ジャワ島の公共住宅における住様式の動向に関する研究...

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図1.ジャワ島における民族地域及びバンドンとジョグジャカルタの位置 1984年の Ron Hatley’s 地図をもとに作成 1.はじめに 1-1.研究の背景と目的 住宅は社会を反映しているものである。住宅と都市空 間は、個々の家庭のレベルを超え、社会的な事項である。 インドネシアはいくつかの文化的な変遷を経験し、ジャワ 島(図1)を含むインドネシア群島全体で様々な住宅の形状 を生成してきた。本来、民族の違いに基づくジャワ島の伝 統的な住居形式および住様式にはいくつかの種類があっ た。本研究はジャワ民族とスンダ民族というジャワ島におけ る最大の2つ民族を取り上げる。両方の伝統的な住居(図2) は、居住者の神様と人間の関係を表すものであるというマ クロコスモスとミクロコスモスの概念を大事にしていた。神様 との関係のためには特別な空間を設け、そこで儀式的な 行為をしていた。また、人間との関係を表すものとして接客 室 が設けられていた。 その後、オランダ植民地時代のコロニアル住宅が普及し てきたが、国家独立後の住宅不足が起こったため、インド ネシア政府は公共住宅の大量生産の開始を余儀なくされ た。1974年にPERUMNASというインドネシア住宅公社が確立 され、全国で大規模な住宅開発が始まり、いくつかの住宅 のタイプを導入してきた。PERUMNASによる公共住宅は大量 生産のため、住宅の標準化が起こっており、そのためジャ ワ島全体で公共住宅の住様式の動向は一様になると考え られる。本研究では、ジャワ島におけるPERUMNASが供給し た公共住宅の標準的な住宅タイプの事例に対して、現地 調査、図面採取、ヒアリングを行い、住居サンプルの生活 行為の分析を通して住様式の動向を明らかにすることを 目的としている。 1-2.PERUMNASの概要 PERUMNAS(プルムナス)はインドネシア住宅公社であ り、全ての株式は政府が所有している。1974年7月18 日に設立してから、ジャワ島を含むインドネシアの 大都市で様々な住宅タイプで大規模な公共住宅を開 発してきた。最初は戸建て住宅の開発を行っていた が、1980年代から集合住宅の開発を始めた。1992年か ら1999年までにPERUMNASは全国で50%の住宅を供給し ていた。 ジャワ島の公共住宅における住様式の動向に関する研究 −PERUMNASが開発した2つの住宅地を対象として− ヘニ オクトリヤ二 ウイジャヤ T T T T T 0 10 30 50 U RUANG TAMU(ルアン タム)...........客室 RUANG MAKAN(ルアン マカン).......食堂 KAMAR TIDUR(カマル ティデュール)...寝室 RUANG TAMU RUANG MAKAN KAMAR TIDUR KAMAR TIDUR DAPUR WC KM RUANG TAMU KAMAR TIDUR DAPUR WC KM 図3.CONDONG CATUR住宅地及びD36の住居タイプ 図4.SARIJADI住宅地及びF36の住居タイプ 12-1 2 4 5 3 6 7 1.GOLODOG(ゴロドク) 2.TEPAS(テパス) 3.TENGAH IMAH(テェンガーイマー) 4.PANGKENG(パンケン) 5.PAWON(パヲン・台所) 6.GOAH(ゴアー) 1 2 3 4a 4c 4b 5 1.PENDOPO(プンドポ) 2.EMPERAN(エンペラン) 3.DALEM(ダルム) 4a.WEST SENTHONG (西スントン) 4b.MIDDLE SENTHONG (中スントン) 4c.EAST SENTHONG(東スントン) 5.PAWON(パヲン・台所) 図2.ジャワ島における伝統的な住居形式、スンダ民族(左)、ジャワ民族(右) PERUMNASによる住宅は、家族の基本ニーズを満たすも のであると考えられ、基準プランでも家族が正しく生活し、 健康を維持することができるということを目標として供給さ DAPUR(ダプル).................台所 WC/KM.........................トイレ・浴室) 100 200km バンドン ジョグジャカルタ ジャワ民族の地域 スンダ民族の地域

