20110507 金融経済読書会 現代の金融入門

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1 現代の金融入門【新版】 2011年5月7日 金融経済読書会 村上

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Page 1: 20110507 金融経済読書会 現代の金融入門

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現代の金融入門【新版】

2011年5月7日

金融経済読書会

村上

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目次

1.伝統的な金融理論 -金融取引とは

-市場型間接金融

-信用創造

2.現代の金融に関する課題 -非伝統的金融政策

-敵対的買収

-証券化

 -金融監督規制

3.未来の金融をデザインする

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1.1 金融取引とは

金融取引とは、現在のお金と将来のお金

を交換する取引である。(P12)

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1.2 金融取引及び金融仲介機能の効果

•  金融取引の効果   -資金の移転   -リスクの移転 •  金融仲介機能の効果   -情報生産機能   -資産変換機能(資源のプール化) •  資産市場の効果   -情報発信機能 •  その他   -決済機能   -誘引問題への対処

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1.3 金融取引の様式

直接金融

  間接金融 (資産変換あり)

   相対取引 (相対で調達/運用)

      市場取引 (マーケットにて調達/運用)

証券化商品 (不動産⇒証券化商品) 投資信託等 (債券・株⇒投信)

債券 株式等

個人間貸借 ソーシャルレンディング?

銀行貸出 (預金⇒貸出)

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1.4 市場型間接金融チャネル

•  最終的な資金調達者と市場をつなぐタイプ

  -ノンバンク貸付等     

•  市場と最終的な資金運用者をつなぐタイプ

  -投資信託、ファンド等

A 金融機関Ⅰ マーケット 金融機関Ⅱ B

相対取引 相対取引 市場取引 市場取引

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1.5 信用創造

αβ)α+=

+

+=

=

-1(1

RCDCm

mHM

信用創造:

貯蓄の形成を先取りする形で、先行して資金の貸付を行う機能

【特徴】

-無から有を生み出すものではなく、貯蓄の先取りに過ぎない。

-預金を払い戻す以外に現金の究極的な入手元はありえない。

-中央銀行のハイパワードマネーの供給量に制約される。  

 →金融政策

M:マネーストック H:ハイパワードマネー m=信用乗数 C:現金 D:預金 R:準備金 1-α:現金流出率 αβ:支払準備

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2.1.1 金融政策の目標、効果、実際

•  目標:マクロ経済のパフォーマンスの改善(P82)

      (物価の安定、雇用の増大)

•  実際:中央銀行による短期金融市場金利の誘導

      →民間銀行による将来金利動向に関する予想形成

      →貸出行動の決定

      →マネーストックの決定(P100)

•  効果:-経済活動の潜在的実力とも言うべき水準を変えることは出来ない。

当該水準からの振れを小さくすることは出来る。(P83)

    →日本のデフレの例

 -人々の予想インフレ率を安定化させることが不可欠。(P105)

       →中央銀行は正直に自らの経済予測と政策判断を伝えることが必要。 

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2.1.2 非伝統的金融政策

ゼロ金利制約下で行える金融政策

•  量的緩和

•  リスク資産の買い入れ(QE2)

•  極端なインフレ目標(予想インフレ率の引き上げ)

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2.2 日本の企業統治と敵対的買収

•  企業価値=株主価値+負債の時価+従業員余剰

•  企業価値が増加しなくても、株主価値以外の部分を犠牲にすることによって、株主価値を増加させる余地がある。

  (敵対的買収、委任状争奪戦 P160)

•  企業特殊的熟練といった要素が重要な場合には、敵対的買収を防止することがむしろ効率に資する可能性も考えられないわけではない。(P174)

  →日本的経営、株式持合い及びメインバンクシステム

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2.3.1 証券化(ブライトサイド)

•  オリジネーター(ex 銀行)による効率的な情報の提供

•  様々な買い手(機関投資家、年金、保険)による資金提供機能

•  プールによるリスク分散化

•  優先劣後構造によるリスク移転

•  セカンダリーマーケットでの売買(情報発信機能) 

