時系列データの分析① 自己回帰移動平均モデルを用いた...
TRANSCRIPT
1
時系列データの分析①
自己回帰移動平均モデルを用いた分析
講師: 長倉大輔 (慶應義塾大学経済学部)
今日の予定
1. 時系列分析の基礎
2. EViews (自己相関とコレログラム)
3. AR、MA、ARMA モデルについて
4. EViews (推定と予測)
5. EViews (予測)
2
3 3
時系列分析の基礎
時系列データ
時系列データとは、時間の推移ととも
に観測されるデータの事。
例えば、為替レート、株価、国内総生
産(GDP)、インフレ率など。
観測される順番に意味のある事が特徴。
時系列分析の基礎
時系列モデル
時系列モデルとは時系列データを生み出す背後のメカニズム。
これは通常未知なので観測された時系列データからその推定する。
今回はいくつかの代表的な時系列モデルを紹介する。
4
5 5
時系列分析の基礎
時系列分析
時系列分析とは時系列データを分析
するための手法。
時系列データから時系列モデルの推定、等。
6
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500Ja
n-7
5
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6
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Jan-7
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0
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1
Jan-8
2
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Jan-0
5
TOPIX
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0
20
40
60
80
100
120
Jan-7
5
Jan-7
6
Jan-7
7
Jan-7
8
Jan-7
9
Jan-8
0
Jan-8
1
Jan-8
2
Jan-8
3
Jan-8
4
Jan-8
5
Jan-8
6
Jan-8
7
Jan-8
8
Jan-8
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0
Jan-9
1
Jan-9
2
Jan-9
3
Jan-9
4
Jan-9
5
Jan-9
6
Jan-9
7
Jan-9
8
Jan-9
9
Jan-0
0
Jan-0
1
Jan-0
2
Jan-0
3
Jan-0
4
Jan-0
5
実効為替レート
8
0
20
40
60
80
100
120
Jan-7
5
Jan-7
6
Jan-7
7
Jan-7
8
Jan-7
9
Jan-8
0
Jan-8
1
Jan-8
2
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3
Jan-8
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5
Jan-8
6
Jan-8
7
Jan-8
8
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Jan-9
0
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1
Jan-9
2
Jan-9
3
Jan-9
4
Jan-9
5
Jan-9
6
Jan-9
7
Jan-9
8
Jan-9
9
Jan-0
0
Jan-0
1
Jan-0
2
Jan-0
3
Jan-0
4
Jan-0
5
鉱工業生産指数
9 9
時系列分析の基礎
時系列分析でできる事
分析の目的にもよるが、おおざっぱに言って
1. データの特徴を捉える。
2. 経済理論などの検証
3. 時系列変数の予測
など。
10 10
時系列分析の基礎
時系列データの表し方
観測点を t で表し、その時点における
観測値を yt などと表す。
時点 t =1,…,T までのデータの集合
{ y1, y2, …, yT }は などと表さ
れる。
T
tty 1}{
11 11
時系列分析の基礎
時系列データの種類
時系列データそのものは原系列とよ ばれる。 原系列に様々な変換を施して、新た な時系列データを作る事ができる。
12 12
時系列分析の基礎
よく使われる変換
よく使われる変換に対数変換と階差
をとるという 変換がある。
対数変換とは log yt のように yt の
対数をとる事。
(1階の) 階差をとるとは yt – yt–1 の
ように 1 時点離れたデータとの差を
取る事。
時系列分析の基礎
対数階差による変化率
(通常の変化率の定義)
(対数差分による変化率)
13
1
1
t
tt
y
yy
1loglog tt yy
時系列分析の基礎
対数階差による変化率
変化率が小さい時
が成り立つ。
14
1
1
1
1
1
1
1log
logloglog
t
tt
t
tt
t
ttt
y
yy
y
yy
y
yyy
15
-0.15
-0.1
-0.05
0
0.05
0.1
0.15
0.2
Feb-7
5
Dec-7
5
Oct-
76
Aug-7
7
Jun-7
8
Apr-
79
Feb-8
0
Dec-8
0
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81
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2
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3
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84
Feb-8
5
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5
Oct-
86
Aug-8
7
Jun-8
8
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89
Feb-9
0
Dec-9
0
Oct-
91
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2
Jun-9
3
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94
Feb-9
