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2012年度 春課題

民族教育による先住民族差別の改善―先住民族に対する教育と先住民族に関する教育の可能性―(仮)

慶應義塾大学、文学部

人文社会学科、教育学専攻

4年、10902347松浦良充研究会

内田奈保美

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目次

序章

テーマ概要

テーマ選定理由 差別とは

第 1章 世界の先住民族の概説第 1節 少数民族・先住民族の定義 第 2節 先住民族の現状と教育

第 2章 アイヌ民族について第 1節 アイヌの定義 第 2節 アイヌの現状と教育

第 3章 日本の学校教育における問題点第 1節 学校教育の中での差別 第 2節 学校における差別の原因 第 3節 民族教育(「被先住民族に対する先住民族に関する教育」・「先住民族に対す

る教育」)の重要性

第 4章 海外における民族教育の在り方 第 1節 オーストラリアにおける先住民族に関する教育 第 2節 ニュージーランドにおける先住民族に対する教育 第 3節 アメリカの教育 *北欧のサーミ-への民族教育に変更する可能性有り

第 5章 アイヌ民族に対するこれまでの教育の在り方と今後の課題 第 1節 アイヌ民族に対する教育 第 2節 被先住民族に対するアイヌ民族に関する教育 第 3節 これからの学校教育の在り方

終章 

今後の研究の見通し・計画・予定

参考文献一覧

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序章

テーマの概要

グローバル化が強調されて、今日では多くの日本人が外国に渡り、また、多くの外国人

が日本に来るようになっている。その中で私たちは以前よりも外国の様々なことについ

てより詳しくなったかのように思われる。しかし、私たちは世界の中で多数存在してい

る多様な民族の文化をどれほど理解し、認め合っているのだろうか。また、世界の国々

のことだけではなく、自国の民族のことについてどれほど知っているのだろうか。日本

人の多くは、日本を単一民族国家だと思い込んでいるが、彼らは日本にも先住民族のアイ

ヌがいるということを認識しているだろうか。このように、先住民族についてはほとん

ど知られていないというケースが多い。そのために彼らに対する差別も未だに存在し、

また、それが彼らとマジョリティとの間に教育格差・経済格差を生む原因ともなってい

る。それだけに留まらず、この教育格差・経済格差は先住民族に対する差別を生む背景と

もなっており、この負の連鎖は現在大きな問題となっている。

そこで本論文では、彼らに対する差別意識を子供に植付け、それと同時に彼らが多く差

別を受けている場所の一つとして挙げられている学校に着目し、学校現場、または学校

教育において先住民族に対する無理解が原因として生じると思われる差別の実態を教育内

容や教師等の生徒への影響から解明し、海外の国々との比較を行いながら、「先住民族に

対する教育」と「被先住民族に対する先住民族に関する教育」の両方の民族教育的アプ

ローチから、学校が原因として起こる差別を改善する対策について、主に日本、アイヌ

民族を中心として検討していく。

テーマ選定理由

 2007年 9月 13日に国際連合で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択された。この宣言は、「先住民族が集団又は個人として、国際連合憲章、世界人権宣言及び国

際人権法において認められたすべての人権及び基本的自由を十分に享受する権利を有する

ことを始め、先住民族及びその個人の権利及び自由について述べたもの」1である。この

宣言により先住民族の権利は明確に保持され、彼らに対する差別は禁止されるというこ

とが示された。

 しかし、このような宣言や法の下に国民は平等に保護される権利を有することを公に

宣言した法律が世界に数多く存在しているにもかかわらず、それらの理想と大部分の先

住民族の生活状態は鮮やかな対比をなしている。現実にはどの国においても差別は存在

しており、そしてそれが学校においても存在する。先住民族に対する差別の背景には

様々な原因があるが、その中で学校が差別の意識を形成する場としてどのような役割を

1 首相官邸『アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の開催について』http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/dai1/1siryou.pdf (2011年 9月 24日取得)

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果たしているのかを明らかにすることが急務である。また、それを明らかにすることで、

