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中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」 111 コモディティ商品における購買要因の特定 森岡耕作ゼミナール 第 2 期生 中村亮太 <要旨> 企業活動を行う上で、コモディティ化は深刻な問題であり、避けなければならない ものである。既存研究において、コモディティ化という問題の重大性や差別化の手段 についての研究が多くなされてきた。しかし、コモディティ商品における消費者の購 買行動についての実証研究は存在せず、明らかにされていない。そこで本論では、コ モディティ化商品として、ミネラルウォーターに注目し、コモディティ商品を購買す る要因の特定を試みる。 <キーワード> コモディティ化/コモディティ商品/関与/機能的便益/情緒的便益/自己表現的 便益 1 章 はじめに 1 節 問題意識 現代の日本市場において、数多くの商品があふれかえっており、多様な業態において販売され ている。市場に存在する商品の中には商品間によって違いが明確になっており、個人のニーズや 気分に合わせてその時々に違う種類やメーカーの商品を購買する可能性も存在する。つまり、消 費者は数多くの商品の中から自分に合ったものを選ぶことが可能だということである。 一方で、商品があふれかえることで、商品間の違いがわかりにくくなるという現状も存在して いる。このような市場をコモディティ市場と呼ぶ。日本の市場全体においてコモディティ化とい う問題が顕在化しており、特に非耐久財市場において顕著になっている。小川(2011)によると、 コモディティ化とは製品やサービスの間に価格以外の違いが無い、または違いがあっても買い手 にとっては同等とみなしても問題ないという状況に商品が陥ってしまうこと、と定義されている。 消費者はコモディティ化により商品間の違いを消費者は明確に認識することができないので、購 買する際には、価格や内容量などの目に見える情報から購買する銘柄を購買すると考えられる。 本研究では、コモディティ商品としてミネラルウォーターに着目する。なぜならば、ミネラルウ ォーターについて、製品間の差異を認識することが難しいからである。コモディティ化という市

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中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

111

コモディティ商品における購買要因の特定

森岡耕作ゼミナール 第 2期生

中村亮太

<要旨>

企業活動を行う上で、コモディティ化は深刻な問題であり、避けなければならない

ものである。既存研究において、コモディティ化という問題の重大性や差別化の手段

についての研究が多くなされてきた。しかし、コモディティ商品における消費者の購

買行動についての実証研究は存在せず、明らかにされていない。そこで本論では、コ

モディティ化商品として、ミネラルウォーターに注目し、コモディティ商品を購買す

る要因の特定を試みる。

<キーワード>

コモディティ化/コモディティ商品/関与/機能的便益/情緒的便益/自己表現的

便益

第 1章 はじめに

第 1節 問題意識

現代の日本市場において、数多くの商品があふれかえっており、多様な業態において販売され

ている。市場に存在する商品の中には商品間によって違いが明確になっており、個人のニーズや

気分に合わせてその時々に違う種類やメーカーの商品を購買する可能性も存在する。つまり、消

費者は数多くの商品の中から自分に合ったものを選ぶことが可能だということである。

一方で、商品があふれかえることで、商品間の違いがわかりにくくなるという現状も存在して

いる。このような市場をコモディティ市場と呼ぶ。日本の市場全体においてコモディティ化とい

う問題が顕在化しており、特に非耐久財市場において顕著になっている。小川(2011)によると、

コモディティ化とは製品やサービスの間に価格以外の違いが無い、または違いがあっても買い手

にとっては同等とみなしても問題ないという状況に商品が陥ってしまうこと、と定義されている。

消費者はコモディティ化により商品間の違いを消費者は明確に認識することができないので、購

買する際には、価格や内容量などの目に見える情報から購買する銘柄を購買すると考えられる。

本研究では、コモディティ商品としてミネラルウォーターに着目する。なぜならば、ミネラルウ

ォーターについて、製品間の差異を認識することが難しいからである。コモディティ化という市

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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場現象は関心の高さとは裏腹に定義や要因についてのレビュー・考察はあまりなされていない。

