3 為替動向と企業行動及び輸出数量への影響 - meti2001/02/03  · 通2014 39...

8
ここでは、為替動向と生産拠点や輸出価格に関する 企業行動、輸出数量への影響について見ていく。 まず、為替動向と生産拠点に関する企業行動の関係 について見ていく。 「為替変動に対する企業の価格設定行動等について の調査分析」(2014)によると、2008年半ばからの円 高方向への動きの中、国内の設備投資を抑制した企業、 国内生産・輸出採算が合わなくなったため海外生産シ フトを進めた企業は、輸送用機器や電気機器などで多 くなっている(第Ⅰ-2-3-1図)。 2012 年 11 月以降円安方向に推移する中、国内の生 産設備投資計画を変更していない企業の割合は 82.6%、拡充・増強した企業は 10.9%となっている。 一方、海外の生産設備投資計画に関しては、海外に生 産拠点を持つ企業の約 4 分の 3 が変更せず、約 4 分の 1 が拡充・増強している。輸送用機器で拡充・増強し ている企業の割合が大きい(第Ⅰ-2-3-2 図、第Ⅰ-2- 3-3図)。 円安方向へ推移する中においても海外の生産設備投 資計画を拡充または変更しない上位の理由としては、 「海外需要の伸びが期待できる」点や「為替変動に企 業業績が左右される事のないように、現地生産・現地 販売を進めている」点となっている。業種別に見ると、 電気機器や輸送用機器は「為替変動に企業業績が左右 される事のないように、現地生産・現地販売を進めて いる」点を他業種に比べ多く理由としてあげている一 方で、化学は「人口減少によって国内市場の縮小が見 込まれるため、為替変動に関わらず海外シフトを進め ている」点を理由としてあげている割合が他の理由よ りも多くなっている(第Ⅰ-2-3-4図)。 為替動向と企業行動及び輸出数量への影響 1.為替動向と生産拠点に関する企業行動 -2-3-1 図  経営戦略への影響(2008 年半ば以降(為替は円高方向 に推移)) 資料: 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価 格設定行動等についての調査分析」から作成。 0 40 80 (%) 60 20 国内生産・輸出の採算が合わなく なったため、海外生産シフトを進め 合計(n=367) 化学(n=48) 素材(n=69) 電気機器(n=60) 輸送用機器(n=47) その他(n=72) 機械(n=68) 国内の設備投資を抑制した 24.5 42.2 20.8 39.6 18.8 44.9 17.6 36.8 40.0 45.0 38.3 72.3 18.1 26.4 -2-3-2 図  国内生産設備への影響(2012 年 11 月以降(為替は円 安方向に推移)) 資料: 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価 格設定行動等についての調査分析」から作成。 10.9 3.8 82.6 8.3 6.3 83.3 13.0 82.6 2.9 20.6 1.5 6.7 5.0 86.7 12.8 6.4 78.7 88.9 1.4 5.6 75.0 0 20 40 60 80 100 (%) 10.9 3.8 82.6 8.3 6.3 83.3 13.0 82.6 2.9 20.6 1.5 6.7 5.0 86.7 12.8 6.4 78.7 88.9 1.4 5.6 75.0 合計(n=367) 化学(n=48) 素材(n=69) 機械(n=68) 電気機器(n=60) 輸送用機器(n=47) その他(n=72) 拡充・増強 縮小 変更なし 無回答 通商白書 2014 39 第3節 為替動向と企業行動及び輸出数量への影響

Upload: others

Post on 24-Jan-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  •  ここでは、為替動向と生産拠点や輸出価格に関する企業行動、輸出数量への影響について見ていく。