5
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5
Oct-
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7
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8
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99
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0
Dec-0
0
Oct-
01
Aug-0
2
Jun-0
3
Apr-
04
Feb-0
5
TOPIXの変化率
-0.08
-0.06
-0.04
-0.02
0
0.02
0.04
0.06
0.08
Feb-7
5
Dec-7
5
Oct-
76
Aug-7
7
Jun-7
8
Apr-
79
Feb-8
0
Dec-8
0
Oct-
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Aug-8
2
Jun-8
3
Apr-
84
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5
Dec-8
5
Oct-
86
Aug-8
7
Jun-8
8
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89
Feb-9
0
Dec-9
0
Oct-
91
Aug-9
2
Jun-9
3
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94
Feb-9
5
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5
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96
Aug-9
7
Jun-9
8
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99
Feb-0
0
Dec-0
0
Oct-
01
Aug-0
2
Jun-0
3
Apr-
04
Feb-0
5
TOPIX (対数差分による)変化率
16 16
定常性
定常性
時系列データ は T 個の確率変数が
並んでいると考える。この T 個の確率変数
が、全ての t (t =1, …,T) に対して
(1) E(yt) = μ , (2) var(yt) = σ2 ,
(3) cov(yt, yt–k ) = γk
を満たす時、時系列 yt は定常であるという。
ここで γk は時点の差 k のみに依存した値。
Ttty 1}{
17 17
定常性
(1) と (2) はこの T 個の確率変数が同じ期待値と分散を持っている事を意味する。
(3) はこのT個の確率変数の共分散は時点の差にのみ依存している事を意味する。
また (1), (2), (3) は期待値、分散、共分散が時点に依存しない事を意味している。
18 18
定常性
時系列分析の手法の多くは対象となるデータが定常である事を要求する。
定常でないデータも、しばしば対数階差の変換を施すことにより定常であると見なせる。
以下では yt は定常であるとする。
19
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500Ja
n-7
5
Jan-7
6
Jan-7
7
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8
Jan-7
9
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0
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1
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2
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4
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5
Jan-8
6
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8
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0
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1
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Jan-9
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Jan-0
0
Jan-0
1
Jan-0
2
Jan-0
3
Jan-0
4
Jan-0
5
TOPIX
20
-0.08
-0.06
-0.04
-0.02
0
0.02
0.04
0.06
0.08Feb-7
5
Jan-7
6
Dec-7
6
Nov-7
7
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0
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6
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0
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1
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4
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96
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7
Jan-9
8
Dec-9
8
Nov-9
9
Oct-
00
Sep-0
1
Aug-0
2
Jul-
03
Jun-0
4
TOPIX 変化率
21
0
20
40
60
80
100
120
Jan-7
5
Jan-7
6
Jan-7
7
Jan-7
8
Jan-7
9
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0
