vcadシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業)...

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VCADシステムの生物研究への展開 VCADシステム研究 ライブセルモデリング 理化学研究所 VCADシステム研究プログラム 生物研究基盤構築チーム 横田秀夫 平成18年10月19日 VCAD理研シンポジウム ライブセルモデリング 大目標 計算機の中に、生きた細胞のモデルを創りあげる。 それを細胞研究の基盤ツールとして世界に公開する。 本提案 定量化した細胞のモデリング (時空間の現象記述) 1つの細胞を対象として、その構造、物質の移動を記述 工学的研究手法による細胞生物学の俯瞰的アプローチ (VCADシステムをツールとして使用) 理研内の生物研究をライブセルモデルで連結

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Page 1: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

VCADシステムの生物研究への展開VCADシステム研究

ライブセルモデリング

理化学研究所

VCADシステム研究プログラム

生物研究基盤構築チーム

横田秀夫

平成18年10月19日  VCAD理研シンポジウム

ライブセルモデリング

大目標

 計算機の中に、生きた細胞のモデルを創りあげる。

 それを細胞研究の基盤ツールとして世界に公開する。

本提案• 定量化した細胞のモデリング

  (時空間の現象記述)

• 1つの細胞を対象として、その構造、物質の移動を記述

• 工学的研究手法による細胞生物学の俯瞰的アプローチ(VCADシステムをツールとして使用)

• 理研内の生物研究をライブセルモデルで連結

Page 2: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

• 細胞に関する4次元データを基に、動きのある細胞内のオルガネラ・物質の移動を記述した形状モデルを構築

• モデル構築に必要なデータ処理法の確立

• 統一した条件での撮影データを収集

• データ処理法による細胞内現象の解明

ライブセルモデリングの目的

本研究の特徴

• 連携型研究として、理化学研究所内の6セクターに跨る研究。

• 分野間に跨る研究(情報科学、工学、生物学)。

• 特定した1種の細胞に対し、位置と時間をそろえて、複数の研究者が異なる部位に関する生データを取得。

• 新規装置は導入せずに既存の装置を研究室に関係なく研究者が共同利用。

• 取得した情報はネットワーク上で、研究者が共有。

Page 3: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

白地図 → 電子国土国土地理院地理情報部情報普及課http://cyberjapan.jp/

地形データから地理情報システム(GIS)・シミュレーションツールへ

火災延焼の予測

細胞の模式図→Live Cell Model

細胞丸ごとの3D形状モデル構築・オルガネラ、膜などの統一的な構造モデル・物質の移動、合成の記述

細胞のシミュレーション

RikenCellModel

細胞の統一的な形状モデルからシミュレーションモデルまで

VCADモデル

対象とする領域

境界面(形状)Kitta Cube

セル

「もの(連続体)」がセルを単位に完全に離散化される

(1)外形形状、(2)内部構造、(3)物性分布、(4)場の方程式を解くためのメッシュを持つ

大規模計算に適したデータ構造

領域 1

領域 2

Page 4: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

VCADシステムの構成

V-CAT

VCADフレームワーク

VCADモデル

製造装置現実にある

もの

V-CAM

X線CTMRI

スライサー

設計者の考えた設計案

Solid CAD

製品機能シミュレーションソフ

トウェア群

製造工程シミュレーションソフトウェア群

V-シミュレーション

VCADデータ作成とハンドリング

加工データ作成

測定データのハンドリング

製品

データの入口

データの出口人工物 自然物

図面の無い人工物

VCADシステムの高度化

VCADシステムの普及 医療分野への

展開

生物研究への展開

次世代VCADプロジェクト

VCADシステムと周辺研究との関連

各種製造業 生体力学シミュレーション特別研究ユニット

理研 中央研究所

脳科学センター

横浜研究所

つくば研究所

理研

医療機器メーカー 医学界

生物科学研究界

共通基盤

実用化 研究ツール研究

Page 5: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

本研究の概要

• 特定した1種の細胞に対し、位置と時間をそろえて、複数の研究者が異なる部位に関する生データを取得。

• ライブセルイメージングの手法から得られる情報を元に、定量化した現象を抽出

• 取得した情報を元に、VCADフォーマットを用いて、細胞の時空間にわたる現象を記述

• 細胞内現象のモデル化により得られた情報から、細胞内現象の定式化、数理モデルを構築

• 上記情報を元に、細胞内の現象のシミュレーションにつなげる。

• 理研内外の細胞シミュレーションのためプラットフォームの構築

場所と時間を規定した観察

同一細胞をBRCから各研究室に配布

細胞情報から意味のある情報を導出(生物研究者と情報研究者の共同作業)

