media literacy part 5

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メディア・リテラシー 5

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Page 1: Media Literacy Part 5

メディア・リテラシー5

Page 2: Media Literacy Part 5

分節と記号

• 記号の発生の契機となる読むと言う行為の本質は「分節」である

• 分節とは、連続する対象を切り分けて、有意な場所を無意な場所から区別すること

• 分節の結果、有意な場所が残り記号として顕在化する

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記号の二つの側面

• 分節の結果、顕在化する記号には常に二つの側面がある

Page 4: Media Literacy Part 5

• 「ネコ」という話し言葉であれば• [neko]という音声、即ち知覚可能な表現としての側面→記号表現

• 「ニャーニャー鳴く、もふもふした小動物」という目に見えない意味内容としての側面→記号内容

Page 5: Media Literacy Part 5

• 記号表現と記号内容は表裏一体となって、記号を構成する。

• 即ち、どちらか一方を欠いた状態では記号は成立しない

Page 6: Media Literacy Part 5

• 記号「ネコ」がもつ記号表現を[neko]と、記号内容を<ネコ>と表記する

• [neko]という音声を耳にした時に、意味内容を想起できなければ、それは記号表現ではなく、単なる音声

Page 7: Media Literacy Part 5

• [neko]という音声は記号内容<ネコ>の想起を伴う限りにおいて、記号表現であると言える

Page 8: Media Literacy Part 5

• 一方、その時想起される記号内容<ネコ>は、記号表現[neko]を聞き取って初めて想起されるもの

• よって、記号内容<ネコ>は記号表現[neko]があってこそ存在する

Page 9: Media Literacy Part 5

• 記号「ネコ」が分節されるとき、記号表現[neko]と記号内容<ネコ>が同時に分節されている

• 記号表現と記号内容は表裏一体で、同じ記号の二つの側面であるから同時に分節される

Page 10: Media Literacy Part 5

分節と差異

• 記号の分節は他の対立項との間に見出される相対的な違い、即ち差異に基づいて行われている

Page 11: Media Literacy Part 5

• 記号表現の分節• 五感が感知する現象を、特定の記号表現のカテゴリへと分類すること

Page 12: Media Literacy Part 5

• ある音声が「ラッパ」という言葉として聞き取られた場合、その音声が記号「ラッパ」の記号表現に属するものとして分類されたということ

Page 13: Media Literacy Part 5

• カテゴリの存在や、そこに分類すべきものの特徴は、コードによって定められる

• 分節はコードの規定に従って行われる• 差異に基づく分節とは、コードによる記号表現の規定の仕方の特徴を指す

Page 14: Media Literacy Part 5

• コードは、記号「ラッパ」の記号表現のカテゴリをどう規定しているのか?

• 物理現象としての音声の特徴に依拠する規定が考えられる

• 記号「ラッパ」の記号表現は[rappa]という音声をもつものであるという規定

Page 15: Media Literacy Part 5

• 「[rappa]という音声」の許容範囲が問題になる

• 実際に発話されるそれぞれの「ラッパ」の物理現象としての特徴は、完全に同一である事はあり得ない

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• 声の高い人・低い人• 通りの良い声の人・良く無い声の人• 同一人物が大声で発話・小声で発話

