実験 1)。その結果,代謝活性化系非存在

    下の 5000μg/mL で生存細胞が認められず,実験 2 においては代謝活性化系非存在下では 1500~4000μ

    g/mL までの 4用量,代謝活性化系存在下では 2000~5000μg/mL の 3 用量が設定された。薬物処理時間は

    代謝活性化系非存在下では 16 時間試験,代謝活性化系存在下では 5時間とした。方法及び成績は「表ニ

    -23」に示す。

    代謝活性化系非存在下及び存在下ともに 100~4000μg/mL 及び 100~5000μg/mL の各用量範囲で突然

    変異頻度の上昇は認められなかった。

    <遺伝毒性のまとめ>

    カペシタビンは復帰突然変異試験,哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性であったが,

    染色体異常試験においては陽性であり,マウス小核試験においても高用量で小核を有する PCE の増加が

    散見された。このように,本薬の遺伝毒性試験においては,染色体異常誘発能が確認された。

    5-FU をはじめとするフッ化ピリミジン系薬剤では染色体異常誘発能が報告されており 1-4),代謝拮抗

    薬に広く認められる作用である。これらの薬剤による染色体異常の誘発メカニズムとしては,代謝拮抗

    薬による DNA 合成の阻害の結果もたらされる DNA 前駆体プールの不均衡があげられる。DNA 前駆体プール

    の不均衡には薬物による長時間処理が必要であり,多くの場合,細胞毒性が認められる用量で遺伝毒性

    がみられる。本薬の染色体異常試験では 24 時間以上の薬物処理で構造異常を有する細胞数の有意な増加

    が認められ,小核試験でも対照群との間に有意差は認められないものの,投与後 48 時間目の骨髄採取で,

    小核を有する PCE の増加傾向がみられた。これら遺伝毒性が認められた用量においては,同時に細胞毒

    性が認められた。

    このように本薬では,細胞毒性と関連した染色体異常誘発作用が認められたが,マウスがん原性試験

    (24 ヵ月間投与)においては,腫瘍の誘発あるいは腫瘍発生の早期化は認められなかった。本薬の活性体

    である 5-FU は,復帰突然変異試験 5),CHO 細胞を用いた染色体異常試験及びマウス小核試験で陽性であ

    ったが 6),マウス及びラットの経口投与がん原性試験においては明らかながん原性はみられなかった 7,8)。

    これらを考慮する時,本薬を臨床に適用した場合,発がん作用を示す可能性は低いと推察される。

  • 引用文献

    1) Bean CL et al. Evaluation of the need for a late harvest time in the assay for chromosome

    aberration in Chinese hamster ovary cells. Mutaiton Res. 292, 3-16, 1993

    2) Shibahara T. et al. Mutagenic and clastogenic properties of BOF-A2, a new 5-

    fluorouracilderivative with anti-tumor activity. J. Toxicol. Sci. 18, suppl. III, 11-19, 1993

    3) Sofuni T. Japanese guidelines for mutagenicity testing. Environ. Mol. Mutagen. 21, 2-7, 1993

    4) Tsutsui T. et al. Induction by modified purines (2-aminopurine and 6-N-hydroxyl-aminopurine)

    of chromosome aberrations and aneuploidy in Syrian hamster embryo cells. Mutation Res. 148,

    107-112, 1985

    5) IARC (1987), IARC Monographs on the envaluation of carcinogenic risks to humans, genetic and

    related effects: an updating of selected IARC monographs from volume 1 to 42. Supplement 6,

    International Agency for Research on cancer, Lyon.

    6) Maier P et al. Ten model mutagens evaluated by the micronucleus test. Mutation Res. 40, 325-338,

    1976

    7) Iwagawa M et al. Carcinogenicity testing of 5-fluorouracil in (C57BL/6×C3H)F1 mice. J. Toxicol.

    Pathol 4, 129~135, 1991

    8) Toyoda K. et al. Lack of carcinogenicity and increased survival in F344 rats treated with

    5-fluorouracil for two years. Food Chem. Toxicol. 38(2/3), 187-193, 2000

    - 285 -

  • - 286 -

    表ニ-20 細菌を用いた復帰突然変異試験 (評価資料ニ-4-1)

    報告者 (実施施設)

    試験系 プレート法

    試験物質 代謝 用量 復帰変異コロニー数/plate(平均値±標準偏差)

    活性化 (µg/plate) TA1535 TA1537 TA97 TA98 TA100 TA102 WP2 uvrA

    溶媒対照 - 0 15±3 9±2 215±10 16±5 138±7 309±37 33±7

    カペシタビン 50 20±7 10±4 210±16 11±1 155±13 373±16 29±7

    158 13±2 12±4 216±19 9±1 147±11 350±35 33±3

    - 500 9±5 2±2 210±22 9±1 146±6 268±27 30±4

    1580 1±1 0±0 4±3 1±1 132±17 23±10 23±3

    5000 0±0 0±0 0±0 0±1 123±9 0±1 1±1

    陽性対照

    sodium azide 1 875±9 / / / 512±18 / /

    ICR 191 1 / 142±13 1008±26 / / / /

    2-NF - 0.5 / / / 89±2 / / /

    MMC 0.4 / / / / / 1592±16 /

    4-NQO 1 / / / / / / 297±23

    溶媒対照 + 0 7±3 10±5 247±12 26±4 132±8 339±24 31±4

    カペシタビン 50 8±2 3±2 16±8 19±3 129±14 299±25 34±5

    158 6±1 0±0 0±0 16±2 128±9 200±55 25±4

    + 500 1±1 0±0 0±0 0±0 118±31 4±4 19±3

    1580 1±1t 2±2 0±0 0±0 37±26 0±0 3±1

    5000 0±0t 0±0t 0±1 0±0t 0±0 0±0 2±2

    陽性対照

    2-AA + 4 383±21 477±30 2591±52 3569±19 3611±26 1513±51 189±12

    - 4 14±2 13±2 249±2 21±2 161±2 311±42 27±0

    溶媒:カペシタビン;DMSO, MMC を除く陽性対照は DMSO, MMC はイオン交換水

    プレート数:4枚/用量(陽性対照は 2枚),t;background lawn の減少,/:実施せず

    2-NF:2-nitrofluorene,4-NQO:4-nitroquinoline-N-oxide,2-AA:2-aminoanthracene, MMC:mitomycin C

    統計学的方法:実施せず

    (次ページにつづく)

  • - 287 -

    (つづき)

    試験系 プレインキュベーション法

    試験物質 代謝 用量 復帰変異コロニー数/plate(平均値±標準偏差)

    活性化 (µg/plate) TA1535 TA1537 TA97 TA98 TA100 TA102 WP2 uvrA

    溶媒対照 - 0 19±6 7±2 197±8 18±3 89±7 316±19 26±6

    カペシタビン 5 20±6 9±2 192±19 17±5 / 289±34 27±5

    - 15.8 13±3 9±1 199±4 15±3 104±9 326±16 31±6

    50 15±4 12±3 188±15 16±2 95±5 323±14 30±6

    158 9±3 8±2 183±8 14±2 91±8 297±43 28±1

    500 10±2 2±2 174±19 17±9 86±1 172±14 27±3

    1580 / / / / 96±14 / /

    陽性対照

    sodium

    azide

    1 723±52 / / / 466±5 / /

    ICR 191 1 / 1490±20 4261±30 / / / /

    2-NF - 0.5 / / / 255±13 / / /

    MMC 0.4 / / / / / 1921±226 /

    4-NQO 1 / / / / / / 1048±21

    溶媒対照 + 0 11±4 8±3 192±15 25±7 82±14 305±14 30±7

    カペシタビン 0.5 / 6±3 195±15 / / / /

    1.58 / 11±5 196±24 / / / /

    5 7±1 8±1 168±18 25±3 / 289±34 24±8

    + 15.8 11±5 4±2 13±3 25±3 74±12 278±38 25±7

    50 6±2 1±1 0±0 18±5 86±22 122±13 19±8

    158 0±0 / / 0±0 64±10 0±0 16±3

    500 0±0t / / T 1±1 0±0 0±0

    1580 / / / / 0±0t / /

    陽性対照

    2-AA + 4 343±5 423±36 1950±125 2552±171 2821±97 1069±50 114±9

    - 4 20±11 24±8 189±4 30±6 67±5 231±24 29±9

    結 論 本試験条件下で遺伝子突然変異誘発性なし

    溶媒:カペシタビン;DMSO, MMC を除く陽性対照は DMSO, MMC はイオン交換水

    プレート数:4枚/用量(陽性対照は 2枚),t;background lawn の減少,T;background lawn なし

    /:実施せず

    2-NF:2-nitrofluorene,4-NQO:4-nitroquinoline-N-oxide,2-AA:2-aminoanthracene, MMC:mitomycin C

    統計学的方法:実施せず

  • - 288 -

    表ニ-21 ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験 (評価資料ニ-4-2)

    報告者(実施施設)

    異常を有する細胞(%) 処理時間-

    回復時間(h)

    試験物質 代謝

    活性化

    用量

    (μg/mL)