それを世界に存在する他の人種や民族に対する差別や学校における諸問題を解決する際に

役立てることが可能なのではないかと考える。

差別とは

 広辞苑を見てみると、差別とは「①差をつけて取りあつかうこと。わけへだて。正当

な理由もなく劣ったものとして不当に扱うこと。②区別すること。けじめ。」 2と書かれ

ている。また、差別とは「不快・嫌悪・軽蔑」といった他者に対する否定的感情と結びつ

いており、これらは「単純な感情から複雑な感情へ、生理的感情から観念的・社会的感情

へと上昇していく」3ものである。その中でも、先住民族など歴史的・文化的に背景をも

つマイノリティに対する差別は観念的・社会的感情として存在しており、個人的感情から

離れていることが特徴である。私達の彼らに対する差別というのは、家庭や学校におけ

る教育や書物や映画その他のメディアによって私達自身ではない「外」から動機づけら

れることで、それを確固たるものに築きあげていくものである4。したがって、本論文で

は私達の「外」に存在し、人々に差別感情を植付けている学校の教育や教科書などにおけ

る問題を解決することで、先住民族に対する差別を生む原因を断つことが出来るのでは

ないかと考え、それを考察していく。

(執筆中)

第1章 世界の先住民族の概説

第1節 少数民族・先住民族の定義

 世界のどの国にも少数民族が存在する。「少数民族」を「マイノリティ」という言葉で

社会科学の分析上の概念として初めて用いた社会科学者、ルイス・ワースは、この言葉を

次のように定義している。

「形質的ないしは文化的特徴の故に、彼らの属している社会のなかで他の集団から区別さ

れ、異なった不平等な状況下に生活しているため、自らを集団的差別の対象とされてい

る人びと」5

2 『広辞苑第六版』、岩波書店、2008年3 中島義道『差別感情の哲学』、講談社、2009年、p.284 同上5 綾部恒雄編、『講座世界の先住民族-ファースト・ピープルズの現在-10失われる文化・失われるアイデンティティ』、明石書店、2007年、p. 4

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また、ここで注意しなければならないことは、「少数民族」と言われる民族が、必ず

しも数の上で少数派とは限らないという点である。例えば、南アフリカ共和国でアパル

トヘイトが行われていた当時は、黒人が約 1700万人、白人が約 400万人、アジア系その他の諸民族が 300万人という構成であったが、通常私達は当時の白人たちを少数民族とは呼ばない。むしろ、多数派であるが白人社会から日常生活のあらゆる面で隔離され、

人権を無視されてきた黒人たちを少数民族と言うだろう。したがって、「少数民族と呼

ばれる人びとは、通常は文字通り、より上位の集団の中で少数派である場合が多いにも

かかわらず、本質的には人権が奪われたり政治的経済的機会を奪われた民族のことを意味

する」6のである。

 先住民族も大多数の国で少数民族となっている。先住民族の規定、あるいはカテゴリー

化は国によって様々であるが、世界各地の先住民組織の連合体である世界先住民会議は、

先住民の概念について以下のような提案を行っている。

「私たち先住民とは以下のような集団である。私たちの現在住んでいる土地に古い時代

より住み続け、祖先から引き継いだ土地に結び付けられた社会的伝統と表現の手段、およ

び独自の言語を保持するという特徴をもち、さらに特定の民族への強固な帰属意識を抱か

せるような基本的かつ独自の特徴をもつことを自覚している集団のことである。そして

民族としてのアイデンティティを有し、それゆえに他者から峻別される集団のことであ

る」7

 さらに、国連人権擁護特別コミッションの先住民問題の専門家であるジュリアン・バー

ジャーによると、先住民とは、以下の全てか、もしくはいくつかの要素を含んでいる。

1. 征服者によって蹂躙された領土のもともとの住民の子孫である。2. 移動または半移動民。移動耕作者、牧畜民、採集民であったりする。労働集約的な農業形態をとり、余剰を生むことはほとんどなく、エネルギーの必要度も低い。