また、脱コモディティ化の解決策についての既存研究は多数存在するが、コモディティ商品の

購買行動についての研究は著者が知る限りでは皆無である。よって、コモディティ商品における

特定ブランドの再購買という消費者行動の要因を特定することは学術的において意義のあるも

のであると考える。そこで、コモディティ化に着目し、消費者が商品間差異を知覚していないに

も関わらず、特定ブランドを購買するのかを解明していきたい。

そこで、数多く代替製品が存在しているにも関わらず消費者がコモディティ商品を購買してい

るという事実を研究し、要因を解明することを本論の目的とする。

第 2節 本論の構成

本論は「コモディティ商品における特定ブランドの購買行動」という研究課題に沿って次の

ように展開される。第 2 章では、コモディティ化の定義や消費者側や企業側のコモディティ化の

要因について明らかにしつつ、消費者の特定ブランド選択の要因となりそうな概念の既存研究を

レビューする。続く第 3 章では、レビューに基づいて本論独自の仮説を設定する。そして、第 4

章では消費者調査を実施し、得られたデータを用いて実証分析を行い、設定した仮説の経験的妥

当性を吟味する。最後に、第 5 章では本論の学術的インプリケーションと本論の限界、および今

後の展望について言及する。

第 2章 既存研究レビュー

第 1節 コモディティ化に関する既存研究

第 1項 コモディティ化のレビュー

上述したように、本論ではミネラルウォーターに焦点を当てる。ミネラルウォーターに焦点を

当てる理由は、一般的にミネラルウォーターは味による差別化が困難という特徴を有しているた

め、消費者が商品間の違いを認識することは難しいからである。つまり、ミネラルウォーター市

場は消費財におけるコモディティ市場の代表例であると言える。

小川(2011)によると、「コモディティ化とは製品やサービスの間に価格以外の違いが無い、

または違いがあっても買い手にとっては同等とみなしても問題ないという状況に商品が陥って

しまうこと」である。コモディティ市場は 2 種類に分類されている。第 1 は、純コモディティ市

場である。純コモディティ市場とは、それぞれの商品において標準的な仕様が存在し、製品ライ

ンや等級がほとんどない市場である。第 2 は、価格/パフォーマンス・コモディティ市場である。

価格/パフォーマンス・コモディティ市場は商品のパフォーマンスあたりの価格を競合商品間で

比較することによって購買意思決定がなされる。したがって、価格の重要度は純コモディティ市

場の方がより高い。以上のことをまとめると、コモディティ化は、商品が同質的と顧客に見なさ

れることやパフォーマンスあたりの価格の商品間比較が容易になることにより、競争次元が以前

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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より価格に集中するようになる現象である。また、商品間は異質であってもそれが顧客にとって

重要な次元でなければ、当然差別化とはならない(Porter, 1985)。

コモディティ化という現象がなぜ今日の市場問題として注目されるようになったのだろうか。

原田(1998)は適用市場の広さと市場の成熟化の早期化にあると述べている。また、恩蔵(2007)

は、コモディティ化は必然とはしないまでも、どの市場においても生じる可能性があると指摘し

ている。その理由として、コモディティ化要因の多くは市場の成熟化に起因し、どの市場も必ず

成熟するからである(Rangan and Bowma, 1992)。つまり、企業は他社との差別化を行うことに

より、一人でも多くの消費者に自社の商品を購入してもらい、利益を上げたいと考えている。そ

のため、企業にとってコモディティ化は深刻な問題であり、避けなければいけない重要課題であ

ると言える。

第 2項 コモディティ化要因のレビュー

コモディティに関する既存研究では、コモディティ化についての再定義やコモディティ化の要

因についての研究、新しい付加価値戦略の提案を行うものがほとんどである。鈴木(2012)はコ

モディティ化の要因について、消費者要因、競争要因、および企業要因の 3 つに分類している。

消費者要因は、市場におけるブランド・製品が以前よりも同質的であると知覚する、もしくは

異質的であると知覚しても製品の特性や便益よりも価格の方が重要であると捉える要因のこと

である。消費者要因として、関与度・製品知識の低い消費者の主要顧客化(青木,2011)、消費

者の製品知識の蓄積と関与度の低下(和田,1998)、オーバーシュート(延岡,2006)が指摘さ

れている。

まず、関与度・製品知識の低い消費者の主要顧客化についてである。関与度とは、対象や状況

などにより、活性化された目的志向状態であり、情報処理や意思決定の水準を規定する変数であ

る(青木,1989)。また、関与度は消費者の中心的な価値と結び付く際に高くなる傾向にある(青

木,2010)。もう一方の製品知識とは、消費者が製品の属性やブランドに対して持つ知識を指し、

ブランド間の知覚差異の元となる(池尾,2011)。つまり、ブランドに対してこだわりが無く、

製品間の違いがわからない消費者が主要顧客となることにより、価格情報が購買意思決定の重要

な情報となると考えられる。

第 2 の製品知識の増加と関与度の低下は、消費者個人内の変化を示す。購買経験・使用経験に

よって、製品間の比較が容易となる。消費者があるブランドを使用することにより、一度その商

品を評価する。そして、その商品がどのようなものなのかを知ることにより、次回以降の購買の

際にその商品を基準に購買を考慮する。また、満足な商品を反復購買することにより、リスク回

避や情報処理行動の簡略化を招き、製品の購買や消費に飽きが生じることで、低関与化が生じる

危険性がある(和田,1998)。

第 3 のオーバーシュートとは、基本的な機能について顧客が必要とする水準を超えることを意

味する(延岡,2006)。要するに、過剰性能になることである。消費者が商品の基本的な便益に

満足していて、その後に提供する特性・便益の向上をしても、顧客はその属性に対してはお金を

支払わないということである。

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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競争要因とは市場における企業間競争に関する要因であり、市場の成熟化を背景とする消費者