     まず、為替動向と生産拠点に関する企業行動の関係について見ていく。 「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」(2014)によると、2008 年半ばからの円高方向への動きの中、国内の設備投資を抑制した企業、国内生産・輸出採算が合わなくなったため海外生産シフトを進めた企業は、輸送用機器や電気機器などで多くなっている(第Ⅰ-2-3-1 図)。 2012 年 11 月以降円安方向に推移する中、国内の生産設備投資計画を変更していない企業の割合は82.6%、拡充・増強した企業は 10.9%となっている。一方、海外の生産設備投資計画に関しては、海外に生

    産拠点を持つ企業の約 4 分の 3 が変更せず、約 4 分の1 が拡充・増強している。輸送用機器で拡充・増強している企業の割合が大きい(第Ⅰ-2-3-2 図、第Ⅰ-2-3-3 図)。 円安方向へ推移する中においても海外の生産設備投資計画を拡充または変更しない上位の理由としては、「海外需要の伸びが期待できる」点や「為替変動に企業業績が左右される事のないように、現地生産・現地販売を進めている」点となっている。業種別に見ると、電気機器や輸送用機器は「為替変動に企業業績が左右される事のないように、現地生産・現地販売を進めている」点を他業種に比べ多く理由としてあげている一方で、化学は「人口減少によって国内市場の縮小が見込まれるため、為替変動に関わらず海外シフトを進めている」点を理由としてあげている割合が他の理由よりも多くなっている(第Ⅰ-2-3-4 図)。

    為替動向と企業行動及び輸出数量への影響第3節

    1.為替動向と生産拠点に関する企業行動

    第Ⅰ-2-3-1 図 経営戦略への影響(2008 年半ば以降(為替は円高方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    0 40 80(%)

    6020

    国内生産・輸出の採算が合わなくなったため、海外生産シフトを進めた

    合計(n=367) 化学(n=48) 素材(n=69)電気機器(n=60) 輸送用機器(n=47) その他(n=72)

    機械(n=68)

    国内の設備投資を抑制した

    24.5

    42.2

    20.8

    39.6

    18.8

    44.9

    17.6

    36.8

    40.0

    45.0

    38.3

    72.3

    18.1

    26.4

    第Ⅰ-2-3-2 図 国内生産設備への影響(2012 年 11 月以降(為替は円安方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    10.9 3.8 82.6

    8.36.3 83.3

    13.0 82.62.9

    20.6 1.5

    6.75.0 86.7

    12.8 6.4 78.7

    88.91.45.6

    75.0

    0 20 40 60 80 100(%)

    10.9 3.8 82.6

    8.36.3 83.3

    13.0 82.62.9

    20.6 1.5

    6.75.0 86.7

    12.8 6.4 78.7

    88.91.45.6

    75.0

    合計(n=367)

    化学(n=48)

    素材(n=69)

    機械(n=68)

    電気機器(n=60)

    輸送用機器(n=47)

    その他(n=72)

    拡充・増強 縮小 変更なし 無回答

    第2章

    第Ⅰ部

    通商白書 2014 39

    第3節為替動向と企業行動及び輸出数量への影響

    CW6_A6372D123_M.indd 39 2014/07/31 8:59:22

  •  次に、為替動向と輸出価格に関する企業行動の関係について見ていく。 2000 年代の為替動向と輸出物価(契約通貨ベース)の推移を見てみると、2005 年から 2007 年、2012 年末から 2013 年にかけて為替が円安方向に動く中で、輸出物価はやや低下の動きも見られるがその動きは小さい。また、2008 年半ば以降円高方向に推移する中においても、輸出物価は余り上昇していない。このように、円安・円高のいずれの方向に推移しても、輸出物価は為替動向に連動した変化を余り見せていない。(第Ⅰ-2-3-5 図)。 2000 年代の品目別輸出物価(契約通貨ベース)の推移を見ても、為替動向と連動して変化する傾向はほとんど見られない。電気・電子機器については、世界的な市場価格低下の動きに伴って、輸出価格が低下している動きが見られる(第Ⅰ-2-3-6 図)。 2012 年から 2013 年にかけての動きについて、更に細分化した品目別で見ても、自動車用内燃機関・自動車部品、金属・同製品、情報通信機器等では、2013年の円安方向への動きに伴い輸出物価がやや低下しているが、現時点では多くの品目では為替動向と連動し