    分析

    細胞数

    分裂指数

    (%) 構造 数的

    無処置対照 - 0 200 11.5 / /

    溶媒対照 - 0 200 11.6 1.0 1.5

    24-0 カペシタビン

    50

    250

    500

    200

    200

    200

    7.7

    6.1

    4.1

    3.0

    1.0

    5.5*

    1.0

    1.0

    1.0

    陽性対照:bleomycin - 5 50 3.8 54.0** 0.0

    陽性対照:colcemid - 0.06 50 / / 12.0**

    溶媒対照 - 0 200 6.4 0.5 2.0

    48-0 カペシタビン -

    250

    500

    200

    200

    1.8

    2.1

    7.0**

    11.5**

    0.0

    1.0

    陽性対照:colcemid - 0.06 50 / / 20.0**

    無処置対照 + 0 200 7.7 / /

    溶媒対照 + 0 200 8.0 1.5 0.5

    3-21

    カペシタビン

    250

    2500

    3600

    200

    200

    200

    9.2

    4.8

    2.4

    0.5

    1.5

    0.5

    1.0

    0.5

    1.0

    陽性対照:cyclophosphamide + 10 50 2.3 30.0** 0.0

    陽性対象:colcemid + 0.06 50 / / 2.0

    溶媒対照 + 0 200 15.5 1.0 1.0

    3-44 カペシタビン + 3600 200 7.8 0.0 2.0

    陽性対照:colcemid + 0.06 50 / / 4.0

    結 論 代謝活性化系非存在下(直接法)で細胞毒性を示す濃度(250

    μg/mL 以上)による長時間処理後,染色体異常誘発作用が認めら

    れた。

    溶媒:カペシタビン;DMSO,陽性対照;蒸留水,/:分析せず

    統計学的方法:Fisher の正確検定,*:p≦0.05,**:p≦0.01

  • - 289 -

    表ニ-22 マウスを用いた小核試験 (評価資料ニ-4-3)

    報告者(実施施設)

    動物 Füllinsdorf Moro Albino マウス,平均体重:♂36.73 g,♀33.40 g

    標本作製時間当たり雌雄各 4~5 匹(陽性対照は雄 5匹のみ)

    薬物 カペシタビン(溶媒:SSV)

    陽性対照 procarbazine-HCl(溶媒:SSV)

    投与経路・方法 単回経口投与

    標本作製時期 投与後 24 及び 48 時間目に動物を屠殺して骨髄標本を作製

    標本染色方法 May-Grünwald-Giemsa

    試験群 溶媒対照 陽性対照 カペシタビン投与群

    投与量(mg/kg) 0 50 500 1000 2000

    MNPCE

    出現頻度(%)

    24 時間

    48 時間

    0.12

    0.12

    1.65**

    0.15

    0.15

    0.12

    0.25

    PCE:NCE 比 24 時間

    48 時間

    1.20

    1.29

    1.02

    1.11

    0.94

    0.82

    0.82

    結 論 2000 mg/kg 群では投与後 48 時間に,MNPCE の出現頻度増加が散見されたが,

    対照群との間に有意差は認められなかった。

    本試験条件下では,染色体異常誘発作用は認められなかったと結論される。

    /:実施せず (中央値表示)

    MNPCE:小核を有する多染性赤血球,PCE:多染性赤血球, NCE:正染性赤血球

    SSV(Standard Suspension Vehicle):0.5% Na-carboxymethyl cellulose, 0.4% Tween 80,

    0.5% benzyl alcohol, 0.9% NaCl

    統計学的処理:Mann-Whitney-U 検定,*:p≦0.05, **:P≦0.01

  • - 290 -

    表ニ-23 哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験 (評価資料ニ-4-4)

    報告者(実施施設)

    被験細胞 V79 (チャイニーズハムスター肺細胞)

    試験系 薬物処理時間は代謝非活性化(-)では 16 時間,代謝活性化(+)では 5 時間とし,細胞

    生存率(細胞毒性)及び選択培地での増殖(変異原性)を調べた。

    被験物質 代謝 用量 細胞生存率(%) 突然変異細胞数 b 突然変異出現頻度

    活性化 (μg/mL) 相対生存率 a

    (2 日目)

    播種効率 c

    (7 日目)

    (7 日目) /106細胞 (7 日目)

    溶媒 - 0 100 122 0.4 5.1

    1

    カペシタビン

    100

    300

    1000

    3000

    90

    98

    96

    47

    107

    138

    125

    131

    0

    0.3

    0.3

    0.3

    <1.2

    2.7

    3.0

    2.9

    EMS - 80 85 108 12.9 178.6

    溶媒 - 0

    0

    100

    100

    94

    93

    0.6

    0.3

    6.2

    2.7

    2

    カペシタビン

    1500

    1500

    2000

    2000

    3000

    3000

    4000

    4000

    100

    100

    89

    97

    64

    61

    51

    42

    91

    91

    87

    83

    81

    85

    80

    84

    0.2

    1.2

    0.9

    0.7

    0.0

    0.3

    0.8

    0.1

    1.8

    12.9

    10.5

    8.0

    <1.0

    3.9

    9.4

    1.0

    EMS - 80 100 79 11.3 144.4

    溶媒:カペシタビン,陽性対照ともに DMSO,EMS:ethylmethanesulfonate,

    a:100 細胞/dish で播種

    b:実験 1は 67000 細胞/dish で播種,実験 2は 105細胞/dish で播種

    c:実験 1は 67 細胞/dish で播種,実験 2は 100 細胞/dish で播種

    統計学的処理;Kruskal-Wallis 検定+Mann-Whitney U 検定,*: p≦0.05,**:p≦0.01(陽性対照は実施せず)

    (次ページにつづく)

  • - 291 -

    (つづき)

    被験物質 代謝 用量 細胞生存率(%) 突然変異細胞数 b 突然変異出現頻度

    活性化 (μg/mL) 相対生存率 a

    (2 日目)

    播種効率 c

    (7 日目)

    (7 日目) /106細胞 (7 日目)

    溶媒 + 0 100 128 0.3 2.9

    1

    カペシタビン

    100

    300

    1000

    3000

    5000

    100

    95

    100

    100

    50

    115

    106

    117

    135

    102

    0.0

    0.3

    0.6

    0.2

    0.4

    <1.1

    4.7

    7.4

    1.8

    6.1

    DMBA + 0.5 94 144 8.2 84.9

    溶媒 + 0

    0

    100

    91

    93

    85

    0.4

    0.3

    4.5

    3.9

    2

    カペシタビン

    2000

    2000

    4000

    4000

    5000

    5000

    100

    100

    93

    95

    80

    92

    95

    95

    85

    88

    99

    94

    1.2

    0.0

    0.8

    0.2

    1.2

    0.8

    12.3

    <0.9

    8.9

    1.9

    11.8

    8.8

    DMBA + 0.5 85 95 6.0 63.3

    結 論 本試験条件下で遺伝子突然変異誘発作用なし

    溶媒:カペシタビン,陽性対照ともに DMSO,DMBA:9,10-dimethyl-1,2-benz(a)anthracene

    a:100 細胞/dish で播種

    b:実験 1は 67000 細胞/dish で播種,実験 2は 105細胞/dish で播種

    c:実験 1は 67 細胞/dish で播種,実験 2は 100 細胞/dish で播種

    統計学的処理;Kruskal-Wallis 検定+Mann-Whitney U 検定,*: p≦0.05,**:p≦0.01(陽性対照は実施せず)

  • - 292 -

    5. がん原性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-5-1

    本薬は 3種の酵素(カルボキシルエステラーゼ,シチジンデアミナーゼ及びピリミジンヌクレオシドホ

    スホリラーゼ(ヒトではチミジンホスホリラーゼ))により,順次代謝され,5-FU に変換されるが,動物種

    によってこれら酵素の組織及び活性分布に差があることが認められている。ラットでは,シチジンデア

    ミナーゼがサル,マウスに比較し低活性であり, 5’-DFCR から 5’-DFUR への変換が少ないことが示され,

    26 週間までの反復投与で極軽度の毒性が認められたのみであった。がん原性の予備試験として実施され

    たラット 13 週間混餌経口投与試験参ニ-5-1)では,540 mg/kg/日まで投与し,造血系及び消化管での軽微か

    ら軽度な変化のみが認められた。同時に実施したトキシコキネティクス試験では,活性前駆体である

    5’-DFUR 血中濃度は 5’-DFCR の約 1/50 以下の低濃度で推移した。一方,マウスでは,3種のカペシタビン

    代謝酵素を全て有することが報告されており,がん原性予備試験として実施した 13 週間混餌経口投与試

    験参ニ-5-2)でも,カペシタビンが効率よく代謝されることが確認された。これらの結果を基に,がん原性試

    験の動物種としてはラットよりマウスが適切と判断され,マウスを用いた 24 ヵ月間がん原性試験が実施

    された。

    5-1. マウスにおける 24 ヵ月間混餌経口投与毒性試験・・・・・・・評価資料ニ-5-1,参考資料ニ-5-3

    1 群雌雄各 50 匹の BDF1 系マウス(対照群 2 群設定)にカペシタビンを 0,30,60,90 mg/kg/日の用量

    で 24 ヵ月間混餌経口投与を行った。

    投与用量はマウスを用いた 13 週間混餌投与がん原性予備試験参ニ-5-2)の結果に基づき設定した。がん原

    性予備試験は,0, 90, 180, 360/250 mg/kg/日(投与 16 日目から 5日間休薬し,21 日目より 250 mg/kg/

    日に減量)の投与量で行なわれ,中・高用量群で体重増加抑制,リンパ・造血系臓器,消化管,生殖器系

    臓器の退行性変化などが認められた。低用量では体重の変化はなく,貧血,脾臓での造血亢進などが軽

    度に認められたのみであった。これらの成績より,本試験の投与量は 0(対照群-1, 対照群-2), 30, 60, 90

    mg/kg/日と設定された。試験方法及び成績は「表ニ-24a,24b」に示す。

    30 mg/kg/日群以上で MCV・MCH の高値,60 mg/kg/日以上で胸腺相対重量の減少,90 mg/kg/日群で貧

    血,血小板数の増加,胸腺絶対重量減少,精巣絶対・相対重量の減少が認められた。死亡率,一般症状,

    体重,摂餌量,腫瘍数/担腫瘍動物数,腫瘍発生時期に薬物による影響は認められず,病理組織学的検査

    において,薬物関連の腫瘍性変化及び非腫瘍性変化の増加はなかった。90 mg/kg/日群では雄で細気管支・

    肺胞腺腫の,雌では組織球肉腫の発生率が対照群-1 に比べ有意に低値であった。

    以上, 90 mg/kg/日までの用量で本薬をマウスに 24 ヵ月間投与した時,腫瘍の誘発あるいは腫瘍発生

    時期の早期化はなく,本試験条件下でがん原性は認められなかった。

  • - 293 -

    表ニ-24a マウスにおける 24 ヵ月間混餌経口投与毒性試験 (評価資料ニ-5-1,参考資料ニ-5-3)

