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MDS ―診療のガイド― 鈴木隆浩 Key words : Myelodysplastic syndrome, International prognosis scoring system (IPSS), IPSS-R, guideline はじめに 骨髄異形成症候群(MDS)は難治性の血球減少症を 呈する骨髄不全症候群の一つであり,①血球形態の異 常,②無効造血,③急性白血病への進展を特徴とする疾 患群である。そしてその本質は造血幹細胞レベルの変異 によるクローン性増殖と考えられている。つまり, MDS は腫瘍性疾患と理解されるものであり,異常ク ローンの増加に従って次第に正常造血が抑制されてい く。 MDS の異常クローンは分化障害を呈するため分化途 中でアポトーシスを起こすものが多く(無効造血),正 常造血巣の減少とも相まって,末梢血成熟血球は減少す る。また,最後まで分化できた血球においても細胞形態 や機能に異常が認められることが多い。したがって, MDS では成熟血球の質・量,共に異常が存在すること になり,これらの異常は骨髄不全徴候として顕在化す る。一方,クローンの増殖が著明になってくると芽球増 加が目立つようになり,正常造血は一層抑制され,病態 は白血病に近づいていく。 したがって,MDS では異常クローンの性質に応じて 血球減少や機能異常に伴う骨髄不全症状と,芽球増加と して現れる腫瘍性所見が様々な程度で認められることに なり,治療はこうした症例毎の病態の差異を考慮して選 択される。 MDS の診断 MDS は慢性的な血球減少と血球異形成所見,染色体 異常,芽球増加所見を総合的に評価して診断されるが, その中核をなすのは血球形態異常,つまり異形成所見で ある。したがって芽球増加や一部の典型的な染色体異常 を持つ症例を除いて,異形成が認められない症例は基本 的に MDS とは診断できない。しかし,実際には診断者 毎に異形成の判断が異なることも多く,「異形細胞が散 見されるので MDS として矛盾しない」などの曖昧な表 現で MDS と診断され診療が行われているケースもしば しば認められ,診断の均一性を保つことが重要な課題と なっている。Table 1 に厚生労働省特発性造血障害に関 する調査研究班により提唱された MDS の診断基準 1) 示すが,本基準では「形態学的異形成に基づく診断確度 区分」 24) と併用することで,WHO 4 5) に基づく診 断に必要な所見を明文化すると共に,異形成の判断基準 も示している。そして,最終的に対象の症例がどの程度 MDS として確からしいのか診断確度が判定できるよう になっている。 この基準によると,Table 2 に示す異常が異形成と判 断される。中でも低分葉好中球(Pelger 核異型),脱顆 粒(無∼低顆粒)好中球,環状鉄芽球,微小巨核球は MDS に特異性が高く,診断的価値が他の異形成に比べ て高いため,カテゴリー A 異常として特記されている。 その他の異常は他疾患でも認められる異常としてカテゴ リー B に分類される。そして,異形成の定量的評価と して WHO 基準に準じて各血球の 10%以上(環状鉄芽 球は 15%以上)が有意とされ,さらに異型細胞の割合 と系統数によって異形成の程度を High から LowMinimal に分類している(Table 3)。つまり,異形成 High と判定されれば「強い異形成」,Minimal では「異 形成はかなり弱い」という評価になる。 今回の基準では WHO 4 版に合わせて,細胞遺伝学 的異常が診断基準に盛り込まれた。Table 4 にその内容 を示すが,注釈( )のある一部の異常を除いて,これ らの染色体異常が認められる症例では形態学的異常が十 分でなくとも MDS と診断される。また,t(8;21)(q22; q22)のような AML に特徴的な recurrent cytogenetic ab- 5410 1251671自治医科大学医学部 内科学講座血液学部門 75 回日本血液学会学術集会 骨髄系腫瘍CML/MPN/MDS EL-16 ガイドライン(標準治療)

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Page 1: MDS ―診療のガイド―...q22)のようなAMLに特徴的なrecurrentcytogeneticab-臨床血 液54:10 125(1671) 自治医科大学医学部 内科学講座血液学部門

MDS ―診療のガイド―

鈴 木 隆 浩

Key words : Myelodysplastic syndrome, International prognosis scoring system (IPSS), IPSS-R, guideline