    た価格変化の動きは見られない(第Ⅰ-2-3-7 図)。 次にアンケート結果に基づき企業行動を見ていくと、2008 年半ば以降、円高方向に推移する中で、全産業ベースで輸出価格を引き上げた企業は 11.6%、輸出価格をほとんど変えなかった企業は 71.6%となっている(第Ⅰ-2-3-8 図)。 2008 年半ば以降、円高方向に推移する中、輸出価

    2.為替動向と輸出価格に関する企業行動

    第Ⅰ-2-3-3 図 海外生産設備への影響(2012 年 11 月以降(為替は円安方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    14.2 0.3 50.4 33.0

    16.7 43.8 39.6

    17.4 50.7 30.4

    8.8 47.1

    13.3 1.7 56.7 23.3

    27.7 53.2 19.1

    38.951.40.0

    42.6

    0 20 40 60 80 100(%)

    14.2 0.3 50.4 33.0

    16.7 43.8 39.6

    17.4 50.7 30.4

    8.8 47.1

    13.3 1.7 56.7 23.3

    27.7 53.2 19.1

    38.951.40.0

    42.6

    合計(n=367)

    化学(n=48)

    素材(n=69)

    機械(n=68)

    電気機器(n=60)

    輸送用機器(n=47)

    その他(n=72)

    拡充・増強 縮小 変更なし 海外生産拠点がない 無回答

    第Ⅰ-2-3-4 図 円安方向に推移する中でも海外生産設備投資計画を拡充または変更しない理由(複数回答、上位 3つ)

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成

    0 40 80(%)

    6020

    為替変動に業績が左右される事のないように、現地生産・現地販売を進めているから

    人口減少によって国内市場の縮小が見込まれるため、為替変動に関わらず海外シフトを進めているから

    合計(n=241) 化学(n=29) 素材(n=47)電気機器(n=42) 輸送用機器(n=38) その他(n=46)

    機械(n=38)

    51.5

    46.1

    32.0

    48.3

    37.9

    51.7

    57.4

    36.2

    36.2

    52.6

    42.1

    23.7

    52.4

    61.9

    23.8

    52.6

    63.2

    39.5

    45.7

    37.0

    23.9

    海外需要の伸びが期待できるから

    第Ⅰ-2-3-5 図 実質実効為替レートと輸出物価(全製品・契約通貨ベース)の動き

    資料:�日本銀行「実質実効為替レート」、「企業物価指数(2010 年基準)」から作成。

    2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年月)

    60

    90

    100

    110

    120

    130

    140

    80

    70

    (2010=100)

    実質実効為替レート輸出物価(全製品)

    11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 77101011 44 771010

    円高円高

    円安円安

    40 2014 White Paper on International Economy and Trade

    第2章 我が国の貿易・投資動向

    CW6_A6372D123_M.indd 40 2014/07/31 8:59:23

  • 格の改定を行わなかった理由としては、化学や素材では、「競合他社との価格競争が厳しく、輸出価格を引き上げると売上の減少が見込まれた」点を理由としている割合が高く、輸送用機器や機械では、「価格改定は製品のモデルチェンジ等のタイミングで行っている」点を理由としている割合も高くなっている(第Ⅰ-2-3-9 図)。 2012 年 11 月以降の円安方向に推移する中、企業規模、輸出額によらず企業数でみると、現在までのところ輸出価格を引き下げた企業は全産業で見ると

    11.0%、輸出価格をほとんど改定していない企業は78.1%となっている。この円安方向への動きが見られる中、輸出価格改定を行っていない企業のうち 87.2%が現時点では、輸出価格を引き下げる予定はないとしている(第Ⅰ-2-3-10 図、第Ⅰ-2-3-11 図)。 円安方向に推移する中、輸出価格を引き下げる予定がない理由としては、全産業で見ると、現時点では「価格を引き下げても売上増加が見込めない」、「価格改定