    報告者(実施施設) 試

    動物

    薬物

    投与経路

    投与量

    投与期間

    BDF1 系マウス, 5 週齢, 体重:雄 19~24 g, 雌 16~20 g, 1 群雌雄各 50 匹

    カペシタビン

    経口(混餌)投与

    0(対照群 1),0(対照群 2),30, 60, 90 mg/kg/日

    24 ヵ月間

    投与量(mg/kg/日) 0 (対照群 1)

    0 (対照群 2)

    30 60 90

    薬物摂取量 a ♂

    (mg/kg/日) ♀

    0

    0

    0

    0

    31.2±2.0

    30.2±1.6

    62.7±3.8

    62.2±3.6

    93.1±6.3

    93.0±5.7

    評価動物数 ♂50,♀50 ♂50,♀50 ♂50,♀50 ♂50,♀50 ♂50,♀50

    死亡数(%)b, c ♂7(14) ♀14(28)

    ♂4(8)

    ♀14(28)

    ♂6(12)

    ♀16(32)

    ♂7(14)

    ♀15(30)

    ♂3(6)

    ♀8(16)

    試 一般症状 b, c, g, h ― ― ― ― ―

    体重 a, h ― ― ― ― ―

    験 摂餌量 a, h ― ― ― ― ―

    血液学的検査 a, d, h

    ― ― ♀:MCV・MCH↑ ♂: MCV・MCH↑

    ♀: 赤血球数↓,

    MCV・MCH↑

    ♂:赤血球数・血色素

    量・血球容積↓

    MCV・MCH↑,

    ♀:赤血球数↓,MCV・

    MCH↑,血小板数↑

    RBC(106/μL) ♂

    (24 ヵ月) ♀

    9.416±0.551

    9.269±1.202

    9.464±0.798

    9.148±1.185

    9.092±1.030

    8.882±0.969

    9.093±1.036

    8.747±0.460*

    8.260±1.119**

    8.383±0.762**

    MCV (fL) ♂ (24 ヵ月) ♀

    51.11±1.03

    51.15±3.23

    50.62±2.20

    51.80±4.01

    51.96±3.21

    52.90±1.94**

    52.28±2.30**

    53.81±1.60**

    54.23±3.63**

    54.71±1.71**

    MCH (pg) ♂ (24 ヵ月) ♀

    15.07±0.28

    15.20±0.76

    14.91±0.66

    15.36±0.89

    15.20±0.73

    15.71±0.52**

    15.43±0.64**

    16.03±0.52**

    15.91±0.78**

    16.30±0.40**

    血小板数(103/μL)♂

    (24 ヵ月) ♀

    1805.5±203.3

    1138.2±256.6

    1693.5±383.7

    1186.7±285.0

    1874.8±353.7

    1208.8±172.7

    1874.7±292.3

    1209.8±228.4

    1882.4±172.0

    1297.7±210.1**

    腫瘍発生時期 ― ― ― ― ―

    腫瘍数/担腫瘍動物数 ― ― ― ― ―

    臓器重量 a, e, h ― ♂:胸腺↓ (相対)

    ♂:胸腺・精巣↓

    (絶対・相対)

    胸腺 (mg) ♂ ♀

    9.4±3.1

    10.7±3.7

    10.0±4.3

    11.5±3.6

    8.8±3.2

    20.9±53.9

    8.2±3.0

    14.2±10.6

    7.8±3.1*

    11.8±5.9

    精巣(mg) 右 左

    113.2±12.6

    109.7±9.5

    108.9±12.8

    108.4±17.7

    113.1±12.0

    110.2±14.8

    109.3±12.0

    106.9±13.6

    107.7±11.4*

    104.2±8.7**

    病理組織学的検査 f 薬物関連性の腫瘍性変化なし# (90 mg/kg/日群:♂細気管支-肺胞腺腫,♀組織球肉腫の発生率が有意に低下)

    薬物関連性の非腫瘍性変化なし

    結論 本試験条件下で癌原性なし

    ―:特記すべき所見なし, ↑:増加, ↓:減少, (平均値±標準偏差表示)

    本試験では対照群を 2群(対照群 1,対照群 2:いずれも無処置対照群)を設定した。

    #:諸臓器の腫瘍発生頻度は表ニ-24b を参照

    統計学的処理:a; t検定+F検定 b; Fisher-Irwin検定 c; 2×k分割表のための exact rank sum検定,

    d;2×k分割表のための Fisher-Irwin exact検定を用いた Pitman検定, e; 共変量分析

    f; Fisherの正確検定, g; 正確傾向検定, h;Jonckheereの用量反応検定

    *:p≦0.05,**:p≦0.01

  • - 294 -

    表ニ-24b マウスがん原性試験における諸臓器の腫瘍発生数

    ♂ ♀ 投与量(mg/kg/日)

    0 0 30 60 90 0 0 30 60 90

    動物数 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50

    副腎 検査数

    褐色細胞腫

    50

    1

    50

    0

    49

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    腹腔 検査数

    血管肉腫

    0

    0

    1

    1

    1

    0

    1

    0

    1

    0

    2

    0

    0

    0

    1

    0

    1

    0

    0

    0

    頭蓋骨 検査数

    骨腫

    0

    0

    0

    0

    1

    1

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    精巣上体 検査数

    血管肉腫

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    1

    50

    0

    - - - - -

    大腿骨+骨髄 検査数

    血管腫

    骨腫

    血管肉腫

    50

    1

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    50

    0

    1

    1

    50

    0

    0

    1

    50

    0

    0

    1

    49

    0

    0

    1

    48

    0

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    ハーダー腺 検査数

    腺腫

    腺癌

    50

    1

    0

    50

    2

    0

    50

    2

    0

    50

    3

    0

    50

    4

    0

    50

    3

    1

    50

    0

    0

    50

    3

    0

    50

    1

    0

    50

    4

    0

    心臓 検査数

    血管腫

    50

    2

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    血液リンパ細網系 検査数

    肥満細胞腫

    悪性リンパ腫

    組織球肉腫

    50

    0

    4

    4

    50

    0

    3

    3

    50

    1

    4

    2

    50

    0

    4

    5

    50

    2

    3

    2

    50

    0

    6

    16

    50

    0

    9

    15

    50

    0

    8

    12

    50

    1

    6

    11

    50

    0

    6

    6*

    腎臓 検査数

    乳頭腫

    移行上皮癌

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    1

    50

    0

    0

    50

    1

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    大腸 検査数

    平滑筋腫

    50

    0

    49

    0

    49

    0

    48

    0

    50

    0

    50

    0

    49

    1

    49

    0

    50

    0

    49

    0

    肝臓 検査数

    肝細胞腺腫

    血管腫

    肝細胞癌

    血管肉腫

    肝芽細胞腫

    50

    10

    1

    3

    2

    0

    50

    9

    0

    3

    5

    0

    50

    20*

    2

    1

    1

    1

    50

    12

    2

    7

    5

    0

    50

    10

    3

    3

    1

    0

    50

    1

    4

    2

    2

    0

    50

    0

    5

    1

    4

    0

    50

    3

    2

    1

    1

    0

    50

    0

    3

    1

    3

    0

    50

    1

    3

    1

    2

    0

    肺(気管支) 検査数

    細気管支・肺胞腺腫

    細気管支・肺胞癌

    腺房細胞癌

    50

    11

    3

    0

    50

    10

    5

    0

    50

    13

    0*

    0

    50

    10

    4

    0

    50

    4*

    2

    0

    50

    3

    0

    1

    50

    1

    2

    0

    50

    1

    0

    0

    50

    2

    4

    0

    50

    0

    2

    0

    リンパ節 検査数

    血管腫

    50

    0

    48

    0

    49

    1

    49

    0

    48

    1

    49

    0

    50

    1

    49

    0

    50

    1

    48

    0

    乳腺 検査数

    腺腫

    腺癌

    6

    0

    0

    6

    0

    0

    8

    0

    0

    9

    0

    0

    9

    0

    0

    40

    1

    1

    40

    0

    0

    42

    0

    1

    42

    0

    0

    39

    0

    2

    鼻腔 検査数

    悪性シュワン細胞腫

    50

    0

    50

    1

    49

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    卵巣 検査数

    管状腺腫

    嚢胞腺腫

    血管腫

    血管肉腫

    - - - - - 49

    0

    1

    0

    0

    50

    1

    1

    0

    1

    49

    0

    0

    1

    0

    50

    0

    1

    1

    0

    50

    0

    3

    0

    0

    統計学的処理:Fisher の正確検定,Peto 検定,*:p<0.05 (次ページにつづく)