観察手法の統一化

本提案における実験方法

細胞のベンチマーク観察時空間を規定した細胞情報の収集

細胞モデルの構築

培養水槽内の流体解析観察条件統一培養装置

光反応性細胞接着基板の細胞付着部

光反応性細胞接着基板の細胞付着部

Page 6: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

 Live Cell Model生きている細胞の統合表現

・細胞生物学の統合理解の ための情報基盤ツール・生命現象の数理モデル・オルガネラシミュレーション・細胞シミュレーション

ゴルジ体 ミトコンドリア 核膜孔

数値細胞モデル

拡散係数細胞の形状変化 細胞運動速度ベクトル 代謝経路

アクチン

オルガネラ、細胞の構造情報の取得

構造モデルの構築

生物学研究者からの

物質の移動、輸送、

化学合成の数値化

細胞に関する既知の科学情報の数値化及び網羅的定量データの収集と統一形式による記述

細胞情報の収集

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

0 20 40 60 80 100

Volume

Surface

Time [s]

V [μm

2 ], S

[μm

3]

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

0 20 40 60 80 100

Volume

Surface

Time [s]

V [μm

2 ], S

[μm

3]

FBP

Protein

Glu

Amino acid

Monosaccharide

Glucose

Synthesis Asp

Acetyl-CoA

Pyruvic acid

G3P

Polysaccharide

Ala

Complex lipid

Neutral fat

Fatty acid

Beta-oxidation

Gluconeogenesis Glucolysis

Citric acid OAA

Succinic acid

2-OG

Citric acid cycle

Hydrolyze Acyl-Cos

Transamination

Ribosome

Aminoacyl-tRNHydrolyze Nucleotidyl sugar Hydrolyze

10-5

10-6

10-7

50 60 70 80 90

細胞の統一表現空間:Live Cell Model

  モデル化対象・VCADより観察対象、観察方法を指定・静止状態の詳細な形状モデル構築  ・多色(6色以上)同時観察

・細胞全体の細胞周期における全オルガネラモデル  ・比較的長時間の概略形状のモデル化   ・細胞周期を同期化しG1からMまでの周期をモデル化    ・20~30分間隔の観察    ・薬剤投与時の挙動の記述

・複数のオルガネラと物質の移動  ・短時間での2つのオルガネラとその間の物質

   ・核、ゴルジ、細胞骨格、細胞膜、細胞内輸送、ミトコンドリア

      :15通りの組み合わせx物質数    ・1~5分間隔の観察    ・局所座標での測定    ・薬剤投与時の挙動の記述

Page 7: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

 Live Cell Model生きている細胞の統合表現

・細胞生物学の統合理解の ための情報基盤ツール・生命現象の数理モデル・オルガネラシミュレーション・細胞シミュレーション

ゴルジ体 ミトコンドリア 核膜孔

数値細胞モデル

拡散係数細胞の形状変化 細胞運動速度ベクトル 代謝経路

アクチン

オルガネラ、細胞の構造情報の取得

構造モデルの構築

生物学研究者からの

物質の移動、輸送、

化学合成の数値化

細胞に関する既知の科学情報の数値化及び網羅的定量データの収集と統一形式による記述

細胞情報の収集

0

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2000

3000

4000

5000

6000

0 20 40 60 80 100

Volume

Surface

Time [s]

V [μm

2 ], S

[μm

3]

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

0 20 40 60 80 100

Volume

Surface

Time [s]

V [μm

2 ], S

[μm

3]

