光電子分光法から見た フラーレンの電子状態 - …fermi level 11 fermi level...

17
1 光電子分光法から見た フラーレンの電子状態 愛媛大学大学院理工学研究科 日野照純 2006.5.29 愛媛大学大学院理工学研究科 応用化学コース応用化学セミナー 2 今日の話 1. 背景 2. 光電子分光法とは 原理と分かることなど 3. 60のスペクトル 4. 炭素数が多いフラーレン 5. フラーレンとの錯体 6. 内包フラーレン 7. 今後の展望 3 C60の存在を 確認した論文 4 60の存在は 1971年に予言されていた

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1

光電子分光法から見た

フラーレンの電子状態

愛媛大学大学院理工学研究科

日野照純

2006.5.29

愛媛大学大学院理工学研究科

応用化学コース応用化学セミナー2

今日の話

1. 背景

2. 光電子分光法とは

原理と分かることなど

3. C60のスペクトル

4. 炭素数が多いフラーレン

5. フラーレンとの錯体

6. 内包フラーレン

7. 今後の展望

3

C60の存在を

確認した論文

4

C60の存在は

1971年に予言されていた

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5

特異的な形

籠状

芳香族性

ベンゼンの類 → 反応性?

錯体の特異的物性

金属・超伝導性、磁性

何故、フラーレンの研究を始めたか

6

アルカリ金属ドープにより絶縁体から金属に転移

K3C60は18Kで超伝導体

Cs2RbC60では33K

有機物系の超伝導体より

格段に高いTc

C60アルカリ金属錯体

7

TDAE-C60錯体の強磁性

有機磁性体転移温度16K

Tetradimethylaminoethylene

8

光電子分光法とは?

原理はEinsteinの光電効果(1905)

光(紫外線・X線) 電子

hν KEKE = h ν – BEBE は電子の結合

エネルギー

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9

自由原子・分子からの光電子放出

各軌道の結合エネルギーに応じて放出される電子の運動エネルギーが異なる

入射光のエネルギー

E

R真空準位

10

固体からの光電子放出

原則的には気体からの光電子放出と同じ

ただし、エネルギーの基準点はFermi Level

11

Fermi Level電子を見いだす確率が1/2

価電子帯 伝導帯

金属なら

半導体なら

価電子帯 伝導帯

価電子帯 伝導帯

12

固体からの光電子分光で分かること

電子状態

内殻準位の結合エネルギー

価電子帯の電子の状態密度

さらに...

金属・半導体の判定

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測定は

研究室に設置の

紫外・X線光電子分光装置

分子研シンクロトロン放射光に設置の

紫外・X線光電子分光装置

いずれも原則的には同じ

光源 + 電子エネルギー分光器

試料作成用真空槽

14

光電子分光装置の概要

Electron analyzer

Sublimation gun

Thickness monitor

清浄表面が必要、超高真空~10-7Pa以下の真空度

15

装置外観

16

BL8B2, UVSOR, IMS

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シンクロトロンに設置した分光器

18

紫外光電子スペクトルの見方

15 10 5 0 -5

〜 〜

OnsetCut-off

(= 20 eV)Ionization Potential

hνI P

EF

Vac

uum

Lev

el

Ferm

i Lev

el

WFof Au

WorkFunction

Fermi edge of Au

UPS of C2-C82

(hν = 20 eV)

〜 〜

Photoelectron Intensity (arb. units)

BE / eV

まず、金のスペクトルを測定してFermi levelを決める

次に試料を蒸着して測定

19

光電子スペクトルが測定されたフラーレン・金属内包フラーレン

フラーレンC60, C70, C76, C78, C80*, C82, C84, C86, C90, C96,C100, C102, C110

金属内包フラーレンLa@C82, Gd@C82, Sc@C82, Sc2@C84**Tm@C82, Ca@C82, Sc3N@C80*, Ti2@C80,Ti2@C84, Tb@C82, Pr@C82, Y2C2@C82,Lu2C2@C82, Er@C82 , Er2@C82, Er2C2@C82

20

C60のスペクトル

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21

C60のスペクトルと電子構造

HOMO : hu

2nd HOMO : gg + hg強度比は 5 : 9 のはず

22

励起光のエネルギーによるスペクトル強度変化

12 10 8 6 4 2 0

F

E DC

C' B

C60hν =

50 eV

45 eV

40 eV

35 eV

30 eV

25 eV

20 eV

=EF

Pho

toel

ectro

n In

tens

ity (a

rb. u

nits

)

Binding Energy / eV

2 0 3 0 4 0 5 00 .0

0 .1

0 .2

0 .3

0 .4

0 .5

0 .6

0 .7

C

C '

B

C 6 0

Rel

ativ

e In

tens

ity R

atio

I n c id e n t P h o to n E n e rg y / e V

原因

軌道の対称性?