  • - 295 -

    (つづき)

    ♂ ♀ 投与量(mg/kg/日)

    0 0 30 60 90 0 0 30 60 90

    動物数 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50

    卵管 検査数

    腺腫

    - - - - - 0

    0

    0

    0

    0

    0

    1

    1

    0

    0

    膵臓 検査数

    島細胞腺腫

    血管腫

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    49

    0

    1

    50

    1

    0

    49

    1

    0

    49

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    49

    0

    0

    下垂体 検査数

    前葉腺腫

    中間部腺腫

    中間部癌

    50

    0

    0

    1

    50

    1

    0

    0

    50

    0

    1

    0

    50

    1

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    49

    5

    1

    0

    48

    3

    0

    0

    50

    2

    1

    0

    50

    0*

    0

    0

    48

    4

    0

    0

    骨格筋 検査数

    血管腫

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    1

    50

    0

    50

    0

    皮膚 検査数

    血管腫

    乳頭腫

    毛嚢上皮腫

    血管肉腫

    50

    2

    0

    0

    0

    50

    0

    0

    1

    0

    50

    0

    1

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    1

    50

    0

    0

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    2

    50

    0

    0

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    0

    50

    0

    0

    0

    0

    十二指腸 検査数

    腺癌

    50

    0

    49

    0

    48

    0

    48

    0

    49

    0

    48

    0

    45

    0

    48

    0

    48

    0

    48

    1

    回腸 検査数

    血管肉腫

    50

    1

    49

    0

    48

    0

    47

    0

    48

    0

    48

    0

    47

    0

    48

    0

    48

    0

    48

    0

    空腸 検査数

    腺癌

    50

    0

    49

    0

    48

    1

    48

    0

    48

    1

    48

    0

    47

    0

    48

    0

    49

    0

    48

    0

    脾臓 検査数

    血管腫

    血管肉腫

    50

    0

    0

    50

    0

    3

    50

    1

    1

    50

    0

    1

    50

    0

    2

    49

    0

    1

    50

    0

    1

    50

    0

    3

    50

    1

    0

    50

    0

    0

    胸骨 検査数

    骨腫

    血管肉腫

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    1

    50

    0

    1

    50

    0

    0

    50

    1

    1

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    胃 検査数

    腺癌

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    48

    0

    49

    1

    50

    0

    49

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    精巣 検査数

    ライディッヒ細胞腫

    50

    0

    50

    0

    50

    0

    50

    1

    50

    0

    - - - - -

    甲状腺 検査数

    C 細胞腺腫

    濾胞細胞癌

    50

    0

    1

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    0

    0

    50

    1

    0

    50

    0

    0

    脛骨 検査数

    骨肉腫

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    0

    1

    1

    子宮 検査数

    血管腫

    平滑筋腫

    子宮内膜間質ポリープ

    子宮内膜間質肉腫

    -

    - - - - 50

    1

    0

    1

    0

    50

    0

    1

    0

    0

    50

    0

    1

    2

    1

    50

    0

    0

    2

    0

    50

    0

    0

    0

    1

    膣 検査数

    膣間質ポリープ

    - - - - - 50

    0

    50

    0

    50

    1

    50

    0

    50

    0

    統計学的処理:Fisher の正確検定,Peto 検定,*:p<0.05

  • - 296 -

    6. 局所刺激性

    本薬の臨床適用経路は経口であることから,局所刺激性試験は実施しなかった。

    7. その他の毒性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-1~5,参考資料ニ 7-1

    その他の毒性試験として,モルモット及びマウスにおける抗原性試験,代謝物である n-ペンチルアルコ

    ールのラット 2 週間静脈内投与毒性試験,不純物のマウス 4 週間経口投与毒性試験,不純物の遺伝毒性

    試験(Ames 試験及び染色体異常試験)を実施した。また,カペシタビンの代謝物の 1 つであり,類薬で

    もある 5’-DFUR(ドキシフルリジン)との毒性比較をサルを用いた 4週間経口投与試験に基づき行った。

    7-1. 依存性 カペシタビンはマウス及びサルを用いた反復投与試験及び一般薬理試験において,中枢神経作用を示

    唆する所見はみられていないため,依存性試験は実施しなかった。

    7-2. 抗原性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-1

    カペシタビンの抗原性を検討するため,モルモットにおける能動全身アナフィラキシー試験(ASA 試験)

    及びマウスにおけるラット受身皮膚アナフィラキシー試験(PCA 試験)を行った。また,モルモット及びマ

    ウスで酵素免疫測定法(ELISA)による特異的 IgG 抗体の測定を行った。

    7-2-1. モルモットにおける抗原性試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-1

    1 群 5~10 匹のハートレー系雄モルモットにカペシタビン単独,カペシタビン-蛋白質(GPSA)混合液,

    カペシタビン-蛋白質(GPSA)結合物をそれぞれ,30, 3, 1 mg/匹/回の用量でアジュバントと共に 2 週間

    おきに 3回免疫した。最終免疫より 6日目に採血し,血清を ELISA による特異的 IgG 抗体測定に供した。

    また,最終免疫より 8日目に ASA 試験を実施し,全身性アナフィラキシー反応の発現の有無を検討した。

    ASA 試験の惹起抗原としては,カペシタビン単独またはカペシタビン-蛋白質(MSA)結合物を各々,30 mg/

    匹,1 mg/匹で用いた。試験方法及び成績を「表ニ-25」に示す。

    ASA 試験においては,カペシタビン単独免疫群及びカペシタビン-蛋白質混合液免疫群で,アナフィラ

    キシー反応の発現は認められなかった。

    特異的抗体測定においては,カペシタビン-蛋白質(GPSA)混合液をアジュバントと共に免疫した群で,

    1/10 例に抗カペシタビン抗体(IgG 型抗体,抗体価:22)が検出されたが,カペシタビン単独免疫群では抗

    体価の上昇はみられなかった。

    7-2-2. マウスにおける抗原性試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-1

    1 群 10 匹の C57BL/6Cr 系雄マウスにカペシタビン単独(1500μg/匹/回)又はカペシタビン-蛋白質

    (GPSA)混合液(150 又は 15μg/匹/回)をアジュバントと共に 2 週間ごとに 3 回免疫した。最終免疫から 6

    日後に採血し,血清を ELISA による特異的 IgG 抗体測定に供した。また,同血清にて PCA 試験を行い,

    blue spot の発現の有無を確認した。PCA 試験の惹起抗原としては,カペシタビン-蛋白質(MSA)結合物を

    1 mg/匹で用いた。試験方法及び成績を「表ニ-26」に示す。

    PCA 試験においては,いずれのカペシタビン免疫群においても blue spot は観察されなかった。

    特異的抗体測定においては,カペシタビン-蛋白質(GPSA)混合液(15μg/匹/回)をアジュバントと共に

    免疫した群で, 1/10 例に抗カペシタビン抗体(IgG 型抗体,抗体価:23)が検出されたが,その他のカペ

    シタビン免疫群では抗体価の上昇はみられなかった。

    本試験条件下ではカペシタビン-蛋白質(GPSA)混合液群で特異的抗体(IgG 型抗体)の上昇が認められ,

    カペシタビンに非常に弱い抗原性が認められたが,抗体上昇例は 1/10 例と少なく,その抗体価も低かっ

    た。

  • - 297 -

    以上,モルモット及びマウスを用いた抗原性試験においてカペシタビン-蛋白質混合液の免疫により,

    非常に弱い免疫原性が認められたが,抗体産生が認められた例は少数であり,抗体価の上昇も極軽度(22

    ~23)であった。モルモットにおいては,カペシタビン-蛋白質結合物の免疫(被験薬物陽性対照群)により

    抗体が産生された場合にも,カペシタビン単独ではアナフィラキシー反応を誘発することはなかった。

    マウスにおいても,PCA 試験が陰性であったことから,カペシタビン免疫群(カペシタビン単独及びカペ

    シタビン-蛋白質混合液免疫群)でアナフィラキシー反応に関与する IgE 型抗体の産生はないと考えられ

    た。以上より,本薬を臨床で使用した場合,重篤なアレルギー反応の惹起はないものと推察される。

    7-3. 代謝物の毒性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・参考資料ニ-7-1

    カペシタビンは最初の代謝ステップにおいてアルコール側鎖である n-ペンチルアルコールと 5’-DFCRに代謝される。代謝物の毒性を検討するため,n-ペンチルアルコールのラットを用いた 2 週間の静脈内