FBP

Protein

Glu

Amino acid

Monosaccharide

Glucose

Synthesis Asp

Acetyl-CoA

Pyruvic acid

G3P

Polysaccharide

Ala

Complex lipid

Neutral fat

Fatty acid

Beta-oxidation

Gluconeogenesis Glucolysis

Citric acid OAA

Succinic acid

2-OG

Citric acid cycle

Hydrolyze Acyl-Cos

Transamination

Ribosome

Aminoacyl-tRNHydrolyze Nucleotidyl sugar Hydrolyze

10-5

10-6

10-7

50 60 70 80 90

細胞の統一表現空間:Live Cell Model

  モデル化手法

・細胞の4次元データの収集・画像処理による領域抽出  ・抽出対象、注目点について生物研究者との共同作業   ・抽出手法の自動化

・抽出情報の属性設定  ・特徴量の算出(外形形状、重心、変曲点など)

・局所座標内に形状モデル(近似形状)を構築  ・形状記述法の開発

・細胞全体の座標に投影  ・座標変換手法の開発

・オルガネラ、物質の位置、移動の相互関係の解析

Page 8: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

• 細胞供給:     バイオリソースセンター

• 観察器具の開発:  先端技術開発支援センター

• 細胞の観察:      生物各研究室(得意部分)

• 標識法: 脳研センター宮脇G

• 画像処理: VCAD 第Ⅱ期

• バーチャルセル構築:VCAD 第Ⅱ期

• 可視化: VCAD 第Ⅱ期

• ハードウエア・情報配信:情報基盤センター

研究の体制図

    培養器具・手法の開発:大森                前田

細胞の維持管理:中村

細胞の観察

今本

中野

小林

高津V-CELLの構築   牧野内

宮脇

臼井

VーCELLの配信    姫野

培養器具開発大森

ベンチマーク細胞中村

核:今本

ゴルジ:中野

細胞骨格:臼井 膜:小林

細胞内輸送:高津

その他オルガネラ:宮脇 取得画像の統一セグメンテーション

記述法の開発細胞モデル構築

牧野内

V-CELL用ITBL姫野

細胞培養基板前田

培養器具開発大森

ベンチマーク細胞中村

核:今本

ゴルジ:中野

細胞骨格:臼井 膜:小林

細胞内輸送:高津

その他オルガネラ:宮脇 取得画像の統一セグメンテーション

記述法の開発細胞モデル構築

牧野内

V-CELL用ITBL姫野

細胞培養基板前田

細胞培養基板前田

シミュレーション実行

研究コミュニティ

コミュニティメンバ

会議室

非コミュニティメンバコミュニティメンバ

文書取得

メッセージ登録

非コミュニティメンバ

コミュニティ管理者

文書登録

作成

参照

アクセス権付与

キャビネット

シミュレーション実行

研究コミュニティ

コミュニティメンバ

会議室

非コミュニティメンバコミュニティメンバ

文書取得

メッセージ登録

非コミュニティメンバ

コミュニティ管理者

文書登録

作成

参照

アクセス権付与

キャビネット

ネット会議・討論会

ネット会議・討論会

シミュレーション結果取出

ネット会議・討論会

ネット会議・討論会

シミュレーション結果取出

シミュレーション結果取出

シミュレーション実行

研究コミュニティ

コミュニティメンバ

会議室

非コミュニティメンバコミュニティメンバ

文書取得

メッセージ登録

非コミュニティメンバ

作成

参照

アクセス権付与

キャビネット

ネット会議・討論会ネット会議・討論会

ネット会議・討論会ネット会議・討論会

結果取出

シミュレーション結果取出

ライブセルモデルサーバ(ITBLベース)

Live Cell ModelLive Cell Model

免疫・アレルギーセンター 情報基盤センター

バイオリソースセンター

脳科学総合研究センター

Live Cell Model

モデル取得情報更新

バーチャルな空間に構築するライブセルモデル

Page 9: VCADシステムの生物研究への展開...(生物研究者と情報研究者の共同作業) 観察手法の統一化 本提案における実験方法 細胞のベンチマーク観察

本提案のまとめ

• 同一種の細胞を対象に、オルガネラの構造、物質の移動を記述

• 培養条件、細胞周期、形状を一定にした細胞を観察

• 上記条件を統一するためのシステムを開発

  (i.e.:培養皿、培養液、循環・注入システム、細胞形状を定める培養皿、細胞周期の同期)

• 同一の条件下にて、各研究室が得意とする対象(オルガネラ・物質)の観察を行う

• 統一した時間軸の上で、時系列データを取得(3次元・4次元)

• 取得した生データを基に、生物と情報の研究者がモデルを作製

• ITBLをベースにしたライブセルモデルをネット環境に構築