Jan-8
1
Jan-8
2
Jan-8
3
Jan-8
4
Jan-8
5
Jan-8
6
Jan-8
7
Jan-8
8
Jan-8
9
Jan-9
0
Jan-9
1
Jan-9
2
Jan-9
3
Jan-9
4
Jan-9
5
Jan-9
6
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7
Jan-9
8
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9
Jan-0
0
Jan-0
1
Jan-0
2
Jan-0
3
Jan-0
4
Jan-0
5
実効為替レート
22
-0.08
-0.06
-0.04
-0.02
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12Feb-7
5
Jan-7
6
Dec-7
6
Nov-7
7
Oct-
78
Sep-7
9
Aug-8
0
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81
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2
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3
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6
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0
Aug-9
1
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92
Jun-9
3
May-9
4
Apr-
95
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Feb-9
7
Jan-9
8
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8
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9
Oct-
00
Sep-0
1
Aug-0
2
Jul-
03
Jun-0
4
為替レートの変化率
23
0
20
40
60
80
100
120
Jan-7
5
Jan-7
6
Jan-7
7
Jan-7
8
Jan-7
9
Jan-8
0
Jan-8
1
Jan-8
2
Jan-8
3
Jan-8
4
Jan-8
5
Jan-8
6
Jan-8
7
Jan-8
8
Jan-8
9
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0
Jan-9
1
Jan-9
2
Jan-9
3
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4
Jan-9
5
Jan-9
6
Jan-9
7
Jan-9
8
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9
Jan-0
0
Jan-0
1
Jan-0
2
Jan-0
3
Jan-0
4
Jan-0
5
鉱工業生産指数
24
-0.05
-0.04
-0.03
-0.02
-0.01
0
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
Feb-7
5
Jan-7
6
Dec-7
6
Nov-7
7
Oct-
78
Sep-7
9
Aug-8
0
Jul-
81
Jun-8
2
May-8
3
Apr-
84
Mar-
85
Feb-8
6
Jan-8
7
Dec-8
7
Nov-8
8
Oct-
89
Sep-9
0
Aug-9
1
Jul-
92
Jun-9
3
May-9
4
Apr-
95
Mar-
96
Feb-9
7
Jan-9
8
Dec-9
8
Nov-9
9
Oct-
00
Sep-0
1
Aug-0
2
Jul-
03
Jun-0
4
鉱工業生産指数の変化率
25 25
時系列分析の基礎
自己共分散
k 次の自己共分散 γk は時点 t より k 時
点前の変数 yt–k との共分散、すなわち
である。
),cov( kttk yy
26 26
時系列分析の基礎
自己相関係数
k 次の自己相関係数 ρkは時点 t より k 時
点前の変数 yt–k との相関係数、すなわち
である。
020
)var()var(
),cov(
kk
ktt
kttk
yy
yy
時系列分析の基礎
期待値、分散、自己共分散、自己相関の推定
(標本平均)
(標本自己共分散)
27
T
t
tyT
y1
1
T
kt
kttk yyyyT 1
))((1
時系列分析の基礎
(標本自己相関)
(標本)コレログラム
縦軸に(標本)自己相関、横軸に次数 k を
とって図を描いたものを(標本)コレログラ
ムという。
28
0ˆ
ˆˆ
k
k
29
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
TOPIX 変化率のコレログラム
EViews による分析
鉱工業生産指数の変化率について、期待値、自己共分散、自己相関を推定して、コレログラムを書いてみる。
データは data4.xlsx のデータを使用。
30
データの読み込み
31
対数階差変化率の計算
→
⇒
「Quick」→「Generate Series」
「rindprod=d(log(indprod))」と入力 32
対数階差変化率の計算
33
log ( 変数名) で対数を計算
d ( 変数名 ) で階差を計算
対数階差による収益率
コレログラムの作成
「View」→「Correlogram」
34
コレログラムの作成
「Level」をチェック
「Lags to include」→20 (20次まで計算)
「OK」 をクリック 35
36
コレログラム 自己相関
37 37
1 2 3 4 5
-0.306 0.123 0.170 0.062 0.017
6 7 8 9 10
0.083 -0.001 0.090 0.036 -0.049
-0.4
-0.3
-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
鉱工業指数の変化率のコレログラム
コレログラムと実際の値 (10次まで)
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