    投与試験を行った。

    7-3-1. ラットにおける n-ペンチルアルコールの 2週間静脈内投与試験・・・・・・・参考資料ニ-7-1

    1 群雄 5 匹の SD 系ラットに n-ペンチルアルコールを 0,88 mg/kg/日の用量で週 7回,2週間静脈内投

    与を行った。

    投与用量には,カペシタビンのサル 4 週間経口投与試験の最高用量である 1 mmol/kg/日(359 mg/kg/

    日)を投与した時,カペシタビンより生成される n-ペンチルアルコールの用量 1 mmol/kg/日(88 mg/kg/

    日)が選択された。n-ペンチルアルコール 88 mg/kg/日の静脈内投与により,臨床条件下(約 0.2 mmol/kg/

    日;海外臨床試験投与量)の少なくとも 5 倍の血中濃度に達すると推定された。試験方法及び成績を「表

    ニ-27」に示す。

    n-ペンチルアルコール投与群において一過性のよろめき歩行,尾(投与部位)の腫脹及び部分的壊死,

    体重増加抑制傾向,摂餌量の減少,貧血,肝臓重量の減少さらに,肝機能の低下がうかがわれるアルブ

    ミン・総タンパク質・A/G 比の減少が認められた。しかしながらこれらの変化はいずれも極軽度から軽度

    であり,病理組織学的検査においては異常所見を認めなかった。

    以上のように n-ペンチルアルコールの 2 週間静脈内投与により,薬物に起因する重篤な毒性は認めら

    れなかった。

    7-4. 不純物の毒性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-2~5

    不純物(分解生成物及び原薬混在物)の毒性試験として,カペシタビンの原薬に含まれると予想される 8

    種類の不純物( R-1 , R-2 , R-3 , R-4 , R-5 , R-6 , R-7 ,

    R-8 )を含有するカペシタビンで,マウスの 4週間経口投与毒性試験,細菌を用いた復帰突然変異

    試験及びヒトリンパ球を用いた染色体異常試験を実施した。4 週間試験においては総不純物 6.07%(各不

    純物の設定値 1.0%)及び 3.94%含有カペシタビン(各不純物の設定値 0.3%)が,復帰突然変異試験及び染色

    体異常試験には総不純物 3.94%含有カペシタビンがそれぞれ用いられた。

    また,合成中間体( R-9 , R-10 )及び光学異性体( R-11 , R-12 )の 4 種の不純

    物を設定値 0.3,0.5% (低濃度),設定値 1.0 又は 1.5% (高濃度)で含有するカペシタビンにて,マウス

    の 4週間経口投与毒性試験を実施した。

    各試験では不純物を 0.37%以下の割合で含有するカペシタビン(カペシタビン単独と表現)についても

    同様に実験を行い,不純物添加による毒性の増強及び新規毒性発現の有無について検討がなされた。

  • - 298 -

    7-4-1. 8 種の不純物含有カペシタビンのマウスにおける 4週間経口投与試験(総不純物量 3.94 及び 6.07%)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-2

    1 群雌雄各 12 匹の BDF1 系マウスに 8種の不純物( R-1 , R-2 , R-3 , R-4 ,

    R-5 , R-6 , R-7 , R-8 )を総量として 3.94%又は 6.07%の割合で含有するカ

    ペシタビンを 200 mg/kg/日の用量で,週 7 回,4 週間経口投与した。また,カペシタビン単独について

    も同様に実験を行った。

    含有する不純物の毒性を明らかにすることを目的としている試験であることから,カペシタビンの投

    与用量はほとんど毒性を示さないと考えられる用量,200 mg/kg/日が選択された。本試験における各不

    純物の設定値 0.3%及び 1.0%は,臨床条件下の推定最大摂取量の約 1.8 倍及び 13 倍に相当する。試験方

    法及び成績を「表ニ-28」に示す。

    いずれの群においても死亡発現はみられず,一般症状,体重,摂餌量及び血液生化学的検査に薬物に

    関連した所見はなかった。全カペシタビン投与群において赤血球数の軽度減少,MCV・MCH・赤血球分布幅

    の軽度増加,雄における胸腺重量の軽度減少が観察されたが,剖検,病理組織学的検査において異常は

    認められなかった。

    以上, 8 種類の不純物の添加によるカペシタビンの毒性の増強あるいは新規毒性の発現は認められな

    かった。

    7-4-2. 8 種の不純物含有カペシタビンの細菌を用いた復帰突然変異試験(総不純物量 3.94%) ・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-3

    8 種の不純物( R-1 , R-2 , R-3 , R-4 , R-5 , R-6 , R-7

    , R-8 )を総量として 3.94%の割合で含有するカペシタビン及びカペシタビン単独の復帰突然

    変異試験を,ネズミチフス菌(TA97,TA98, TA100, TA102,TA1535)を用い,プレート法及びプレイン

    キュベーション法にて実施した。

    試験用量は用量設定試験の結果に基づき設定した。用量設定試験は TA100 を用い,代謝活性化系非存

    在下で最高用量 5000μg/plate まで実施した。333μg/plate 以上で毒性が認められたことから,プレー

    ト法では代謝活性化系非存在下及び存在下で 10~333μg/plate までの 4用量が設定された。先に実施さ

    れた復帰突然変異試験評ニ-4-1)ではプレインキュベーション法でプレート法より若干強い毒性が観察され

    たことから,プレインキュベーション法では 1~100μg/plate までの 4 用量が設定された。カペシタビ

    ン単独は各実験の最高用量のみで試験が実施された。試験方法及び成績は「表ニ-29」に示す。

    いずれのバッチにおいても,プレート法及びプレインキュベーション法ともに,代謝活性化系非存在

    下及び存在下で復帰変異コロニーの増加は認められなかった。これより,本試験条件下において,8種の

    不純物及びそのラット肝代謝物は遺伝子突然変異誘発作用を有しないと結論された。

    7-4-3. 8 種の不純物含有カペシタビンのヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(総不純物量 3.94%) ・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-4

    8 種の不純物( R-1 , R-2 , R-3 , R-4 , R-5 , R-6 , R-7

    , R-8 )を総量として 3.94%の割合で含有するカペシタビン及びカペシタビン単独の染色体異

    常試験をヒト末梢リンパ球を用い,直接法(S-9 mix 非添加)及び代謝活性化法(S-9 mix 添加)にて実施し

    た。

    用量は先に行なわれた染色体異常試験評ニ-4-2)及び不純物含有カペシタビンを用いた用量設定試験の結

    果に基づき設定された。先の染色体異常試験においては,代謝活性化法の 3600μg/mL まで細胞毒性は認

    められなかったが,直接法では 24 時間処理の 250μg/mL より細胞毒性が認められた。用量設定試験は代

    謝活性化法では 192~3000μg/mL,直接法では 77~1200μg/mL で実施され,用量設定試験でみられた細

  • - 299 -

    胞毒性の成績を基に本試験の濃度が設定された。本試験においては代謝活性化法では 480~3000μg/mL

    の 3 用量,直接法では 77~480μg/mL の 3 用量が選択された。また,カペシタビン単独の試験は代謝活

    性化法は 3000μg/mL で,直接法は 480μg/mL で行なわれた。薬物処理時間は代謝活性化法では 5 時間,

    直接法では 24 時間とした。試験方法及び成績は「表ニ-30」に示す。

    細胞毒性は直接法 480μg/mL で認められ,不純物を有するカペシタビンのみで構造異常を有する細胞

    数の有意な増加(p<0.05)が認められた。先の染色体異常試験においては,カペシタビン単独の 500μg/mL

    で有意な染色体異常の増加が認められており,不純物添加カペシタビン(480μg/mL)で有意な染色体異常

    の増加があったことと一致する。従って,本試験の結果は含有される不純物の遺伝毒性を示すものでは

    ないと考えられ,カペシタビン単独で遺伝毒性がみられなかったことは生物学的変動によると推察され

    た。代謝活性化法においては,いずれの用量においても染色体異常を有する細胞数の増加はなかった。

    以上より,カペシタビンに含有される 8 種の不純物による染色体異常誘発作用の増強はないと結論さ

    れた。

    7-4-4. 4 種の不純物含有カペシタビンのマウスにおける 4週間経口投与毒性試験・・・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・評価資料ニ-7-5

    1 群雌雄各 12 匹の BDF1 系マウスに,4種の不純物( R-9 , R-10 , R-11 , R-12 )

    を低濃度(各不純物の設定値 0.3 又は 0.5%)又は高濃度 (各不純物の設定値 1.0 又は 1.5%)で含有するカ

    ペシタビンを 200 mg/kg/日の用量で,週 7回,4週間経口投与した。また,カペシタビン単独(200mg/kg/

    日)についても同様に実験を行った。

    含有する不純物の毒性を明らかにすることを目的としている試験であることから,カペシタビンの投

    与用量はほとんど毒性を示さないと考えられる用量,200 mg/kg/日が選択された。本試験における各不

    純物の設定値(0.3%~1.5%)は,臨床条件下の推定最大摂取量の約 3~10 倍に相当する。試験方法及び成

    績を「表ニ-31」に示す。

    いずれの群においても死亡発現はみられず,一般症状,体重,摂餌量及び血液生化学的検査に薬物に

    関連した所見はなかった。全カペシタビン投与群において赤血球数の軽度減少,MCV・MCH・赤血球分布幅

    の軽度増加が,また,高用量群雄において胸腺重量の軽度減少が観察されたが,剖検,病理組織学的検

    査に異常を認めなかった。

    以上,4種類の不純物の添加によるカペシタビンの毒性の増強あるいは新規毒性の発現は認められなか

    った。

    7-5. 類薬との比較毒性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・参考資料ニ-7-2 カペシタビンはカルボキシルエステラーゼ,シチジンデアミナーゼ,ピリミジンヌクレオシドホスホ

