外来化学療法における薬剤管理指導 - ganjoho.jp ·...
Post on 20-May-2020
0 Views
Preview:
TRANSCRIPT
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
当院薬剤部の紹介
2007年7月現在
薬剤師人数 :40 名 常勤薬剤師 :14 名非常勤薬剤師:14 名 薬剤師レジデント :12 名
処方箋枚数 <入院> 344.1 枚/日 (院内)<外来> 52.05 枚/日
抗がん剤調製件数 <入院> 61.2 件/日<外来> 143.7 件/日
薬剤管理指導件数 <入院> 529 件/月<外来> 268 件/月
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
当院薬剤部の紹介
~ 薬剤部の組織概略 ~
調剤室 : 入院・外来調剤、外来窓口でのお薬相談、院外薬局疑義応対
注射薬センター : 注射薬調剤、入院・外来抗がん剤無菌調製
医薬品情報管理室: 院内薬剤情報の提供、医薬品マスター管理
試験検査室 : 注射剤の安定性試験(オキサリプラチン、グラニセトロン、セフタジジム)
製剤室 : 院内特殊製剤の調製
薬歴チーム : 各診療グループに帯同し、入院・外来薬剤管理指導
<乳腺・腫瘍内科、消化器内科、肺内科、幹細胞移植・血液内科、肝胆膵内科・麻酔緩和科>
→ 常勤薬剤師1名、薬剤師レジデント1名のツーマンセルにて活動中
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
化学療法調剤件数(入院化学療法調剤件数(入院 vsvs 外来)外来)
0
500
1000
1500
2000
外来
入院
1999 20062000 2001 2002 2003 2004 2005
(件/月)
60%60%
40%40%
外来 > 入院
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
外来に対する薬剤師の取り組み外来に対する薬剤師の取り組み
・ 薬剤管理指導
・ 薬剤の情報提供
・ 抗がん剤を含む注射剤の無菌調製
・ 常備薬品の管理
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修2008.2.28 東京肺癌外来化学療法研究会
疾患別化学療法の割合疾患別化学療法の割合((22006006年年))
総数23,021件
消化器がん
7,345件
乳がん
5,663件
肝・胆・膵のがん
2,969件
血液のがん2,010件
婦人科がん534件
その他2,852件
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
@ レジメンパンフレットを用いた外来・入院薬剤管理指導
@ レジメン作成及び管理
@ 患者支援ツール(DVD・パンフレット)作成の協力
(通院治療センターDVD・治療支援パンフレット)
@ 乳腺・腫瘍内科病棟回診同行・病棟カンファレンス参加
@ 乳腺外科症例検討会参加
@ 臨床研究への参画
→乳腺・腫瘍内科担当薬剤師による
がん患者さんへの支援
乳腺・腫瘍内科薬剤師の取り組み乳腺・腫瘍内科薬剤師の取り組み
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
外来化学療法の発展の背景
@ 患者QOLの向上 (患者自身への貢献)
@ 標準的治療レジメンの確立 (計画的治療)
@ 5-HT3受容体拮抗薬やG-CSF製剤の開発
(支持療法の発展)
@ 分子標的薬剤の開発 (身体的負担の軽減)
@ 在院日数の短縮化 (医療費抑制への貢献)
@ 外来化学療法加算の導入 (経営面への貢献)
→ 米国では、ほとんどが外来化学療法となっている。
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修2008.2.28 東京肺癌外来化学療法研究会
入院と外来の患者サポートの違い入院と外来の患者サポートの違い
入入 院院
・有害事象に対して、医療スタッフによるケア
・セルフケアに関する知識を必ずしも必要としない
・院内感染のリスク大
外外 来来
・有害事象に対して、セルフケアが基本
・知識にもとづいて各自判断することが必要
・敗血症と風邪の区別?
