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ANSYS流体構造連成 テクノロジーの最前線 ~より現実的な課題解決の実現に向けて~
メカニカルCAE事業部 増田 俊輔
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
流体構造連成(FSI)とは • 流体構造連成(Fluid Structure Interaction:FSI)とは流体
とそれ以外の物理場が互いに影響し合う現象を指す – 流動によって構造体に顕著な変形が生じる可能性がある (双方向連成) – 構造体が流体を駆動させることで発生する反力によって顕著な変形が
生じる可能性がある(双方向連成) – 流体-構造体間の熱輸送で生じる熱応力によって構造体に顕著な変形
が生じる可能性がある(双方向連成) – 構造体の変形が微小で流動への寄与を無視できる (片方向)
• FSIが重要な理由 – 多岐にわたる物理的なメカニズム、技術課題を理解する上で不可欠
• 材料選択、疲労解析、流体の流れへの影響、構造パラメータなど
1 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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FSIのモデリング方法 • FSIは、流れ場-固体場間で連成する物理的な自由度に
よってカテゴリ分けすることができる – 一方の解析場が他方の解析場の変化にどの程度影響されるか?
• 相互作用の強い物理場を連成させる場合は、強連成手法が必要 – 通常は解析がより難しくなる
• 比較的相互作用の弱い独立した場では、弱連成か単独場の解析で解を得ることができる(片方向)
2 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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FSIのモデリング方法 物理場の 相互作用
連成手法
強い
弱
い
非常
に強
い
片方向 (連成なし)
双方向
陽解法 陰解法
反復法
ダイレクト連成
共役熱伝導、構造体微小変形(強い乱流を伴うもの以外)など
渦を伴う流れや構造体の振動など
生体医学、薄膜、 大変形を伴う構造体
タービンの翼変形、剛体運動など
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シーケンシャル連成
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
ANSYS FSI ソリューション
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FSI
流体プロダクト単独 - 剛体運動 -
他のソルバーと連成 - 弾性体変形/電磁場連成 -
重合格子
移動・変形メッシュ
片方向連成
双方向連成
CFX ⇔ Mechanical
FLUENT ⇔ Mechanical
変形量定義の手法
流体力を自動計算する手法 (6DOF) リメッシュ
CFX ⇒ ANSYS Mechanical
Icepak ⇒ ANSYS Mechanical
FLUENT ⇒ ANSYS Mechanical
Ansoft製品(Maxwell/HFSS/Q3D) ⇒ FLUENT
FLUENT⇔ Maxwell、HFSS
Icepak ⇔ Maxwell、HFSS 4 第27回 中部CAE懇話会
in 刈谷
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メッシュの移動/変形 • 特徴
– 構造体を剛体として扱え、かつその運動を関数等で制御可能であるアプリケーションに対して有効
– メッシュが大きく変形する場合、メッシュ品質劣化を防ぐ何らかの処置が必要
• リメッシュ、スライディングメッシュなど – 流体ソルバーのみで対応可能
移動・変形メッシュ機能とリメッシュ機能を併用した参考例です。 モデル内部の円筒面を移動させることで、内部のメッシュ品質が徐々に劣化します。移動・変形メッシュ機能だけでは、品質が極端に劣化して早々に計算が破綻してしまいますが、リメッシュ機能を併用することでメッシュ品質を損なうことなく解析が可能となります。
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様々な移動・変形メッシュ(CFX) 流体領域中の発熱体が移動しますが、その移動量が大きいためにスラディングメッシュを併用しています。解析空間を複数の領域に分けてメッシングし、それぞれの領域に対して移動量を設定することで品質を損なうことなくメッシュ変形させることができます。
ボールバルブの移動量を流体力などの外力を考慮して設定したものです。 CFXの関数機能は非常に豊富であり、簡単な制御系であればユーザーサブルーチンを使用することなく、標準の関数機能で構築可能です。
解析領域全体に移動量を設定することで、スロッシングを考慮した解析を簡便な設定で実施することが可能です。
6DOF機能を使用することにより、流体からの力で自由に運動する剛体の挙動を解析することができます。
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FLUENTには3つの移動変形メッシュ手法があります。イルカの事例は、”スプリング”機能を用いて、流体領域のメッシュを変形させながら解析を行っています。
“リメッシング”機能を用いた、車の追い越し事例です。 こちらの事例では、車の動きに合わせてメッシュが変形(スプリング機能)して行きますが、メッシュ品質が一定閾値以上に維持するためにリメッシング機能も併用しています。
“レイヤリング”機能を用いたピストンの事例です。移動方向が一定の場合は、レイヤリング機能を用いて解析コストを低減させることができます。
6DOF機能を用いた事例です。周りの流体の影響を受けつつ自由落下していく剛体の挙動を解析しています。
様々な移動・変形メッシュ(FLUENT)
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様々な片方向連成解析事例 ICパッケージの熱応力問題をシミュレーションした片方向連成解析事例です。
光学ハウジング及び内部に設置したパーツの熱応力問題を シミュレーションした片方向 連成解析事例です。
室外機ファンを定格運転させた際のファンブレードの変形を シミュレーションした片方向 連成解析事例です。
スイッチング電源基板の熱応力 問題をシミュレーションした 片方向連成解析事例です。
CFDで計算された温度分布をインポート
Mechanicalで熱応力、ひずみを解析
CFDで計算された圧力分布をインポート Mechanicalで応力、ひずみを解析
CFDで計算された温度分布をインポート
Mechanicalで熱応力、ひずみを解析