他のフラーレンにも

観測された

電子散乱による!

23

炭素数の多いフラーレン(高次フラーレン)

24

C60以外のフラーレンの例

Ih-C60 D2-C76D5h-C70

D2-C84C2v-C82D2-C80

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高次フラーレンのスペクトル

10 8 6 4 2 0

UPS of Higher Fullerenes

1.9

1.81.31.151.151.31.11.31.00.80.85

0.75(eV)

OnsetA''

A'AB

A

BC'CDE

?C1 C96

C110

C102C100

C2 C90

C2 C86

D2,2dC84

C2 C82

D2v C78D2 C76

C70

C60

hν = 20 eV

=EF

P

hoto

elec

tron

Inte

nsity

(arb

. uni

ts)

Binding Energy / eV

スペクトルは複雑化

オンセットは段階的に変化

何か良い解釈法はないか?

26

そこそこ、疑似原子モデルでイオン化エネルギーの飛びは説明できそう

もっと炭素数が大きなフラーレンなら、グラファイトを同じ?

27

フラーレンとの錯体

28

C60へのアルカリ金属ドース

ドース量につれて伝導度が変化

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29

より高分解能な測定

フェルミエッジが観察

金属的!

他の高次フラーレンでも

金属にならないか?

30

6 4 2 0

8 .0

6 .5

5 .5

4 .3

3 .6

3 .0

2 .1

1 .1

0 .7

0 .3

0 .1

X = 0

h ν = 2 0 e VK X C 7 6

= E F

Pho

toel

ectro

n In

tens

ity (a

rb. u

nits

)

B in d in g E n e r g y / e V6 4 2 0

N

C

C '

B

A

5 .0

4 .5

4 .2

3 .6

3 .1

X = 0

h ν = 2 0 e VK X C 7 8

= E F

Pho

toel

ectro

n In

tens

ity (a

rb. u

nits

)

B in d in g E n e r g y / e V6 4 2 0

N

C 'AB

C

= E F

8 .3

7 .4

6 .4

5 .3

4 .3

3 .3

2 .8

2 .1

1 .5

0 .8

X = 0

h ν = 2 0 e VK X C 8 2

Pho

toel

ecro

n In

tens

ity (a

rb. u

nits

)

B in d in g E n e r g y / e V

6 4 2 0

N

ABC

6 . 9

5 . 9

5 . 0

4 . 2

3 . 6

3 . 1

2 . 6

2 . 1

1 . 6

1 . 0

0 . 5

0 . 3

X = 0

h ν = 2 0 e VK X C 8 4

= E F

Pho

toel

ectro

n In

tens

ity (a

rb. u

nits

)

B i n d i n g E n e r g y / e V

ドース量につれ、EF直下に構造は出現

しかし、...

31

どの高次フラーレンもフェルミエッジはない

半導体的!

32

C60とTDAE錯体

試料依存性

強磁性の発現がないことあり

研究者により磁性の解釈まちまち

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33

強磁性の発現には

C60の電子間での

相互作用必要

磁性が出るには

スピンの強度に違いが必要

しかし、

錯体の固体状態では

ESR signalが観測されない

34

電子移動量は

1個/C60

窒素原子には

2種の結合状態

35

TDAE0, TDAE+, TDAE2+

分子内の窒素の電荷密度は同じ

2種の結合状態を満足するには

TDAE0 と TEAE2+ 共存

36

内包フラーレン

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37

e-

A+

C60-

O2, H2Oe-

フラーレン錯体は大気に不安定

38

C60-

O2, H2O

金属内包フラーレン

ケージの中に金属を取り込めば

39

内包が報告されている元素

Sc@C82

La@C82

元素はC82ケージに内包されることが多い 40

No.1 C2(b) No.2 Cs(b) No.3 C2(a)

No.5 C2(c)No.4 Cs(c)

No.7 C3v No.8 C3v No.9 C2v

No.6 Cs(a)

孤立五員環則(IPR)を満足する C82 ケージ

M3+@C823-

C2v (major), Cs

M2+@C822-

C2v, C2Cs, C3v

C2 ×3Cs×3C3v×2

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炭素原子を籠状に並べるとC60以外にも他の形がある

五員環12個を配置すれば閉鎖空間を作ることができる

その際に、

五員環は隣り合わないことがエネルギー的に有利

IPR (Isolated Pentagon Rule)則

42

電子状態からみたM@C82の問題点

電子構造を決めているものは何か?ケージ構造か? 内包原子種か?