による製品間の比較容易さと製品間の同質的な知覚をもたらす要因である。具体的な要因として、

価値次元の可視性の増大、標準化、技術水準の同質化が指摘されている。

まず、価値次元の可視性とはその製品にユニークな価値を普遍的かつ客観的に測定可能な特定

少数次元に基づいて把握できる程度である(楠木,2011)。コモディティ化している商品の場合

では、製品の特性では違いを認識することが難しいため、価格という最も可視性が高い価値次元

での競争となり、価格競争に陥ると指摘されている。価値次元の可視性が高くなると、競合他社

にとっては模倣しやすく、製品の研究開発が同質的になると考えられる。その結果、同質的な商

品が多く存在するコモディティ市場に陥ってしまうと考えられる。

企業要因とは、企業が脱コモディティ化の施策を実施する際の困難さを指す。楠木(2011)は、

企業が脱コモディティ化しようとすればするほどコモディティ化に陥る可能性があると指摘し

ている。脱コモディティ化をするためには、競合他社とは異なる付加価値を提供しなければなら

ない。しかし、そのための製品開発費の投資額と利益の予測が難しい。また、行った施策が消費

者に受け入れられるとは限らない。そのため、マーケターの意思決定は価値次元の可視性が高い

ものの投資に偏る傾向がある。可視性が高いものとして、価格が考えられる。つまり、価格競争

に陥りやすくなると考える。このようなことが原因で、コモディティ化商品は価格競争にも陥り

やすいという特徴を有している。

以上のようなコモディティ化の消費者要因研究を鑑みると、消費者の関与の低下と商品が提供

する便益がコモディティ化の要因に大きな影響を与えていると考えることができる。つまり、消

費者の関与の低下により、商品間の違いが認知できなくなっていることと、商品自体が同質化し

てしまい、コモディティ化を招いてしまっていると考える。

第 2節 関与に関する既存研究

消費者の購買行動を研究する上で、関与概念は消費者の購買に費やす努力や情報処理の程度

を説明する上で重要な概念である。関与が高い、低いという違いによって、消費者行動が異なる。

しかし重要な概念である一方、関与概念の適用領域は広く、各研究者の間で十分な意見の一致が

得られていないという指摘がある(青木,1990)。関与は、意思決定プロセス、説得的コミュニ

ケーション、学習階層、広告効果、ブランド選択、ブランド・ロイヤルティや態度の測定、認知

構造や反応に関わる研究、あるいは製品や消費者等の類型に関わる研究において、それらの説明

変数あるいは媒介変数として扱われてきた。杉本(1997)は関与の概念を次のようにまとめてい

る。

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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図表1 関与に関する分類と定義

自我関与 事物または考えが個人の価値体系の中心に関連する程度を指

す。

コミットメント ある問題の特定の立場への関与を指す。

コミュニケーション関与 特定の時に起こり、一時的なコミュニケーションに対する関与

を指す。

購買関与 自我関与や知覚リスクなどによって変化することを指す。

反応関与 消費者の意思決定全般を特徴づける認知過程および行動家庭の

複雑性を指す。

永続的関与 購入場面と独立して存在し、自我または快楽的楽しさとの関連

程度によって動機づけられることを指す。

状況関与 ある状況がその状況においてその人の行動に対する関心を引き

起こすことを指す。

問題関与 個人の要求、価値に関連するものであり、そのものに対する関

与を指す。

製品関与 購買目標が無い時に、リスクに基づかず、製品と個人の欲求・

価値・自己概念との関連の強度によって生じる関与を指す。

認知的関与 ブランドの性能を強調する功利的動機から生じるものを指す。

感情的関与 実際の自己像や理想の自己像を表現する側面に情緒的に美的に

アピールする価値表出的動機から生じる関与を指す。

意思決定関与 消費者がブランドに対する行動を決めるために使っている認知

的努力の程度を規定する構成体を指す。

出所)杉本(2011),165頁を参考に加筆・修正。

以上のように、関与については様々な分類・定義が存在しているため、研究者の間で関与に関

する定義が定まっていないという現状を招いている。

関与に関する定義が定まっていないと述べたが、青木(1989)は対象特定関与について、消費

者個人がある特定の製品、ブランド、店舗、広告に対して示す関与であり、当該対象物と消費者

個人の価値体系との関わりあいの中において規定されるものを指すと定義している。このタイプ

の関与は、対象が個人の価値体系の中に占める重要度を基盤としており、消費者個人にとって重

要なものであるほど対象に対する関与は高くなる。また、西原(2013)は、対象製品知識の保有

や対象が消費者の価値体系と結び付いていることが前提となっているため、関与の対象は主に製

品であると主張している。

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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杉本(1997)は関与の程度を①きわめて低関与、②低関与、③高関与の3つに分類し、それぞ

