1 流体計測特論 - 豊橋技術科学大学aero.me.tut.ac.jp/lectures/turbulence/turb_s05.pdf3...

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流体工学特論 1 流体計測特論 流体計測特論 流体計測特論 第三回 流量計測 流体工学特論 2 流量計測の概要 流量計測の概要 流量計測の概要 流量測定 製品の生産量・原料(牛乳、石油、天然ガス等)の使用量 エネルギー消費量(蒸気・燃料、冷却風(水)) 生産活動に直結した量の把握・制御 上下水処理・公害物質の維持管理 (1)管路内の液体・気体の流れ (2)開水路内の流体の流れ (3)開放空間における気体の流れ (4)粉粒体の流れ 参考文献 実用流量測定 松山裕著 ISBN4-87973-144-7

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流体工学特論

1流体計測特論流体計測特論流体計測特論

第三回 流量計測

流体工学特論

2流量計測の概要流量計測の概要流量計測の概要

流量測定製品の生産量・原料(牛乳、石油、天然ガス等)の使用量

エネルギー消費量(蒸気・燃料、冷却風(水))

生産活動に直結した量の把握・制御

上下水処理・公害物質の維持管理

(1)管路内の液体・気体の流れ

(2)開水路内の流体の流れ

(3)開放空間における気体の流れ

(4)粉粒体の流れ

参考文献 実用流量測定 松山裕著 ISBN4-87973-144-7

2

流体工学特論

3測定量による分類測定量による分類測定量による分類

体積流量単位時間当たりにその管路を流れる流体の体積

送風機の流量やポンプの流量

質量流量単位時間当たりにその管路を流れる流体の質量

圧縮機の流量、エンジン内のガソリン供給量

積算流量過去のある時点から現在までに管路を流れた流体の体積

水道計、ガス流量計

流体工学特論

4流量計の分類(1)流量計の分類(流量計の分類(11))

3

流体工学特論

5444

適用流体 特徴名称 原理

液体 気体 蒸気

差圧式 絞りの前後の差圧と流量の関係 Q~∆P1/2

○ ○ ○ 圧損大

実流検定不要

電磁式 導電性流体が磁界を横切ると速度

に比例した起電力が発生する

○ × × 圧損なし

導電性流体のみ

面積式 テーパー管内のフロートの浮上量

と流量がほぼ比例する。

○ ○ ○ 精度低

電力不要

体積流量計

超音波式 流れを横切る超音波の速度が流速

によって変化する性質を利用

○ ○ △ 圧損なし

熱 式 熱量を流体に与えたときの温度上

昇が流量に比例する

△ ○ × 安価質量流量計

コリオリ式 振動する U 字管に発生するコリオ

リ力と質量流量が比例

○ △ × 圧損なし

導電性流体のみ

容積式 流体の体積を「ます」で測定し、

その回数を記録

○ ○ × 精度良

固形物を含む流体

には適用不可

渦式 カルマン渦の周波数と流速の関係

を利用

○ ○ ○ 圧損小積算体積流

量計

タービン式 タービンの回転数が流速に比例す

る性質を利用

○ ○ △ 高精度

軸受け寿命

流体工学特論

6エネルギー・ロスエネルギー・ロスエネルギー・ロス

流体のエネルギーを利用差圧式、面積式、容積式、渦式、

タービン式→ 流体損失大、電源不要

流体のエネルギーを利用しないもの電磁式、超音波式、コリオリ式、熱式

→ 流体損失なし、外部電源必須

4

流体工学特論

7差圧式流量計差圧式流量計差圧式流量計

絞り部の前後で圧力差が生じるベルヌイーの定理・連続の式

流量は圧力の1/2乗に比例

constpp=+=+

2

222

1

121

22 ρρvv

① ②p

D d d2

縮流の影響

流体工学特論

8差圧式による流量計測差圧式による流量計測差圧式による流量計測

ραεβ pDQ ∆

= 221264.0

8762 JIS

α : 絞り部の流量係数ε :気体の膨張係数β :絞り直径比 d/D

5

流体工学特論

9オリフィスオリフィスオリフィス

中央に穴のあいた仕切り板(流出係数 C=0.60)