CFDで計算された温度分布をインポート
Mechanicalで熱応力、ひずみを解析
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様々な双方向連成解析事例 動脈流路内の血液の 流れと弁の構造の特性をシミュレーション した双方向連成解析 です。 アニメーションは、 圧力コンターと速度 ベクトルを表示して います。
ノズルから流体を噴出させた際の逆止弁の挙動をシミュレーションしたものです。 アニメーションは チャンバー内部の流速ベクトルと逆止弁の相当応力を同時に表示しています。
CFDで計算された圧力を考慮して構造解析を実施
Mechanicalで計算された変形を考慮して流れ場を解析
医療分野をはじめとした様々な 分野で使用されているダイア フラムポンプの挙動をモデル化した事例です。
CFDで計算された圧力を考慮して非線形構造解析を実施
Mechanicalで計算された変形を考慮して流れ場を解析
MEMSミラーデバイスを静電駆動させた際の振動特性を シミュレーションした双方向連成解析事例です。
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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1. 落下解析
• 落下物体の表現方法 – 剛体 : 6DOF
• ボールetc. – 弾性体 : FSI
• 紙、液体の入ったタンクetc.
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6DOFとは? 3次元空間における剛体の運動を解析する手法で、並進と回転の計6つの自由度を持つ。 対象物が変形しない場合に利用可能な機能である。
弾性体 剛体
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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1. 落下解析~6DOF~
• 落下中に物体の変形が無い場合に利用 – メリット
• 流体ツールのみで解析が可能 – 設定項目が少ない – エラーの修正が容易
• 計算時間の短縮化 – デメリット
• 落下物体の変形を考慮できない • 移動量が大きい場合はメッシュエラーになることも
– Fluentはリメッシュ機能で対応可能 • 質量/慣性モーメントが不明な場合も多い
– Mechanicalで算出可能! 11 第27回 中部CAE懇話会
in 刈谷
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1. 落下解析~6DOF~
• 利用ツール : Fluent • モデルの概要
– ピンポン玉が空気に押し上げられる • 質量/慣性モーメント
– Velocity-inlet – Pressure-outlet
• 周囲全体
12 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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1. 落下解析~6DOF~
• 解析結果
13 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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1. 落下解析~FSI-紙の落下~
• 落下中に物体の変形がある場合に利用 – メリット
• 物体の変形による周囲の流れ場への影響も加味 • 形状変形の詳細な解析が可能
– 流体との相互作用が大きい場合は必須 – デメリット
• FSIの設定を習得する必要がある
14 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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1. 落下解析~FSI-紙の落下~
• 利用ツール : Fluent-Mechanical(双方向連成) – ANSYS Meshanical : 紙の変形解析 – ANSYS Fluent : 周囲空気の流動解析
• モデル概要 – 紙の落ちていく様子
• 紙の形状や周囲の流れ場で落下挙動が異なるため、FSIが必要
15 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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1. 落下解析~FSI-紙の落下~
• 解析結果
16 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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1. 落下解析~FSI-タンクの落下~
• 構造物の変形が流体に大きく影響を及ぼす場合 – 構造物の変形/液体の流動
• 利用ツール – ANSYS Meshanical : 容器の変形解析 – ANSYS Fluent : 容器内の液体及び気体の流動解析
• モデル概要 – 液体が入ったタンクが落下
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重力方向
液面
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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1. 落下解析~FSI-タンクの落下~
• 解析結果
18 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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2. ウォーターハンマー
• ウォーターハンマー現象(水撃作用)とは? – 充満して流れている管路内の流体が、弁によって
急に閉鎖されると、弁の直前で圧力は著しく上昇する。また、静止している管路内の流体は、弁を急に開くことによって流れだすと、圧力は著しく降下する。
• この現象によって?
– 配管の破裂など、構造体にダメージが発生
• 本来は配管内部の『流体領域』の問題だが… 19
『流体の基礎と応用(森田泰司)』より
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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2. ウォーターハンマー
• ウォーターハンマー現象をFSIで行う理由 – 配管の微小な変形も、水の密度に大きな影響
– 小さな体積変化でも、大きな圧力変化につながる – 微小変形も無視できない!