はじめに

骨髄異形成症候群(MDS)は難治性の血球減少症を呈する骨髄不全症候群の一つであり,①血球形態の異

常,②無効造血,③急性白血病への進展を特徴とする疾

患群である。そしてその本質は造血幹細胞レベルの変異

によるクローン性増殖と考えられている。つまり,

MDS は腫瘍性疾患と理解されるものであり,異常クローンの増加に従って次第に正常造血が抑制されてい

く。

MDSの異常クローンは分化障害を呈するため分化途中でアポトーシスを起こすものが多く(無効造血),正

常造血巣の減少とも相まって,末梢血成熟血球は減少す

る。また,最後まで分化できた血球においても細胞形態

や機能に異常が認められることが多い。したがって,

MDSでは成熟血球の質・量,共に異常が存在することになり,これらの異常は骨髄不全徴候として顕在化す

る。一方,クローンの増殖が著明になってくると芽球増

加が目立つようになり,正常造血は一層抑制され,病態

は白血病に近づいていく。

したがって,MDSでは異常クローンの性質に応じて血球減少や機能異常に伴う骨髄不全症状と,芽球増加と

して現れる腫瘍性所見が様々な程度で認められることに

なり,治療はこうした症例毎の病態の差異を考慮して選

択される。

MDSの診断

MDSは慢性的な血球減少と血球異形成所見,染色体異常,芽球増加所見を総合的に評価して診断されるが,

その中核をなすのは血球形態異常,つまり異形成所見で

ある。したがって芽球増加や一部の典型的な染色体異常

を持つ症例を除いて,異形成が認められない症例は基本

的にMDSとは診断できない。しかし,実際には診断者毎に異形成の判断が異なることも多く,「異形細胞が散

見されるのでMDSとして矛盾しない」などの曖昧な表現でMDSと診断され診療が行われているケースもしばしば認められ,診断の均一性を保つことが重要な課題と

なっている。Table 1に厚生労働省特発性造血障害に関する調査研究班により提唱されたMDSの診断基準1) を

示すが,本基準では「形態学的異形成に基づく診断確度

区分」2∼4) と併用することで,WHO第 4版5) に基づく診

断に必要な所見を明文化すると共に,異形成の判断基準

も示している。そして,最終的に対象の症例がどの程度

MDSとして確からしいのか診断確度が判定できるようになっている。

この基準によると,Table 2に示す異常が異形成と判断される。中でも低分葉好中球(Pelger核異型),脱顆粒(無∼低顆粒)好中球,環状鉄芽球,微小巨核球は

MDSに特異性が高く,診断的価値が他の異形成に比べて高いため,カテゴリー A異常として特記されている。その他の異常は他疾患でも認められる異常としてカテゴ

リー Bに分類される。そして,異形成の定量的評価として WHO基準に準じて各血球の 10%以上(環状鉄芽球は 15%以上)が有意とされ,さらに異型細胞の割合と系統数によって異形成の程度を High から Low,Minimal に分類している(Table 3)。つまり,異形成Highと判定されれば「強い異形成」,Minimalでは「異形成はかなり弱い」という評価になる。

今回の基準ではWHO第 4版に合わせて,細胞遺伝学的異常が診断基準に盛り込まれた。Table 4にその内容を示すが,注釈(*)のある一部の異常を除いて,これ

らの染色体異常が認められる症例では形態学的異常が十

分でなくとも MDS と診断される。また,t(8;21)(q22;q22)のような AMLに特徴的な recurrent cytogenetic ab-

臨 床 血 液 54:10

125(1671)

自治医科大学医学部 内科学講座血液学部門

第 75回日本血液学会学術集会

骨髄系腫瘍:CML/MPN/MDSEL-16 ガイドライン(標準治療)

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normalities を持つ場合は MDS ではなく,AML に分類される。

以上の情報を統合して,最終的に対象症例がどの程度

MDSとして確からしいのかが判定される。Table 5に示したように,芽球比率,異形成の程度,染色体区分の組

み合わせで,Definite (ほぼ間違いなく MDS である症例)から Possible (MDS と扱って差し支えはないが,真の MDS ではない可能性が残る症例)まで分けられる。

さらに本診断基準では,WHO第 4版にも記載があるが,ICUS (idiopathic cytopenia of undetermined signifi-cance)という概念が新たに定義された。既に述べたように MDS の基本は形態異常であり,診断には 10%以上の細胞における異形成が必要であるが,実際の臨床現