    リラーゼ(ヒトではチミジンホスホリラーゼ)によって順次変換され腫瘍選択的に活性化されるよう設計

    されているが,これらの酵素の活性及び組織分布には種差が認められている。サルはヒトと類似した分

    布及び活性を有しており,マウスも酵素の組織分布がヒトとは異なるものの,3種の酵素を全て有するこ

    とから,効率良く代謝が行われるものと考えられた。一方,ラットにおいてはシチジンデアミナーゼ活

    性が低く,5’-DFCR から 5’-DFUR へほとんど変換されないことが示唆された。このような代謝酵素の種差を考慮した時,カペシタビンの毒性評価にはサル及びマウスが適した種であり,特にサルが最適である

    と考えられた。これより,類薬であり,カペシタビンの代謝物の 1 つでもある 5’-DFUR との毒性比較を,サルを用いた 4週間経口投与試験をもとに行った。なお,カペシタビンと 5’-DFUR からは,いずれも 1モル当たりフルオロウラシル 1モルが生成され,比較する際の用量にはモル換算量を用いた。

  • - 300 -

    7-5-1. サルにおける 4週間経口投与比較毒性試験・・・・・・・・・・・・・・・・・参考資料ニ-7-2 5’-DFUR を 1 群 3 頭の雄カニクイザルに 61.5 及び 123 mg/kg/日の用量(各々,0.25, 0.5 mmol/kg/日

    に相当)で,4週間経口投与を行い,カペシタビンのサル 4週間投与試験の成績評ニ-2-3)と比較した。

    用量設定は,カペシタビン及び 5’-DFUR ともに,先行して行なわれた N4-alkoxycarbonyl-5’-DFCR 誘導体の開発候補薬で行なわれたサル毒性試験の成績を基に設定され,カペシタビンは 0.1, 0.5, 1.0

    mmol/kg/日(35.9, 179.5, 359 mg/kg/日), 5’-DFUR は,0.25, 0.5 mmol/kg/日(61.5, 123 mg/kg/日)で試験を行った。試験方法及び成績は「表ニ-32」に示す。

    カペシタビン投与群では 1 mmol/kg/日で軟便,下痢,嘔吐,体重減少が認められ,2/3 例が一般状態

    の悪化から切迫屠殺された。この群では更に,著明な白血球及び骨髄有核細胞数の減少がみられ,胸腺

    及び脾臓の重量が減少した。病理組織学的検査では消化器系及びリンパ・造血系臓器で中等度の退行性

    変化を主とした変化が認められた。0.5 mmol/kg/日では軟便,下痢,白血球数及び骨髄有核細胞数の減

    少が認められ,病理組織学的検査では 1 mmol/kg/日と同様の変化が観察されたが,出現頻度及び重篤度

    ともに 1 mmol/kg/日に比べ軽減されていた。

    5’-DFUR 投与群では 0.5 mmol/kg/日で軟便,下痢,自発運動の減少,削痩,体重減少等がみられ,一般

    状態の悪化から 3/3 例が切迫屠殺された。この群では著明な白血球数及び骨髄有核細胞数の減少に加え,

    病理組織学的検査で消化器系及びリンパ・造血系臓器に著しい退行性変化を主とした変化が認められた。

    0.25 mmol/kg/日では軟便,下痢,体重減少が認められ,1/3 例が一般状態の悪化から切迫屠殺された。

    白血球数及び骨髄有核細胞数の減少が認められ,病理組織学的検査において中等度の消化器系及びリン

    パ・造血系臓器の退行性変化がみられた。

    以上,カペシタビン及び 5’-DFUR の投与により,フッ化ピリミジン系薬剤に特徴的な消化器系及びリン

    パ・造血系臓器の退行性変化が観察されたが,両者の毒性をモル濃度を基にした投与量で比較した時,

    5’-DFUR の 0.25 mmol/kg/日がカペシタビンの 1 mmol/kg/日に相当し,カペシタビンは 5’-DFUR より 4 倍毒性が低いことが推察された。

  • - 301 -

    表ニ-25 モルモットにおける抗原性試験 (評価資料ニ-7-1)

    報告者 (実施施設)

    試験項目

    能動全身アナフィラキシー(ASA)試験

    血清中の特異的 IgG 抗体測定(酵素免疫測定法)

    薬物 被験薬物: カペシタビン 陽性対照薬物:PCG(ペニシリン G-K)

    試 動物 ハートレー系モルモット, 4 週齢雄, 体重 250~300 g, 5~10 匹/群

    投与量

    (免疫量)

    カペシタビン : 30 mg/匹, PCG : 30 mg/匹

    カペシタビン-GPSA 混合液 : 3 mg/匹, PCG-GPSA 混合液 : 3 mg/匹

    カペシタビン-GPSA 結合物 : 1 mg/匹(蛋白質量として)

    投与方法

    (免疫方法)

    カペシタビン, カペシタビン-GPSA 結合物, PCG は, アジュバント(Freund's

    adjuvant:FA) と共に皮内注射し, 2 週間後及び4週間後に追加免疫。

    カペシタビン-GPSA 混合液, PCG-GPSA 混合液は,アジュバント(水酸化アルミニウ

    ムゲル:Alum) と共に皮下注射し, 2 週間後及び 4週間後に追加免疫。

    ASA 試験 最終免疫より 8日目に各惹起抗原液を静脈内注射し, アナフィラキシー症状発現

    の有無を観察。

    惹起抗原量: カペシタビン単独;30 mg/匹

    カペシタビン-蛋白質(MSA)結合物; 1 mg/匹(蛋白質として)

    PCG-蛋白質(MSA)結合物;1 mg/匹(蛋白質として)

    特異的抗体測定 最終免疫より 6日目に採血し得た血清中の特異的 IgG 抗体を酵素免疫測定法で測

    定。

    ASA 試験 カペシタビン免疫群:

    薬物単独免疫群(惹起抗原:薬物単独)------------------------陰性

    薬物単独免疫群(惹起抗原:蛋白質結合物)--------------------陰性

    薬物・蛋白質混合液免疫群(惹起抗原:蛋白質結合物)----------陰性

    薬物・蛋白質結合物免疫群(惹起抗原:薬物単独)--------------陰性

    薬物・蛋白質結合物免疫群(惹起抗原:蛋白質結合物)----------陽性#

    PCG 免疫群:

    薬物単独免疫群(惹起抗原:蛋白質結合物)--------------------陽性

    薬物・蛋白質混合液免疫群(惹起抗原:蛋白質結合物)----------陽性

    特異的抗体測定

    (IgG)

    カペシタビン免疫群:

    薬物単独免疫群--------------------------------陰性

    薬物・蛋白質混合液免疫群----------------------1/10 例で陽性(抗体価:22)

    薬物・蛋白質結合物免疫群----------------------陽性#

    PCG 免疫群:

    薬物単独免疫群--------------------------------陽性(抗体価:213~216)

    薬物・蛋白質混合液免疫群----------------------陽性(抗体価:214~216)

    結 論 薬物・蛋白質混合液免疫群の 1例に極く弱い免疫原性(抗体価 22)が認められたが,

    カペシタビン単独群では免疫原性はなく,またアナフィラキシー反応の誘発もな

    かった。従って,臨床上問題となるアレルギー反応の惹起はないと考えられる。

    GPSA:モルモット血清アルブミン,MSA:マウス血清アルブミン

    #:薬物・蛋白質結合物とアジュバントで強制免疫した被験薬物陽性対照群。

  • - 302 -

    表ニ-26 マウスにおける抗原性試験 (評価資料ニ-7-1)

    報告者 (実施施設)

    試験項目 ラット受身皮膚アナフィラキシー(PCA)試験

    血清中の特異的 IgG 抗体測定(酵素免疫測定法)

    薬物 被験薬物: カペシタビン 陽性対照薬物:PCG(ペニシリン G-K)

    試 動物 C57BL/6Cr 系マウス,7週齢雄,体重 20.5~26.0 g, 10 匹/群

    投与量

    (免疫量)

    カペシタビン : 1500μg/匹 PCG-GPSA 混合液 : 15μg/匹

    カペシタビン-GPSA 混合液 : 15, 150μg/匹

    投与方法

    (免疫方法)

    カペシタビンは,アジュバント(Freund's adjuvant:FA) と共に皮下注射し, 2 週間

    後及び 4週間後に同様に追加免疫。

    カペシタビン-GPSA 混合液, PCG-GPSA 混合液は, アジュバント(水酸化アルミニウ

    ムゲル:Alum) と共に皮下注射し, 2 週間後及び 4週間後に同様に追加免疫。

    PCA 試験 最終免疫より 6 日後に得たマウス血清をラットに皮内注射。24 時間後, 各惹起抗

    原液 (Evans blue 含有)をラットに静脈内注射し, “blue spot”の発現を観察。

    惹起抗原量:各薬物の蛋白質(MSA)結合物を蛋白質量として 1 mg/匹

    特異的抗体測定 最終免疫より 6 日後に得たマウス血清中の特異的 IgG 抗体を酵素免疫測定法で測

    定。

    PCA 試験

    カペシタビン免疫群:

    薬物単独免疫群(惹起抗原:蛋白質結合物)----------------陰性

    薬物・蛋白質混合液免疫群(惹起抗原:蛋白質結合物)------陰性

    PCG 免疫群:

    薬物・蛋白質混合液免疫群(惹起抗原:蛋白質結合物)------陽性

    特異的抗体測定

    (IgG)

    カペシタビン免疫群:

    薬物単独免疫群----------------------------------------陰性

    薬物・蛋白質混合液免疫群(15μg/匹)--------------------1/10 例で陽性

    (抗体価:23)

    薬物・蛋白質混合液免疫群(150μg/匹)-------------------陰性

    PCG 免疫群:

    薬物・蛋白質混合液免疫群------------------------------陽性

    (抗体価:211~215)

    結 論 薬物・蛋白質混合液免疫群で極く弱い免疫原性(抗体価 23)が認められたが,PCA 試

    験が陰性であり,アナフィラキシー反応に重要な役割を果す IgE 型抗体の産生はな

    いと考えられた。従って,臨床上,問題となるアレルギー反応の惹起はないと考え

    られる。

    GPSA:モルモット血清アルブミン

    MSA:マウス血清アルブミン

  • - 303 -

    表ニ-27 ラットにおける n-ペンチルアルコールの 2週間静脈内投与試験 (参考資料ニ-7-1)

    報告者(実施施設) 試

    動物

    薬物

    投与経路

    投与量

    投与期間

    SD 系ラット,5週齢,体重:約 141~169 g,1 群雄 5匹

    n-ペンチルアルコール

    静脈内投与

    0(溶媒), 88 mg/kg/日,投与容量;0.5 mL/100 g

    2 週間

    投与量(mg/kg/日) 0 88

    試 死亡 0 0

    一般症状 a, b ―

    投与直後;よろめき歩行(投与後 1~2分で消失)

    尾:腫脹(投与 7日から), 部分的壊死(投与 10 日から)

    体重 c ― 増加抑制(極く軽度)

    成 摂餌量 c ― ↓(軽度:14 日目のみ)

    血液学的検査 c, d ― 血色素量・MCH・MCHC↓(極軽度)

    績 血液生化学的検査 c ― アルブミン・総タンパク質・A/G 比↓(軽度)

    尿検査 ― ―

    剖検 a, b ― ―

    臓器重量 c ― 肝臓↓(極軽度)

    病理組織学的検査 a, b

    (肝臓・腎臓のみ実施)

    ― ―

    結 論 n-ペンチルアルコールの 2週間静脈内投与により薬物に起因する重篤な毒

    性は認められなかった。

    ―:特記すべき所見なし, ↓:減少

    溶媒:生理食塩液

    統計学的処理:a;Fisher-Irwin 検定 b;2×k 分割表のための exact rank sum 検定, c;Pitman 検定,

    d;2×k 分割表のための Fisher-Irwin exact 検定を用いた Pitman 検定,

    *:p≦0.05,**:p≦0.01

  • - 304 -

    表ニ-28 8 種の不純物含有カペシタビンのマウスにおける 4週間経口投与試験

    (総不純物量 3.94 及び 6.07%) (評価資料ニ-7-2)

    報告者(実施施設)

    動物

    薬物

    投与経路

    投与量

    投与期間

    BDF1 系マウス, 約 6 週齢,体重:雄 20±5 g, 雌 17±5 g, 1 群雌雄各 12 匹

    カペシタビン,不純物( R-1 , R-2 , R-3 , R-4 , R-5 , R-6 , R-7 , R-8 ) 経口投与

    0(溶媒),カペシタビン(200mg/kg/日;単独としては総不純物 0.37%以下),

    カペシタビン(200 mg/kg/日)+総不純物 3.94%(各不純物の設定値 0.3%)

    カペシタビン(200 mg/kg/日)+総不純物 6.07% (各不純物の設定値 1.0%)

    投与容量;10 mL/kg

    4 週間

    投与量(mg/kg/日) 0 200+

    総不純物 3.94%

    200+

    総不純物 6.07%

    200 単独

    死亡 0 0 0 0

    試 一般症状 ― ― ― ―

    体重 ― ― ― ―

    験 摂餌量 ― ― ― ―

    血液学的検査 ― 赤血球数↓(軽度),MCV・MCH・赤血球分布幅↑(軽度)

    成 RBC (106/μL) ♂

    10.095±0.306

    9.855±0.352

    9.648±0.427**

    9.427±0.403**

    9.711±0.348*

    9.568±0.327*

    9.623±0.329**

    9.565±0.237*

    MCV (fL) ♂

    45.48±0.99

    46.24±0.38

    47.23±0.66**

    46.96±0.35**

    47.32±0.78**

    47.35±0.52**

    47.33±0.77**

    47.41±0.48**

    MCH (pg) ♂ ♀

    15.06±0.40

    15.38±0.14

    15.59±0.18**

    15.68±0.22**

    15.62±0.17**

    15.78±0.18**

    15.64±0.22**

    15.74±0.16**

    赤血球分布幅(%) ♂ ♀

    13.07±0.53

    13.48±0.36

    14.61±0.59**

    14.38±0.40**

    14.64±0.74**

    14.43±0.41**

    14.68±0.79**

    14.26±0.40**

    血液生化学的検査 ― ― ― ―

    剖検 ― ― ― ―

    臓器重量 ― ♂;胸腺↓(軽度)

    胸腺 (mg) ♂ ♀

    46±7

    65±7

    37±9**

    67±9

    40±7

    62±13

    39±8

    64±12

    病理組織学的検査 a, b ― ― ― ―

    結 果 8 種類の不純物添加に起因する毒性の増強あるいは新規毒性の発現はみられ

    なかった。

    ―:特記すべき所見なし, ↑:増加, ↓:減少 (平均値±標準偏差表示)

    溶媒:40 mM citrate buffer (5%アラビアゴム溶液中, pH 6)

    統計学的処理:F検定+t 検定/Satterthwaite の t 検定,*:p<0.05,**:p<0.01

    各不純物の投与量:

    総不純物 3.94%含有カペシタビン:

    総不純物 6.07%含有カペシタビン:

  • - 305 -

    表ニ-29 8 種の不純物含有カペシタビンの細菌を用いた復帰突然変異試験(総不純物量 3.94%) (評価資料ニ-7-3)

    報告者 (実施施設)

    試験系 プレート法

    試験物質 代謝 用量 復帰変異コロニー数/plate(平均値±標準偏差)

    活性化 (μg/plate) TA1535 TA97 TA98 TA100 TA102

    溶媒対照 - 0 16±4 270±8 16±5 174±8 361±12

    カペシタビン 10 15±3 252±7 12±2 175±12 355±5

    - 33 10±3 271±21 10±3 152±26 299±29

    100 5±4 309±32 9±2 157±26 203±7

    333A 0±0 117±116 1±1 94±5 0±1

    333B 5±1 256±17 10±3 170±1 255±31

    陽性対照

    sodium azide 1 1224±63 / / 686±1 /

    ICR 191 1 / 1313±8 / / / 2-NF - 0.5 / / 230±5 / /

    MMC 0.4 / / / / 1002±51

    溶媒対照 + 0 8±1 281±15 23±5 159±5 401±4

    カペシタビン 10 10±1 261±12 14±5 166±9 351±6

    33 7±4 68±29 19±1 181±8 332±18

    + 100 3±1 1±1 11±3 165±4 151±38

    333A 0±0 1±1 0±0 24±8 0±1

    333B 0±1 1±1 3±2 114±57 5±2

    陽性対照

    2-AA + 4 373±47 2567±137 3768±217 4363±118 1130±151

    - 4 31±8 286±4 19±4 201±4 350±18

    溶媒:カペシタビン;DMSO, MMC を除く陽性対照は DMSO, MMC はイオン交換水

    プレート数:3枚/用量(陽性対照は 2枚), /:実施せず

    2-NF:2-nitrofluorene,2-AA:2-aminoanthracene, MMC:mitomycin C

    A:総不純物 3.94%含有バッチ,B:総不純物 0.37%以下含有バッチ

    統計学的方法:実施せず

    (次ページにつづく)

  • - 306 -

    (つづき) 試験系 プレインキュベーション法

    試験物質 代謝 用量 復帰変異コロニー数/plate(平均値±標準偏差)

    活性化 (μg/plate) TA1535 TA97 TA98 TA100 TA102

    溶媒対照 - 0 14±1 182±4 23±5 128±13 325±33

    カペシタビン 3 13±1 176±5 22±9 137±14 321±27

    10 14±5 167±2 20±4 131±6 323±11

    - 33 8±3 202±11 19±4 125±16 284±22

    100A 3±2 184±10 19±6 112±17 175±15

    100B 13±1 182±13 20±4 131±13 305±24 陽性対照

    sodium azide 1 1033±68 / / 732±83 /

    ICR 191 1 / 3676±25 / / / 2-NF - 0.5 / / 369±34 / /

    MMC 0.4 / / / / 1061±35

    溶媒対照 + 0 7±2 210±4 20±4 139±14 407±17

    カペシタビン 1 4±4 221±9 19±1 126±18 394±18

    3 10±6 228±3 23±2 132±6 374±23

    + 10 8±2 278±28 21±3 137±13 389±11

    33A 8±1 4±4 22±3 129±13 310±23

    33B 5±2 4±5 22±6 122±4 325±9

    陽性対照

    2-AA + 4 358±8 2076±58 3693±194 4285±87 955±37

    - 4 16±3 205±1 28±0 167±33 311±16

    結 論 本試験条件下で 8種の不純物に遺伝子突然変異誘発作用なし。

    溶媒:カペシタビン;DMSO, MMC を除く陽性対照は DMSO, MMC はイオン交換水

    プレート数:3枚/用量(陽性対照は 2枚), /:実施せず

    2-NF:2-nitrofluorene,2-AA:2-aminoanthracene, MMC:mitomycin C

    A:総不純物 3.94%含有カペシタビン,B:総不純物 0.37%以下含有カペシタビン

    統計学的方法:実施せず

  • - 307 -

    表ニ-30 8 種の不純物含有カペシタビンのヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(総不純物量 3.94%)