    第Ⅰ-2-3-6 図 実質実効為替レートと輸出物価(品目別・契約通貨ベース)の動き

    2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(年月)

    0

    100120140160180200

    80604020

    (2010=100)

    化学製品電気・電子機器はん用・生産用・業務用機器

    金属・同製品

    輸出物価(全製品)輸送用機器

    実質実効為替レート

    11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 771010 11 44 77101011 44 771010

    資料:�日本銀行「実質実効為替レート」、「企業物価指数(2010 年基準)」から作成。

    第Ⅰ-2-3-7 図実質実効為替レートと輸出物価(品目別・契約通貨ベース)の動き(2012 年~2013 年)

    資料:�日本銀行「実質実効為替レート」、「企業物価指数(2010 年基準)」から作成。

    707580859095100105110115120(2010=100)

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011122012 2013 (年月)

    電気・電子機器 電気機器電子部品・デバイス情報通信機器 化学製品 金属・同製品はん用・生産用・業務用機器 自動車輸送用機器自動車用内燃機関・自動車部品 輸出物価(全製品)実質実効為替レート

    第Ⅰ-2-3-8 図 主要輸出製品の契約通貨建て輸出価格の改定(2008 年半ばから 2010 年末(為替は円高方向に推移))

    11.6 12.6 71.6

    26.7 64.4

    7.5 13.2 75.5

    12.3 7.7

    7.7 17.3 69.2

    25.0 8.3 58.3 8.3

    78.914.0

    76.9

    0 20 40 60 80 100(%)

    11.6 12.6 71.6

    26.7 64.4

    7.5 13.2 75.5

    12.3 7.7

    7.7 17.3 69.2

    25.0 8.3 58.3 8.3

    78.914.0

    76.9

    化学(n=45)

    素材(n=53)

    機械(n=65)

    電気機器(n=52)

    輸送用機器(n=36)

    その他(n=57)

    価格を引き上げた 価格を引き下げた価格はほとんど変えなかった 無回答

    合計(n=310)

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    第Ⅰ-2-3-9 図輸出価格の改定を行わなかった理由(2008 年半ばから2010 年末(為替は円高方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    0 40 80(%)

    6020

    無回答

    その他

    為替リスクのヘッジによって為替の影響が中立化されていたから

    競合他社との価格競争が厳しく、輸出価格を引き上げると売上の減少が見込まれたから

    価格改定は製品のモデルチェンジ等のタイミングで行っているから

    円高によって仕入コストも低下していたから

    合計(n=222) 化学(n=29) 素材(n=40)電気機器(n=36) 輸送用機器(n=21) その他(n=45)

    機械(n=50)