場では異型細胞はあるが全て 10%に満たず,染色体異常も認められない症例に遭遇することも多い。このよう

な症例は定義上MDSと診断することができないが,他に適当な診断名もないことから「MDS と考えられる」

−臨 床 血 液−

126(1672)

Table 1 MDSの診断基準(厚生労働省特発性造血障害に関する調査研究班 平成 22年度改訂 1),一部改変)

①臨床所見として,慢性貧血を主とするが,ときに出血傾向,発熱を認める。症状を欠くこともある。

② 末梢血で,1血球系以上の持続的な血球減少を認めるが,血球減少を欠くこともある。MDS診断の際の血球減少とは,成人でヘモグロビン濃度 10 g/dl未満,好中球数 1,800 / l未満,血小板数 10万 / l未満を指す。

③骨髄は正ないし過形成であるが,低形成のこともある。

A:必須基準1)末梢血と骨髄の芽球比率が 20%未満である。2)血球減少や異形成の原因となる他の造血器あるいは非造血器疾患が除外できる。3)末梢血の単球数が 1,000 / l未満である。4)t(8;21)(q22;q22), t(15;17)(q22;q12), inv(16)(p13;q22)または t(16;16)(p13;q22)の染色体異常を認めない。

B:決定的基準1)骨髄塗抹標本において異形成(Table 2)が,異形成の程度区分で Low以上である。2)分染法,または FISH法でMDSが推測される染色体異常(Table 4)を認める。

C:補助基準1)MDSで認められる遺伝子異常が証明できる(例:ras遺伝子変異,EVI1遺伝子発現亢進,p53遺伝子変異,p15遺伝子メチル化など)。

2)網羅的ゲノム解析でゲノム異常が証明できる。3)フローサイトメトリーで異常な形質を有する骨髄系細胞が証明できる。

診断に際しては,①~③によってMDSを疑う。Aの必須基準の全てを満たし,Bの決定的基準の 1)または 2)を満たした場合,MDSの診断が確定する。診断が確定できない場合は,可能であれば Cの補助基準を適用する。補助基準はMDSを示唆する根拠となる。補助基準の検査ができない場合や疑診例(ICUSを含む)は経過を観察して約半年後を目処に再検査を行う。

Table 2 Diagnostically signifi cant dysplasia in MDS

Category Dyserythropoiesis Dysgranulopoiesis Dysmegakaryocytopoiesis

A Ring sideloblasts Nuclear hypolobulation(pseudo-Pelger-Huet)

decreased granules

Micromegakaryocytes

B Nuclear buddingInternuclear bridging

KaryorrhexisMultinuclearity

Nuclear hyperlobationMegaloblastoid changes

VacuolisationPAS positivity

Small or unusually large sizeIrregular hypersegmentation

Pseudo-Chediak-Higashi granulesAuer rods

Nuclear hypolobationMultinucleation

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と記載され,結局MDSとして取り扱われているのではないかと想像される。ICUSは異形成が 10%未満で特徴的な染色体異常を持たず,他の疾患とも診断できない,

まさに「よく分からない血球減少症」であり,これが診

断分類として記載された意義は大きい。僅かに異型細胞

が認められるが(あるいは全く異型細胞が認められない

が)再生不良性貧血とは診断できない血球減少症などが

ICUSに分類されるため,今後は ICUSが増加し,これまで存在した「怪しいMDS」は減少していくものと期待される。なお,ICUSは MDSとは区別されるが,将来MDSに移行する可能性が高いため,6ヶ月毎の精査(骨髄検査など)が推奨されている。

