独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構2020年1月23日調査部 竹原 美佳

インドの天然ガス・LNGを巡る動き

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免責事項

本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構（以下「機構」）が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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本日の報告事項

１．インドにおける天然ガスの位置付け

２．インドの天然ガス供給構造

３．最近の天然ガス・LNGを巡る動き

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インドのエネルギー消費

インドのエネルギー源別消費（2018年,%）石油換算8億900 万トンBP Statistical Review of World Energy

石炭

56%石油

30%

天然ガス

6%

原子力

1%

水力

4%再生可能エネルギー

3%

インドのエネルギー消費は経済成長に伴い過去10年で２倍に増加。国内に豊富に賦存する石炭に大きく依存。輸入比率は石油8割、天然ガス5割、石炭3割。

BP Statistical Review of World Energy

0

200

400

600

800

1,000

2008年 2018年

石炭 石油 天然ガス 原子力 水力 再生可能エネルギー

インドのエネルギー源別消費（2008・18年、石油換算百万トン）

5

インドの天然ガス用途（肥料、発電）

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2010年 2018年

石炭 石油 ガス 原子力 水力 バイオ 風力 地熱 太陽光(PV）

TWh

インドの分野別ガス消費（2017年），出所IEA

インドの電源別発電量（2010年・2018年）出所：IEA

天然ガス用途の4割は化学原料（肥料）、ついで発電が3割。家庭向けの都市ガス普及拡大が優先的に行われている。インドの発電電力量は経済成長に伴い過去10年で1.6倍に増加。国内天然ガス生産減退、インフラ整備の不足に伴い、天然ガスが発電量に占める比率は2010年の12%から2018年は4%に低下（発電設備容量の7%、ただし平均稼働率は1割未満と低い）。

化学原料38%

発電28%

工業23%

道路輸送5%

商業用2%

家庭用2%

その他2%

インドでは電源のクリーン化が進展。2018年に原子力・再生可能エネルギーは設備容量の33%、発電量の21%

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インドにおける天然ガスの政策的な位置付け

経済成長に伴う需要増対策

石油・ガスの供給強化

天然ガス消費2024年8～9%、2030年15%24時間365日の電力供給

低炭素化、大気汚染対策

GDP単位あたりの温室効果ガス削減

エネルギーミックスの低炭素化

“National Clean Air Program”

天然ガス輸入・輸送インフラの整備

幹線パイプライン増設、LNG受入基

地増設、都市ガス入札

天然ガス利用政策第1グループ：家庭、輸送（CNG）、肥料

製造、LPG設備、ガス火力（パイプライン接

続）

第2グループ：産業（鉄鋼、精製石化）、

工商業その他

経済成長に伴う需要増大、低炭素化・大気汚染への対応

各種資料に基づきJOGMEC作成

7

インドの大気汚染と天然ガス需要

・インドの大気汚染は深刻。世界の大気汚染が深刻な都市の上位を占める。・2019年1月、インド政府は、懸念が高まる大気汚染問題に対して国家レベルで取り組むNational Clean Air Program（NCAP）を発表。・NCAPは、対象期間が2019年から2024年までの5年間で、2024年までに粒子状物質（PM）の全国平均を2017年のレベルから20%～30％削減する目標を設定。・インドではガス購買力に加え需要家（発電プラントを含む）へのパイプライン整備の遅れがLNG受入基地の低稼働率や需要制約要因となっている。・インド政府は天然ガス使用の増加による大気汚染対策に力を入れており、ガスインフラの整備を進めている。・2019年11月、プラダン石油相は2024年までの5年間で石油・ガスインフラ投資に1000億ドルを費やすと表明。このうち600億ドルは天然ガスパイプライン、LNG受入基地、都市ガス配給ネットワークに投じる計画。

NCAPの天然ガスの需要への影響について、インドの天然ガスへの転換は民

間投資主導であり、同じく大気汚染対策で石炭から天然ガスへの転換を政府主導で進めた中国に比べ時間を要すると思われる。

8

参考：インドの大気汚染と都市部の交通渋滞

世界の大気汚染（2018）出所：WHO Global ambient air pollutionWHOガイドライン：Annual mean値PM2.5:10㎍/m3、PM10：20㎍/m3

