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Hitotsubashi University Repository Title Author(s) �, Citation �. �, 1: 47-110 Issue Date 1955-02-25 Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/9412 Right

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Hitotsubashi University Repository

Title 均衡決定の諸条件

Author(s) 関, 恒義

Citation 一橋大學研究年報. 經濟學研究, 1: 47-110

Issue Date 1955-02-25

Type Departmental Bulletin Paper

Text Version publisher

URL http://doi.org/10.15057/9412

Right

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衡決定の諸條件

↓びOOO昌象試O昌ω{O肘UgO噌ヨぼm什o昌①ωωO脇国ρq頃まユ仁旨

一1亘

一  間 題

二  均衡解の諸吟味

三  ノイマンモデルにおける均衡

四  遊戯論的分析における均衡

五  厚生函敷の設定

六  結 び

附録一  効用の可測性

附録ニ  プール富小。分配寅いにおける方程式

引用丈猷

均衡決定の諸條件

四七

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     一橋大學礁究年報 纏濟學研究 正                          四八

 サムエルソンは、その著『経濟分析の基礎』において、理論を展開するにさきだち先ず均衡概念を次のように規定

する。「均衡とは、ここでは軍に幾つかの諸條件の集合によつて決定される攣藪の値を意味し、その言葉には何等規範

的な意味を含ましめない。」(㈹戸。。)。そこには徹底した形式主義が表明されている。しかもこの形式主義に戸」そ、彼

の標榜する「諸理論の統一」を可能ならしめる鍵が見出される。本來均衡概念は、経濟諸量の相互依存關係に關連す

る形式的概念であつて、・ビンスもいうように「均衡理論の廻りには構讃の影は全然ない。均衡はまさしく均衡にす

ぎない。」(鋤マ一&)。それはもとより軍なるトートロジーを意昧するものではない。均衡理論にとつては、課せられ

     (

た諸條件が果して均衡を成立せしめ得るものであるか否か、を問うことが重要な問題なのであつて、その解答は決し

て直観的に自明なことではない。解析的な論誰を必要とする問題である。しかしその論謹は、経濟肚會の愛當な姿を

示すこともできなければ、最適な歌態を意味することもできない。高汝ある條件の下における経濟諸量の静止歌態を

示し得るにすぎない。均衡はまさに均衡以上の意味を有するものではない。比喩的には、マーシャルの示すように生

物學的均衡ないしは力學的均衡と封比した概念として理解されなければならない(働邦課、分珊三、三-四頁)。債値論

の追放以來、このような形式主義的な経濟分析の途上には、サムエルソンの提示するような包括理論の登揚は十分に

豫想され得る所であろう。更にこの形式主義がより徹底化する時、均衡分析は果して如何なる展開を爲し得るであろ

うか。筆者の本稿における課題は、先ずこの問題の究明にあてられる。

 ここでサムエルソンの定義にしたがつて、均衡の解析的規定を次のように與えよう。経濟諸攣歎を苅:・蹴とすれ

ば、課せられた諸條件に基ずき方程式系

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     ト(書…もき)睦ρ軌口ど…}註                        P旨)

が規定される。ここで必ずしも方程式系である必要はない。不等式を含める一般な解析的關係であれば十分である。

この(一口)によつて決定される攣数の値、それが均衡解である。均衡分析の意圓する所は、先ずこの均衡解を求める

ことにあるが、しかし提示された諸條件の下にそのような均衡解が常に保讃され得るか否か。(一碁)の規定に從えば、

そこには當然種汝の問題が生じよう。果して均衡解が存在し得るか否か。存在し得るとして、それは一意的か多意的

か。一意的である爲の條件如何。叉一意的決定が経濟分析にとつて無理な要求であるとすれば、多意的に決定される

均衡解相互の關係ないし意味は如何。又均衡解そのものが得られない揚合には如何。等女。もとよりこれ等の一蓮の

問題に勤する究明は、それが軍なる解析的形式的な吟味以上の意味をもつ爲には、紬じてリアリズムの観黙に立脚す

ることを必要とする。

 もとより均衡分析は、中山教授も指摘するように、現象理解の武器として役立つ所に重要な一面の意味があるので

あつて、「その描くところの理論は他の理論一般と同様現象叙述の公式と考えられるのであるが、その公式はそれが有

する高度の抽象性の故に既に始めから現實の経濟現象の法則的知識を供するというよりはむしろ主として純粋に思考

                        

の用具として考えることを適當とするものである。」(22二一頁)。そこでは現象との早急な關係を追求することは、必

                       (

ずしも要求されることではない。むしろ理象理解に役立つ爲の理論燈系としての完成が、何よりも望ましいことであ

ろう。又サムエルソンも「『意味ある定理』とは、軍に理想的な條件の下にのみ、想像上論破し得る経験的諸資料に關

            

する俵詮を意味する。」(30一)」)という。現象と理論との關係は極めて自由な形態にあるのであつて、そこではそれ

           (

     均衡決定の諸條件                                  四九

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     一橋大學研究年報 経濟學研究 1              .           五〇

が一感経験的な理想條件の下に論破される限りにおいて、現象的には全く逆の意味をもっような『意味ある定理』の

導出すら可能である。極言すれば、むしろ現象と理論との關係は、一般には稀薄であるとすらいえる。しかしそのこ

とは直ちに現實性の喪失を意味するものではない筈である。複雑な現象に比すれば、軍純な抽象理論は時により現實

的ですらあり得るのであつて、抽象性と非現實性とは勿論同義語ではない。たとえば論理的實諦主義の立揚は、抽象

的嚴密理論にして現實的経験的な分析を與えんことを意圖するものともいえよう。しかしそこにはドッブの「今日流

行しているような型の嚴密な定義は、リアリズムの犠牲によつて、はじめて獲得できるにすぎない。」(⑤邦課一六七

頁)という面が指摘され得ないと漸定し得るか否か。前述の『意味ある定理』に認められる極めて自由な規定から見

れば、そこには現實性喪失の可能性が+分に観取され得るであろう。想像上の可能性は、概念の實鐙化の危瞼を含み

得るからである。より現實的であろうとする爲には、経濟分析に封して何が要求されねばならないか。以下このよう

            (1)

な問題を逐一吟味して行こう。

 (1) 以下の分析では、諸帰結の解析的誰明を大部分省略する。二、における一般均衡方程式系に關する解の吟味は、一橋大卒

  論「均衡方程式系に關する試論」(一九四八年)第一章を若干補足して要約したもので、その「試論」においては、解析的讃明

  を興えている。ヌ附録一・二は、 一橋大助手の審査論丈(一九四九年)の一部を謹明を省略して要約したものである。

二 均衡解の諸吟味

均衡解の決定性をめぐる諸吟味は、部分均衡的な分析においては、比較的精密に與えられてい吻o。部分均衡分析の

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鋤象は、『他の事情等しい限り』という假定の探用によつて、ある特定部門のみに限定されるが、その軍純化が更に、

解析の封象を高汝二三個の方程式系の究明に限定せしめる。從つてそこには、圖解的な直観に基づいて諸條件の理論

的な意味を容易に理解し得るという利黙が生ずる。この利黙が、部分均衡的な分析における均衡解決定の吟味を比較

的精密ならしめるわけである。

 例えば、クールノーのデュオポリー均衡方程式系を例にとろう(㈲薯』㍗8)。需要函轍の逆函藪を博目、(b)、同

                   ヱ   

一財を所有する所有者12の販費量を夫六DD(b“シ+鳶)とし、各所有者は夫没の費上高辱皇も・b怜の最大を

求めて行動するものとする。但し各所有者は、他の所有者の販費量の決定に封しては何等直接の影響を及ぼし得ず、

他の所有者の販費量が一鷹決定されたものとして自己の飯費量の最も適當な値を選揮するものとする。そのとき均衡

方程式系として、

     ’、(b)+b一㍉、(b)匹oン、(b)+b気、(b)旧o                   (bo●一)

が成立する。この方程式系は方程式の藪と未知の数が一致する故、一感解存在の必要條件は満すが、もとよりそれで

は+分ではない。更にクールノ;は安定解が一意的に決定される所似を岡解的に示している。第一圖が一意安定解の

存在する揚合、第二圏が不安定解の存在する揚合である(物物曲線は第一方程式、陶窺曲線は第二方程式、.乞は均衡馳)。こ

こで彼は不安定解は認め難いとして、その解析的な詮明を與えているが、彼の所論をより正確に整理すれば、次のよ

うな安定均衡解の一意決定の爲の十分條件を規定し得るであろう。

 十分條件 各所有者の所有量を夫空n五.とし、o〈U肱∪ごo〈U肱S博となるような適當な値万をとれば、函敷

     均衡決定の諸條件                                。  五一

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D2

一橋大學研究年報 組濟學研究

、諏、\

 、、

D1

唾 唖

a2   院1(第一図)

P2

oし

0D

唖 唖

     R2 R

(第二図)0

   ,   :    ,         五二

、(b)はO肱b仏bのPに封して定義され、二次迄可微分で、、(b)

 八ρ、、(b)〈ρb”oに封してPは正の定数、∪“bに封してPは

 零(自由財)となる(④マP邦理≡九-二四〇頁)。

もとよリクールノーの揚合、彼の示すデュオポリー機構を前提とする限

り、このような自明な諸條件にまで詮索的な追求を行うことは、徒らに

理論を煩預にするに過ぎないであろう。マーシャルにおいても、均衡解

の吟味は同様に圏解的に與えられている(邦課分珊三)。それで十分に嚴

密性を保詮し得る揚合は、圖解的な分析はそれなりに意義があろう。

 しかし一般均衡分析においては、そのように簡軍ではない。それは、

ある一般な経濟膿系に属するすべての経濟的諸量の相互依存關係を分析

することをもつてその課題とする故に、そこには一般に%個の未知激が

存在し四個の方程式系が成立する。そこでは勿論、均衡解の性質を圓解

                           (1)

的な方法によつてある程度まで究明することも可能ではあろうが、その

                      (2)

方法が全面的に適用され得ないことはいうまでもない。しかも一般の方

程式系について、その解存在の爲の形式的な必要且十分條件を求めると

いう問題は、解析酌には極めて姻難な問題を形成している。このような

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事情は、均衡解の嚴密な分析に封する大きな障碍となるのであるが、たとえ解存在の必要且+分な條件は求められな

いとしても、経濟的に意味のある十分條件だけでも一感規定しておくべきであろう。しかし多くの古典的な均衡分析

においては、軍に未知数を決定するに足るそれと同轍の方程式系を導出するという操作以上の分析を殆んど與えるこ

となしに、均衡解の一意決定を露結する。そこには明かに論理的な飛躍がある。それはむしろ、自動調節機能に謝す

る経濟學者の信念的な希望を表明する飛躍といえよう。前蓮のクールノーの例について見れば、たとえ方程式の数と

未知敷の激が一致するとレても、物町曲線と耽窺曲線とが交らない揚合には均衡解は得られない。その操作は軍に解

存在の必要條件のみを示すに過ぎない。部分均衡分析においては、すでに見たように更に進んで一意解決定の條件を

解析的に究明することも比較的容易であるが、しかし一般均衡分析においては、多くこの一意決定性の假定を意識的

に前提とする。勿論一意決定性を論詮する爲の分析が全く爲されていないわけではない。ワルラスにおいては、それ

を詮明するものは所謂摸索の理論であつた(㈹)。しかしそれはむしろ直観的な分析と込うべく、嚴密な解析的論讃と

は必ずしもいい得ない。これは後にヒックス・サムエルソン等の安定分析の中に包撫されるが、安定分析は一態均衡

解の決定性を前提としてその安定性を到定する條件を究明する理論であつて、そこではあくまでも均衡解決定の問題

は残され績けている。

                                            

 このような均衡解決定の問題を最初に提起したのはナ.4ザー.シュタッケルペルク等であるが(箇偶)、ワルフス.

カッ♪、ル流の均衡方程式系に師して、この問題に一慮の解析的な解決を與えたのは、メンガー主導のゼ、・、ナールにお

ける一蓮の諸研究である。ワルラス・カッセル方程式系は次のように與えられる。生産手段を瓦…-瓦、その量を

     均衡決定の諸條件                                  五三

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     一橋大學研究年報 濟維學研究 【                          五四

物、その債格を勉、生産財をぷ……臨、その量を幻、その便格をの、生産係籔を吻、各財の需要函藪が與えられると

すれば、均衡方程式系は、

     3“レ.§。・ト911』.Rミ)象9”ρ》(G・一博…矯。・詳)                   (卜o』)

       ら        ほ

この方程式系は、一慮稀少な生産手段のみを封象として與えられるが、シュレジンガーは、生産手段の稀少性.自由

                                          ラ

性は需要函数ないしは技術的な生産可能性とは猫立であるとして、(Q砧)を次のように鑛張する(解)。即ち稀少生産

手段については(Q』)の第一式は成立するが、自由生産手段についてはこれは威立せず、ごV』R蔑、となる。從つて

                                         も

新たな攣敷吻を導入すれば、それは壽“レ.§ど+蔚黛Vol↓寄“oと表わされなければならない。このシュレジン

                  ヤ

ガーの攣形に從つて、ワルトは若干の條件の下に一意均衡解の存在することを謹明する。

 定理 均衡方程式系

     Q♂”レ.§。・』+欝辞寄”P8”財罫もご9』》(。・一”…℃。・3)              (bo・Q)

      ヒ                 ふ

 が次の諸條件を満すとする。ω、3Vo、ω、R葡Wo、⑥、各プに封して適當な.zをとれば、Rこ〉O、@、五は冗個

 の非負な釘(少くとも一っの左に封して卑V。)に封して定義され、非負で蓮績、㈲、非負な黙列(蒐”・-も㌔)が(ρ

                                            お

・・c.)に躾竃喜、諺誉.・-幸.)§、㈲、轟.-・-争與巻墾くと至理く。護皇・.甑。であ

                       お

 るとすれば、8、”ト(G・一+緊こ-も醤+」3)としてレ.9、昏㌧〈o。この六個の條件の下に(卜。』)には非負の解(未知

                       ヘロけ

 激句の乃鰯)が存在し、酌の翫は一意となる。更に次の條件が満されるとき、勉も一意となる。ω、 一§丁(画”ど

 …一ド』”ど…}§)の階敷は隅である。

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このワルトの定理によつて、ワルラス・カッセル方程式系の均衡解決定の問題には一慮の解決が典えられるわけであ

