企画・計画室から p‐voice - 株式会社ppi計画・設計 …winter spring 2008・2009...

2
Project report 4:彩都ガーデンヒルズやまぶき まちなみガイドライン (株)PPI計画・設計研究所 〒540-0021 大阪市中央区大手通 2-2-2 トーンアップビル 7F TEL 06-6949-0901 FAX 06-6949-0902 E-mail:[email protected] URL:http://www.ppi-osaka.com (ホームページ上でも P-voice が御覧になれます) 発行責任者:三好庸隆 編集担当者:内田善久、柴田明宏 大阪府和泉市の丘陵部で都市再生機構が開発を進めている大規模ニュー タウンで、最終段階の開発地である約 54ha の区域の地区計画の作成を行 ないました。シンボル都市軸沿い及び住区内幹線道路沿いでの魅力づく り、生活サービス拠点の形成といった課題に対し、近年の生活、購買行動 の傾向、商業環境の変化等の動きを踏まえ、一般住宅地部分では用途規制 をする一方で、シンボル都市軸沿い及び住区内幹線道路沿いではまちの魅 力となる施設を住宅併用型で立地を誘導し、賑わいづくりを進めることと しました。また、生活サービス拠点では、周辺の施設立地状況も踏まえつ つ、歩いて暮らせる身近な店舗等の立地を誘導することとしました。住み、 暮らして楽しい住宅地が作られていくことを楽しみにしています。 発注者:(独)都市再生機構西日本支社 和泉開発事務所/担当:柴田明宏 Project report 5:トリヴェール和泉 地区計画 編集・発行 世界的な不況の中、生活の器である住宅はコスト 削減、在庫のたたき売りが進んでいます。このた めに社会的基盤である住宅の質が低下し、数十年 にわたってその役割を果たせないものになること は、避けなければならないことです。経済状況が 悪い中でも、ストックとして充分に機能を発揮で きるような住宅、住宅地づくりを進めていく方策 も提案していきたいと思います。 編集後記 企画・計画室から この1年間、企画・計画室では、ニュータウンの住環境形成の誘導、民間の戸建住宅地企画、オールドニュ ータウンにおける施設導入構想や幹線道路沿いでの施設複合型住宅による再生・賑わい作り構想、地方自治 体の区民センター整備構想、リゾート地開発構想、駅前商業系ビルの建設構想といった、新しい住環境の創 造、オールドニュータウンの再生、既成市街地の再活性化等の“まちの元気づくり”の提案をしてまいりま した。これらの業務は、過去のまちの歴史、社会の変遷を踏まえつつ、未来のまちの姿をイメージし、創造 していくという、当事務所がメインテーマとしている分野の一つです。様々な人々がアイデンティティを感 じ、自らのまちという意識を共有できるまちづくりを、これからも提案していきます。 企画・計画室室長 柴田明宏 様々な魅力を備える街として開発が進む彩都で、3社の共同事業による 49 区画の新しい戸建住宅地「彩都ガーデンヒルズやまぶき」の開発に際 して、個性と魅力ある住環境を創造するための企画づくりをお手伝いし ました。3社と当社の共同企画検討会議を設け、各社の住宅・住宅地企 画に対する考え方を相互に理解した上で、新しい住宅地のコンセプト、 街区構成、敷地設定、道路舗装といった街の骨格となる部分の企画・計 画内容を立案するとともに、住宅を購入されるお客様に守っていただく 建物ルール、外構ルールの内容を「まちなみガイドライン」として作成 しました。今後は事業者3社とお客様が一緒になって、住み手と作り手 による「真のすまい」づくりが進められます。 発注者:㈱阪急不動産、ミサワホーム近畿㈱、旭化成ホームズ㈱/担当:柴田明宏 (販売用パンフレットより抜粋) 世相に動じない“美しい”戸建住宅地 我国は高齢社会であることはもちろんのこと、人口減少社会に突入しているわけですが、昨今の急激 な金融環境の悪化とマーケットの縮退状況がからんで、いよいよ<人口減少>という事実がリアリティ を帯びて身近に迫ってきます。 このような中で、これからの日本人はどのような住宅、住宅地に住んでいくことになるのでしょうか。 データー的にはマンションの割合が増えてきていますが、新築マンションには将来の建替問題が依然と してひっかかりますし、既存マンションにおいては荒廃化するマンション問題もあります。一方で、戸 建て住宅地に対する根強いニーズも存在しています。 ところで、戸建住宅はいったい誰が設計し、誰が供給しているのでしょうか。建築家はクライアント の見える注文住宅には一般的に積極的ですが、顔の見えない建売住宅には目を避けがちです。 ディベロッパーはスケールメリットのあるマンションには熱心ですが、手間がかかりクレームが発生 しやすい戸建にはやや腰が引けているところが多いようです。ということで、ハウスメーカーや地場の 建売業者が主としてこのマーケットに対応しているというのが実態ではないかと思われます。 紙幅の関係で細かくは論じられませんが、<都心居住>と共生するかたちで、<まちなか居住><郊 外居住>の再編成、充実が論理的にも大変重要なテーマになってくる、またならねばならない時代がく ると私は考えています。そのような考えを背景に<テーマ性、共同性を内包する戸建集住環境の創造> にも積極的に取り組んでいます。 現在、このような主旨にもとづき、京阪神大都市圏における居住論に取り組んでいます。共著という 形で、近々発刊される予定ですので、ご期待ください。 <PPI設計の戸建住宅地の近年の事例> ’08,’09 年 冬・春 代表 Winter Spring 2008・2009 VOL.11 PPI 計画・設計研究所 P‐voice 「SEASON COURT」 「彩都ガーデンビレッジあさぎ(阪急彩都開発(㈱が第4回茨木市都市景観賞を受賞) 「コスモアベニュー彩都あさぎ」 「ガーデンスクエア弥生の丘」 PPI計画・設計研究所 代表取締役 武庫川女子大学生活環境学部 教授・工学博士