デリーにおける交通渋滞2019年11月、筆者撮影

写真：デリー市街（黄色の小型自動車はCNG）2019年11月、筆者撮影

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インドの天然ガス供給構造

インド石油省傘下の石油計画・分析室（PPAC）他各種情報に基づきJOGMEC作成

供給 輸入 輸送

・国産ガス 47%・輸入ガス 53%（LNG）

・LNG受入基地操業中5基地、受入能力計3,630万t（建設中・計画中基地複数あり）

・幹線パイプライン1.7万km・都市ガスユーザー数

575万件・CNGステーション1,900（CNG車3,500万台）

・国営石油会社ONGC、Oil India（OIL）他・民間Naraya Energy*、Reliance他・外資BP、Shell、Vedanta**他

*旧Essar Oil**2017年4月Cairn India買収

・国営石油会社Petronet（Oil and Natural Gas Corp<ONGC>、Indian Oil Corp<IOCL> 、GAIL、Bharat Petroleum<BPCL>のLNG JV）

・地方政府系Gujarat State Petroleum Corporation（GSPC）

・民間企業H-Energy，Swan，Adani他・外資Shell、MOL

【幹線パイプライン】GAIL、Reliance、GSPC他【都市ガス】国営石油会社GAIL、IOCL他地方政府系ガス会社Mahanagar Gas他民間Adani Gas他

10

インドの天然ガス供給

27.5

58.1

-

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

2000

年

2001

年

2002

年

2003

年

2004

年

2005

年

2006

年

2007

年

2008

年

2009

年

2010

年

2011

年

2012

年

2013

年

2014

年

2015

年

2016

年

2017

年

2018

年

インドの天然ガス需給（2000～2018年,BCM）

天然ガス生産 天然ガス消費

・主な生産者は国営石油会社ONGCとIOL・天然ガス生産の7割が海洋（主に西部沖合Mumbai Basin）。東部沖合KG-D6 Field等の開発が進むが需要増加をまかなえる規模ではない。・輸入比率は5割（全量LNG）2018年

は2,242万トンを輸入（輸入の9割は長期契約）。世界4位のLNG輸入国。

BP Statistical Review of World Energy

インドの天然ガス生産事業者出所：PPAC

ONGC75%

Oi l India8%

その他民

間・JV17%

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インドの主な天然ガス輸入相手先（2018年）

GIIGNLに基づき作成

内田さんに地図作成依頼

輸入は全量LNG、長期契約に基づくカタールからの輸入が5割

12

参考：世界のLNG輸入

日本

26%

中国

17%

韓国

14%

インド

7%

台湾

5%

スペイン

3%

トルコ

3%

フランス

2%

パキスタン

2%

イタリア

2%

メキシコ

2%

英国

2%タイ…

クウェート

1% チリ

1%

インドネシア

1%

その他

10%

世界のLNG輸入（2018年）3億1,380万トン出所：GIIGNL

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インドのガス輸入・輸送インフラ(1)パイプライン

出所：GAIL資料に加筆

【幹線パイプライン】・操業中1.7万ｋｍ（うちGAILが7割、1.2万kmを操業）

・パイプラインは国産ガスへのアクセスがある西岸中心で、東岸への整備は住民の反対などにより遅れている。・政府は2023年までに3.5万kmの建設を目指している。

・政府はガス部門の市場化（平等な競争、パイプライン建設・利用促進）の観点からGAILのガスマーケティング・輸送部門の分割を検討していたが、LNGサプライヤーの承認が得られないことを理由に棚上げとなった模様。