色々なケージを持ったフラーレンの測定

異なる原子を内包したフラーレンの測定

43

異なるケージを持った M3+@C823-

同じ原子を内包していてケージが異なるものは

まだ測定できていない

16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2

55eV

hν=

50eV

45eV

40eV

35eV

30eV

21.22eV

25eV

20eV

Pr@C82

Intensity (arb. units)

B inding Energy /eV

14 12 10 8 6 4 2 0 -2

E

D

C B

A

=EF

55eV

15eV

20eV

25eV

30eV

35eV

40eV

45eV

50eV

hν=

Tb@C82

Photoelectron Intens

ity (arb. units)

B inding Energy /eV

C2v Cs

44

10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1

0.25 eV

0.2 eV

La@C82

CB

A

N

Tb@C82

Tm@C82

Pr@C82

hν = 20 eV

0.25 eV

0.25 eV

0.8 eV

Binding Energy ( eV )

C2v ケージを持つ金属内包フ

ラーレンのスペクトル

例外はPr@C82 (Cs)

ケージが同じなら、原則的に同じスペクトルを与える

違いはフェルミレベル直下に

Pr@C82は他と大きく異なる

原因は内包金属? or ケージ構造

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45

M2+@C822- のスペクトルが手がかり

14 12 10 8 6 4 2 0 = EF

hν = 40 eVCa@C82(IV)

Ca@C82(III)

Tm@C82(III)

Tm@C82(I)

Tm@C82(II)

ph

otoe

lect

ron

coun

ts

Binding Energy ( eV )

ケージが同じ、内包金属が異なる系の比較

Tm@C82 (I),(II), (III)symmetry : Cs, C2, C2v

Ca@C82 (III), (IV)symmetry : C2, not specified

Tm@C82 (II) と Ca@C82 (III)同じスペクトル

金属に依らずにケージ構造が電子構造を主に決定 ! 46

多原子内包フラーレン

47

Multiple atoms in C82

Y2C2@C82 (3種異性体), Y2@C82(III),(LuC)2@C82, Ti2C2@C82

Reference : Sc2C2@C82 (Sc2@C84)

48

フラーレンのサイズと内包原子のサイズ

ケージの直径は ~ 1 nm 内包(金属)原子の直径 ~ 0.35 nm

原子1個なら相互作用は少ない

多原子では相互作用大

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16 14 12 10 8 6 4 2 0

Y2C2@C82(III)

hν = 40 eV

Y2C2@C82(II)

Y2C2@C82(I)

Binding Energy / eV

Y2C2@C82の3種異性体: (I) Cs(6), (II) C2v(9), (III) C3v(8?)

価電子帯上部(π電子系)の構造が顕著に異なる 50

Y原子が取り込まれた内包フラーレンには、炭素原子を含んでいないY2@C82もある

(YC)2@C82 (III)と Y2@C82 の ケージ構造は同じ(C3v 対称)

(YC)2@C82 と Y2@C82 の吸収スペクトルは類似

同じ電子構造?

51

16 14 12 10 8 6 4 2 0

55eV

50eV

45eV

40eV

35eV

30eV

25eV

20eV

Y2@C

82

Intensity (arb. units)

Binding Energy /eV16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

20 eV

25 eV

30 eV

35 eV

50 eV

45 eV

40 eV

55 eV

UPS of Y2C

2@C

82

Intensity (arb. units)

Binding Energy ( eV )

一見両者の光電子スペクトルは同じように見える !

本当に同じ? 炭素原子内包の効果は?52

Y2@C82 と (YC)2@C82 (III)のUPSの比較

8 6 4 2 0

4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 -5

Y2@C82

Y2@C82 - Y2C2@C82

=EF

Binding Energy ( eV )

Y2C2@C82

hν = 30 eV

C3v-C82 (No.8) charge = - 4

0

Ionization Potential ( eV )

差スペクトルは Y2@C82上2個余

分に電子が存在することを示唆

(YC)24+@C82

4- とY3+2@C82

6-

単原子内包フラーレンと同様にケージ構造が電子状態を決定 !