    7.77.7

    49.549.5

    10.810.8

    26.126.1

    21.621.6

    3.23.2

    6.96.9

    72.472.4

    17.2

    20.720.7

    17.2

    0.00.0

    5.05.0

    67.567.5

    15.0

    15.015.0

    15.0

    2.52.5

    8.08.0

    40.040.0

    10.010.0

    34.0

    20.020.0

    6.06.0

    5.65.6

    44.444.4

    11.111.1

    27.827.8

    30.630.6

    5.65.6

    14.3

    33.333.3

    4.84.8

    47.647.6

    19.019.0

    0.00.0

    8.98.9

    42.242.2

    6.76.7

    17.8

    26.726.7

    2.22.2

    第2章

    第Ⅰ部

    通商白書 2014 41

    第3節為替動向と企業行動及び輸出数量への影響

    CW6_A6372D123_M.indd 41 2014/07/31 8:59:24

  • は製品のモデルチェンジ等の際に行っているが当面はその予定がない」等が多くなっている。業種別に見ると、輸送用機器では、「価格改定は製品のモデルチェンジ等の際に行っているが当面はその予定がない」点を理由にしている割合が高く、「価格を引き下げても売上増加が見込めない」点を理由としている割合は他業種に比べ低い。これに対して、化学や素材では、「価格改定は製品のモデルチェンジ等の際に行っているが当面はその予定がない」点を理由としている割合は相対的に低く、「価格を引き下げても売上増加が見込めない」点や「価格を引き下げると燃料価格上昇等のコスト上昇分を吸収できない」点を理由としている割合が高くなっている(第Ⅰ-2-3-12 図)。一方で、今後為替の安定や世界経済の動向次第では価格を引き下げる企業が増加する可能性もある。

     ここでは為替動向に伴う企業の輸出数量の変化についてアンケート結果に基づき見ていく。 まず、2008 年半ば以降円高方向に推移する中、「輸出数量はほとんど変わらなかった」としている企業が全産業で見ると 45.2%、「減少している」としている企業は 33.5%となっている。業種別に見ると、機械では、「減少した」としている企業の割合が 46.2%と高く、

    「ほとんど変わらなかった」としている企業の割合の35.4%を上回っている。一方、化学では、「増加した」としている企業の割合が「減少した」としている企業の割合を唯一上回っている(第Ⅰ-2-3-13 図)。 「減少した」理由として、全産業で見ると「リーマン・ショックによる海外需要の減少」としている企業が最も多く、「円高による価格競争力の低下」としている

    3.為替動向に伴う企業の輸出数量の変化

    第Ⅰ-2-3-10 図 主要輸出製品の契約通貨建て輸出価格の改定(2012 年11 月以降(為替は円安方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    7.4 11.0 78.1

    11.1 11.1 77.8

    11.3 11.3 73.6

    6.2 10.8

    7.7 11.5 75.0

    2.8 16.7 72.2 8.3

    86.07.03.5

    81.5

    0 20 40 60 80 100(%)

    7.4 11.0 78.1

    11.1 11.1 77.8

    11.3 11.3 73.6

    6.2 10.8

    7.7 11.5 75.0

    2.8 16.7 72.2 8.3

    86.07.03.5

    81.5

    合計(n=310)

    化学(n=45)

    素材(n=53)

    機械(n=65)

    電気機器(n=52)

    輸送用機器(n=36)

    その他(n=57)

    価格を引き上げた 価格を引き下げた価格はほとんど変えなかった 無回答

    第Ⅰ-2-3-11 図輸出価格の改定を行っていない企業の今後の輸出価格改定方針(2012 年 11 月以降(為替は円安方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    87.2

    91.4

    92.3

    86.8

    84.6

    84.6

    83.78.2

    7.5

    0 20 40 60 80 100(%)

    合計(n=242) 87.2

    91.4

    92.3

    86.8

    84.6

    84.6

    83.78.2

    7.5

    化学(n=35)

    素材(n=39)

    機械(n=53)

    電気機器(n=39)

    輸送用機器(n=26)

    その他(n=49)

    年内に価格を引き下げる予定2014 年 1~3月に価格を引き下げる予定2014 年 4 月以降に価格を引き下げる予定価格を引き下げる予定はない無回答

    第Ⅰ-2-3-12 図輸出価格の引き下げを行う予定がない理由(2012 年11 月以降(為替は円安方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    10.4 6.2 22.7 17.5 22.3 18.5

    12.5 25.0 25.0 18.8 18.8

    16.7 25.0 25.0 11.1 19.42.8

    10.9 10.9 19.6 19.6 21.7 17.4

    6.1 9.1 24.2 9.1 24.2 18.2 9.1

    4.5 9.1 13.6 13.6 45.5 9.1

    9.8 26.8 12.2 22.0 22.0

    0 20 40 60 80 100(%)

    為替の影響が収益に対して中立的だから為替リスクがヘッジできているから価格を引き下げても売上増加が見込めないから価格を引き下げると燃料価格上昇等のコストアップを吸収できないから価格改定は製品モデルチェンジ等の際に行っているが、当面はその予定がないその他無回答