ホワイトノイズ
が全ての t において
(1) , (2)
である時、εt をホワイトノイズ という。
εt が分散 σ2 のホワイトノイズである事を
εt ~ W.N.(σ2)
と書く。 38
t
0)( tE
0,0
0,2
k
kk
39
-2.5
-2
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
2
2.51 4 7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
46
49
52
55
58
61
64
67
70
73
76
79
82
85
88
91
94
97
100
ホワイトノイズ
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(p) モデル
以下のモデルを p 次の自己回帰モデル
(これをAR(p)モデルという)という。
ここで σ2 である。
40
tptpttt yyycy 2211
)(W.N.~t
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(p) モデル
AR(p) モデルは p 期前までの過去の値に依存して決まる部分と t 期の観測できない誤差項の和によって決まる。
41
42
-3
-2
-1
0
1
2
3
1 4 7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
46
49
52
55
58
61
64
67
70
73
76
79
82
85
88
91
94
97
100
AR(1)過程 = 0.5
43
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
5
1 4 7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
46
49
52
55
58
61
64
67
70
73
76
79
82
85
88
91
94
97
100
AR(1)過程 = 0.9
44
-4
-2
0
2
4
6
8
1 4 7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
46
49
52
55
58
61
64
67
70
73
76
79
82
85
88
91
94
97
100
AR(1)過程 = 0.99
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(1)モデルの性質
p = 1 の場合を考える。
このモデルは の時に定常となる。
以後は常に を仮定する。
このモデルの平均、自己共分散、自己相関を求めてみる。
45
ttt ycy 11
1|| 1
1|| 1
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(1)モデルの期待値
定常性より E(yt ) = E(yt–1 ) = μ 。 先ほどの両辺の期待をとって
⇒ AR(1)モデルの期待値は
46
)1/(
)()()(
)()(
11
11
11
cc
EyEcE
ycEyE
tt
ttt
)1/( 1c
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(1)モデルの分散
定常性より var(yt) = var(yt–1) = γ0 。先ほどの両辺の分散をとって
(次ページへ続く)
47
),cov(),cov(),cov(
),cov(),cov(),cov(
),cov(),cov(),cov(
),cov(
)var(
)var(
11
11111111
11
1111
11
ttttt
ttttt
tt
tttt
tt
t
yc
yyycy
cyccc
ycyc
yc
y
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
(前ページの続き)
ここで(詳しくは書かないが)cov(yt–1, εt) = 0 を示すことができるので、
⇒AR(1)モデルの分散は
となる。 48
)1/( 21
2
2111
21
111112
1
),cov(2)var(
)var(),cov(),cov()var(
ttt
tttttt
yy
yyy
)1/( 21
20
20
210
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(1)モデルの自己共分散
yt と yt – k の共分散は
c +
となる。この漸化式を使えば より順に計算できる。 49
11
11
11
11
),cov(
),cov(),cov(
),cov(
),cov(
k
ktt
kttktt
kttt
kttk
yy
yyy
yy
yy
)1/( 21
20
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(1)モデルの自己相関
yt と yt –k の自己相関は、先ほどの共分散の式の両辺を γ0で割って
を得るので、この漸化式を使えば より順に計算できる。
50
11 kk
10
k
k 1
3
13
2
1211 ,,,,
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
これより、AR(1)の のコレログラムは次のようになる。
51
8.01
52
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
の時のAR(1)のコレログラム
-1
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
の時のAR(1)のコレログラム
8.01
8.01
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(1)モデルの自己相関の特徴
(1)自己相関は指数関数的に減少
(2) が負の時には振動しながら減少
(3) 自己相関のパターンが非常に単純
AR(1)モデルの自己相関の形状は制約的でより複雑な自己相関を表すためにはAR(p)モデルや以下で見るようなより複雑なモデルが必要。
53
1
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(p)モデルの性質
AR(p) モデルの期待値は
となる。分散と共分散については簡便な表現がないが以下のユールウォーカー方程式を満たす。
54
p
c
211