Upload: others

Post on 31-Aug-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 企画・計画室から P‐voice - 株式会社PPI計画・設計 …Winter Spring 2008・2009 VOL.11 PPI計画・設計研究所 P‐voice 「SEASON COURT」 「彩都ガーデンビレッジあさぎ」

Project report 4:彩都ガーデンヒルズやまぶき まちなみガイドライン

(株)PPI計画・設計研究所 〒540-0021 大阪市中央区大手通 2-2-2

トーンアップビル 7F TEL 06-6949-0901 FAX 06-6949-0902 E-mail:[email protected] URL:http://www.ppi-osaka.com (ホームページ上でも P-voice が御覧になれます)

発行責任者:三好庸隆 編集担当者:内田善久、柴田明宏

大阪府和泉市の丘陵部で都市再生機構が開発を進めている大規模ニュー

タウンで、最終段階の開発地である約 54ha の区域の地区計画の作成を行

ないました。シンボル都市軸沿い及び住区内幹線道路沿いでの魅力づく

り、生活サービス拠点の形成といった課題に対し、近年の生活、購買行動

の傾向、商業環境の変化等の動きを踏まえ、一般住宅地部分では用途規制

をする一方で、シンボル都市軸沿い及び住区内幹線道路沿いではまちの魅

力となる施設を住宅併用型で立地を誘導し、賑わいづくりを進めることと

しました。また、生活サービス拠点では、周辺の施設立地状況も踏まえつ

つ、歩いて暮らせる身近な店舗等の立地を誘導することとしました。住み、

暮らして楽しい住宅地が作られていくことを楽しみにしています。

発注者:(独)都市再生機構西日本支社 和泉開発事務所/担当:柴田明宏

Project report 5:トリヴェール和泉 地区計画

編集・発行

世界的な不況の中、生活の器である住宅はコスト

削減、在庫のたたき売りが進んでいます。このた

めに社会的基盤である住宅の質が低下し、数十年

にわたってその役割を果たせないものになること

は、避けなければならないことです。経済状況が

悪い中でも、ストックとして充分に機能を発揮で

きるような住宅、住宅地づくりを進めていく方策

も提案していきたいと思います。

編集後記

企画・計画室から

この1年間、企画・計画室では、ニュータウンの住環境形成の誘導、民間の戸建住宅地企画、オールドニュ

ータウンにおける施設導入構想や幹線道路沿いでの施設複合型住宅による再生・賑わい作り構想、地方自治

体の区民センター整備構想、リゾート地開発構想、駅前商業系ビルの建設構想といった、新しい住環境の創

造、オールドニュータウンの再生、既成市街地の再活性化等の“まちの元気づくり”の提案をしてまいりま

した。これらの業務は、過去のまちの歴史、社会の変遷を踏まえつつ、未来のまちの姿をイメージし、創造

していくという、当事務所がメインテーマとしている分野の一つです。様々な人々がアイデンティティを感

じ、自らのまちという意識を共有できるまちづくりを、これからも提案していきます。 企画・計画室室長 柴田明宏

様々な魅力を備える街として開発が進む彩都で、3社の共同事業による

49 区画の新しい戸建住宅地「彩都ガーデンヒルズやまぶき」の開発に際

して、個性と魅力ある住環境を創造するための企画づくりをお手伝いし

ました。3社と当社の共同企画検討会議を設け、各社の住宅・住宅地企

画に対する考え方を相互に理解した上で、新しい住宅地のコンセプト、

街区構成、敷地設定、道路舗装といった街の骨格となる部分の企画・計

画内容を立案するとともに、住宅を購入されるお客様に守っていただく

建物ルール、外構ルールの内容を「まちなみガイドライン」として作成

しました。今後は事業者3社とお客様が一緒になって、住み手と作り手

による「真のすまい」づくりが進められます。

発注者:㈱阪急不動産、ミサワホーム近畿㈱、旭化成ホームズ㈱/担当:柴田明宏

(販売用パンフレットより抜粋)