造血障害班の基準は提唱されて間もないもので,

WHO基準と歩調を合わせて今後も必要に応じて改訂さ

れるものと思われるが,診断者間のばらつ

きを最小限にする工夫がなされており積極

的な利用が望まれる。診断確度の詳細につ

いては本学会ホームページ http://www.jslh.com/MDS.pdf 3) を参照されたい。

MDSの治療

MDSの本質は異常クローンの腫瘍性増殖と考えられるため,本来その治療は急性

白血病と同様に異常クローンの排除を目的

とすべきである。つまり化学療法が最も理

にかなった治療と言える。しかし,造血不

全に伴う感染症などの合併症や残存する正

常造血巣の減少,またMDSクローンは抗癌剤に耐性を持つものも多いため,現実に

はクローン排除に十分な量および回数の化

学療法を施行できない場合が多い。このた

め MDS に対して根治を期待できる治療は,現在のところ 1回の超強力化学療法で治癒を目指す造血幹細胞移植のみと考えら

れている。しかし,移植には無視できない

合併症リスクが伴うため,その適応は

MDSそのものの予後リスクとのバランスを考慮して決定することになる。

幹細胞移植を行わない場合には,様々な

薬物療法・支持療法を施行することになる

が,これらは根治を目的とした治療ではな

いため,生存期間の延長と生活の質

(Quality of Life; QOL)の確保が主な治療目標であり,治療内容は骨髄不全と腫瘍増

殖の程度を勘案して決定する。骨髄不全と

腫瘍増殖のどちらが病態の主かを判断する

には,骨髄や末梢血の芽球数を参考にする

のが最も直接的であるが,実際には染色体異常や血球減

少の程度など将来の白血化リスクに関わる因子を総体的

に考慮した IPSS (Table 6)6) に基づく判断が行われてい

る。

IPSS Low∼Intermediate-1 (Int-1)は死亡・白血化リスクが比較的低い低リスクMDSに分類され,ほとんどの症例では芽球の増殖は軽度で血球減少や機能障害など

の骨髄不全症状が臨床上最も問題になる。一方 IPSSIntermediate-2 (Int-2)∼Highの症例では芽球増加が顕在化しており,骨髄不全症状に加えて白血化リスクが高

く,腫瘍増殖に伴う様々な自他覚症状が問題となり,高

リスクMDSに分類される。

臨 床 血 液 54:10

127(1673)

Table 3 MDS定量的判定に基づく異形成の程度の区分(厚生労働省特発性造血障害に関する調査研究班 平成 22年度改訂1))

High下記の 1または 2と定義する  1:「偽 Pelger核異型≧10% または顆粒減少好中球≧10%」かつ「微小巨核球≧10%」  2:環状鉄芽球≧15%

Intermediate2~3系統で異形成(カテゴリー A+B)≧10%

Low1系統で異形成(カテゴリー A+B)≧10%

Minimal1~3系統で異形成(カテゴリー A+B)<10%

Table 4 Recurring chromosomal abnormalities in MDS at diagnosis

A: Unbalanced

+8* del(20q)* -Y*

-7 or del(7q) -5 or del(5q) i(17q) or t(17p)

-13 or del(13q) del(11q) del(12p) or t(12p)

del(9q) idic(X)(q13)

B: Balanced

t(11;16)(q23;p13.3) t(3;21)(q26.2;q22.1) t(1;3)(p36.3;q21.2)

t(2;11)(p21;q23) inv(3)(q21;q26.2) t(6;9)(p23;p34)

*: The presence of these abnormalities as the sole cytogenetic abnormality in the absence of morphologic criteria is not considered defi nitive evidence for MDS. In the setting of persistent cytopenias of undetermined origin, the other abnormalities shown are considered presumptive evidence of MDS in the absence of defi nitive morphologic features.

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A:低リスクMDSの治療(Table 7)一般に骨髄不全が問題となる低リスクMDSでは血球減少への対策が治療の主目標となり,主に血球の分化や

増殖を刺激する薬剤が使用される。ただし,血球減少が

軽度で臨床上問題にならない患者では必ずしも治療の必

要はなく,貧血や血小板減少が進行して自他覚所見が認

められる症例(あるいは近い将来認められそうな症例)

が治療の対象となる1)。

低リスク MDS では,①エリスロポエチン関連製剤(Erythropoiesis Stimulating Agents; ESAs)7∼9),②蛋白

同化ホルモン(酢酸メテノロン,ダナゾール)10, 11),③

ビタミン Kあるいは D 12∼16),④免疫抑制剤(ATG,cy-closporine A; CsA)17∼20),⑤レナリドミド21∼23),⑥アザ

シチジン(AzaC)24, 25),⑦支持療法(輸血,鉄キレート

療法)が治療の選択肢として挙げられるが,海外を含め

てエビデンスが比較的揃っているのは①,④,⑤,⑥で

ある。しかし,わが国で保険医療として使用できるのは

②,⑤(del(5q) 症例のみ),⑥,⑦のみであり(酢酸メテノロンに限っては,2011年 9月の厚生労働省通達によって MDSで使用しても査定対象外となった),いわゆる EBMとして推奨される内容とは大きな解離が生じている。

このため,保険診療を念頭に置く場合,現時点での治

療方針としては,(1)del(5q)症例ではレナリドミドを試みる。(2)それ以外のMDSでは蛋白同化ホルモンを試みるか AzaCを考慮する,ということになるが,蛋白同化ホルモンは世界的なエビデンスに乏しいため

NCCN 26) および本学会で作成された造血器腫瘍ガイド

ラインでは推奨薬として取り扱われていないことに留意

が必要である。③のビタミン類についても同様の扱いで

−臨 床 血 液−

128(1674)

Table 5 Grade of diagnostic accuracy in MDS(Adapted from ref. 2.)

