media literacy part 6

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メディア・リテラシー 6

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Page 1: Media Literacy Part 6

メディア・リテラシー6

Page 2: Media Literacy Part 6

価値と恣意性

• 分節とは、コードを持ち込む事によって見出される差異に基づいて、対象世界を分類すること

• この時行われる分類は、価値という考え方に基づいて行われる

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• 「ラッパ」を例に考える• 「かっぱ」を対立項として持ち込む• ここには三つの子音が存在する• [r]、[l]、[k]

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• [r]、[l]、[k]は、それぞれ物理的に異なる特徴を持つ音声

• 一般的に日本語を母国語とする多数の人は[r]と[l]の両方を「ラ行」の子音として聞き取る

• [k]だけは「カ行」の子音として聞き取る

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• つまり、[r]や[l]とは異質のものとして[k]だけを区別する

• この時、同質/異質という線引きの結果として生ずるのが価値

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• [r]と[l]が「ラ行」を表す子音として聞き取られるなら、それらは「同じ価値」をもつものとして見なされる

• [k]は「カ行」を表す子音として「異なる価値」をもつものとしてみなされる

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• 価値の考え方は、記号内容の分類においても同様である

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• 二つの物体A(みかん)とB(りんご)があったとする

• 記号「くだもの」の記号内容の条件を満たす指示物としてAとBは「同じ価値」をもつ

• 記号「みかん」の記号内容の条件を満たすのはAのみであり、AとBは「異なる価値」をもつとみなす

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• 分類の基準となる価値は、物事の物質的な特徴や自然界の一部分としての性質等、何らかの絶対的な根拠の元に見出されるものではない

Page 10: Media Literacy Part 6

• 同じ物体が、あるときには「くだもの」であり、あるときには「みかん」であるように、コンテクストに応じて相対的に価値が与えられる

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• 英語のコードにおいては厳然と区別される[r]と[l]が、日本語のコードにおいては、同じ物として扱われる

• 人間の恣意に基づくという側面をもつ

Page 12: Media Literacy Part 6

• コードは人間が恣意的に見出した差異に基づいて、価値の区分を定める規定である

• 分節とは、恣意的に定められたコードの規定に従って、対象世界を「同じ価値をもつもの」と「異なる価値をもつもの」に区別すること

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記号論終わりメディアリテラシーに戻ります

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メディア読解とは

• メディアが提示する表現をクリティカルに読解することを「メディア読解」と呼ぶ

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メディア読解の位置づけと目標

• メディア読解は、理論としての記号論を具体的な作業の中で活かしていくための実践の段階として位置づけられる

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• メディア読解には以下の目標がある• メディアの表現が意味内容を発する仕組みを具体的にとらえること

• メディアの表現から読み取られる意味内容を相対化する視点を得ること

Page 17: Media Literacy Part 6

• これら、二つの目標は、メディアリテラシーの根幹にある次の目標に結びつく

• クリティカルな視聴者としての態度を身に付けることで、メディアと私たちとの間にある「生産者ー消費者」の図式を組み替えていくこと

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メディア読解の前提

• メディア読解の対象として想定されるメディアとは、基本的には特定の送り手が存在することを条件とするあらゆるメディアを含む

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• マスメディア• WEB• BBS• SNS• E-mail• 紙媒体

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• 特定のメディアに的を絞った読解の方法論ではなく、私たちに読むことを要求する、あらゆるメディアの表現を読み解くための着眼点を示す

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メディア読解を構成する 基本概念

• メディアテクスト• メディア読解の直接的な対象となる表現のこと

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• メディア読解の対象は、番組や作品など、主に送り手の側が「ひとまとまり」の表現に対して与える数量的な単位に基づいて確定されるのではない

Page 23: Media Literacy Part 6

• 読み手の側の興味関心が表現に対して与える区分に基づいて確定される

• 例えば、あるテレビ番組の一回分の放映内容全体である事もあれば、断片である可能性もある

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メディア読解を構成する

記号化コードと解釈コード

• メディアテクストから読み取る事を目指すのは、表現の構成原理として作用するコードのあり方

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• 読み取ることを目指す「送り手の意識を規定するコード」を<記号化コード>と呼ぶ

• 「読み手の意識を規定するコード」を<解釈コード>と呼ぶ

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• メディア読解において目指すのは、メディアテクストの中から記号化コードを顕在化させること

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• 何らかのメディアテクストから違和感を伴わずに意味内容を読み取れる場合、私たちの解釈コードが記号化コードに合わせて調整されている

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• メディアテクストが、特定の記号化コードによって構成されていることや、自分が特定の解釈コードに依拠しながら読み取りを行っていることについては、自覚していない

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• しかし、現実にはコードの作用こそがメディアテクストを存在させている

• 記号化コードと解釈コードの間には常にギャップがある

• ギャップは多くの場合、読み手が調整している

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• 読み手が記号化コードに合わせて自らの解釈コードを調整

• 読み取りにおけるイニシアティブがメディアコンテクストの側にあることを意味する

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• メディアと読み手との間に「生産者ー消費者」の図式が成立する状況の一つの典型

• これを組み替える必要がある

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メディア読解を構成する 形式化された表現

• 反復して用いられることによって、一つの型として定着した記号の組み合わせ

• 慣用句・慣用表現など

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• 何かを表現したり、読み取ったりする際に、一つ一つの記号を分節して全体像をくみ上げるだけでなく、型として定着した記号の組み合わせも利用している

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• 形式化は記号の組み合わせ方やその用いられ方に及ぶ

• 個々の形式の中に見出される秩序は、送り手を拘束する記号化コードのあり方を直接的に反映する

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• 換言すれば、形式とは秩序であり、秩序とはコードであると見なすことができる

• メディアテクストを構成する様々な形式を抽出し、パターンの特徴や使用のされ方を観察し、秩序を見出す