世相に動じない“美しい”戸建住宅地

我国は高齢社会であることはもちろんのこと、人口減少社会に突入しているわけですが、昨今の急激

な金融環境の悪化とマーケットの縮退状況がからんで、いよいよ<人口減少>という事実がリアリティ

を帯びて身近に迫ってきます。 このような中で、これからの日本人はどのような住宅、住宅地に住んでいくことになるのでしょうか。

データー的にはマンションの割合が増えてきていますが、新築マンションには将来の建替問題が依然と

してひっかかりますし、既存マンションにおいては荒廃化するマンション問題もあります。一方で、戸

建て住宅地に対する根強いニーズも存在しています。 ところで、戸建住宅はいったい誰が設計し、誰が供給しているのでしょうか。建築家はクライアント

の見える注文住宅には一般的に積極的ですが、顔の見えない建売住宅には目を避けがちです。 ディベロッパーはスケールメリットのあるマンションには熱心ですが、手間がかかりクレームが発生

しやすい戸建にはやや腰が引けているところが多いようです。ということで、ハウスメーカーや地場の

建売業者が主としてこのマーケットに対応しているというのが実態ではないかと思われます。 紙幅の関係で細かくは論じられませんが、<都心居住>と共生するかたちで、<まちなか居住><郊

外居住>の再編成、充実が論理的にも大変重要なテーマになってくる、またならねばならない時代がく

ると私は考えています。そのような考えを背景に<テーマ性、共同性を内包する戸建集住環境の創造>

にも積極的に取り組んでいます。 現在、このような主旨にもとづき、京阪神大都市圏における居住論に取り組んでいます。共著という

形で、近々発刊される予定ですので、ご期待ください。

<PPI設計の戸建住宅地の近年の事例>

’08,’09年 冬・春 代表

Winter Spring 2008・2009 VOL.11 PPI 計画・設計研究所 P‐voice

「SEASON COURT」

「彩都ガーデンビレッジあさぎ」

(阪急彩都開発(㈱が第4回茨木市都市景観賞を受賞)

「コスモアベニュー彩都あさぎ」

「ガーデンスクエア弥生の丘」

PPI計画・設計研究所 代表取締役 武庫川女子大学生活環境学部 教授・工学博士

Page 2: 企画・計画室から P‐voice - 株式会社PPI計画・設計 …Winter Spring 2008・2009 VOL.11 PPI計画・設計研究所 P‐voice 「SEASON COURT」 「彩都ガーデンビレッジあさぎ」