るが、このワルトの解決にとつて重要な役割を果すものは、自由生産手段の導入、@㈲㈲によつて示される需要函藪

の諸條件、及び生産函数に掛する條件のである。先ず自由生産手段の導入については、それによつて(Nぴ)の第一・

第二方程式系の猫立性が直ちに保詮され、これが方程式系の解析的操作を容易にするわけであるが、しかし生産手段

相互の代替性は償格の低いものへの代替を惹起し、必ずしも直ちには便格を零ならしめないであろう。自由性の概念

が生産係撒一定の假定と結びついて提示される限り、その導入の仕方は未だ十分とはいい得ない。生産係敷一定の假

定は、生産手段の代替性を考慮する一般の生産函数の規定からみれば特殊的である。しかもこのような特殊性が、更

に生産係数に劃する不自然な非現實的な條件を強いる結果になる。即ち條件ωが威立する爲の経験的な意味を考えれ

ば、一慮財の籔が生産手段の数より少いことを想定しなければならないであろう。そうでなければ、鋭個以外の諸生

産部門はすべて”個の生産部門に從薦することとなる。これは明かに現實的には不自然た假定であろう。もとよりワ

ルトの一連の研究においても、この條件は最後に提示されたものであつて、彼自身この條件の探用には若干躊躇を示

  (3)

している。しかしこれが規定されなければ、生産手段の債格の一意性は保讃されない。又需要函歎が條件ω⑤㈲によ

って規定される爲の理論的根振も、より嚴密に究明する必要があろう。以下このような諸面を考慮して、一般均衡方

程式系に即して解決定の諸條件を考察してみよう。

 ノ個人の効用函数ε目ε(沁9…もミ)の條件を次のように定める(附録一、参照)。

                                             ノ

 ω、財量は非負でその領域において函敷は定義され、二次迄微分可能、ω、効用涯檜、籍こWo(但しXに到し少くと

     均衡決定の踏條件                                    王五

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     一橋大學研究年報 経濟白・学研究 1       、,                    五六

 も一つの.亀をとれば魁。、こVO)として警ξ目ヒε注§ξVO、⑥、&圃ε11』δ亀aこ&§嵐撃h〈O。

                   ゆ                  き

戸)の効用函藪を前提とし、牧支均等式(珊はゴ個人の所得、μは濁財の債格、物はブ個人の瓦財需要量)

     ミ㌧ロレ冨沁ミ                                 (卜。●斜)

       ハにロ

を條件式として効用の極大を求めれば、その必要條件として限界効用均等の法則

     εミ奪酬”§誉こ昏鳶(帆ぷ”ど…醤)                       (N』)

が成立する。所得及び慣格が與えられたとして、(。嘉y(N己)の方程式系は、もし解(未知数物)が存在するとすれ

ば、それが一意的に決定されることは讃明されるが(倒二四頁脚註、ωや一に)、必ずしも解そのものが存在するとは限

らない。あえてその存在を誰明しようとすれば、例えば

 @ 禦概晋赫)の如何にかかわらず、融騨”oのときさ亀は不蓮績。即ち一一貸δミ”8

                                 ゑごふり

というような條件を探用すれば十分である。その時、一意的な安定解の存在が誰明され、從つて個人の需要函藪が一

値函激となる。しかしすべての財を若干量でもとにかく泊費することを強制する@の條件は、現實的にはあまり適當

な傑件とはいえない。例、砂んぱ劣等財に謝しては、それを全く消費しないということは實際に起り得る。從つてより一

般な形で解の存在を詮明し得れば、その方が望ましいのであるが、効用極大化行動が一感均衡解を與え得るというこ

とを謹明するだけならば、(N己)は必ずしも必要ではない。即ち閉領域において蓮績な函数は必ず最大値をもつ故・

(。』)の條件の下に効用函数は常に最大値をもち、それが効用極大化行動における均衡解となる。しかもそれは一意

である。この均衡解を與うべき條件は、必ずしも(Qし)によつて示されるとは限らない。次のような損張された限界

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効用均等の法則として表現される。

     §誉製芝ミ“}〉のとき書呂    ・       (ま)

(N』y(卜oぴ)より個人の需要函数は又、一値函敷として導出される。

 條件ωー㈲の下に(N6)を前提として個人の需要函敷が導出される揚合、それ等を総計すれば、総需要函数

     §旧レ、§(誉・-も挙)“共讐℃…M誉y、賊”一}…醤               (Nモ)

       へのけ

も又一値函数となるが(所得は一定)、その逆函数(ワルトのいう需要函数)は、①ー@の條件だけでは、未だ一値函数

になるとはいえない。ここで各個人の需要函敷に封して次のような條件を探用する。

⑥、ぎ誉入。(よ墨篠件もて、各財鏡立財裂曇鋳して虞暮㌔。).

   ヘヒド

この條件は、部分均衡分析における、財の需要量は償格の減少函敷という規定を一般の揚合に鑛張したものである。

⑥は條件①1⑥の下では、同一の効用指標を與えるような財量の攣動に謝してはあてはまるが、効用指標が異る揚合

には一般には威立しない(㈹マ一$)。より特殊な制約を示す條件であるが、この條件を探用すれば、需要函激の逆数

が一値函激となり、しかもワルトの定理に示される@㈲㈲の條件をみたすことが認められる。

 市揚均衡においては、総供給量§〉oを一定として、需給均等式

     90き(誉…も§y斎一矯…き                       (b。・。。)

が成立する。この均衡方程式系は、條件ωー⑥の下に正の安定な一意解をもつことが謹明される。條件①1ωの下で

は((N●ひ)を前提とすれば條件①1③の下でも)解は存在するが、必ずしも一意ではない。

     藩決定の諸條件                至

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     幕童箋年報馨學舞-           .五入

 次に生産を含めた揚合の均衡解について考察しよう。各個人.2は生産要素巧の一定量貸ミWo(導乱}…もを提供し

 こ

(きミV。とする)、生産要素の便格を城として、各個人プは、

協o一

        ヤ

     ミ、“レご葵摯曳”ど…を                          (Nも)

       わロけ

の所得を受取る。生産函敷を

     辞肘§(健ぎ…ミも鳩軌”ど…}醤                        (N」O)

とし、完全雇用を前提とする。

     ゆぎ      き

     レ、寝こ”レ、聖さ 藤一ど…k                                  (ド旨)

     レロけ   マけ

生産函薮についても、効用函激と同様な次のような諸條件が成立するものとする。

 ㈲ 生産要素量伽及び生産量亀は非負で、生産函藪は二衣迄微分可能、ω 生産力逓婚日、亀讐肱oA但し各.・に剴し

 少くとも一つの~をとれば&こVO)として叙§目レ.漁ぎ嵐さ、〉O、⑧、黛萄琶巨レ、$ミ葵蕊讐嵐旨“〈O、 ㈲、 脚(鳶升転)の如

                     も                   セお

 何にかかわらず、賢“Oのとき§ミは不連績、即ち賦旨§ぐ”8。

                         讐脳↓O

このような生産函数を前提とし、生産費式

     」∬レ、豊藁奪嬉Hど…器                           (N.旨)

       お

を條件式として生産量極大の條件を求めれば、限界生産力均等の法則

  

  魯帆ミ§退、ミミき魯鷲や丙ぐ             (鍍い)

が成立する。呪晦を一定とすれば、(ド旨y(賂。’ご)の均衡解(未知数伽)は正且一意しかも安定となる。從つて各生

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産部門の生産要素に鋤する需要函敷(ヨ定)が一値函敷として規定されることとなる。こNでもし、各生産部門に

すべての生産要素の量が必ず用いられることを要求する條件⑨を不適當として排除するならば、(⇔ぴ)の揚合と同様

に、鑛張された限界生産力均等の法則

     塗ぎ蟹匙奎vのとき憲-。  ’       (窪轟)

を前提として、生産要素の需要函数が導出される。次に生産要素の慣格は、需給均等式(P旨)によつて決定される

わけであるが、ここで各生産要素に封する需要函数について

    あ

 ーo 財昏qし笥Vρ凡H甜.。・る

    ぎロげ

という條件を課するならば、均衡債格は輔意となる。

                              ラ

 從つて以上のことから、生産費が與えられるとした場合、條件ωー10の下に均衡方程式系(Nムy(N6y(b。薗y

                              (

(卜o』o。y(鳴ヒy(Pさy(Nレ一y(ド爲y(ド器y(い’δ)に正の一意安定均衡解の存在することが詮明されるわけで

ある。未知数は鋤勉晒鉾既伽晦である。又條件@④を排除しても、(N娠)の代りに(ρひ)を、(b。’ご) の代りに

(p冥)を探用するならば、均衡方程式系には正の均衡解が存在する。しかし必ずしも一意解が得られるとは限らな

い。ここで完全競争を假定すれば、

     』)h尊旺ヨ堕廓甜-M醤1一      』                 (p呂)

   (4)

が成立する。

 貨幣蟹位を適當に定めるものとすれば、條件ω!ゆの下に(ρ嶺)に億均衡解(未知数η)の存在すξことが認めら

                     『   く

     均衡決定σ請條件                                五九

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     需大學研究年報経濟學研究-              六〇

れるが、その解の一意性は必ずしも結論され得ない。しかもこの揚合、一意性を保誰すべき條件を規定することは、

極めて困難である。生産要素は多く補完的であるが、その補完度が+分に高い揚合には、解は必ずしも一意的とはな

らないことが認められるからである。その補完度が完全となるとき、ワルラス・カッセル方程式における生産係数の

概念が生じるわけであるが、ワルトの定理における一意性を規定すべき生産係数の條件が、特殊な制約を示すもので

あることはすでに指摘した所である。ここで自由生産手段について若干附言しよう。條件ω1⑥の課せられた生産函

数を前提とする限り、この均衡鐙系には自由生産手段を導入すべき飴地は存在しない。§ミは條件②によつて常に

正となる故、(い口い)によつて債椿も零とはならないからである。もし條件②を亀§目レ、紬ミ嵐ミ勲Woとあらためるな

                                      ヤ

らば、債格が零となる可能性が生じ(その場合限界生産力均等の法則の形も若干攣る)、從つてその揚合には自由生産手段

の概念を導入し得るであろう。又シュレジンガーのいう、自由性・稀少性は生産可能性・需要函敏からは猫立である

ということの意味も明らかとなろう。

 以上、ワルトの一意均衡解決定の問題を、一般な形で考究したのであるが、もとよりこれは一つの實例にすぎず、

                                (5)

より一般な均衡方程式系に即して、より詳細に究明することも可能であろう。唯このような試みを通して、從來の均

衡方程式系の基礎には、解析的な多くの難黙の存在することを知り得るならば、むしろそれでこの究明の意義の一牛

は果されているといえよう。そこで示されたように、 一意性の論誰は完全競事を前提としても多く難解である。又た

とえそれが可能となるとしても、墨六特殊な又非現實的な條件を要求するであろう。ワルトの定理ないしは上述の一

般な均衡解の吟昧においても、そこには若干無理な又特殊な條件が探用されている。しかしこのような無理は、むし

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ろ均衡方程式系の提示の仕方そのものの中に求められるともいえよう。古典的な均衡方程式系は、均衡解決定の問題

をめぐる嚴密な條件分析に果して堪え得るものであるか否か。提示された均衡方程式系を次第に特殊化する.)とによ

                                

つて、その均衡決定を論誰するという方法は分析を盆汝非現實化することを意味する。それは明かにリアリズムのよ

り以上の犠牲を要求する。このような方法上の難錨は、本論に示されるように、部分.一般の均衡分析を間わずむし

ろ共通な難黙である。方程式と未知撒を一致せしめるという解析的操作は、軍にそれだけでは何等均衡決定を保謹せ

しめるものではない。そこには解が存在し得るか否かの到定さえ未だ示されていない。しかも経濟學者の間には、

そのような操作が直ちに嚴密分析を意味するものであるとの即断が未だに支配的であるが、そこでは経濟學者は極め

て安易な猫噺に陥入つているといわれねばならない。解析的な経濟分析は、その推理の過程に何等かの非論理的假定

の導入されることを極力排斥すべきであつて、均衡方程式系の提示は、何よりもその髄系そのものが直ちに解の存在

を到定し得るような形態で與えられねばならない。

(1) 例えば、クールノーのデュオポリーを旗張してπ人の所有者が存在する場合(ポリーポリー)を考えよう(④薯ー箪ー3)。

                さ

 均衡方程式系は》b)+b曳(b)∬ρ 』シ”b。この均衡方程式系に封しても、デュオポリーと全く同様な十分條件(各人の

                ゆロけ

 所有量をbる”一・…も)とし、DをO賦bい9となるようにとる。他は同様。)を採用することによつて、安定な正の一意均

 衡解の存在することが誰明される。但しbい9・》b)”Oの條件は、所有者敷の少い揚合には一慮成立し得るとみなしても、

 所有者数が場大するにつれて現實的には盆々成立し難い條件となるであろう。

(2) 例えぱ、部分均衡分析においては、需要と債格の關係は比較的簡単に(多く減少函敷とする)規定されるが、一般均衡分

    均衡決定の諦條件                                   六一

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    一橋大墨・研究年報  経濟墨r研究  -                                    山ハニ

