教育方法研究b 第4回 における教育機器の活用 ·...

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2016/5/15 1 教育方法研究B 第4回 FSにおける教育機器の活用 担当 克彦 デジタル教科書2020年度実施 文科省の専門家会議が導入案を示す 2017年度に法改正後な教科書と位置づけ 現行の学校教育法では小中高校生は国の検定 に合格した教科書を使う義務があると規定 当面は紙と併用(pdf→そのまま使える?) 音声や動画の活用で学習効果(を期待) 音声や動画も検定の対象外 市場規模が20年度に40倍か (文科省 2016422日) デジタル教科書(児童生徒用) 利点 教員用との連携で双方向の情報のやりとり 児童生徒の理解度や問題回答状況の把握 課題 タブレット端末の費用負担 Wi-Fiなどのネットワーク環境の整備 長時間触れることへの健康面の懸念 視力(若年性老眼)、スマホ依存、ネット依存 全小中高に無線LANを導入 デジタル教科書の普及に向け学校に整備 導入費用の半額を国が補助 2017年度の概算要求に経費の一部を盛り込む 2019年度までに100億円を確保 ルーターの設置費用の半額を補助(電波利用料) 全国すべての小学校(2万1千校)、中学校(1 万校)、高校(5千校)が対象 もともとの回線の太さに課題も (総務省 201658日) 学校無線LAN、災害対策も視野に 国の方針決定まで(ICTの場合) フューチャ スクール 中教審 専門部会 新学習 指導要領 移行期間 実施 2011 2014 2017 2015 先導的教 育システ ム実証 2016 2019

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Page 1: 教育方法研究B 第4回 における教育機器の活用 · •学習履歴を活用したきめ細かい指導 学習履歴を分析・解析する新規ビジネスの創出

2016/5/15

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教育方法研究B第4回

FSにおける教育機器の活用

担当 原 克彦

デジタル教科書2020年度実施

• 文科省の専門家会議が導入案を示す

• 2017年度に法改正後な教科書と位置づけ

–現行の学校教育法では小中高校生は国の検定に合格した教科書を使う義務があると規定

• 当面は紙と併用(pdf→そのまま使える?)

• 音声や動画の活用で学習効果(を期待)

–音声や動画も検定の対象外

• 市場規模が20年度に40倍か

(文科省 2016年4月22日)

デジタル教科書(児童生徒用)

利点

• 教員用との連携で双方向の情報のやりとり

• 児童生徒の理解度や問題回答状況の把握

課題

• タブレット端末の費用負担

• Wi-Fiなどのネットワーク環境の整備

• 長時間触れることへの健康面の懸念

–視力(若年性老眼)、スマホ依存、ネット依存 等

全小中高に無線LANを導入

• デジタル教科書の普及に向け学校に整備

• 導入費用の半額を国が補助

– 2017年度の概算要求に経費の一部を盛り込む

– 2019年度までに100億円を確保

–ルーターの設置費用の半額を補助(電波利用料)

• 全国すべての小学校(2万1千校)、中学校(1万校)、高校(5千校)が対象

• もともとの回線の太さに課題も

(総務省 2016年5月8日)

学校無線LAN、災害対策も視野に 国の方針決定まで(ICTの場合)

フューチャー

スクール

中教審専門部会

新学習指導要領移行期間

実施

2011 2014

20172015

先導的教育システム実証

2016

2019?

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次期学習指導要領改訂に向けた検討体制

総務省「フューチャースクール手引書」より

先導的教育システム実証事業H26-28(3年間)

実現するもの

• 学校授業と家庭学習の連携

どこでも学べる教育環境の提供

• 教育分野のICT化のコスト削減

自治体・教育委員会の負担軽減

• 学習履歴を活用したきめ細かい指導

学習履歴を分析・解析する新規ビジネスの創出

福島県新地町などの事例紹介

総務省の「教育情報化」の取組

(1)先導的教育システム実証事業(2)教育分野における最先端ICT利活用に関する調査研究(3)フューチャースクール推進事業(4)教育分野におけるICTの活用事例(5)校内LAN整備の促進(6)ICTメディアリテラシーの育成(7)eネットキャラバンの推進(8)インターネットトラブル事例集(9)社会・産業におけるICTシステムの役割についての啓発教材

実証研究の実施

学びのイノベーション事業(文部科学省)

フューチャースクール推進事業(総務省)