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  • 図1.ジャワ島における民族地域及びバンドンとジョグジャカルタの位置

      1984年の Ron Hatley’s 地図をもとに作成

    1.はじめに

    1-1.研究の背景と目的

      住宅は社会を反映しているものである。住宅と都市空

    間は、個々の家庭のレベルを超え、社会的な事項である。

    インドネシアはいくつかの文化的な変遷を経験し、ジャワ

    島(図1)を含むインドネシア群島全体で様々な住宅の形状

    を生成してきた。本来、民族の違いに基づくジャワ島の伝

    統的な住居形式および住様式にはいくつかの種類があっ

    た。本研究はジャワ民族とスンダ民族というジャワ島におけ

    る最大の2つ民族を取り上げる。両方の伝統的な住居(図2)

    は、居住者の神様と人間の関係を表すものであるというマ

    クロコスモスとミクロコスモスの概念を大事にしていた。神様

    との関係のためには特別な空間を設け、そこで儀式的な

    行為をしていた。また、人間との関係を表すものとして接客

    室 が設けられていた。

     その後、オランダ植民地時代のコロニアル住宅が普及し

    てきたが、国家独立後の住宅不足が起こったため、インド

    ネシア政府は公共住宅の大量生産の開始を余儀なくされ

    た。1974年にPERUMNASというインドネシア住宅公社が確立

    され、全国で大規模な住宅開発が始まり、いくつかの住宅

    のタイプを導入してきた。PERUMNASによる公共住宅は大量

    生産のため、住宅の標準化が起こっており、そのためジャ

    ワ島全体で公共住宅の住様式の動向は一様になると考え

    られる。本研究では、ジャワ島におけるPERUMNASが供給し

    た公共住宅の標準的な住宅タイプの事例に対して、現地

    調査、図面採取、ヒアリングを行い、住居サンプルの生活

    行為の分析を通して住様式の動向を明らかにすることを

    目的としている。

    1-2.PERUMNASの概要

     PERUMNAS(プルムナス)はインドネシア住宅公社であ

    り、全ての株式は政府が所有している。1974年7月18

    日に設立してから、ジャワ島を含むインドネシアの

    大都市で様々な住宅タイプで大規模な公共住宅を開

    発してきた。最初は戸建て住宅の開発を行っていた

    が、1980年代から集合住宅の開発を始めた。1992年か

    ら1999年までにPERUMNASは全国で50%の住宅を供給し

    ていた。

    ジャワ島の公共住宅における住様式の動向に関する研究

    −PERUMNASが開発した2つの住宅地を対象として−

    ヘニ オクトリヤ二 ウイジャヤ

    T

    T

    T

    T

    T

    0 10 30 50

    U

    RUANG TAMU(ルアン タム)...........客室RUANG MAKAN(ルアン マカン).......食堂 KAMAR TIDUR(カマル ティデュール)...寝室

    RUANG TAMU

    RUANG MAKAN

    KAMARTIDUR

    KAMARTIDUR

    DAPURWCKM

    RUANG TAMU

    KAMARTIDUR

    DAPURWCKM

    図3.CONDONG CATUR住宅地及びD36の住居タイプ

    図4.SARIJADI住宅地及びF36の住居タイプ

    12-1

    2

    4 5 3

    67

    1.GOLODOG(ゴロドク)2.TEPAS(テパス)3.TENGAH IMAH(テェンガーイマー)4.PANGKENG(パンケン)5.PAWON(パヲン・台所)6.GOAH(ゴアー)

    1

    2

    3

    4a 4c 4b

    5

    1.PENDOPO(プンドポ)2.EMPERAN(エンペラン)3.DALEM(ダルム)4a.WEST SENTHONG (西スントン)4b.MIDDLE SENTHONG (中スントン)4c.EAST SENTHONG(東スントン)5.PAWON(パヲン・台所)

    図2.ジャワ島における伝統的な住居形式、スンダ民族(左)、ジャワ民族(右)

     PERUMNASによる住宅は、家族の基本ニーズを満たすも

    のであると考えられ、基準プランでも家族が正しく生活し、

    健康を維持することができるということを目標として供給さ

    DAPUR(ダプル).................台所WC/KM.........................トイレ・浴室)