3. 中央集約的な政治制度をもっておらず、共同体レベルで組織がつくられており、全員の同意をもとに決定がなされる。

4. 少数民族の特徴をすべて有している。共通の言語、宗教、文化、識別可能な諸特徴と特定の土地との結びつきなど。しかし支配的な文化・社会によって圧倒されつつある。

5. 土地と天然資源を保護し、物資中心主義的ではない態度からなる世界観をもち、支配社会によって与えられた開発とは異なる開発を追及する。

6権藤與志夫編、『21世紀をめざす世界の教育―理念・制度・実践―』、九州大学出版会、1994年、p.2037 同上、p. 8

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6. 自分たちを先住民と見なしており、集団にも先住民として受け入れられている個々人

を構成員とする。8

第2節 先住民族の現状と教育

 現在世界には、総人口の 4%にあたる 2 億 5000万人の先住民族が 70カ国以上で暮ら

しているが、そのほとんどの国において、先住民族は差別に直面し、不利益を被ってい

る。彼らは国民のマジョリティよりも失業状態にあることが多く、職につけたとしても

同等の労働者よりも低い報酬しか受けられないことがほとんどであり、より下層で低賃

金の職種に集中しがちである。先住民が国民社会の中へ統合されるなら、社会階層の最下

層を占めるのか普通であるとされている。

 職業以外の分野でも、先住民族は同様に不利益を被っている。彼らの教育程度は大変低

く、大学教育を受けたり、義務教育を修了したり、基本的な読み書きが出来る先住民の数

は、多数派を比べて非常に少ない。そして、このことが雇用者による低賃金と職を志望

する者に対する差別を正当化し、先住民が最低賃金しか支払われず、好機に恵まれること

のほとんどない職種に集中していることの原因となっている。

 先住民族の教育達成度が低い理由として、ジュリアン・バージャーはいくつかの原因

を挙げている。まず一つ目として彼は、先住民族の環境条件を挙げている。孤立した先住

民の集団にとって、いかなる種類の学校でも入学不可能であることが多い。例えば、遊

牧民の生活様式に固定式、または寄宿舎付きの学校は馴染むはずがなく、それゆえに通常

の教育制度を受けることは難しいのである。

二つ目として彼は、公教育の現状を挙げている。公教育は、それを受けられる所では、

先住民の伝統と敵対することが多い。公教育がその土地の文化を伝えることは稀であり、

また、先住民共同体の必要に応じて公教育を再編する努力はほとんど行われていない。

そして、三つ目として教育の悪意的利用が挙げられている。教育は、先住民族をコント

ロール出来るようにし、その文化を墜落させる手段として見なされていることが多い。

また、多くの先住民族の文化は口承の伝統を持っており、彼らは書き言葉を話し言葉ほど

重要と考えていないために、文化的に劣っているという前提が持たれており、それゆえ

に教師は自分たちの文化の方が優秀だという先入観を抱いて先住民の共同体へ入っていく

ことが多く、それが先住民の子供たちを混乱させている。

このような原因によって、先住民の教育達成度は上がらず、そしてこれが職業での先

住民への差別や低所得と堅く結び付いている。このような現状は、日本のアイヌ民族に

おいても大して変わらない。

第2章 アイヌ民族について

8 ジュリアン・バージャー著、真実一美他訳、『世界の先住民族』、明石書店、1992年、pp. 17-18

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第1節 アイヌの定義

 アイヌとは、以下のように説明されている。

「アイヌとは、樺太島南部、千島列島、北海道、東北北部に居住してきた、日本語とは全

く異なる言語を話す人びとであり、日本人との接触の中で「アイヌ」という枠で表現さ

れてきた先住民族である」9

アイヌは「ウタリ」とも表されるが、ウタリとは以下のような意味である。

「(アイヌ語で親族・同胞の意)アイヌ民族のこと」10

第2節 アイヌの現状と教育

 現在、日本におけるアイヌ民族の正確な人口は明らかになっていない。北海道庁が

2006年に実施した「アイヌ生活実態調査」11 によれば、北海道に住むアイヌ民族の人口

は、72の市町村に 23,782人となっているが、実際は、調査範囲が北海道居住のアイヌ