ガス購買力に加え需要家（発電プラントを含む）へのパイプライン整備の遅れがLNG受入基地の低稼働率や需要制約要因に

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参考：GAILのパイプライン事業

GAILは2004年以降、第三者向けにパイプライン輸送サービスを提供、ガス取引企業や消費者が同サービスを利用。2018年

からオンラインサービスを展開（キャパシティとタリフを公開）

GAILhttps://gailebank.gail.co.in/goga/NewApplication/index.html

GAILのパイプライン輸送能力・タリフ （1米ドル71ルピーで換算）パイプライン番号は左の地図と整合

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インドのガス輸入・輸送インフラ(2)LNG受入基地

【稼働中】

事業者（出資者）受入能力

（万トン/年）受入開始

1,000 2004

<Phase2 Expansion> 500 2016

<Phase3 Expansion> 250 2019

Shell100% 500 2005

Ratnagiri Gas & Power (GAIL 32.86%, NTPC 32.86%, MSEB

17.41%, その他金融機関等16.87%)500 2013

<Phase2 Expansion> 500 計画中

Petronet LNG

（GAIL、ONGC（Oil & Natural Gas Corporation Ltd.）、IOC

（Indian Oil Corporation Ltd.）、BPCL（Bharat Petroleum

Corporation Ltd.）各12.5 %、ENGIE 10% ）

500 2013

Gujarat State Petroleum Corp（GSPC） LNG、Adani group 500 2018

Indian Oil, TIDCO 500 2019

基地名

グジャラート州DahejPetronet LNG（GAIL、ONGC（Oil & Natural Gas Corporation

Ltd.）、IOC（Indian Oil Corporation Ltd.）、BPCL（Bharat

Petroleum Corporation Ltd.）各12.5 %、ENGIE 10% ）

ケララ州Kochi

タミル・ナドゥ州Ennore

マハラシュトラ州Dabhol

グジャラート州Mundra

グジャラート州Hazi ra

天然ガスリファレンスブック他に基づき作成Mundra基地は企業間係争により完成後未稼働

【LNG受入基地】・操業中5基地（受入能力計3,630万t/y）Ennore基地を除き西岸に集中。・Dahej基地はフル稼働だが稼働率2割以下の基地も存在。・Mundra受入基地（500万t/y）は企業間の係争により完成後未稼働（20年1月22日カタールよりコミッショニ

ングカーゴ受入）。・Swan Energyと商船三井のJafrabad FSRU*（500万t/y）は20年下期稼働予定。

・東部オリッサ州で建設中のDhamra受入基地は21年完成予定。

*浮体式貯蔵・再ガス化設備

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民間H-Energyの野心的なガス事業計画

・ムンバイの不動産大手HiranandaniGroup 傘下のH-Energyは大都市ムンバイのある西部マハラシュトラ州でJaigarh （ジャイガー）FSRU（受入能力400万t/y）を建設中。2020年1Qにコミッショニングを予定。

・東部ではアーンドラ・プラデシュ州カキナダでFSU（18万6000m3）と陸上再ガス化設備で構成されるLNG受入基地を2022年末完成を念頭に計画中。

・さらに東部の西ベンガル州コルカタ近郊に位置するKukrahatiに陸上2次基地を建

設し、北東部からバングラデシュにまたがるLNG供給拠点整備を目指すとしている。

出所：H-Energy

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インドの輸入・輸送インフラ(3)都市ガス配給網

・現在都市ガスは首都デリーや工業都市ムンバイのある西北部（グジャラート州、マハラシュトラ州）で主に利用（都市ガス需要家の9割が上記3地域に集中）。・規制機関RNGRBが普及エリア（GA：Geographical Area）を設定し、2019年3月までに計10回都市ガス普及入札を実

施。入札への参加は地場企業中心（デリーなどでLPGからパイプラインガスへの転換が進んでいる。）・10thラウンドまでの整備完了後、国土の53%、人口の70%に天然ガスが普及する計画。

都市ガスパイプライングリッドおよびGA（Geographical Area）出所: 石油類・天然ガス規制機関（PNGRB）

都市ガス配給網整備の目的はクリーンな調理用・輸送燃料の普及だが工業・商業需要家開拓にも寄与すると期待されている。

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参考：インドの調理用ガスとしてのLPG普及

2016年以降、モディ政権は貧困層への近代的エネル

ギーへのアクセス、大気汚染対策を目的とした調理用ガス（LPG）の供給政策を展開。・これによりインドのLPG消費、普及率は大きく拡大（石油省傘下PPACによると2019年10月現在家庭調理用のLPG普及率は96.5%）。・2018年のLPG消費は約2,460万トン。輸入比率は5割。・インドは中国に次ぐ世界2位のLPG輸入国

PPAC、Argus他に基づき作成

中国、インド、日本、韓国のLPG消費

-1,000

1,000

3,000

5,000

7,000

中国 インド 日本 韓国

生産 輸入 輸出他万トン

LPG普及キャンペーンポスター

LPGボンベを満載したトラック

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出所：PPACに基づきJOGMEC作成（2019年、2020年は報道等に基づく見通し）

【2019年のLNG輸入】2019年1～11月のLNG輸入は前年同期比7%増（150万t増）の2,200万t。前年（14%増）に比べ伸びが鈍化、経済減速が影響か。GDP実質成長率：17FY7.2% →18FY6.8%→19FY4.8%（見込み）

