media literacy part 4

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メディア・リテラシー 4

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Page 1: Media Literacy Part 4

メディア・リテラシー4

Page 2: Media Literacy Part 4

コードと意味伝達

• コミュニケーションにおいて伝達する事柄は、送り手の頭の中にある

• 送り手は、頭の中にある事柄を意味内容として表現するメッセージを読み手に対して発信する

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• 読み手はメッセージを正しく読み取った時の意味内容が送り手の伝達したい事だと考える

• 最も理想的なコミュニケーションとは送り手の頭の中にある意味内容が、読み手の頭の中に正確にコピーされる事

Page 4: Media Literacy Part 4

• 送り手と読み手の間で意味内容の直接的なコピーが不可能であるところに、意味内容を伝達する手段としてのメッセージの存在理由がある

Page 5: Media Literacy Part 4

• 次に問題となるのは、メッセージの作成と読み取りのメカニズム

• 送り手:意味内容→メッセージ• 読み手:メッセージ→意味内容

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• この対称的な操作において• 送り手が意味内容からメッセージを作成することを記号化と呼ぶ

• 読み手がメッセージから意味内容を再構成する事を解読と呼ぶ

Page 7: Media Literacy Part 4

• コミュニケーションの成功は、読み手による解読の結果として発生した意味内容が、送り手が記号化の際に前提とした意味内容と一致すること

• 記号化と解読のそれぞれの過程は、完全に対称をなす事が理想的

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• コミュニケーションを成功させる最小限の条件

• 先の例として提示した「今は何時ですか?」を例に考える

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• 送り手が「今は何時ですか?」という意味内容をメッセージへの記号化へ成功したのは、第一に送り手が日本語を知っていたから

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• 受け手が日本語を知っていたから、メッセージを意味内容に解読する事ができた

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• この時、日本語はメッセージに使用される表現を二つの側面から定義する事ができる

Page 12: Media Literacy Part 4

• 「今は何時ですか?」• は「今」「は」「何時」「ですか」「?」といったメッセージに用いる事のできる表現群の要素を定義し、同時にそれぞれの表現に対応する意味内容を定義する

• これは、日本語の「辞書」としての側面

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• 「今+は+何時+ですか+?」といった表現同士の配列の仕方も定義する

• これは日本語の「文法」としての側面

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• 従って、コミュニケーションを成功させる最小限の条件とは、送り手と読み手が「日本語」という共通の辞書と文法に従うことによって、記号化・解読のプロセスが対称的に行われる事

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• コミュニケーションを成功させる最小限の条件とは、辞書と文法の規約としての日本語が送り手と読み手の双方に共有される事

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• これは、日本語や他の言語に留まらず、あらゆる記号を使用したコミュニケーションにあてはまる条件

• 送り手と読み手が同一の約束事に従って記号化・解読を行えば、プロセスは対称的なものとなり、その結果としてコミュニケーションは成功する

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• 例示した「日本語」の様な記号化・解読を行う際の約束事の事をコードと呼ぶ

• コードはメッセージを構成する記号の種類と、それぞれに対応する意味内容や、記号同士の結びつきを規定する規則の体系を指す

Page 18: Media Literacy Part 4

コミュニケーションの現実

• 送り手と受け手が、同一のコードを共有する事を条件に記号による意味伝達の可能性が生ずる

• 実際のコミュニケーションでは、コードの共有を条件とするだけでは、コミュニケーションの成立が説明できない

Page 19: Media Literacy Part 4

• 例えば「雪国は好きですか?」と言うメッセージがあったとする

• このメッセージの中で問題になるのは「雪国」という表現の解釈である

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• 一般名詞として解釈されるなら、日本語のコードに従って、降雪の多い地方が好きかどうかと言う質問になる

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• 一方、川端康成が記した小説『雪国』として解釈されたならば、その小説について尋ねられた事になる

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• これは、現実のコミュニケーションのプロセスに、コード以外の条件が関与する可能性を示唆している

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• なぜならば、仮に送り手と受け手の双方が「雪国」の意味内容を規定する二つのコード(一般名詞・固有名詞)を知っていたとしても、メッセージ自体からは、読み手がどちらを選択して解読すべきかを知る事ができない

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• この様に、コードが同一の表現に対応させる複数の意味内容からの選択や・コードに従って読み取られる意味内容を元にした推測・コードの効力が希薄な状況における読み取りを助ける何かがあるはず

Page 25: Media Literacy Part 4

• 「雪国は好きですか?」の例では、そのメッセージがおかれる文脈によって、意味内容の選択が可能になる

• 送り手と受け手が川端康成について会話をしているのなら、当然に小説『雪国』を指す

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• これは、現実のコミュニケーションの場面においては、読み手が、メッセージの外部にある様々な条件(例:文脈・場の状況・経験則がもたらす知識など)等を読み取ることによって、メッセージ本体の読み取りの手がかりを得ている事を示す

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• 現実に行われるコミュニケーションは、送り手や読み手が含まれる時間的・空間的な状況によって、様々な面からの関与を受けている

• これらメッセージの外部から記号化・解読のプロセスに関与する条件のことをコンテクストと呼ぶ

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読む行為を可能にする基本的条件

• 読むという行為の可能性を与え、その事によって記号を発生させる条件を考えてみる

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• コミュニケーションに参加する読み手がメッセージを正しく読み取る為には

• 送り手とメッセージが存在する• 送り手と同一のコードを身に付けていること

• 送り手と同一のコンテクストを参照すること

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• これらは、読むと言う行為を成立させる本質的な条件ではない

• なぜならば、今まで考察してきたのは「コミュニケーションの場」であるから

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• 我々が読み取りの対象とするものに、必ずしも送り手がいるわけではない

• 一例であるが、雲の流れから天候の変化を読み取る事がある

• 雲の流れる様子に送り手はいない

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• よって「送り手とメッセージが存在する」事は、読む行為を可能にする条件としては本質的ではない

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• 従って、送り手がいないのであれば、下記の条件も「送り手」の部分が不要

• 送り手と同一のコードを身に付けていること

• 送り手と同一のコンテクストを参照すること

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• コミュニケーションの場を前提にした為に、見落としている重大な条件がある

• 「読み手が読むと言う意志を持つこと」

• そもそも読もうという意志がないところに読むという行為は発生しない

Page 35: Media Literacy Part 4

• 読むと言う行為は、読み手が以下の条件を満たす事によって可能になる

• 読むと言う意志が存在すること• 何らかのコードを身に付けている事• 何らかのコンテクストを参照する事