大阪工業大学 工学部電気電子システム工学科 准教授田熊隆史...
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大阪工業大学工学部 電気電子システム工学科
准教授 田熊隆史
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従来のアプローチ
不安定な挙動を引き起こすため,柔軟要素は避けてきた
「柔らかさ」を積極的に利用
制御だけでは難しい「ならい動作」「衝撃吸収」「大変形を伴う移動」が簡単に可能
柔軟性を有する生物を模擬することで,これまでのロボットでは実現できなかった運動が実現できる(かも)
「足裏が地面に付いたら伸び上がる」「飛んだら着
地に備える」のみ
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二台の機関車で登坂する列車
機関車の間に客車を連結
※あくまでも説明のための例で,実際の機構とは異なります
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可能な限り各車両の状態(各機関車の位置・速度,客車の位置・速度)を観察して,適切な入力(機関車の車両速度や力)を計算
やればできるが,高精度なセンサーや計算機が必要
位置,速度,傾斜角,客車から受ける力適切な速度を計算.計算した速度どおりに走る必要有り
位置,速度,傾斜角,客車から受ける力適切な速度を計算.計算した速度どおりに走る必要有り
客車の動きを前後の機関車が操作する
客車は前後に拘束
双方の入力状況を通信で把握,もしくは自己のセンサの情報から推測
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二つの機関車 設定した速度で走る.多少ずれてもOK 相方の機関車の状態は知る必要なし
客車:どこの位置にいるかは指定できないが,とりあえず前後の機関車の間で走ってる 「登坂する」という目標は達成できる(自律分散的な運用が可能) 制御のための拘束が緩くなっている!
決めた速度で走る.多少ずれてもOK
決めた速度で走る.多少ずれてもOK
客車の動きは客車に任せる
ただし乗り心地最悪なので,柔らかさのチューニングは必要
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制御を必要としないやわらかさ センサを必要とせず,コストが抑えられる
衝突など制御周期より短い事象に対して対応が可能
空気圧アクチュエータによる実現 マッキベン型空気圧人工筋
直動アクチュエータ
水圧アクチュエータによる実現
SMC Corp.
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高い気圧の空気を密閉容器(シリンダ,ゴムチューブ)に注入し,引っ張りの力に変換する
ゴムチューブ(ゴム風船)
ナイロンスリーブ
圧縮空気
力
膨張
圧縮空気の代わりに高圧の水を給排水することで,水圧駆動アクチュエータとなる
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軽量 ただし圧縮空気を作るコンプレッサは除く
柔軟性 空気バネ(エアサスペンション)と同じ
衝撃吸収が可能 内圧を調整することで弾性の操作可能
簡単な構成 空気漏れをしても汚染の心配なし
低い制御性能 ヒステリシス,入出力関係が非線形
注入した空気の圧力と伸縮量
high pressure
low pressure
バネ特性
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空気圧人工筋により駆動するロボット
関節に柔軟性があり,外から加えられた力に対して関節が負けてくれる
「握る」(各関節を曲げる)コマンドを送るだけで,様々な対象に適した持ち方ができる
いちいち把持対象の形状を教える必要がない
操作者は「握れ」と命令するだけで,あとはロボットが「融通を利かせて」くれる
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指先をこすることで,薄い対象(コイン)を浮かせる 先の成果と合わせることで,一つのハンドで様々な対象を操作できる可能性有り
指アクチュエータ
増幅回路 電磁バルブ
マイクロコントローラ(H8/3069)
制御・回路
機構動力
ワイヤ駆動
信号
空気
空気
信号
エアコンプレッサ電源
file:///C:/presentation/lecture/mobio160517/コイン反転実験2シリコン硬.wmv
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多少細かいチューニングが必要
歩行ロボット
路面の傾きを検知することなく歩行のパターンが変わる
跳躍ロボット
着地の姿勢で待っていれば,着地時の衝撃を関節が吸収する
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指先にかかる力の推定 外から加わった力による,指関節変形量の推定 従来
指先や関節にセンサーを取り付け,力や回転量を直接測定 力が加わる箇所,頻繁に変形する箇所にセンサーを取り付ける・・・破損の元!