がん治療開始に伴い、仕事をやめた・解雇された → 27.2%
濃沼 信夫 , 治療 Vol.87, No.4 2005.4 1625-1633
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
患者さんからの声
@昨日2回目の化学療法を受けた。嘔吐が強く、内服制吐剤と坐剤をいつ使用したらよいのか?
44才♀右乳癌 平成16年1月16日
@術後化学療法を受けているが痛みがある。退院時にくすりをもらったがこれは痛み止めですか?
59才♀右乳癌 平成16年2月5日
当院薬剤部で受けた患者問い合わせ記録
平成15年8月1日~平成16年5月17日 全168件より抜粋
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
① 抗がん剤投与選択から次回診察までの患者自身によるセルフケアをサポート
② 正しい判断を促すための情報提供
~ パンフレットの作成 ~
看護師:わたしの化学療法メモ(化学療法日記)
薬剤師:各レジメンごとのパンフレット
<医療スタッフ共通のコンセンサスの形成が可能>
いかにして医療従事者が外来化学療法をサポートしていくべきか?
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
外来薬剤管理指導の軌跡
2003年11月 : 乳腺・腫瘍内科医師・看護師とともに
レジメンパンフレット作成を開始
薬剤師・医師・看護師等の意見をパンフレットに反映
2004年2月 : 『術後AC療法の手引き』完成。
実診療にて医師が使用開始
その後、AC,PTX,Doc,CEF,wPTXパンフが順次完成
2004年10月 :パンフレット使用に関し、
看護師にアンケートを実施
2004年11月 : 薬剤師による外来薬剤管理指導に向けての話し合い
レジメンパンフレットを用い薬剤師が外来指導開始
1~2ヶ月おきに、医師・外来看護師等と話し合い
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
外来薬剤管理指導の軌跡
2005年3月 : 米国病院訪問(MDACC、MSKCC)
米国チーム医療を視察
2005年4月 : 通院治療センターDVD・パンフレット作成参加
2005年7月 : 消化器内科薬剤師が、外来薬剤管理指導を開始
2005年9月 : MDAチーム医療講習会に乳腺内科医師・看護師と参加
2005年10月 : レジメンパンフレットの患者評価を調査
2006年1月 :制吐剤に関し、薬剤部、乳腺・腫瘍内科共同臨床研究を
開始。研究事務局を乳腺・腫瘍内科薬剤師が担当
2007年7月現在 : 薬剤師による外来薬剤指導件数は 266 件/月
<乳腺・腫瘍内科、消化器内科担当薬剤師による件数>
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
どんな情報を提供していくのか?
① レジメン(治療内容)の説明
② 点滴時間と点滴スケジュール
③ 支持療法のための内服薬の説明
④ 点滴に用いる薬剤説明と注意点
⑤ 有害事象とその対策
→ 患者が必要としている・我々が提供すべきと
考えている項目!
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
支持療法のための
内服薬の説明
点滴時間とスケジュール 注射薬の説明
副作用発現時期の図式化
レジメンパンフレットレジメンパンフレット『『ACAC療法の手引き療法の手引き』』の内容の内容
副作用の種類
と対策
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
0
20
40
60
80
100
指導人数
指導件数
指導人数・件数
(人・件
)
外来薬剤管理指導人数・件数
2004.11
2005.2
2005.6
2005.10
2006.2
2006.5
外来薬剤管理指導件数の推移
AC・PTX・Doc・CEF・wPTX対象
AC対象
AC・PTX・Doc対象
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
~~ 外来薬剤管理指導内容外来薬剤管理指導内容 ~~
・患者情報の確認 (BSA、血算、肝・腎機能、併用薬剤確認など)
・疾患情報の確認 (疾患名、臨床病期、ホルモン感受性、治療方針など)
・レジメン内容確認 (投与薬剤、投与量、点滴時間、内服薬)
・投与レジメンの説明 (レジメンパンフレットに沿って)
・患者さんへの質疑応答(生活上の注意点、旅行や仕事、健康食品など)
レジメンパンフレットを用いたレジメンパンフレットを用いた外来薬剤管理指導外来薬剤管理指導
患者さんの実際の評価を確認する必要性を感じ、
患者アンケートを計画
患者さんのためにはなっているの?