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53

15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

Lu2C

2@C

82

55 eV

50 eV

45 eV

40 eV

35 eV

25 eV30 eV

21.22 eV

20 eV

Photoelectron R

elative

Intensity

Binding Energy / eV

この結論の補強は Lu2C2@C82でも観測

54

3つのY2C2@C82とLu2C2@C82スペクトルの比較,

16 14 12 10 8 6 4 2 0

Lu2C2@C82

Y2C2@C82(III)

hν = 40 eV

Y2C2@C82(II)

Y2C2@C82(I)

Binding Energy / eV

55

16 14 12 10 8 6 4 2 0

Lu2C2@C82

hν = 40 eV

Y2C2@C82(II)

Binding Energy / eV

Lu2C2@C82 と Y2C2@C82 (II)はほとんど同じ電子状態

内包原子の種類は、電子状態に影響を与えないように見える

9.2 と 10.8 eV の構造はLuの4f5/2 と 5f7/2由来

(lit. Lu金属の4f5/2 と 5f7/2の結合エネルギー は7.5 と8.9 eV)

しかし….

56

10 8 6 4 2 0

Y2

Y2C2

Ti2C2

Binding Energy / eV

ABC

DEF

G

H

A1

A2

B1B2

おなじ C3v (8) 構造の

(TiC)2@C82 と

(YC)2@C82 のUPSは

同じではない !

考えられる原因

酸化数

個々の原子による影響

まだまだ、多原子内包フラーレンの電子状態については分からないことが多い

C3v cages

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57

Sc2@C84 について

8 6 4 2 0

50 eV

Sc2@C84

Y2C2@C82

C84

Binding Energy ( eV )

Sc2@C84 は D2d 対称といわれていた

Sc2@C84 の (YC)2@C82 UPSは似ている. NMR からは C3v-(ScC)2@C82 のほうが妥当

C3v-(ScC)2@C82 is more reasonable !しかし、58

Summary of Mn@C82

電子状態の依存性はCage 構造 (σ-electron region)内包金属の酸化状態

(upper valence π-band region)内包金属とケージ感の強い相互作用の可能性あり

UPS は検討用の有力な手段

59

multiple atoms in C78 cage

Restricted to (TiC)2@C78 (used to be Ti2@C80), La2@C78

60

When it was synthesized, (TiC)2@C78 was thought to be Ti2@C80.

UPS と理論計算の対照はTi2@C80でも、

ある程度説明可能

しかし、構造に関してD3h – (TiC)2@C78 で

はないかとの疑義が出された

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61

La2@C78 was also synthesized

D3h 対称

16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2

La2@C

78

30eV

Binding Energy (eV)

62

No.3-C2vNo.1-D3 No.2-C2v

No.4-D3h No.5-D3h

IPR satisfying C78 cages

問題点

D3h 構造は2個ある

(TiC)2@C78 と La@C78 は、

同じ構造か否か?

63

8 7 6 5 4 3 2 1 0

La2@C

78

Ti2@C

80

30 eV

Binding Energy / eV

The UPS are quite different ! Indication of different cage?64

10 8 6 4 2 0

8 6 4 2 0 -2

Ti(4)

Ti(5)

La(4)

La(5)

(TiC)2@C78

La2@C78

La2 and (TiC)2を内包させた2種のD3h cage の LDA-DFT 計算

どちらも D3h (5) cage がUPSを再現

酸化状態の相違、

もしくは金属固有の現象?

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65

Summary of Mn@C78

原則的に cage 構造が電子状態を支配

内包金属種が電子状態を支配する場合もある

Cageが小さいことが原因かも

66

(MC)2 がケージに内包される場合の

構造についての指針

X線構造解析 理論計算

内部は複数原子にとって狭すぎる

電子状態に大きな変化をもたらす要因か?

Ti2C2@C78 La2@C78

67

Summary(as for the effect of entrapped atoms to the electronic structure of the cage)

Mono metal atom encapsulated fullerenesCage dominate the electronic structureEntrapped species have few influence weak interaction between the cage and entrapped atom

Multiple atoms encapsulated fullerenesFullerenes with metals of the same oxidation state and the same cage give analogous electronic structureUpper π-valence band depends on different oxidation states of entrapped speciesStrong interaction is expected thanks to narrow inner space of fullerenes

68

Co-worker

都立大グループ(試料合成)

菊地耕一、阿知波洋二、兒玉 健

名古屋大グループ(試料合成)

篠原久典、岡崎俊也

分子研グループ(測定)長谷川真史、宮崎隆文 、吉村大介

千葉大グループ岩崎賢太郎、高橋啓明 、海下一徳、

宮崎竹馬、鰐田憲彦、加藤真之