れの特徴を以下のように述べている。

(1)きわめて低関与:非常になじみのあるメッセージや重要でないメッセージ、文脈とは関係

が無いメッセージでも商品訴求効果を持つ。また、刺激性が高いほどよく、話題性や流行

に乗ったものなどのブランド・イメージ形成やブランド再認の手掛かりになるようなもの

が重視される。

(2)低関与:理解を可能にする文脈が必要である。信頼できる情報源や賛成できるメッセージ

などが効果を持つ。また、製品の使用方法などを説明することも効果がある。

(3)高関与:賛成しかねるメッセージや十分に説得力のあるメッセージにもきちんと反応する。

そのブランドに対して抵抗があれば、一方的なメッセージは信頼できないものと捉える。そ

のブランドに好意的なものの場合は、結論をはっきり言わなくても自分で結論を補って理解

する。また、ブランドの特徴を列挙してもそれぞれをきちんと評価する。

上記の水準を製品にあてはめて、本研究では購買するまでに多くの情報を入手・処理を必要と

し、他製品との比較を行った上で購買する製品を高関与製品とし、購買する際にあまり情報を必

要とせず、その場で購買するか判断するものを低関与製品である。

第 3章 仮説の提唱

前章において、コモディティ化の要因の 1 つである同質化と、消費者の製品に対する関与に

ついてレビューした。本研究の課題である、コモディティ商品における購買行動を明らかにする

ために、同質性と関与を高低という 2 つの水準に分け、(1)同質性が高く、低関与な商品として

ミネラルウォーター、(2)同質性が高く、高関与な商品として携帯電話、(3)同質性が低く、低

関与な商品としてファーストフード、(4)同質性が低く、高関与な商品としてブランド品の 4

つに分類する。この 4 つの分類を以下の表にまとめる。

図表 2 製品の分類

高関与 低関与

同質性が高い 携帯電話 ミネラルウォーター

同質性が低い ブランド品 ファーストフード

この 4 つに分類したそれぞれの製品が提供する便益の違いを明らかにし、各要因間の因果関係

を仮説化する。商品が提供する便益は機能的便益、情緒的便益、自己表現的便益の 3 つである。

機能的便益とは、ブランドが持つ機能面の特徴やメリットのことである。例えば、パンクしても

走れるフラットレスタイヤなどのことを指す。情緒的便益とは、ブランドが持つ情緒面の特徴や

メリットのことである。例えば、メルセデスベンツは成功者の象徴的なイメージがある。このよ

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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うな機能面以外のイメージのことを指す。自己表現的便益とは、ブランドが持つ自己表現面の特

徴やメリットのことである。例えば、BMW は上質な走りだけではなく、エネルギッシュで若々

しいイメージを持っている。一方、メルセデスベンツは落ち着いた大人の乗り物といった印象が

ある。これらのイメージの違いが消費者の自己表現の一環として選択される。この 3 つが顧客の

感じる便益である。

そこで、本節では、関与と同質性によって分類した 4 つの製品が機能的便益、情緒的便益、自

己表現的便益それぞれにどのような影響を及ぼすのかということについて、各要因間の因果的関

係を仮説化する。

第 1節 機能的便益についての仮説

内海(2007)は、低関与商品は機能的側面での顧客満足はある程度高いと主張している。こ

の主張に基づくと、低関与商品の機能的便益は高いと考えられる。低関与は、消費者にとっての

重要性が低く、最低限の機能を有していれば消費者は満足すると考えられる。一方で高関与商品

は、消費者にとっての重要性が高く、より自分の価値体系に合った商品を購入すると考える。自

分に合った商品を見つけるために消費者は製品の機能について他の製品との比較など行い、購入

の意思決定を行う。消費者の製品に対する満足の基準は高く、その満足の基準を超える商品は少

なくなるであろう。したがって、以下の仮説を提唱する。

仮説 1:同質性が高く、低関与な製品は機能的便益が高くなる。

仮説 2:同質性が高く、高関与な製品は機能的便益が低くなる。

仮説 3:同質性が低く、低関与な製品は機能的便益が高くなる。

仮説 4:同質性が低く、高関与な製品は機能的便益が低くなる。

第 2節 情緒的便益についての仮説

内海(2007)によると、消費者は商品選択の際、目に見えない価値による合理的ではない判

断を絶えず行っていると主張している。この主張に基づくと、消費者はどのような製品であって

も、商品のイメージなどによる情緒的側面から商品の価値を見出していると考える。したがって、

以下の仮説を提唱する。

仮説 5:同質性が高く、低関与な製品は情緒的便益が高くなる。

仮説 6:同質性が高く、高関与な製品は情緒的便益が高くなる。

仮説 7:同質性が低く、低関与な製品は情緒的便益が高くなる。

仮説 8:同質性が低く、高関与な製品は情緒的便益が高くなる。

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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第 3節 自己表現的便益についての仮説