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
<患者アンケートの目的><患者アンケートの目的>
@@ 外来患者が抱く抗がん剤治療における不安内容の確認外来患者が抱く抗がん剤治療における不安内容の確認
@@ 作成したパンフレットが作成したパンフレットが外来患者の要望に対応している?している?
@@ 薬剤師による薬剤管理指導の必要性の確認薬剤師による薬剤管理指導の必要性の確認
『『AC療法の手引きAC療法の手引き』』に関する患者へのアンケート調査に関する患者へのアンケート調査
@ AC療法4コース終了後、患者に対しアンケート調査を実施
@ アンケート配布場所は、通院治療センター内
@ 患者は無記名でアンケート用紙に回答
@ 回収は、センター内に設置した回収ボックスへ投函
<患者アンケートの方法><患者アンケートの方法>
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
外来薬剤管理指導とアンケートの流れ外来薬剤管理指導とアンケートの流れ
医師によるパンフレット配布
AC療法の
IC取得
薬剤師によるパンフレットに
沿った薬剤管理指導
AC療法の
初回投与
AC療法
4回目投与
次治療抗がん剤
初回投与
患者による回収箱への投函
アンケート調査の説明・用紙配布
3週間 3週間 3週間 3週間1~数日前
AC療法
3回目投与
AC療法
2回目投与
フォローアップ
フォローアップ
薬剤師による薬剤管理指導
薬剤師による薬剤管理指導
医師から薬剤部へ
医師から薬剤部へ
薬剤薬剤管理指導依頼送付
管理指導依頼送付
フォローアップ(必要時)
フォローアップ(必要時)
薬剤師による薬剤管理指導
薬剤師による薬剤管理指導
フォローアップ(必要時)
フォローアップ(必要時)
薬剤師による薬剤管理指導
薬剤師による薬剤管理指導
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
患 者 背 景
調査期間調査期間 :: 20052005年10月~~20062006年2月
対対 象象 :: 3737 症例
年齢(中央値)年齢(中央値) :: 54 54 ( 26–70) 歳
性性 別別 :: 女性 36人、男性 1人
初発初発 / / 再発再発 :: 3535人人 // 22人人
AC60/600AC60/600((ADM 60mg/m2ADM 60mg/m2、、CPACPA 600mg/m2600mg/m2))
AdjAdj : 19: 19人、人、NNeo eo adjadj::1414人、その他:人、その他:44人人
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
アンケート質問項目
Q1. 抗がん剤を投与している間不安がありましたか?
Q2. どのようなことに不安を感じましたか?
Q3. パンフレットを治療が始まってからお読みになりましたか?
Q4. パンフレットの記載内容は、理解できましたか?
Q5. パンフレットは、治療を行っていく上で役に立ちましたか?
Q6. パンフレットの各項目についての印象をお聞きします。
Q7. パンフレットを使った説明を薬剤師から受け、どのように感じましたか?
Q8. 薬剤師による説明は、どのくらいの時間が適切だと感じましたか?
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
15人
24人2人
4人
12人
14人
副作用の種類や時期
副作用に対する対応抗がん剤作用と特徴
自身の病気
薬の飲み合わせ
点滴スケジュール
Q1 . 抗がん剤投与中は不安?
はい(不安です)
いいえ
27人
9人
何回も読んだ
34人
必要な箇所のみ
2人未回答
1人
十分理解できたある程度理解できた
22人14人
未回答1人
Q4 . パンフは理解できましたか?
Q2 . どのようなことが不安?
<複数回答可>
n = 37
Q3 . パンフは自宅で読みましたか?