    100 200km

    バンドンジョグジャカルタ

    ジャワ民族の地域

    スンダ民族の地域

  • マットレス

    ベッド

    鏡台冷蔵庫

    炊飯器

    食器など

    ソファ

    タンスたらい

    写真棚

    扇風機

    バケツ

    食器

    タンス TV

    椅子

    椅子

    クッション

    ダンボールカーペット

    電話

    ダンボール

    TV

    タンス タンス

    電話時計

    水タンク

    食器

    食器

    ゴミ箱

    バケツ

    カーテン

    ステレオ

    ヘルメット

    クッション

    椅子

    椅子

    椅子

    0 1 5 m平面図 S=1/100

    れた。PERUMNAS住宅は基準プランのタイプによる様々な名

    称があるが、住宅の床面積による呼び方ほ一般的である。

    1-3.調査対象と調査内容

      本研究では、ジャワ民族の地域に位置しているジョグジ

    ャカルタのCondong Catur住宅地およびスンダ民族の地域

    に位置しているバンドンのSarijadi住宅地を対象とし、ジャ

    ワ島の2つ都市における公共住宅の事例を取り上げる。両

    方の住居プランはほぼ共通であり、どちらも4人~5

    人の核家族のための36型である。

     Condong Catur住宅地は戸建て住宅地であり、21ヘ

    クタールで1233戸が供給されたジョグジャカルタで最

    初にPERUMNASが開発したものである。1976年に開発が

    始まり、ほとんどの住民たちは1978年から住み始め

    た。Condong Catur住宅地の調査対象は16戸であり、

    全てのオリジナルタイプはD36タイプという36㎡の床

    面積を持つ戸建て住宅タイプであり、全島で最も一般

    的な公共住宅の標準タイプである。PERUMNASの図面に

    よると(図3)、このタイプは3つの部屋、小さな台所、

    トイレ・浴室で構成されている。

    一方Sarijadi住宅地は4階の集合住宅であり、1979年

    から1980年にPERUMNASによって建てられ、総面積は

    3,5ヘクタールで1056戸が供給された。この住宅地は

    PERUMNASが建設した最初の集合住宅である。Sarijadi

    住宅地の調査対象は15戸であり、全てのオリジナルタ

    イプはF36タイプという36㎡の床面積を持つ集合住宅

    タイプである。PERUMNASの図面によると(図4)、このタ

    イプは2つの部屋、小さな台所、トイレ・浴室で構成

    されている。

     両方の住宅地の調査対象の内、それぞれ5戸の住居

    サンプルをとり、2012年8月22日から28日までに住様式

    に関わるヒアリングおよび図面採取でより詳しい調査

    を行った。

    2.ジョグジャカルタの戸建て住宅地‘Condong

    Catur’