Page 17: Media Literacy Part 5

• 記号表現のカテゴリは、単に音声という物理的な特徴における同一性のみを根拠としてはいない

• 他のカテゴリとの対比において見出される差異性の条件が、カテゴリの規定において大きな役割を果たしている

Page 18: Media Literacy Part 5

• ある発話が記号「ラッパ」の記号表現として聞き取られる為に重要なのは

• 「その発話が[kappa]、[happa]、[rakka]等に聞こえないこと」

• という他項との差異性の条件を同時に伴う事

Page 19: Media Literacy Part 5

• 記号内容の分節は、記号が指し示す対象(指示物)を、それが属する記号内容のカテゴリへ分類する事

• 指示物には具体的なモノから抽象的な事象まで、さまざまなものが含まれる

Page 20: Media Literacy Part 5

• 記号内容のカテゴリの規定もコードによって行われる

• コードはカテゴリの存在と、そこに分類されるべきものが満たすべき条件を規定する

• この規定も他項との差異に基づいている

Page 21: Media Literacy Part 5

• 何かが記号「ラッパ」の記号内容のカテゴリに分類されるためには、コードが規定する条件を満たす必要がある

Page 22: Media Literacy Part 5

• 仮に、何かが<金管楽器であること>を条件に、記号「ラッパ」の記号内容として分類されたとする

• この条件によって分類が行われる為には、同時に対立項<金管楽器でないこと>を条件とする他の記号内容のカテゴリが必要になる

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• 分節において、記号表現及び記号内容が対立項とするものは、その時々のコンテクストによって異なる

Page 24: Media Literacy Part 5

• 仮に「スポーツ観戦」をコンテクストとすると

• 「歓声」や「拍手」が対立項となる可能性もある

• この時、カテゴリの条件は「応援の手段の中で鳴り物にあたるもの」であり、対立項は「鳴り物にあたらないものである」

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• 記号内容、即ち表現の意味内容とは、今まで述べて来た分類の条件の集まりであると考えられる

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• 「ラッパ」という言葉の意味内容は、あるコンテクストにおいては<金管楽器であるもの>であり、別なコンテクストにおいては<鳴り物であるもの>であったりと、実際にはコンテクストによって相対的に決まる

Page 27: Media Literacy Part 5

• 意味内容がコンテクストによって相対的に決まるのであれば

• 「ラッパ」という言葉の一般的な意味内容は、コンテクスト毎に顕在化する、それぞれの条件の集合である

Page 28: Media Literacy Part 5

記号の示差的特徴• 記号はコードの規定に従って行われる分節によって発生する

• コードの規定に見られる特徴から、記号はそれ自体の力で自律的に存在していない

• 常に、差異を通して構築される他項との関係性によって相対的且つ消極的に規定される

Page 29: Media Literacy Part 5

• コードが他項との差異として規定する記号の特徴を示差的特徴と呼ぶ

• 記号「かっぱ」の記号表現を対立項とする時、記号「ラッパ」の記号表現の示差的特徴は、最初の子音[r]である

• 「かっぱ」の最初の子音は[k]である

Page 30: Media Literacy Part 5

• 記号「ラッパ」の記号内容に見られる「鳴り物にあたるもの」という条件は、記号「歓声」を対立項とした時の示差的特徴である

Page 31: Media Literacy Part 5

• 対立項はコンテクストによって、相対的に決まる

• ある記号の示差的特徴の内容は、何を対立項とするかによって、その都度相対的に決まる

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• 記号「落下」の記号表現に対しては、記号「ラッパ」の記号表現における2音節目の子音[p]が示差的特徴

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• 記号「クラリネット」の記号内容に対しては、記号「ラッパ」の記号内容である「金管楽器であること」という条件が示差的特徴

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• コードが規定する全ての条件は示差的特徴となる可能性をもっている

• コードによって生み出される示差的特徴は、ある記号と他の記号(対立項)との結びつきを生み出す

Page 35: Media Literacy Part 5

• つまり、ある記号が存在するところには、その記号の示差的特徴を通して、必ず同時に「~でないもの」という対立項が存在する

• 従って、分節の基準となるコードとは、記号同士の関係を規定する、示差的特徴の体系である

Page 36: Media Literacy Part 5

• 分節を行う時、示差的特徴のコードを分節の対象となる世界(対象世界)に持ち込む

• この時、コードを持ち込む事によって見出されるのは、記号そのものではなく、記号と対立項の間に生ずる差異である

Page 37: Media Literacy Part 5

• この差異を手がかりに、結果として記号を発見し、それによって意味内容を読み取る

• 「~ではない」という判断を手がかりとして積み重ねながら、結果として「それは~である」という把握に至る