未回答
1人
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
点滴内容の把握
抗がん剤情報
副作用の発現時期
副作用への対応
家族の治療への理解はい
(役にたちました)
いいえ
35人
1人
Q7 . パンフを用いた薬剤師の説明は?
パンフの不明な点の説明を受け理解が深まった
29人
自分に合わせた説明により理解が深まった
14人
パンフレットによる説明で理解が深まった
24人
Q8 . 薬剤師による説明の適切な時間?
10人4人
15分以内
11人
Q5 . パンフは役立ちましたか?
35人
34人副作用の種類35人34人
31人
32人
15~30分
30~45分
8人
必要であればいくらでも
<複数回答可>
<複数回答可>
n = 37 Q6 . どのようなことが役立ちましたか?
未回答
1人
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
Q1-2: 化学療法期間中、約70%の患者が不安を自覚しており約半数以上が抗がん剤の作用、副作用に起因する不安であった。
Q3-4: パンフレットは繰り返し使用され、97%の患者さんが理解できたと回答した。
Q5-6: 点滴内容、抗がん剤作用、副作用の種類と発現時期、副作用への対応、家族の理解に関して、83%以上の患者さんが役立ったと感じた。
Q7-8: 30分以内の説明を希望する患者さんは、半数以上おり簡潔な説明を提供しうるパンフレットの重要性が確認できた。
結結 果果
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
各コースにおける副作用頻度(%)<頻度が10%以上のもの>
その他の副作用その他の副作用 ::
<イベント発生時記載><イベント発生時記載>
味覚障害味覚障害
1コース目1コース目 :: 3人3人
2コース目2コース目 :: 6人6人
3コース目3コース目 :: 9人9人
4コース目4コース目 :: 7人7人
血管痛血管痛
1コース目1コース目 :: 0人0人
2コース目2コース目 :: 0人0人
3コース目3コース目 :: 1人1人
4コース目4コース目 :: 2人2人
※※悪心・・便秘・・口内炎・・発熱性好中球
減少症は、コースが進むにつれ減少は、コースが進むにつれ減少
支持療法の変更により効果見られる支持療法の変更により効果見られる
頻度(%) 1コース 2コース 3コース 4コース 合計 NSABP B-15N=1492(%)
悪心 69.4 62.5 60.6 60.0 63.1 悪心 84.0
嘔吐 11.1 12.5 6.1 13.3 10.8 全ての嘔吐 36.8便秘 38.9 25.0 18.2 20.0 25.5
口内炎 30.6 25.0 12.1 16.7 21.1
FN 13.9 3.1 0.0 3.3 5.1 発熱38℃以上 5.5
脱毛 100 100 100 100 100.0 脱毛 92.4
爪の変化 22.2 21.9 36.4 53.3 34.3倦怠感 16.7 12.5 18.2 20.0 16.0
Ref : NSABPRef : NSABP BB--1515
JCO 8: 1483JCO 8: 1483--1496 , 19901496 , 1990
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
各コースにおける副作用頻度各コースにおける副作用頻度
①① 悪心・・便秘・・口内炎・・発熱性好中球減少症は、は、
コースが進むにつれ減少コースが進むにつれ減少
②② 診察時、診察時、支持療法に関し随時補正
③ 支持療法への薬剤師の介入は、は、
副作用軽減に繋がる副作用軽減に繋がる
④④ 脱毛に対し初回説明においてかつらの提案を必要に対し初回説明においてかつらの提案を必要
⑤⑤ 次回改定時に次回改定時に『『味覚障害』』とと『『血管痛』』の掲載を検討の掲載を検討
支持療法における薬剤師による介入症例
66才 ♀ : 乳がん T2N1M0 stageⅡB
2005.9.5~ adjAC療法開始