Leibenstein(1950)は、消費者には、流行しているものや一般大衆が所持しているものとは別

のものを持ちたいという欲求があり、これを「スノッブ効果」と呼び、稀少性を嗜好する傾向が

ある、と主張している。このことから、同質性が高い商品はどの製品も似たようなものになるた

め「スノッブ効果」が働き、消費者に選好されにくいと考える。一方で、同質性が低い製品は製

品によって提供する便益が異なるため、消費者は自分に合った好きな製品を選択すると考える。

したがって、以下の仮説を提唱する。

仮説 9:同質性が高く、低関与な製品は自己表現的便益が低くなる。

仮説 10:同質性が高く、高関与な製品は自己表現的便益が低くなる。

仮説 11:同質性が低く、低関与な製品は自己表現的便益高くなる。

仮説 12:同質性が低く、高関与な製品は自己表現的便益が高くなる。

第 4節 購買に関する仮説

Aaker(1997)によると、ブランドは機能的便益、情緒的便益、自己表現的便益の 3 つの便益

を含む価値提案を行うことによって、顧客との関係を確立すると主張している。このことから、

どのような製品でもこの 3 つの便益を備えており、製品がもたらす便益の違いによって消費者の

購買に影響を与えると考える。したがって以下の仮説を提唱する。

仮説 13:機能的便益は購買に正の影響を及ぼす。

仮説 14:情緒的便益は購買に正の影響を及ぼす。

仮説 15:自己表現的便益は購買に正の影響を及ぼす

第 4章 実証分析

第1節 分析方法の吟味

前章で提唱した本論の仮説の経験的妥当性を吟味するため、因子分析、分散分析、回帰分析の

3つの手法を用いた。分散分析とは、複数の平均値の間での差を検討するために用いられる技法

である。2つの平均値の差を求める場合はt検定を用いるが、本研究では4つの平均の差を求める

ため、分散分析を行う。また、便益の購買に対する関係を検討するために回帰分析を用いる。分

析の目的は、①同質性が高く、低関与な製品、②同質性が高く、高関与な製品、③同質性が低く、

低関与な製品、④同質性が低く、高関与な製品の4つの製品が提供する機能的便益、情緒的便益、

自己表現的便益の3つの便益の差を比較し、3つの便益の購買に対する関係を検討することである。

したがって、本論の仮説を実証するための分析手法として、分散分析と回帰分析を採用すること

は妥当であると考えられる。分析に際しては、IBM SPSS Statistics 20を使用した。

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

119

第 2節 調査の概要

調査協力者は、便宜的に抽出された大学生男女 52 名であり、そのうち有効回答者数は 50 人

で、有効回答率は 96.2%であった。本論における諸概念について、機能的便益は Petroshius and

Crocker(1989)から、情緒的便益は Moore(1997)から、自己表現的便益は Fournier(2009)を

参考にして、本論独自に測定尺度を開発した。回答者には、(1)同質性が高く、低関与な製品と

してミネラルウォーター、(2)同質性が高く、高関与な製品としてファーストフード、(3)同質

性が低く、低関与な製品として携帯電話、(4)同質性が低く、高関与な製品としてブランド品の

4 製品に関する、機能的便益、情緒的便益、自己表現的便益の各概念についての質問に回答する

よう依頼した。調査対象を大学生に限定することによって、調査協力者間での年代や普段使用し

ている製品が統一されるため、それらの等質性が認められるであろう。よって大学生に限定した

今回の調査対象には、幾分かの妥当性があると考えられる。調査に採用された尺度法は 7 点リカ

ート尺度であり、回答者は 7 段階の度合いによって示された「まったくそう思わない」から「か

なりそう思う」までの中から 1 つを選択するよう求めた。

第 3節 多重比較分析の結果

仮説の経験的妥当性を吟味するために、同質性と関与において 4 つに分類した製品について、

機能的便益、情緒的便益、自己表現的便益の差を求めるために、多重比較分析を行った。また、

購買を従属変数、3 つの便益を独立変数とする回帰分析を行った。なお、回帰分析に先だって各

概念について因子分析を実行し、そこで得られた因子得点を回帰分析に利用した。

第 1 項 機能的便益に関する分析結果

機能的便益の等分散性の有意確率は 0.074 で、4 水準間で等分散と見なせる数値が出力された。

また、分散分析を見てみると、有意確率は 1%水準で有意差が見られた。また、多重比較分析の

結果と各分類の平均値を以下の表にまとめる。機能的便益の多重比較分析の結果を見てみると、

携帯電話とブランド品以外の製品には有意な差がみられた。また各分類の平均値は、ミネラルウ

ォーターが-0.562、ファーストフードが-0.338、携帯電話が 0.352、そして、ブランド品が 0.548

であった。このことから、機能的便益はブランド品、携帯電話、ファーストフード、ミネラルウ

ォーターという順に機能的便益が高くなることが明らかになった。

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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図表 3 機能的便益の多重比較分析結果