に限定されていること、大部分のアイヌ民族が過去からの同化政策の影響によって民族

的アイデンティティを隠して生活していること、また、両親にアイヌ民族の血を引くこ

とすら教えてもらっていない人々が多く存在していること等の理由により、調査結果で

示されるよりもはるかに多くのアイヌ人口が見積られると考えられている。

 現在の彼らの生活実態を同上の調査から見てみると、主に漁業、建設業、サービス業に

従事している者が大半を占めるが、どれも経営零細であり、また、彼らの生活保護需給率

はアイヌの居住している市町村の 1.6 倍である。(表-1)そしてこの際、北海道の生活保護率が全道平均よりも高いということを忘れてはならない。

保護率(人口 1000人中の割合)1986年 1993年 1999年 2006年

アイヌ 60.9 38.8 37.2 38.3市町村 21.9 16.4 18.4 24.6

*北海道環境生活部、『平成 18年アイヌ生活実態調査報告書』より作成(表-1:生活保護の状況)

また、高校・大学への進学率にも格差が見られ、依然として教育格差が残っている。(表

9 末成道男他編、『講座世界の先住民族-ファースト・ピープルズの現在-1-東アジア』、明石書店、2005年、p. 8710 『広辞苑第六版』、岩波書店、2008年11北海道環境生活部、『平成 18年アイヌ生活実態調査報告書』、2006年

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-2)さらに、「物心ついてから今までの差別の状況」についての調査では、「差別を受

けたことがある」と答えた人が 16.8%、「自分に対してはないが、他の人が受けたことを知っている」と答えた人は 13.8%だった。差別を受けた場面では、「学校」と「職

場」と答えた人が多く、受けた差別として最も多かった答えは「アイヌ民族として馬鹿

にされた」であり、依然としてアイヌ民族に対する差別が根強く残っているということ

が明らかになった。さらに、「差別を受けたことがある」または「自分に対してはない

が、他の人が受けたことを知っている」と答えた人に対して、差別の原因・背景につい

て聞いたところ、「人種的偏見に基づく差別」が 72.5%で最も多く、次いで「アイヌ民

族の歴史的・社会的背景に対する無理解に基づく差別」が 49.5%、「学校教育において

アイヌ民族の理解を深める取組が不十分なことに基づく差別」が 29.4%の順となってお

り、(表-3)また、そのような差別をなくしていくためにはどのようにすれば良いと思うかについて尋ねた所、表-4の通り、「学校教育の中で、アイヌ民族の理解を深める取

組を充実する」が 61.0%と最も多かった。

                                      (%)1986年 1993年 1999年 2006年

高校 アイヌ 78.4 87.4 95.2 93.5市町村 94.0 96.3 97.0 98.3

大学等 アイヌ 8.1 11.8 16.1 17.4市町村 27.4 27.5 34.5 38.5

*北海道環境生活部、『平成 18年アイヌ生活実態調査報告書』より作成(表-2:高校・大学の進学率)

                                      (%)区分 構成比

人種的偏見に基づく差別 72.5アイヌ民族の歴史的・社会的背景に対する無理解に基づく差別 49.5

学校教育においてアイヌ民族の理解を深める取組が不十分なことに基づく差

29.4

経済的理由に基づく差別 15.6アイヌ文化に対する無理解に基づく差別 14.2

その他 2.3*北海道環境生活部、『平成 18年アイヌ生活実態調査報告書』より作成

(表-3:差別の原因)

(%)区分 構成比

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学校教育の中で、アイヌ民族の理解を深める取組を充実する 61.0差別や偏見につながる慣習や社会の仕組みを改善する 58.7

地域社会や職場での、アイヌ民族の理解を深める取組を充実する 22.5行政が啓発活動などを積極的に推進する 18.8

その他 7.3*北海道環境生活部、『平成 18年アイヌ生活実態調査報告書』より作成

(表-4:差別をなくすためにはどのようにすればよいと考えるか)