    合計(n=211)

    化学(n=32)

    素材(n=36)

    機械(n=46)

    電気機器(n=33)

    輸送用機器(n=22)

    その他(n=41)

    10.4 6.2 22.7 17.5 22.3 18.5

    12.5 25.0 25.0 18.8 18.8

    16.7 25.0 25.0 11.1 19.42.8

    10.9 10.9 19.6 19.6 21.7 17.4

    6.1 9.1 24.2 9.1 24.2 18.2 9.1

    4.5 9.1 13.6 13.6 45.5 9.1

    9.8 26.8 12.2 22.0 22.0

    42 2014 White Paper on International Economy and Trade

    第2章 我が国の貿易・投資動向

    CW6_A6372D123_M.indd 42 2014/07/31 8:59:24

  • 企業が次いで多くなっている。輸送用機器では「円高による価格競争力の低下」を理由としている企業が特に多くなっている(第Ⅰ-2-3-14 図)。 次に、2012 年 11 月以降、円安方向へ推移する中、「輸出数量はほとんど変わらなかった」としている企業が全産業で見ると 56.5%、「増加した」としている企業は 31.9%となっている。業種別に見ると、化学では「増加した」としている企業の割合が 37.8%と最も高い一方、輸送用機器では「増加した」としている企業の割合は 27.8%となっている。また、素材では、「増加した」としている企業の割合が高い一方、「減少した」としている企業の割合も他の業種に比べ高くなっている(第Ⅰ-2-3-15 図)。 「増加した」理由として、全産業で見ると、「海外需要の増加」としている企業が最も多く、「円建ての輸出価格は引き下げていないが、円安により現地価格が下がったため」としている企業が次いで多くなっている。「契約通貨建ての輸出価格を引き下げることにより競争力が高まったため」としている企業は、総じて先の 2 つの理由よりも少なくなっている(第Ⅰ-2-3-16 図)。 以上、為替動向と生産拠点や輸出価格に関する企業行動の関係、輸出数量への影響について見てきた。 為替動向と生産拠点や輸出価格に関する企業行動との間には現時点では余り強い連動性は見られなかった。企業は海外需要の動向や為替水準の安定性を注視している可能性がある。他方、輸出数量への影響については、為替水準にかかわらず、海外における需要動

    向の影響を指摘する企業が多くなっているが、円高方向に推移する中での輸出数量の減少に関しては、円高の影響により価格競争力が低下したこと、また、円安方向に推移する中での輸出数量の一定の増加に関しては、円建ての輸出価格は引き下げていないが円安方向への動きによって現地価格が下がっていることを指摘する企業が比較的多くなっている。

    第Ⅰ-2-3-13 図 主要輸出製品の輸出数量の変化(2008 年半ばから2010 年末(為替は円高方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    17.4

    28.9

    20.8

    13.8

    21.2

    11.1

    45.2

    42.2

    43.4

    35.4

    42.3

    50.0

    33.5

    26.7

    34.0

    46.2

    32.7

    30.6

    8.8 61.426.3

    0 20 40 60 80 100(%)

    数量が増加した 数量が減少した数量はほとんど変わらなかった 無回答

    合計(n=310)

    化学(n=45)

    素材(n=53)

    機械(n=65)

    電気機器(n=52)

    輸送用機器(n=36)

    その他(n=57)

    17.4

    28.9

    20.8

    13.8

    21.2

    11.1

    45.2

    42.2

    43.4

    35.4

    42.3

    50.0

    33.5

    26.7

    34.0

    46.2

    32.7

    30.6

    8.8 61.426.3

    第Ⅰ-2-3-14 図 輸出数量減少の理由(2008 年半ばから 2010 年末(為替は円高方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    0 40 80 100(%)