提案手法 ボイルの法則と姿勢の条件を用いて,アクチュエータ内の圧力を測ることで力や変形量を推定
指先や関節にセンサーを取り付ける必要なし* * *
1 11 1 10 1 2 11 1 10 1 3 11 1 2 20 2
* * *
4 11 1 2 20 2 5 12 2 20 2 6 12 2 20 2
cos ( ) cos ( ) (cos cos )( )
(cos cos )( ) cos ( ) cos ( )
x F L L F R R F L L
F R R F L L F R R
F j P P j P P j P P
j P P j P P j P P
* * *
1 21 1 10 1 2 21 1 10 1 3 21 1 2 20 2
* * *
4 21 1 2 20 2 5 22 2 20 2 6 22 2 20 2
cos ( ) cos ( ) (cos cos )( )
(cos cos )( ) cos ( ) cos ( )
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F R R F L L F R R
F j P P j P P j P P
j P P j P P j P P
file:///C:/presentation/meeting/2014/ethz140514/sensorless-hand.mpg
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産業技術総合研究所 HRP-2 PCWatchhttps://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0416/hrp.htm
大変形可能なソフトロボット・柔らかい素材、アクチュエータで構成・柔軟な変形が可能柔軟な変形によって、剛性の高いロボットでは突破できない狭い隙間にも対応が可能
真正粘菌変形体のアメーバ運動を規範としたソフトロボットhttps://sites.google.com/site/takuyaumedachi/
従来の剛性が高いロボット:姿勢を工夫すればある程度の狭所も対応可能.しかし安定性や操作性の面などで限界がある
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空気圧アクチュエータ 柔軟性を有し,変形が可能 構造を工夫すると大変形も可能 重量は変化しない
重心を一箇所に預けての「蹴り出し」「押し込み」ができない隙間にねじ込むような運動は困難
水駆動アクチュエータ 柔軟性を有し,変形が可能
ただし空気圧に比べると剛性が高くなることもある
重量が変化する局所的に重量を変更=摩擦の操作が可能・・・これまでにない,新しい運動が実現可能
大変形ロボットを水駆動アクチュエータで駆動させる
G. M. Whitesides et al
摩擦大
摩擦小
衝突
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体幹 長さ(cm) 重さ(g)
幅 14120奥行き 4
高さ 3.5
・本体部分は水風船(チャンバ)、継ぎ手、アクリル板で構成
・水風船は約0~400gに増減可能
体幹部のサイズと重さ
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三方向弁3つ・ポンプ・水槽・本体部分,それらを繋ぐウレタンチューブで構成
Three-way valveA
C
B
今のところ空気圧アクチュエータ駆動のノウハウをもってロボットを駆動.※水駆動に詳しい企業いらっしゃいましたらお声がけください
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路面との摩擦を増加/軽減することで移動
・蹴り出し ・引き込み
・初期状態、後肢に給水・後方に重心、摩擦増加・前肢が前方に滑る
・後肢排水済、前肢から排水・前方に重心、摩擦減少・後肢が前方に滑る
重量増加↓
摩擦増加
重量減少↓
摩擦減少
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二つの矛盾した運動 大きな引き込み/蹴り出しのためには大きく変形することが必要質量は増加
変形中は路面を滑りたい低摩擦にしたい小さな質量であることが必要
異なる材料を取り付け
A
B
C
D
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異なる材質を取り付けることで,効率良く移動
新しい風船の開発
導電性を有する材質(形状センシング)
膨張率が異なるゴムの組み合わせ※ゴム材料加工のノウハウお持ちの企業ありましたら,お声がけください
スマートマテリアルの開発
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パンの生地など,柔らかい物を柔らかいハンドでつかむ,こねる,引き延ばす
生地の種類,箇所に応じて手先の柔らかさを変える ラインを止めて気圧を変えるのではなく,バルブを開ける時間で柔らかさを変更
時間や季節によって変わる生地や果実のコンディションに合わせて手先のやわらかさを変える
レオン自動機(株)HPよりhttp://www.gizmodo.jp/2015/10/fruit_picking_robo.h
tml
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某企業がロボットを議論するときのテーマ
「そのロボットはパートさんに勝てるのか?」
一人で開封,仕分け,梱包までできてしまう
ロボットではそれぞれの作業ごとに手先とコントローラを取り替える必要有り
シーエックスカーゴHPより
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パワーアシストは有効な方法だが,人手が必要であることに変わりない 人ありきの作業ではなく,いかに全自動するか,では?
ロボットによる作物の観察,収穫 24時間生育のモニタリングや収穫作業が可能
ロボットで果実などを「見る」だけでなく「柔らかく掴む」「動かす(ひねる)」ことが必要
いかに安く(チープな構造,耐故障性能で)実現できるか?
日経テクノロジーonlineより 農林水産省HPより
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使用時の負荷の状況をモニタリング
柔らかさを定期的に更新その人に合った柔らかさに調整
「よくわからないけど最近調子が良い」器具へ
シナノ HPよりノーブル HPより
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柔軟な筋肉で構成されたダミー人形
よりヒトに近いデータの収集が可能
(有)ハウンテッド ウェブページよりhttp://haunted.jp/category/dummies/page/2/
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災害現場での倒壊家屋の調査 大変形ロボットが狭いところから入り込み,搭載したセンサと自己の変形量から状況を把握する
センサをチャンバ(風船)内に内包して移動移動後チャンバ内から外界を計測
ロボットの表面をセンサ化隙間の形状などを計測
http://www.amerrescue.org/
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本学の産学連携窓口
大阪工業大学研究支援・社会連携センターTEL:06-6954-4140Eメール:[email protected]