一方、北海道以外の自治体では、東京都は唯一関東ウタリ会の協力を得て、「東京在住

ウタリ実態調査」12を 1989年に行っている。この調査からは、多くのアイヌ民族が職を

求め、あるいは差別から逃れるために北海道を離れ、生活していることが読み取れる。

東京においても彼らの生活保護需給率は一般東京都民の 1.4 倍であり、また、東京に住む

理由として、第一には経済的理由、それに次いで「教育」、そして「ウタリであること

の悩みや不安」から逃れることが挙げられている。

北海道と東京都による実態調査により、アイヌ民族は世界の先住民族と同様に依然とし

て差別を受け、経済困難な状況の中で生活しているということが伺える。そして、ここ

でも教育格差・経済格差は長年の差別に起因し、同時に教育格差・経済格差が差別を生み

出すという相関関係が存在しているということがわかる。また、表-3と表-4によって、アイヌ民族に対する差別は彼らに対する無理解に起因していることが問題であり、それ

を無くすためには学校教育において被先住民族がアイヌ民族に関する理解を深めていく

ことが重要であるということがわかった。それを行っていくことで学校外の社会におい

ても彼らに対する無理解を防いでいくことが出来ると考えられる。

第3章 日本の学校教育における問題点

第1節 学校教育の中での差別

 以上先住民族の現状から、依然として彼らには負の連鎖、すなわち経済格差と差別の相

関関係が存在しているということが明らかになった。では、教育現場での差別や彼らの

無理解というのは、彼らの教育格差、すなわち高校や大学等への進学率、そして後の経済

格差に影響はないのだろうか。実際、教育現場での差別事件は以前から多く報告されてお

り、評論家の加藤一夫は、「校内暴力やいじめで、民族性を理由にしたものが北海道では

かなり多い。児童生徒同士の問題よりも、教師による差別が多く、アイヌ民族の児童に

12 東京都企画審議室調査部編、『東京在住ウタリ実態調査報告書』、1989年

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とって教室は、「迫害の場」になっている」13と述べている。