BM blasts Grade of dysplasia Cytogenetic fi ndingsGrade of diagnostic accuracy

5─19% → → Defi nite

0─4% High →

→ Abnormal*

Intermediate → Probable

Low → Possible

Minimal → ICUS

None

*: The presence of cytogenetic abnormalities shown in Table 4 is considered “Abnormal”.

Table 6  International prognosis scoring system(IPSS)

0 0.5 1.0 1.5 2.0

BM blasts(%) <5 5─10 10─20 21─30

Karyotype Good Intermediate Poor

Cytopenias 0 or 1 2 or 3

Karyotype Good: normal, -Y, del(5q), del(20q) Poor: complex(≧3 abnormalities), chromosome 7 abnormalities Intermediate: other abnormalitiesCytopenias Hb<10 g/dl, neutrophils<1,800 / l, platelets<100,000 / l

0 0.5─1.0 1.5─2.0 ≧2.5

Risk group Low Intermediate-1(Int-1) Intermediate-2(Int-2) High

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ある。また,AzaCは保険上低リスク症例への使用は可能であり,有効性の報告も一部に存在するが,骨髄抑制

などの有害事象も多く認められ,今のところ生存期間の

延長効果も証明されていないことから,本学会の造血器

腫瘍ガイドラインでは第一選択薬としての使用は推奨し

ていない。AzaCは他治療が無効の場合のオプションに止めておき,使用する場合にも riskと benefitを十分に検討することが必要であろう。なお,60歳以下の比較的若年者,HLA-DR15陽性症例,赤血球輸血歴の短い症例,低形成骨髄,微少 PNH血球陽性症例などでは,免疫抑制療法を試みて良いと思われる19, 27∼34)。

⑧の支持療法については,必要と判断されれば全例に

使用が推奨される。特に鉄キレート剤は低リスク症例に

おける予後延長効果が証明されているため35),輸血依存

症例では積極的に使用を考慮すべきと考えられる。ま

た,機序は不明だが,鉄キレートによる造血改善症例も

一部に存在する36, 37)。

造血幹細胞移植については,低リスクの段階では行わ

ないのが基本とされる38)。本リスク群における造血幹細

胞移植の適応は,輸血依存,感染を繰り返すなど QOLが大きく障害されている症例や,経過中リスクが悪化し

病勢の進行が見られる症例が対象と考えられている

(Table 8)39)。

AzaCの導入によってほぼ標準的な対応策が確立した高リスクMDSと異なり,低リスクMDSは保険適用の問題があり,わが国では治療法の選択に難渋する状況が

続いている。ESAsやレナリドミドの早期の適応拡大が望まれる。

B:高リスクMDSの治療(Table 7)高リスクMDSは多くの症例で腫瘍化所見が顕在化しており,白血化リスクが極めて高く,予後不良であるの

が特徴である。1997年の IPSS提唱時のデータにおいて生存期間中央値は Int-2で 1.2年,Highで 0.4年である

臨 床 血 液 54:10

129(1675)

Table 7 Available treatments for MDS

Lower risk Higher risk

Cytokines(EPO, DPO) # CO-1*1

Anabolic steroids(metenolone acetate, danazol) (#)CO-1*2

Vitamin K and D # CO-1*2

Immunosuppressants(CsA, ATG) # CO-1*3

Lenalidomide S(del(5q))*4

# CO-1(non del(5q))*4

Hypomethylating agents(AzaC) CO-2*5 S*5

Conventional chemotherapy CO

Hematopoietic stem cell transplantation CO-2*6 S*7

Supportive cares(transfusion, iron chelation) S S

S; standard, CO; clinical optionCO-1: clinical option as the 1st line therapyCO-2: available when CO-1 treatments are ineffective or intolerable*1: These drugs are not covered by health insurance in Japan.*2: There are a few evidence in the Japanese population.*3: May be effective for patients with following features; younger age(<60 years old), positive for

HLA-DR15, hypoplastic bone marrow, and PNH clones.*4: Currently, lenalidomide is not covered by health insurance for patients with non del(5q)MDS.*5: AzaC is a standard 1st line drug for patients who are not candidates for stem cell transplantation.