内服制吐剤 : デキサメタゾン 16mg 2x 3TD
プロクロルペラジン 20mg 2x 3TD
1コース後評価:①悪心Gr3(day5-9)
空嘔吐症状→ガスターD 40mg 2x 3TD追加
②FN Gr3(day13)
38℃以上服用開始→CPFX内服後1日で解熱
2コース後評価:③悪心Gr0、FN Gr0:CPFX予防投与
④便秘Gr2:摘便施行、肛門に裂傷
→プルゼニド、レシカルボン坐剤追加処方
3コース後評価:⑤便秘Gr0:点滴後内服薬服用状況良好
内服状況確認
服薬の重要性を説明
点滴当日から
プルゼニド2T服用提案。
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
2005. 6 S状結腸切除+D3郭清
2005. 7 mFOLFOX6投与開始。計11回 CRの評価
2006. 2 肺転移、肝転移
2006. 5 FOLFIRI投与開始。計9回
2006. 12 頸部LN、肝、肺PD
2007. 3 他院にて免疫療法
2007. 8 他院にてTS-1 1ヶ月内服で中断
2007. 8 mFOLFOX6再開
2007. 12 CPT-11/MMC投与開始
<サマリー><サマリー>
62歳 女性 大腸がん、肝・肺・リンパ節転移
外来看護師との連携介入症例
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
外来看護師との連携介入症例
・mFOLFOX6再開時##1より薬剤管理指導介入
<薬剤師> <看護師>
・催眠感指摘。・下肢浮腫あり
・制吐剤(プロクロルペラジン)の排泄遷延を疑い、担当医に減量提案
・制吐剤内服中、ソワソワ感が辛かったとのこと
・以前CPTにて嘔気辛かった
・CPTに薬剤変更、嘔気が不安・担当医にステロイド内服提案、却下
・嘔吐辛かったと情報得る・担当医にステロイド処方依頼
・制吐剤(プロクロルペラジン)減量
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
2005. 6 左CA領域5.8×6.5cm、LN3.5cmのmass
浸潤性小葉癌(CNB)
stage ⅡB , 術前化療 CEF×4 , wPTX×12
2006. 1 臨床効果:PR → 手術 Bt + Ax
grade 3 , n=2/7 , ER: -, PgR: - , HER2 : 3+
RTは患者希望により施行せず。
2007. 4 全身倦怠感出現
2007. 5 黄疸出現(T-Bil:4.0 , AST/ALT:190/109)
<サマリー><サマリー>
59歳 女性 再発乳癌
ICIC:危機的な状態であり、通常の化学療法は無理。:危機的な状態であり、通常の化学療法は無理。
入院から外来へ移行した介入症例
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
Labo Data : 2007.5.10 (正常値)T-Bil 4.04.0 mg/dL (0.3-1.2 mg/dL )BUN 16 mg/dL (8-22 mg/dL )ALP 2,2812,281 IU/L (115-359 IU/L )AST 190190 IU/L (13-33 IU/L )ALT 109109 IU/L (6-27 IU/L )LDH 240240 U/L (119-229 IU/L )Cre 0.7 mg/dL (0.4-0.7 mg/dL )CRP 0.4 mg/dL ( -0.1 mg/dL )WBC 5,700 /μL (3900-6300 /μL )RBC 394 /μL (378-497 ×105/μL )Plt 21.8 /μL (12.5-37.5×105 /μL )neut. 3600 /μLCA15-3 3690 u/mL (28 u/mL以下 )
入院時検査データ検査値より 高度の肝機能障害
@ 転移性再発乳癌(初再発)、腸骨・多発肝転移、胸水
@ Visceral Crisis の状態である。
@ Anthracycline、Taxaneによる治療歴あり(術前)
@ PS 1
化学療法は不可能か?