    6020

    無回答

    その他

    円高により主要輸出製品の国外における価格競争力が低下したため

    リーマンショックによって、海外における需要が減少したため

    他社製品の競争力が高まり競合が高まったため

    国内からの輸出を減らし、海外生産を拡充したため

    合計(n=104) 化学(n=12) 素材(n=18)電気機器(n=17) 輸送用機器(n=11) その他(n=15)

    機械(n=30)

    58.750.050.055.655.663.363.3

    52.952.981.881.8

    53.3

    67.367.366.766.7

    55.655.676.776.572.7

    46.746.7

    21.221.233.333.3

    16.716.720.020.017.617.6

    9.19.133.3

    15.48.38.35.65.63.33.3

    23.523.554.554.5

    20.020.0

    2.92.98.38.3

    0.00.03.33.30.00.00.00.06.76.7

    2.92.98.38.35.65.63.33.30.00.00.00.00.00.0

    第Ⅰ-2-3-15 図 主要輸出製品の輸出数量の変化(2012 年 11 月以降(為替は円安方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    31.9 8.4 56.5

    37.8 51.1

    35.8 15.1 49.1

    32.3 9.2 56.9

    34.6 55.8

    27.8 61.1

    24.6 64.9

    0 20 40 60 80 100(%)

    数量が増加した 数量が減少した数量はほとんど変わらなかった 無回答

    合計(n=310)

    化学(n=45)

    素材(n=53)

    機械(n=65)

    電気機器(n=52)

    輸送用機器(n=36)

    その他(n=57)

    31.9 8.4 56.5

    37.8 51.1

    35.8 15.1 49.1

    32.3 9.2 56.9

    34.6 55.8

    27.8 61.1

    24.6 64.9

    第2章

    第Ⅰ部

    通商白書 2014 43

    第3節為替動向と企業行動及び輸出数量への影響

    CW6_A6372D123_M.indd 43 2014/07/31 8:59:25

  • 第Ⅰ-2-3-16 図 輸出数量増加の理由(2012 年 11 月以降(為替は円安方向に推移))

    資料:�三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「為替変動に対する企業の価格設定行動等についての調査分析」から作成。

    0 40 80 100(%)

    6020

    無回答

    その他

    契約通貨建ての輸出価格を引き下げる事によって価格競争力が高まったから

    円建ての輸出価格は引き下げていないが、円安によって現地価格が下がったため

    主要輸出製品の海外における需要が増加したから

    主要輸出製品の質が上がり競争力が高まったから

    合計(n=99) 化学(n=17) 素材(n=19)電気機器(n=18) 輸送用機器(n=10) その他(n=14)

    機械(n=21)

    16.216.2

    34.334.3

    68.768.7

    13.1

    5.15.1

    1.01.0

    17.617.6

    23.523.5

    70.670.6

    11.811.8

    5.95.9

    0.00.0

    21.121.1

    36.836.8

    52.652.6

    5.35.3

    0.00.0

    5.35.3

    14.314.3

    57.157.1

    47.647.6

    9.59.5

    4.84.8

    0.00.0

    22.222.2

    22.222.2

    94.494.4

    27.827.8

    0.00.0

    0.00.0

    10.010.0

    40.040.0

    80.080.0

    0.00.0

    10.0

    0.00.0

    7.17.1

    21.421.4

    78.6

    21.421.4

    14.3

    0.00.0

    44 2014 White Paper on International Economy and Trade

    第2章 我が国の貿易・投資動向

    CW6_A6372D123_M.indd 44 2014/07/31 8:59:25

  • ドイツ、韓国における為替動向と輸出物価の推移について見ていく。まずドイツについては、ドイツの主要輸出先は自国と同一の通貨ユーロを使用している欧州諸国であり 17、ユーロ圏向け以外の輸出においてもユーロ建て比率が高く 18なっている。2000 年以降の動きを見ると、為替動向と輸出物価(全製品)変動の間には余り連動性は見られない(コラム第 3-1 図)。また、足下 4 年間の品目別輸出物価の動きを見ても、為替動向との連動性は特に見られず、電子機器・精密機器では輸出物価が低下を続ける一方、他の品目では緩やかに上昇している(コラム第 3-2 図)。