圧損大、製作が容易

流体工学特論

10ノズルノズルノズル

長円ノズル、ISA1932ノズル(流出係数 C=0.9~1.0)

圧損小、加工精度

6

流体工学特論

11ベンチュリ管ベンチュリ管ベンチュリ管

流れを乱すことが少なく、圧力損失も小さい。製作コストが高く、設置スペースが大きい点が問題

流体工学特論

12精 度精精 度度

絞り機構 流出係数の不確かさ

オリフィス ±0.6% (β=??0.6). ???±β% (β>??0.6)??ISA1932 ノズル ±0.8% (β=??0.8). ???±(2β???-0.4) % (β>??0.6)??長円ノズル ±2.0%円すい型ベンチュリ ±0.7%(鋳放し入り口円すい管付きベンチュリ管)

±1.0%(旋削入り口円すい管付きベンチュリ管)

±1.5%(板金溶接入り口円すい管付きベンチュリ管)

ノズル型ベンチュリ ±(1.2+1.5β4)%

2222

22

4

22

4

2

41

pp

41

1

4 1

+

∆∆

+

+

+

+

=

ρρδδ

εεδδ

δβ

βδβ

βδ

CC

dd

DD

qqm

m

流量の測定精度は1%~2%程度

7

流体工学特論

13測定上の注意測定上の注意測定上の注意

流体の密度及び粘度がわかっていること

流体に固形物、気泡が混入していないこと

流体の流れに脈動がないこと

管路、絞り部を流体が満たしていること

圧力比が0.75以上あること

絞り機構の上流に直管部をつけること(25D~30D)

流体工学特論

14

E

kBDE

4kBDQ

=

=

電磁流量計電磁流量計電磁流量計

ファラデーの法則磁性流体が磁界を横切る際に発生する起電力Eと流量Qは比例関係にある

管壁:絶縁物(フッ素樹脂、セラミックス)

8

流体工学特論

15電磁流量計の実際の構成電磁流量計の実際の構成電磁流量計の実際の構成

低周波:商用電源周波数の1/8程度高周波:商用電源周波数の1.5倍程度

物体の混入など低周波数の外乱:スラリー・ノイズ励磁周波数が低いと応答性悪化

+

ローパス・フィルター

ハイ・フィルター

励磁コイル

電極

測定管

増幅器

流体工学特論

16電磁流量計の特徴電磁流量計の特徴電磁流量計の特徴

流体の温度・圧力・密度・粘度の影響を受けない

導電率の影響を受けない

混入物があっても測定可

圧損がない

出力と流量が比例

高精度(0.5%)逆流測定可能

応答が早い

9

流体工学特論

17超音波流量計超音波流量計超音波流量計

伝播時間差式

T1T2

τ/2 τ/2

θ

音波:流れの方向では早く流れに逆らう場合は遅くなる

流速分布の補正

( )Dkk

Relog011.0119.1 ⋅−== vv

流体工学特論

18超音波流速計の測定原理超音波流速計の測定原理超音波流速計の測定原理

2

2

22sin

)(

cos/2

sincos/2sin

cos/ ,sin

cos/

12

12

12

12

21

+⋅

−⋅=

=++

=−

−=−

+=−

τθ

θτ

θθθ

θτθ

θτ

TTTTDC

DTT

CDTT

CDT

CDT

v

v

vv

10

流体工学特論

19超音波流速計の特徴超音波流速計の特徴超音波流速計の特徴

圧損がない

出力が流速に比例し、流速0でも測定可

管路の外部から測定可能

大型機材ほど相対的に安価

出力と流量が比例

逆流測定可能

流体工学特論

20渦流量計渦流量計渦流量計

カルマン渦の基本周波数(Strouhal数)