(I)分類 (J)分類 平均値の差 有意確率

ミネラルウォーター

ファーストフード -0.224 1%水準で有意

携帯電話 -0.915 1%水準で有意

ブランド品 -1.110 1%水準で有意

ファーストフード

ミネラルウォーター 0. 224 1%水準で有意

携帯電話 -0.691 1%水準で有意

ブランド品 -0.886 1%水準で有意

携帯電話

ミネラルウォーター 0.915 1%水準で有意

ファーストフード 0.691 1%水準で有意

ブランド品 -0.196 非有意

ブランド品

ミネラルウォーター 1.110 1%水準で有意

ファーストフード 0.886 1%水準で有意

携帯電話 0.196 非有意

図表 4 機能的便益の平均値

第 2項 情緒的便益に関する分析結果

情緒的便益の等分散性の有意確率は 0.057 で、4 水準間で等分散と見なせる数値が出力された。

また、分散分析を見てみると、有意確率は 1%水準で有意差が見られた。また、多重比較分析の

結果と各分類の平均値を以下の表にまとめる。情緒的便益の多重比較分析の結果を見てみると、

ミネラル

ウォーター

ファースト

フード 携帯電話 ブランド品

系列1 -0.562 -0.338 0.352 0.548

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

121

携帯電話とブランド品以外の製品には有意な差がみられた。また各分類の平均値については、ミ

ネラルウォーターが 0.670、ファーストフードが-0.774、携帯電話が-0.060、ブランド品が 0.164

という数値が出力された。このことから、情緒的便益はミネラルウォーター、ブランド品、携帯

電話、ファーストフードという順に情緒的便益が高くなることが明らかになった。

図表 5 情緒的便益の多重比較分析結果

(I)分類 (J)分類 平均値の差 有意確率

ミネラルウォーター

ファーストフード 1.445 1%水準で有意

携帯電話 0.730 1%水準で有意

ブランド品 0.507 1%水準で有意

ファーストフード

ミネラルウォーター -1.445 1%水準で有意

携帯電話 -0.715 1%水準で有意

ブランド品 -0.938 1%水準で有意

携帯電話

ミネラルウォーター -0.730 1%水準で有意

ファーストフード 0.715 1%水準で有意

ブランド品 -0.224 非有意

ブランド品

ミネラルウォーター -0.507 1%水準で有意

ファーストフード 0.938 1%水準で有意

携帯電話 0.224 非有意

図表 6 情緒的便益の平均値

ミネラル

ウォーター

ファースト

フード 携帯電話 ブランド品

系列1 0.670 -0.774 -0.060 0.164

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

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第 3項 自己表現的便益に関する分析結果

自己表現的便益の等分散性の有意確率は 0.097 で、4 水準間で等分散と見なせる数値が出力さ

れた。また、分散分析を見てみると、有意確立は 1%水準で有意差が見られた。また、多重比較

分析の結果と各分類の平均値を以下の表にまとめる。自己表現的便益の多重比較分析の結果を見

てみると、ミネラルウォーターとファーストフード、携帯電話とブランド品以外の製品には有意

な差がみられた。また各分類の平均値については、ミネラルウォーターが-0.386、ファーストフ

ードが-0.494、携帯電話が 0.275、ブランド品が 0.605 という数値が出力された。このことから、

自己表現的便益はブランド品、携帯電話、ミネラルウォーター、ファーストフードという順に自

己表現的便益が高くなることが明らかになった。

図表 7 自己表現的便益の多重比較分析結果

(I)分類 (J)分類 平均値の差 有意確立

ミネラルウォーター

ファーストフード 0.109 非有意

携帯電話 -0.660 1%水準で有意

ブランド品 -0.991 1%水準で有意

ファーストフード

ミネラルウォーター -0.109 非有意

携帯電話 -0.769 1%水準で有意

ブランド品 -1.100 1%水準で有意

携帯電話

ミネラルウォーター 0.660 1%水準で有意

ファーストフード 0.769 1%水準で有意

ブランド品 -0.331 非有意

ブランド品

ミネラルウォーター 0.991 1%水準で有意

ファーストフード 1.100 1%水準で有意

携帯電話 0.331 非有意

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

123

図表 8 自己表現的便益の平均値

第 4節 回帰分析の結果

第 1項 モデルの全体的妥当性

機能的便益、情緒的便益、自己表現的便益の 3 つの便益と購買における因果的関係を推定する

ために共生投入法による最小二乗法を用いた回帰分析を行った。モデルの全体的評価に関する指

標は図表 8 にまとめられるとおりである。購買を従属変数とするモデルは、F 値が 53.678 であ

った。そして、その有意確率は 0.000 であり、1%水準で有意であった。したがって、モデルの

安定性は高いと考えられる。また、モデル全体における R2は 0.451 であり、調整済み R

2は 0.443

であった。これらの数値から、推定されたモデルの説明力は高いと判断できる。

図表 9 モデルの全体的評価

F 値 53.678

F 値の有意確率 <0.000

R2 0.451

調整済み R2 0.443

第 2項 モデルの部分的妥当性

モデルの部分的評価について、以下の図表 9 のような結果となった。機能的便益の標準化係数

は 0.537、t 値は 10.054 であり、1%水準で有意であった。情緒的便益の標準化係数は、0.273、t

値は 5.157 であり、1%水準で有意であった。そして、自己表現的便益の標準化係数は 0.207、t

値は 3.884 で、1%水準で有意であった。

ミネラル

ウォーター

ファースト

フード 携帯電話 ブランド品

系列1 -0.386 -0.494 0.275 0.605

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

124

図表 10 便益の部分的評価

標準化係数 t 値 (有意確率)