 析にあつては、必ずしもそのような簡単な關係は與えられ得ない(鋤ぜマ8t一3)。

                              (

        ラ                                                                      

(3) この條件は御におけるものである。ワルトの研究を後づけてみよう。価の正では、需要函歎は各財獅立にS”、(。。㌧)と與

 えちれ、解存在の條件は次のように示される。①②③は本丈の定理に示す條件、④、各,3に封して函籔>(G。』)は町の正の値

 に封して一定、負ならず蓮績、狭い意昧での単調減少ど、〈q。㍉↓さ(。。㌧、)V》(。。㌦)、しかも=ヨさ(G。㌧)”8である。この時非負の

                                       亀↓O

 解が存在し、御碗のは一意となる。絢の皿では、本丈の定理の⑤までの條件が示される。最後の鋤において條件のが附加され

                (                                                                        (

 るo

(4) 各企業者の利潤極大化行動は、債格を限界生産費に等しからしめることを條件とするが、そこに利潤が存在する限り、完

 全競争の下では津露o馨受によつて他の企業者の登揚を誘資し、結局においては債格は卒均生産費に等しくなる。從つて均

 衡條件として(N」U)のみが成立すると考えることは適當ではないが、しかし利潤の極大化行動を考慮しても、それによつて

 直ちに一意解が保鐙されるとは限ちないo

(5) エッヂワースは、の℃℃●8ー鴇において、所謂契約曲線の立場かち二財交換市場における交換者の歎が無限となる場合、

 確定的唯一の契約郎ち一意均衡解の存在することを論謹する。しかしその論謹においては、各交換者の無差別曲線は封象的で

 あるという特殊な條件が探用されている。この鮎についてはなお四、参照o

三 ノイマンモデルにおける均衡

                                〇

 二、においては特殊な諸條件の探用が均衡の決定性を保讃せしめることとなるのであるが、ワルトの研究を契機と

するノイマンの試みは、提示された鐙系そのものが均衡の決定性を保謹するという意味において、一鷹理論モデルの

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              ラ

新機軸を與える分析といえよう(26)。

              (

 ノィマンは次のように間題を提起する。

 問題、盟個の生産過程n……瑞にょつて鴨個の財伍……研が生産されるとき、ー

 i、如何なる生産過程が如何なる程度に適用されるか。h、財の絡量は如何なる相鋤的速度で塘大するか。姐、如

 何なる慣格が成立するか。加、如何なる利率が成立するか。

この問題は、次のような髄系の均衡解を求めることを意味する。複合生産をも考慮して、N(画n甜-も⑮)生産過程と

は、9(楓“ど…醤)財の吻を投入して9(㍉”ど…醤)財の砺を産出する過程である。これを§湿εと示す。吻

砺は流量ではなく貯藏量を示す係激。生産過程は線型、即ち§↓εならばン§↓ンεであるとし、更に加法的、

即ち二つの生産過程PPの和§+R、きε+ぴ、こも又生産過程となるとする。ノイマンのいう、この生産過程とは勿

論特定の現實の生産活動を封象とするものではない。特定の現實の生産活動は幾種類かの生産過程の一次結合で表現

されるのであつて、從つて生産要素間の代替度合の異る生産過程を幾種類か規定することが可能である。ここで從來

の代替性の失われている生産係数の規定が、§↓εという代替性を考慮する経濟攣換の一般的な形態へと鑛張され

ることを知り得よう。生産過程の用いられる度合即ち操業度(冒8量藝o)を、鈎財の檜加速度(定常成長率)をαと表

わす。嘗面の経濟騰系においては、用いられる生産手段に制限がなく、生産過程における消費を在在する唯一の消費

とするような閉じたモデルを考えるならば、各財について消費量は生産量を超過し得ないという條件が採用され、

     ま       ミざ

     貸レ.Rこ§肱レ.ぴこ薗嵐”ど…u醤  、                  一    (9一)

     {n一     軸b一

     均衡決定の諸僚件                                 ・  六三

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     一橋大學研究年報 経濟學研究 [                         六四

となる。ノイマンは生産活動と浩費活動とを分離せず、(ωβ)では、財の需要關係も陰示的にではあるが考慮されて

いる。彼の盟係では、需要函数は陽表的には規定されない。傷財の債格を初、利子率を㌘、鳶“(一+『)とし、完全自

由競争を前提として、均衡においては利潤は利子以上にはなり得ないとすれば、

     き         お

    鳶レ.§讐Wレ、♂撃(軌”ど…発)                      (Q・卜。)

     もロけ    ヤハけ

が成立する。更に(いレ)において不等號の成立する財に封しては、その財の債格は零となるという自由財の概念を導

入する。又(い』)において不等號の成立する即ち損失の生ずる過程は、全く使用されない(§腔o)ものとする。從つ

て(ω旨y(ω』)をワルト流に表現すれば、

     ま             ぎ

     霞レ.§き+8Hヒ黛這象画ごさ擁ρ、”ど…醤                   (ω・い)

     軌四一        画髄一

     ミ

     奄財§零目レ.ε零+3e匙㌦ρ賊n一}・:}註                   (いト)

     ヘロロ

となる。問題の意味する所は、この方程系の非負の均衡解(ただし町のうち少くとも一つの.価に饗して正、製のうち少くと

も;のゴに封して正、αβは常に正)を求めることである。未知数はαβ紛卸砺玩であり、未知数の敷は方程式の敷よ

り二つ多いが、この均衡解を求めることは、

          ぎ  コ         き   ミ

     S(銅憎)1ーレ.レ.黛寿讐\レ.レ.S為蓉                      (Q娠)

         いワけほけド    ぷルけほルけ

の鞍黙を求めることを意味し、そこでは必ずしも方程式の数と未知数の薮の一致を必要としない。但しここですべて

の査ンに封して§+ε〉oと假定する。これはすべての生産過程の中には、どの財も必ず投入ないしは産出として

含まれることを示す特殊な假定であるが、この假定がないと(ωぴ)が。\。という不定形となる可能性が生ずる。均

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衡解は

     貸”奄11愚(塑・図。)目ッ君k潔{⇒S(層・団)                     (9ひ)

と與えられるが、解の存在はブ・ウエルの不動貼定理によつて謹明される。この均衡解はαβについては一意となる

が、莇恥については一意とはならない。

 このノイマンモデルは、明かに二、における隷學的均衡農系とは多くの鮎で異つている。(Q」)λω』)は、一感ワ

ルト方程式系を振張した規定とも見られるが、ノイマンによつて示される均衡條件は、消費者行動・生産者行動に關

する多くの制約から解放され、それは軍に泊費は生産を超過し得ず利潤は利子を超過し得ずという形で、(Qレy(Q』)

の爾式に集約されて示されるにすぎない。その線型性の假定を別とすれば、極めて一般的な抽象化された禮系であ

る。ふヲでに二、で述べたように、從來の均衡分析においては、提示された方程式系相互の間に特殊な條件を附加しな

ければ、その解の決定性を到定し得なかつたのに反して、ノイマンにあつては、個別的な均衡の決定性は、(Q己)と

いう一函藪の竃鈴図冒一一一黙を求めるという軍純な形に攣換され、提示された膿系そのものが直ちに均衡解決定の到定

を與える。そこでは徹覗的分析と局覗的分析とが極めて密接に關蓮せしめられる。このように多くの諸部門の均衡關

係を、一髄系の均衡關係によつて究明するという解析的な方法を提示したことは、経濟分析に勤するノイマンの大き

な貢獄であつて、その方法が所謂『活動分析』に封する重要な理論的源泉を形成することとなるわけである。しかし

ノイマンの試みにおいては、軍に均衡解の存在が詮明されるのみであつて、その経濟的な意味については殆んど何等

の主張も與えられていない。このような問題については、『活動分析』における諸モデルによつてより明確な解答が與

     均衡決定の諸條件

                                           六五

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一橋大學研究年報 経濟學研究

1

六六

えられる。

 ジョージェスキュi・レーゲンは、ノィマンモデルを次のように整備籏張する(ω)。彼は基礎にとる生産過程をノ

イマンのように有限個とは假定しない。一般にそれは連績の濃度をもつ。ノイマンのいう生産過程を.』玉では活動

(8葺くξ)と定義し、活動Pをぎ次元のユークリッド室間における黙(8…込さ酵-.堕早)として表わせば、活動の

                                           お

集合は凸錐を形成する。ここでもその線型性を假定する。勉を領格として、産出の債値はマH㌔下蓉、投入の便値は

  お

q”レ.β讐となる。その爾者の比

 画闘一

     ミq踊撃蓉\許愚、愚(き憎)                   (い・刈)

        いロけ   めロド                                                            さ

は貨幣苫早位當りの報酬を意味する。ここでノイマンの§+εV。という特殊な假定は除去され、軍に』零V。の

みが假定される。又ノイマンはこの(曾N)に直接均衡條件を課するのではないが、ジョージェスキュー.レーゲン

は、より整備してこの式に直接均衡條件を與える。

 ω、生産當事者は、與えられた便格ベクトル図に封して、(Q紹)を最大ならしめるような活動を選ぶ。

 ω・與えられた活動Pに封して、自由競雫のカは(い知)を極小ならしめるように債絡に封して作用する。

この均衡條件をみたす均衡解が導出される爲には、適當な島輪が存在して

     黛㌧9憎。)ロピ翼霞・・魚(』ぎ網)                     (ω・。。)

           ヤ    リ

となることが必要且+分である。この冒舞竃首貼の存在は、凸錐の理論から讃明され得る。.)こで(曾。。)は基礎に

とるべき活動に有限個と蓮績の濃度という相違はあるが、その意味内容はノイマンの(9ひ)と全く同値である。從つ

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て均衡解の形式的性質も爾モデルに共通であ為。邸ち成長率霞仲ミqは一意的に決定され、均衡解となる活動を

舅。”(§。}…るき曾ヤ…レもとすれば、適當に配列しなおすことによつて

     黛”ぴ~。\§Vε\S9凡11一”-c9覧”◎+一”…醤                (9℃)

となる。均衡領椿系は図。”(讐。}…曼}ρ-・る)と與えられる。さ。“oとなる財は自由財と考えられるわけである

が、自由財の存在を認めないような活動を前提とすれば、活動における投入・産出の比はすべての財について一意的

に決定される。しかし便格は一意的には決定されない。例えば、㌧一(§一“ど§一11ど曾訓ε”一yン(a這”斜R鴇”鯉

曾“ど酵”い)のような活動を前提とすれば、均衡償格は讐W讐となる。

 このジョージェスキュー・レーゲンの試みによつて、ノイマンモデルの維濟的意味付けはより明確となり、又それ

によって若干の特殊な制約が除去されるのであるが、この爾モデルに共通して、未だ債格に鉗しては何等積極的な主

張を與えることが出來ない。均衡慣格は、たとえその軍位を適當に定め得るとしても、なお無限に決定される可能性

がある。從來の均衡分析の観鮎からは、このような均衡便格の規定はもとより不十分といえよう。從來の立揚におい

ては、慣格の一意性は規定され得ないとしても、そこに何等かの具饅的な意味を附與することが可能であつた。ノィ

マン、ジョージェスキュー・レーゲンのモデルにおける均衡償格に封しても、より具髄的な意味の附與されることが

                           ラ

望ましい。これはクープマンスの試みを通して與えられよう(御)。

 クープマンスは、活動を貯蓄量の封慮系列とは考えず、流量としてS日〔§博…るミ〕と示す。これはノィマンモデ

ルにおけるε1象こをあらためて9こと示すことを意味する。線型性・加法性を假定する。この定義も、前述の定器

     均衡決定の諸條件            i                       六七

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     一橋大撃研究年報 纏濟學研究 1                             』、、

                                           ロノコノ

と形式的には同値の意味をもつ。ノイマンと同様有限個の基礎活動(募号琴馨ξ)§§・…・爵の存在を假定する。

                   き

薯蕩の担える度合とすれば、糟議零癌2’・§竿べての活動に存る爵の純奮肇(負

ならば純投入糖量)を示す。これをマトリックス記號を用いて

     璽”臥聴・融鯉O                                   (伊一〇)

と表わふ9。.一の基礎活動のマトリックスに封して、次のような経濟的諸要講が浦されているものとする。

 要請A 適凸、田な活動の度合勉が正となる揚合、純産出は零とはならない。即ち翁》oに罫して璽11㌧ぎ暑o

 要請B すべての純産出が非負である(純投入が存在しない)ということはない。鄙ち、璽口」笥薯o

今財を誇ように分類する.欝.土地のよう菜源的妻、要轟のξ蕪塑霧、及び最墾霧・本源

的萎には存叢に鯉(.V藤、)があると薯.最笙霧5塗は常。羨る・更羨のξ糞蓼課

する。

 要請C 最絡生産物に封して零〉o、本源源的要素に封して§甑讐となるように活動の量を定め得る。

 要請D 更に中間生産物鮎を零ならしめる活動量に封して要請βが威立する。

次罷講(.醗.一.p叶)という概念を定義する.望財喬の響に弩て、他の如何馨讐奮つ舌、置以

となることがないならば、9は能率的であるという。その時次の定理が威立する。

定理隔 財室間の貼汐が能率的である爲の必要且+分條件は、次のような法線ベクトルの存在することである。

知、

仏ρ箋、健打PヤVO。

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このρを能率的な黙における財の便格ベクトルと定義する。この慣椿ベクトルにはもとより現實的な意味をあえて附

與する必要がない。これは必ずしも一意とはならないが、一意の揚合には、その比が限界代替牽どなり、更に限界代

替率の非邊塘性が詮明される。定理一、を更に攣換して、憶、8をブ活動の純利潤と定義すれば、

 定理二 璽11」聴が能摩的である爲の必要且十分條件は、①、如何なる活動に勤しても正の利潤を生ぜしめない、

 ㈹、正の水準にある活動に蜘しては利潤を零ならしめる、というような正の債椿ベクトルの存在するン』とである。

又能率的の定義を最絡生産物だけに限定して、次のように與える。財室間の黙に封して、最絡生産物の成分プについ

ては、罫-讐Wo(但し少くとも一つの.βに劃して割ーミV。)となるような財室間の勲.ツが存在しない揚合、写を能率的

という。この定義によれば、

 定理三 貼yが能率的である爲の必要且十分條件は、yにおいて次のような法線ベクトルヘ贋格ベクトル)の存在

 することである。邸ち、最絡生産物の債格は正、存在量の限界にまで達した本源的要素の領格は非負、限界に達し

 ない本源的要素に封する債絡は零となる(ここに贋格ペクトル憶”(}-・一害)の劉は~財の償格と定義される)。

このクープマンスの試みを、ノイマンモデルと封比して考察しよう。(ω碁o)から能率的な鐵とは、適當な債格ベクト

ルに封して

     憶、璽廻)、ぎ目。          し                (いい一)

という關係を満すことを意味するが、これは(いぴy(いも)においてR目一とすることに等しい。即ちクープマンス

のモデルは、6一感要請孟lDの課せられたノイマンの薄學(軍純再生産)モデルとも考えられるわけで、この静學髄

     均衡決定の諸條件                                 六九

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     }橋大學研究年報 経濟學研究 -                          七Q