連携

ソフト・ヒューマン・教育

ハード・インフラ・情報通信技術面

東日本大震災の被災地

21世紀の学びと学校をリードする新たなモデル

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フューチャースクール推進事業

目的

学校現場における情報通信技術面を中心とした

課題を抽出・分析

全国の小・中学校で実証研究

実証研究の結果をガイドライン(手引書)としてとりまとめ、教育分野におけるICTの利活用を推進

ICT機器を使ったネットワーク環境を構築

実証研究の主な内容

• 学校規模や地域性を考慮して選定された全国2ブロック(東日本地域・西日本地域)、公立小学校10校、中学校8校、特別支援学校2校を対象。

• 協働教育プラットフォームを核としたICT環境を構築

• 教育コンテンツ、ポータルサイト、ICTサポートを提供

• タブレットPCやインタラクティブ・ホワイト・ボード等のICT機器を用いた授業を実践

総務省「フューチャースクール手引書」より

ガイドライン2012の主な項目小学校におけるICT環境の運用

・年度始めにおけるICT環境の設定・ICT環境の運用・ICT支援員の業務(業務の効率化・高度化)・教員、児童、保護者への支援

中学校におけるICT環境の構築と運用・中学校におけるICT環境構築の特徴・小学校と共通の留意点・中学校の特質を踏まえた留意点

特別支援学校におけるICT環境の構築と運用ICTを活用した学校と家庭との連携(タブレットPCの持ち帰り)災害時における学校ICT環境の活用実証校における取り組み事例と実証事業の成果

総務省「フューチャースクール手引書」より

ガイドライン2014の主な項目 中学校におけるICT環境の構築

•中学校におけるICT環境の特徴•中学校の特質を踏まえた留意点•ICT環境導入の流れ、検討•ICT環境構築のための工事•ICT環境の設定

中学校におけるICT環境の運用•ICT環境の運用•ICT支援員の業務•教員、生徒、保護者への支援

特別支援学校におけるICT環境の構築と運用ICT機器及びネットワーク環境の整理中学校におけるICTの特徴的な利活用特別支援学校におけるICTの利活用に関する特徴的な取り組み災害時における学校ICT環境の活用実証校における事例と成果

総務省「フューチャースクール手引書」より

フューチャースクール推進事業(総務省)

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-

ka/future_school.html

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地域雇用創造ICT絆プロジェクト(教育情報化事業)

• 平成22年度予備費:情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金(総務省)

• ICT支援員やデジタルコンテンツ作成支援員等の教育の情報化に関わる人材の配置や、教育の情報化を推進するコーディネーターを育成し、教育分野の情報化を推進する環境を構築することで、多様な環境下での教育の情報化の推進を支援することを目的

• 1校当たり上限5000万円(1事業あたり1億円)(24地域、46校指定)

福島県 新地町

小学校3校(絆プロジェクト)

中学校1校(フューチャースクール)

(学びのイノベーション)

学校教育全体での情報モラル教育の充実

「将来の新地町を担う児童・生徒の育成」新地町 教育におけるICT活用グランドデザイン

言語活動を通した学力向上

基礎学力の定着

情報活用能力の育成

TV会議等を活用した

協働学習

LMS等を活用した個別指導

ICTを活用した一斉授業

ICT支援員による授業・校務のサポート

教員のICT活用指導力の向上・校務処理でのICT活用

地域・家庭への情報提供・

情報発信(地域交流)

学習成果発信

災害時情報

地域・家庭から情報提供・

情報発信(地域力の活用)

専門家の知識

安否情報など

国語:漢字・語彙力の定着

英語:基本的な単語の定着

算数:計算力等基本の定着

社会:地理や歴史の基本知識

主にLMSを活用した個別指導

授業での効果的なICT活用

学習での生徒のICT活用

ICTを活用したコミュニケーション

各教科等での情報モラル教育

主にICTを活用した一斉授業

互いの考えを認め高め合う力

自己表現力 ICTを適切に活用したコミュニケーション

ICTを活用した交流や議論

言語活動を通した学力向上

ICTを活用したプレゼンテーション対面で伝え合う力

「将来の新地町を担う児童・生徒の育成」新地町小・中学校 ICT活用グランドデザイン

主にICTを活用した協働学習

理科:観察力・科学的視点 各教科等での情報教育

基礎学力の定着 情報活用能力

GDの背景 1

「教育の情報化」に関する

総務省、文部科学省の計画と

関連する取組に基づくもの

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教育の情報化の主な柱

• 教科指導における情報通信技術を活用した指導力の充実

• 情報教育の体系的な推進

• 学校における情報モラル教育と家庭・地域との連携

• 学校における情報環境の整備

• 特別支援教育における教育の情報化

• 校務の情報化の推進

教育の情報化に関する手引(文部科学省:H22.10.29)より

情報教育の3つの目標

■ア:情報活用の実践力(1)情報の表現とコミュニケーション(2)課題解決における主体的な情報活用(収集・表現・創造・発信・交流)

