media literacy part 14

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メディアリテラシー 14

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Page 1: Media Literacy Part 14

メディアリテラシー14

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• 個人レベルの特性による影響• どのような人間がメディア産業に従事しているか• その個人の特徴とは何か

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• ジャーナリズムの建前上は、報道に個人的主観を差し挟む事は御法度であり、客観的且つ公平中立である事が記者の行動規範• しかし、ニュースであれ個人的な好みが色濃く反映されている• この事は実証的研究でも確認されており、個人的な特性・好み・価値観がニュースの価値判断・取捨選択・テーマの決め方にまで影響を及ぼしている

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• 通信社からの記事はティッカーと呼ばれるプリンターから山のように届く• その量は1日に新聞に載る記事の何十倍もある• この様に膨大なニュースソースは「極めて個人的な価値判断」によって取捨選択され、選ばれた記事のみが新聞に掲載され、テレビのニュースになる

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• メディア業界の人々• 日本新聞協会には• 新聞社104社• 通信社4社• 放送22社• の計130社が加盟している(2014/4/1現在)

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• 2014年の資料では従業員数と記者数について130社に調査を行い92社が回答している• 記者について見れば圧倒的に男社会である

回答社数 従業員合計 記者数 女性記者数 女性記者比率

92 42,282 19,208 3,134 16.3%

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• 前述の通り、日本の大学にはジャーナリストを養成する学部は非常に少ない• 2014年現在、日本には文科省の資料によると• 国立大学:86• 公立大学:92• 私立大学:603• の合計781大学がある

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ジャーナリズム教育を提供する教育機関

• 上智大学文学部新聞学科• 日本大学法学部新聞学科• (英訳した時にJournarismとなる学科)

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• 東京大学情報学環・学際情報学府• 慶応大学メディアコミュニケーション研究所• この2機関は全学部の2,3年生を対象に研究生を募りジャーナリズム教育を行っている• また、東大は他大学の学生も研究生として募集している

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• 同志社大学社会学部メディア学科• 立教大学社会学部メディア社会学科• 早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース• 北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院(コースではなく「ジャーナリズム論」が開講されているのみ)

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• 駒沢大学大学院グローバル・メディア・スタディーズ学部グローバル・メディア学科

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• と、大学でジャーナリズムに関する教育を行っているのは僅かこれだけである• しかも、殆どが「ジャーナリズム学部」や「ジャーナリズム学科」では無く、数ある講義の中の幾つかとして、ジャーナリズムに関する教育を行っている程度

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• 従って、入社してから所属する会社流のジャーナリズム教育がされる為、日本の報道メディアに携わる記者は、社風や流儀に大きく影響されている• これらの特性はメディアのコンテントを形成する一要因ではあるが、個人レベルの要因は最下層にある為、強い影響力は持っていない

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• 報道メディアのルーティン• メディアコンテントの制作については概説してある• 視点を変えて報道メディアのルーティン(日常の取材や制作作業)の根本となる「ニュース価値」について考える

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• 事件事故や社会問題であるか否か、またニュースとして扱う程度を決定するのがニュース価値• ニュース価値は普遍のものではないし、その国の文化の違いも反映する• ニュース価値は• 人々が興味があると思う事• 知る事が大切だと考えるもの• で決まる

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• ニュース価値を構成する要素は• 顕著さ・重要性• 関心ごと• 対立・抗争• 異常性• タイムリー• 地理的近さ• である

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• これらのニュース価値を俯瞰すると「いいこと」はニュースになりにくい事が判る• いずれかの要素にも該当しなければニュースにならないか、なったとしても非常に小さな扱いになる• ニュース価値そのものに偏向をまねく要因が内在している• また、日本のニュースは海外での事件・事故に日本人が無関係であると報道しないと言う特性がある

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• ルーティンに縛られるテレビニュース• テレビニュースはルーティンの影響を強く受けパターン化される傾向が強い• 放送時間の制限・技術的な制約・「絵」が必要な事から、取材を始める前から「枠」に収まるようにニュース作りを考える必要がある

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• 「枠」に収めるとは、ニュース(に限らずテレビ番組)は秒単位で決められた番組構成であるので、その構成に合わせる事• 多くのニュースは40秒と1分10秒が多い• この中にアナウンサーの口上・現場からの中継映像・資料映像・アナウンサーによるまとめが入れられる規格商品である