2019年通年は前年比8%増の2,400万t程度の見込み。

【2020年のLNG輸入】低価格と受入基地の立ち上がり（Mundra、FSRU2件）により、前年比8%増の2,600万ｔ程度の見込み。

最近のLNG輸入、調達を巡る動き ①輸入

-5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0

5

10

15

20

25

30

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年

LNG輸入（左軸,MMt) 成長（右軸,％）

インドのLNG輸入推移（2013～2020年）

20

最近のLNG輸入、調達を巡る動き ②調達

（１）Petronet、既存のLNG長期契約再交渉の動き2019年12月、インド最大のLNG輸入事業者Petronet（国営ONGC、GAIL、IOCL、BPCL出資）はカタールとのLNG長期契約見直し交渉へ。IHS Markitをコンサルタントとして指名し契約見直しについて交渉中と報じられた。（カタールとの長期契約量は750万t/年、2015年にも契約条件見直し）

（２）Petronet、米LNG大量購入で覚書2019年9月、Petronetは米Tellurianと覚書（MoU）に署名。Driftwood LNGプロジェクト（フェーズ１：1,660万トン）から年最大500万トンのLNGを調達する意向。Driftwood LNGはPetronetとして初の米国LNG購入。両社は、2020年3月末までに最終契約の署名を目指している。

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参考：主なLNG長期契約

天然ガスリファレンスブック等に基づき作成Main Pass Energy Hubの契約（500万t）は未供給、Driftwood LNGとのMoU（500万トン）は含まず。

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

2019202120232025202720292031203320352037

インドの主なLNG契約（万トン）

RasGas II、Ⅲ Gorgon（Exxon) Gorgon（Exxon追加) Main PassEnergy Hub

Shell Portfolio

Sabine Pass LNG（T4） Cove point Gasprom Portfolio Cameron

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参考：インドのガス価格制度

国産ガス価格

政府統制半年毎に見直し

国産ガス価格（上限）

大水深や高圧高温など開発難易度の高いフィールド（新規）対象

政府統制

代替燃料（石炭・重油・ナフサ）輸入価格の加重平均により価格上限（半年毎に見直し）

輸入LNG 統制なし

出所：PPAC、商業産業省貿易統計に基づき作成

0

2

4

6

8

10

12

2016

年4 月

2016

年6月

2016

年8月

2016

年10

月

2016

年12

月

2017

年2月

2017

年4月

2017

年6月

2017

年8月

2017

年10

月

2017

年12

月

2018

年2月

2018

年4月

2018

年6月

2018

年8月

2018

年10

月

2018

年12

月

2019

年2月

2019

年4月

2019

年6月

2019

年8月

2019

年10

月

2019

年12

月

2020

年2月

インドガス価格（2016年4月～2020年3月，ドル／MMBtu）

インドガス価格上限 インド国産ガス価格 インド輸入LNG価格

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企業のガス事業への投資 ロシア企業

Novatek2019年9月、ロシア NOVATEK は、インド Petronet LNG、 H-Energy とそれぞれ覚書

（MoU）を締結した。Petronet LNG とのMoUは、 NOVATEK のポートフォリオからインド市場へのLNG供

給引き渡し、 Petronet LNG による NOVATEK の将来のLNGプロジェクトへの投資、インドでの自動車燃料としてのLNG充填ステーションおよびLNG燃料トラックへの投資を含む共同販売活動を想定している。

H-Energy とのMoUは、長期のインド向けLNG供給、H-Energy のLNG受入基地およびNOVATEK のLNGプロジェクトへの投資、 NOVATEK ポートフォリオからインド、バングラデシュ、その他市場の最終顧客へのLNG・天然ガス販売のための合弁事業設立を想定している。

“NOVATEK Signs Memorandum of Understanding with Petronet LNG”（NOVATEK, 04 September 2019）“・H-Energy signs LNG Cooperation Agreement with NOVATEK”（H-Energy, 04 September 2019）

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企業のガス事業への投資 メジャーズ

Total2019年10月、TotalはAdani Groupのガス供給とLNG受入基地への投資を行うこと

を発表した。Adani Groupは都市ガス供給事業の他、Dhamra・Mundra受入基地に出資している。TotalはAdaniの株式37.4％を取得。両社はインド、バングラデシュでLNG販売を行う50：50の合弁事業を設立する。Total はAdani Gas Limited に対して、 LNG・ガス販売のノウハウと、LNG供給を提供するとしている。

“Total expands its strategic partnership with Adani to supply and market natural gas in India” （Total Oct14,2019）