• 配管を弾性体として扱う • 水の圧縮性を考慮
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1辺が1[m]の箱に水がある。 各辺が1[μm]縮んだら...?
VVEp dd ×=
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
dp:基準圧力からの相対圧力 dV:体積変化 E:体積弾性率
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2. ウォーターハンマー
• モデル概要 – 高圧の『水』が流れる配管
• 途中、配管を”閉める”設定
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流入部 圧力 : 2[atm]
流出部 圧力 : 0.5[atm]
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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2.0E+03
4.0E+03
6.0E+03
8.0E+03
1.0E+04
1.2E+04
1.4E+04
1.6E+04
1.8E+04
2.0E+04
0 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005 0.006壁
にか
かる力
[N]
時間[sec]
FSI実施 FSI未実施
• 解析結果 – 平均的に20%の差が発生 – 圧力の周期も変化
2. ウォーターハンマー
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開 ⇔ 閉
圧力場の様子
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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3. 電磁場ツールとの連成
• 電磁場ツールを利用した詳細な解析へ! – 問題に対する『解析の厳密化』 – 機能強化の進む分野 – Workbench上での統合が進む
• 流体ツールがCFXの場合は、ファイルベースのやり取り • 電磁場ツールがSIwaveの場合はファイルベースのやり取り
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電磁場ツール HFSS Maxwell Q3D
流体ツール Fluent Icepak
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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3. 電磁場ツールとの連成~ソレノイドバルブ~
• 磁気力による移動量を算出し流体解析へ適用 – 利用ツール
• ANSYS Maxwell : 磁気力による移動量 • ANSYS CFX : バルブの移動+流体解析
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アーマチュア (バルブ)
コイル
Maxwellの結果から『時間 vs 変位量』を算出 バルブの動きに適用 MaxwellからCFXへ!
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3. 電磁場ツールとの連成~ソレノイドバルブ~
• 磁気力による移動量を算出し流体解析へ適用
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-3.0
-2.0
-1.0
0.0
1.0
2.0
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0経過時間[ms]
バルブ開閉部を通過する流体流量
[kg/s]
バルブ閉鎖開始 バルブ完全閉鎖 バルブ開度に応じて通過流量が減少 2.0[ms]以降は逆流が発生
流速ベクトル
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3. 電磁場ツールとの連成~電子レンジ~
• 電磁波の照射による食品の温まりの様子を解析 – 利用ツール
• ANSYS HFSS : 発熱量(誘電損)分布の解析 • ANSYS Fluent : 周囲温度場の解析
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発熱量分布@Fluent 発熱量分布@HFSS
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3. 電磁場ツールとの連成~電子レンジ~
• 電磁波の照射による食品の温まりの様子を解析
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温度場の様子
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3. 電磁場ツールとの連成~基板の熱解析~
• PCB基板の熱問題を詳細に解析 – 発熱はIC部だけでなく『基板内の配線層』でも発
生する。 – 利用ツール
• ANSYS SIwave : 配線層の発熱量の解析 • ANSYS Icepak : 基板周りの熱流体解析
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3. 電磁場ツールとの連成~基板の熱解析~
• PCB基板の熱問題を詳細に解析 – 発熱はIC部だけでなく『基板内の配線層』でも発
生する。
– 温度結果に差異が発生する。 • 詳細な解析時に有用
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配線層の発熱考慮:なし 配線層の発熱考慮:あり
54℃ 50℃
第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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3. 電磁場ツールとの連成~誘導加熱~
• 温度依存性材料物性を使用した誘導加熱 – 渦電流による発熱と自然空冷 – 利用ツール
• ANSYS Maxwell : コイル及び金属板の発熱量の解析 • ANSYS Fluent : コイル及び金属板周りの熱流体解析
30 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
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3. 電磁場ツールとの連成~誘導加熱~
• 温度依存性材料物性を使用した誘導加熱 – 温度によって電気抵抗率が変化するため、調和磁
場解析と熱流体解析で双方向での連成が必要
31 第27回 中部CAE懇話会 in 刈谷
計算1回目 解析終了時
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• 計算前後の結果比較 – 温度分布
3. 電磁場ツールとの連成~誘導加熱~
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1回目 2回目
3回目 4回目 第27回 中部CAE懇話会
in 刈谷
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お問合せ
サイバネットシステム株式会社 メカニカルCAE事業部
東 京 : (03) 5297-3081
大 阪 : (06) 6940-3630
名古屋 : (052) 219-5190
e-mail : [email protected]
web : http://www.cybernet.co.jp/ansys/
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