診療科の肝機能異常の診断は、多発肝転移。
診療科の治療方針は、 wPTX(プロトコール症例)。
薬剤師にもIC同席依頼あり、薬剤管理指導介入。
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
パクリタキセル
@ 肝代謝の薬剤:CYP3A4, CYP2C8
@ 薬物動態・薬力学的反応の投与時間による相違
@ 肝機能障害を伴う患者→毒性が増強・遷延
@ 用量規定毒性:血液毒性
@ 血中濃度 0.05μmol/L以上の持続時間が
好中球減少の発現と相関
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
患者さんへの薬剤管理指導上の対応
@ PTXは62.7% 減量投与(80→30mg/m2 1hr drip)
@ PTXの作用、副作用、投与法に関する情報の提供
<レジメンパンフレットの配布、説明>
@ 血液毒性に関する注意:Neutropenic Feverの際の対応
@ 神経毒性、間質性肺炎の出現、対応に関しての情報提供
@ 外来看護師へ情報提供、留意事項の確認 -外来への連携
抗がん剤レジメンパンフレット NFの際の対応説明書
PTXによる間質性肺炎出現率:0.54%
薬剤性肺障害の評価、治療についてのガイドライン-日本呼吸器学会編
初期症状 : 微熱、空咳、呼吸苦
PMDA HP-重篤副作用疾患別対応 マニュア
ル 間質性肺炎http://www.info.pmda.go.jp/ippan.html
間質性肺炎に対する諸注意
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
0
1
2
3
4
5
20
07
.5.1
02
00
7.5
.18
20
07
.5.2
52
00
7.6
.12
00
7.6
.12
20
07
.6.1
92
00
7.6
.26
20
07
.7.1
22
00
7.7
.18
20
07
.7.2
62
00
7.8
.16
20
07
.9.1
3
0
50
100
150
200
250
T-Bil
AST
検査データの推移(1)wPTX:30mg/m2
wPTX:60mg/m2
wPTX:80mg/m2
HCN:2mg/kg
T-B
il(m
g/dL)
AS
T(
IU/L )
外来治療開始
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
20
07
.5.1
02
00
7.5
.18
20
07
.5.2
52
00
7.6
.12
00
7.6
.12
20
07
.6.1
92
00
7.6
.26
20
07
.7.1
22
00
7.7
.18
20
07
.7.2
62
00
7.8
.16
20
07
.9.1
3WBC( /μL)
ANC
CA15-3(u/mL)
wPTX:30mg/m2
wPTX:60mg/m2
wPTX:80mg/m2
HCN:2mg/kg
外来治療開始
検査データの推移(2)
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
@ 検査値上、肝機能異常改善 → wPTX増量
@ 血液毒性のモニタリング → ANC>1000は無し
<9/13現在、 Neutropenic Fever も無し>
@ 神経毒性(末梢神経障害): Grade2<温浴にて症状軽減、神経症状改善薬は使用せず>
経 過
入院 から 外来治療へ
@ 外来点滴センターにて薬剤管理指導継続
@ 外来看護師に入院時の経過を報告
@ 血液毒性、神経毒性を看護師とともにモニタリング
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
@ 入院の時点から外来化学療法まで一貫して エビデンスに基づき治療支援に関わることで、薬剤管理指導は高い効果を発揮する。
@ 逆に、外来化学療法をベースにしている症例では、患者が在宅中に遭遇する敗血症や間質性肺炎等、重篤な症状の初期症状を知っておく必要があるため、イベント発生時の入院薬剤管理指導は非常に重要である。
@ 入院 / 外来 の情報共有が必要であり、医療スタッフ間の連携が重要である。
まとめ
2008.3.6 がん化学療法医療チーム養成研修
外来化学療法における薬剤師の役割
@ 外来化学療法施行中の患者要望は、副作用の種類・発現時期・対応に関しての要望が多く、これらに対し、薬剤師は、医師、看護師等と情報を共有し合い、医療チームの一員として患者をサポートしていく必要がある。
@ 薬剤師は、外来化学療法における抗がん剤に関わる情報提供、副作用モニタリング、内服薬服薬状況確認や提案などの支持療法への支援に対し積極的な支援が可能である。
@ 医師、看護師らと情報共有し、外来化学療法を支援していく。
top related