    (評価資料ニ-7-4)

    報告者(実施施設)

    異常を有する細胞(%) 処理時間-

    回復時間(h)

    試験物質 代謝

    活性化

    用量

    (μg/mL)

    分析

    細胞数

    分裂指数

    (%) 構造 数的

    溶媒対照 - 0 200 7.4 1.5 0.0

    24-0

    カペシタビン

    -

    77

    192

    480A

    480B

    200

    189

    200

    100

    4.2

    2.3

    0.8

    2.2

    2.5

    2.6

    5.5*

    3.0

    0.0

    0.0

    0.0

    0.0

    陽性対照:bleomycin - 6 50 3.2 36.0** /

    溶媒対照 + 0 200 8.6 2.5 0.4

    5-19

    カペシタビン

    +

    480

    1200

    3000A

    3000B

    200

    200

    200

    100

    6.0

    6.2

    5.9

    6.5

    2.0

    1.5

    2.5

    4.0

    0.0

    0.5

    1.2

    0.0

    陽性対照:cyclophosphamide + 10 50 3.9 44.0** /

    結 論 代謝活性化系非存在下(直接法)の細胞毒性を示す高濃度で染色

    体異常誘発作用が認められたが,不純物による作用の増強はなか

    った。

    溶媒:カペシタビン;DMSO,陽性対照;蒸留水,/:実施せず

    A:総不純物 3.94%含有カペシタビン,B:総不純物 0.37%以下含有カペシタビン

    統計学的方法:Fisher の正確検定,*:p<0.05,**:p<0.01

  • - 308 -

    表ニ-31 4種の不純物含有カペシタビンのマウスにおける4週間経口投与毒性試験 (評価資料ニ-7-5)

    報告者(実施施設)

    動物

    薬物

    投与経路

    投与量

    投与期間

    BDF1 系マウス, 約 6 週齢,体重:雄 21±0.9 g, 雌 17±1 g, 1 群雌雄各 12 匹

    カペシタビン,不純物( R-9 , R-10 , R-11 , R-12 ) 経口投与

    0(溶媒),カペシタビン(200 mg/kg/日;単独としては総不純物 0.37%以下)

    カペシタビン(200 mg/kg/日)+不純物低濃度含有

    (各不純物の設定値 0.3%または 0.5%)

    カペシタビン(200 mg/kg/日)+不純物高濃度含有

    (各不純物の設定値 1.0%または 1.5%)

    投与容量;0.1 mL/10 g

    4 週間

    投与量(mg/kg/日) 0 200 単独 200+不純物

    低濃度含有

    200+不純物

    高濃度含有

    死亡 0 0 0 0

    試 一般症状 ― ― ― ―

    体重 a ― ― ― ―

    験 摂餌量 a ― ― ― ―

    血液学的検査 b ― 赤血球数↓(軽度),MCV・MCH・赤血球分布幅↑(軽度)

    成 RBC (106/μL) ♂

    11.18±0.34

    10.33±0.83

    10.45±0.29**

    10.03±0.32

    10.53±0.23**

    9.95±0.38

    10.31±0.34**

    10.27±0.49

    績 MCV (fL) ♂ ♀

    44.9±0.5

    45.8±1.0

    46.5±0.9**

    46.7±0.6*

    46.3±0.7**

    47.1±0.6**

    46.4±0.7**

    46.7±0.7*

    MCH (pg) ♂ ♀

    14.6±0.2

    15.0±0.2

    15.2±0.2**

    15.4±0.2**

    15.2±0.2**

    15.5±0.2**

    15.3±0.2**

    15.5±0.2**

    赤血球分布幅(%) ♂ ♀

    17.7±0.9

    18.1±0.9

    18.8±0.7**

    19.1±0.6*

    19.0±0.5**

    20.0±0.7**

    19.2±1.0**

    19.5±1.2**

    血液生化学的検査 b ― ― ― ―

    剖検 a, b ― ― ― ―

    臓器重量 a ― ― ― ♂;胸腺↓(軽度)

    胸腺 (mg) ♂ ♀

    46±10

    64±14

    45±6

    65±6

    45±6

    56±5

    37±10*

    60±10

    病理組織学的検査 ― ― ― ―

    結 果 4 種類の不純物添加に起因する毒性の増強あるいは新規毒性の発現はみられ

    なかった。

    ―:特記すべき所見なし, ↑:増加, ↓:減少 (平均値±標準偏差表示)

    溶媒:40 mM citrate buffer (5%アラビアゴム溶液中, pH 6)

    統計学的処理:a:F 検定+t 検定/Satterthwaite の t 検定

    b:Levene 検定+ANOVA/Kruskal-Wallis 検定+Dunnett 検定, *:p<0.05,**:p<0.01

    各不純物の投与量:

    カペシタビン+不純物低濃度含有:

    カペシタビン+不純物高濃度含有:

  • - 309 -

    表ニ-32 サルにおける 5’-DFUR との 4週間比較経口投与毒性試験 (参考資料ニ-7-2) 報告者(実施施設)

    動 物

    薬 物

    投与経路

    投与量

    投与期間

    カニクイザル, 体重:雌雄;約 3~7 kg, 5'-DFUR (1 群雄各 3頭),

    カペシタビン(1 群雌雄各 3頭, 359 mg/kg は雄のみ)

    5'-DFUR, カペシタビン

    経口投与(溶媒はいずれも 5%アラビアゴム溶液(40 mM Citrate Buffer, pH6))

    5'-DFUR;61.5,123 mg/kg/日(0.25, 0.5 mmol/kg/日)

    カペシタビン;0, 35.9, 179.5,359 mg/kg/日(0, 0.1, 0.5, 1.0 mmol/kg/日)

    投与容量;2.0 mL/kg

    4 週間

    被験薬物 5'-DFUR カペシタビン*

    投与用量(mg/kg/日) 61.5 123 35.9 179.5 359

    投与用量(mmol/kg/日) 0.25 0.5 0.1 0.5 1.0

    動物数(雄,雌) 3(3, 0) 3(3, 0) 6(3, 3) 6(3, 3) 3(3, 0)

    死亡(屠殺例数)

    (屠殺日)

    1/3

    (27 日)

    3/3

    (13,18,28 日)

    0/6 0/6 2/3

    (20,27 日)

    一般症状 a, b 軟便・下痢(6 日目~)

    (屠殺例の

    み)自発運

    動↓,削痩

    軟便・下痢(3

    日目~),自発

    運動↓ ,体温

    ↓,削痩,衰弱

    ― 軟便・下痢(9

    日目~)

    嘔吐(投与開始日~),軟

    便・下痢(8 日目~)

    (屠殺例のみ)自発運動↓,

    削痩,体温↓,腹臥,よろめ

    き歩行

    試 体重 c ↓(軽度) ↓ ― ♂1♀ 1↓ (軽度)

    ↓(2 週目以降)

    摂餌量 c ♂1↓ ♂3↓ ― ♂1↓ ♂2↓

    血液学的検査 c,d ♂2 白血球数↓, ♂1

    骨髄有核細

    胞数↓

    ♂3 白血球数

    ↓, ♂3 骨髄

    有核細胞数↓

    ― ♂2♀3 白血球

    数↓, ♂2♀1

    骨髄有核細胞

    数↓(軽度)

    ♂3 白血球数↓, ♂3 骨髄

    有核細胞数↓

    成 血液生化学的検査 c ― ― ― ― ―

    尿検査 a, b ― ― ― ― ―

    眼科学的検査 ― ― ― ― ―

    剖 検 a, b ♂3 胸腺縮小,♂2 脾

    臓縮小,♂1

    リ ン ハ ゚節縮

    小,♂1 大

    腸 粘 膜 鬱

    血,♂1 副

    腎腫大

    ♂3胸腺縮小,

    ♂2脾臓縮小,

    ♂1 リンパ節縮

    小,♂1副腎腫

    大,♂1直腸粘

    膜鬱血

    ― ♂1♀2 胸腺縮

    小,♀1 十二指

    腸・回腸の粘膜

    ひだの減少

    ♂3 胸腺縮小,♂1 脾臓縮

    小, ♂1副腎腫大・暗赤色

    化・褐色化,♂1 胃底部粘

    膜に散在性出血

    臓器重量 c ♂ 2 胸 腺↓,♂1 脾

    臓↓ ,♂ 1

    副腎↑,♂1

    脾臓↑

    ♂3胸腺↓,脾

    臓↓,

    ♂2 副腎↑

    ― ♂1♀2胸腺↓ ♂3 胸腺↓, ♂2 副腎↑,

    ♂1脾臓↓

    病理組織学的検査 a, b:

    消化器系臓器変化

    リンパ系臓器変化

    造血器系臓器変化

    ++

    ++

    ++

    +++

    +++

    +++

    ++

    ++

    ++

    結 論 等モル投与量で比較すると, 5'-DFUR に比較して 4倍弱いことが判った。

    ―:特記すべき所見なし,↑:増加,↓:減少,+:軽度,++:中等度,+++:重度

    *:サルにおける 4週間経口投与毒性試験と同一

    統計学的処理:a;Fisher-Irwin 検定 b;2×k 分割表のための exact rank sum 検定, c;Pitman 検定,

    d;2×k 分割表のための Fisher-Irwin exact 検定を用いた Pitman 検定,

    *:p≦0.05,**:p≦0.01