    2-1.居住者属性

    図5によると、Condong Catur住宅地の持家率は100

    %であり、16戸中14戸は直接PERUMNASから住居を購入

    している。また、詳しくヒアリングを行った5戸の住

    居サンプルの中で、ほとんどの家族はこの住宅に住み

    続けてきたため、家主は第二世代であり、また拡大家

    TV

    マットレス

    ベッド鏡台

    TV

    扇風機

    冷蔵庫炊飯器 水タンク

    テーブル

    井戸

    ヤカン

    物干し台

    飾り棚

    食器

    洗濯機

    バケツ

    カラーBOX

    椅子

    靴置

    ステレオ

    容器類

    棚棚

    水切り籠

    たらい

    パソコン

    ゴミ箱

    テーブル

    鳥籠

    鳥籠

    鳥籠 鳥籠たらい

    たらい

    椅子

    ベッド

    ベッド

    テーブル

    マットレス

    クッション

    椅子

    椅子椅子

    TV

    扇風機

    洗濯物

    扇風機

    洗濯物

    0 1 5 m平面図 S=1/100図6.CONDONG CATUR住宅地のSE宅 図7.SARIJADI住宅地のJA宅

    12-2

    TV

    マットレス

    ベッド鏡台

    TV

    扇風機

    冷蔵庫炊飯器 水タンク

    テーブル

    井戸

    ヤカン

    物干し台

    飾り棚

    食器

    洗濯機

    バケツ

    カラーBOX

    椅子

    靴置

    ステレオ

    容器類

    棚棚

    水切り籠

    たらい

    パソコン

    ゴミ箱

    テーブル

    鳥籠

    鳥籠

    鳥籠 鳥籠たらい

    たらい

    椅子

    ベッド

    ベッド

    テーブル

    マットレス

    クッション

    椅子

    椅子椅子

    TV

    扇風機

    洗濯物

    扇風機

    洗濯物

    0 1 5 m平面図 S=1/100

    TV

    マットレス

    ベッド鏡台

    TV

    扇風機

    冷蔵庫炊飯器 水タンク

    テーブル

    井戸

    ヤカン

    物干し台

    飾り棚

    食器

    洗濯機

    バケツ

    カラーBOX

    椅子

    靴置

    ステレオ

    容器類

    棚棚

    水切り籠

    たらい

    パソコン

    ゴミ箱

    テーブル

    鳥籠

    鳥籠

    鳥籠 鳥籠たらい

    たらい

    椅子

    ベッド

    ベッド

    テーブル

    マットレス

    クッション

    椅子

    椅子椅子

    TV

    扇風機

    洗濯物

    扇風機

    洗濯物

    0 1 5 m平面図 S=1/100

    図5.CONDONG CATURとSARIJADI住宅地の特性

    16

    10

    31 1

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    16

    ジャワ島 スマトラ島 カリマンタン島 バンカ島

    16

    13

    2

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    16

    持家 賃貸

    1

    45

    0

    1

    2

    3

    4

    5

    第一世代 第二世代

    23

    4

    1

    0

    1

    2

    3

    4

    5

    核家族 拡大家族

    所有形態 家族形態

    家主

    出身地

    詳しくヒアリングCONDONG CATUR住宅地(5家族)SARIJADI住宅地 (5家族)

    CONDONG CATUR住宅地(16家族)

    SARIJADI住宅地(15家族)

    14

    2

    5

    8

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    16

    直接Perumnasから購入 以前の居住者から購入

    住居購入

    持家 賃貸 PERUMNASから購入

    以前の居住者から購入

      ジャワ族 スンダ族 ジャワ島

    スマトラ島 カリマンタン島

    バンカ島

    核家族 拡大家族

    第一世代 第二世代

    居住者: SEさん(男、44)の家族出身 : ジョグジャカルタ職業 : 公務員現在住む家族人数 : 5人家族形態  : 核家族入居時期  : 1979年~住居タイプ  : D36敷地面積  : 96㎡所有形態  : 持家

    居住者  :JA さん(女、67)の家族 出身  :カリマンタン島職業   :小学校の先生(退職)現在住む家族人数 : 2人家族形態     : 核家族入居時期     : 1982年住居タイプ    : F36所有形態     : 持家

    接客室

    台所、トイレ・浴室、寝室

    洗濯所または洗濯の乾燥、二輪車の駐車所、収納所など

    オリジナル

    増築のパターン

    敷地

  • 図8.CONDONG CATUR住宅の住居における生活行為分析

    YU宅 TU宅 DJ宅 SE宅 SU宅

    PE宅 KA宅 SJ宅 YA宅 JA宅オリジナル

    オリジナル

    (儀)

