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このページでは、ボート・フィッシングを 楽しむ上で重要な、曳釣り、トローリングと いう釣り方の違いと内容を、このページな りの解釈で解説してみることにします。曳 釣りやトローリングといった言葉は、意外と 混同されていて、かなりあやふやな使い方 をされているようです。もちろん諸氏によ り解釈の仕方もさまざまあるでしょうし、 ここでそれを定義づけるようというのが目 的ではありません。あくまでも、フィッシン グを楽しむ上で、知っておくと便利な知識と して、考えていただければよいと思います。 曳釣り(曳き縄釣り)とトローリングとい う釣り方は、いずれも疑似餌や生餌を船で 曳きながら魚を釣るという点では共通して います。ボートを使用して楽しむ曳釣り、ト ローリング以外の釣り方といえば、アン カーを打って行なう掛かり釣りや、船を流 しながら行なう流し釣りというように、ボ トム・フィッシングになります。 ところで、肝心な曳釣りとトローリング の大きな違いはどこにあるのでしょう…。 両者の違いは、どうやら各々の釣り方が誕 生し発展してきた背景にあるようです。曳 釣りが日本で誕生し成熟してきた釣り方に 対して、トローリングは、主にアメリカを中 心にして発達してきた釣りということがで きます。ここに、魚へのアプローチの仕方の 大きな違いが出てきました。 日本では、昔から生活の糧とするために 魚を捕獲し、それを専業とする漁師という 職業が自然発生しました。その漁師が魚を 獲る上で発達、発展させてきたのがさまざ まな漁法で、その中のひとつに曳釣りがあ ります。 曳釣りは、生活の一部として発達してき たフィッシングだけあって、効率よく確実 に魚を獲ることを目的にしています。ロッ ドやリールは使わずに、ラインも丈夫なも のを使用します。そうして手で糸を扱いな がら釣果を上げるという、漁師風の釣り方 です。この釣り方には、ゲーム性は一切あり ません。 一方、アメリカを中心に発達したトロー リングは、魚を獲って食べる(イコール生活 の糧とする)ことに主眼をおいたフィッシ ングではありませんでした。あくまでもス ポーツ性を重視した、スポーツ・フィッシ ングだったのです。 トローリングの発展の過程では、記録と して競い合うために統一した詳細なルール が設けられ、ゲーム・フィッシングという スタイルで一般に楽しまれています。細い ロッドにリール、決められたライン・クラ スを使用して、何時間も魚とファイトをし、 釣り上げることもあれば、逃げられてしま うこともしばしば…です。 さて、実際にマイボートで楽しむフィッ シングとして、どちらの釣り方を選ぶかは、 目的をどこにおくかで、それぞれを使い分 けるとよいでしょう。とにかくたくさん釣 るのを目的とするのか、それともスポーツ として楽しむのか…。 前者であれば曳釣りが絶対にお勧めです し、後者ならば、ロッドとリールを使いダイ ナミックな魚とのやりとりが楽しめるト ローリングに限ります。とはいっても、アウ トリガーなどの艤装内容によっては、両方 の釣り方を楽しむことは可能ですし、これ により魚を獲る確率を上げることもできま す。ある程度魚を獲ったら、スポーツ・フィッ シングを楽しむというのも良い方法です。 両方の釣り方をボート・フィッシングで 満喫できれば、より充実したボート・ライ フを送れるはずです。 ボートでの釣りといえば、 すぐに頭に浮かぶ言葉に “トローリング” があります。 それほど、トローリングという言葉は、 我々の頭の中に印象深く焼きついています。 豪快なマーリンとのファイティング・シーンなどは、 まさにトローリングの醍醐味です! あるいは、旬のカツオをたくさん獲るのは、曳釣りの面白さ!! このトローリングと曳釣りは、 ふだん何気なく使っている言葉ですが、 その違いはいったいどのあたりにあるのでしょうか? 曳釣り (曳き縄釣り) とトローリングの違い 日本の全国各地で、いろいろな魚の習性 に合わせ、あらゆる漁法により行なわれ ています。 エサの手前にヒコーキや潜水板、バクダ ンのようなさまざまな道具を付けて流し 素手で手繰り寄せる方法です。 日本の技漁業者などにより、昔から行な われています。 疑似餌や生餌 ロッドやリールを使わず、素手で仕掛け を操作します。 中・小型魚を釣る際、短時間でたくさん 釣ることができます。 いろいろな漁法や魚の習性を知ることが 必要になります。 ロッドやリールという道具を使って、魚 とやりとりをします。国内でも、近年一 定のルールを定め、ゲームとして楽しむ ようになってきました。 主にレジャーとして、アメリカを中心に 行なわれ、楽しまれています。 疑似餌や生餌 ロッドやリールを使って魚とのやりと りをします。 リールにドラグ装置があるため、大型の 魚を釣る際に効果があります。ゲーム性 を重視して、できるだけ細い糸で、大き な魚を釣る技術が要求されます。 曳釣りとトローリングの違い 内容 背景 エサ 道具 特徴 曳釣り (曳き縄釣り) トローリング 45 第2章:(曳釣り・トローリング) フィッシング・タックル編