系における均衡債格の満すべき條件を示すのが、定理一、ないし定理三、である。ノイマンモデルにおける均衡便格

の意味は、こエではじめて具騰性を附與される。しかも均衡債格が一意的に決定される揚合、均衡償格の比は限界代

替率に等しく、限界代替率の非逓蛤日性も認められる。これは從來の経濟分析における規定と甚だ類似した性質を示す

ものである。

 しかし.㌧こでいう所の均衡解の決定とは一髄何を意味し得るか。少くともワルトの研究においては、提示された均

衡方程式系に一意解の存在する諸條件を究明することが問題となつていた。しかしノイマンにあつては、均衡解の決

定とはそのような特殊な諸條件を追求することを意味さず、そこでは均衡解の決定を保詮し得るに足る髄系を提示す

ることが問題である。しかもそ.㌧で提示された髄系においては、個別的な均衡は綜合された一均衡騰系の決定から分

         ロ

割的に導出される。この綜合髄系は、(い喬)から明らかなように一経濟髄系の総塵出額と総投入額の比を示すという

肚會的局硯的な關係を規定している。ノイマンの意闘していたことは、軍に均衡決定の究明にあつたであろうが、そ

こには實は、その意圖以上に重要な問題が提示されている。即ちジョージェスキュー・レーゲンにおいては、個別的

な均衡條件は杜會の牧釜率に關する局覗的な條件に攣換されている。又クープマンス自身は、定理一、に示される債

格ベクトルに何等現實的な意味を盟ハえているわけではないが、ノイマンモデルをそれに封比せしめる時、ノイマンの

提示した均衡髄系はそこに生産機構の能率性到定の規準を十分に予想せしめ得るも町であつた。債絡の任意性は、均

衡慣格の規定としては極めて不十分なものといえようが、それが能牽性到定の規準とみなされ得るという形で具髄化

されるわけである。.」戸)に均衡概念の重要な韓換が見出されよう。もとより厚生経濟學においては、このような最適

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性到定の問題は常に問われてきたことであるが、そこでは均衡と最適性とは、必ずしも解析的な關連を通して提示さ

れていたとはみなし得ない。その意味では、ノイマンモデルを契機とする活動分析の展開方法は、更に分析を深化せ

しめるものといい得るであろうが、㌧しかしこのような個別均衡と肚會的最適性とが調和を保持し得るように蓮結され

ることは、現實的なモデルとして果して適當であるかどうか。現實においては、それが互に離反する可能性が十分に

ある。むしろそのような揚合がより支配的であるとすらみなされよう。もとよりこのような揚合の究明は、線型モデ

ルに基く分析にとつては無理な要求であろう。その非線型モデルの究明にまつ所甚だ大なるものがあるといわねばな

  (2)

らないが、しかし離反の可能性を考慮し得ない斯似は、軍に線型・非線型という解析的な問題の中にのみ求められる

べきではない。

                  ラ 

 (1) 均衡決定に關するこのような分析は、3115等によつて更に展開されている。

                  ((

                  ラ

 (2) 非綿欝型モデルの究明については、1634雌守参照o

                 ((

四 遊戯論的分析における均衡

 古典的な均衡分析にあつては、諸経濟主髄の合理的極大化行動そのものが直ちに均衡を成立せしめ得るような調和

的機構だけが、その究明の封象となつている。しかし現實の経濟行動は、極めて複雑な檬相を示すのであつて、一個

人の極大化行動は、他の極大化行動を必然的に惹き起す揚合も屡六生じ得る。(一レ)に從つていえは、》(3…るも

旺Pト(書…}ギ)”o嵐モ覧を爾立せしめる憂数値の存在しないような揚合も十分生じよう。この揚合、從來の立揚

     均衡決定の諸條件      ・                             七一

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     一橋大學研究年報 紹濟學研究 1             ・           七二

では均衡は不決定となる。このような錯雑した機構の分析に封しては、從來の方法をもつてしては十分な究明はなさ

                                           

れ得ないのであつて、その究明に一慮の解析的基礎を指示する理論が所謂『遊戯の理論』である(27)。その意味では

                                          (

それは、極めて斬新な意圖を内包するものといわれねばならない。しかしそこでは零和二人遊戯については比較的明

快な解答が典えられているが、一般の遊戯については未だそれ程十分な蹄結が得られていない。経濟分析にとつて

は、このような一般の揚合が重要な意味を持つのであるが、現代の遊戯分析では、むしろ小人藪のないしは特殊な型

の遊戯を多く問題とし、一般の揚合に封しては、結託(。8蓋o己概念に唯一の解析的手掛りを求めて理論を構成す

                  (1)

ること以上に、殆んど分析は進展していない。

                              (2)

 この遊戯分析の立揚から再びクールノーのデュオポリーを考察しよう。明かにそこでは、所有者の特定の行動型だ

けを前提とする。即ち相手の販費量が一感決定されたものとして自己の最も有利な販費量を決定するという行動型で

ある。デュオポリーにあつては、更に相手の利釜をより低からしめようという、あわよくば相手を市揚から駆逐する

ことによつて市揚を猫占しようという欲求も生じよう。父お互に結託することによつて相互の利釜をより高め、その

利益を相互に分け合うという行動型も生じよう。市揚を猫占しようとする行動に封しては、明かに從來の意味におけ

          (3)

るような均衡は成立しない。このようなより廣い行動型を前提とすれば、クールノーの分析をもつてしては未だ+分

な究明は與えられない。これを遊戯分析の立揚から見れば、次のように示されるであろう。爾者の利得(囁苫罐)の

合計は期(∪)と與えられ、それを爾者の間に適當に配分することによつて、夫汝の利得が決定されるわけであるが、

各人の手(鶉叶.諄㊤蓉,)を飯費量で表わせば、明かにこれは非零和二人遊戯(ぎ早駕『o-雲ヨ薯o一、。諮9撃ヨo)となる。

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從うてここでは一般遊戯における結託の操作を導入しよう。結託する即ち爾所有者が合同する揚合には、合同した時

の利得の最大値b竃へb。)目霞は、(N斧)によつて示される各個人の利得恥H皇亀(b一。+bp。)Hbめ亀(b一。+b団。) の

合計⑳恥よりも大となる。從つて食1鳶“くを適當に所有者12の間に分配(く目S+雷)することによつて、(鳶+ゴ

鳶+く博)〉(画鳶)となり、明かに(Nレ)の解は結託した揚合の解に支配(山。巨壁一、8)されることとなる。即ち結託の

可能な揚合、デュオポリーにおける遊戯論的均衡解は

     優目bρ、(b。)“b、、、(b。)十∪想、(b。yb。巨b一、+bに、Mb一械(b。)W画b施、(b。)~恥    (避一)

と與えられねばならない。(轟斧)を満す易B、がこの揚合の均衡解となる。これは一意的に決定されるとは限らない。

もとよりクトルノー自身このような均衡解の存在を全く否定しているわけではない(↑り一)H)・露ー8)。そこで彼は、所

有者は絶えず結託から離れようと行動するものであることを假定する。從って(命一)によつて示される解は不安定解

となるのであるが、行動の基準をより有利な利得を求めて行動する揚合にまで鑛張するならば、結局においては結託

の揚合が最も有利なものとなる。しかもここでは、二、において探用される十分條件はもとより、誉誉曲線とぎξ

曲線が交らねぱならぬとする條件も不必要である。クールノーにあつては、爾所有者の財所有量は大髄等量に近いこ

とが暗に假定されているが、その假定も勿論必要ではない。この揚合には、クールノー的な分析では均衡は不決定と

なるのであるが、遊戯分析では均衡解を規定することが可能である。この解はもとより極大化行動に基くものとして

規定されるものではない。その意味では均衡解という言葉はあるいは不適當でもあろう。師ち解の定義は、軍に他の

利得の組ぐ・、を、)によつて支配されないような利得の組(ぎこを與えしめる手として規定される。そのような手を

     均衡決定の諸條件                   士三

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     一梼大學研究年報 経濟自・学研究 -                             七四

最適手(o昆ヨ2。。鼠竃翰)ないしは最適解(ε浮巨毘註。菖という。勿論、この解の定義も、從來の行動類型をよ

り搬張することから生ずる一種の均衡解を意味し、最適という言葉が暗示するような規範的な意味は何等含まれてい

ない。この規定に從つて解を示すならば、

     優“∪ρ、(b。)H奮+辞                           (↑N)

この利得&&の下限は遊戯分析を嚴密に適用すれば、次のように與えられねばならぬ。即ち非零和二人遊戯は、假想

的な一遊戯者を想定することによつて零和(溝8-霊ヨ)三人遊戯に攣換されるが、それを更に結託によつて零和二人

遊戯に縮少した揚合における各所有者の呂蟄図自旨の利得、それがその下限となる。この目碧-冒旨な利得は、混合

手(邑器負弩暮。讐)を前提として與えられる豫想値であるが、それはある所有者に封しては零となることもあり得る

であろう。しかしそれはその所有者が市揚から追放されることを毛頭意味するものではない。たまたま分配額が零に

もなり得るということを示すにすぎず、遊戯の理論においては、自己の損得の如何にか~わらず、とにかく相手を市

揚から駆逐しようとするような賭博的な行動は、未だ分析の勤象とはなり得ない。更にこのような結託の可能性は、

軍に所有者の間だけに認められるのみならず、需要者との間にも認められよう。從つて、その機構の分析はより複雑

化するが、ここではより一般に、遊戯論的分析を市揚の均衡分析に適用してみよう。それはクールノーのデュオポリ

                             

-・ポリポリーを特殊な揚合として含んでいる。以下の展開は、彰における分析を効用函数の立揚から再考察したも

                            ‘、

のである。遊戯の理論では評債は貨幣タームで與えられていた。

 二、における條件ω③⑥を満す効用函敷εHε(ξ}…きもを前提とする。必ずしも條件ω②⑥を満すことを必要

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としないが、理論の簡軍化の爲にそれを探用する。効用の行ペクトルをまH(登・-醤しとする。牧支均等式.需給

均等式をマトリックス記號で表わせば、交換前の財所有量のマトリックス斎ζ一同凶、交換後の財所有量のマトリッ

クス一§ΣH映、Pを債格行ベクトル(但し》目一)、θを軍位行ベクトルとして、

    叉図ー凶)ロρ(映-鱒)。、“。        ・             (“ω)

となる。ここで9H(浄モ:』もyo師ち交換前に各人は何等かの財を所有するものと想定する。從來の均衡分析で

は、各個人倭限界効用を均等ならしめるように行動し、その行動によつて決定される需要量.供給量が一致する所に

均衡領絡が威立すると詮くのであるが、しかしここで均衡債格の決定は需給均等式によつて與えられるのであつて、

各個人の行動とは一慮無關係である。現實の行動においては、各個人はそのような均衡便格が成立し得るか否かにつ

いては何等の知識も持ち合わしていないと考えられねばならない。その成立が十分に分つていれば、各個人は互に牽

制し合い、より有利な再契約を追求することによつて、結局においては限界効用均等の法則の成立するような交換を

行臥といヶ行動類型を想定することも出來よう。しかし各個人の市揚に鉗する知識は必ずしも完全ではないし、又各

個人の強氣・弱氣は、限界効用を均等ならしめる行動におけるより以上に効用を大ならしめるような叉小ならしめる

ような交換を十分に嚢生せしめ得る。最も弱氣な個人は、現在の所有量における効用と全く同程度の効用をもたらす

ような交換も行うであろう。從ってこのような極端な行動類型をも考慮すれば、薗仏§(一、は交換前の、価は交換後の効

用ベクトル)となるような%に鋤して、交換は成立するものと考えなければならない。

 簡軍の爲に、二個人二財交換(孤立交換)の揚合から考察しよう。芒まは交換前の財所有量辞、(で一る)におけるブ

     慕決定器條件                七五

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     需毒夏鐘経濟學研究正             実

(気

る)個人の効用の偏微係激。蜜往誉一軽肱♂竃言悼態とすれぱ、讐阻翌注\豊§あるいは害~息鳶\辞§となる便

格鈎に封しては交換は成立しない。その揚合には、明かに§y§となる効用ベクトルは存在しないからである。從つ

て薗、s.、言一蓬く』、〈禽籍≧に鳶となる便格に封して交換は成立する。第三圖(①は交換者1の、②は交換者2の無差別

            ②曲線、9は交換者の最初の位置、五亙は契約曲線、ここで明らかに交換成立の範

    2

               園は9ゐ丑翌の内部である。ここで遊戯理論における支配概念を探用すれぱ、

                エッヂワースの契約曲線上の黙が最適解となることは容易に分るであろう。その

               條件は、

                  §ぎ昌誉ぎ旨Hδ包障\Se旨                 (斜’轟)

                である。債格の威立すべき範園は、歳9Fぎy』(馬篤)博として

                   ー(ゆ}』悼1㊥一)\(きー辞一)Hー(態1§悼)\(ミ一-辞怖)必一仏

                  1(餅-翻一)\Q一ー摯一)目lQ障-紬旨)\(か1辞団)      (高■軌)

               となる。更に結託の操作を導入しよう。遊戯分析を嚴密に適用すれぱ、假想的な

一交換者を想定して零和三人遊戯に攣換する必要があろうが、ここではそれは必要ではない。二人の交換者だけの協

定によつて、最も有利な交換を行うことが可能となるからである。先ず爾者はお互の協定によつて、爾者の効用を合

成することを必要とし、そ茅}では當然効用を比較すべき協定の規準が提示されねばならない。それを一感ξ」、(言

ρへ

)で示し、協定函薮と定義する。もとより合理的協定である限り支配概念を満すもの即ち昏肱窪、ミ一肱δ、は>β

一α=12 σ

IlQ

『薗JP21(

II

一必22

II『1

M『II LII『1

R1

O 蕩1

-第ゴ圖①

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謬)肱>β、養、博)を意味するものと考えて差支えない。しかもここで、その合成には雨者間の効用比較の可能性を前