    族が多い。

    2-2. 増改築

     Condong Catur住宅地では、全ての住居サンプルの

    家族は住み始めてから、家族のニーズを基づき様々な

    増築行為を行っており、オリジナル部分から、前、

    後、側方へ敷地一杯増築することが一般的である。具

    体的に見ると、図6に示しているものは一つの事例で

    あり、現在のSE宅の図面である。SEさんの家族は、ゲ

    ストが多かったため、1986年ごろに前方へ増築を始

    め、接客室を造った。その後、1990年に後方へ増築

    し、台所とトイレ・浴室をそこに移動した。また、

    子供たちが大きくなったときに、寝室が足りなくな

    ることを予想したため、将来は2階に増築できるよう

    に、2011年にRC構造に改造した。

    2-3. 住生活

     本研究では詳細な生活では家族の住生活の特徴を捉

    えにくいため、住居学での生活行為分類1)を参考に、「

    接客」、「団らん」、「食事」、「就寝」、「炊事」、「行

    事・儀式」という生活の行為を取り上げる。また、ジ

    ャワ島の文化及び現地観察をもとに、ゲストに対する

    「接客」という行為はインフォーマルとフォーマルがあ

    ると考えられる。インフォーマルな「接客」はただ通っ

    ている人や近所の人たちと挨拶したり、短い時間座っ

    て雑談したりするという行為である。また、フォーマ

    ルな「接客」はインフォーマルな「接客」と比較すると、

    より正式な訪問であり、家族も飲み物やお菓子を用意

    するという行為である。

    ・「接客」、「団らん」、「行事・儀式」に関しては図8に

    よると住居の前方へ増築することによって「接客」の空

    間を造る傾向がある。フォーマルな「接客」ということ

    は住居の前にある半屋外または屋内でする。インフォ

    ーマルな「接客」は敷地から前にある通りまでに拡大す

    る事例がある。また、PERUMNASが供給した「接客」室は

    現在「団らん」の空間になる傾向がある。「行事・儀式」

    は「接客」の空間ですることが分かったが、「団らん」の

    空間まで拡大する場合もある。

    ・「食事」に関しては、住居サンプルには全て台所にダ

    イニングテーブルがあるが、ヒアリングによると家族

    はそこで食事するよりも、「団らん」や「接客」と同じ空

    間で「食事」をすることの方が多いことが分かった。

    ・「就寝」の空間は他の行為と区別することが分かっ

    た。また、寝室の分け方としては、親また男が前方の

    寝室を使用する傾向があり、子供はほぼオリジナルプ

    ランの後方の寝室を使用している。

    ・「炊事」の空間は住居サンプルの後方へ増築した部分

    に移動する傾向がある。ヒアリングによると、行事や

    近所の集まりを行うときに、台所で近所の人たちと一

    緒に調理をしたりすることがよくあるため、広い台所

    図9.SARIJADI住宅の住居における生活行為分析

    客i.....接客   (インフォーマル)客......接客 (フォーマル)団......団らん食......食事寝......就寝炊......炊事儀......行事・儀式

    12-3

    家族構成

    = 男 = 女= 現在の居住者= 現在住んでいない= そもそも生んでいた 家族構成

    KM/WC

    客i

    客 食

    炊 寝

    炊 寝

    KM/WC

    客 食 団

    団 食

    客i

    客i 客 食 (儀)

    客i

    寝 食 団

    寝 炊

    KM/WC

    KM

    KM/WC

    KM/WC

    KM/WC

    寝 KM/WC

    食 団 寝

    (儀)食 団

    (儀)

    客i 客(儀)

    客i

    客i 客

    (儀)

    KM/WC

    寝 食 団

    客i 食 客 食

    (儀)

    炊 KM/WC

    寝 客 食 団

    炊 KM/WC

    客 食 団

    客i

    炊 KM/WC

    (儀)

    (儀) 客i

    食 団

    炊 KM/WC

    客団

    客i

    客 食 食 団

    寝 炊 KM/WC

    (儀) (儀)

    食 団

    炊 KM/WC

    客(儀)

    (儀)

    客i

    676760代60代54代

    予想

    予想

    4367

    40

    5444

  • のほうがより動きやすいという。また、その「行事・

    儀式」のために、料理道具を多く準備しているので、

    広い台所のほうがより収納することができる。

    3.バンドンの集合住宅地‘Sarijadi’