 また、先にも取り上げた 2006年の「アイヌ生活実態調査」では、アイヌ民族が差別を

受けた場面として「学校」が挙げられ、さらに学校教育においてアイヌ民族のことを理

解する機会が確立されていないことが彼らへの差別につながっているということが明ら

かになった。これらのことから、学校における差別が中途退学するアイヌ民族の児童を

増加させ、彼らの進学率に影響を与えているとは考えられないだろうか。また、学校こ

そが彼らに対する差別を児童が形成する場となってしまっているのではないだろうか。

第2節 学校における差別の原因

 本論文では、学校で先住民族に対する差別意識が形成され、実際に差別が行われる原因

として授業内容を挙げる。そしてそれはさらに二つのことに分けることが出来る。一つ

目は、教科書問題、そして二つ目は教師の問題である。

まず、教科書問題であるが、大部分の教科書には、アイヌに関する記述がなく、また、

あっても記述そのものが極めて少ない。四国学院大学教授の竹ヶ原幸朗は小学校用社会科

教科書におけるアイヌ民族の記述の有無やその系統性について分析し、次のように述べ

ている。「アイヌ民族は日本の先住民族である。教科書の中でそれに関する記述が欠落し

ていることは、子どもたちにアイヌ民族のことは学習する価値がないという印象を与え

るとともに、その存在自体の否定につながっていく危険性を内包している」。14また、ア

イヌ民族の記述の系統性については、「これらの〈アイヌ民族〉記述は歴史単元が中心で

それも大半が明治中期までのアイヌ史の記述に留まっている」 15とし、その後における百

年の歴史―シャクシャイン戦争やアイヌ民族支配に対抗して発生した近現代の自覚的な運

動―は空白のままであり、現代のアイヌ民族の姿や現代日本の課題としてのアイヌ差別

問題については全く触れられていないとしている。

 このように教科書の記述が限定されていることが、児童のアイヌ民族に対する差別や

偏見を助長させているのではないだろうか。もし正確かつ十分な記述がなされれば、児

童からアイヌ民族に対する負のイメージを払拭させることが出来ると考える。

 次に教師の問題が挙げられる。授業を創造する教師も学校教育におけるアイヌ民族への

差別を生む原因となりかねない。ここで問題となっているのは、「教師のアイヌ民族に

対する認識が不十分であることなどから、実際の指導においても、取り扱いが消極的に

なる傾向がみられる」こと等である。16教師の先入観やアイヌ民族に対するふるまいが児

13 加藤一夫、「先住民族教育の諸問題」『レファレンス平成 2年 3月号』、日本図書館協会、1990年、p. 2014 竹ヶ原幸朗『教育のなかのアイヌ民族-近代日本アイヌ教育史-【竹ヶ原幸朗研究集成第 1 巻】』社会評論社、2010年、p. 17215 同上16 北海道教育委員会、『高等学校教育指導資料「アイヌ民族に関する指導の手引き」』、1992年

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童に彼らに対する差別や偏見を持たせるということは十分にあり得るのである。これに

対する対策として、教員養成時における先住民族などのマイノリティに対する正しい知

識や理解を重視した養成制度などが挙げられるだろう。

第3節 民族教育(「被先住民族に対する先住民族に関する教育」・「先住民族に対する

教育」

)の重要性

 第 2節において、学校における差別の対策として、授業内容を構成する教科書と教師の

問題について触れてきたが、さらにここで、民族教育についても見ていきたい。本論文

で用いる「民族教育」とは、「民族の文化や言語について児童が学ぶ、そして触れること

の出来る教育」のことを指すが、ここで言う民族教育(特に本論文の場合は先住民族教

育)とは以下の二つのものが挙げられる。一つ目は学校教育内で被先住民族の教師などに

よって行われる民族教育(=「被先住民族に対する先住民族に関する教育」)である。学

校教育内で積極的にそれを行うことによって、第 2章、第 2節で示した通り、先住民族に対する偏見や誤解を除去することが可能なのではないかと考える。二つ目は系統的、計

画的に専門職の教師によって教えられる学校での教育ではなく、アイヌ民族によるアイ

ヌ民族のための民族教育(=「先住民族に対する教育」)である。それぞれの民族には自

文化のうちどの部分を次世代に伝達しようとしているのかという価値選択がそれぞれ異

なっている。「次世代へ伝達すべき民族の遺産、すなわち言語、慣習、芸術、価値体系等、

選りすぐった行動様式を祖先より引き継ぎ子孫へ伝達することにより民族教育がなさ

れ」ていくことが必要である17。

 これからは海外で行われている民族教育の在り方を見ていく。そこから日本の学校教

育においてこれからどのようなことを行っていく必要があるのかを検討していき、授業

内容における問題を解決していきたい。

第4章 海外における民族教育の在り方

第1節 オーストラリアにおける先住民族に関する教育 多民族国家であるオーストラリアでは、多文化社会を反映した多文化教育

(multicultural education)が行われ、先住民族を含む各民族に対する教育の保障を積極

的に実践している。多文化教育とは、多文化主義ないしは文化相対主義18「多民族国家に

17権藤與志夫編、『21世紀をめざす世界の教育―理念・制度・実践―』九州大学出版会、1994年、p.21518 文化相対主義とは、「単に人は平等だというだけでなく、固有の文化を持つ各民族が、相互に異なるそれぞれの生き方を尊重して、これに対して積極的に価値を認め合うという考え方」である。同上、p.211

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おいて、多種多様の文化的、民族的背景をもつ青少年、とくに少数民族や移民など、社会