DvSf t=

d

渦の周波数→力または圧力を測定

Stは形状、Re数の関数

v

11

流体工学特論

21渦発生装置の形状渦発生装置の形状渦発生装置の形状

剥離渦の安定性

円柱の剥離点→不安定

角柱やΤ字型

流体工学特論

22渦流量計の特徴渦流量計の特徴渦流量計の特徴

構造が簡単

原則として稼動部分がない

流量の測定範囲が広い

比較的精度が高い(1%程度)

圧力損失は差圧式の半分以下

流体・液体・蒸気に利用可能

問題点

低レイノルズ数流れでは誤差大

流量が0の場合の確認ができない

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流体工学特論

23コリオリ式流量計コリオリ式流量計コリオリ式流量計

回転方向

回転方向

軸心

軌道

F=2mωV

回転方向

回転方向

軸心軌道

流体工学特論

24コリオリ式流量計コリオリ式流量計コリオリ式流量計

振動U字管に流体

を流す。

チューブに働く半力はコリオリ力に比例

コリオリ力:流量に比例

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流体工学特論

25コリオリ式流量計コリオリ式流量計コリオリ式流量計

コリオリ力

コリオリ力

流体工学特論

26コリオリ式流量計の特徴コリオリ式流量計の特徴コリオリ式流量計の特徴

質量流量が直接得られる

高精度(0.15%)広範な流体の計測が可能

流速分布の影響がない

流量測定範囲が広い(1/100)脈動流に追従可能

短所

圧力損失大

外部の振動に弱い

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流体工学特論

27容積式流量計容積式流量計容積式流量計

原理

・一定容量の「ます」を検査器内に作り、この「ます」を通過する回数を測定する。

Q=4NV

流体工学特論

28

積算体積流量測定の精度良

流体の物性の影響が少ない

高粘度液の測定に適している

流量計前後の直管が不要

外部エネルギーの供給が不要

短所

粘度が高いと圧力損失大

粘度が低いと精度が悪い(もれ)

ごみや固形物があると故障しやすい

容積式流量計容積式流量計容積式流量計

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流体工学特論

29面積流量計面積流量計面積流量計

管の中のフロートの上昇量と流量が比例

ρ=

=∆

ρ∆=

f

f

ff

AWkAQ

AWppkAQ

//

Α

Af Wf

流体工学特論

30

動力が不要。爆発性雰囲気でも使用可

気体・液体・蒸気いずれでも測定可能

直管長は不要

流量測定範囲が広い(最大値の10~100%)安価

圧力損失小

短所

精度はあまりよくない

固形物を含んだ流れには適さない

面積式流量計の特徴面積式流量計の特徴面積式流量計の特徴

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流体工学特論

31熱式流量計熱式流量計熱式流量計

原理加熱物体の周りを流体が流れる:流体温度上昇

単位時間の移動熱量=定圧比熱×上昇温度×質量流量

ヒーター 温度計

流れ

Τ1 Τ2

GTTCpq )( 12 −=&

流体工学特論

32

温度測定法熱源前後の温度差から流量を算出

消費電力測定法ヒーターに加えた消費電力から熱量を求め、流量に換算

発電機内部の質量流量測定に利用

熱式流量計の分類熱式流量計の分類熱式流量計の分類

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流体工学特論

33

気体の質量流量の測定が可能(ほかの測定法では温度・圧力補正が必要)

微少流量の測定が可能 (±1%)

短所

気体の種類が変わると誤差大

管径が細い場合、詰まることがある

熱式流量計の特徴熱式流量計の特徴熱式流量計の特徴

流体工学特論

34タービン流量計タービン流量計タービン流量計

流路内に羽根車を設置する。

羽根車の回転数は流量に比例

接線流羽根車軸流羽根車

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流体工学特論

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出力が流量に比例しており、精度が高い±0.2~0.5%低粘度流体ほど測定範囲が広い

高圧力流体の測定に適している

小型で大容量の測定が可能

応答性がよい

圧力損失が小さい

短所

流れが乱れていると測定誤差大

部品の消耗が激しい

タービン流量計の特徴タービン流量計の特徴タービン流量計の特徴