aurantiochytrium -オーランチオキトリウム-

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239 Algae Biofuel planT/Energy BREAKTHROUGH TECHNOLOGY: AURANTIOCHYTRIUM オーランチオキトリウム 藻類はオイルをつくりさすことが可能で、そ の中でもオーランチオキトリウムはその生産 能力がとても高く、また、産生するオイルは 重油に相当する炭化水素であり、使い道が広 く、ジェット燃料にまで応用できる。 さらに、オーランチオキトリウムを利用する と具体的にどのくらいのオイル生産が可能と なるのか? 1ha の広さに深さ 1mの培養装置 を作ったとしよう。4 日ごとに収穫していく とすると、年間約 1,000t のオイルがとれるこ とになる。倍加時間を 4 時間として 4 時間ご とに 67%を収穫し、同量の新鮮培養液を継ぎ 足すという連続生産システムにすれば年間 1 万トン以上のオイルがとれることになる。

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Aurantiochytrium -オーランチオキトリウム-

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Page 1: Aurantiochytrium -オーランチオキトリウム-

239

Algae Biofuel

planT/Energy

BREAKTHROUGH TECHNOLOGY: AURANTIOCHYTRIUMオーランチオキトリウム

藻類はオイルをつくりさすことが可能で、そ

の中でもオーランチオキトリウムはその生産

能力がとても高く、また、産生するオイルは

重油に相当する炭化水素であり、使い道が広

く、ジェット燃料にまで応用できる。

さらに、オーランチオキトリウムを利用する

と具体的にどのくらいのオイル生産が可能と

なるのか? 1ha の広さに深さ 1mの培養装置

を作ったとしよう。4日ごとに収穫していく

とすると、年間約 1,000t のオイルがとれるこ

とになる。倍加時間を 4時間として 4時間ご

とに 67%を収穫し、同量の新鮮培養液を継ぎ

足すという連続生産システムにすれば年間 1

万トン以上のオイルがとれることになる。

Page 2: Aurantiochytrium -オーランチオキトリウム-

Tons of Oil/ha/YearCorn トウモロコシ 0.2

0.5

0.8

1.0

1.2

6.0

47-140

1,000-10,000

Soybeans 大豆

Rapeseed アブラナ

Oil Palm アブラヤシ

Micro Algae 微細藻類

Aurantiochytrium&Botryococcusオーランチオキトリウム&ボトリオコッカス

日本の耕作放棄地 28.4 万 ha日本が一年間に輸入する石油

1.9 億t

約 2 万 haの面積が必要

約 2.6 万 ha

約 2.1 万 ha

東日本大震災で被害を受けた農地

宮城と福島の被害面積だけでも

有機排水 固形物を沈殿される

一次処理水(容存有機物が多い)

二次処理水(窒素やリンが多い)

オイルを生産 オイルを生産

オーランチオキトリウムを活性汚泥として投入

ボトリオコッカスを投入

オーランチオキトリウム残骸 ボトリオコッカス残骸

メタン発酵

家畜の飼料

=

Page 3: Aurantiochytrium -オーランチオキトリウム-

Page 4: Aurantiochytrium -オーランチオキトリウム-

藻類産業創成コンソーシアム * 発起人・機関(順不同)

* 渡邉 信 筑波大学大学院教授

* 井上 勲 筑波大学大学院教授

* 白岩善博 筑波大学大学院教授

* 彼谷邦光 筑波大学大学院教授

* 堀岡一彦 東京工業大学大学院教授

* 細矢 憲 東北大学大学院教授

* 河地正伸 国立環境研究所主任研究員

* (株)デンソー

* (株)コスモステクニカルセンター

* 巴工業(株)

* (株)ネオ・モルガン研究所

* 三和農林(株)

* 出光興産(株)

* (株)地球快適化インスティテュート

* キッコーマン(株)

* (株)旭リサーチセンター

* (株)豊田中央研究所

* (株)新産業創造研究所

* (株)熊谷組

* (株)TOZEN

* (株)日揮

* 住友重機械工業(株)

渡邉 信 筑波大学大学院教授

オーランチオキトリウムの未来

オーランチオキトリウムによるオイル生産は実用化されるのか ? されるとしたら何年後なのか?

渡邉先生は 10 年をめどに考えている。「10 年以内に実用化できないと、世界が持たない。ただし、実用化にあたっては、

スケールが大きい実験が必要。実験室内ではなく、プラントレベルでの実験を行い、コストの計算をしなければなりませ

ん。それには予算も、人手もかかります。日本はどこまで投資する気があるのか?そこが一番の問題です。」

今の私たちの生活は液体燃料なしに成り立たない。液体燃料=エネルギーの確保は国家の根幹なのである。

「アメリカはエネルギーが国を守るという考えが非常にクリアです。そのための技術革新に対して国としてお金をつぎ込

んでいる。日本はどうか?そこまでの危機感はあるのだろうか?」

アメリカは藻類エネルギープロジェクトに軍も関与しているため全貌は不明であるが、わかっているだけで 1500 億円相

当を投資しているという。一方、日本では藻類エネルギ―プロジェクトに投資している金額は数十億円に過ぎない。それ

でも渡邉先生は日本でこの研究を進めることにこだわる。

「ここまでの研究は日本の税金で行われてきました。日本の皆さんに還元しなければなりません。そして、藻類からオイ

ルを作りだす技術は日本だけではなく、世界全体を救うために必要です。技術で社会をいい意味で変える。これがイノベー

ションです。ほら吹き扱いもされていますが、私は日本を石油輸出国にしてみせますよ!」

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