    コラム

    3 ドイツ、韓国における為替動向と輸出物価変動の関連性

    コラム第 3-1 図 ドイツの実質実効為替レートと輸出物価(全製品・自国通貨ベース)の動き

    資料:�ドイツ統計局(Statistisches�Bundesamt)「輸出物価指数(2010 年基準)」、トムソンロイターより作成。2011 2012 20132008 2009 20102005 2006 20072002 20032000 2001 2004 (年月)

    80

    85

    90

    95

    100

    105

    115

    110

    (2010=100)

    実質実効為替レート輸出物価(全製品)

    11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955

    コラム第 3-2 図 ドイツの実質実効為替レートと輸出物価(品目別・自国通貨ベース)の動き

    2011 2012 201320101 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11

    (年月)

    86

    989694929088

    100102104106108(2010=100)

    電子機器・精密機器

    電気機器

    一般機器

    自動車

    その他輸送用機器

    実質実効為替レート

    輸出物価(全製品)

    資料:�ドイツ統計局(Statistisches�Bundesamt)「輸出物価指数(2010 年基準)」、トムソンロイターより作成。

    �17 ドイツの輸出額に占める EU27 向け輸出額は約 57%(2012 年時点)。18 ドイツの輸出は約 37%がユーロ圏向けである。EU 圏外向けの輸出は約 43%であるが、ユーロ建て比率が 65%となっている。したがって、

    ドイツの輸出全体に占めるユーロ建ての割合は約 65%となり、日本に比べ高い。

    第2章

    第Ⅰ部

    通商白書 2014 45

    第3節為替動向と企業行動及び輸出数量への影響

    CW6_A6372D123_M.indd 45 2014/07/31 8:59:25

  •  次に韓国について 2000 年以降の動きを見ると、2010 年頃までは、為替動向と輸出物価(工業製品全体)変動は似たような動きをしているが、足下では両者の連動性は余り見られなくなってきている(コラム第 3-3 図)。品目別に見ると、自動車用内燃機関・自動車部品、基本金属製品、化学製品などで、2010年頃まで為替動向と輸出物価変動は似たような動きをしていたが、足下ではこれらの品目でも両者の連動性は余り見られなくなってきている。電気・電子機器や情報通信機器、映像音響機器では、輸出価格が大きく低下し続けている(コラム第 3-4 図)。

    コラム第 3-3 図 韓国の実質実効為替レートと輸出物価(全製品・契約通貨ベース)の動き

    2011 2012 20132008 2009 20102005 2006 20072002 20032000 2001 2004 (年月)

    60

    70

    80

    90

    100

    110

    120

    140

    130

    (2010=100)

    実質実効為替レート輸出物価(工業製品全体)

    11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955

    資料:�Bank�of�Korea「輸出物価指数(2010 年基準)」、トムソンロイターより作成。

    コラム第 3-4 図 韓国の実質実効為替レートと輸出物価(品目別・契約通貨ベース)の動き

    資料:�Bank�of�Korea「輸出物価指数(2010 年基準)」、トムソンロイターより作成。

    2011 2012 20132008 2009 20102005 2006 20072002 2003200011 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955 11 9955

    2001 2004 (年月)

    0

    100

    50

    150

    200

    250

    300

    350

    400(2010=100)

    化学製品 基本金属製品 金属製品 一般機械 電気・電子機器 電気機械情報通信機器、映像・音響機器 輸送用機器 自動車 自動車用内燃機関、自動車部品輸出物価(工業製品全体) 実質実効為替レート

    46 2014 White Paper on International Economy and Trade

    第2章 我が国の貿易・投資動向

    CW6_A6372D123_M.indd 46 2014/07/31 8:59:26