的に不遇な立場にあるマイノリティ集団の子どもたちに対して平等な教育機会を保障す

るために、彼らのエスニシティ(民族的・文化帰属性)や文化的特質を尊重して行われる

教育」19と捉えられているものであるが、オーストラリアの多文化主義は以下三つの基本

的な考え方から成り立っており、それらからは本論文が検討していく民族教育の重要性

や被先住民族との間に存在している経済・教育格差を解決していくことの必要性を読み取

ることが出来る。

「第一は、すべての国民が言語や宗教といった自らの文化的遺産を維持発展できる権利が

あるとする文化アイデンティティの考え方。第二は、文化的、民族的背景の相違によっ

て生じている格差や障害を取り除き、平等と機会の均等確保を目指した社会公正に関わる

考え方。そして第三目は、すべての市民が自らの才能や芸術を身につけ、それを効果的

に活用することで結果として経済的側面と社会全体の統合実現を目指すという経済効率に

関わる考え方である。」20

また、多文化教育政策として①第二言語としての英語教育を充実させる②生徒全員に英語

以外の言語を学習させる③教育活動を実施するに当たり、多文化的観点を導入する④生徒

全員に異文化間教育を実施させることを挙げている。

オーストラリアの多文化教育では、国民全体に対して先住民族を理解する教育を積極的

に行っている。「被先住民族に対する先住民族に関する教育」においては先住民族の教育

が挙げられる。オーストラリアの先住民族とはオーストラロイド系のアボリジニー

(Aborigine)とメラネシア系のトーレス海峡嶼民(Torres Strait Islander)のことをいい、現在彼らは全人口の約 2%占めている。アボリジニーの多くはオーストラリア大陸に住ん

でいるのに対して、トーレス海峡嶼民は「ケアンズの北部に位置するケープヨークとパ

プア・ニューギニアの間に位置するトーレス海峡の島々に住む人々の総称」21である。

オーストラリアでは、先住民の子供と被先住民の子供たちが一緒の学校に通うこともめ

ずらしくはないが、先住民族を理解する教育という点では、小中等教育においては「ア

ボリジニー研究」、「現代オーストラリアのアボリジニー」、「オーストラリアの歴

史」、「社会研究・環境」などの科目で彼らに関する理解を深める教育が行われている。

(図-1-4)また、多くの国からの移民に対して、生活に困ることのないように行われている言語

教育の一つである LOTE (Language Other Than English)では、アボリジニーの言語が

19石附実、笹森健『オーストラリア・ニュージーランドの教育』、東信堂、2001年、p.8920関根政美、『朝日選書 650 多文化主義社会の到来』、朝日新聞社、2000年21石附実、笹森健『オーストラリア・ニュージーランドの教育』、東信堂、2001年、p.78

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国が優先的に導入する 14の言語の一つとして数えられており、多くの生徒によって学ばれている。先住民族による先住民族に対する教育ではないが、国の「アボリジニー教育

計画指導プログラム」(Aboriginal Education Strategic Initiatives Program, AESIP)によって、アボリジニーの子供に対して英語を学ばせる努力や彼らの学校教育機関への就

学率の上昇を支援する取り組みが行われているのもオーストラリアの教育の特色の一つ

である。このように、オーストラリアでは多文化主義のもと、先住民族に関する教育や

先住民族を支援する教育が積極的に行われているのである。

(執筆中)

(図-1)               (図-2)

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      (図-3)   (図-4)*図-1-3は”SOSE alive 3”より、図-4は”Australian Identity and Values”より第2節 ニュージーランドにおける先住民族に対する教育 ニュージーランドにはマオリ族というポリネシア系の先住民族がおり、国の全人口の

約 15%を占めている22。1987年にマオリ語法(Maori Language Act)が施行されたこと

によって、マオリ語が国の公用語となり、必修ではないものの、英語を媒体とする学校

においてマオリ語は言語教育の中で積極的に被先住民族である生徒たちによって学ばれ

ている。

 また、特色ある教育としては先住民族尊重の教育、すなわち「先住民族に対する教育」

が挙げられる。ニュージーランドには 1870年代からマオリ語を媒体とする教育機関(Maori Medium Education)が始まり、マオリの子供たちがマオリの言語と価値観に産