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• 規格商品である為、テレビのニュースは単純化される傾向がある• 政治的な問題や社会的問題は非常に複雑な背景と要因がある• 原因と結果と言う単純な図式ではなく、様々な要因が複雑に絡み合って社会問題や事件に発展する• 短時間に判りやすく伝える為、話を単純化する必要がある

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• 「AのせいでBが起きた」と結論づけられる偏向となって現れる• 視聴者側にすればテレビニュースは短くて単純な構造なので簡単に理解できるが、物事の実像を正確に理解できないばかりか誤解を与えてしまう事もある

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• 映像の偏重• 映像が無ければニュースにならないと言う価値観が偏向を呼び込む• テレビは「絵」になる事をニュースにする• 映像が無ければニュースにならないし、映像が有っても「絵」にならなければニュースにならない

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• ニュースの映像はヤラセでもない限り「事実」を撮影したものだが、そのまま盲信するのは問題がある• 映像は撮影対象のほんの一部を切り取ったものに過ぎず、視聴者に与える印象はカメラのアングルや編集でどうにでもなる

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• 例えば、湾岸戦争時、目標の軍事施設だけを正確に破壊する米軍機によるピンポイント爆撃の映像が繰り返しテレビで流れた• 実際には成功例は少なく、またピンポイント爆弾の使用も少なく通常爆弾が多用され民間人の死傷者も出た• これは米軍による情報操作の例である

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• メディア組織内部的な影響• 報道メディアも企業である以上、内部での序列が厳然とある• 報道メディアでの序列は軍隊の様に厳然として、一つでもランクが上の人には「服従」しなければならい• どんなに良い記事を記者が書いても、組織が掲載しないと決めれば掲載されず、日の目を見る事は無い→国民の目に触れない

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• 支局の記者は直属のデスクがどう判断するかを念頭に取材執筆する• 支局デスクは本社デスクがその記事をどう判断するかを念頭に記事の修正や追加取材を命じる• 本社デスクは直属の部長や、編集を行う整理部デスク、更に上の編集局長、主筆はどう判断するかを気にしながら、記事を採用するか没にするか、加筆修正するかを決める

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• ニュース(記事)が通過していくどの段階でも報道メディアのトップの意向が常に考慮されながらニュースが選ばれ加工されていく

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• 報道メディアの方針と論調• 個人の記者がどう考えていようと、取材ルーティンがどのようなものであろうと、組織的に決められるのが各報道メディアの論調である• テレビの場合、許認可事業であり放送法で「中立」が定められている為、旗幟鮮明にした論調はあまり打ち出されない• 報道の自由が最大限に保証されている新聞の場合には制約はない

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• 系列• はっきりメディアコンテントに現れるのが「系列」の影響• 日本の報道メディアは新聞とテレビが同一グループにあるか、親子関係や提携関係を持っている• 「内」と「外」の意識が非常に強い日本社会では、同じ系列の「内」と他系列の「外」に対する対応が、公正を標榜する報道メディアでも大きく異なる

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• 2002年5月、テレビ東京の記者が窃盗団の一員から事前に犯行情報の提供を受け、盗みに入る瞬間や逮捕の様子を撮影してニュース番組で放送した• 情報提供者には現金を渡していた• この事件が表面化した後の新聞記事に身内意識と敵対関係が表れている

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• テレビ東京は日本経済新聞社が筆頭株主のオーナーである• 日経の記事では事実関係を書いた後、テレビ東京側の釈明に終始した記事になっている• これに対して朝日新聞の記事では事実関係の後に記者らの処分を伝え、記事の末尾にテレビ東京を批判する識者のコメントを掲載している

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• 北朝鮮問題で新聞とテレビの系列が複雑に絡んで現れたのが、拉致され死亡されたとされる、横田めぐみさんの娘キム・ヘギョンへのインタビュー• 北朝鮮の平壌でインタビューを行ったのは朝日新聞、毎日新聞、フジテレビだけ

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• 報道メディアの主要4系列で外れていたのは読売新聞と日本テレビだけ• インタビューの正当性等で大きな論議を呼んだが、読売は一貫して非難の論調を繰り返した• 一方、インタビューを行った毎日の場合、批判を受け止めながらもインタビューの正当性をはっきり表明した

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• 朝日系列のテレビ朝日系、毎日系列のTBS系は、一方的な非難に傾く事は無かった• 日本テレビ(読売と同系列)は激しく非難した• フジテレビと同系列の産経の場合、擁護の論陣を張った