提とする必要はない。上の關係を満す協定指標であれば十分である。交換はこの晩を最大ならしめるような黙に成立

する。その貼は必ずしも限界効用を均等ならしめる即ち(避斜)をPに等しからしめるとは限らない。協定函撒は爾者

の協定の内容に依存する故、そこには當然爾者の強氣・弱氣も又考慮されねばならないからである。メンガーによれ

                                                  ラ

ば、爾老の協定する揚合、熟練・好智・無慈悲等の度合に癒じて債格は下限あるいは上限に近ずくものとされる(α

邦謬一七五-一七九頁)。もし協定函轍が書㌔葺+ξと與えられ(附録一、q滲照)、しかも爾者の効用函敷が同型であ

ると假定すれば、限界効用を均等ならしめる一黙に交換が成立することとなる。もし叉契約曲線上の鮎で常にβ+

§”9(鴻辱)であるとすれば、この時協定は無意味となり、協定しない揚合の解と一致する。

                                                  セ

 次に一般の交換について考察しよう。先ずε芝\ε琶について、與えられた.乞乃に勤しブに關する最小のものをん

最大のものを恥とする。もしすべての.乞んに封して>曽び臥」蓼あるいは噂さぎW駒蓼であるとすれば、明らかに交

換は成立しない。少くとも一組のゼゐに嵩して匡タ〈辱奪趨く疑蓼となるとすれば、交換は成立する。支配概念を採用

すれば、

     書琶誉一”驚貰目§旨\まぎ誌踊・:口§彗§ミ↓琶陶奪賊uど…}診                 (命ひ)

となるような財マトリックス渇が最適解となる。なんとなれば、適當な.免ン乃に封してε呈誉誉亀V5慧\罫§㌍であ

るとすれば、その間にμをとることによつてブ乃の間に夫々の効用を共に鹸日加させ得るような交換が行われるかちで

ある。方程式系(斜■ωy(“ぴ)は、方程式の敷より未知激の撒がより多い故、もとより無敷の解を持つ。しかしこれ

     均衡決定の諸條件                                   七七

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     一橋大・。学研究年報 経濟學研究 -                         七八

はたとえπを無限にしても決して一意になるとはいえない。エッヂワースのように再契約概念を認め且つ効用の同型

を前提とすれば、限界効用均等の法則の成立する一意安定解を得ることも出來ようが、遊戯論的分析では、從來の分

析において不安定な交換とみなされるものも最適解となり得る故、解は無藪に存在する。更に結託の操作を導入しよ

う。協定函敷は結託すべき個人の敬及びその相違により種六考えられるであろうが、ここではすべての個人が結託す

る揚合だけを考えよう。協定函数を戻一・§)”、(§…嚢醤)とする。交換はこれを最大ならしめる黙に成立する。そ

の黙は協定函数の形態によつて種六の値をとり得る。もし協定函激が暮醤)“書+§+…+ま薄と與えられ、各個人

の効用を同型とすれば、弧立交換の揚合と同様、限界効用を均等ならしめる黙が協定函敷を最犬ならしめる黙とな

る。叉最適解に封して窪+謬+…+5119(誹蝉)となるとすれば、協定は行われない。

    り

 このような遊戯論的観難からの市揚分析においては、各個人は與えられた慣格の下に常に極大化行動を爲すとはみ

なされない。そこでは現在の地位よりもより望ましい地位への移動である限り、交換は行われるのであるが、そのよ

うな交換のうちで、交換者達はすべての交換者の効用をより大ならしめるような交換をより望ましいものとして選揮

するという行動をとるものと想定する。最適解の條件(命ひ)を満す竜めがこのような行動類型の静止貼と考えられる

わけであるが、この親鮎からみれば、從來の限界効用均等の法則の成立し得るような交換は極めて特殊な行動類型に

基ずく揚合とみなされねばならない。

 こxで直ちに氣附くことは、(亀ふ)は厚生経濟學における重要な命題、師ち財の最適配分は、すべての個人に封し

                                               ラ

て如何なる二財の限界代替率をも均等にするような配分となるという命題を表明しているということである(㈱℃』郵

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ラ   イレ

僻一、,N轟)。もとより茅』の遊戯論的分析においても、その形式的操作は厚生分析における最適性到定の間題と全ぐ異る

所がない故に、その一致は當然の戸}とといえよう。,唯しかしここで張調されなければならない相違貼は、從來の厚生

分析においては、厚生函籔は一慮與件的な形で理論の中に導入されるのに反して、遊戯論的分析にあつては、それが

諸個人の行動に基ずいて内在的な形で導出されるという黙である。鄙ち最適概念は、あくまでも合理的行動を鑛張す

ることから生ずる哨種の均衡概念として理解されなければならない。上述のすべての個人が結託する揚合における協

定函歎は、一慮ランゲのいう肚會債値函数に相等するものともみなされるが(働)、償値函藪は肚會の一代表機關(例

えば國曾)によつてあるいは諸個人の効用指標とは無關係な直接的定立によつて規定されるものであつて、諸個人が

相互に結託し合う諸行動の解析的操作から導出されるわけではない。協定函歎の観貼からみれば、すべての個人が結

託する揚合はむしろ結託の一特殊型を示すにすぎない。すべての個人が結託する可能性の存在しない揚合に、至上命

令的に肚會領値函数を設定することは、現實的な諸個人の経濟行動からみれば、何等かの個人に犠牲を要求すること

であろうし、そこには濁断的な贋値函数を設定せしめる可能性も十分に認められよう。諸個人の経濟的到断の合成と

して審星的劃が震えるべきであ・藻隆、この合努聾的議的藷係轟析的箋翠るこ嘉蓑

な問題となるであろう。

(-)遊戯の理論に關する姦としては、㈹畢唇§ζ一)ま一1§薫.又一馨磐ついては箆・望)き?ひ5

                                            (

  響)・§ー肇蟹照.

 (2) 本論における立揚とは異るが、デュオポリーの遊戯論的分析を興える試みとして、恥参照。

                                     ぜ

    均衡決定の諸條件                                   七九

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                                           八〇

    一橋大學研究年報 紹濟學研究 【

(3)ヱノみデ秦i導つては響の論蒙與ええ象、そ盤ついてはい⑬、④昌.・く.一一..q.uHβδ吋.℃騨け9

 ■ロ9巴冨磨照o

(4) ア・トはこの命題を凸集合理論の立揚から更に披張する(①い)。

       五 厚生函藪の設定

二£獣て示したように・蕎蟹極めて舞藷舞の歪の至意蟹蘂し得るのであつて、むしろ褒

的には多意的に決書砦かある譲均衡蟹存在し漿いもの参馨雲詫ば奮馨.多意的に麩嘉る

揚合ぞ乏集だ客個人の行動塞ずいてその地位憲高上芒める可能性が認め島る.肇実ての個人

の効用をより大奮しめるき姦用指標蓼典える均衡がある奮ば、個人行動の結果はそのような均衡を求めて

移行するであろ、しか皇のξ霧繧、從來のき濤審行動原響假箏る.㌧とを葉し奮.例えば

四£存るξ奮ユ磐行霧型喬提与猛+分であつて、この婁廣若動墾薯學段、從來

の立揚では均衡蟹存在しな蕩合竃個人鵯行動の静止攣見出芝とが可能叢る.そこには均衡概念にかわ

るに最適概念が新たに登揚し・腿矯禦審叢漣裂へ轟垂9る.しかも詫籍個人の行動麺の整

に基づく必然の結果として示される。

從來厚生分析は・畠馨に基ずく均衡藁して審の最適性を保護し得るものであるか否か、という問題を契機

として(ぎ寧琶奮℃弩構量潅蓼として展嬰砦のであるが、そこではあらたに蕃厚生函

    (

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激を設定することによつて最適性到定の規準を提示しようとする。しかし從來のようにそれを個人的行動に謝してい

わぱ與件的に経濟肚會に與えられるものとして規定する揚合、その規定そのものに多くの難黙の介在することが認め

られる。三、のノイマンモデルにおけるような、個別的均衡と最適性とが何等の矛盾もなく直ちに蓮結される機構は、

むしろ極めて特殊な揚合であつて、諸個人の経濟的諸釧断の合成はもとより無條件に爲され得ないことはいうまでも

ない。その合成は、何等かの慣値的覗錨を要求するのであつて、そこには債値観の多様性に基ずく複雑且つ困難な問

題が内包されている。果して諸んの慣値到断は矛盾なく爾立し得るや否や』現實的な便値到噺を満すに足るような厚

生函藪の規定は果して可能なりや否や。更には債値鋼断において矛盾し合う諸到断を如何に合成するか。このような

現賞の錯雑した債値到断機構をも解明し得るのでない限り、厚生分析の標榜する實践的な意圖すら失われるで訪ろ

                              ラ

う。iそれはサムエルソンもいうように一片のカリカチアにすぎない(㈱マト。鴇)。厚生函敷設定の具盟的且つ現實的な

意味を究明することは厚生分析に課せられた重要な間題であろう。ア・1は、如何なる肚會髄制にも安當し得るよう

な厚生函敷の規定はそれ自膿論理的に自己矛盾であるとして、資本制民主主義の薩制下において規定されるべき厚生

.函数の基礎を明示しよう老する(②)。以下彼の解析的展開の要貼を略述しよう。

 選揮の鉗象となる揮一物をベクトル灘9……と表わし、それは杜會款態(》、の成分は、各個人所有の財量、各個人の勢

働供給量、各種生産活動に投入される生産諸資源量・公共政策のような諸活動量等)を示すものとする。この集合を富とする。

この探一物は次のような弱順序(宅o勢o旨豊轟)の公理を滞す。

’公理 すべての¢yに封して、&旨健か璽肉囎のどちらかが成立七、&詣撃㌣需碗↓窮葡麟。

     均衡決定の藷條件                                  八一

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     一橋大學研究年報 経濟學研究 1 へ    、                   八二

こNに沁馬曽とは即がツより好ましいか、あるいは無差別であることを意味し、鷺却とは健肉翁とはならないことで

あり(選好關係一)お留おロ8お一跨圃9)、翁ぎとは窮さ且つ健肉Rとなることである(無差別關係冒山葭。博。昌。。H。一.一訟。昌)。

各個人ぜが杜會猷態を選撰する揚合の順序を昂と表わし、同一の個人によつて幾つかの選繹順序が考えられる揚合、

それを茄町町として匠別する。この個人選繹の規定は、選揮の封象が肚會歌態に關係しているという貼で從來の敷用

分析の選揮概念を接張している(⑥薯・露1ざ♪働)尉)」。。ムー日。。α}㈹一)』認)。又肚會による選揮順序を(同様に幾っかの選

澤順序を考慮して)丑RRと表わす。

 定義杜會厚生函敷とは、探一物に封する個人順序瓦…瓦に勤して、ある肚會順序Rを封慮せしめる過程ないし規

 則である。

こ玉で幾っかの個人順序が存在する時、そのうちで祉會順序を封態せしめるものと、それを封慮せしめないものとが

匠別されるであろう。前者に属する個人順序すべての集合を盆日霧3δの9という。この厚生函敷は、勿論一般的

普遍的に血ハえられるものでなく、幾つかの條件(そのうちには資本制民主主義機構の下における市民の到断の合理性及び灌

威を表明する債値到断嵐含まれる)を満すようなものでなければならぬ。これ等の諸條件を次のように示す。

 條件一 9に属する次のような三つの揮一物からなる部分集合Sがある。師ち如何なる個人順序鱈に蜘しても鎚、肇

 翰oQ曼亀となる時しかもその時にのみ区巨艶露o器けに馬する個人順序昂に封して葱蝉健となる。

 條件二 すべての乞と、與えられた毫bとは異る&、曼、a㌧に封して、駐、詣愚、となる時その時にのみ&、き、健、で

 あり、沁葛ミ、ならば範き、遭、、約歴聖、ならば鷺加、貸、となると假定する。その侍R湘鴫ならば沁㌔、璽となる。

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 條件三 昂卿に封感する杜會選揮函数をQ(のyq(oQ、)とする。こNに選揮函敷とは、ρの部分集合8に属するす

 べての穿及びすべての.乞に封して沁為蔓となるような諾の集合である。もしすべての.乞と部分集合Sに屡するすべ

 ての㌢に樹して賊肉蔓となる時しかもその時にのみ導需晒、璽であるとすれば、q(OQ)”Q、(GO)となる。

以上の諸條件は、厚生函数の形に關する制限ないしは選樺の合理性を表明するものである。

 條件四 肚會厚生函数は一巨℃8巴ではあり得ない。こ玉に一日℃8aとは、ある異つた二つののツに封して、騎

 …瑞の如何を問わず常に聴鴇糟となることを意味する。

 條件五 肚會厚生.函敷は紐辞暮9巨ではあり得ない。こエに象。98試2とは、すべてのの㍗に翼して一個人奇

 以外の個人順序の如何にかNわらず建ぎは常に範きを意味するような個人あの存在することである。

これ等の諸條件は、市民の権威ならびに合理性を表明するもので、肚會的タブーないしは凋裁者の存在を否定する。

今何等かの方法によつて厚生函勲が規定された揚合、それがこれ等の諸條件と爾立し得るか否かということが先ず

問題となる。これは次の定理によつて否定的に答えられる。

 定理一 もし個人が如何なる方法で順序附けても差支えないような三つの繹一物が存在する時には、公理及び條件

 一-三を満す如何なる肚會厚生函数も、四を浦せば五を満し得ず、五を滞せば四を満し得ない(9)・$)。

これはピグーの個人効用総計の方法・新の立揚における補償原則等を含めて一般に厚生函数の規定そのものが、條件

一ー五と爾立し得ざることを主張するもので、從つてそれ等の厚生函激は、肚會的タブーないしは猫裁制の存在と爾

立し得る可能性のあることを示している。こNでもし鐸一物が二つだけとすれば、ブラッグの示した多藪決の方法に

     均衡決定の諸條件                                    八三

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     一橋大學研究年報 紹濟學研究 -                           八四