AzaC can also be available for patients with lower risk MDS, but it is not recommended as the fi rst line therapy.

*6: Applicable for patients with deteriorating risk, frequent transfusion requirements, or frequent infections.

*7: Generally, patients with higher risk MDS need prompt stem cell transplantation.# : These drugs have not been covered by health insurance in Japan.

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が6),1992年から 2004年までの患者コホートを利用したイタリアの報告でも 50%生存期間は Int-2で約 2年,Highで約 1.5年程度とやはり予後は悪い40)。死因の大

部分は腫瘍化の進展,白血病に関わるものである。

このため,高リスクMDSでは抗腫瘍療法を施行するのが原則であり,可能な症例では根治が期待できる唯一

の治療法である造血幹細胞移植を行う。そして,幹細胞

移植を行わない(行うことができない)症例では抗腫瘍

剤を選択する。これまでは,白血病に使用される化学療

法剤を減量して使用することが多かったが,低用量化学

療法では白血化リスクの低減や生存期間の延長は望め

ず,その効果は一時的な輸血量減少など限定的であっ

た。

しかし,近年 AzaCに代表されるメチル化阻害剤が登場し,予後延長,白血化リスクの低減についてのエビデ

ンスが報告されてからは,AzaCが第一選択薬として標準的な位置を占めている。米国における AzaCと支持療法の比較試験(CALGB9221 試験)25) では MDS の全ての病型において白血化が遅れ(AzaC 21ヶ月 vs. 支持療法 13ヶ月),生存期間が延長し(AzaC 19.9ヶ月 vs. 支持療法 10.5ヶ月),QOL が改善したことが示された。また,欧米における高リスクMDSを対象とした通常治療(支持療法,低用量化学療法,強力化学療法)との第

III 相比較試験(AZA001 試験)41) では生存期間の延長

(AzaC 24.5ヶ月 vs. 通常治療 15.0ヶ月)と白血病化までの期間延長(AzaC 17.8ヶ月 vs. 通常治療 11.5ヶ月)が示されている。

なお,AzaCは効果発現まで一定の期間が必要であることから,明らかな増悪や有害事象による中止を除い

て,有効性の判定には少なくとも 4∼6コースの継続を

−臨 床 血 液−

130(1676)

Table 8 MDSに対する移植適応(日本造血幹細胞移植学会 2009年,文献 39より一部加筆)

IPSS(risk) 病型HLA適合同胞

HLA適合非血縁

臍帯血移植(4)

Low*1 RA/RARS(1) CO CO Dev

Intermediate-1*2 RA/RCMD/RS(1) CO CO Dev

RAEB-1(1) CO CO Dev

Intermediate-2*3 RA/RCMD/RAEB-1 S S CO

RAEB-2(2) S S CO

High*4 RAEB-1/2(2) S S CO

Proliferative CMML(3)*5 S S CO

Therapy-related MDS*6 S S CO

AML transformed from primary MDS(2) S S CO

S: standard of care CO: clinical option Dev: developmental(1) 血球減少が高度で血液補充療法依存性あるいは重症感染症・出血ハイリスクの症例で,他の

保存的治療法が無効の場合。

(2) 染色体異常が good prognosisを示す一部の症例では移植適応を慎重に考慮する。(3) dysplastic CMMLは他のMDSに準じ,IPSSによる適応基準に従う。(4) 患者年齢,臍帯血細胞数などにより COまたは Devとなる。*1 HLA適合血縁者間移植が基本。非血縁者移植成績は特に 40歳以上で不良であるため,適応には十分な検討が必要。

*2 Lowリスクであった症例が Int-1になった場合は比較的早期に移植することが勧められる。この群には移植前化学療法は勧められない。

*3 基本的に早期移植が勧められるが,染色体異常が good prognosisを示す一部の症例では,AMLに準じた治療などで比較的良好な予後を期待できる場合があるので,適応は慎重に考慮する。