(3)情報手段(情報メディア、コンピュータ、ネットワーク)の適切な利用

■イ:情報の科学的な理解(4)情報手段の仕組みや特性の理解(5)情報処理や情報技術、人間の情報認識に関する基礎的な理論と方法

■ウ:情報社会に参画する態度(6)情報に対する態度(7)情報モラル・情報発信の責任

教育の情報化に関する手引(文部科学省:H22.10.29)より

既成の目標リストを参考に、新地町に適した目標リストを作成

「学びをつなぐ」小・中学校連携地域連携

カリキュラム連携

学習指導連携

生活指導連携

カリキュラム連携の例 (1)

• 情報の表現およびコミュニケーション:表現

– (小学校低中学年)自分の気持ちや言いたいことを、表現できる

– (小学校中高学年)伝える内容を意識し、工夫をしながら表現する

– (小学校高学年、中学校)さまざまな情報手段を活用して、効果的に表現する

情報教育の評価例

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GDの背景 2

新地町の復興計画

環境未来都市構想

等に基づくもの

写真 9枚

復興の現況写真

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新地町の現在

• 生きがいをもって暮らすことのできる自由度や選択性のある社会の実現

• 豊富な自然エネルギーを背景に、最先端の生産・貯蔵技術などを活用した一次産業

• 安定的な地域産業に支えられた税収

• 高齢者を含むすべての住民の積極的な社会参加の実現

• 高齢者が積極的に社会参加し、健康維持や介護予防を実現

新地町の未来豊かな自然、暮らし、人のつながりを通じて得られる豊かさの継続

(1) 自然と共生する海のあるまち– 火力発電所及びメガソーラーの整備

– 加工流通などの新たな産業創出

(2) 人のKIZUNA(絆)を育むまち– オンデマンド交通や高度情報通信網の整備

– 高齢者の社会参加を支援する人のつながり

(3) 命と暮らし最優先のまち– 津波に耐えられるまちとしての基盤整備

– 災害情報の提供や防災教育、避難訓練

町づくりに必要な人材

• 課題や目標設定が主体的にできる

• 課題解決に向けた具体的な取り組み方針が立案できる

• 新しい産業が創出できる

• 与えられた課題に対して主体的に取り組むことができる

• 必要な仕事を確実にやり遂げることができる

• 互いの力を尊重し、協力して取り組むことができる

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人材に求める特性(1)

• エネルギーや環境に関する内容を科学的に分析・評価できる

• 地域の特性を分析し、新しい産業を創出できる

• 地域の災害について科学的にとらえ、必要な対策を計画できる

• 自然エネルギーの循環性を考え、一次産業の高度化と安定化を進めることができる

• 周辺地域や国、世界の国々と協調して仕事を進めることができる

人材に求める特性(2)

• 情報通信に関する専門的な知識を有し、使いやすい通信インフラの計画と実現ができる

• 多様化する地域の生活、産業、娯楽などを支える交通・通信網の整備ができる

• 交通や通信インフラを利用したサービスの計画と具現化ができる

• 地域の特性を研究し、それを生かした観光やサービス産業の計画と具現化ができる

人材に求める特性(3)

• 次世代を担う子どもの育成ができる

• 生活基盤産業の維持・継続ができる

• 住民一人ひとりが希望をもって豊かで健やかに暮らせる町づくりができる

• 地域コミュニティの形成と維持ができる

• 住民の生活や文化、健康、福祉、教育の向上について計画し実施できる

• 地域の広報や情報発信を積極的に行うなどの広報活動ができる 社会知識科学知識

文化知識

言語活動身体活動

理科 社会

保健・体育

算数・数学

外国語

図工・美術

国語

技術・家庭

音楽

道徳

総合的な学習

環境

エネルギー

農業 地域社会

政治・経済

経済・経営

地域産業

福祉医療

芸術・文化歴史・地史

観光レジャー

コミュニティー

教育

情報通信

防災・安全

課題に対応できる基礎的な知識や技能の習得

市内の3小学校にタブレットPCなど絆プロジェクト(フューチャースクール同様設備)

• 平成26年度まで市内3小学校で実施

• 小学校3,4年生の各自に1台のipad

• 小学校5,6年生の各自に1台のタブレットPC

• 各教室に短焦点プロジェクタと電子黒板

• 各教室、特別教室などに無線LAN

• 各学校に高速インターネット回線

• 各学校にICT支援員3名の配置 など

写真 4枚

• 端末を充電する保管庫

• 短焦点プロジェクター

• 廊下にも無線LAN

• 教室に無線LAN(2機)

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第4回 ここまで

2016年5月9日