よつて條件一-五と爾立する厚生函数を規定することが可能である。こ玉に所謂多数決の方法とは、簿、鴇蔓となる個

人の敬が健謁もとなる個人の数より小とならない時その時にのみ融肉璽となることを意味している。同じく多激決の

方法を用いるならば、揮一物の敷の如何にかかわらず、條件二-五と爾立し得るような厚生函激を構成することが可

能である。こ玉で條件一を次のような條件一で置きかえてみよう。先ず強順序關係βを次のように定義する。帥ち、

すべての詔に封してe乙Q聴、すべての鷺晋健に封して聴頓健か璽OO融のどちらかが成立し、鷺GQ撃葛u↓鷺密。叉記號雨(き

健も)とは聴冬匙すQ賊か、錫健曼GQ龍かどちらかであることを意味する。

 條件,一 のぎ触o粕窪犀&汐臥R窪8の假定(島ミかっ認(3撃.)は健勺蕊を意味するような強順序8が存在する)を満

 す個人順序昂のすべての集合に封して、それに封感するRは公理に示される霧順序關係となる。

この條件を探用することによつて

 定理二 多歎決の方法は、個人の数が奇数であるならば、條件一二ー五を満す肚會厚生函激となる(②や謎)。

こNに奇数という制限は本質的である。偶敷の揚合、それが條件と爾立し得ないことは簡軍に詮明される。.』のよう

にして、一慮論理的に無矛盾な厚生函数の構成が可能となるわけであるが、アローの論旨を分りやすからしめる爲に、

投標のパラドックスの例を用いて若干読明しょう。

                                ぐ

 盈BOを三つの揮一物とする。個人-は0よりBをBより且をより好み(Q〈閉八』)、個人2は且より0を0よりB

をより好み(臥くq〈ε、個人3は8より遜を且より0をより好む(艶く臥くSとする。多数決の方法によれば、肚會順

序蘭係億0より五(q〈εを、Bより且(均く」)をより好んでいる。從つてくのみの關係では、多数決という便値到

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断に基き順序關係を移動律を満すように與えんとすることは自己矛盾である。なんとなれば、Q〈卸切く冨よりQ〈

匡となるが、これは㌧〈Qに矛盾する。これが所謂投標のパラドックスの意味であるが、.〕の揚合厚生函籔が規定

され得るものとすれば、それは強順序に基くものではない。即ち公理に示す移動律を満すレ恥うに順序關係を與える爲

には・この揚合五BOはすべて無差別(』U艶”Sであるとしなければならぬ。しかしこの順序關係は明かに條件一

とは爾立しない。なんとなれば、個人123に蜘して夫々、肉く匡く9Q〈bd〈卜卜くq〈鵠という順序關件を規定

しても肚會順序關係は匡旺関旺Qと與えられることとなるが、條件一により同一の個人例えばーに封してQ〈匡及

び匡くqというような逆の順序關係の規定されることは許され得ないからである。しかし.)れは條件一とは爾立し得

る。なんとなれば・その條件は個人順序關係が強順序である揚合(こ玉では不等號)、肚會順序關係の弱順序(こ玉では

等號)の導出されることを許容しているからである。このように個人順序が強順序で與えられるとしても、肚會順序

として弱順序を採用すれば、條件と爾立する厚生函撒が設定され得る。他の諸條件と爾立することも容易に認められ

る。                                           ・

 以上のア・ーの分析に掛し、ここでは次の二つの黙を指摘するに止めよう。アローは從來の厚生函籔の基礎に横た

わる論理的脆弱性を吟味することによつて、多籔決の方法は、肚會的タブーと猫裁制の存在を否定する肚會盟制の下

における厚生函激の論理的に無矛盾な規定を保誰し得ることを結論するのであるが、戸』茅)にいう多敷決の方法とは、

政治的投標の原理をそのまN経濟的厚生の規準として探用することを意味している。しかし経濟機構は、そのように

各個人の選揮を同じ程度に考慮し得るような機構であるとはおよそみなされない。ドッブはいう。「経濟の領域では

     均衡決定の諸條件              』                     八五

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     麟橋大學研究年報 紹濟學研究 -                           八六

「複敷投標」は例外ではなくて通則である。ルかも、この複轍投標たるや他の者は一票を投ずるのに鉗してあるもの

は.一千票もしくは一萬票を投ずるというほどに甚だしいものである。」(⑤邦課一七〇頁)。現實の機構がこのようなも

のである限り、軍純な多数決原理を以て厚生函数を規定することは、それがたとえ提示された諸條件の下に論理的な

無矛盾性を保誰するものであるとしても一つの理念を語るにすぎず、リアリズムの観黙からは無力な函撒規定といわ

ねばならないであろう。厚生函敷の設定は、たとえそれが如何に論理的に無矛盾であるとしても、現實的な解決と切

離してそれのみが猫立の存在意義をもち得るものではない。又その厚生函数の理論的規定については、ア・iの示す

定義では、常に線型の順序關係を滞すように規定されているが、四、におけるような形態で、個人行動の原理が最適

性を保謹ふタる茅㌧とが示されるものとすれば、もとより線型の規定は狭きに失する。厚生函数は決して與件的に與えら

れるものではない。諸個人の複雑な諸行動との關蓮において規定されねばならない。一般には、準順序關係によつて

與えられるものと考えるべ痔、であろう。以下このような面を考慮して、若干厚生函数の規定について一般的な考察を

  (1)

與えよう。

 アローの前提をこ、でも探用し、公理としては、個人選揮は弱順序關係疏を満し、杜會選鐸は分配束の順序關係R

を浦すという條件を探用する。その上で厚生函数をア・iの定義によつて規定する。但しすべての個人に鋤して簿ト資

となるような要素を類別し、この類別による部分集合を要素とする集合に封して丑が満されるものとする。この部分

集合族をb(鳶)と表わす。從つて丑に關しては同一の類に属する要素は等しいものとみなされるが、それに封して

も形式的に融㌧ぎと記す。しかもこの厚生函敷の定義は、與件的に與えられる規定ではなく、すべての諸個人の到断

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に基ずき、ある歌態より他の歌態をよりよき歌態であると到定し得る揚合にのみ規定される。次のような選揮の合理

性を示す諸條件を規定する。

 條件國 &ミ亀も葡蔓(管ゼ」馨)↓聴旨壁。

 條件一 疑曼亀る~ぎ(宥H}…醤)魁霜健。

 條件二 融詣肇(画”黛…翼)y健肉藁(冠”}…}》yへWみ↓沁駒便。

次のような函数を規定する。すべての.乞に鉗して斗ロト(聴ミ)で絢は實藪。又、瓢ぜ↓岱Vρ ト(畦ミ)”」栗噂も)。

更に、き』弐3怠y詳、”》(3蕾y§肉きも博鍾釜↓き+3、」、(3壽)。このような函敷の存在を假定することは、効

用の可測性及び個人間の効用比較が可能であることを意味する(附録一、皿滲照)。

     リリ

 條件三 レ.辞Wo得疑鞄健。

     帖睦一

ここで條件一は、蕾厚生経濟學における厚生函数・遊戯の理論における支配概念・活動分析における能率概念・多数

決の方法等にょつて満される。條件一は、新における厚生函数・支配概念・能牽概念の順序關係を意味する。又條件

二は多藪決の方法を、條件三は醤における厚生函数を意味し、そこでは丑が線型ハ弱順序)となることは容易に分る。

以下では條件一だけを前提とする。

 今9に封して何等かの制約條件が課されるものとする。これは均衡條件・生産條件・交換條件・政策的諸條件ない

しはより特殊な條件として生産資源を一定とする條件・一定量以上の財所有を禁ずる諸條件等凌、何等かの制約を示

す條件であればよい。それ等の諸條件をαβγ-と表わす。このような條件を課することによつて、o廷属するある

     均衡決定の諸條件                                   八七

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     一橋大學研究年報 縄濟墨’研究 -                          八八

要素は實現不可能となる。α條件によつて實現可能な要素の集合をb(優)と示す。明かにb(寝)脇℃。それが室集合

となる揚合、條件は無意味となる。αを均衡條件とすれば蕪貸)は均衡解を意味し、一意均衡解の存在する揚合は、

b(R)は唯一つの要素から成ることとなる。更にβ條件を探用するならば、αβ條件によつて實現可能な要素の集合

は、b(曇鳶)Hb(R))b(鳶)となる。これが室集合の時は、α條件とβ條件とは爾立し得ないこととなる。b(優)の

要素αが最適であるとは、如何なる需b(R)に封しても、§菊9とはならないこど即ち、

     象)§壮9                                     (9一)

となることである。これは方程式嬉)§同9の非可解條件を示す(附録二、滲照)。この最適解の集合をo(寝)と表わ

す。9を有限集合とすれば、b(R)が室集合でなければo(優)も室集合とはならない。ここで四、で示した結託概念

を導入しよう。例えば¢ブが結託する揚合、瓦劫のかわりに馬という弱順序關係を新に採用する。これを協定順序關

係とい玉、R詣嘩聴肉蔓↓融鼻ミを浦すとする。この關係は如何なる結託に翼しても成立するものとみなす。結託の行

われない揚合の個人順序關係を農。(肉虻」肉も、すべての個人が結託する揚合の協定順序關係を悶黒き...もと表

わし、結託の檬相に慮じて順序關係の組を適當に番號附けて、ミ一(訪量肉G。}…肉言y歳臥.-y蜜閣(・-y…・と示す。

諸個人の結託に慮じて封慮する肚會順序關係も異るが、それを詣(蜜帖y艦”ど-・㌔と示す。ここで結託は如何なる

個人の間にも行われるものとし、辱5(竃》寒酬)ミ』を次のように規定する。例えば孤において肉逗、珊において

                                                      さ

鶉駿というような協定順序が認められる揚合、ミtミ~によつてはき蜜と合成され、旨脳)歳㌧によつてはR島.君

と分割されると定める。その時畦い(ミ》ミh)ミ、旨帖も準順序關係の組を示すこととなり、しかもすべての順序關係

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の組はこの()に關して分配束となる。分配束の順序關係に從つてミ酬く寂~であるとすれば、その時b(肉(ミ、))は

b(肉(ミ、))に束準同型となる。束準同型において縮少されるべき要素は、R(聴モqあるいは9)鷺壮ぴとして、

     (R(伊))&“(R)轡)(&                           (9N)

を浦すのの集合の中に含まれる(附録二、謬照)。すべての個人が結託する揚合、鋤慮する肚會順序關係物(塞思)は搦

順序となり、肉(ミ恩)に基ずく最適解o(寝)に罵する要素は、必ずしも唯一つとは限らないが、杜會選鐸としてすべ

て無差別となる。鵠(㌧§)の順序關係が、條件二あるいは條件三を満すに慮じて、厚生函敷は多数決の方法あるいは

奮厚生経濟學における厚生函轍となる。ここで二つのグループに結託する揚合を考えよう。協定順序關係は簿隔…き

きき…装と示され得る。封慮する肚會順序關係をRと表わす。この丑に基づく○(R)が社會選揮として無差別でな

いとすれば、適當なRミ8(R)に封して、必ず蔑ぜ遠藁加き・§四融のどちらかが成立しなければならない。從つて

9を有限集合として、各グループ毎に○(優)の要素を各協定選繹順位の低いものから高いものへと番號附ければ、そ

れが全く逆の關係を示すことが分るであろう。ここですべての個人が結託し得れぱ、.その、感うな封立は解消され、從

つてランゲの示す肚會償値函数を個人行動に基ずいて規定することも可能となるが、そのような結託が與えられ得な

いものとすれば、謝立は解治されないままに淺される。例えば、肚會順序關係丑に關する9(賛”ぴが可解でないなら

ば、、杜會状態αから肚會猷態わへの移行は、あるグループにとつてはより選鐸されるが、あるグループにとつてはよ

り選繹ざれないものとなる。しかもすべての個人の結託する可能性が認められない揚合には、・ての封立的性絡は解溝

され得ない。

     均衡決定の諸條件                                 八九

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     一橋大學研究年報 経濟學研究 -                             九〇

 以上極めて抽象的一般的概念規定の究明のみに絡始したが、その具髄的分析は後の機會にゆずるとして、最後に示

した二つのグループに結託する揚合、そこには相互の利害の全く封立する機構が示されている。上述の考察からみれ

ば、それは無藪の可能性の内の僅かの一片にすぎないが、このような封立、たとえ何等かの経濟的諸條件の下に最適

概念を適用してもなおかつ認められる勤立の存在は、現實的にはむしろ支配的な傾向とみなされるべきであろう。翠

純な形式主義的分析は、現貴において何が支配的要因であるか、という問に封しては何事も答え得ない。支配的とみ

なされる要因も、殆んど璽要性の認められない要因も、共に全く同列の資格において意味をもつ。現實分析への要求

は、まさにこのような間に十分な解明を與え得る分析を要求しているといわねばならない。

                      

 (1) 束の記號・定義・公理・定理については、③13参照。

                     (

六 結

 要約しよう。古典的な均衡分析における形式主義の徹底、それは、,解析的な観貼からは均衡の意味する所を明確化

し得るであろうが、同時に、リアリズムの観黙からは分析をより非現實化し均衡の意味する所をより曖昧化する。そ

こに改めて均衡の具髄性を問うて、最適性到定の基準を規定しようとする方向が提示されるのであるが、厚生分析は、

その實践的な意圖にもかかわらず、軍に到定規準の論理的形式的側面を多く問題とし、その到定規準の合成されるべ

き現實的呉髄的側面を殆んど不問に附す。その到定規準は、もとより経濟肚會に與件として規定されるような猫立の

意味をもち得るものではない。個別的経濟諸行動に基ずく集約された協定の館結として定立されるべき筈のものであ

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る。しかもこの定立の可能性は、錯雑する経濟諸行動の勤立的性格の如何に依存する。リアリズムの要求に答える分

析は、正にこのような現象の矛盾し合う錯雑した機構の究明である。

 しかしそのような分析は、軍純な解析的形式的分析のよく爲し得る所ではない。解析的な経濟分析の主要な一方向

は、現在むしろ極めて特殊な技術的個別的問題の解明へと輔換されつつある。遊戯分析・活動分析は、その傾向を端

的に表明するものといえよう。遊戯の理論の著者達はいう。「如何にすれば雇用は安定するか、國民所得は檜大する

か、それを如何に適當に分配するか……-の問題は誰にも眞には答えられ得ないし、又吾汝は現在科墨的な解答があ

                   