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(p)モデルの自己共分散と自己相関
AR(p) モデルの自己共分散と自己相関は次の関係を満たす。
下の式は特にユール・ウォーカー方程式と呼ばれる。
55
1,2211 kpkpkkk
1,2211 kpkpkkk
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(p)モデルの定常性の条件
AR(1)モデルの定常性の条件は
であった。AR(p)モデルの定常性の条件は以下のようになる。
「多項式: のすべての解の絶対値が 1 より大きい。」
56
1|| 1
01 221 p
pzzz
自己回帰モデル(Autoregressive Model)
AR(1) の場合は の解
の絶対値が1 より大きい
⇒
AR(2) の場合は次の図の青色の領域に
と の値がある時、定常になる。
57
1|| 1
01 1 z 1/1 z
1 2
58
1
2
1
1 2 –1 –2
–2
移動平均モデル(Moving Average
Model)
MA(q)モデル
以下のモデルを q 次の移動平均モデルという(これをMA(q)モデルという) 。
ここで である。
MA(q) モデルは θk の値にかかわらず常に定常である。
59
qtqtttt cy 2211
)(W.N.~ 2 t
60
-3
-2
-1
0
1
2
3
1 4 7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
46
49
52
55
58
61
64
67
70
73
76
79
82
85
88
91
94
97
100
MA(1)過程(θ1 = 0.5)
61
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
1 4 7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
46
49
52
55
58
61
64
67
70
73
76
79
82
85
88
91
94
97
100
MA(1)過程(θ1 = 0.9)
62
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
1 4 7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
46
49
52
55
58
61
64
67
70
73
76
79
82
85
88
91
94
97
100
MA(1)過程(θ1 = 0.99)
移動平均モデル(Moving Average
Model)
MA(1)モデルの性質
q = 1 の場合を考えよう。
このモデルの期待値、自己共分散、自己相関は以下のようになる。
63
11 ttty
移動平均モデル(Moving Average
Model)
MA(1)モデルの期待値、
→ MA(1)モデルは単純に切片が期
待値である。
64
)()()(
)()(
11
1
tt
ttt
EEE
EyE
移動平均モデル(Moving Average
Model)
MA(1)モデルの分散、自己共分散
μ + μ +
65
1for0
1for
0for)1(
),cov(),cov(
),cov(),cov(
),cov(
),cov(
21
221
111111
11
1111
k
k
k
yy
kttktt
kttktt
ktkttt
kttk
移動平均モデル(Moving Average
Model)
MA(1)モデルの自己相関
自己共分散より
→ MA(1)モデルにおいて次数が 1 より大
きい自己相関は 0
66
1for0
1for1 2
1
1
k
kk
-0.6
-0.5
-0.4
-0.3
-0.2
-0.1
0
0.1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
の時のMA(1)のコレログラム
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
の時のMA(1)のコレログラム
67
8.01
8.01
移動平均モデル(Moving Average Model)
MA(q)モデルの性質
MA(q) モデルの期待値は
自己共分散は
68
)()( 11 qtqttt EyE
kq
qkσθθθθθθθ
kσθθθ
γ qkqkkk
q
k
for0
1for)(
0for)1(
22211
2222
21
移動平均モデル(Moving Average Model)
MA(q)モデルの自己相関は
→ MA(q)モデルにおいて次数が q より大
きい自己相関は 0
MA(2)モデル: yt = εt + θ1εt–1 + θ2 εt–2 のコレログラムは以下のようになる。
69
qk
qkq
qkqkk
k
for0
1for1 22
1
11
70
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10-0.7
-0.6
-0.5
-0.4
-0.3
-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
-0.5
-0.4
-0.3
-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
2.0,8.0 21 2.0,8.0 21
2.0,8.0 21 2.0,8.0 21
自己回帰移動平均(Autoregressive
Moving Average)モデル
ARMA(p, q) モデル
以下のモデルを(p, q)次の自己回帰移動平均モデル(ARMA(p, q) モデルと言われる)という
ここで εt ~ W.N. (σ2) である。
71
qtqttt
ptpttt yyycy
2211
2211
自己回帰移動平均(Autoregressive
Moving Average)モデル
ARMA(p, q) モデルの性質
(1) 期待値
72
p
c
211
自己回帰移動平均(Autoregressive
Moving Average)モデル
(2) q + 1 次以降の自己共分散と自己相関は以下の方程式(ユールウォーカー方程式)に従う。
(q 次までの自己共分散、自己相関は一般的に表現するのが難しい)
73
1,2211 qkpkpkkk
1,2211 qkpkpkkk
自己回帰移動平均(Autoregressive
Moving Average)モデル
(3) ARMAモデルの定常性の条件はARモデルと同じである。すなわち
「p次の多項式:
のすべての解の絶対値が 1 より大きい。」
ARMA(p, q)モデルは少ない次数でより柔軟に自己相関の形状を表せる。
以下はARMA(1, 1) モデルのコレログラム。 74
01 221 p
pzzz
75
5.0,2.0 11 8.0,5.0 11
5.0,9.0 11
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
1 2 3 4 5 6 7 8 9 100
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
8.0,9.0 11
EViews によるARMAモデルの推定
ARMA(p, q) モデルを推定する。
(ここでは解説しないが、EViewsは非線形最小二乗法という方法で推定している)
ARMA(p, q)モデル
(1)
を以下のように書き換える。 76
).(.~
,
2
11
11
NW
yycy
t
qtqtt
ptptt
EViews によるARMAモデルの推定
xt = yt – μ, μ = とする。
この時、 yt = xt + μ を先ほどのARMA(p, q)
モデルに代入して整理する事により
(次ページへ続く) 77
qtqtt
pptptt
qtqtt
ptptt
cxxx
xxcx
11
111
11
11 )()(
)1/( 21 pc
EViews によるARMAモデルの推定
78
(前ページの続き)
をえる。これは xt が期待値 0 の
ARMA(p, q) モデルに従っていることを意味している。
qtqttptpt
qtqtt
pptptt
xx
cxxx
1111
11
111 )1(
EViews によるARMAモデルの推定
79
これより yt は
(2)
と表すことができる。EViews で推定するのは (2) 式の
μ,
という p + q + 2 個のパラメーター。
qtqtt
ptptt
tt
xxx
xy
11
11
,
211 ,,,, qp
EViews によるARMAモデルの推定
80
鉱工業生産指数の変化率に対して、
(1) AR(3) モデル
(2) MA(3) モデル
(3) ARMA(1, 1) モデル
を推定する。
AR(3) モデルの推定
「Quick」→「Estimate Equation」
→ rindprod c ar(1) ar(2) ar(3) と入力 81
「OK」をクリック。推定結果が出力される。
推定結果の見方は(ほぼ)同じ。 82
MA(3)、ARMA(2, 2) モデルの推定
同様に 「Equation specification」 のところに
rindprod c ma(1) ma(2) ma(3)
と入力すれば MA(3) モデル
rindprod c ar(1) ar(2) ma(1) ma(2)
と入力すれば ARMA(2, 2) モデルが推定さ
れる。
83
MA(3) モデルの推定結果
84
ARMA(2, 2) モデルの推定結果
85
ARMAモデルの次数の選択
情報量基準による次数選択
EViewsによる推定結果にはモデルの情報量基準が出力されている。
これを用いてどのARMAモデル(どの次数)
がデータに最も(ある意味で)フィットしているかを見ることができる。
情報量基準は低い値ほどフィットがいい。
86
AR(3) モデル
MA(3) モデル
ARMA(2, 2) モデル
87
ARMAモデルの次数の選択
どの情報量基準でも MA(3) モデルが選ばれる
(3次の自己相関まで有意だったのと整合的)。
通常は p と q の最大次数を決めて、それ以下のすべての次数の組み合わせについてARMAモデルを推定し、それらの情報量基準を比べる。
(例) p と q の最大次数を共に 3 とすると p = 0,
1, 2, 3 と q = 0, 1, 2, 3の組み合わせは16通りあるので16個のARMA(p, q)モデルを推定して情報量基準を比べる。
88
ARMAモデルの次数の選択
これらの情報量基準は必ずしも同じモデルを選ばない。
標本数が少ない時は、AIC (おおむね100
以下)標本数が多い時は BIC (おおむね150 以上)にそってモデルを選ぶとよい。
89
EViews を用いたARMAモデルによる予測
推定したARMAモデルをもとに、EViews
を用いて予測をすることもできる。
ここでは鉱工業指数の 2005年5月から2005年9月までの値を、先ほどの MA(3)
モデルを用いて予測をしてみる。
90
「Range」をダブルクリックする。
「End date」 を2005M04 から 2005M09 にする。 「OK」をクリック。
91
MA(3) モデルの推定結果の画面で
「Proc」→ 「Forecast」をクリック
92
「Forecast name」 と 「S.E.」 をそれぞれ rindprodf と sef とする。「Forecast sample」を 2005m05 2005m09 とする。「Dynamic forecast」をオンにする。 「OK]をクリック
93
予測値 (青実線) が計算される。上下の線 (赤点線) は 95%予測区間と呼ばれるもので、実際の値がこの線の間に含まれ確率は95%である。
94
実際の値と並べてプロットしてみる。
95% 予測区間の上限と下限を作る
「Genr」をクリックし
upf = rindprodf + 1.96*sef
と入力 (これが上限)。「OK」をクリック。 同じく 「Genr」をクリックし
lowf = rindprodf – 1.96*sef
と入力。「OK」をクリック。 95
「Sample」をダブルクリックし
2005m1 2005m9
と入力。「OK」をクリック
96
「lowf」、「rindprod」、「rindprodf」、「upf」
を選んで、右クリックをし 「as Group」をクリック (グループとして開く)
97
RINDPRODF の 2005M05 の値を RINDPROD の 2005M05 のところに貼り付けておく。
98
「View」 → 「Graph」をクリック。
次の画面で「OK」をクリック。
99
直前までの実際の値(赤線)および予測値(青線)と95%予測区間(緑線と茶色線)がプロットされる。
100
本日のまとめ
1. 時系列分析の基本的な概念である、定
常性と自己共分散、自己相関について
述べた。
2. それらを EViews を使用し実際のデー
タに対して計算した。
3. 時系列モデルの代表的なものとして
ARMAモデルを紹介した。
4. EViews を用いて実際のデータから
ARMAモデルを推定し、また予測を行
った。 76