    2-1.居住者属性

     図5によると、Sarijadi住宅地の場合は持家率は87

    %しかなく、以前の居住者から購入したのは多い。つ

    まり、Sarijadi住宅には居住者の入れ替わりの傾向が

    あるといえる。そのため、家族の出身地はジャワ島に

    限らなく様々であることが分かる。また、Sarijadi住

    宅は子供たちが結婚してから離れて暮らすようになっ

    たため、家主は第一世代であり、または核家族のほう

    が多い。

    3-2.増改築

     Sarijadi住宅地の場合は増築することが不可能であ

    るため、家族はニーズに基づき住戸の内側に間仕切り

    を作り、いくつかの部屋を区別することが一般的な行

    為である。具体的に見ると、図7に示しているものは

    一つの事例であり、現在のJA宅の図面である。JAさん

    の家族は板と家具を使って間仕切りを作り、2つの寝

    室と食堂を造った。現在一緒に住んでいる子供は一人

    であり、結婚した子供はこの住戸から出たが、同じ建

    物の2階で住んでいる。Sarijadi住宅地にはこういう

    事例がよくあるという。

    3-3. 住生活

    ・「接客」、「団らん」、「行事・儀式」に関しては図9に

    よると、Sarijadi住宅地には屋外の空間は供給されて

    いないため、フォーマルな「接客」は全て屋内の入り口

    の後ろに位置している部屋で行う。奥方へ「団らん」の

    空間を設けるために、間仕切りを作った事例がある。

    また、いくつかの家族により住戸で「行事・儀式」をす

    るよりも、一階にある共有ルームでする方がよいとい

    う。

    ・「食事」に関しては「団らん」や「接客」と同じ空間で「

    食事」をすることが多いことが分かった。

    ・「就寝」の空間は他の行為と区別することが分かっ

    た。また、寝室の分け方としてほ、親は前方の寝室を

    使用する傾向がある。

    ・「炊事」の空間はオリジナルプランと変わらないが、

    キッチンテーブルを作り、テーブルの下に料理道具を

    置いている。

    4.比較考察

     両方の住宅地の生活行為の分析の上で住様式に関わ

    る比較考察は以下の通りである。

    ・「食事」は他の生活行為と重なる。つまり、「食事」と

    いう行為は柔軟性があるといえる。

    ・「就寝」のための空間は他の行為と区別することが分

    かった。寝室の分け方としては、親また男が優先であ

    り、前方の寝室を使用することが分かった。

    ・「接客」と「団らん」の空間の区別はPERUMNASのオリジ

    ナルプランでは考慮されていない。それはPERUMNASが

    大量生産のコストを削減するために、最も基準的な空

    間構成を成立したこであるためが、家族は住始めてか

    ら、「接客」と「団らん」の空間を区別して設ける傾向が

    ある(図10)。

    ・戸建住宅と集合住宅の違いがその後の住宅のあり方

    に大きく影響している。戸建住宅では,設備の充実等

    だけでなく,大幅な空間拡大ができ、拡大家族的住み

    方を可能にしている。一方、集合住宅では,空間拡大

    が制限されるが、結婚して住戸から出た子供たちが親

    の近くに住む事例が見られるため、同じ住戸ではなく

    同じ建物に拡大家族が住んでいるといえる。

    ・両方の住宅地には接客の空間を設ける傾向があるか

    らこそ家族は人間関係を住居に反映させているといえ

    る。これはジャワ島の伝統的な住居における住様式と

    同じものであると考えられる。しかし、民族による住

    様式の違いは公共住宅の住まい方に残っていることが

    薄まっているといえる。

    参考文献1.Masami Okabe and Yoichi Ito : A Basic Study on The Lifespace of The Extended

    Family at Rural House to Research The Relation Between The Unit of Family and

    Their Lifestyle, AIJ No. 477, 125-132, Nov 1995

    2.Yoyok T.WS : The Spatial Structure of the House Unit based on the

    Distribution of Living Activities in Vernacular Settlement and Public House

    Estate. Graduate School of Engineering, Osaka University.

    3.Johan Silas. 1995. Perum Perumnas dalam Tantangan Tugas, hasil perjalanan

    1974-1994. (in Indonesia Language)

    12-4

    図10.「接客」と「団らん」のパータン

    半屋外

    客 客団  寝

    客団 団 寝

    客 客 団 寝

    客団 客団 寝

    客  団   寝

    客 客 団 寝

    CONDONG CATUR戸建て住宅地

    SARIJADI集合住宅地

    客=接客、団=団らん、寝=就寝

    オリジナル

    オリジナル         客   寝

            客 寝

    x1戸

    x2戸

    x2戸

    x2戸

    x1戸

    x2戸

    屋内