まれた時から接するべきであるという考え方に基づいているテ・コハンガ・レオ (Te Kohanga Reo)という就学前教育機関とマオリ語の復興とマオリ生徒による高い教育成果

の達成を目標として挙げているクラ・カウパパ・マオリ(Kura Kaupapa Maori)という初等・中等学校が創設され、現在全国に展開されている。これらの教育機関ではマオリ語の

言語習得や文化の理解のみを目的としているのではなく、言語に関してはマオリ語と共

に英語を話すことができるバイリンガルの生徒、文化に関してはマオリの文化と英語圏

22 外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html (2012年 05月 1日取得)

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の文化の両方を理解している生徒を育成することを目指している。より具体的に見てい

くと、クラ・カウパパ・マオリはマオリ語のみを教育言語とし、通常はマオリ語のカリ

キュラム文書が用いられ、また、学校理事会がマオリの父母によって主導的に運営され

ている、マオリの知識や価値観を不可欠なものとして教育するイマージョン学校であり、

現在 100%マオリ語を媒体としたフル・イマージョン教育を実践しているのがテ・コハ

ンガ・レオとクラ・カウパパ・マオリである。その他に言語教育においては見てみると、

①イマージョン・スクール(全生徒は一週間に 20 4/1~25時間マオリ語の授業を受け

る)、②バイリンガル・スクール(全生徒は一週間に 3~25時間マオリ語)、③イマー

ジョン・クラスを開設している学校(任意生徒は一週間に 20 4/1~25時間マオリ語の授

業を受ける)、④バイリンガル・クラスを開設している学校(任意の生徒は一週間に

3~20時間マオリ語の授業を受ける)など、それぞれの環境に合わせた形態で様々なマオ

リ語媒体教育が行われている23。また、マオリ語媒体教育機関の教員養成は、「トータル

=イマージョン=プログラム」(total immersion programme)のもと、マオリ語媒体教育機関専門の教員養成大学で行われている。

(執筆中)

第4節 アメリカの多文化教育、バイリンガル教育 

*北欧のサーミ-への民族教育に変更する可能性有り

(執筆中)

第5節 アイヌ民族に対するこれまでの教育の在り方と今後の課題(執筆中)

第5章 アイヌ民族に対するこれまでの教育の在り方と今後の課題

第1節 アイヌ民族に対する教育(執筆中)

第2節 被先住民族に対するアイヌ民族に関する教育(執筆中)

第3節 これからの学校教育の在り方(執筆中)

23 小林寿美恵、「ニュージーランドのマオリ語媒体教育の役割」『愛知淑徳大学現代社会研究科研究報告 第 2 巻』、pp. 93-106、2007年

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終章

今後の研究の見通し・計画・予定

① 比較国における先住民族に対する政治的、教育的な歴史の資料を集める→どのように

現在の教育の形態となったのか、日本との違いは何か、教員養成はどうなっているの

か、先住民族の現状(=教育的効果)。

*…比較国の教科書比較を含める可能性有り

② 色々な側面からの比較を行うために現在三ヵ国を比較国にしているが、絞った方が良

いか→検討中

③ アイヌ民族の(特に教育の)歴史の整理、教員養成や民族教育の在り方の検討

④ 差別と差異の違いを明確にすること。

⑤ 教育段階の決定→比較国では初等・中等教育のどちらも見てしまっているため、絞る。

⑥ 民族教育による生徒たちの彼らへ意識の変化が比較国で見られれば、差別を改善でき

ると言えるのかどうか→日本において先住民族に対する(教育的な)制度的差別とい

うのはあまり存在していない。差別意識を変化させる方向で進んでしまっているが、

証明できるのか。

参考文献一覧

【書籍】

・アート・デイヴィッドソン著、鈴木清史、中坪央暁訳『世界の先住民族-危機に立つ

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東』、明石書店、2005年・宮島利光、『アイヌ民族と日本の歴史-先住民族の苦難・抵抗・復権』、三一書房、

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【論文】

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【ウェブサイト】外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html (2012年 05月 1日取得)

【英語文献】

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