設計室から

一年前、海の向こうから聞こえてきたサブプライム問題・資材の値上がりなどなどが、こんなにも大きく景

況感や社会情勢に影響を与えるとは思いませんでした。計画プロジェクトが、次々と中断する情勢の中で、

最も身近な‘すまい’に関わる傾向が深くなりました。外国人住宅から、住まい手と会話をしながらの売建

住宅、商品企画性を重視した分譲住宅など多様な住環境に対して、すまいの景色を創ることに心がけました。

厳しい環境の下、まずは私たち設計チームが出来ることからしっかりと取り組んでゆきたいと思います。 PPI計画・設計研究所所長・設計室室長 内田善久

医療系

Project report 1:SEASON COURT 住宅系 敷地面積6,062.95 ㎡、住戸数8戸

清流「住吉川」沿いの北上がりの敷地に、戸建の外国人向け

賃貸住宅を計画する機会に恵まれました。この類まれな美し

い住環境に、群として計画する 8棟の住宅の単体としてのデ

ザインのあり方、また、その配置計画によって如何に新しい

風景を創造していくかが主要なテーマとなりました。個々の

住宅のデザインは、8住戸とも異なるプランではありますが、

共通したデザインボキャブラリーとして、背後の山並みと呼

応した片流れの大屋根によるスカイラインの形成、アンバー

系のタイルを基調とした外壁と欠きこまれたバルコニーに

よるリズム感のあるファサードの創出を試みました。配置計

画において最も重要視したことは、全ての住戸の居室が太陽

と風による自然の恵みを享受すべく南北軸に沿って配置し

たことです。特に、川沿いに面する3住戸については、高低

差を活かしながら御影石を丹念に積み上げた擁壁と住棟が

一体となった風景となることを目指しました。一方、インナ

ースケープとして、各住戸のよりどころとなる大きなコモン

スペースを配し、そこに従前にあった大きなモミジを移植す

ることでシンボル性のある緑豊かな屋外空間となりました。 事業主:白鶴酒造㈱/担当:内田善久、伊藤仁美

Project report 2:グランフォーラム苦楽園二番町 17 区画(建売7棟・売建10棟) 住宅系

住宅系 在来木造2階建地階RC造/17棟のまちづくり

西宮市苦楽園の閑静な住宅街に、『空の畔』をコンセプ

トとした、時間や既設によって移りかわる風景を穏や

かに感じ取れる戸建ての住まいを提案しました。街並

みは苦楽園二番町に相応しく落ち着きあるファサード

とし、全ての住戸に共通している大開口で夜には住戸

群の優しい灯がともり、美しい夜景を構成します。高

台、斜面地という立地を活かし、ビューバスや最上階

リビングなどを計画しています。生活に溶け込む眺望

は朝・昼・夜と表情を変え、その時々の内部空間を演

出し、見る人全てに安らぎと心地よさをもたらし、空、

風、雲がインテリアとなる透明感・開放感のある空間、

眺望・光・風を楽しめる半戸外のプライベートテラス

は、ここでしか味わえない、時の流れを愉しむスロー

ライフな暮らしを提供しています。

事業主:㈱コスモスイニシア/担当:内田善久、綱井智子、高 恵純

(販売用パンフレットより抜粋)

(仮称)近鉄ハーベスあやめ池店

近鉄あやめ池遊園地の跡地においては、現在、土地区画

整理事業が行われており、近鉄奈良線沿線で新しい街づ

くりが進んでいます。その区画整理事業地内の駅前広場

に隣接する敷地において、㈱近商ストアによるスーパー

マーケット「ハーベス」の建築計画を行っております。

鉄骨造平屋建てですが、駅前という街のシンボル的な立

地を考慮しながら、個性と魅力を備えたデザインなどを

検討しています。竣工は 2009 年の 3月頃です。

事業主:㈱近商ストア/担当:田中由之、広瀬達郎

西神中央春日台1期:開発面積 16,041.20 ㎡

緑豊かな住環境を育む西神ニュータウンに、69 区画の新しい街

を計画しています。ストリートスケープのある街づくりを目指

し、3つの景観的ゾーニングを提案しています。「幹線道路沿い

景観ゾーン」は街区の顔となることを配慮し、宅地と幹線道路

の高低差は現況の斜面を活かして擁壁による圧迫感を抑えてい

ます。幹線道路側と住宅側の視線レベルをずらした、眺望を愉

しめる斜面地住宅を提案します。「街路沿い景観ゾーン」は周り

の住宅街に背を向けないように、2ウェイアクセス可能なダブ

ルファサード住宅を提案します。「コミュニティ景観ゾーン」は

単調な背割り宅地とならないように、住戸間で連続する戸外空

間を演出できる多彩な庭をもつ住宅を提案します。各住戸を彩

る樹木や照明が街全体へと広がり、緑と光のネットワークが織

り成す景色を思い浮かべながら計画を行っています。現在、開

発工事中です。

事業主:㈱関電不動産/担当:内田善久、伊藤仁美、野口紗希

神戸市新長田若松地区

神戸市新長田駅前地区再開発エリア内の神戸市事業による再開発ビルの内装監理業務を行っております。再

開発ビルの内装監理業務は今回で 3度目(久保・二葉、そして今回の若松)となります。

内装監理業務はビルの法的・設備的仕組みを理解し、各テナントに円滑に工事をしてもらうよう、連絡・

調整する業務です。PPIでは、今までの経験を生かして業務に取り組んでおります。

今回の再開発ビルの店舗区画は1階・2階合わせて 20 区画あり、2008 年の 11 月に内装設計説明会を開催

し、現在、各テナントにて内装設計中です。竣工は 2009 年 1 月末の予定です。

事業主:神戸市/担当:田中由之、広瀬達郎

Project report 3:ひなた助産院

神戸市西区伊川谷に計画していた助産院が竣工しました。木造 2階建て、延べ面

積約 435 ㎡と小ぶりですが、内部は部分的に柱や梁、垂木などの構造材を現しに

し、床に天然木フローリングを張るなど、木造ならではの木のぬくもりを感じる

空間としています。屋根・外壁・基礎部分に断熱を行い、開閉可能な床下通気口

や、屋根裏の棟換気扇などを採用するなど断熱と通気に配慮した設計としていま

す。高齢者施設に詳しい大阪市立大学大学院生活科学研究科の三浦先生の研究室

が視察に来られ、質の高い設計内容であるとのご評価をいただきました。

事業主:医療法人社団恵友会/担当:田中由之

医療系 木造 2階建・延床面積435㎡

(造成工事が進む現場)

現在、計画中のプロジェクト

(イメージパース)