機能的便益 0.537 10.054 1%水準で有意

情緒的便益 0.273 5.157 1%水準で有意

自己表現的便益 0.207 3.884 1%水準で有意

第 5節 多重比較分析結果の考察

第 1項 機能的便益に関する考察

機能的便益についての分析結果から、ブランド品、携帯電話、ファーストフード、ミネラル

ウォーターという順に機能的便益が高く見られた。したがって、仮説 1、仮説 2、仮説 3、仮説 4

は経験的に支持されなかった。つまり、機能面において低関与商品より高関与商品の方がより重

視されるということが明らかになった。このことから、高関与な商品ほど機能的便益を重視する

傾向があり、また同質性が低い商品の方が高い商品と比べて機能的便益が重視されるという知見

を得ることができた。同質性が高い商品は機能面での差別化が困難という特徴を有しているため、

このような結果になったと考える。

第 2項 情緒的便益に関する考察

情緒的便益についての分析結果から、ミネラルウォーター、ブランド品、携帯電話、ファース

トフードという順に情緒的便益が高く見られた。したがって、仮説 5、仮説 8 は経験的に支持さ

れ、仮説 6、仮説 7 は経験的に支持されなかった。つまり、消費者は目に見えない価値による判

断を行うが、良い側面だけでなく、悪い側面からも価値判断を行うことが明らかになった。この

ことから、情緒的便益は同質性や関与の高低には関係が無いという知見を得ることができた。情

緒的便益は商品に対するイメージなので、ミネラルウォーターでは純粋な水というイメージから

の安全性や信頼、ブランド品ではブランドが持つ信頼性により、このような結果になったと考え

られる。つまり、コモディティ商品でもイメージによる差別化を行うことによって差別化を行う

ことが有効であると言える。

第 3項 自己表現的便益に関する考察

自己表現的便益についての分析結果から、ブランド品、携帯電話、ミネラルウォーター、ファ

ーストフードという順に自己表現的便益が高く見られた。したがって、仮説 9、仮説 10、仮説

11、仮説 12 は経験的に支持された。つまり、関与が高いほど自分にとって重要なモノとなり、

身につけることによって個性を顕示するようになることが明らかになった。このことから、自己

表現的便益は機能的便益と同様に関与が高いほど自己表現的便益を重視する傾向があり、同質性

という側面はあまり影響が無いという知見を得ることができた。また、高関与商品は低関与商品

と比較して高い数値となった要因として、自己表現的便益は商品を使用する際の顕示的欲求であ

り、低関与商品では自己表現という便益は重視されないということが考えられる。

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

125

第 5節 回帰分析結果の考察

第 1項 機能的便益に関する考察

機能的便益についての分析結果から、購買に正の影響を及ぼすということが明らかになった。

したがって、仮説 13 は経験的に支持された。つまり、消費者は製品を購買する際に、機能的側

面を重視するという知見を得ることができた。このことから、消費者は製品自体の性能の高低に

より、購買の意思決定を行うと考えられる。

第 2項 情緒的便益に関する考察

情緒的便益についての分析結果から、購買に正の影響を及ぼすということが明らかになった。

したがって、仮説 14 は経験的に支持された。つまり、消費者は製品を購買する際に、情緒的側

面を重視するという知見を得ることができた。このことから、消費者は製品から知覚するイメー

ジにより、購買の意思決定を行うと考えられる。

第 3項 自己表現的便益に関する考察

自己表現的便益についての分析結果から、購買に正の影響を及ぼすということが明らかになっ

た。したがって、仮説 15 は経験的に支持された。つまり、消費者は製品を購買する際に、自己

表現を目的として製品を購買するという知見を得ることができた。このことから、消費者は製品

を利用または所持することにより、他者に個性を顕示することを目的として購買の意思決定を行

うと考えられる。

第 5章 おわりに

第1節 学術的インプリケーション

本論は、「コモディティ製品は他の製品と比較してどのような側面を評価され購買されるのか」

という研究課題について、既存研究を整理し、実証分析を行った。そのような本論は以下のよう

な学術的インプリケーションを提供している。

本論では、状況による消費者関与ではなく、製品に対する関与でコモディティ商品の購買要因

を測定したことにより、純粋な各製品の購買要因の差を明らかにすることができたと考えられる。

また、既存研究では、コモディティ商品に対しての差別化戦略の提案が主であったが、本論で

はコモディティ商品に対する消費者の購買要因を明らかにしたという点があげられる。このこと

から、コモディティ製品は情緒的便益を強化する差別化戦略を行うことによって、顧客の維持・

獲得が可能となることを示唆している。

かくして本論は、既存研究の知見を統合しながら、さらに新たな知見を提供しており、コモデ

ィティ化研究の進展について学術的貢献をなしていると言えるであろう。

第2節 本論の限界

以上のような成果をあげた本論だが、他方でいくつかの限界が指摘されるであろう。第 1 に、

調査サンプルについて、サンプル数が少なかったことである。一定の知見は得られたものの、そ

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

126

れをより一般化するためには、より多くのサンプルを収集する必要がある。第 2 に、製品分類が

機械系と食品系に偏ってしまったことである。1 つの業界内で製品を 4 つに分類することができ

れば、より正確な購買要因の差が導出されたかもしれない。第 3 に、コモディティ商品がミネラ

ルウォーターに限定されたことがあげられる。他のコモディティ商品で研究を行えば、異なる結

果が導出される可能性がある。それゆえ、コモディティ商品に関して、限定的なとらえ方になっ

てしまったことが限界といて指摘される。したがって、この部分に関しては、調査方法を再検討

することが望まれよう。

第3節 今後の課題

いくつかの限界が指摘されるものの、本論の成果に基づいて今後、次のような研究の展開が期

待される。まず、本論は、関与については製品関与にのみ焦点を当てている。今後さらなる研究

の発展を期待するのであれば、製品関与以外の様々な関与についても考慮に入れて研究を行う必

要がある。例えば、消費者の状況が異なれば、製品に対する関与も異なるものになる。状況とい

う要因を考慮することによって実証分析を行えば、研究をさらに深められることが期待できる。

また、同一業界内で製品分類を行う必要がある。本論では業界が異なった製品分類で分析を行

ったが、業界を統一することにより、各業界におけるコモディティ商品の購買要因や行うべき戦

略についてのメカニズムを明らかにできるかもしれない。

以上のような課題はあるものの、本論は一定の成果をあげ、さらに今後の研究の展開に一石を

投じたものであると結論付けられるであろう。

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和田充夫(1998),『関係性マーケティングの構図:マーケティング・アズ・コミュニケーション」,