•  信用補完措置

•  分業による供給効率の改善(専業への特化)  等

※具体的な証券化のストラクチャーについてP214参照

                                

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2.3.2 証券化(ダークサイド)

•  複雑すぎる商品設計(CDO等) •  格付けに対する信認が崩壊したとき、クレジットが崩

壊する。 •  流動性の喪失(セカンダリーマーケットの機能不全) •  規制等インフラの不整備 等

→規制監督のあり方を見直し、また格付などの資本市場に関わる情報インフラの点検と整備に取り組むことで、証券化が本来持つ光の側面を伸ばし、その影の側面を抑制することが可能であると考える。(P219)

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2.4 金融危機後の規制監督

【金融危機でわかったこと】

•  市場型システミックリスクの顕在化

•  シャドウバンキングシステムによる規制監督の漏れ

•  レバレッジによるプロシクリカリティ(景気循環増幅)問題の存在

【対応】

•  銀行の自己資本充実度と内部統制(リスク管理)体制に関する公的当局による監視活動

  -自己資本比率規制(バーゼルⅢ)

•  事後的な対応面での早期是正措置

-中央銀行による最後の貸し手機能

 

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2.5 その他の論点

•  バブル(第4章)

•  リスクとリターン(第4章)

•  キャッシュフロー(第4章)

•  現在価値(第4章)  

•  エージェンシー問題(第5章)

•  株主価値と企業価値(第5章)

•  ストックオプション(第5章)

•  デリバティブ(第6章) 

•  モラルハザード(第7章)   

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3.未来の金融をデザインする

•  金融取引が適切に実現されるためには、なによりも、赤字主体が約束する将来の見返りの内容が可能なものであるかどうかを黒字主体の側が確認し、その将来における履行が確保される見込みが立たなければならない(P25)

•  情報技術の革新が、銀行がその諸機能を遂行する方法や形態(金融サービス)の変革に直結してもまったく不思議ではない(P190)

•  個々の金融機関の経営の健全性をみている(ミクロ・プルーデンス政策)だけでは不十分であり、システム全体の安定性に配意すること(マクロ・プルーデンス政策)が必要であると認識されるようになってきている(P256)

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関連文献

【金融政策】

岩田一政[2010]『デフレとの戦い』日本経済新聞出版社

植田和男[2005]『ゼロ金利との戦い』日本経済新聞社

齊藤誠・岩本康志・太田聰一・柴田章久[2010]『マクロ経済学』有斐閣

白川方明[2008]『現代の金融政策 理論と実践』日本経済新聞出版社

【コーポレートファイナンス】

Brealey,Myers and Allen[2010]『Principles of Corproate Finance』Mc Graw Hill

マッキンゼーアンドカンパニー他[2006]『企業価値評価 第4版』ダイヤモンド社

【日本型金融システム】

池尾和人[2006]『開発主義の暴走と保身』NTT出版

星岳雄、A・カシャップ[2006]『日本金融システム進化論』

【証券化・リーマンショック】

池尾和人、池田信夫[2009]『なぜ世界は不況に陥ったのか』日経BP社

大橋和彦[2002]『証券化の知識』日経文庫

内藤伸浩[2003]『アセット・ファイナンス-資産金融の理論と実践』ダイヤモンド社

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今後のFEDの活動

•  5月21日(土)9時半~12時「金融経済読書会light」※満席

  「新しい経済の教科書2011年度版」(日経BPムック)

•  5月21日(土)18時~21時「コーポレートファイナンス勉強会」

  「Part4 Facing Decisions and Markets Efficiency」

•  5月29日(日)9時~12時「コーポレートファイナンス勉強会リターン」

  「Part4 Facing Decisions and Markets Efficiency」

•  5月29日(日)18時~21時「マンキュー経済学勉強会」

  「Chapter18 The markets for the factors of production」

•  6月5日(日)18時~20時半「金融経済読書会」

   ラグナム・ラジャン(2011)「フォールト・ラインズ 『大断層』が金融危機を再び招く」新潮社