り得るかのようによそおう必要はない。」(αマひ)。解析性を重覗する限り、そのような否定的な主張すら提示される

可能性のあることは首肯し得る所であろう。しかし軍なる解析的技術的分析以上に、あくまでも経濟墨であることを

主張しようとすれば、ドッブもいうように、「政治経濟學のように複雑な實際問題と結びついている學問の揚合には、

自分の足をしつかりと大地に植えつけておくという規則を守ることは悪いことではないように思われる。たとえその

爲に、定義の論理的優美をある程度犠牲にし、代藪學的定式化の印象的ではあるが往々にして誤解に導く正確性をあ

る程度犠牲にするにしてもそうである。」(⑤邦謬一二四頁)。経濟現象の究明にとつては、何が本質的で何が本質的で

ないかが明確に意識されていなければならないし、それがすべての分析に封して先行するのでなければならない。形

式的分析は、軍に現象の可能性を羅列し得るにすぎないが、その本質的要因を到定する爲には、近代経濟分析におい

ては形而上的なものとして捨てN顧みられなかつた『債値論』が再びこ~で要請されなければならない。

均衡決定の諸條件

九蝉

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一橋大學研究年報 経濟學肝究

1

九二

附録一 効用の可測性

 効用函数の規定については、これを大別して次のような立揚が考えられる。日、効用函数の一意的規定を與件とし

て前提する立揚、国、その一意的規定を認めず、一般的な指標函敷(無差別曲面)を採用する立揚、国、効用函藪の一

意的規定を経験的に論讃しようとする立揚等。

 もとよりこれ等は李面的に羅列されるべき性質のものではない。効用函数そのものは、いタノまでもなく、古典派経

濟學における領値論の吟味からその旗充として設定された規定であつて、その意味において古典的な効用學詮が、古

典派経濟學の便値機構に強く影響されていたことは否定し得ない。便値を決定する要因はそれ自髄領値ではないある

量と關係しなければならぬという債値原理は、意識するにせよ、しないにせよ、古典的効用學読にとつてもむしろ一

つの要請であつた。便値機構の決定因となる効用は、もとよりそれ自燈債値機構から猫立した概念でなければなら

ず、しかもそれに基づいて構成される理論が嚴密性を主張し得る爲には、効用概念は曖昧なものであつてはならない。

多少の差はあれ効用は量として可測であるべしとの信條は、古典的効用學読を貫く基本的傾向である。更にそれが経

濟慣値機構そのものからは猫立であることの故に、効用の一意的規定はむしろ直観的に(ジェボソズ、ワルラス、マーシ

ャル)心理的に(エッジワース)又哲學的に(メンガー)経濟學外の典件として安當化されていた。

 しかし近代の経濟分析は、このように形而上的な非経濟學的概念を基礎として理論を構威する方法を、輕濟學の自

主性という観勲からみて好ましからざるものとして、論理的實詮主義の立揚に從つて効用函数を規定しようとする。

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ここに所論慣値論の追放と構される方向韓換が行われる。帥ち慣値機構の究明に封しては、効用函敷の一意的規定は

不必睾あるとして・緩的嚢好書前提与ること蚕て+分与る.それは、解析的には一磐指標蜜とし

て規書れる存であるがごの輿疋が現代効用分析の正統繁方婆髪している(ω.げ・℃・一).しかし他方、効用

そのものは非経濟學的概念として追放するとしても、効用のもつ個人の経濟行動における解析的な意味は、これを十

分響に竈すべ馨莞ε、その翁隻同倦魏醤撃蓄立豪薦嘉得べき詮であ参として、

効用の一意的規髪謹しξと著試竜嬰葉えて落.フィッシャー.フリッシ、鍔試みはそれを示す

                                          

(⑤⑨)。又ノイマン・モルゲンシュテルン等も、確率的な方法によつてその論護を與えている(α)。茅).)ではフリッ

シュの方法に從つて効用可測の論誰を示そう。唯フリッシュの公理系には、若干曖昧な叉解析的な不十分な個所があ

る故その攣修正し重錫衡分析奮しは星分析への適用薯轡てその翁萎葉葱.季その翁萎

塩ハえよう。

   1 公理系

 II…-N財の量(8…}§)を所有する一個人を考え、この財量に直交座標系」(9。ご…”。謡)の與えられている

象兀ユ}リッ基夏竈登”-葛を叢させる.財量が血-欝化するとき、そ憂認し五の讐

、(§+」§」§+」8)となる。即ち財の鍵動に玖の線分M国が封感する。この罫鷹は勿論一鉗一である。

定義一脅畢る任意の二墨老灘て、冒呉目)。㌧=い藁合詰上への憲認糞え、この

 、(目)を選揮と定義する。

                                           九三

     均衡決定の諸條件

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     一橋大學研究年報 纏濟學研究 -                         九四

選揮に封して次の公理が成立する。

 の 順序の公理

 (1

 憐レ,図)は全順序集合を爲す。即ち

 ω、す.へての袖、×⑥に勤して、、(潮)四、(圃)か或いは、(週)四、(冒)のどちらかが成立する。

 ②、。、(刊圃)脚、(剛剣)♪、(矧剣)W■、(剛矧)↓”、(潮)H、(剛心)。

 ⑥、㍉(潮) 鯉、(圃y、(詞)W、(馴)↓㍉(剣)脚~(劃)。

 但し右式の等號は左式が共に等號の時、その時に限り成立する(以下附號の關係は常にこのような形で成立するものとす

 る)。

適當な正の姦翌X窪め、一『亀一入実[一一一は目の羅と馨君箸釜の舞傍と℃、P羨近毯

属する鮎という。

 切近傍の公理

’ (ω

、任意の量麦藷當盗をとつて9をその近傍薦する讐す段、憐潮)呉趨)鶏茎参菰

に學る禦ある.又逆裁薦著P鋳して為菓望と農管畢る.このよう遙傍黍存奪る・

 ω、ρ、(潮)背、(圓)。

㈲、長を管學る黙、象を暫學る讐し、磁。ン蟹凶}尋‡ン静、薗}謡許罫

(↓はベクトル記號)の時、オ妻夫毒盈黛學る場合、、、(剴)翼墨ζ(黄)Wも♂書ば・

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 ㍉(蟄)冊㍉(図駒)となる。

 ω、、(冒)』、(削)となるような黙Pが琢に属する時、Pはすべて適當な超弔面の上にあり、しかもその超弔面

 上の鮎に封してのみ>N㌧)H、(ーH)となる(この超挙面を只図)と表わす)。

 ラ

 @方向の公理

        

 図憎H』讐恥髄とし、零脚O(少くとも一つの.竹に勢して讐V。)となる時、、(目)y、(目)となる。

   (ロ一

   ∬ 公理系の経濟學的な意味

                        ル                                                  

  ハ

 公理㈲は、財量鈎…翫を所有する時それを血…廊攣化させる揚合と、財量胆…阪を所有するときそれを珈…助攣

化させる揚合において、個人はその選揮の大小・相等(無差別)を常に到定し得ることを假定している。、㈲のωは財量

少…伽の若干の攣動に鋤しては、それに饗感して財量絢…働を適當に若干量攣動させれぱ、その雨攣動の選揮を等し

からしめ得るということを示す。②は明らか。⑥は財量絢…賜の若干量の二つの攣動の選揮が共に、卸…阪の若干量

の二つの攣動の選鐸より小とはならなければ、これを相互に同比率で合成した攣動についても、その選揮の順序が璽

化しないということを示す。ωについては次のように考える。超李面卜(図)上の貼は、その上の適當な(詰ー一)個

                           きロけ                                    

の猫立なベクトルの一次結合として表わせる。即ち邑の目レ.図加ン。又直交座標系の軍位ベクトルを用いて、固◎”

                          “闘一

き        りび 

レ、恥帖季國加”き誉る匹}…るー一)と表わせば、

甘一      ㌧一一

     (㌃ご.:}㌃趨)”(ンご…}ンミム) §ご …・・ー9ぎ                    (謬●一)

                  9峯ー一...9きー昌3

     均衡決定の諸條件                                   九五

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     一橋大學研究年報 紹濟學研究 正               ,,        九六

                                                           ノ

となる。図きは凋立故、ず隔Σの階数は(醤1一)である。從つて(琿レ)の左邊の任意の(3ー一)個の絢を定めれ

        ユ

ば、右邊£-奪婁2』俊り左邊の残された一個毘羨智れることが分る.こ農、(i一)個の財を適

當に微小攣化させても、淺りの一個の財を適當に微小攣化させることによつて攣化した財量の選揮を攣化しない前の

選揮と等しからしめ得るということを意味している。この公理⑥㈲は効用の可測性にとつては基本的な公理である。

公理@はすべての財量を正の方向に攣動させれば、選度は檜大することを示す。このような諸公理の意味する経濟的

な規準が、一感経験的に承認され得るものとみなす。その時効用の可測性は次のように示される。

   皿 効用の可測性

 公理系から導出される簡軍な性質を若干列學しよう。

f、ω、㍉冒)W\(恩)あるいは㍉(嵩)W『禽、)、②、”、a、)群\(恩y\(圃)騨㍉(唱)3、(割)目㍉(愚)、

    し                       セ      ド      ヒ           ミ        レ                 ロロヒド      

 ⑥、・、(ー、)W、(図£y、(図◎)W、(§)斗、(図国、)肘、(Hの)、@、、(図き)W、(麹㊥y、(員)W、(※拶)}』匡“≧

                               み      

 塁十どき加}自Hン一菌の一十ン博』㊥↓の、(望)W㍉(§)。

これは公理㈲のrをXと改めれば成立する。

グ、、(冒)”、(愚)は同値律をみたすから、琢の黙は類別可能である(以下近傍の鮎のみを問題とする故、これを断ら

ない)。

ゴ、この類別ほPを通りト(國)に李行な超李面卜X眺)を決定する。

                                      

グ、卜(H)に鋳するXにおける垂線を乏(映)とし、≧(ヒ)上のベクトルをH㌧とすれば、その成分はすべて正

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かある、いはすべて負である。成分が正である方向を極大方向という。

5・

署(嗣)と』勾(ーy卜忠(』)の交鮎を軌砲とし、[昌7一飼一をXから廓俵までの長さを表わすとする。

902が極大方向にある時正、非極大方向にある時負と定める。その時、>剴)貼、(賀)得一恩二皿一恩土。

ぴ、XrPを與えれば、、(冒)”、(滴)となる9はトo(憎)を決定する。

ブ、宅(図)上の鮎をP、旨(図)上の鮎を9とし、、(割)”、(嵩)とすれぱ一愚一時q一国一。0は定敷。

創、プのσをq歯}と表わせば、Qぎ11身叉身憎。                     ’

これにより任意の二黙間の比例定数oは、一定鮎丑を固定すれば且に封する比例定鍛として決定されることが分る。

                                       

今且における極大方向上に適當な鮎κをとり、一一匡悶ミQ嚢の距離を有するベクトル舅逸をXにおける極大方向

上にとる。その時

           

 定義二 (強き暑㌧)を冒の効用と定義する。これが選揮の順序關係と全く同様の順序關係を有することは次

の定理によつて示される。

                   

 定理 (弩き自㌧)肱(図ン、ざ憎の)斜、(蟄嚇、(愚。          ,

 』Rの任意性から効用には一つの任意定勲が倉まれるが、これは効用測定の軍位を適當に定めればよいことを示す。

                        

これにより図き¶(ξ…}§§)墨8}H㌣(」鉾…k哧   、

  

  

-(熱き聯)-恥匙3ζRム㌔誉          (舞N)

と示む得る。Lは%次元ユークリッド室聞の曲線を表わす。叉§§H①ミO蔑と記すことが可能である。晦はXにおけ

     均衡決定の諸條件                                   九七

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     一橋大學研究年報 経濟學研究 1       ,                  九八

る極大方向上のベクトルの成分であるから正、帥ち限界効用は正となる。

   N フリッシュの公理系との關係

 フリッシュの公理系においては、上述のーのfにおける同じ黙に關するものを第一種の公理とし、異る黙に關する

ものを第二種の公理として旺別しているが、これは論理的には匠別する必要がない。唯しかし経濟學的には、通常第

一種の公理は経験的に殆んど自明なものとみなされるが、第二種の公理には若干難黙があることを否定し得ない。無

差別曲面の立揚にあつては第二種の公理は要求されない。吹にこ玉で近傍と述べている所で、フリッシュは無限小と

いう概念を用いているが、近傍概念の方が推論を嚴密化し得る故、これに改める。更にフリッシュは㈲の⑥に相當す

                                                    さ

る公理を加法の公理として、.、(潮)四、(週)㍉(舅)取(諭)↓、(目)W。、(§y但し眺匡睡ー』、十邑曇慰鴇“団の

+謝と規定している。しかしこれだけでは不十分である。フリッシュはこれから㈲の④が導出され得るものと考え

ているようであるが、これはNが有理数の揚合には成立するが、短を任意の實激とする揚合には何等かの蓮績的な性

質を前提としない限り、㈲⑥は導出されない。從つて本稿においては、このような蓮績的な公理に提正する。又㈲の

㈲は彼にあつては、公理として明示されていない。しかしこれは公理として明記し、その経濟學的な意味を示すべき

である。更に限界効用の可測性を讃明するだけならば、順序の公理と近傍の公理で十分であるが、.一れでは未だ限界

効用の附號については何事も主張し得ない。從つて更に方向の公理を附加する。しかもこれを探用すれば、㈲④はよ

                                                    

り弱い條件で置換えることが可能である。即ちフリッシュの加法の公理に、、(旨㌧)」、(図雨y鯉”ン執拘椀旨一ン

             

知㊨↓,、(≧匡)』、(強)を附加すればよい。

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   V 均衡方程式系への適用

 上述の公理系によつて、限界効用の可測性とそれが正に定まるということを論誰し得るが、均衡方程式系への適吊

という観鮎から限界効用の蓮績性・可微分性を考慮しようとすれば、更に公理系を次のように鑛充し得よう。

㈲連績の公理

公理㈲ωの舞に封して、海員蛋-。の時一孕-塁↓。と馨.