有斐閣。

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

128

現在、コモディティ商品の購買行動について論文を執筆しています。つきましては、消費

者意識のデータを必要としており、以下の調査にご協力いただければ幸いです。なお、収

集されたデータは、統計的に処理されるだけであり、個人を特定する情報が外部に流出す

ることは絶対にございません。また、記入漏れがございますと、折角のご回答が利用でき

なくなってしまいますのでご注意ください。

大変ご面倒とは思いますが、以上の趣旨をご理解いただきまして、ご協力をお願い申し上

げます。

東京経済大学経営学部森岡耕作ゼミナール

4年 中村亮太

連絡先:10b3127 @tku.ac.jp

補録 調査票

消費者意識調査

あなたは、ミネラルウォーターを普段から飲んでいると仮定して、以下の質問

に答えてください。

かなりそう思う

そう思う

ややそう思う

どちらでもない

あまり

そう思わない

そう思わない

全く

そう思わない

1-1 この製品の備えておくべき品質は高い。 1 2 3 4 5 6 7

1-2 この製品は、価格に見合う価値がある。 1 2 3 4 5 6 7

1-3 他の飲料と比べてもこの製品の品質は高い。 1 2 3 4 5 6 7

1-4 この製品から感じられる技術は高い。 1 2 3 4 5 6 7

2-1 この製品を使用すると、得した気分になる。 1 2 3 4 5 6 7

2-2 この製品は、安心して利用できる。 1 2 3 4 5 6 7

2-3 この製品は、信頼できる。 1 2 3 4 5 6 7

2-4 この製品は、とても魅力的である。 1 2 3 4 5 6 7

3-1 この製品は、個性を引き出してくれる。 1 2 3 4 5 6 7

3-2 この製品を使用することで、他者に良い印象を

与えることができる。 1 2 3 4 5 6 7

3-3 この製品を使用すると、気分がいい。 1 2 3 4 5 6 7

3-4 この製品は、私に合う製品である。 1 2 3 4 5 6 7

3-5 この製品を利用して、周囲に見せたい。 1 2 3 4 5 6 7

4-1 この製品を購入したい。 1 2 3 4 5 6 7

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

129

あなたは、マクドナルドを普段から利用していると仮定して、以下の質問に答

えてください。

かなりそう思う

そう思う

ややそう思う

どちらでもない

あまり

そう思わない

そう思わない

全く

そう思わない

1-1 この製品の備えておくべき品質は高い。 1 2 3 4 5 6 7

1-2 この製品は、価格に見合う価値がある。 1 2 3 4 5 6 7

1-3 他のファーストフード店と比べても、この製品

の品質は高い。 1 2 3 4 5 6 7

1-4 この製品から感じられる技術は高い。 1 2 3 4 5 6 7

2-1 この製品を使用すると、得した気分になる。 1 2 3 4 5 6 7

2-2 この製品は、安心して利用できる。 1 2 3 4 5 6 7

2-3 この製品は、信頼できる。 1 2 3 4 5 6 7

2-4 この製品は、魅力的である。 1 2 3 4 5 6 7

3-1 この製品は、個性を引き出してくれる。 1 2 3 4 5 6 7

3-2 この製品を使用することで、他者にいい印象を

与えることができる。 1 2 3 4 5 6 7

3-3 この製品を使用すると、気分がいい。 1 2 3 4 5 6 7

3-4 この製品は、私に合う製品である。 1 2 3 4 5 6 7

3-5 この製品を利用して、周囲に見せたい。 1 2 3 4 5 6 7

4-1 この製品を購入したい。 1 2 3 4 5 6 7

あなたが利用している携帯電話について、以下の質問に答えてください。

かなりそう思う

そう思う

ややそう思う

どちらでもない

あまり

そう思わない

そう思わない

全く

そう思わない

1-1 この製品の備えておくべき品質は高い。 1 2 3 4 5 6 7

1-2 この製品は、価格に見合う価値がある。 1 2 3 4 5 6 7

1-3 他の携帯会社の製品と比べても、この製品の品

質は高い。 1 2 3 4 5 6 7

1-4 この製品から感じられる技術は高い。 1 2 3 4 5 6 7

2-1 この製品を使用すると、得した気分になる。 1 2 3 4 5 6 7

2-2 この製品は、安心して利用できる。 1 2 3 4 5 6 7

2-3 この製品は、信頼できる。 1 2 3 4 5 6 7

2-4 この製品は、魅力的である。 1 2 3 4 5 6 7

3-1 この製品は、個性を引き出してくれる。 1 2 3 4 5 6 7

3-2 この製品を使用することで、他者にいい印象を 1 2 3 4 5 6 7

中村亮太「コモディティ商品における購買要因の特定」

130

与える。

3-3 この製品を使用すると、気分がいい。 1 2 3 4 5 6 7

3-4 この製品は、私に合う製品である。 1 2 3 4 5 6 7

3-5 この製品を利用して、周囲に見せたい。 1 2 3 4 5 6 7

4-1 この製品を購入したい。 1 2 3 4 5 6 7

あなたが利用しているブランド品について、以下の質問に答えてください。

かなりそう思う

そう思う

ややそう思う

どちらでもない

あまり

そう思わない

そう思わない

全く

そう思わない

1-1 この製品の備えておくべき品質は高い。 1 2 3 4 5 6 7

1-2 この製品は、価格に見合う価値がある。 1 2 3 4 5 6 7

1-3 競合ブランドと比較しても、この製品の品質は

高い。 1 2 3 4 5 6 7

1-4 この製品から感じられる技術は高い。 1 2 3 4 5 6 7

2-1 この製品を使用すると、得した気分になる。 1 2 3 4 5 6 7

2-2 この製品は、安心して利用できる。 1 2 3 4 5 6 7

2-3 この製品は、信頼できる。 1 2 3 4 5 6 7

2-4 この製品は、魅力的である。 1 2 3 4 5 6 7

3-1 この製品は、個性を引き出してくれる。 1 2 3 4 5 6 7

3-2 この製品を使用することで、他者にいい印象を

与える。 1 2 3 4 5 6 7

3-3 この製品を使用すると、気分がいい。 1 2 3 4 5 6 7

3-4 この製品は、私に合う製品である。 1 2 3 4 5 6 7

3-5 この製品を利用して、周囲に見せたい。 1 2 3 4 5 6 7

4-1 この製品を購入したい。 1 2 3 4 5 6 7

記入漏れはありませんか? はい いいえ

質問は以上で終わりです。ご協力ありがとうございました。