ExxonMobil2019年10月、ExxonMobilはONGC、IOCLと相次いでMoUを締結した。ONGCとは

深海フロンティアを含む探鉱開発に関する共同スタディの実施と開発の協力についてMoUを結び、IOCLとは“Affordable”なコストによるガスの供給を検討する。

“ExxonMobil expands LNG collaborations in India: Allies with Indian Oil to explore growth opportunities”（ExxonMobil , Oct14, 2019）

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インドの天然ガス需給見通し（IEA)

020406080

100120140160180200220

2018年 2020年 2022年 2024年 2025年 2030年 2035年 2040年 NEP2040

生産 需要BCM

IEA Gas2019 IEA WEO2019

インドの天然ガス需給（2018～2040年）出所：IEA Gas2019、WEO2019（公表政策）、インドNITIエネルギー政策（NEP）草案

・IEA “Gas 2019”によると、インドの天然ガス需要は2018年から2024年にかけて年平均6.5%増加（7Bcm増加）し89Bcm（LNG換算6,500万ｔ）に達する見通しである。・IEA“WE02019”公表政策（SPS）シナリオによると、需要は2018年から2040年にかけて年平均5.4%増加（133Bcm増加）し196Bcm（LNG換算1億4,300万t）、需給ギャップは6割の114Bcm（LNG換算8,300万ｔ）に拡大の見通し。

*TAPIパイプライントルクメニスタン～アフガニスタン～パキスタン～インド総延長：1,848km（うちアフガン～インド1,634km）輸送能力33BCM/y（1期11BCM/y)供給源：トルクメニスタンGalkynyshガス田総工費：150億ドル（1期50～80億ドル）供給開始見込み：2023年12月（1期）GAILがTapi Pipeline Co. Ltd. (TPCL)に5%出資

国産ガスの増産は限定的であり、輸入パイプライン計画（TAPI*他）はファイナンス、治安や主要

購入者パキスタンとインドの関係などもあり実現には紆余曲折が見込まれる。当面は輸入LNGが需給ギャップを埋めることになると思われる。

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インドの電源別発電量見通し（IEA)

5% 4% 4%3% 4% 4%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

2017年 2018年 2025年 2030年 2035年 2040年

石炭 石油 ガス 原子力

水力 バイオ 風力 地熱

太陽光(PV） CSP Marine 天然ガス

TWh

インドの発電（2018～2040年）出所：WEO2019（公表政策）

・IEA“WE02019”公表政策（SPS）シナリオによると、 インドの発電量は2018年から2040年にかけて年平均4.8%増加。2.8倍の4,581Twhに増加の見通し。ガス火力発電量は倍増するが、発電量に占める比率は4%前後で推移。・政府は発電需要増加への対応と大気汚染への対策からで発電における天然ガスの利用拡大を図ろうとしており、2025年までにガス火力発電（発電設備容量計約25GW）の平均稼働率を現在の7.5%から20%に増加させる野心的な目標を設定しているが、具体的な方策は示されていない。

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まとめ

・インドは天然ガスの潜在的な需要は高いものの、購買力に加え需要家（発電プラントを含む）へのパイプライン整備の遅れがLNG受入基地の低稼働率や需要制約要因となっている。

・しかし政府は大気汚染対策や低炭素化の観点から天然ガスの利用拡大を図ろうと努力しており、幹線パイプラインや都市ガス配給網の整備が徐々に進んでいる。

・政府はガス部門の市場化（平等なアクセスによる競争、パイプライン建設・利用の促進）の観点から幹線パイプラインの7割を握る国営GAILのガスマーケティング・輸送部門の分割を検討していたが、LNGサプライヤーの承認が得られないことを理由に棚上げとなった模様である。・2019年のインドのLNG輸入は年8%増の見通し。2020年も低価格と受入基地の立ち上がりにより同様の成長が見込まれる。インド企業はLNG長期売買契約の見直しや米LNG調達によるコスト低減を図ろうとしている。

・成長を続けるインドの天然ガス市場開拓を見据え、メジャーズやロシア企業が天然ガスの開発から小売りおよび関連事業への協力あるいは投資を検討している。・IEAによると2040年にかけてインドの天然ガス需要は増加が続く。国産ガスの供給は限定的であり、需給ギャップは6割（LNG換算8,300万トン）に拡大する見通しである。輸入パイプライン計画は課題があり、当面はLNGの輸入が拡大する見通しである。