これは、二つの財量の位置が接近すゐにつれて、各位置における同一の微小攣化の選揮が等しくなる.)とを示す。こ

の公理によつて限界効用は蓮績となる。更に次の公理を付加する。

 ラ

 ①、近傍の公理

                             し      し           ヨ

 ⑤、ざ雫肉Nとし、N図開図騨とすれば、、(N団)玖、(旨』)ル、(映図)玖ρ、(図箇)となる。

これは、財量の位置が選揮の増大(減少)する方向へ若干攣動す,るとき、攣動後の位置における徴小攣化の選揮は、

攣動前の位置における同じ微小攣化の選揮より小(大)となることを示し、この公理によつて限界効用の邊減するこ

とが容易に認められる。又更に、連績の公理⑥に次のような條件を附加しよう。

  

 凄 臣只肉賢-肉被)≧ー団=は存在し一定値となる。

    ヒエンロ

この公理の下に限界効用は可微分となり、更に二、における効用函敷の條件⑥の成立することが謹明される。

 以上のようにして、公理系㈲㈲@⑥によつて、限界効用從つて効用の可測性、それが正値となること、限界効用涯

減、効用の二次微分が負値となることを結論し得る。これは又二、で示した効用函数の條件でもある。しかレそこで

     均衡決定の諦條件             ・               ’       九九

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     一橋大學研究年報 経癬學研究 -                            一〇〇

は効用の可測性は前提としていない。 一般の指標函数の立場における規定を用いれば十分である。しかも一般の指標

函数に條件ω②⑥を課しても効用は可測性とはならない。例えば一財の揚合を考えよう。敷用函敷を§S(肉(&))と

すれば、二、における効用函藪の條件は、S、・穿Vρ穿Vρ癒、、富面十愚、㌍&〈ρ穿鷺くoであることを示す。ここで

も、、”oとなれば、限界効用は可測となるが、必ずしもそうとはならない。例えば魚(肉(R))凹㍉(麹)い肉(聴)” 導 、

                                               鞠十一

     お

師ち§”Q斜とすれば、これは明かにミaVPきVρま醤くPきR〈oとなり、二、の條件ω②⑥を満すが、S、、Vo

でも、、日oとはならない。從つて條件①②③は効用の可測性を前提としない。

   可 個人聞の効用比較

 上述の効用函敷の規定においては、個人効用は可測的とみなされるが、そこには常に任意定激が含まれ、その任意

定数は偲ん間に關しては相互に猫立である。從つて公理系㈲ー㈹は、未だ個人間の効用比較に關しては何事も主張し

ていない。即ち規定され得た効用概念は、そのまエでは経濟肚會における評償の共通尺度とはなり得ない。こΣで上

述の公理系を前提として、個人間の効用比較を可能ならしめる爲には次のような公理を設定すれば+分であろう。乞

個人の財室閤を鼻置とし、定義一、より.乞個人の選繹をト(倒、)と定める。

㈲個人間の公理

 ①、軸醤のある適當な線分倒軌に封する.乞個人の選揮ト(笥、)9は、き、のある適當な線分笥㌦に翼する

 プ個人の選揮》(融隔図㌧×臥に等しい。

 ω、ト(きざ)」、、(き}\~yト(きざ)ロ>(きざ)ユ、h(きざ)」、辛(却}、ρ)

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この公理は、個人間の選揮の度合は適當な財量の攣動をとれば等しいとみなして差支えないことを規絢している。こ

の公謬よつて、(書)よム罫蓼ム龍融量奮、藻一る亨塁爵一一羨…を蕉

する。又公理㈲の働により、加叉き融U加鳶となる。即ち、各個人の効用の任意定激は相互に一意的に關連し、從つ

てこの定敷を一つ適當に定めれぱ他の定数は確定する。こ、に個人間の効用は比較可能となる。この揚合には、諸個

人の効用を総計して肚會的厚生を規定することが可能となる。

 以上の効用の可測性をめぐる論詮は、もとより古典的主観債値読的な効用概念への復蹄を意味するものではな炉。

又その援充を意圖するものでもない。その論詮はあくまでも、論理的實謹主義の立揚から與えられるものである。

                      ラ

 (1) その効月の公理系は次のように與えられる(仰℃鳴一Uー雀》℃マひ嵩1ひNωし。要素%Uω,..の集合をUとし、Uは線型

  (全)順序集合である。吹の關係が満される。黛ま+(一lR)露9ま玖e↓虞撚R虞+(一ー黛y§玖ミ鴇e↓国餐一黛ま+(一19》鴇邑

   (但し符號同順y9蓉+(一-貸)G日(一1R)e+黛8R偽虞十(一ー届》)+(一-黛》”N虞+(一ーN)e(但しNHR鳥)。 この公理系の下

  にも口「(ま)という實敷が封慮し、この鋤慮は、、H繭、(、)“e亀+§となる。郎ち適當な指標をとれば、他の指標はその線型

  .函敷として興えちれることとなる。それは効用の可測性を意味する。この公理系で重要な貼は、各財に確率的加重を附した合

  成財も選揮の封象となリ得るということである。しかしこの効用可測性の論鐙は、著者蓮も認めているように未だ試論的なも

  のである。

                            (1)

       附鋒ニ プール束と分配束における方程式

 ここではブール束の方程式をブール環の上の方程式と考えよう。ブール束において、十・の結合を雛+璽”(紬)艮)

     均衡決定の諸條件                                    一〇}

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     一橋大學研究年報 経濟學碑究 -                            一〇二

((載、)健)も藁”聴)健と定義すれば、この十・に關して可換環となる。更にこの環において霧等律R“Rにが成立し、

聖一H融となる主軍位元が存在する。このような可換環を特にブール環という。逆にブール環を與えれば、融.健”載)撃

融+健+R蔓“聴(㌣と定義することにより、この)(に關してブール束となる。從つてブール束の方程式はブール環の

方程式とみなして差支えない。プール環においては、更に次のような關係が成立する。

 先ず一元方程式について考察しよう。ブール環を五とし、五に属する有限個の既知元素と未知元素との間に+・を

有限同施して作られる方程式は、常に

     、(醜)”§+ぴ”o                           (馨い)

の形で表わされる。これはブール束でいえば、のとブール束の有限個の既知元素の間に)(”を有限同施して作られ

る方程式は常に、

     (9)聴)((ぴ)融、)“O                             (麗」)

となることに相當する。(置」)はブ;ル環では§+騨、“oとなるが、融、睡一+醜より(9+ぴ)§+③”。となり、從

つて方程式(轟」)を考えれば十分である。叉、ヌ絵)”ρ、(聴)”。という蓮立一元方程式を考えれば、、(鷺)+象融)

+、(碧)述(嬉)”oとなり、これは叉(犀」)の方程式に蹄着する。逆に方程式n(葺』)を、、(融)+執聴)+、(鷺ざ(駐)”o

という形に礎換する時は、、(聴〉(、(&)十激硝)十.、(包ぐ(聴))眸oより、(醜)十’、(融)憾(&)十、(罷)。ヌ翁)擁oとなり、論十聴

瞳oより>鷺)旺。となる。同様に涼聴)”o。從ってこの揚合には(琴い)を考えれば十分である。

 (遷」)の可解條件を導出しよう。、(o)“辱o+守一貸、(一)四R+ぴより9”9十ぴ+ぴ”、(一)+、(o)、從つて方程式

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(褒チい)は、(じ十㍉(o))護十、(o)”oと表わされる。故に(冥粋Q)が解ける爲の必要條件は、(、(一)十、(o)+一×(、(一)

十、(O))§十、(O))“Oより、

     、(一)く(O)”O                              (渾・頓)

の威立することである。逆に(犀娠)が成立すれば、鷺』決o)とおけば、(、(一)+、(o)).ρ、(o)+、(o))日、(一).、(o)+、(o)

ナ、(。)Hoとなり、明らかに解ける。帥ち(謬己)は十分條件、從つて(轟』)が解ける爲の必要且十分條件は(附己)

の威立することである。根の一般形は次のようにして求められる。Q(一)ナ、(o))§+、(o)“oの爾邊に諮を加えて、

(>じ+、(o)§+&+、(o)踊疑とすれば、聴”(、(一)+、(o)+一)§+、(o)となる。今根の集合を五とし、(、(一)+、(o)

+一)ま+,、(oy需匡の集合をBとすれば、明らかに匡撚駒、又

     a”(”、(一)+、(O)+ド)§+、(O)                        (照轡ひ)

として、これを(謬」)に代入すれば、(’、(一)十、(o)×、((一)十。洪o)十一)§ナ、(o))十、(o)”oとなり、明かに根とな

る。卜從つて認撚冨、邸ち関目匡。故に(琴ひ)が一般解である。

 次に多元方程式について考察する。五に周する有限個の既知元素と未知元素3…}避の間に+・を有限同施して

作られる方程式を

     、(3…も霜)“0        9                    (琿褐)

とする。連立多元方程式については、一元方程式の揚合と全く同様にして、これを一つの多元方程式にまとめること

ができる。今(犀』)を翫について整頓すれば、

     均衡決定の諸條件                                 一〇三

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     一橋大學研究年報 経濟學研究 【                         一〇四

     、(3:.}9)』》(§】:・遍醤).§十》(謬】…}3)”O                 (照轡oo)

となる。(黛夢o。)の可解條件は、一元方程式の揚合と同様にして、(一る讐」鼎Y、(ρぎ…}穿)目oの成立することで・

あり、更にその鈎についての可解條件は、、(ど.ど参…}畢)も(oレる。・}…}§)く(どρ蟄-・℃穿)く(ρP3…}3)Ho

が成立することである。以下同様にして、(犀ヤ)が可解である爲の必要且十分條件は、

     歳、(…”ρ斜…)”o                            (琴℃)

     ぼき

となる。くxに函数記號の中は、0とーを%個の位置に並べることを意味し、又π凶はその重複順列のすべてを・に

ょって結合することを意味している。一般解は次のようにして求められる。(琴ゆ)を得る前の可解條件式を瞬に關し

て整頓すれば、一元方程式の揚合と同様

     (、~、(…o.-一…)+、~、(…o…?・一…))・き+嵩、(…o…o・-一…)”o        (募一〇)

     bp醤1一     h   bo鐸ム。    帖        bo養∴     酬

となる。黛、(-6・。・一,。山…)の意味は、函勲記號内の.2番目の位置は常にーであり、他の31一個の位置に適當にo

   ミム      ゆ

ーを並べる重複順列のすべてを形式的に・によつて結合することを表わす。他の記號の意味も同様。これを解けば、

     §”(ミρ、(.:。…一…一…)+藁、(…o・:o…一…)+一)・β+旨、(…o・-o…一…)      (犀■昌)

      “⇒昌↓     帖     峯↓.    帖          唱ー一     帖

脇は孟に島する任意不定元。これが多元方程式(葺刈)の一般解である。

次に分配束における方程式について考察しよう。分配束の表現論において次のことが知られている。即ち、

 定理、分配束の元素を疎双封素イデヤルを胚、双勤素イデヤル全髄の集合をEとあらわし、翁↓肉(包”倉皇

鷺働黛.雨}という封慮を考えれば、これは束伺型封感をなす。これにより分配束且は羅集合夢のある部分束と同型

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 である。同型の束は同一のものとみなすことにより、分配束五は塑のブール束の部分束となる。

これに基いて分配束の方程式を考察する。餌の爲すブール束(ブール環)を五とする。分配束五の方程式を、(聴)”庶聴)

とすれば、これは必ず、

     (R)聴)(ぴ月(“)緯)(匙                              (犀。旨)

と表わすことができる。これをブール環五の方程式ど考えれば、

     (R十a.ぴ十〇十(.亀).聴十ぴ十亀日O                          (琿。器)

となる。分配束且で解ける爲には、ブール環五でも解けなければならない。(琴嵩)がブール環で解ける爲の條件は、

(犀己)により、(9+95+。+。或+ぴ+&Y(ぴ+匙)”O。これを展開してぴ+&+“5+R義+。5点+9義ふ旺O。更に束

の記號に改めれば、

     (o)守)(亀”㎝((9)亀)                             (琿口鼻)

これが方程式(琿」N)がブール束Lで解ける爲の必要且十分條件である。しかもそれは又分配束且で解ける爲の必要

條件でもある。逆に(窯チ弍)が成立すれば、融”(o)ぴ)(亀”ぴ((9)亀)とおけば、(謬,三)の左邊は(9)((o)ぴ)(

ら)(ぴHぴ((R)亀)、右邊は(。)((ぴ((9)亀)))(亀目亀((。)ぴ)となり、明かにこの影は根となる。即ち(琿・三)

は、(禦チ一N)が分配束且で解ける爲の必要且十分條件である。その一般解は次のようにして得られる。ブール環の上

で考えれば一般解は聴H(R+95+。+。義+一)ま+劔+亀となるが、これは叉ブール環となる。これと分配束丑の共通

集合が方程式(葺旨)の分配束且における一般解である。これは勿論(葺猛)が成立する揚合には、室集合とはな

     均衡決定の諸條件                   δ五

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一橋大學研究年報 経濟學研究1一

一〇大

らない。

 多元方程式の揚合も全く同様である。分配束五の上の方程式を

     、(3…}3)口泳3…}§)                     (琴蹟)

とし、これをブール環五の上の方程式として解く。その可解條件及び一般解は、(葺oy(琴口)にょって與えられ

るが、それを分配束且の上の條件式に表現しなおせばよい。又、連立方程式についても、ブール環における一つの方

程式に愛換して考察すればよい。

 (1) ブール束の方程式については、⑥・鋤・③薯●ま†一訟参照。その可解條件及び一般解は山田欽一教授によつて與えら

                 (   (

  れた。筆者はそれを分配束の方程式に蟹張した。

       引用 文献

 (一)》畦9<こ’”」⇒匙§c・帖§皇罫“客ぎ箏§“基。、。身G。G・♂匙§§ミ。s§§誉㏄}串象s§ξ。・亀、ぎ認。蕃9遷、趣馨隠。。嬉§㌍§

  一旨簿§轡ミざ&鱒&酬。。§。。い一3ご謹)●軌81鴇Nし

 (N)     ”望鼠匙“暮魯恥§“き疑蔑匙§胸窪誉3G鵠。

 (Φ) 更詩プo控ρ”疑§8騨器ミ一一ωダ8こ6命uNロ噺a‘這轟o。●

 (轟)oo葺き“鋭距”寒器恥ぎぎ旨こ“。。特試蓉愚鵠§性婁ミδ§警登性隷ミ爵翁善ぎ塞一ぼoo伽‘一〇。いo。}ぎ薯〇一一〇ひ山こ

  一800,モP蚤戴ロ雲漫羅o

 (U) UOびげい罫”頴ミ魯&8§§ミ§&呂冨ミ諄§一馨&‘一〇ωざト。一一山03一雲9函郎装轍。

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