*4 生存期間中央値は半年未満なので,非血縁者間移植を含む同種移植の適応である。移植前化学療法の是非は症例毎に検討されるべき。

*5 CMMLは他の有効な治療法に乏しく,移植の良い適応である。*6 therapy-related MDSは積極的な移植適応である。

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要する。

造血幹細胞移植は,HLA適合同胞あるいは適合非血縁ドナーを用いるのが標準的である。しかし,成人ド

ナーがどうしても得られない場合は,臍帯血移植も考慮

される(Table 8)39)。また,AzaC を移植前治療に使用した報告はあるが,その治療効果・意義は明らかになっ

ていない。AzaC は移植前治療として使用は可能だが,効果発現まで時間がかかることを考慮して治療計画を立

てる必要がある。

病態を考慮すると,高リスクMDSでは抗腫瘍効果を目的とした治療が合理的であり,低リスクMDSで用いられる造血促進を目的とした薬剤の使用意義は少ない。

実際,蛋白同化ホルモン,ビタミン類,免疫抑制療法,

レナリドミドは高リスク症例に対する有効性が明確に証

明されていないため,使用は推奨されない。しかし,レ

ナリドミドについては,del(5q)を有する高リスクMDS47例を対象とした臨床試験において,13例(27%)に血液学的改善が認められ(7 例(15%)は完全奏効),5q単独欠損 9例中 6例は完全奏効に入ったことが報告されているため42),AzaC不応の del(5q)MDSにおいてレナリドミドは候補薬として考慮可能と考えられる。

なお,支持療法については高リスク症例でも必要に応

じて併用する。ただ,鉄キレート療法は,低リスク症例

とは異なり高リスクでは生存期間の延長が証明されてい

ないため使用意義について見解が定まっていない。鉄キ

レートは臓器障害の改善(ひいては予後の改善)を目標

に行う治療であり,効果発揮まで 1年程度期間を要することが見込まれるため,少なくとも palliation方針の患者への使用は不要と考えられる。一方,造血幹細胞移植

を予定している症例では,移植前の高フェリチン血症が

全生存率や非再発死亡率に悪影響を与えていることが多

数の施設から報告されており43, 44),さらに小児白血病で

は移植前鉄キレート療法によってその後の経過が改善す

ることが示されているため45),移植前にキレート療法を

行うことが推奨される。時間的余裕がなく,移植前に十

分にキレートできなかった場合には,移植後のキレート

療法(瀉血など)でも臓器障害が改善することが報告さ

れているため,試みてよい。

AzaCによる予後延長の可能性がある症例へのキレート療法の是非については一定の見解がない。基本的に

AzaCのみで長期予後を見込むことは難しいため,例え除鉄を行っても効果は十分に得られないかもしれない。

キレート治療は AzaCが奏効し寛解に入った症例,既に鉄過剰症による臓器障害が強い症例などに限るのが良い

かもしれない。

C:IPSS-Rの利用以上のように,MDS では IPSS に基づき低リスクと高リスクに分けて方針を立てるのが基本となっている

が,IPSSでは高リスク側の因子は芽球数,染色体異常の 2つが含まれているものの,低リスク側は血球減少系統数のみであり,やや低リスク側の評価が弱いのではな

いかと指摘されていた。また,最近の研究で染色体異常

が予後を規定する最も重要な因子であることも明らかと

なっている。そこで,従来の染色体異常,骨髄芽球数,

血球減少に加えて,予後への影響が指摘されている骨髄

線維化,Performance Status (PS),LDH,フェリチン,b2ミクログロブリン,輸血依存,年齢を加えて改めて多変量解析を行い,IPSSの再評価が行われた。その結果,IPSSで使用されている 3因子が全生存率

(OS)および白血化リスクを規定することが再確認され,影響の度合いは染色体>芽球数>血球減少の順に強

いことが確認された。また,追加因子では年齢が OSに強く関係していることが明らかとなったが,白血化リス

クなど病態そのものの経過に年齢は関係しないことが明

らかとなった。PS,フェリチン,LDH,b2ミクログロブリンは僅かに予後に影響するものの,年齢同様病態経

過には影響せず,骨髄線維化は予後にも影響しないこと

が明らかになっている。

以上の知見から,IPSSが改定され,IPSS-Rが提唱された(Table 9,Fig. 1)46)。IPSS-Rでは染色体異常の区分が改訂され,より細かく定義されている。また,芽球数

2%で新たにリスクが分けられ,さらに血球減少の「深さ」が考慮されるようになっており,最終的に Verylowから Very highまで 5段階にリスクが分類されることになった。