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Page 1: 曳釣りとトローリングの違い...このページでは、ボート・フィッシングを 楽しむ上で重要な、曳釣り、トローリングと いう釣り方の違いと内容を、このページな

 このページでは、ボート・フィッシングを楽しむ上で重要な、曳釣り、トローリングという釣り方の違いと内容を、このページなりの解釈で解説してみることにします。曳釣りやトローリングといった言葉は、意外と混同されていて、かなりあやふやな使い方をされているようです。もちろん諸氏により解釈の仕方もさまざまあるでしょうし、ここでそれを定義づけるようというのが目的ではありません。あくまでも、フィッシングを楽しむ上で、知っておくと便利な知識として、考えていただければよいと思います。 曳釣り(曳き縄釣り)とトローリングという釣り方は、いずれも疑似餌や生餌を船で曳きながら魚を釣るという点では共通しています。ボートを使用して楽しむ曳釣り、トローリング以外の釣り方といえば、アンカーを打って行なう掛かり釣りや、船を流しながら行なう流し釣りというように、ボトム・フィッシングになります。 ところで、肝心な曳釣りとトローリングの大きな違いはどこにあるのでしょう…。両者の違いは、どうやら各々の釣り方が誕生し発展してきた背景にあるようです。曳釣りが日本で誕生し成熟してきた釣り方に対して、トローリングは、主にアメリカを中心にして発達してきた釣りということができます。ここに、魚へのアプローチの仕方の大きな違いが出てきました。 日本では、昔から生活の糧とするために魚を捕獲し、それを専業とする漁師という職業が自然発生しました。その漁師が魚を獲る上で発達、発展させてきたのがさまざまな漁法で、その中のひとつに曳釣りがあります。 曳釣りは、生活の一部として発達してきたフィッシングだけあって、効率よく確実に魚を獲ることを目的にしています。ロッドやリールは使わずに、ラインも丈夫なも

のを使用します。そうして手で糸を扱いながら釣果を上げるという、漁師風の釣り方です。この釣り方には、ゲーム性は一切ありません。 一方、アメリカを中心に発達したトローリングは、魚を獲って食べる(イコール生活の糧とする)ことに主眼をおいたフィッシングではありませんでした。あくまでもスポーツ性を重視した、スポーツ・フィッシングだったのです。 トローリングの発展の過程では、記録として競い合うために統一した詳細なルールが設けられ、ゲーム・フィッシングというスタイルで一般に楽しまれています。細いロッドにリール、決められたライン・クラスを使用して、何時間も魚とファイトをし、釣り上げることもあれば、逃げられてしまうこともしばしば…です。

 さて、実際にマイボートで楽しむフィッシングとして、どちらの釣り方を選ぶかは、目的をどこにおくかで、それぞれを使い分けるとよいでしょう。とにかくたくさん釣るのを目的とするのか、それともスポーツとして楽しむのか…。 前者であれば曳釣りが絶対にお勧めですし、後者ならば、ロッドとリールを使いダイナミックな魚とのやりとりが楽しめるトローリングに限ります。とはいっても、アウトリガーなどの艤装内容によっては、両方の釣り方を楽しむことは可能ですし、これにより魚を獲る確率を上げることもできます。ある程度魚を獲ったら、スポーツ・フィッシングを楽しむというのも良い方法です。 両方の釣り方をボート・フィッシングで満喫できれば、より充実したボート・ライフを送れるはずです。

ボートでの釣りといえば、すぐに頭に浮かぶ言葉に“トローリング”があります。それほど、トローリングという言葉は、我々の頭の中に印象深く焼きついています。豪快なマーリンとのファイティング・シーンなどは、まさにトローリングの醍醐味です!あるいは、旬のカツオをたくさん獲るのは、曳釣りの面白さ!!このトローリングと曳釣りは、ふだん何気なく使っている言葉ですが、その違いはいったいどのあたりにあるのでしょうか?

曳釣り(曳き縄釣り)とトローリングの違い

日本の全国各地で、いろいろな魚の習性に合わせ、あらゆる漁法により行なわれています。エサの手前にヒコーキや潜水板、バクダンのようなさまざまな道具を付けて流し素手で手繰り寄せる方法です。

日本の技漁業者などにより、昔から行なわれています。

疑似餌や生餌

ロッドやリールを使わず、素手で仕掛けを操作します。

中・小型魚を釣る際、短時間でたくさん釣ることができます。いろいろな漁法や魚の習性を知ることが必要になります。

ロッドやリールという道具を使って、魚とやりとりをします。国内でも、近年一定のルールを定め、ゲームとして楽しむようになってきました。

主にレジャーとして、アメリカを中心に行なわれ、楽しまれています。

疑似餌や生餌

ロッドやリールを使って魚とのやりとりをします。

リールにドラグ装置があるため、大型の魚を釣る際に効果があります。ゲーム性を重視して、できるだけ細い糸で、大きな魚を釣る技術が要求されます。

曳釣りとトローリングの違い

内容

背景

エサ

道具

特徴

曳釣り(曳き縄釣り) トローリング

45

第2章

:(曳釣り・トローリング)

 フィッシング・タックル編