IPSS-Rと IPSS間の対応は Fig. 2に示されるとおりであるが,IPSS Low はほとんどが IPSS-R Very Low かLow,IPSS Highはほとんどが IPSS-R Very Highに分類され,これらのリスクカテゴリーについては従来とほぼ

同等の評価となる。また IPSS Int-2 は多くが IPSS-RHigh か Very High に分類され,一部 Int に入るものもあるが,ほぼ従来どおり高リスクとしてまとめることが

できる。今回注目すべきは IPSS Int-1 であり,これはIPSS-R Very Lowから Highまで広い範囲に再分配されている。つまり,低リスク症例の大部分を占める従来の

IPSS Int-1はかなり不均一な集団であり,IPSS-Rではこれまで Int-1 (つまり低リスク)に分類されていた患者の中からより積極的な治療を必要とする予後の悪いグルー

プを見つけ出すことが可能になったと考えることができ

る。

IPSS との対応から IPSS-R では Very Low から Int までが低リスク,Highから Very Highが高リスクと一応

臨 床 血 液 54:10

131(1677)

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分類できる。しかし,原著によれば IPSS-R Intは白血化での死亡率が Very Low,Low よりは明らかに高く,High,Very Highよりは明らかに低い(Very Low,Low,Int,High,Very High; 13%,17%,26%,33%,31%)46)。

その意味で Int はこれまでの IPSS では明確にできなかったまさに予後中間群と考えることができ,この群で

は従来の低リスク,高リスク双方の治療が許容されるの

ではないかと述べられている。つまり,この群では造血

幹細胞移植や AzaCによる治療をより積極的に検討したほうが良い可能性があり,今後の臨床的検証が必要であ

る。今後は特に低リスク患者において IPSS-Rを併用した治療戦略の最適化が行われるものと期待される。

−臨 床 血 液−

132(1678)

Table 9 Revised international prognosis scoring system(adapted from ref. 46)

0 0.5 1 1.5 2 3 4

Cytogenetics Very Good Good Intermediate Poor Very Poor

BM blast(%) ≦2 >2─<5 5─10 >10

Hb(g/dl) ≧10 8─<10 <8

Plt(×104/ l) ≧10 5─<10 < 5

ANC(/ l) ≧800 < 800

Cytogenetic criteria in IPSS-R

Cytogenetic abnormalities(↓ No. of abnormalities)

Median survival(yrs)

Median time to 25% AML evolution(yrs)

Very Good 1 -Y, del(11q) 5.4 NR

Good 0 Normal 4.8 9.4

1 del(5q), del(12p), del(20q)

2 double including del(5q)

Intermediate 1 del(7q), +8, +19, i(17q) 2.7 2.5

any other single

2 any other double

Poor 1 -7, inv(3)/ t(3q)/del(3q) 1.5 1.7

2 double including -7/del(7q)

3 complex: 3 abnormalities

Very Poor ≧4 complex: >3 abnormalities 0.7 0.7

NR; not reached

≦1.5(0─1.5)

>1.5─3(2─3)

>3─4.5(3.5─4.5)

>4.5─6(5─6)

>6(7─10)

Risk group Very Low Low Intermediate High Very High

Median survival(yrs) 8.8 5.3 3 1.6 0.8

Median time to 25% AML evolution(yrs)

NR 10.8 3.2 1.4 0.73

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おわりに

造血幹細胞移植以外に根治療法が存在せず,有効性が

期待できる薬剤も保険適用外であるなど,治療にあたっ

て長い間困難を強いられてきたMDSであるが,最近になって新規薬剤が登場し,少しではあるが「不治の病」

であるMDSと戦うための手段が増えた。しかし,造血

幹細胞以外に根本的治療の無い状況は依然変わらず,予

後の延長も不十分なのが現状である。最近のゲノム医学

の発展に伴い,これまでほとんど病態解明が進まなかっ

たMDSの全体像が明らかになりつつある。今後は分子病態などに基づいた治療法の選択,新規治療薬の開発が

進むことに期待したい。

臨 床 血 液 54:10

133(1679)

Fig. 1 Survival and AML evolution based on IPSS-R prognostic risk-based categories (adaptedfrom ref. 46)

Fig. 2 Comparison of IPSS-R and IPSS subgroups (adapted from ref. 46)

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著者の COI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容に関連

して特に申告なし

文 献

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